JPH0689371B2 - 粉末の成形体の脱脂方法 - Google Patents

粉末の成形体の脱脂方法

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JPH0689371B2
JPH0689371B2 JP64000610A JP61089A JPH0689371B2 JP H0689371 B2 JPH0689371 B2 JP H0689371B2 JP 64000610 A JP64000610 A JP 64000610A JP 61089 A JP61089 A JP 61089A JP H0689371 B2 JPH0689371 B2 JP H0689371B2
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住友セメント株式会社
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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、金属やセラミックス等の粉末を可塑成形によ
って成形し、これにより焼結品を得るための方法に係わ
り、特に成形体から有機バインダーを除去するための脱
脂方法に関し、さらに、この脱脂方法おける成形体と水
とを接触させて有機バインダーを除去する際に、循環供
給する水のポリマー濃度を減少させることにより、有機
バインダーを除去するのに要する時間の短縮を図ったも
のに関するものである。
「従来の技術」 従来、金属粉末やセラミックス粉末から焼結品を製造す
る方法として、上記粉末に有機バインダーを配合して混
練し、粉末に流動性を付与してこれを可塑成形し、得ら
れた成形体を脱脂・焼結することによって焼結品を製造
する方法が知られている。ここでいう可塑成形とは、射
出成形、トランスファー成形および熱間押出し成形を意
味する。これらの成形法によって得られた成形体の脱脂
の方法としては、 (イ)成形体を加熱することによって有機バインダーを
蒸発・分解させる方法、 (ロ)溶媒を用いて成形体から有機バインダーを溶出す
る方法がある。
(イ)の方法においては、成形体を変形させることな
く、また、欠陥を生じさせることなく脱脂するには、非
常に長い時間を要するという問題がある。すなわち上記
の可塑成形法では、混練物が加熱されることによって軟
化し、流動性を呈するという現象を利用するものである
ため、成形体が脱脂時の加熱によって軟化し変形するこ
とが当然予想される。したがって、これを防止するため
には、変形温度に達する前に成形体中に含まれる有機バ
インダーの一部を除去すれば良いと考えられるが、変形
温度以下で有機バインダーを蒸発あるいは分解して除去
するのでは長時間が必要になる。逆に変形温度以下で有
機バインダーが簡単に蒸発・分解出来るような有機バイ
ンダーを組成、例えば、低揮発物質や昇華物質等を添加
した組成では、成形時の流動性が不安定となって成形体
に欠陥が生じ易くなり、加えて、射出成形、トランスフ
ァー成形において成形後に発生するランナー部やスプル
ー部等の再生使用が困難となる。また、加熱時の軟化の
程度を抑えることにより、脱脂時の変形を防止する方法
として、熱可塑性樹脂等の添加も考えれるが、この場合
も成形時の流動性が不安定となり、成形体に欠陥が生じ
易くなり、加えて、射出成形後に発生するランナー部や
スプレー部等の再生使用が不可能となる。また、上記の
ように加熱により有機バインダーを除去する方法では、
脱脂初期に急激な有機バインダーの蒸発や分解が生じる
と、成形体に膨れや亀裂等の欠陥が生じる場合が多い。
したがって、脱脂時間を長くしたり、脱脂雰囲気を加圧
にしたりしなければならないといった問題があった。
そこで、(ロ)の方法により、変形温度以下の低温にお
いて溶媒で、有機バインダーの一部を溶出除去すれば、
後の加熱によっても変形が起きず除去された有機バイン
ダーの部分が道となって、残りの有機バインダーの蒸発
・分解ガスが抜け易くなり、膨れや亀裂が生じ難くな
る。また、熱的に不安定な成分を添加する必要がないこ
