JPH0692159A - 運転感覚制御装置、人間運転特性同定方法および疑似感覚付与装置 - Google Patents

運転感覚制御装置、人間運転特性同定方法および疑似感覚付与装置

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JPH0692159A
JPH0692159A JP4243115A JP24311592A JPH0692159A JP H0692159 A JPH0692159 A JP H0692159A JP 4243115 A JP4243115 A JP 4243115A JP 24311592 A JP24311592 A JP 24311592A JP H0692159 A JPH0692159 A JP H0692159A
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vehicle
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Akinori Horiguchi
明伯 堀口
Nobuhisa Okamoto
宜久 岡本
Satoru Kogori
了 古郡
Takamasa Suetomi
隆雅 末冨
Satoyuki Abe
智行 阿部
Motonori Ishibashi
基範 石橋
Kenji Ishida
健二 石田
Koji Kido
孝二 木戸
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の挙動変化に対する感覚を運転者に対し
て増大もしくは減少付与して安全走行性や快適運転性の
向上を図る。 【構成】 所定時間後に運転者が車両の挙動変化を知覚
可能か否かを予測する知覚可否予測手段と、将来の車両
の挙動危険性を予測する危険予測手段と、運転者に上記
車両の挙動に対する感覚を付与する挙動感覚付与手段と
を備え、運転者が上記車両の挙動変化を知覚可能であり
かつ上記車両の挙動危険性が有ると予測されたときに、
運転者に対して上記挙動感覚を増大付与させ、運転者が
上記車両の挙動変化を知覚可能でありかつ上記車両の挙
動危険性が無いと予測されたときに、運転者に対して上
記挙動感覚を減少付与させ、運転者が上記車両の挙動変
化を知覚不可能でありかつ上記車両の挙動危険性が有る
と予測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚を増
大付与させる制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、運転者に車両の挙動に
対する感覚を増大もしくは減少付与する制御を行う運転
感覚制御装置、上記車両の挙動に対する感覚付与制御に
おいて用いる人間の運転特性を同定する人間運転特性同
定方法および上記感覚付与制御において運転者に疑似的
に感覚を付与する疑似感覚付与装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、運転者の状態や車両の走行状
態を検出し、それらの状態に応じて車両の走行制御を行
う技術が種々提案されている。例えば、実開昭62−1
7434号公報、特開平1−190545号公報、特開
平3−96439号公報等には、ハンドル把持力の低下
等に基づいて運転者の居眠り状態等を検出し、車速を低
下させたり、ショックアブソーバの減衰力、ステア特
性、操舵反力、操舵比、後輪と前輪との舵角比等を変更
して安全走行を行わせる技術か提案されている。また、
特開平3−268110号公報、特開平3−11275
4号公報、特開昭57−60974号公報等には、旋回
走行時に種々の車両走行制御、即ち走行路の曲率にした
がって車両特性から求められる最大許容速度に車速を制
限したり、車速がタイヤグリップ限界車速を越えるとき
限界ヨーレートが生じる態様で車速を限界車速に低下さ
せるよう旋回内方および外方の車輪に対してそれぞれ自
動制動を行ったり、車両旋回時の加減速時に後輪を転舵
したりして、安全走行を確保する技術が提案されてい
る。
【0003】また、特開平1−301112号公報に
は、車両の横すべり角から現在の車両の進行方向を求
め、その進行方向を運転者に視覚表示し、運転者に安全
走行を促す技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両の
安全走行に関する上記従来技術はいずれも運転者の状態
や車両の走行状態を種々のパラメータにより検出し車両
を直接的に安全側に制御してつまり運転補助を行って安
全を確保しようとするものであり、この様な運転補助技
術では十分な安全走行を確保することは困難である。
【0005】なぜならば、上記のように車両を直接的に
安全側に制御して運転補助を行う従来技術は、種々のパ
ラメータに基づいて車両の走行状態を検出しその検出し
た走行状態に基づいて車両を人間ではなく装置によって
直接的に制御するものであり、より多くの異なった走行
状態を正確に検出するためには非常に多くのパラメータ
を検出しなければならず、またいかに多くのパラメータ
を検出してもそれらによって検出し得る走行状態の種類
や精度には限界があり、車両を制御する運転補助につい
ても同様にその補助し得る範囲や精度に限界があり、従
って運転補助し得る範囲が限られたり適切な運転補助を
行うことが困難であったり、あるいはその範囲を広げた
り精度を向上させようとすると制御自体が極めて複雑な
ものとなるという装置による直接的な走行制御としての
限界なり困難性があるからである。
【0006】また、上記車両の走行状態を分かりやすく
運転者に教示する従来技術も、所詮は単に現在の車両の
走行状態を教示するに過ぎないものであり、この場合も
十分な安全走行を確保することは困難である。
【0007】そこで、本発明者らは、上記安全走行の確
保について種々検討した結果、車両の挙動変化に対する
運転者の感覚を制御して挙動変化を早めに運転者に知覚
させれば、運転者自身により早めにかつそのときの走行
状態に応じて運転者自身の判断により高精度で適切な危
険回避操作を行うことができ、それにより極めて簡単に
かつ種々の場合に対応して高精度で安全走行確保が可能
になるという知見を得た。また、その様に車両の挙動変
化に対する運転者の感覚を制御する場合、状況に応じて
運転者が挙動変化を知覚し得ないように制御すれば、挙
動変化の知覚により運転者が余分な操作をして車両の挙
動が危険方向に向かうのを防止することができ、あるい
は挙動変化を知覚しない快適な運転が可能になるという
知見を得た。
【0008】本発明の目的は、上記事情に鑑み、車両の
挙動変化に対する運転者の感覚を増大もしくは減少付与
制御して安全走行や快適運転性を確保することのできる
運転感覚制御装置、上記車両の挙動変化に対する感覚付
与制御において用いる人間の運転特性を同定する人間運
転特性同定方法および上記感覚付与制御において運転者
に疑似的に感覚を付与する疑似感覚付与装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる第1の運
転感覚制御装置は、上記目的を達成するために、所定時
間後に運転者が車両の挙動変化を知覚可能か否かを予測
する知覚可否予測手段と、将来の車両の挙動危険性を予
測する危険予測手段と、運転者に上記車両の挙動に対す
る感覚を付与する挙動感覚付与手段と、上記知覚可否予
測手段と危険予測手段との出力に基づいて上記挙動感覚
付与手段を制御して運転者に対して上記挙動感覚を増大
付与もしくは減少付与させる制御手段とを備えて成るこ
とを特徴とする。
【0010】上記挙動感覚付与制御においては、運転者
が上記車両の挙動変化を知覚可能でありかつ上記車両の
挙動危険性が有ると予測されたときに、運転者に対して
上記挙動感覚を増大付与することができる。
【0011】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能でありかつ上記車両の挙動危険性が無いと予測され
たときに、運転者に対して上記挙動感覚を減少付与する
ことができる。
【0012】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
不可能でありかつ上記車両の挙動危険性が有ると予測さ
れたときに、運転者に対して上記挙動感覚を増大付与す
ることができる。
【0013】本発明にかかる第2の運転感覚制御装置
は、上記目的を達成するために、所定時間後に運転者が
車両の挙動変化を知覚可能か否かを予測する知覚可否予
測手段と、運転者が将来における車両の挙動危険を回避
操作可能か否かを予測する危険回避可否予測手段と、将
来の車両の挙動危険性を予測する危険予測手段と、運転
者に上記車両の挙動に対する感覚を付与する挙動感覚付
与手段と、上記知覚可否予測手段と危険回避可否予測手
段と危険予測手段との出力に基づいて上記挙動感覚付与
手段を制御して運転者に対して挙動感覚を増大付与もし
くは減少付与させる制御手段とを備えて成ることを特徴
とする。
【0014】上記挙動感覚付与制御においては、運転者
が上記車両の挙動変化を知覚可能であり、運転者が上記
車両の挙動危険を回避操作可能であり、かつ上記車両の
挙動危険性が大であると予測されたときに、運転者に対
して上記挙動感覚を増大付与することができる。
【0015】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能であり、運転者が上記車両の挙動危険を回避操作可
能であり、かつ上記車両の挙動危険性が無いと予測され
たときに、運転者に対して上記挙動感覚を減少付与する
ことができる。
【0016】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能でありかつ運転者が上記車両の挙動危険を回避操作
不可能であると予測されたときに、運転者に対して上記
挙動感覚を減少付与することができる。
【0017】また、車両の挙動危険を自動的に回避する
自動危険回避手段を備え、運転者が上記車両の挙動変化
を知覚可能でありかつ運転者が上記車両の挙動危険を回
避操作不可能であると予測されたときに、運転者に対し
て上記挙動感覚を減少付与すると共に上記自動危険回避
手段を作動させることができる。
【0018】上記車両の挙動としては、例えばヨー方向
の挙動を挙げることができる。
【0019】上記知覚可否予測は、所定時間後における
車両の挙動変化量が人間の車両挙動変化に対する知覚し
きい値以上であるか否かにより知覚可能か否かにより行
うことができる。
【0020】上記知覚しきい値は、車両の状態もしくは
走行環境状態に応じて補正することができる。
【0021】上記知覚しきい値としては、人間の標準知
覚しきい値もしくは運転者固有の知覚しきい値を用いる
ことができる。また、上記知覚しきい値としては、体感
知覚しきい値、視覚知覚しきい値もしくは体感視覚知覚
しきい値をもちいることがてきる。
【0022】上記危険予測は、人間の運転特性即ち人間
の標準運転特性もしくは運転者固有の運転特性を考慮し
て行うことができる。
【0023】上記挙動感覚付与は、車両の挙動を制御し
て、すなわち車輪の転舵制御、サスペンション制御、エ
ンジンの出力制御、車輪に対する駆動力の配分制御、車
輪に対する制動力の配分制御、空力制御等により行うこ
とができる。
【0024】上記挙動感覚付与は、車両の挙動を制御す
ること無く疑似的に、すなわち運転席の動きを制御する
ことにより疑似的に、あるいは運転席前方に所定の表示
を行うと共にその表示の位置もしくは方向を制御して該
表示の運転席前方の視界情報との相対的位置もしくは方
向関係を変化させることにより視覚により疑似的に運転
者に挙動感覚を付与することができる。
【0025】上記挙動感覚付与は、体感により運転者に
挙動感覚を付与する体感挙動感覚付与手段と視覚により
運転者に挙動感覚を付与する視覚挙動感覚付与手段とを
備え、上記車両挙動の変化率が、人間の車両挙動の変化
に対する知覚が視覚優先から体感優先に変わる優先境界
変化率よりも小の場合は上記視覚挙動感覚付与手段によ
り、大の場合は上記体感挙動感覚付与手段により行うこ
とができる。
【0026】上記危険回避予測は、人間の運転特性即ち
人間の標準運転特性もしくは運転者固有の運転特性を考
慮して行うことができる。
【0027】上記自動危険回避は、熟練運転者のドライ
バモデルに基づき自動的に車両の挙動を制御して行うこ
とができる。
【0028】本発明にかかる第3の運転感覚制御装置
は、上記目的を達成するために、車両の挙動危険性を判
断する危険判断手段と、上記車両の挙動変化率が人間の
上記車両挙動の変化に対する知覚が視覚優先から体感優
先に変わる優先境界変化率よりも大であるか小であるか
を判断する挙動変化率大小判断手段と、運転者に上記車
両の挙動に対する感覚を付与する挙動感覚付与手段と、
上記危険判断手段と挙動変化率大小判断手段との出力に
基づいて運転者に対して上記挙動感覚を増大もしくは減
少付与させるように上記挙動感覚付与手段を制御する制
御手段とを備えて成るものであり、具体的な制御として
は、上記車両の挙動危険性が大でありかつ挙動変化率が
上記優先境界変化率よりも小であると判断されたときは
運転者に対して上記挙動感覚を増大付与させるように、
上記車両の挙動危険性が小でありかつ挙動変化率が上記
優先境界変化率よりも大であると判断されたときは運転
者に対して上記挙動感覚を減少付与させるように上記挙
動感覚付与手段を制御することができる。
【0029】本発明にかかる人間運転特性同定方法は、
上記第1、第2、第3の運転感覚制御装置により実施す
る挙動感覚付与制御において用いる人間の運転特性、更
に詳しくは知覚しきい値、操作反応時間および優先境界
変化率を同定するものである。この人間運転特性同定方
法には、ドライビングシミュレータを用いる方法と実車
を用いる方法とがある。
【0030】ドライビングシミュレータを用いる第1の
方法は、人間に挙動変化体感を付与可能なドライビング
シミュレータを用い、上記人間に種々の挙動変化率の下
に挙動変化体感を付与し、各挙動変化率と上記人間が各
挙動変化率の下で挙動変化開始からその挙動変化を体感
により知覚し反応するまでの全反応時間とに基づいて体
感による知覚しきい値と体感による操作反応時間とを求
めることを特徴とする。
【0031】第2の方法は、人間に外界視覚情報を付与
可能なドライビングシミュレータを用い、上記視覚情報
を上記車両が所定の挙動方向に種々の挙動変化率の下に
挙動変化した場合の視覚情報変化と同様に変化させ、各
挙動変化率と上記人間が各挙動変化率の下で視覚情報変
化開始から視覚情報変化を視覚により知覚し反応するま
での全反応時間とに基づいて視覚による知覚しきい値と
視覚による反応時間とを求めることを特徴とする。
【0032】第3の方法は、人間に挙動変化体感を付与
可能なドライビングシミュレータを用い、上記人間に種
々の挙動変化率の下に挙動変化体感を付与し、各挙動変
化率の下で上記人間が挙動変化開始からその挙動変化を
体感により知覚し反応するまでの全反応時間を求め、ま
た、人間に外界視覚情報を付与可能なドライビングシミ