とから、ランナー部等の再生利用も可能である。しかし
ながら、(ロ)の方法では。従来使用されている有機バ
インダーを溶出させるためには有機溶媒を使用する必要
があるが、有機溶剤は高価であり、また、有機溶剤の取
扱いによっては危険を伴うといった問題があった。
このような問題を解決するため、本発明者等は鋭意研究
の結果、有機バインダーとして水溶性の熱可塑性ポリマ
ーと水に不溶の熱可塑性ポリマーとを含むバインダーを
使用し、射出成形体を水に浸漬することによって水溶性
の熱可塑性のポリマーを溶出除去する方法を開発した。
この方法によれば、脱脂時の変形が少なく、また欠陥が
発生することがなく、しかも比較的に短時間で脱脂する
ことが可能となる。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら上記の方法においては、水溶性熱可塑性ポ
リマーの溶出速度が溶出時間の経過とともに低下するた
め、目的とする溶出率を得るためには未だ十分短時間で
伝えるには至っておらず、また大きな成形体から水溶性
の熱可塑性のポリマーを溶出する場合には目的とする溶
出率が十分得られないという問題がある。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、粉末の可塑成形法の脱脂工程におい
て、変形や膨れ、亀裂を生じさせることなく、しかも大
きな成形体をも十分短時間で脱脂可能にすることにあ
る。
「課題を解決するための手段」 この発明の方法では、粉末と有機バインダーを混合しこ
れを可塑成形して成形体とした後、脱脂・焼結の各処理
を行って焼結体を製造する工程において、上記脱脂処理
として成形体を水と接触せしめて水溶性の熱可塑性ポリ
マーを溶出するに際し、成形体と接触する水の少なくと
も一部を系外に排出しつつ、水溶性の熱可塑性ポリマー
を含まない水、あるいは成形体と接触している水より上
記水溶性の熱可塑性ポリマーの濃度の低い水を系内に供
給し、成形体より水溶性の熱可塑性ポリマーを溶出する
ことを上記課題の解決手段とした。
以下、この発明を詳しく説明する。
まず粉末と有機バインダーを混合し、これを可塑成形し
て成形体とする。ここで粉末としては、金属粉末、セラ
ミックス粉末などが用いられる。また有機バインダーと
しては、少なくとも1種の水溶性熱可塑性有機ポリマー
(以下、水溶性ポリマーと略称する)と、少なくとも1
種の水に不溶の熱可塑性有機ポリマー(以下、非水溶性
ポリマーと略称する)とを含む有機バインダーが用いら
れる。これら有機バインダーの配合量としては、配合さ
れる粉末の特性によっても異なるが、通常は5〜25重量
部程度とされ、体積比率に換算すると40〜60vol%程度
とされる。上記水溶性の熱可塑性有機ポリマーとして
は、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコー
ル、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロー
ス、ポリアクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸などが用いられ、中でもポ
リエチレンオキサイドが好適に用いられる。すなわちポ
リエチレンオキサイドは、射出成形性に優れ、他の水溶
性ポリマーとの相溶性が良好であるばかりでなく、水に
水溶の熱可塑性ポリマー、例えばポリスチレン、ポリエ
チレン、ポリメタクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体などとの相溶性も良好であり、さらに熱分解
性も良好であるからである。上記水に不溶の熱可塑性有
機ポリマーとしては、上述したポリスチレン、ポリエチ
レン、ポリメタクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニル
共重合体などの、通常の金属粉末やセラミックス粉末の
可塑成形に使用される熱可塑性ポリマーが用いられる。
次に、この成形体に脱脂処理を行って脱脂体とする。脱
脂処理としては、まず成形体を水(常温水および加熱水
を含む。以下同様)に接触させ、かつ成形体と接触する
水の少なくとも一部を系外に排出しつつ、水溶性ポリマ
ーを含まない水、あるいは成形体と接触している水より
上記水溶性ポリマーの濃度の低い水を系内に供給する。
この場合に系内から水を排出しつつ新たな水を系内に供
給するのは以下の理由による。
水溶性ポリマーを除去するために成形体を水に浸漬する
と、成形体表面部の水溶性ポリマーは溶出して水中に拡
散する。そして、この溶出した水溶性ポリマーが存在し
た空隙を通り道として水が成形体中に浸入し、これによ
り上記空隙周辺の水溶性ポリマーが侵入した水へ新たに
溶出し、さらにこの溶出した水溶性ポリマーが成形体外
の水中に拡散する。このような拡散が繰り返されること
により、水溶性ポリマーは成形体内から逐次除去され
る。
しかしながら、上記のように成形体を単に水に浸漬した
ときの水溶性ポリマーの溶出液速度は、例えば成形体が
ステンレス粉末の射出成形体である場合、第7図に示す
ように時間が経過するにしたがって遅くなり、また成形
体の寸法が大きくなるほど水溶性ポリマーの溶出率が減
少する。この現象は、溶出した水溶性ポリマーの物質移
動速度に起因するものであり、成形体内部から表面への
拡散、および表面から水中への拡散が律速になることに
よって生じるものと考えられる。そこで、成形体を水に
浸漬させた後、溶出速度が小さくなった時点での成形体
近傍における溶出した水溶性ポリマー濃度を測定した。
その結果を第8図に示す。第8図に示した結果により、
溶出した水溶性ポリマー濃度は成形体表面側で高く、離
れるにしたがって低くなっており、溶出した水溶性ポリ
マーの水中での拡散が水溶性ポリマーの溶出速度に影響
を与えていることが確認された。
なお、第7図および第8図に示した測定において溶出す
るための水の温度は50℃とした。また、第7図に示した
溶出率は次式によって求めたものである。(以下に述べ
る他の図の溶出率も同様とする) 〔溶出率〕=〔溶出した水溶性ポリマーの重量〕/〔成
形体中の水溶性ポリマーの重量〕×100 このような結果より、成形体から水中への水溶性ポリマ
ーの移動(溶出)の推進力は、濃度差に比例するものと
考えられ、その速度は次式で与えられる。
〔溶出速度〕=Ka・A(X−Xi) Ka:水溶性ポリマーの移動速度係数 A :接触面積 X :界面での水溶性ポリマー濃度 Xi:水中での水溶性ポリマー濃度 したがって、Xiを小さくすれば水溶性ポリマーの溶出速
度を大きくすることができる。そこで、成形体と水とを
接触させた溶出槽内から水を排出しつつ、溶出槽内に水
溶性ポリマーを含まない水を供給するか、あるいは成形
体と接触している水より上記水溶性ポリマーの濃度の低
い水を供給し、溶出槽内の水溶性ポリマーの濃度を低く
保つことにより、成形体から水溶性ポリマーを急速に溶
出せしめ得るようにした。
ここで、系内から水を排出しつつ、系内に新たな水を供
給して脱脂する方法を具体的に説明する。
まず、水溶性ポリマーおよび非水溶性ポリマーを含む有
機バインダーと、ステンレス粉末からなる成形体を複数
個用意し、これらから第1図に示す装置を用いて水溶性
ポリマーを除去する。
第1図は成形体から水溶性ポリマーを溶出するための装
置の一例を示す図であって、第1図中符号1は溶出槽で
ある。この溶出槽1には、その底部に溶出槽1内の水2
を排出するための排出管3が配管されており、またその
側壁に図示略の水源から水溶性ポリマーを含まない水を
溶出槽1内に供給するための給水管4が配設されてい
る。給水管4には、その先端側の水2中に没して配置さ
れた管に複数の給水口4a…が形成されており、該給水口
4a…から水が供給されかつ上記排出管3から供給された
水の量と略同量の水が排出されることにより、溶出槽2
内の水が連続的に入れ換えるようになっている。
このような溶出槽1を用いて成形体から水溶性ポリマー
を除去するには、用意した複数の成形体5…を溶出槽1
内の水2中に浸漬して支持台6上に載置し、排出管3よ
り排出しつつ給水管5より排水量と同僚の水を供給す
る。このようにして成形体5…から水溶性ポリマーを水
2中に溶出せしめ、排出管3から排出された水の溶出時