ュレータを用い、上記視覚情報を上記車両が所定の挙動
方向に種々の挙動変化率の下に挙動変化した場合の視覚
情報変化と同様に変化させ、各挙動変化率の下で上記人
間が視覚情報変化開始から視覚情報変化を視覚により知
覚し反応するまでの全反応時間を求め、上記各挙動変化
率における上記体感に基づく全反応時間と視覚に基づく
全反応時間とから、人間の上記車両挙動の変化に対する
知覚が視覚優先から体感優先に変わる優先境界変化率を
求めることを特徴とする。
【0033】実車を用いる第1の方法は、車両を人間に
より所定の挙動方向に種々の挙動変化率の下に挙動変化
が生じるように運転させ、各挙動変化率と上記人間が各
挙動変化率の下で挙動変化開始からその挙動変化を知覚
し反応するまでの全反応時間とに基づいて知覚しきい値
と操作反応時間とを求めることを特徴とする。
【0034】この方法においては、上記挙動変化率が小
さい場合の上記各挙動変化率と全反応時間とに基づいて
視覚による知覚しきい値と視覚による操作反応時間とを
求め、上記挙動変化率が大きい場合の上記各挙動変化率
と全反応時間とに基づいて体感による知覚しきい値と体
感による操作反応時間とを求めることができる。
【0035】第2の方法は、車両を人間により所定の挙
動方向に種々の挙動変化率の下に挙動変化が生じるよう
に運転させ、上記挙動変化率が小さい場合の各挙動変化
率の下で挙動変化開始からその挙動変化を知覚し反応す
るまでの全反応時間を視覚による全反応時間として求
め、また、上記挙動変化率が大きい場合の各挙動変化率
の下で挙動変化開始からその挙動変化を知覚し反応する
までの全反応時間を体感による全反応時間として求め、
上記視覚による全反応時間と体感による全反応時間とか
ら、人間の上記車両挙動の変化に対する知覚が視覚優先
から体感優先に変わる優先境界変化率を求めることを特
徴とする。
【0036】本発明にかかる疑似感覚付与装置は、上記
第1、第2、第3の運転感覚制御装置により実施する挙
動感覚付与制御において用い得る装置であり、車両の挙
動を制御すること無く疑似的に運転者に挙動感覚を付与
するものである。
【0037】この疑似感覚付与装置は、車体に対して所
定の方向に移動可能に配設された運転席と、上記運転席
を上記所定の方向に移動させる駆動手段と、上記駆動手
段を制御する制御手段とを備えて成り、上記運転席の移
動により運転者に疑似的に車両挙動感覚を付与すること
を特徴とする。上記運転席の移動は、運転席全体の移動
であっても良いし運転席の一部のみの移動であっても良
い。ここでいう移動には回動も含まれる。
【0038】
【作用および発明の効果】本発明者らは、車両のヨー方
向の挙動変化即ちヨーレートr(deg/sec)の変化に対す
る人間の知覚メカニズムについて種々検討した結果、後
に詳述するように、ヨーレート変化に対して知覚しきい
値Δrが存在し、即ち人間はヨーレートrが変化し始め
てからその変化量が知覚しきい値Δrを越えて初めてそ
のヨーレートの変化を知覚し、またそのヨーレート変化
を知覚した後所定の操作反応時間T(sec)経過後に
その知覚に反応して操舵等の所定の操作を行うことを見
出だした。また、その知覚しきい値Δrや操作反応時間
Tは人間において標準的な値が存在するものの個人差も
存在することを見出だした。さらに、ヨーレートの変化
率つまりヨー角加速度dr( deg/sec2 ) の大小で体感
と視覚の全反応時間(知覚するまでに要する時間と知覚
後反応するまでの操作反応時間とを足し合わせたもの)
t′が異なる、即ち所定のヨー角加速度dr0 以上の急
激なヨーレート変化の場合は、人間は視覚よりも体感で
ヨーレート変化を早く感じ、上記所定のヨー角加速度d
0 以下の緩やかなヨーレート変化の場合には、運転者
の前方注視点と車両の進行方向との成す角である前方偏
差角ψの変化として、体感よりも視覚で早く変化を知覚
することを見出だした。
【0039】上記知見に基づいて本発明の作用と効果を
説明すると、以下の通りである。
【0040】本発明にかかる第1の運転感覚制御装置
は、上記のごとく、所定時間後に運転者が車両の挙動変
化を知覚可能か否かと将来の車両の挙動危険性とを予測
し、それらの予測結果に応じて上記挙動感覚を運転者に
増大付与もしくは減少付与するので、挙動変化を早めに
運転者に知覚させて運転者自身により早めにかつそのと
きの走行状態に応じて運転者自身の判断により高精度で
適切な危険回避操作を行なわせることができ、また運転
者に挙動変化を知覚させないようにして挙動変化の知覚
により運転者が余分な操作をして車両の挙動が危険方向
に向かうのを防止したりあるいは挙動変化を知覚しない
快適な運転を確保することができる。
【0041】具体的には、運転者が上記車両の挙動変化
を知覚可能でありかつ上記車両の挙動危険性が有ると予
測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚を増大付
与することにより、もともと上記所定時間後には知覚す
るのではあるがそれよりも早いタイミングで運転者に挙
動変化を知覚させ、運転者自身により早めにかつそのと
きの走行状態に応じて運転者自身の判断により高精度で
適切な危険回避操作を行なわせることができる。
【0042】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能でありかつ上記車両の挙動危険性が無いと予測され
たときに、運転者に対して上記挙動感覚を減少付与する
ことにより、運転者に挙動変化を知覚させないように
し、挙動変化の知覚により運転者が余分な操作をして車
両の挙動が危険方向に向かうのを防止することができ、
あるいは挙動変化を知覚しない快適な運転を可能にする
ことができる。
【0043】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
不可能でありかつ上記車両の挙動危険性が有ると予測さ
れたときに、運転者に対して上記挙動感覚を増大付与す
ることにより、もともと上記所定時間内には知覚するこ
とのできなかった挙動変化を早いタイミングで運転者に
知覚させ、運転者自身により早めにかつそのときの走行
状態に応じて運転者自身の判断により高精度で適切な危
険回避操作を行なわせることができができる。
【0044】本発明にかかる第2の運転感覚制御装置
は、上記のごとく、所定時間後に運転者が車両の挙動変
化を知覚可能か否かを予測し、運転者が将来における車
両の挙動危険を回避することが可能か否かを予測し、か
つ将来における車両の挙動危険性を予測し、これらの予
測結果に応じて運転者に対して挙動感覚を増大付与もし
くは減少付与させるので、上記第1の運転感覚制御装置
と同様に、挙動変化を早めに運転者に知覚させて運転者
自身により早めにかつそのときの走行状態に応じて運転
者自身の判断により高精度で適切な危険回避操作を行な
わせることができ、また運転者に挙動変化を知覚させな
いようにして挙動変化の知覚により運転者が余分な操作
をして車両の挙動が危険方向に向かうのを防止したりあ
るいは挙動変化を知覚しない快適な運転を確保すること
ができる。
【0045】具体的には、運転者が上記車両の挙動変化
を知覚可能であり、運転者が上記車両の挙動危険を回避
可能であり、かつ上記車両の挙動危険性が大であると予
測されたときに、もともと上記所定時間後には知覚する
のではあるが危険性が大であり早く運転者に対処させた
いということと危険回避が可能であり従って多少挙動変
化を増大させても問題はないことに鑑み、運転者に対し
て上記挙動感覚を増大付与し、それによりより早いタイ
ミングで運転者に挙動変化を知覚させ、運転者自身によ
り早めにかつそのときの走行状態に応じて運転者自身の
判断により高精度で適切な危険回避操作を行なわせるこ
とができができる。
【0046】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能であり、運転者が上記車両の挙動危険を回避可能で
あり、かつ上記上記車両の挙動危険性が無いと予測され
たときに、危険回避可能でありかつ危険性が無いので挙
動変化を感じさせなくても問題はないことに鑑み、運転
者に対して上記挙動感覚を減少付与し、それにより運転
者に挙動変化を知覚させないようにし、挙動変化の知覚
により運転者が余分な操作をして車両の挙動が危険方向
に向かうのを防止することができ、あるいは挙動変化を
知覚しない快適な運転を可能にすることができる。
【0047】また、運転者が上記車両の挙動変化を知覚
可能でありかつ運転者が上記車両の挙動危険を回避不可
能であると予測されたときに、挙動変化を知覚可能であ
りかつ知覚しても危険回避は不可能であるから知覚した
場合運転者はパニック状態に陥りあるいはパニック状態
に陥いることにより余分な操作をして車両挙動が更に危
険な方向に増大する虞があることに鑑み、運転者に対し
て上記挙動感覚を減少付与し、そうすることによって運
転者に挙動変化を知覚させないでパニック状態に陥るの
を防止しあるいはパニック状態に陥いることにより余分
な操作をして車両挙動が更に危険な方向に増大する虞れ
を回避することができる。
【0048】また、上記減少付与の場合は、車両の挙動
危険を自動的に回避する自動危険回避手段を備え、上記
運転者に対して上記挙動感覚を減少付与すると共に上記
自動危険回避手段を作動させることにより、運転者に挙
動変化を知覚させないでパニック状態に陥るのを防止し
あるいはパニック状態に陥いることにより余分な操作を
して車両挙動が更に危険な方向に増大する虞れを回避す
ると同時に運転者では不可能な危険回避を可能とするこ
とができる。
【0049】本発明にかかる第3の運転感覚制御装置
は、上記のごとく、車両の挙動危険性を判断し、かつ車
両の挙動変化率が人間の上記車両の挙動変化に対する知
覚が視覚優先から体感優先に変わる優先境界変化率より
も大であるか小であるかを判断し、これらの判断結果に
応じて運転者に対して挙動感覚を増大もしくは減少付与
させるので、上記第1の運転感覚制御装置と同様に、挙
動変化を早めに運転者に知覚させて運転者自身により早
めにかつそのときの走行状態に応じて運転者自身の判断
により高精度で適切な危険回避操作を行なわせることが
でき、また運転者に挙動変化を知覚させないようにして
挙動変化の知覚により運転者が余分な操作をして車両の
挙動が危険方向に向かうのを防止したりあるいは挙動変
化を知覚しない快適な運転を確保することができる。
【0050】上記挙動変化率が上記優先境界変化率より
も小であるときは、挙動変化率は視覚優先領域にあり、
この視覚優先領域においては挙動の変化に対する知覚は
体感よりも視覚の方が早いと共に知覚するまでの時間が
長く、結局知覚し難くかつ知覚が遅い領域である。ま
た、上記挙動変化率が上記優先境界変化率よりも大であ
るときは、挙動変化率は体感優先領域にあり、この体感
優先領域においては挙動の変化に対する知覚は視覚より
も体感の方が早いと共に知覚するまでの時間が短く、結
局知覚し易くかつ知覚が早い領域である。
【0051】そして、具体的には、車両の挙動危険性が
大でありかつ挙動変化率が上記優先境界変化率よりも小
であると判断されたときに、挙動危険性が大であるにも
拘らず挙動変化率が上記優先境界変化率よりも小である
故に挙動変化を知覚しずらくかつ知覚が遅くなり、運転
者の対処が遅くなる可能性があることに鑑み、運転者に
対して挙動感覚を増大付与し、それによりより早いタイ
ミングで運転者に挙動変化を知覚させ、運転者自身によ
り早めにかつそのときの走行状態に応じて運転者自身の
判断により高精度で適切な危険回避操作を行なわせるこ
とができができる。
【0052】また、車両の挙動危険性が小でありかつ挙
動変化率が上記優先境界変化率よりも大であると判断さ
れたときに、挙動危険性が小であるにも拘らず挙動変化
率が上記優先境界変化率よりも大であるが故に挙動変化
を知覚し易くかつ早く知覚し、それにより運転者が余分
な操作をして車両挙動が危険な方向に向かったりあるい
は運転者が不快感を感じたりする可能性があることに鑑
み、運転者に対して挙動感覚を減少付与し、それにより
運転者に挙動変化を知覚させないようにし、挙動変化の
知覚により運転者が余分な操作をして車両の挙動が危険
方向に向かうのを防止することができ、あるいは挙動変
化を知覚しない快適な運転を可能にすることができる。
【0053】本発明にかかるドライビングシミュレータ
を用た人間運転特性同定方法は、ドライビングシミュレ
ータによれば挙動変化体感と外界視覚情報とを別個にあ
るいは同時に付与可能であるので、上記のように挙動変
化体感のみを付与することにより体感による知覚しきい
値と体感による操作反応時間とを正確に求めることがで
き、また外界視覚情報のみを付与することにより視覚に
よる知覚しきい値と視覚による操作反応時間とを正確に
求めることができ、さらに挙動変化体感と外界視覚情報
とを同時に付与することにより体感と視覚とによる知覚
しきい値と体感と視覚とによる操作反応時間とを正確に
求めることができる。
【0054】また、本発明にかかるドライビングシミュ
レータを用た人間運転特性同定方法は、ドライビングシ
ミュレータによれば挙動変化体感と外界視覚情報とを別
個に付与可能であるので、人間に種々の挙動変化率の下
に挙動変化体感を付与することにより各挙動変化率の下
で上記人間が挙動変化開始からその挙動変化を体感によ
り知覚し反応するまでの全反応時間を正確に求めること
ができ、また、人間に種々の挙動変化率の下に上記外界
視覚情報を付与することにより、各挙動変化率の下で上
記人間が視覚情報変化開始から視覚情報変化を視覚によ
り知覚し反応するまでの全反応時間を正確に求めること
ができ、その結果それらの全反応時間を比較することに
より人間の上記車両挙動の変化に対する知覚が視覚優先
から体感優先に変わる優先境界変化率を正確に求めるこ
とができる。
【0055】本発明にかかる実際の車両を用いた人間運
転特性同定方法は、挙動変化体感と外界視覚情報とを別
個に付与することはできないが、上記のように挙動変化
率が小さい場合と大きい場合とに、例えば挙動変化率が
上記優先境界変化率よりも小さい場合と大きい場合とに
分け、小さい場合は視覚優先領域であり従って視覚に基
づいて挙動変化を知覚し反応していると考えられ、大き
い場合は体感優先領域であり従って体感に基づいて挙動
変化を知覚し反応していると考えられ、よって挙動変化
率が小の場合のデータから視覚による知覚しきい値と視
覚による操作反応時間とを正確に求めることができ、大
の場合のデータから体感による知覚しきい値と体感によ
る操作反応時間とを正確に求めることができる。また、
挙動変化率が大の場合と小の場合とに分けない場合は、
体感と視覚とによる知覚しきい値と体感と視覚とによる
操作反応時間とを正確に求めることができる。
【0056】また、本発明にかかる実際の車両を用た人
間運転特性同定方法は、挙動変化率が小さい場合と大き
い場合とに分け、挙動変化率が小の場合のデータから各
挙動変化率の下で上記人間が挙動変化開始からその挙動
変化を視覚により知覚し反応するまでの全反応時間を正