間(浸漬時間)と水溶性ポリマ濃度との関係を調べてそ
の結果を第2図に、また水溶性ポリマーの溶出率と溶出
時間との関係を調べて第3図に示した。なお、給水量と
しては1/minと3l/minの2通りで調べた。また成形体
5の寸法・形状は20mm×20mm×100mmの角棒状とした。
さらに比較例として、給排水を実施しない場合の溶出槽
中の水溶性ポリマーの濃度変化および水溶性ポリマーの
溶出率も調べ、その結果を第2図および第3図にそれぞ
れ示した。
第2図に示した結果より、給排水を実施した場合では排
水中の水溶性ポリマー濃度が低くなることから溶出槽1
中のポリマー濃度が低く保たれていることが分かり、し
たがって成形体からの水溶性ポリマーの溶出速度が高ま
っていることが推察される。また第3図に示した結果よ
り、給排水を実施した方が実施しない場合に比べて明ら
かに溶出速度が高まっており、上述した第2図からの推
察が正しいことが確認された。またこの効果は、給排水
量が増加する程高まり、寸法の大きい成形体であっても
十分に高い溶出率が得られると考えられる。
なお、配合した有機バインダーが水溶性ポリマー単独の
場合では、溶出率が増加するにしたがって成形体強度が
低下するため、給水の水流により成形体が破損する恐れ
がある。一方本発明で使用している有機バインダーで
は、水溶性ポリマーの他に非水溶性ポリマーが配合され
ているため、水溶性ポリマーが溶出しても非水溶性ポリ
マーが残留していることから成形体強度が維持され、し
たがって溶出中の成形体破損が防止されている。
また、成形体から水溶性ポリマーを溶出するための装置
として、第4図に示すような構成の装置を用いることも
できる。第4図に示した装置は、本発明の請求項2に記
載した発明の方法を実施するのに好適なものであり、第
1図に示した装置と異なるところは、排出管3からの排
水を循環ポンプ7および分離装置8を介して給水管4に
導き、溶出槽1内に循環供給する点である。第4図に示
した溶出槽1において分離装置8は、排出中の水溶性ポ
リマーを選択的に分離する分離膜(図示略)と、分離さ
れて高濃度化された水溶性ポリマーの水溶液を系外に排
出するための分岐管9とを有したもので、循環ポンプ7
により送出された排水から水溶性ポリマーを分離除去
し、低濃度の水溶性ポリマー水溶液を溶出槽2内に供給
するためのものである。ここで上記分離膜としては、精
密濾過分離膜、限外濾過分離膜、逆浸透分離膜などを用
いることができ、これらから溶出した水溶性ポリマーの
分子量に基づいて適宜選択して使用する。
このような構成の装置を用い、成形体5…から水溶性ポ
リマーを溶出するに際して成形体5…と接触する水を溶
出槽1外に排出しつつ、溶出槽1内の水より水溶性ポリ
マーの濃度の低い水を槽1内に供給すれば、先に示した
方法と同様に成形体からの水溶性ポリマーの溶出速度を
高めることができ、かつ寸法の大きい成形体からも十分
に高い溶出率を得ることができる。
また、成形体から水溶性ポリマーを溶出するための装置
として、第5図に示すような構成の装置を用いることも
できる。第5図に示した装置は、本発明の請求項3に記
載した発明の方法を実施するのに好適なものであり、第
1図に示した装置と異なるところは、給水管より新たに
供給された水を成形体に直接、あるいは溶出槽1内の水
2を介して間接的に吹き付ける点である。第5図に示し
た溶出槽1において給水管4は、水2中に没して配置さ
れた先端側が分岐して形成されたもので、それぞれの分
岐部10a,10bが溶出槽1内にて多段に配置されている成
形品5…の近傍でその直上に位置するように構成された
ものである。給水管4の分岐部10a,10bには、それぞれ
複数の給水口(図示略)が形成されており、給水管4か
ら供給された水が直接あるいは溶出槽1内の水2を介し
て間接的に成形品5…に吹き付けられるようになってい
る。ここで給水管4は、第1図に示した例のごとく水源
に接続されたものであって、溶出槽1内に水溶性ポリマ
ーを含まない水を給水するものである。
このような装置を用いて3l/minの流量で溶出槽1内に給
水し、成形品5…に供給水を吹き付けて溶出を行い、水
溶性ポリマーの溶出率と溶出時間との関係を調べて第6