確に求めることができ、また、大の場合のデータから各
挙動変化率の下で上記人間が挙動変化開始からその挙動
変化を体感により知覚し反応するまでの全反応時間を正
確に求めることができ、その結果それらの全反応時間を
比較することにより人間の上記車両挙動の変化に対する
知覚が視覚優先から体感優先に変わる優先境界変化率を
正確に求めることができる。
【0057】また、本発明にかかる疑似感覚付与装置
は、上記のように、車体に対して所定の方向に移動可能
に配設された運転席と、上記運転席を上記所定の方向に
移動させる駆動手段と、上記駆動手段を制御する制御手
段とを備えて成り、上記運転席の移動により運転者に疑
似的に車両挙動感覚を付与するように構成されているの
で、実際の車両の挙動を変化させること無く運転者に挙
動感覚の増大もしくは減少付与を行うことができ、従っ
て実際の車両の挙動を変化させたく無い場合等に好適に
使用することができる。
【0058】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。
【0059】<<人間の運転特性>>先ず、本発明にか
かる運転感覚制御装置の説明に先立って、人間の運転特
性について説明する。人間(運転者)は、一般に車両が
挙動変化を起こした場合、その挙動変化を知覚してハン
ドル操作やブレーキあるいはアクセルペダル操作等の車
両操作を行う。この場合、人間は挙動が変化し始めてか
らその挙動変化量が知覚しきい値を越えて初めてその挙
動変化を感覚器で知覚し、またその挙動変化を知覚した
後所定の操作反応時間経過後にその知覚に反応して操舵
等の所定の操作を行う。
【0060】本発明者らは、車両のヨー方向の挙動変化
即ちヨーレートr(deg/sec)の変化に対する人間の知覚
メカニズムについて種々検討した結果、ヨーレート変化
に対する知覚しきい値Δr(人間はヨーレートrが変化
し始めてからその変化量が知覚しきい値Δrを越えて初
めてそのヨーレートの変化を感覚器が知覚する)と操作
反応時間T(sec)(ヨーレート変化を感覚器が知覚
した後操作反応時間T経過後にその知覚に反応して操舵
等の所定の操作を行う)には、人間において標準的な値
が存在するものの個人差も存在することを見出だした。
さらに、ヨーレートの変化率つまりヨー角加速度dr
( deg/sec2 ) の大小で体感と視覚の全反応時間(知覚
するまでに要する時間と知覚後反応するまでの操作反応
時間とを足し合わせたもの)t′が異なる、即ち所定の
ヨー角加速度dr0 以上の急激なヨーレート変化の場合
は、人間は視覚よりも体感でヨーレート変化を早く知覚
し、上記所定のヨー角加速度dr0 以下の緩やかなヨー
レート変化の場合には、運転者の前方注視点と車両の進
行方向との成す角である前方偏差角ψの変化として、体
感よりも視覚で早く変化を知覚することを見出だした。
もちろんこのヨー角加速度dr0 も人間において標準的
な値が存在するものの個人差も存在する。
【0061】図1は本発明者らが挙動変化体感と外界視
覚情報とを別個にあるいは同時に付与可能なドライビン
グシミュレータを用いて行った実験結果を示す図であ
る。この実験は、例えば一定曲率の曲線走行路を一定の
速度で走行中(この場合一定のヨーレートが発生してい
る)に何等かの原因でスピン等が発生しヨーレートが増
加し始めた場合を想定して行ったものである。具体的に
は、ドライビングシミュレータによりヨーレート10(de
g/sec)から図中放射状にのびる細線上に沿って種々のヨ
ー角加速度の下にヨーレートを増加させて挙動変化体感
を付与し、そのヨーレートを増加させ始めた時点から被
験者がヨーレートの変化に気付いて反応した時点(ボタ
ンを押した時点)までの全反応時間を測定し、その測定
結果を体感によるヨーレート変化の知覚反応特性曲線と
して表示し、またドライビングシミュレータによりヨー
レート10(deg/sec)から図中放射状にのびる細線上に沿
って種々のヨー角加速度の下にヨーレートを増加させた
際に生じる外界視覚情報例えば走行路視覚情報の変化を
被験者に付与し、その外界視覚情報変化させ始めた時点
から被験者が外界視覚情報の変化に気付いて反応した時
点(ボタンを押した時点)までの全反応時間を測定し、
その測定結果を視覚によるヨーレート変化の知覚反応特
性曲線として表示し、また上記ヨーレート変化による挙
動変化体感と外界視覚情報の変化とを一緒に与えた場合
の上記と同様の測定結果を体感と視覚とによるヨーレー
ト変化の知覚反応特性曲線として表示したものである。
【0062】この図から分かるように、所定のヨー角加
速度dr0 (以下このヨー角加速度を優先境界加速度と
いう)以上の急激なヨーレート変化の場合は、人間は視
覚よりも体感でヨーレート変化を早く知覚し(体感優
先)、上記優先境界加速度dr0 以下の緩やかなヨーレ
ート変化の場合には、体感よりも視覚で早く変化を知覚
する(視覚優先)。また、体感の場合の知覚しきい値Δ
rおよび操作反応時間Tはヨー角加速度drが異なって
も同一人においては基本的に同じであり(視覚の場合も
体感と視覚との場合も同様)、また複数の被験者に対し
て上記の実験を行うことによりそれらの知覚しきい値や
操作反応時間および上記優先境界加速度dr0 には個人
差があることが判明した。
【0063】上記体感の場合の知覚しきい値Δrは大体
ヨーレートrの変化量として3〜10(deg/sec)、視覚
の場合の知覚しきい値Δψは前方偏差角ψの変化量とし
て0.5〜2(deg)、優先境界加速度dr0 は9〜25
( deg/sec2 ) であった。なお、体感の場合の知覚しき
い値Δrと操作反応時間T、視覚の場合の知覚しきい値
Δψと操作反応時間TTを求める方法については、後に
詳述する。
【0064】<<運転感覚制御装置>> <運転感覚制御装置1>図2は、本発明にかかる第1の
運転感覚制御装置の一実施例を示すブロック図である。
なお、この実施例は以下に説明する第2、第3の実施例
と同様に車両の挙動としてヨー方向の挙動即ちヨーレー
トを対象としたものであるが、本発明にかかる運転感覚
制御装置は、上記ヨー方向の挙動のみでなく、その他の
挙動例えばロールや横G方向の挙動も対象とすることが
可能であり、さらにはピッチ、バウンス、前後G、車体
横ズレ方向の挙動も対象とすることができる。
【0065】図示の装置は、所定時間後に運転者が車両
の挙動変化即ちヨーレート変化を知覚可能か否かを予測
する知覚可否予測手段2と、将来の車両の挙動危険性を
予測する危険予測手段4と、運転者に上記車両の挙動に
対する感覚を付与する挙動感覚付与手段6と、上記知覚
可否予測手段2と危険予測手段4との出力に基づいて上
記挙動感覚付与手段6を制御して運転者に対して上記挙
動感覚即ちヨーレート感覚を増大付与もしくは減少付与
させる制御手段8とを備えて成る。
【0066】上記知覚可否予測は、車両のヨーレートが
変化した場合例えば一定曲率の曲線走行路を一定の速度
で走行中(この場合一定のヨーレートが発生している)
に何等かの原因でスピン等が発生しヨーレートが増加し
始めた場合に所定時間後にそのヨーレート変化を運転者
が知覚可能か否かを予測するものであり、この予測は種
々の方法によって例えばヨーレートの変化率即ちヨー角
加速度の大小に基いて行うことができるが、本実施例で
は1秒後のヨーレートを予測し、ヨーレート基準値例え
ばヨーレート変化開始前のヨーレートとその予測ヨーレ
ートとの差即ちヨーレート変化量が運転者個人のヨーレ
ート変化に対する知覚しきい値より大であるか否かによ
り予測する。上記ヨーレートの予測は例えばヨーレート
センサによって検出された実ヨーレートの変化状態に基
づいてあるいは車速とハンドル角速度とに基づいて予測
することができる。上記知覚しきい値は運転者個人のも
のではなく人間の標準知覚しきい値を用いることもでき
る。また、上記知覚しきい値としては体感による知覚し
きい値を用いているが、視覚による知覚しきい値あるい
は体感と視覚とによる知覚しきい値を用いることもでき
る。
【0067】上記危険予測は、将来の車両の挙動危険性
を予測するものであり、その予測方法としては種々のも
のを採用し得る。例えば以下に述べるヨーレート等の各
種の車両状態や路面μ等の各種の環境状態に基づいてあ
るいはさらに運転者の運転特性も加味して車両挙動の危
険性を予測することができる。例えばヨー角加速度の大
小あるいは将来のヨーレートを予測しその予測されたヨ
ーレートの大小に基づいてさらにはそれらと上記各種の
車両状態や環境状態又は運転者の運転特性とに基づいて
予測することができる。本実施例では車両状態や環境状
態からスピン等の危険が生じ得る限界ヨーレートを求
め、将来のヨーレートを予測してヨーレートがその限界
ヨーレートになるまでの時間を求め、その時間が運転者
の運転特性の一つである上記操作反応時間よりもどの程
度長いかによって予測することができる。
【0068】上記挙動感覚付与は、運転者に対して挙動
感覚を増大もしくは減少付与する、例えばステアリング
制御によりハンドルを切り増ししたり切り戻したりして
制御しない場合よりも運転者に大きなあるいは小さなヨ
ーレートを感じさせるものであり、具体例については後
述する。なお、増大付与制御とはヨーレートが変化して
いる方向に更に変化させる即ちヨーレートが増大してい
る場合は更に増大させ減少している場合は更に減少させ
る制御であり、減少付与制御とはその反対の制御であ
る。この挙動感覚付与は、最も単純には例えば所定の短
時間のみ付与するものとすることができる。
【0069】上記装置は、上記挙動感覚付与制御を行う
ため、運転者個人の運転特性を記憶する運転特性記憶手
段10と、車両の各種の状態を検出する車両状態検出手段
12と、各種の車両走行環境状態を検出する環境検出手段
14と、車両の挙動変化即ちヨーレート変化の状態を判断
する挙動変化判断手段16とを備えて成る。上記運転特性
としては運転者個人のヨーレートに対する体感による知
覚しきい値および操作反応時間が記憶されている。ま
た、車両状態および環境状態としては、図示された各種
の状態が検出される。また、上記挙動感覚付与制御は、
車両の挙動が変化しはじめた場合即ちヨーレートが増加
し始めたり減少し始めたりあるいはヨーレートが変動し
てふらつき走行を始めた場合等に行われ、上記挙動変化
判断手段16は、その様なヨーレートの変化が生じている
か否かを判断するためのものである。
【0070】次に、図3を参照しながら上記制御手段が
行う制御について説明する。
【0071】先ず、S1で運転特性記憶手段で記憶され
ている運転者個人の運転特性を読み込み、次いでS2で
各種の車両状態、環境状態を検出し、S3で車両の挙動
変化があるか否かを判断し、挙動が一定の場合にはS2
に戻り、変化した場合つまりヨーレートが増大、減少あ
るいはふらつきが生じた場合は、S4で運転者が1秒後
にヨーレート変化を知覚し得るか否かを上記した1秒後
予測ヨーレート変化量が知覚しきい値を越えるか否かで
予測し、知覚不可能と予測されたときはS5で上記方法
により将来の車両の危険性を予測し、危険が予測される
場合はS6で感覚増大制御を行い、危険が予測されない
場合は無制御とする。また、知覚可能と予測された場合
はS7で同様に将来の車両の危険性を予測し、危険が予
測される場合は無制御かもしくはS8で感覚増大制御を
行う。どちらの制御を行うかは危険性の大小等種々の条
件により判断することができる。また、危険が予測され
ない場合はS9で感覚減少制御を行う。
【0072】上記において知覚しきい値と比較するヨー
レート変化量を算出するための基準値は、ヨーレートの
変化を観察しながら適宜に決定すれば良く、例えば変化
を始める前の所定期間ほぼ一定であったヨーレートの値
を基準値とし、本制御に入ったら例えば感覚増大制御を
行った結果ヨーレート変化量が上記知覚しきい値を越え
たときはその越えたときのヨーレートの値を新たな基準
値として基準値を更新していくことができる。
【0073】なお、上記将来の車両の挙動危険性の予測
における危険が予測されるされないの判断は、予測され
る危険性が大か小かの判断であっても良く、危険性有り
無しの判断態様の一つとしてこの危険性大小の判断も含
まれるものである。
【0074】<運転感覚制御装置2>図4は、本発明に
かかる第2の運転感覚制御装置の一実施例を示すブロッ
ク図である。図示の装置は、上記第1の運転感覚制御装
置と同様の知覚可否予測手段2と、危険予測手段4と、
挙動感覚付与手段6と制御手段8との他に、運転者が将
来における車両の挙動危険を回避操作可能か否かを予測
する危険回避可否予測手段18を備え、かつ上記制御手段
8は、知覚可否予測手段2と危険回避可否予測手段18と
危険予測手段4との出力に基づいて上記挙動感覚付与手
段6を制御して運転者に対してヨーレート感覚を増大付
与もしくは減少付与させる制御を行い、上記危険予測手
段は上記と同様の予測ヨーレートが限界ヨーレートにな
るまでの時間と運転者の操作反応時間とを比較する方法
により危険性が予測されるかされないかまた予測される
ときはその危険性は大か小かを予測するものとして構成
されている。また、特定の場合に作動せしめられる車両
の挙動危険を自動的に回避する自動危険回避手段20も備
えている。さらに、上記挙動感覚付与制御を行うために
上記第1の運転感覚制御装置と同様の運転特性記憶手段
10と、車両状態検出手段12と、環境検出手段14とを備え
て成る。
【0075】上記危険回避予測は、運転者が将来におけ
る車両の挙動危険を回避操作可能か否かを予測するもの
であり、その予測方法としては種々のものが考えられ
る。例えば以下に述べるヨーレート等の各種の車両状態
や路面μ等の各種の環境状態に基づいてあるいはさらに
運転者の運転特性も加味して車両挙動の危険性を予測す
ることができる。例えばヨー角加速度の大小あるいは将
来のヨーレートを予測しその予測されたヨーレートの大
小に基づいてさらにはそれらと上記各種の車両状態や環
境状態又は運転者の運転特性とに基づいて予測すること
ができる。より具体的には車両状態や環境状態からスピ
ン等の危険が生じ得る限界ヨーレートを求め、将来のヨ
ーレートを予測してヨーレートがその限界ヨーレートに
なるまでの時間を求め、その時間が運転者の運転特性の
一つである上記操作反応時間よりも大か小か(大の場合
は危険回避操作可能、小の場合は危険回避操作不可能)
によって予測することができる。
【0076】次に、図5,6を参照しながら上記制御手
段が行う制御について説明する。
【0077】先ず、S10で運転特性記憶手段で記憶され
ている運転者個人の運転特性を読み込み、次いでS11で
各種の車両状態、環境状態を検出し、S12で車両の挙動
が一定であるか否かを判断し、一定の場合にはS11に戻
り、挙動が変化した場合はS13でふらつき状態か否かを
判断し、ふらつき状態でない即ちヨーレートが増大ある
いは減少した場合は(以下の制御は増大の場合であって
も減少の場合であっても同様である)、S14で運転者が
1秒後にヨーレート変化を知覚し得るか否かを上記した
1秒後予測ヨーレート変化量が知覚しきい値を越えるか
否かで予測し、知覚不可能と予測されたときはS32で上
記方法により将来の車両の危険性を予測し、危険が予測
される場合はS33で感覚増大制御を行い、危険が予測さ
れない場合は無制御とする。なお、この場合の予測され
るされないは危険性が大か小かであっても良い。また、
S24で知覚可能と予測された場合はS25で上記方法によ
り運転者が将来の危険回避操作可能か否かを判断し、危
険回避操作不可能と予測された場合はS30で感覚減少制
御のみを行うか、あるいはS30で感覚減少制御を行うと
共にS31で自動危険回避制御を行う。いずれを取るかは
種々の条件により決定することができる。なお、自動危
険回避制御については後述する。また、S25で危険回避
操作可能と予測されたときは、S26で将来の危険性が予
測されるか否かを判断し、危険性が無いと予測されたと
きはS29で感覚減少制御を行い、危険性があると予測さ
れたときはS27でその危険性が大か小かを判断し、小の
場合は無制御とし、大の場合はS28で感覚増大制御を行
う。
【0078】なお、上記S13でふらつき状態であると判
断されたときは、S14からS23までにおいて上記S24か
らS33までと全く同様の判断の下に全く同様の制御を行
う。
【0079】なお、S16、S27で危険性有りと予測され
たときはS17、S27の判定を行うことなくS18、S28に
進んでも良い。また。S22、S32の判断を危険回避操作
可か否かの判断に置き換え、回避操作可ならS23に進む
ようにしても良い。
【0080】<感覚増大付与の一例>図7は前輪操舵に
よる感覚増大付与制御の一例を示すタイムチャートであ
る。即ち、ハンドル角一定で一定のヨーレートの下に旋
回走行しているときに、時刻T0 で何らかの原因により
ハンドル角が増大し、ヨーレートが増加し始めた場合に
おいて、1秒後のヨーレートを予測し、時刻T1 で予測
ヨーレートの変化量が知覚しきい値Δrを越えたとき
に、その時刻T1 で前輪舵角を短時間同相側に切り増し
制御を行う(切り増し制御を行わなかった場合の前輪舵
角を破線で示す)。そうすると、実ヨーレートも時刻T
1 から切り増し制御を行わなかった破線で示す状態から
実線で示す様に増大し、その結果本来なら時刻T3 で変
化量がΔrを越えて運転者がヨーレート変化を知覚して
いたのに対し、この制御によって運転者に時刻T2 でヨ
ーレート変化を知覚させることができ、運転者に対して
ヨーレート増加に対し早いタイミングで適切な対処を行
わせることが可能となる。
【0081】また、図8は後輪操舵による感覚増大付与
制御の一例を示すタイムチャートであり、この場合は同
じく1秒後における予測変化量が時刻T1 でΔrを越
え、その時点で後輪を短時間逆相に操舵し、それによっ
て同じく本来なら時刻T3 で知覚していたところを時刻
2 で知覚させることができる。
【0082】<挙動感覚付与手段>次に、上記挙動感覚
付与手段の具体例について説明する。
【0083】図9,10はステアリング制御によるもので
あり、図9は前輪制御、図10は後輪制御を示す。前輪制
御の場合はアクチュエータ32によりギヤボックス30自体
を左右方向に移動させる。ヨーレート増大の場合は同相
側に切り増し転舵する様に移動させ、ヨーレート減少の
場合は逆相側に切り戻し転舵する様に移動させる。な
お、ギヤ比を可変とし、増大の場合はギヤ比を小として
切り増しし、減少の場合はギヤ比を大として切り戻しす
るようにすることもできる。後輪の場合は後輪操舵用ア
クチュエータ32を直接駆動し、増大の場合は逆相に、減
少の場合は同相に操舵すれば良い。
【0084】図11,12,13はサスペンション制御による
ものである。サスペンション制御においては前輪と後輪
のロール剛性比を変えることによってオーバステア(ヨ
ーレート増大)およびアンダステア(ヨーレート減少)
制御することができる。即ち、後輪側のロール剛性を相
対的に大とすることによりオーバステアとなってヨーレ
ート増大制御を行うことができ、前輪側のロール剛性を
相対的に大とすることによりアンダステアとなってヨー
レート減少制御を行うことができる。
【0085】図11はアクティブサスペンションによって
ロール剛性制御を行うものであり、図示の様に車体(バ
ネ上)38とサスペンションロアアーム(バネ下)40との
間に油圧アクチュエータ34を配設し、この油圧アクチュ
エータ34への油圧を制御手段8により圧力制御バルブ36
を介して制御する。この場合油圧アクチュエータ34によ
りサスペンションストロークを制御し、ストローク変化
を小にするとロール剛性は大となり、ストローク変化を
大にするとロール剛性は小となる。よって、前輪側のス
トローク変化を相対的に大とすれば前輪側のロール剛性
が相対的に小となり、オーバステアとなって増大制御が
可能となり、後輪側のストローク変化を相対的に大とす
れば後輪側のロール剛性が相対的に小となり、アンダス
テアとなって減少制御が可能となる。
【0086】なお、アクティブサスペンションの場合は
上記バネ上とバネ下との間に設けられるダンパを減衰力
可変ダンパとし、この減衰力を前輪と後輪とで相対的に
変化させることによっても可能である。この場合には、
減衰力を大とすればロール剛性は大となる。
【0087】また、可変気圧式エアサスを用いている場
合は、そのエアサスのバネ定数を前輪と後輪とで相対的
に変化させることによっても可能である。この場合に
は、バネ定数を大とすればロール剛性は大となる。
【0088】図12は可変スタビライザによってロール剛
性制御を行うものであり、図示の様に前輪側のスタビラ
イザ42と後輪側のスタビライザ42とをそれぞれ2分割し
て油圧クラッチ44を介して接続し、圧力制御バルブ36に
よって油圧クラッチ44の押付け圧を変化させてロール剛
性の制御を行う。この場合押付け圧を大とすればロール
剛性は大となる。
【0089】図13はサスペンションジオメトリによって
ロール剛性制御を行うものであり、図示の様にウィッシ
ュボーン型サスペンションの場合ロアアーム46はそのま
まとしアッパアーム48をその車体側連結点と車輪側連結
点の双方を電動アクチュエータ50,52により車体横方向
に移動可能とし、このアクチュエータ50,52によりアッ
パアームをそれぞれ車体横方向に移動させてロール剛性
の制御を行う。この場合、左右のアッパアーム48をそれ
ぞれ車体横方向外側に移動させれば、ロールセンタが高
くなり、荷重移動が大となってロール剛性が大となり、
内側に移動させればロールセンタが低くなり、荷重移動
が小となってロール剛性が小となる。なお、この場合は
車体重心点とロール軸との間の距離は一定に保ったまま
制御を行うものとする。
【0090】図14,15,16,17は空力制御によるもので
ある。空力制御はダウンフォースによるものとヨーダン
パによるものを採用し得る。図14はダウンフォースによ
る例であり、フロントスポイラ54およびリヤスポイラ56
を図中矢印方向に回動制御してダウンフォースの大小を
制御する。フロントスポイラ54を図示の状態とするとフ
ロント側のダウンフォース大、リヤスポイラを図示の状
態とするとリヤ側のダウンフォース大となる。そして、
フロント側のダウンフォースを相対的に大とするとオー
バステアとなり増大制御が可能であり、リヤ側のダウン
フォースを相対的に大にするとアンダステアとなり減少
制御が可能である。
【0091】図15はヨーダンパの一例であり、図示の如
く車体後部に上下に回動可能な左右のリヤスポイラ58,
60を配設し、この左右のリヤスポイラ58,60の一方を下
げて他方を上げる制御によりヨーダンパとして機能し、
ヨーレートの増大もしくは減少制御が可能となる。
【0092】図16はヨーダンパの他の例であり、これは
図示の如く車体ルーフの上に前後方向に延びる垂直板状
の固定翼62と、その後方に前端を中心として車体横方向
に回動可能な可動翼64とから成り、この可動翼64をアク
チュエータ68によりロッド66を車体横方向に移動させる
ことによって図中矢印方向に回動させ、所望の方向にヨ
ー方向の力を得、それによってヨーレートの増大もしく
は減少制御が可能となる。
【0093】図17はヨーダンパのさらに他の例であり、
このヨーダンパ70は車体後部の側面に前端を中心として
車体横方向に回動可能に配設されており、アクチュエー
タ72により左右のロッド74を適宜に車体横方向に移動さ
せ、それによっていずれか一方を車体外側に向けて回動
させて押し出すことによりヨー方向の力を得ることがで
き、ヨーレートの増大もしくは減少制御が可能となる。
【0094】また、図示していないがエンジン制御、駆
動力配分制御、制動力配分制御によってもヨーレートの
増大、減少付与制御が可能である。
【0095】エンジン出力の場合は、FF車ではパワー
を減少させ、FR車の場合はパワーを増大させることに
よりヨーレート増大制御を行うことができ、その反対の
制御によってヨーレート減少制御を行うことができる。
【0096】駆動力配分制御の場合、フロントを小、リ
ヤを大とする前後差制御により、あるいは外輪を大、内
輪を小とする左右差制御によりヨーレート増大制御を行
うことができ、その反対の制御によってヨーレート減少
制御を行うことができる。
【0097】制動力配分制御の場合は、フロント小、リ
ヤ大とする前後差制御により、あるいは外輪小、内輪大
とする左右差制御によりヨーレート増大制御を行うこと
ができ、その反対の制御によってヨーレート減少制御を
行うことができる。
【0098】以上の挙動感覚付与制御は、いずれも車両
を実際に動かして実ヨーレートを増大もしくは減少させ
るものであったが、この感覚付与制御は、車両を実際に
動かすことなく運転者に疑似的に感覚を付与する疑似感
覚付与手段によっても実現可能である。この疑似感覚付
与手段について次に説明する。
【0099】図18は運転席76をモータ78によりヨー方向
に回動可能に構成したものであり、ヨーレートの変化方
向に運転席76を回転させることによりヨーレートを運転
者に対して疑似的に増大付与することができ、反対方向
に回転させることにより疑似的に減少付与することがで
きる。
【0100】図19は運転席76をアクチュエータ80により
ピッチ方向あるいはロール方向に回転させることにより
ヨーレートを疑似的に付与するものであり、例えばピッ
チ方向車体前側に回転させることによりヨーレートの疑
似的増大付与を、ピッチ方向後側に回転させることによ
り減少付与を行うことができる。ロール回転の場合は車
両旋回方向内輪側に回転させることによりヨーレート増
大付与を、外輪側に回転させることにより減少付与を行
うことができる。なお、ロール方向の回転の場合図示の
様に運転席ピッチ角をβとすると、ヨー角加速度drと
ロール角加速度dPとの間には、 dP=dr(1− cosβ)/ sinβ という関係式が成り立つ。
【0101】図18,19に示す例は運転席全体を動かすも
のであったが、運転席の一部のみを動かすことによって
も疑似的な感覚付与が可能である。図20,21はシートバ
ックを動かすものであり、左右のモータ82,84によって
車体横方向に延びる軸を中心として矢印方向に回転され
る回転板82a ,84a にシートバック内に配設される左右
の縦リンク部材86,88の下端を固着し、例えば図21に示
す様に左リンク部材86を前側に、右リンク部材88を後側
に倒すことによって上部リンク部材90を右回りに回転さ
せて右回りのヨーレートを疑似的に付与することがで
き、反対に倒すことによって左回りのヨーレートを疑似
的に付与することができ、それによってヨーレートを疑
似的に増大もしくは減少付与することができる。
【0102】図22,23はシートバックを動かす他の例で
あり、これは左右にカム94,96を設け、モータにより軸
92を回すことによりカム94,96を回転させてシートバッ
クの乗員側の傾きを変え、図20,21の場合と同様にヨー
レートを疑似的に増大もくしは減少付与することができ
る。
【0103】図24は、視覚により疑似的に運転者に挙動
感覚を付与するものであり、運転席前方のフロントガラ
ス上にスクリーン98を設定し、該スクリーン上に基準線
100の表示を行うヘッドアップディスプレイにより構成
されている。上記基準線100の位置を左右に所定量移動
させることによって運転者に疑似的に視覚によるヨーレ
ート増大・減少付与を行うことができる。図示の場合は
右旋回中でありウインドガラス前方には図示の如く走行
路104 が見えており、基準線100 を右側に移動させれば
運転者はこの基準線100 と走行路104 との相対位置関係
の変化により視覚でヨーレートが増大したものと感じ、
左側に移動させればその反対にヨーレートが減少したも
のと感じる。
【0104】なお、この基準線の代わりに、例えば車速
とハンドル角とによりコーナリングコースを計算し、そ
のコースを上記スクリーン上に矢印102 により表示し、
ヨーレート付与制御を行う際はこの矢印102 の向きを変
化させるようにしても良い。
【0105】前述の実際に車両を動かしてヨーレート付
与を行うものおよびシートを動かしてヨーレート付与を
行うものは視覚によるヨーレート付与も行われるが主と
して体感によるヨーレート付与を行うものである。そし
て、ヨーレートの付与制御においては、体感によるヨー
レート付与手段と視覚によるヨーレート付与手段の双方
を用いることも可能であり、その場合はヨー角加速度が
前述の優先境界ヨー角加速度dr0 より大のときは体感
によるヨーレート付与手段によりヨーレート付与制御を
行い、dr0 より小のときは視覚によるヨーレート付与
手段によりヨーレート付与制御を行うことができる。
【0106】この場合の優先境界ヨー角加速度dr0
しては、実際に優先領域が変化する値(9 deg/sec2
傍)からそれ以上は明らかに体感優先であると認められ
る値(25 deg/sec2 近傍)との間の適当な値を用いるこ
とができる。
【0107】<挙動感覚付与手段の使い分け>上記した
各挙動感覚付与手段は、車両状態や環境状態により有効
にヨーレート付与可能か否かが異なる。従ってヨーレー
ト付与制御を行うにあたっては車両状態や環境状態によ
り有効な付与手段を選択して用いるのが望ましく、また
いずれの付与手段を搭載するかはその様な車両状態や環
境状態によって有効性が異なることを考慮して決定する
のが望ましい。
【0108】下記の表1,2は各ヨーレート付与手段の
各種車両状態や環境状態の下での有効性を表わすもので
あり、二重丸は有効性大、○は有効性中、△は有効性
小、×は有効性無しを示す。なお、下記表1,2中の疑
似制御の欄の座席は上記運転席、HUDは上記ヘッドア
ップディスプレイを示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】<感覚付与制御のための予測の他の例>前
述の第1および第2の運転感覚制御装置の実施例は、知
覚可否予測と危険性予測とを別個に、また知覚可否予測
と危険回避予測と危険予測とを別個に行い、それらの予
測結果の組合せによりヨーレートの増大、減少付与制
御、無制御もしくは自動危険回避制御の場合分けをした
ものであったが、この知覚可否予測と危険予測とは各種
の車両状態と環境状態との組合せに基づいてまとめて行