図に示した。なお、成形体5の寸法・形状は先に示した
例のものと同様に20mm×20mm×100mmの角棒状とした。
また比較例として、給排水を実施しない場合の溶出率も
示した。
第6図に示した結果より、供給水を成形品5…に吹き付
ける方法では、第1図に示したような構成の装置を用い
た単に溶出槽1内の水2を入れ換える方法よりも効果が
大きいことが判明した。これは、水流が直接成形体に接
触することによって物質移動係数が増加することから、
水および水溶性ポリマーの拡散が大きくなるなどのため
と考察される。
なお、この例では給水管4を水源に接続したが、第4図
に示した例のごとく循環ポンプおよび分離装置を介して
排出管3に接続し、水溶性ポリマーの濃度が低い水溶液
を供給するようにしてもよい。
また、第1図、第4図および第5図に示した溶出水を入
れ換える方法による効果は、金属粉末を用いてなる成形
品ばかりでなくセラミックス粉末を用いてなる成形品に
おいても十分に奏されるものである。
このようにして成形体5から水溶性ポリマーを溶出した
後、加熱炉で加熱脱脂を施して水に非水溶性ポリマーな
どの残りの有機バインダーを除去し、金属、セラミック
スなどからなる焼結体を得る。ここで加熱脱脂を行うに
あたっては、常圧で加熱脱脂しても良いが、減圧下にて
行うのがより有機バインダーの除去時間を短縮し得るこ
とから好適とされ、特に真空脱脂を行うのが望ましい。
「作用」 この発明によれば、金属あるいはセラミックスの粉末と
水溶性ポリマーおよび非水溶性ポリマーを含む有機バイ
ンダーからなる成形体を水と接触せしめることにより水
溶性ポリマーを溶出する工程において、溶出した水溶性
ポリマーを含む水を系外に排出し、さらに水溶性ポリマ
ーを含まない、あるいはその濃度が低い水を供給するこ
とにより成形体と接触する水の水溶性ポリマー濃度が低
く保たれ、これにより従来の方法に比べて高速で水溶性
ポリマーが溶出し、さらに寸法の大きい成形体からでも
短時間で十分に高い溶出率が得られる。
「実施例」 以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。
(実施例1) SUS−316L粉末(平均粒子径約8μm)100重量部に水溶
性ポリマーとしてポリエチレンオキサイド5重量部、非
水溶性ポリマーとしてポリエチレン3重量部、潤滑剤と
してステアリン酸1重量部を配合し、これらを混練機に
よって150℃で45分間混練した。次に、得られた混練物
を粉砕し、スクリュー式に射出成形機によって寸法が [イ]7mm×7mm×70mm、 [ロ]14mm×14mm×100mm、 [ハ]20mm×20mm×100mm、 の棒状部品3種類を射出成形した。この場合に射出成形
温度は165℃、射出圧力は1000kg/cm2とした。
次いで、これら成形体を第1図に示した装置により、水
温50℃、給排水の水量1/minの条件で5時間溶出処理
した。このときの溶出率は、第3図に一部示すように
〔イ〕が92%、〔ロ〕が80%、〔ハ〕が65%であった。
次いで、これら成形体を真空乾燥した後、大気雰囲気下
にて常温から100℃まで0.5時間、100℃から300℃まで3
時間で昇温し、300℃で0.5時間保持した。得られた脱脂
体を調べたところ、いずれの部品も膨れや亀裂の発生が
見られず、95%から98%のバインダー除去が認められ
た。
その後、これら脱脂体を真空雰囲気にて、1350℃で2時
間焼結し、その焼結体密度を測定したところ、〔イ〕が
7.87g/cm3、〔ロ〕が7.85g/cm3、〔ハ〕7.80g/cm3とな
り、高い焼結体密度を有するものであることが確認され
た。
(実施例2) Fe−8%Ni合金粉末(平均粒子径8μm)100重量部に
水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイド6重量
部、非水溶性ポリマーとしてポリエチレン3重量部、さ
らに可塑剤と潤滑剤2重量部を配合し、上記実施例1と
同様に混練・射出成形を行って実施例1における
[ロ]、[ハ]と同一寸法・形状の成形体を得た。
次に、得られた成形体を第5図に示した装置により、水