うことができ、知覚可否予測と危険予測と危険回避予測
も各種の車両状態と環境状態との組合せに基づいてまと
めて行うことができる。
【0112】下記の表3〜10は各種の車両状態および環
境状態に基づいて上記各予測をまとめて行い、ヨーレー
ト付与制御の場合分けを決定した例を示すものである。
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】
【表10】
【0121】上記表3〜10中において、減少はヨーレー
ト減少制御、増大はヨーレート増大制御を、無は無制御
を示す。また、4WS(同相→中立)、4WD→FW
D、4WD→RWDはそれぞれ4WS、4WDがフェー
ルすることにより後輪を中立位置に保持した2輪操舵、
前輪駆動および後輪駆動に移行することを示す。また、
上記表3〜10中の急操舵か緩操舵かの判断は運転者の運
転特性例えば知覚しきい値、操作反応時間等に基づいて
その判断基準を決定することが望ましい。急加速か緩加
速あるいは急減速か緩減速の判断についても同様であ
る。また、上記表3〜10中においては操舵を急操舵と緩
操舵とに分けているが(これは危険性有り無し又は危険
性大小の判断に相当する)、この操舵を緩操舵、中操
舵、急操舵の3ランクに分け(これは危険性無し、危険
性小、危険性大の判断もしくは危険性の大中小の判断に
相当する)、それによってヨーレート制御の場合分けを
行うことができる。なお、上記表3〜10中のヨーレート
が「ふらつき」となっておりかつ制御が「増大」となっ
ている個所の制御は、別途に危険性を判断し、その危険
性が小である場合は「減少」制御を行っても良い。
【0122】次に、上記表3〜10中の一部の判断の具体
例について、図25,26,27に従い説明する。図25はコー
ス、路面状態および外乱判断の一部を示すものであり、
図26は直線、高μ、外乱無し、中高速の場合の場合分け
を示すものであり、図27は直線、高μ、横風あり、高速
であって操舵された場合の場合分けを示すものである。
【0123】即ち、図25において、S1で知覚しきい値
Δrを設定し、S2でハンドル角δHを入力し、S3で
|δH|か所定値δH0 以上か否か(コースがカーブか
直線か)を判断し、カーブのときはカーブを前提とする
場合分け(図示省略)を行い、直線の場合はS4で路面
μを検出し、S5で高μか否かを判断し、低μであれば
低μを前提とする場合分け(図示省略)を行い、高μの
ときはS6で横風Vwを検出し、S7で|Vw|が所定
値Vw1 以上か否かを判断し、以上の場合即ち横風有り
のときは後述する図27のS21に進み、横風が無い場合は
S8で各種のフェールを検出し、S9でいずれかのフェ
ールがあると判断されたときはフェールを前提とする場
合分け(図示省略)を行い、いずれのフェールも無いと
きはS10で障害物を検出し、S11で障害物が有ると判断
されたときは障害物を前提とする場合分け(図示省略)
を行い、障害物が無いときは図26のS12に進む。
【0124】S12ではハンドル角δH、ハンドル角速度
dδH、速度V、加速度axを入力し、S13でaxが所
定値ax1 以上か否かつまり加速中か否かを判断し、加
速中であればS17に進み、加速中でなければS14でax
が所定値ax2 以下か否かつまり減速中か否かを判断
し、減速中のときはS16へ、そうでないときつまり速度
略一定のときはS15に進む。
【0125】S15,16,17では加速、減速、一定のそれ
ぞれの場合における急操舵か緩操舵かの判断しきい値で
あるdδH1 を決定する。各dδH1 は加速、減速、一
定のそれぞれの場合に対して与えられた異なるΔrとd
δH1 との関係を示す線図に従って決定する。各線図に
おいては車速Vに応じて複数の線が与えられている。即
ち、加速、減速、一定のそれぞれの場合毎に運転者の知
覚しきい値Δrと車速Vとに基づいて判断しきい値dδ
1 が決定される。なお、各線図は運転者の運転特性の
うち操作特性(操作ゲイン、操作反応時間)に応じて複
数用意しておき、操作特性も考慮してdδH1 を決定す
ることもできる。
【0126】上記の如くしてdδH1 を決定したら、S
18でそのdδH1 に基づいて急操舵か緩操舵かを判断
し、緩操舵の場合はS19でヨーレートの減少付与制御を
行い、急操舵の場合はS20でヨーレートの増大付与制御
を行い、いずれの場合もその後S2に戻る。なお、S18
におけるsign(r) はヨーの方向を示す。
【0127】上記図25のS7で横風ありと判断されたと
きは、図27のS21に進み、そこでタイマTを0にセット
し、S22でδH、dδH、V、rを入力し、S23で用意
された線図に従って上記と同様に車速Vと知覚しきい値
Δrとに基づいてdδH1 を決定し、S24でそのdδH
1 を用いて急操舵か緩操舵かを判断し、緩操舵の場合は
S25で無制御とし、急操舵の場合はS26で増大付与制御
を行い、いずれの場合もS27でタイマをカウントし、S
28で3秒経過していなければS22に戻り、3秒経過した
ら図25のS2に戻る。
【0128】<運転感覚制御装置3>図28は本発明にか
かる第3の運転感覚制御装置の一実施例を示すブロック
図である。図示の装置は、車両の挙動危険性を判断する
危険判断手段110 と、車両の挙動変化率が人間の上記車
両挙動の変化に対する知覚が視覚優先から体感優先に変
わる優先境界変化率よりも大であるか小であるかを判断
する挙動変化率大小判断手段112 と、運転者に上記車両
の挙動に対する感覚を付与する挙動感覚付与手段6と、
上記危険判断手段110 と挙動変化率大小判断手段112 と
の出力に基づいて運転者に対して上記挙動感覚を増大も
しくは減少付与させるように上記挙動感覚付与手段6を
制御する制御手段8とを備えて成る。
【0129】上記危険判断は、車両の現在のもしくは将
来の挙動危険性を判断するものであり、その方法として
は種々の態様を採用することができ、例えば上記第1、
第2の運転感覚制御装置における危険性予測と同様の方
法で危険性が大であるか小であるかを判断しても良い。
なお、ここにおける危険性が大であるか小であるかの判
断は、危険性が有るか無いかの判断という意味に解釈す
ることも可能である。
【0130】上記挙動変化率大小判断に用いられる優先
境界変化率としては人間標準のものでも運転者個人のも
のでも良く、例えば9〜25 deg/sec2 の範囲の中から適
当な値を選定して用いることも可能である。
【0131】上記挙動感覚付与手段6については、第
1、第2運転感覚制御装置の場合と同様のものを使用す
ることができる。
【0132】上記制御手段8は、上記車両の挙動危険性
が大でありかつ挙動変化率が上記優先境界変化率よりも
小であると判断されたときは運転者に対して上記挙動感
覚を増大付与させるように、上記車両の挙動危険性が小
でありかつ挙動変化率が上記優先境界変化率よりも大で
あると判断されたときは運転者に対して上記挙動感覚を
減少付与させるように上記挙動感覚付与手段を制御す
る。
【0133】次に、この制御の具体例について図29,30
のフローチャートを参照しながら説明する。図29はヨー
レート増大付与制御を行う場合のものであり、まずR1
で優先境界変化率である優先境界ヨー角加速度dr0
読み込み、R2でハンドル角δHを読み込み、R3でδ
Hが所定値δH0 より大か否かを判断する。この判断は
δH0 を適当に適定して中程度以上の旋回走行であるか
否かを判断するものであり、この判断は危険性の判断に
相当し、中程度以上の旋回走行であれば危険性大、中程
度以上の旋回走行でないつまり小程度の旋回走行もしく
は直線走行は危険性小と判断するものである。
【0134】R3においてδHがδH0 以下であればR
2に戻り、δH0 より大であれば危険性大ということで
R4に進み、そこでヨーレートrを読み込んで、R5で
ヨー角加速度drを算出し、R6でdrがdr0 より小
か否かを判断し、小のとき即ちヨー角加速度が小さく視
覚優先領域のときはオーバステア傾向にすべく、即ちヨ
ーレート増大付与制御を行うべくR7で後輪のロール剛
性配分比KRrを増加させる。なお、このKRrを大きくす
る補正は、R7中に図示する様にdr0 とdrとの差分
に応じて行われる。αは係数であり、これは非線形であ
っても良い。R7でオーバステアにした後、R8でδH
を読み込み、R9でδHの符号が同じか否か、つまり一
連の同一のコーナリング中か否かを判断し、同じ(一連
同一のコーナリング中)のときはR4に戻り、コーナリ
ングが終ればR10に進み、オーバステア傾向を解除すべ
く後輪のロール剛性配分比を初期状態KRr0 に戻す。
【0135】また、R6でdrがdr0 以上即ちヨー角
加速度が大きく体感優先領域のときはR11に進み、R10
と同様に後輪のロール剛性配分比を初期状態KRr0 に戻
し、続いてR12でδHを読み込み、R13でR9と同様に
一連同一のコーナリング中かを判断し、一連同一のコー
ナリング中はR12に戻り、コーナリングが終ればR2に
戻る。上記R11〜R13は、結局同一コーナリングにおい
てロール剛性配分比を変えるオーバステア傾向とし、d
rがdr0 より大となって一旦運転者がヨーレート変化
を知覚したら(ヨー角加速度drがdr0 より大の体感
優先領域になったということは運転者は知覚できたもの
と判断することができる)、オーバステア傾向を解除
し、以後は同一コーナリング中はオーバステア傾向を行
わないということである。
【0136】図30はヨーレート減少付与制御を行う場合
のものであり、まずR20で優先境界ヨー角加速度dr0
を読み込み、R21でハンドル角δHを読み込み、R22で
δHが所定値δH0 以下か否かを判断する。この判断は
前述のR3における判断と同様の危険性判断である。
【0137】R22においてδHがδH0 より大であれば
R21に戻り、δH0 以下であれば危険性小ということで
R23に進み、そこでヨーレートrを読み込んで、R24で
ヨー角加速度drを算出し、R25でdrがdr0 より大
か否かを判断し、大のとき即ちヨー角加速度が大きく体
感優先領域のときはアンダステア傾向にすべく、即ちヨ
ーレート減少付与制御を行うべくR26で前輪のロール剛
性配分比KRfを増加させる。なお、このKRfを大きくす
る補正は前述のR7と同様である。R26でアンダステア
にした後、R27でδHを読み込み、R28でδHがδH0
以下か否かつまり上記R22と同様の判断を行い、δH0
以下つまり未だ危険性小のときはR23に戻り、δH0
り大つまり危険性大となればR29に進み、アンダステア
傾向を解除すべく前輪のロール剛性配分比を初期状態K
Rf0 に戻す。
【0138】また、R25でdrがdr0 以下即ちヨー角
加速度が小さく視覚優先領域であると判断されたときは
R29に進み、上述の様に前輪のロール剛性配分比を初期
状態KRf0 に戻し、R21に戻る。
【0139】なお、上記オーバステア傾向にする制御と
アンダステア傾向にする制御はそれらを組合せて行って
も良い。また、ヨーレートはヨーレートセンサから読み
込んでも良いし、他のパラメータから推定しても良い。
危険性判断も、ハンドル角δHの大小以外によるコーナ
リング中か否かの判断あるいはそれ以外の事項によって
判断しても良い。オーバステア、アンダステア傾向の制
御もロール剛性配分比制御のみでなく、前述の種々の挙
動感覚付与手段を用い得る。また、上記dr0は予め既
知のものを外部から入力し、記憶させておいても良い
し、車自体に後述する運転特性同定アルゴリズムを搭載
し、その車を運転している間にその運転状態に基づいて
同定し、それを記憶しても良い。
【0140】<自動危険回避手段>次に、前述の自動危
険回避手段について説明する。自動危険回避手段は車両
の挙動危険を自動的に開始し得るものであればどの様な
ものでも良く、例えば前述の各種の挙動変化付与手段を
自動危険回避手段として採用し、それらによって挙動危
険を回避することができる。即ち、例えばヨーレートが
車両特性から定まる限界ヨーレートを越えることにより
スピン等の危険が生じる場合、そのヨーレートを減少さ
せる方向に上記各種の自動危険回避手段を作動させるこ
とによってスピン等の危険を回避することができる。
【0141】また、上記危険回避制御は、単純に危険を
回避し得る方向に各種の自動危険回避制御を作動させて
も良いが、より好ましい方法として、熟練者のドライバ
モデルを用いて熟練者であればどの様に反応して危険回
避操作を行うかを求め、その求めた態様で自動危険回避
を行うことができる。
【0142】上記危険回避においては、特に自動操舵
(ステアリング制御)もしくは自動減速が有効である。
【0143】まず、自動操舵による自動危険回避につい
て説明する。自動操舵による危険回避には、上述の様
に、単に危険回避方向に自動操舵する方法と熟練者のド
ライバモデルを用いて自動操舵する方法とが考えられ
る。
【0144】単に危険回避方向に自動操舵する場合は、
予測された車両挙動危険に対してその挙動危険を回避し
得る方向に、例えばヨーレートが限界ヨーレートを越え
てスピンが生じ、運転者の運転特性ではそのスピンを回
避することが不可能と予測された場合、そのスピンを回
避すべく直ちにヨーレートが減少する方向に自動操舵す
ることができる。
【0145】また、熟練者のドライバモデルを用いる場
合は、そのドライバモデルにより熟練者であればどの様
に反応して操舵するかを求め、その求めた操舵態様に従
って自動操舵することができる。以下、このドライバモ
デルを用いた自動危険回避操舵について説明する。
【0146】図31はドライバモデルを示す図である。こ
のドライバモデルは感覚系と判断系と操作系とで構成さ
れている。感覚系は体感と視覚とに分かれている。感覚
系においては図示の様にヨーレートが主として体感感覚
系に入力され、前方偏差角が視覚感覚系に入力される。
各感覚系は入力されたヨーレート、前方偏差角を前処理
し、それらの変化量がそれぞれの知覚しきい値を越えた
時点で各感覚器が知覚し、第1の遅れ時間後に感覚器が
知覚したことを脳が認知する。そして判断系ではこの能
の認知に基づいて操作の要否を判断する。この判断には
所定の時間(第2遅れ時間)を要する。そして、操作要
の判断が行われたら操作系において操作が行われる。こ
の操作も判断後所定の時間、つまり脳が指令を出した後
その指令に基づいて筋肉が動くまでの時間(第3遅れ時
間)を要する。また、図示していないがドライバモデル
の中には操作ゲインというファクタが存在し、これによ
ってどの程度の操作量が出力されるかが定まる。
【0147】以上の説明から理解される様に、上記ドラ
イバモデルは知覚しきい値と、操作反応時間(上記第
1、第2、第3遅れ時間を足し合せたもの)と、操作ゲ
インとで構成され、このドライバモデルにヨーレートと
前方偏差角とが入力されると、それらの変化量が知覚し
きい値を越えた後上記操作反応時間後に上記操舵ゲイン
に応じて所定のハンドル角操作が出力される。
【0148】なお、運転特性には感覚特性と操作特性が
含まれ、感覚特性には上記知覚しきい値と前述の優先境
界変化率とが含まれ、操作特性には上記操作反応時間と
操作ゲインとが含まれる。
【0149】従って、熟練運転者の体感および視覚の知