温50℃、給排水の水量3l/minの条件で3時間溶出処理し
た。このときの溶出率は、第6図に一部示したように
〔ロ〕が86%、〔ハ〕が74%であった。次いで、これら
成形体を真空乾燥した後、上記実施例1と同様に加熱脱
脂を行ったところ、いずれの脱脂体にも欠陥が認められ
なかった。
その後、上記脱脂体を水素雰囲気下にて1350℃で、2時
間焼結し、その焼結体密度を測定したところ、〔イ〕が
7.65g/cm3、〔ロ〕が7.61g/cm3となり、高い焼結体密度
を有するものであることが確認された。
(実施例3) 平均粒子径0.64μm、比表面積6.80m2/gであるY2O3mol
%の部分安定下ジルコニア100重量部に、水溶性ポリマ
ーとしてポリエチレンオキサイド8重量部およびポリエ
チレングリコール2重量部、非水溶性ポリマーとしてポ
リエチレン6重量部、さらにステアリン酸2重量部を配
合し、これらを混練機にて150℃、45分間混練した。次
に、得られた混練物を粉砕し、スクリュー式の射出成形
機によって射出温度165℃、射出圧力950Kg/cm2の射出成
形条件で上記実施例1の棒状部品と同一寸法・形状のも
のをそれぞれ射出成形した。次に、得られた成形体を上
記実施例2と同様の条件にて4時間溶出処理した。この
ときの溶出率は〔イ〕が90%、〔ロ〕が65%、〔ハ〕が
55%であった。
次いで、これら成形体を真空乾燥した後大気雰囲気下に
て、常温から100℃まで0.5時間、100℃から400℃まで6
時間で昇温し、400℃で0.5時間保持した。得られた脱脂
体の脱脂率は、95%から97%であり、いずれのものにも
欠陥が認められなかった。また、トータルのバインダー
の除去時間は14時間であり、従来のバインダー除去時間
に比べてかなり短縮されていた。さらに、得られた各脱
脂体を大気雰囲気下にて1450℃で4時間焼結し、その焼
結密度を測定したところ、いずれも6.00g/cm3以上とな
り、欠陥のない焼結体が得られた。
「発明の効果」 以上説明したように本発明における請求項1に記載した
発明は、粉末と水溶性ポリマーおよび非水溶性ポリマー
を含む有機バインダーからなる成形体を脱脂処理するに
あたっての成形体に水を接触させて水中に水溶性ポリマ
ーを溶出せしめる工程において、溶出した水溶性ポリマ
ーを含む水を系外に排出しつつ、水溶性ポリマーを含ま
ない、あるいはその濃度が低い水を供給するものである
から、成形体と接触する水の水溶性ポリマー濃度を低く
保つことができ、これにより従来の方法に比べ極めて高
速で水溶性ポリマーを溶出することができ、さらに寸法
の大きい射出成形体からでも短時間で十分に高い溶出率
を得ることができる。また、このように水溶性ポリマー
の除去時間が短縮されて十分な水溶性ポリマーの除去が
可能になることから、その後の加熱処理による非水溶性
のバインダーの除去において急速加熱が可能となり、し
たがってトータルの脱脂時間を従来に比較して大幅に短
縮することができる。そして、このように脱脂における
リサイクルタイムが短縮されることから、生産コストを
低減することができるなど経済的な向上を図ることがで
きる。
また特に、粉末の成形体の脱脂処理として成形体を水と
接触せしめて水溶性の熱可塑性ポリマーを溶出した後加
熱炉において残りの有機バインダーを加熱除去する方法
における有機バインダーとして、水溶性の熱可塑性ポリ
マーと水に不溶の熱可塑性ポリマーを使用していること
により、水溶性の熱可塑性ポリマーが水により抽出され
ても水に不溶の熱可塑性ポリマーが残っているため、成
形体を所定の強度に維持することができる。このため、
水を流動化させても成形体の破損や粉末の脱離を起こす
ことなく、高速度で抽出できる。
また、本発明の請求項2に記載した発明にあっては、排
出した水から水溶性ポリマーを分離膜等によって除去し
た後、水溶性ポリマーを含まない水、あるいはその濃度
が低い水を循環ポンプによって系内に供給するものであ
るから、請求項1に記載した発明の効果を十分に発揮す
るとともに、溶出に使用する水の量を少なくすることが
でき、また使用した水溶性ポリマーを含む廃水の処理を
容易にすることができ、さらに廃水からの水溶性ポリマ
ーの回収をも図ることができる。
本発明の請求項3に記載した発明にあっては、系内に供
給する水、あるいは水溶性ポリマー濃度の低い水を成形
体に吹き付けるものであるから、水溶性ポリマーの溶出
速度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第6図は本発明に係わる図であって、第1
図は請求項1に記載した方法を具体的に説明するための
装置の概略構成図、第2図は第1図に示した装置を用い
て脱脂したときの時間と排水中の水溶性ポリマー濃度と
の関係を示すグラフ、第3図は同じく第1図に示した装
置を用いて脱脂したときの時間と溶出率との関係を示す
グラフ、第4図は請求項2に記載した方法を具体的に説
明するための装置の概略構成図、第5図は請求項3に記
載した方法を具体的に説明するための装置の概略構成
図、第6図は第5図に示した装置を用いて脱脂したとき
の時間と溶出率との関係を示すグラフ、第7図および第
8図は本発明の方法に至るまでの分析結果に関するもの
で、第7図は寸法の異なる成形体を溶出したときの時間
と溶出率との関係を示すグラフ、第8図は溶出速度が小
さくなった時点での成形体外部における、溶出した水溶
性ポリマーの濃度分布を示すグラフである。 1……溶出槽、2……水、3……排出管、 4……給水管、5……成形品、6……支持台、 7……循環ポンプ、8……分離装置、 9……分岐管、10a、10b……分岐部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒方 茂昭 千葉県市川市新田2―1―11 (72)発明者 片桐 義雄 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイコ ー電子工業株式会社内 (72)発明者 藤田 勝幸 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイコ ー電子工業株式会社内 (72)発明者 輪違 忠彦 宮城県仙台市西多賀5丁目30番1号 セイ コー電子部品株式会社内 (72)発明者 平塚 浩義 宮城県仙台市西多賀5丁目30番1号 セイ コー電子部品株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−101101(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉末と水溶性の熱可塑性ポリマーおよび水
    に不溶の熱可塑性ポリマーを含む有機バインダーとを混
    合し、これを可塑成形して成形体とした後、脱脂・焼結
    の各処理を行って焼結体を製造する方法において、 上記脱脂処理として成形体を水と接触せしめて上記水溶
    性の熱可塑性ポリマーを溶出した後加熱炉において残り
    の有機バインダーを加熱除去する方法であって、 上記脱脂処理に際し、成形体と接触する水の少なくとも
    一部を系外に排出しつつ、水溶性の熱可塑性ポリマーを
    含まない水、あるいは成形体と接触している水より上記
    水溶性の熱可塑性ポリマーの濃度の低い水を系内に供給
    して成形体より水溶性の熱可塑性ポリマーを溶出するこ
    とを特徴とする粉末の成形体の脱脂方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した方法において、系外に
    排出された水から水溶性の熱可塑性ポリマーを除去した
    後、該水を系内に循環供給することを特徴とする粉末の
    成形体の脱脂方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載した方法において、系内に
    供給する水溶性の熱可塑性ポリマーを含まない水、ある
    いは成形体と接触している水より上記水溶性の熱可塑性
    ポリマーの濃度の低い水を、成形体に吹き付けることを
    特徴とする粉末の成形体の脱脂方法。
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