覚しきい値、操作反応時間、操作ゲインを入力すること
により熟練運転者のドライバモデルが設定され、そのド
ライバモデルにヨーレートと前方偏差角を入力すれば熟
練運転者はどの様に反応してどの様に操舵するかを求め
ることができる。
【0150】なお、上記ドライバモデルを用いる場合に
は前方偏差角をモデルに入力する必要がある。この前方
偏差角については前述したが、これを図32に従って説明
すると、車両120 の旋回走行中において、車両の進行方
向128 と目標コース124 上における運転者の前方注視点
を通る方向130 とのなす角ψが前方偏差角である。
【0151】この前方偏差角ψは運転者の目の位置を画
像処理して求めたり前方の道路をカメラで撮影して目標
コースを画像処理して求めたりあるいはアイカメラを使
って眼球運動を調べることによって求めることができる
が、例えば図33に示す様に運転席に超音波の送受信部13
4 ,136 を設け、それぞれの送受信部から左右の耳に向
けて超音波を送信しそれが耳に反射して受信されるまで
の時間を計測し、その時間差に基づいて車両の進行方向
に対する頭の向きを算出し、それを前方偏差角として求
めることができる。
【0152】図34は上記熟練者のドライバモデルを用い
た自動危険回避操舵手段の一例を示すものである。図示
の手段では、まず運転者個人の運転特性が記憶部140 か
ら自動危険回避制御実行判断部142 に入力され、この実
行判断部は図示しない前述の車両状態や環境状態が入力
され、それらと上記運転特性とに基づいて前述の知覚可
否と危険回避操作可否とを前述の方法で予測判断し、知
覚可でありかつ危険回避操作不可と予測されたら信号切
り換え制御部148 にその旨出力する。一方ドライバモデ
ルによる操舵角演算部144 には上述の熟練運転者のドラ
イバモデルが格納されており、前述の車両状態や環境状
態、特にヨーレート、前方偏差角、車速、ハンドル角等
が入力され、それらに基づいて熟練運転者のドライバモ
デルにより操舵角を演算し、その演算された操舵角がハ
ンドル角センサ146 からの現在のハンドル角と共に上記
信号切り換え制御部148 に入力され、この制御部148 は
上記判断部142 からの出力に基づき信号切り換えを行
う、つまり知覚可でありかつ危険回避操作不可のときは
上記熟練運転者のドライバモデルにより演算された操舵
角を出力する様に、そうでないときはハンドル角センサ
146 からの現在のハンドル角を出力する様に切り換え、
この切り換え制御部148 から出力されたハンドル角に基
づいて前輪舵角制御部150 が前輪舵角を制御する。
【0153】なお、この場合は、ハンドル角を検出しそ
のハンドル角に従ってモータ等を動かして前輪を操舵す
るいわゆるステアバイワイヤ式の前輪操舵装置(ハンド
ルと前輪とは機械的につながっていない)を用いること
が必要である。また、熟練運転者ドライバモデルの操作
ゲインは車速に依存するので、その操作ゲインを決定す
るために上記演算部144 に車速を入力する。
【0154】次に、自動減速による自動危険回避の実施
例について説明する。この実施例は熟練運転者のドライ
バモデルを用いないものであり、上述の方法で挙動変化
を知覚可かつ危険回避操作不可と予測されたら、EGI
制御部にフューエルカット信号を送って自動減速させ
る。この時、既に車両がスピン状態に入っている場合に
は、4輪のブレーキを独立に制御してヨーレートを小さ
くするように左右のブレーキ力を制御し、安全に減速で
きるようにする。
【0155】<知覚しきい値の補正>上記知覚しきい値
は、一旦入力された値を固定的に使用するのではなく、
環境状態や車両状態あるいは運転者の心理状態に応じて
補正することが望ましい。例えば危険度が高い場合つま
り滑りやすい等により限界ヨーレートが低い場合には知
覚しきい値を低く補正し、それによってより早いタイミ
ングでヨーレート増大付与制御を行って運転者にヨーレ
ート変化を知覚させ、早く対処し得るようにすることが
望ましく、危険度が低い場合は知覚しきい値を大きく
し、早くから機械により不必要に車両へ干渉するのを防
止することが望ましい。
【0156】この補正の一例を図35に従って説明する。
まず、P20でワイパの払拭時間が2秒より大か否かを判
断し、2秒より大のときはP21で雨量係数を0とし、2
秒以下のときはP22で雨量係数を1とし、P23で車速が
50Km/hより小か否かを判断し、50Km/hより小のときはP
24で車速係数を0とし、50Km/h以上のときはP25で車速
係数を1とし、P26で両係数を掛け合せたものが1か否
かを判断し、1のときは滑りやすいということでP27で
知覚しきい値Δrを3 deg/secとし、0のときは滑りや
すくないということでP28で知覚しきい値Δrを10 deg
/secとする。
【0157】なお、この知覚しきい値Δrの補正は例え
ば上記すべり易さ等の危険度に応じて本来設定されてい
るΔrに適当な係数、例えば0.8 とか1.2 を乗じて補正
するようにしても良い。また、補正はさらにきめ細かく
行っても良い。この知覚しきい値の補正は、視覚による
知覚しきい値の補正にも適用できる。また、この知覚し
きい値の補正は上記知覚可否予測等のみでなく、図26,
27のdδH1 を決定するステップS15、S16、S17、S
23においては勿論のこと、他のこの知覚しきい値を用い
る種々の場合において有意義である。
【0158】この知覚しきい値の補正は、上記雨量や車
速のみでなく、路面状態例えば路面μ、悪路、坂道や、
重心位置例えば積載重量、乗員数、乗車位置や、横風
や、タイヤ空気圧例えば圧力低下、パンクや、4WS、
4WDのフェイルや、ブレーキの片効や、逆カント等に
応じて補正することも有効である。また、車両の危険性
に基づいて補正する、例えば車両が限界状態もしくはそ
の近くにあるときは、知覚しきい値を小さくする補正を
行うことができる。さらに、運転者の心理状態に基づく
補正、例えばパニック状態の場合は知覚しきい値を小さ
くする補正も有効である。パニック状態か否かは例えば
ハンドルに設けたセンサによって検出した運転者の皮膚
電位等によって判断することができる。
【0159】<<人間運転特性同定方法>>次に、運転
特性の同定方法について説明する。この同定方法にはド
ライビングシミュレータを用いる方法と実車を用いる方
法とがある。
【0160】<ドライビングシミュレータを用いる方法
>まず、ドライビングシミュレータを用いる方法につい
て説明する。図36に示す様に、使用するドライビングシ
ミュレータ160 は、運転席162 と該運転席前方に位置す
るスクリーン166 とを備えヨー方向を含む種々の方向に
両者を一体的に挙動制御可能なキャビン部と、上記スク
リーン166 上に画像を写し出す画像生成部164 と、運転
者の操作するボタン168 とを有している。
【0161】上記ドライビングシミュレータ160 は、上
記キャビン部の挙動を制御することによって運転席に着
座した被験者にヨーレート体感を付与しかつそのヨーレ
ートを変化可能であり、また上記スクリーン166 上に道
路情報等の外界視覚情報を写し出すことにより運転者に
外界視覚情報を付与可能であり、かつその外界情報を車
両走行中にヨーレート変化した場合と同様の態様で変化
可能である。
【0162】上記ドライビングシミュレータ160 によ
り、キャビン部を挙動制御することにより一定のヨーレ
ートr0 を発生させ、ある時点で一定のヨー角加速度d
rでヨーレートを変化させ、被験者がそのヨーレート変
化を知覚し反応した時に上記ボタン168 を押させ、変化
を始めてからボタンを押すまでの全反応時間t′を計測
する。なお、このとき画像によるヨーレート変化情報は
付与しない。そして、そのボタンを押したときのヨーレ
ートをr′、体感によるヨーレートの知覚しきい値をΔ
r、操作反応時間をTとすると、以下の関係式が成立す
る(r0 、r′、Δr、t′、Tについては図1参
照)。
【0163】 (r′−r0 −Δr)(t′−T)=Δr・T そして、この関係を上記ヨー角加速度drの逆数と全反
応時間t′との関係で表わせば図37のようになる。即
ち、種々のヨー角加速度の下で上記全反応時間t′を求
め、それらを横軸を1/dr、縦軸をt′としてプロッ
トし、各プロットに対して回帰直線を当てはめれば、そ
の回帰直線の傾きが知覚しきい値Δrとなり、回帰直線
の縦軸切片が操作反応時間Tとなるので、そこからΔr
およびTを求めることができる。
【0164】また、前方偏差角に対しては、上記ドライ
ビングシミュレータ160 により、上記スクリーン166 上
に道路を写し出し、その道路画像をある時点で一定のヨ
ー角加速度drで車両ヨーレートを変化させた場合と同
様に変化させ、被験者がその画像変化(スクリーン166
上の道路の絵の変化)からそのヨーレート変化を知覚し
反応した時に上記ボタン168 を押させ、画像変化を始め
てからボタンを押すまでの全反応時間t′を計測する。
なお、このとき運転席による体感に対するヨーレート変
化は与えない。そして、そのボタンを押したときのヨー
レートをr′、視覚によるヨーレートの知覚しきい値を
Δψ、操作反応時間をTとすると、以下の関係式が成立
する。
【0165】 (r′−r0 )(t′−T)2 =2Δψ・t′ そして、この関係を上記(dr)1/2 の逆数と全反応時
間t′との関係で表わせば図38のようになる。即ち、種
々のヨー角加速度に従った画像変化の下で上記全反応時
間t′を求め、それらを横軸を1/(dr)1/2 、縦軸
をt′としてプロットし、各プロットに対して回帰直線
を当てはめれば、その回帰直線の傾きが2(Δψ)1/2
となり、回帰直線の縦軸切片が操作反応時間Tとなるの
で、そこからΔψおよびTを求めることができる。
【0166】体感と視覚とによる知覚しきい値と操作反
応時間とは、上記ドライビングシミュレータ160 により
上記キャビン(運転席)駆動による体感に対するヨーレ
ート変化と上記スクリーン166 上の画像変化による視覚
に対するヨーレート変化とを同時に被験者に付与し、上
記体感の場合と同様の方法で求めることができる。
【0167】また、上記優先境界ヨー角加速度の場合
は、上記体感に対するヨーレート変化のみを付与した場
合の種々のヨー角加速度の下での全反応時間のデータと
上記視覚に対するヨーレート変化(画像情報変化)のみ
を付与した場合の種々のヨー角加速度の下での全反応時
間のデータとから図1に示す様な特性線図を作成し、体
感の特性線と視覚の特性線とが交わる点を通るヨー角加
速度(ヨー角加速度線)を優先境界ヨー角加速度として
求めることができる。
【0168】<実車を用いる方法>次に、実車を用いる
方法について説明する。実際の車両を用いる場合は、車
両を被験者により種々のヨー角加速度の下にヨーレート
変化が生じる様に一定時間運転させ、そのヨーレート変
化が生じてから被験者がその変化に反応する例えば変化
に反応して操舵するまでの全反応時間を計測し、各ヨー
角加速度の下でのそのヨー角加速度と全反応時間とに基
づいてヨーレートに対する知覚しきい値と操作反応時間
とを求める。
【0169】また、実車を用いる場合は、被験者は体感
と視覚の双方でヨーレート変化を感じており、従って得
られたデータはどちらで知覚したものであるかを区別し
ないと体感と視覚の知覚しきい値および操作反応時間を
区別して求めることができない。そこで、前述の様に、
ヨー角加速度が優先境界ヨー角加速度dr0 より小のと
きは視覚の方向が早く、dr0 より大のときは体感の方
が早くヨーレート変化を感じるものであることに注目
し、ヨー角加速度がdr0 より小のときは視覚によりヨ
ーレート変化を知覚し反応しており、dr0 より大のと
きは体感により知覚し反応していると考えられ、よって
ヨー角加速度がdr0 より小のときの種々のヨー角加速
度の下でのそのヨー角加速度と全反応時間とから視覚に
よる知覚しきい値Δψと操作反応時間Tを求め、ヨー角
加速度がdr0 より大のときの種々のヨー角加速度の下
でのそのヨー角加速度と全反応時間とから体感による知
覚しきい値Δrと操作反応時間Tを求める。
【0170】上記ヨー角加速度と全反応時間とから知覚
しきい値と操作反応時間とを求めるにあたっては、上述
のドライビングシミュレータを用いる場合と同様の方法
を用いることができる。
【0171】なお、視覚に関しては、上記全反応時間
t′と、操作反応時間Tと、ヨー角加速度drと、知覚
しきい値(前方偏差角変化知覚しきい値)Δψとの間に
は、下式の関係がある。
【0172】t′=(2Δψ/dr)1/2 +T また、体感に関しては、上記全反応時間t′と、操作反
応時間Tと、ヨー角加速度drと、知覚しきい値(ヨー
レート変化知覚しきい値)Δrとの間には、下式の関係
がある。
【0173】t′=Δr/dr+T これらの式に基づけば、上記ドライビングシミュレータ
の場合に用いた方法で知覚しきい値と操作反応時間を求
めることが可能であることが理解できる。なお、前述の
ドライビングシミュレータの場合に用いた方法も、結局
はこれらの式に基づくものである。
【0174】次に、上記実車を用いた場合の体感による
知覚しきい値Δrと操作反応時間Tとを求める装置およ
び方法の具体例について説明する。
【0175】図39は装置の具体例を示すブロック図であ
り、ハンドル角センサ170 、ヨーレートセンサ172 、両
センサからの出力を微分する微分器174 、両微分器174
からの出力の所定値に対する大小を比較する比較器176
、両比較器からの出力に基づいて作動せしめられるタ
イマ178 、タイマ178 からの出力とヨーレートの微分器
174 からの出力とに基づいて知覚しきい値Δrと操作反
応時間Tとを求める演算部180 とで構成されている。
【0176】上記装置により上記Δr、Tを求める方法
を図40のフローチャートに従って説明する。まず、P1
でヨーレートの微分値(ヨー角加速度)drを入力し、
P2でdrが所定値dr1 (この所定値dr1 としては
上記優先境界ヨー角加速度d0 例えば25 deg/sec2 を用
いる)より大か否かを判断する。この判断は、ヨーレー
トが変化し始めたか否かとそのときのヨー角加速度は体
感優先領域にあるか否かを判断するものである。dr1
以下のときはP1に戻り、dr1 より大のときつまり変
化し始めかつその際のヨー角加速度は大であって体感優
先領域にあると判断されたときは、P3に進んでタイマ
をスタートさせ、P4でタイマをカウントし、P5でハ
ンドル角の微分値(ハンドル角速度)dδHを入力し、
P6でdδHが所定値dδH1 より大か否か、即ちハン
ドルが操作されたか否かを判断し、dδH1 以下であれ
ばP4に戻ってタイマカウントを続け、dδH1 より大
となったら上記ヨーレート変化を知覚しそれに基づいて
ハンドル操作したと判断してP7に進み、そのときのタ
イマカウントTを全反応時間t′として保存すると共に
そのときのヨー角加速度drを保存し、P8で当初設定
した計測時間例えば30分が終了したか否かを判断し、終
了していなければP1に戻り、終了すればP9に進み、
そこで上記保存した多数のdrとt′とから最小自乗法
を用いてΔr、Tを求める。
【0177】次に、上記実車を用いた場合の視覚による
知覚しきい値Δψと操作反応時間Tとを求める装置およ
び方法の具体例について説明する。
【0178】図41は装置の具体例を示すブロック図であ
り、ハンドル角センサ170 、ヨーレートセンサ172 、前
方偏差角センサ182 、各センサからの出力を微分する微
分器174 、各微分器174 からの出力の所定値に対する大
小を比較する比較器176 、前方偏差角の比較器176 とヨ
ーレートの比較器176 とからの出力が入力されるアンド
回路184 、このアンド回路184 の出力とハンドル角の比
較器176 からの出力に基づいて作動せしめられるタイマ
178 、タイマ178 からの出力とヨーレートの微分器174
からの出力とに基づいて知覚しきい値Δψと操作反応時
間Tとを求める演算部180 とで構成されている。
【0179】上記装置により上記Δψ、Tを求める方法
を図42のフローチャートに従って説明する。まず、P10
で前方偏差角の微分値(前方偏差角速度)dψとヨーレ
ートの微分値(ヨー角加速度)drとを入力し、P11で
drが所定値dr1 (この所定値dr1 としては上記優
先境界ヨー角加速度d0 、例えば25 deg/sec2 を用い
る)より小かつdψが所定値dψ1 より大であるか否か
を判断する。この判断は、ヨー角加速度は視覚優先領域
にありかつ前方偏差角が変化し始めたか否かを判断する
ものである。NOのときはP1に戻り、YESつまりd
rがdr1 より小かつdψがdψ1 より大のとき即ち前
方偏差角が変化し始めかつヨー角加速度は小であって視
覚優先領域にあると判断されたときは、P12に進んでタ
イマをスタートさせ、P13でタイマをカウントし、P14
でハンドル角の微分値(ハンドル角速度)dδHを入力
し、P15でdδHが所定値dδH1 より大か否か、即ち
ハンドルが操作されたか否かを判断し、dδH1 以下で
あればP13に戻ってタイマカウントを続け、dδH1
り大となったら上記前方偏差角変化を知覚しそれに基づ
いてハンドル操作したと判断してP16に進み、そのとき
のタイマカウントTを全反応時間t′として保存すると
共にそのときのヨー角加速度drを保存し、P17で当初
設定した計測時間例えば30分が終了したか否かを判断
し、終了していなければP10に戻り、終了すればP18に
進み、そこで上記保存した多数のdrとt′とから最小
自乗法を用いてΔψ、Tを求める。
【0180】<<本発明の運転感覚制御と並用し得る挙
動教示制御>>上述の本発明にかかる運転感覚制御は種
々の挙動教示制御と並用して行うことができる。即ち、
車両の挙動状態は音により、あるいはステアリング反力
により、あるいはサスペンション振動により運転者に教
示することができ、この様な方法で教示することにより
以下に説明するような種々の利点が得られる。
【0181】体感と視覚とによる知覚しきい値と操作反
応時間とは、上記ヨー角加速度の大小による区分をする
ことなく全てのヨー角加速度の下でのそのヨー角加速度
と全反応時間とに基づいて上記ヨー角加速度が大きい場
合(体感の場合)と同様の方法で求めることができる。
【0182】また、上記優先境界ヨー角加速度の場合
は、上記ヨー角加速度が大きい場合の種々のヨー角加速
度の下での全反応時間のデータと上記ヨー角加速度が小
さい場合の種々のヨー角加速度の下での全反応時間のデ
ータとから図1に示す様な特性線図を作成し、ヨー角加
速度が大きい(体感)場合の特性線とヨー角加速度が小
さい(視覚)場合の特性線とが交わる点を通るヨー角加
速度(ヨー角加速度線)を優先境界ヨー角加速度として
求めることができる。
【0183】<音による教示制御>オーバステア・アン
ダステア等の車両の挙動状態をその挙動状態に応じて音
圧、音色、高さ、音量等を変えた合成音により運転者に
教示する。これにより、運転者は今まで体感や視覚でし
か得ることのできなかったオーバステアやアンダステア
等の車両の挙動を聴覚で得ることができ、例えば前述の
知覚しきい値以下の挙動をも運転者に教示することがで
き、旋回時の限界にどれだけ近づいているかを認識する
1指標とすることができ、安全運転を促進することがで
きる。
【0184】図43は音による教示装置の一例を示すブロ
ック図である。この装置は、ハンドル角センサ200 と車
速センサ202 とヨーレートセンサ204 と、ハンドル角と
車速とから現在のヨーレートを推定するヨーレート推定
手段206 と、ヨーレートセンサ204 からの実ヨーレート
と上記推定手段206 からの推定ヨーレートとからスリッ
プ判断、つまりオーバステアかアンダステアかニュート
ラルステアかを判断するスリップ判断手段208 と、この
スリップ判断手段による判断結果に基づいて合成音信号
を生成するシンセサイザ・アンプ210 と、この合成音信
号に基づいて音を発するスピーカ212 とから成る。
【0185】上記装置による制御について、図44のフロ
ーチャートを参照しながら説明する。まず、T1で実ヨ
ーレートrを検出し、T2でハンドル角δHを検出し、
T3で車速Vを検出し、T4でハンドル角δHと車速V
とから推定ヨーレートr′を算出し、T5で上記実ヨー
レートrと推定ヨーレートr′との差分ヨーレートΔr
(図44においてはΔrを知覚しきい値ではなく差分ヨー
レートを示すものとして使用する。図46においても同
じ)を算出する。
【0186】上記差分ヨーレートΔrが正のときはオー
バステアに、負のときはアンダステアに、0のときはニ
ュートラルステアになっている。そして、T6でΔrが
正か否かつまりオーバステアかアンダステア(ニュート
ラルステアを含む)かを判断し、オーバステアのときは
T7でオーバステアを感じさせるにふさわしいサンプル
波形Iを、アンダステアのときはT8でアンダステアを
感じさせるにふさわしいサンプル波形IIを読み出し、T
9で読み出した波形についてr、|Δr|により音圧、
高さ、音量を調整して合成音信号を生成し、T10でその
信号をスピーカに出力する。
【0187】<ステアリング反力による教示制御>オー
バステア、アンダステア等の車両の挙動状態をその挙動
状態に応じてステアリング反力の大きさを制御すること
によりそのステアリング反力の大きさにより運転者に教
示する。例えばヨーレートが大(オーバステア)である
ときはステアリング反力を大きくすることにより、運転
者はそのステアリング反力大によりオーバステアである
ことを知ることができると共にステアリング反力大によ
りさらにヨーレートが増大する方向に切り増し操舵され
るのを防止でき、安全運転の促進が可能となる。
【0188】図45はステアリング反力による教示装置の
一例を示すブロック図である。この装置は、ハンドル角
センサ200 と車速センサ202 とヨーレートセンサ204
と、ハンドル角と車速とから現在のヨーレートを推定す
るヨーレート推定手段206 と、ヨーレートセンサ204 か
らの実ヨーレートと上記推定手段206 からの推定ヨーレ
ートからスリップ判断、つまりオーバステアかアンダス
テアかニュートラルステアかを判断するスリップ判断手
段208 と、このスリップ判断手段による判断結果に基づ
いてパワーステアリング216 の制御を行うパワステ制御
手段214 とから成る。なお、パワステ制御手段214 には
本来のパワステ制御を行うためハンドル角センサ200 か
らの出力も入力される。
【0189】上記装置による制御について、図46のフロ
ーチャートを参照しながら説明する。まず、T11で実ヨ
ーレートrを検出し、T12でハンドル角δHを検出し、
T13で車速Vを検出し、T14でハンドル角δHと車速V
とから推定ヨーレートr′を算出し、T15で上記実ヨー
レートrと推定ヨーレートr′との差分ヨーレートΔr
を算出する。上記差分ヨーレートΔrが正のときはオー
バステアに、負のときはアンダステアに、0のときはニ
ュートラルステアになっている。そして、T16でΔrが
正か否かつまりオーバステアか否かを判断し、アンダス
テアもしくはニュートラルステアのときはT11に戻り、
オーバステアのときはT17でδH、Δrにより油圧調整
判断を行い、その判断結果に基づいてT18でパワステ制
御を行う。
【0190】上記油圧調整制御においては、Δrからス
ピン限界に近づき、かつδHからさらに切り込もうとし
ていると判断したときはステアリングが重くなるように
制御し、また逆方向にステアリングを回そうとしている
と判断したときはパワステ油圧を適正状態に復活させ、
通常に戻す制御を行う。
【0191】<サスペンション振動による教示制御>サ
スペンション振動によっても車両の挙動状態を教示する
ことができる。例えば車両の挙動がある危険状態となっ
たときにサスペンションを振動させてその旨を運転者に
教示すれば、運転者はそのサスペンション振動により危
険状態にあることを知り、危険回避操作が促され、安全
運転の促進が可能となる。また、この場合運転者のドラ
イバモデルを用意しておき、車両の状態や環境状態等か
ら車両の挙動変化を予測し、ドライバモデルによって運
転者がその挙動変化による危険を回避可能か否かを判断
し、不可能と判断されればサスペンションを振動させて
運転者に早めに教示警告するように構成することができ
る。
【0192】図47に上記ドライバモデルを用いた場合の
サスペンション振動教示の制御例を示す。即ち、まずT
20で運転者個人のドライバモデルを同定し、車両に保存
する。この同定は、前述のドライビングシミュレータ等
であらかじめ同定したものを入力することによって行っ
ても良いし、前述の実車による方法に基づき車を運転し
ながら同定しても良い。次に、T21でドライバ制御量即
アクセル、ブレーキ踏み込み量、操舵角等を検出し、T
22で車両状態量即ち車速、加速度、ヨーレート等を計測
する。そして、T23において、同定されているドライバ
モデルを用いて上記検出したドライバ制御量および車両
状態量においてのドライバの車両制御能力を求め、T24
で車両の状態量とドライバ能力とを比較し(aは余裕度
を示す)、車両状態がドライバ能力を越えているもしく
は能力の限界に近づいているときはT25でアクティブサ
スペンションを用いて車両に高周波振動を与え、ドライ
バに危険な状態であることを警告し、ドライバ能力が勝
っているときはT26でアクティブサスペンションの振動
を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人間のヨーレートに対する知覚・反応特性を示
す図
【図2】本発明に係る第1の運転感覚制御装置の一実施
例を示すブロック図
【図3】図2に示す実施例の制御手順を示すフローチャ
ート
【図4】本発明に係る第2の運転感覚制御装置の一実施
例を示すブロック図
【図5および図6】図4に示す実施例の制御手順を示す
フローチャート
【図7および図8】それぞれ挙動感覚増大付与制御の一
例を示すタイムチャート
【図9〜図17】それぞれ挙動感覚付与手段の一例を示
す図
【図18および図19】それぞれ運転席を動かして挙動
感覚を疑似的に付与する手段を示す図
【図20〜図23】運転席のシートバックを動かして挙
動感覚を疑似的に付与する手段を示す図
【図24】視覚により疑似的に挙動感覚付与を行なう手
段を示す図
【図25〜図27】各種の車両状態および環境状態によ
り挙動感覚付与制御の場合分けを行う例を示すフローチ
ャート
【図28】本発明に係る第3の運転感覚制御装置の一実
施例を示すブロック図
【図29および図30】それぞれ図28に示す実施例の制
御手順を示すフローチャート
【図31】ドライバモデルを示す図
【図32】前方偏差角を示す図
【図33】前方偏差角の測定方法を示す図
【図34】自動危険回避手段を示すブロック図
【図35】知覚しきい値の補正を示すフローチャート
【図36】ドライビングシミュレータを示す斜視図
【図37】体感による知覚しきい値と操作反応時間とを
同定する方法を示す図
【図38】視覚による知覚しきい値と操作反応時間とを
同定する方法を示す図
【図39】実車を用いた場合の体感による知覚しきい値
と操作反応時間とを同定する装置を示すブロック図
【図40】図39に示す装置の作動手順を示すフローチャ
ート
【図41】実車を用いた場合の視覚による知覚しきい値
と操作反応時間とを同定する装置を示すブロック図
【図42】図41に示す装置の作動手順を示すフローチャ
ート
【図43】合成音による車両挙動教示装置を示すブロッ
ク図
【図44】図43に示す装置の作動手順を示すフローチャ
ート
【図45】ステアリング反力による車両挙動教示装置を
示すブロック図
【図46】図45に示す装置の作動手順を示すフローチャ
ート
【図47】アクティブサスペンション振動による車両挙
動教示装置の作動手順を示すブロック図
【符号の説明】
2 知覚可否予測手段 4 危険予測手段 6 挙動感覚付与手段 8 制御手段 18 危険回避可否予測手段 20 自動危険回避手段 110 危険判断手段 112 挙動変化率大小判断手段 160 ドライビングシミュレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末冨 隆雅 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 阿部 智行 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 石橋 基範 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 石田 健二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 木戸 孝二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定時間後に運転者が車両の挙動変化を
    知覚可能か否かを予測する知覚可否予測手段と、将来の
    車両の挙動危険性を予測する危険予測手段と、運転者に
    上記車両の挙動に対する感覚を付与する挙動感覚付与手
    段と、上記知覚可否予測手段と危険予測手段との出力に
    基づいて上記挙動感覚付与手段を制御して運転者に対し
    て上記挙動感覚を増大付与もしくは減少付与させる制御
    手段とを備えて成ることを特徴とする運転感覚制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚可能でありかつ上記車両の挙動危険性が有
    ると予測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚を
    増大付与するように上記感覚付与手段を制御するもので
    あることを特徴とするとする請求項1記載の運転感覚制
    御装置。
  3. 【請求項3】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚可能でありかつ上記車両の挙動危険性が無
    いと予測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚を
    減少付与するように上記感覚付与手段を制御するもので
    あることを特徴とするとする請求項1記載の運転感覚制
    御装置。
  4. 【請求項4】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚不可能でありかつ上記車両の挙動危険性が
    有ると予測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚
    を増大付与するように上記感覚付与手段を制御するもの
    であることを特徴とするとする請求項1記載の運転感覚
    制御装置。
  5. 【請求項5】 所定時間後に運転者が車両の挙動変化を
    知覚可能か否かを予測する知覚可否予測手段と、運転者
    が将来における車両の挙動危険を回避操作可能か否かを
    予測する危険回避可否予測手段と、将来の車両の挙動危
    険性を予測する危険予測手段と、運転者に上記車両の挙
    動に対する感覚を付与する挙動感覚付与手段と、上記知
    覚可否予測手段と危険回避可否予測手段と危険予測手段
    との出力に基づいて上記挙動感覚付与手段を制御して運
    転者に対して挙動感覚を増大付与もしくは減少付与させ
    る制御手段とを備えて成ることを特徴とする運転感覚制
    御装置。
  6. 【請求項6】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚可能であり、運転者が上記車両の挙動危険
    を回避操作可能であり、かつ上記車両の挙動危険性が大
    であると予測されたときに、運転者に対して上記挙動感
    覚を増大付与するように上記挙動感覚付与手段を制御す
    るものであることを特徴とする請求項5記載の運転感覚
    制御装置。
  7. 【請求項7】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚可能であり、運転者が上記車両の挙動危険
    を回避操作可能であり、かつ上記車両の挙動危険性が無
    いと予測されたときに、運転者に対して上記挙動感覚を
    減少付与するように上記挙動感覚付与手段を制御するも
    のであることを特徴とする請求項5記載の運転感覚制御
    装置。
  8. 【請求項8】 上記制御手段が、運転者が上記車両の挙
    動変化を知覚可能でありかつ運転者が上記車両の挙動危
    険を回避操作不可能であると予測されたときに、運転者
    に対して上記挙動感覚を減少付与するように上記挙動感
    覚付与手段を制御するものであることを特徴とする請求
    項5記載の運転感覚制御装置。
  9. 【請求項9】 車両の挙動危険を自動的に回避する自動
    危険回避手段を備え、上記制御手段が、運転者が上記車
    両の挙動変化を知覚可能でありかつ運転者が上記車両の
    挙動危険を回避操作不可能であると予測されたときに、
    運転者に対して上記挙動感覚を減少付与するように上記
    挙動感覚付与手段を制御すると共に上記自動危険回避手
    段を作動させる制御を行うものであることを特徴とする
    請求項5記載の運転感覚制御装置。
  10. 【請求項10】 上記車両の挙動がヨー方向の挙動であ
    ることを特徴とする請求項1〜9記載の運転感覚制御装
    置。
  11. 【請求項11】 上記知覚可否予測手段が、所定時間後
    における車両の挙動変化量が人間の車両挙動変化に対す
    る知覚しきい値以上であるか否かにより知覚可能か否か
    を予測するものであることを特徴とする請求項1〜9記
    載の運転感覚制御装置。
  12. 【請求項12】 上記知覚しきい値が、車両の状態もし
    くは走行環境状態に応じて補正されるものであることを
    特徴とする請求項11記載の運転感覚制御装置。
  13. 【請求項13】 上記知覚しきい値が人間の標準知覚し
    きい値であることを特徴とする請求項11記載の運転感
    覚制御装置。
  14. 【請求項14】 上記知覚しきい値が運転者固有の知覚
    しきい値であることを特徴とする請求項11記載の運転
    感覚制御装置。
  15. 【請求項15】 上記知覚しきい値が上記車両の挙動変
    化を体感により知覚する場合の体感知覚しきい値である
    ことを特徴とする請求項11記載の運転感覚制御装置。
  16. 【請求項16】 上記知覚しきい値が上記車両の挙動変
    化を視覚により知覚する場合の視覚知覚しきい値である
    ことを特徴とする請求項11記載の運転感覚制御装置。
  17. 【請求項17】 上記知覚しきい値が上記車両の挙動変
    化を体感と視覚とにより知覚する場合の体感視覚知覚し
    きい値であることを特徴とする請求項11記載の運転感
    覚制御装置。
  18. 【請求項18】 上記危険予測手段が、人間の運転特性
    を考慮して上記車両の挙動危険性の予測を行うものであ
    ることを特徴とする請求項1〜9記載の運転感覚制御装
    置。
  19. 【請求項19】 上記挙動感覚付与手段が、車両の挙動
    を制御して運転者に挙動感覚を付与するものであること
    を特徴とする請求項1〜9記載の運転感覚制御装置。
  20. 【請求項20】 上記挙動感覚付与手段が、車輪の転舵
    制御により運転者に挙動感覚を付与するものであること
    を特徴とする請求項19記載の運転感覚制御装置。
  21. 【請求項21】 上記挙動感覚付与手段が、サスペンシ
    ョン制御により運転者に挙動感覚を付与するものである
    ことを特徴とする請求項19記載の運転感覚制御装置。
  22. 【請求項22】 上記挙動感覚付与手段が、エンジンの
    出力制御により運転者に挙動感覚を付与するものである
    ことを特徴とする請求項19記載の運転感覚制御装置。
  23. 【請求項23】 上記挙動感覚付与手段が、車輪に対す
    る駆動力の配分制御により運転者に挙動感覚を付与する
    ものであることを特徴とする請求項19記載の運転感覚
    制御装置。
  24. 【請求項24】 上記挙動感覚付与手段が、車輪に対す
    る制動力の配分制御により運転者に挙動感覚を付与する
    ものであることを特徴とする請求項19記載の運転感覚
    制御装置。
  25. 【請求項25】 上記挙動感覚付与手段が、空力制御に
    より運転者に挙動感覚を付与するものであることを特徴
    とする請求項19記載の運転感覚制御装置。
  26. 【請求項26】 上記挙動感覚付与手段が、車両の挙動
    を制御すること無く疑似的に運転者に挙動感覚を付与す
    る疑似挙動感覚付与手段であることを特徴とする請求項
    1〜9記載の運転感覚制御装置。
  27. 【請求項27】 上記疑似挙動感覚付与手段が、運転席
    の動きを制御することにより疑似的に運転者に挙動感覚
    を付与する疑似挙動感覚付与手段であることを特徴とす
    る請求項26記載の運転感覚制御装置。
  28. 【請求項28】 上記疑似挙動感覚付与手段が、視覚に
    より疑似的に運転者に挙動感覚を付与する視覚疑似挙動
    感覚付与手段であることを特徴とする請求項26記載の
    運転感覚制御装置。
  29. 【請求項29】 上記視覚疑似挙動感覚付与手段が、運
    転席前方に所定の表示を行うと共にその表示の位置もし
    くは方向を制御して該表示の運転席前方の視界情報との
    相対的位置もしくは方向関係を変化させることにより視
    覚により疑似的に運転者に挙動感覚を付与する視覚疑似
    挙動感覚付与手段であることを特徴とする請求項28記
    載の運転感覚制御装置。
  30. 【請求項30】 上記挙動感覚付与手段が、体感により
    運転者に挙動感覚を付与する体感挙動感覚付与手段と視
    覚により運転者に挙動感覚を付与する視覚挙動感覚付与
    手段とからなり、上記制御手段は、上記車両挙動の変化
    率が、人間の該車両挙動の変化に対する知覚が視覚優先
    から体感優先に変わる優先境界変化率よりも小の場合は
    上記視覚挙動感覚付与手段により、大の場合は上記体感
    挙動感覚付与手段により運転者に挙動感覚を付与させる
    ものであることを特徴とする請求項1〜9記載の運転感
    覚制御装置。
  31. 【請求項31】 上記危険回避可否予測手段が、人間の
    運転特性を考慮して上記車両の挙動危険の回避可否予測
    を行うものであることを特徴とする請求項5〜9記載の
    運転感覚制御装置。
  32. 【請求項32】 上記自動危険回避手段が、熟練運転者
    のドライバモデルに基づき自動的に車両を操作して危険
    回避を行うものであることを特徴とする請求項9記載の
    運転感覚制御装置。
  33. 【請求項33】 車両の挙動危険性を判断する危険判断
    手段と、上記車両の挙動変化率が人間の上記車両挙動の
    変化に対する知覚が視覚優先から体感優先に変わる優先
    境界変化率よりも大であるか小であるかを判断する挙動
    変化率大小判断手段と、運転者に上記車両の挙動に対す
    る感覚を付与する挙動感覚付与手段と、上記危険判断手
    段と挙動変化率大小判断手段との出力に基づいて上記車
    両の挙動危険性が大でありかつ挙動変化率が上記優先境
    界変化率よりも小であると判断されたときは運転者に対
    して上記挙動感覚を増大付与させるように上記挙動感覚
    付与手段を制御する制御手段とを備えて成ることを特徴
    とする運転感覚制御装置。
  34. 【請求項34】 車両の挙動危険性を判断する危険判断
    手段と、上記車両の挙動変化率が人間の上記車両挙動の
    変化に対する知覚が視覚優先から体感優先に変わる優先
    境界変化率よりも大であるか小であるかを判断する挙動
    変化率大小判断手段と、運転者に上記車両の挙動に対す
    る感覚を付与する挙動感覚付与手段と、上記危険判断手
    段と挙動変化率大小判断手段との出力に基づいて上記車
    両の挙動危険性が小でありかつ挙動変化率が上記優先境
    界変化率よりも大であると判断されたときは運転者に対
    して上記挙動感覚を減少付与させるように上記挙動感覚
    付与手段を制御する制御手段とを備えて成ることを特徴
    とする運転感覚制御装置。
  35. 【請求項35】 人間に挙動変化体感を付与可能なドラ
    イビングシミュレータを用い、上記人間に種々の挙動変
    化率の下に挙動変化体感を付与し、各挙動変化率と上記
    人間が各挙動変化率の下で挙動変化開始からその挙動変
    化を体感により知覚し反応するまでの全反応時間とに基
    づいて体感による知覚しきい値と体感による操作反応時
    間とを求めることを特徴とする人間運転特性同定方法。
  36. 【請求項36】 人間に外界視覚情報を付与可能なドラ
    イビングシミュレータを用い、上記視覚情報を上記車両
    が所定の挙動方向に種々の挙動変化率の下に挙動変化し
    た場合の視覚情報変化と同様に変化させ、各挙動変化率
    と上記人間が各挙動変化率の下で視覚情報変化開始から
    視覚情報変化を視覚により知覚し反応するまでの全反応
    時間とに基づいて視覚による知覚しきい値と視覚による
    操作反応時間とを求めることを特徴とする人間運転特性
    同定方法。
  37. 【請求項37】 人間に挙動変化体感を付与可能なドラ
    イビングシミュレータを用い、上記人間に種々の挙動変
    化率の下に挙動変化体感を付与し、各挙動変化率の下で
    上記人間が挙動変化開始からその挙動変化を体感により
    知覚し反応するまでの全反応時間を求め、また、人間に
    外界視覚情報を付与可能なドライビングシミュレータを
    用い、上記視覚情報を上記車両が所定の挙動方向に種々
    の挙動変化率の下に挙動変化した場合の視覚情報変化と
    同様に変化させ、各挙動変化率の下で上記人間が視覚情
    報変化開始から視覚情報変化を視覚により知覚し反応す
    るまでの全反応時間を求め、上記各挙動変化率における
    上記体感に基づく全反応時間と視覚に基づく全反応時間
    とから、人間の上記車両挙動の変化に対する知覚が視覚
    優先から体感優先に変わる優先境界変化率を求めること
    を特徴とする人間運転特性同定方法。
  38. 【請求項38】 車両を人間により所定の挙動方向に種
    々の挙動変化率の下に挙動変化が生じるように運転さ
    せ、各挙動変化率と上記人間が各挙動変化率の下での挙
    動変化開始からその挙動変化を知覚し反応するまでの全
    反応時間とに基づいて知覚しきい値と操作反応時間とを
    求めることを特徴とする人間運転特性同定方法。
  39. 【請求項39】 上記挙動変化率が小さい場合の上記各
    挙動変化率と全反応時間とに基づいて視覚による知覚し
    きい値と視覚による操作反応時間とを求めることを特徴
    とする請求項38記載の人間運転特性同定方法。
  40. 【請求項40】 上記挙動変化率が大きい場合の上記各
    挙動変化率と全反応時間とに基づいて体感による知覚し
    きい値と体感による操作反応時間とを求めることを特徴
    とする請求項38記載の人間運転特性同定方法。
  41. 【請求項41】 車両を人間により所定の挙動方向に種
    々の挙動変化率の下に挙動変化が生じるように運転さ
    せ、上記挙動変化率が小さい場合の各挙動変化率の下で
    の挙動変化開始からその挙動変化を知覚し反応するまで
    の全反応時間を視覚による全反応時間として求め、ま
    た、上記挙動変化率が大きい場合の各挙動変化率の下で
    挙動変化開始からその挙動変化を知覚し反応するまでの
    全反応時間を体感による全反応時間として求め、上記視
    覚による全反応時間と体感による全反応時間とから、人
    間の上記車両挙動の変化に対する知覚が視覚優先から体
    感優先に変わる優先境界変化率を求めることを特徴とす
    る人間運転特性同定方法。
  42. 【請求項42】 車体に対して所定の方向に移動可能に
    配設された運転席と、上記運転席を上記所定の方向に移
    動させる駆動手段と、上記駆動手段を制御する制御手段
    とを備えて成り、上記運転席の移動により運転者に疑似
    的に車両挙動感覚を付与することを特徴とする疑似感覚
    付与装置。
  43. 【請求項43】 上記運転席の移動が運転席全体の移動
    であることを特徴とする請求項42記載の疑似感覚付与
    装置。
  44. 【請求項44】 上記運転席の移動が運転席の一部のみ
    の移動であることを特徴とする請求項42記載の疑似感
    覚付与装置。
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