JPH10259404A - カルボニル鉄粉末の仮焼結体および粉末射出成形方法 - Google Patents
カルボニル鉄粉末の仮焼結体および粉末射出成形方法Info
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- JPH10259404A JPH10259404A JP6626497A JP6626497A JPH10259404A JP H10259404 A JPH10259404 A JP H10259404A JP 6626497 A JP6626497 A JP 6626497A JP 6626497 A JP6626497 A JP 6626497A JP H10259404 A JPH10259404 A JP H10259404A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 カルボニル鉄粉末を用いた粉末射出成形方法
において、焼結収縮を均一に進行させて、部品に反り変
形などを発生させることなく寸法精度に優れた焼結体を
得るためのカルボニル鉄粉の仮焼結体とそれを用いた粉
末射出成形方法。 【解決手段】 焼結用粉末としてカルボニル鉄粉末を用
い、有機バインダとして少なくとも一種類の熱可塑性樹
脂を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成
形して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得ら
れる仮焼結体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製
する粉末射出成形法で用いる仮焼結体であって、前記カ
ルボニル鉄粉末の焼結開始温度における前記仮焼結体中
に含まれる炭素量が0.2%以下でかつ酸素量が0.4
%以下である。
において、焼結収縮を均一に進行させて、部品に反り変
形などを発生させることなく寸法精度に優れた焼結体を
得るためのカルボニル鉄粉の仮焼結体とそれを用いた粉
末射出成形方法。 【解決手段】 焼結用粉末としてカルボニル鉄粉末を用
い、有機バインダとして少なくとも一種類の熱可塑性樹
脂を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成
形して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得ら
れる仮焼結体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製
する粉末射出成形法で用いる仮焼結体であって、前記カ
ルボニル鉄粉末の焼結開始温度における前記仮焼結体中
に含まれる炭素量が0.2%以下でかつ酸素量が0.4
%以下である。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル鉄粉末
と有機バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性
樹脂を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを
成形して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得
られる脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製
する粉末射出成形方法で用いる仮焼結体および粉末射出
成形方法に関する。
と有機バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性
樹脂を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを
成形して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得
られる脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製
する粉末射出成形方法で用いる仮焼結体および粉末射出
成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末射出成形法は、三次元の複雑な形状
の製品を高い寸法精度で量産できる技術として広く用い
られている。ここで粉末射出成形に用いられる粉末の一
つの例として鉄粉末が挙げられる。粉末射出成形用に利
用される鉄粉末にはその製造方法により、水アトマイズ
鉄粉末、カルボニル鉄粉末などがある。ここで、カルボ
ニル鉄粉末は鉄原料に一酸化炭素を反応させて鉄ペンタ
カルボニルを作製し、それを抽出した後、アンモニアを
加えて鉄と一酸化炭素に分解して作製した鉄粉末であ
る。こうして得られる鉄粉末は、その製造工程に起因し
て、粉末中には炭素、酸素がそれぞれ約1%程度含まれ
ている。また、細かいものでは平均粒径1μm程度とい
う微細な球形粉を得ることができ、高密度かつ寸法精度
に優れた焼結体が得られるため粉末射出成形方法に広く
利用されている。
の製品を高い寸法精度で量産できる技術として広く用い
られている。ここで粉末射出成形に用いられる粉末の一
つの例として鉄粉末が挙げられる。粉末射出成形用に利
用される鉄粉末にはその製造方法により、水アトマイズ
鉄粉末、カルボニル鉄粉末などがある。ここで、カルボ
ニル鉄粉末は鉄原料に一酸化炭素を反応させて鉄ペンタ
カルボニルを作製し、それを抽出した後、アンモニアを
加えて鉄と一酸化炭素に分解して作製した鉄粉末であ
る。こうして得られる鉄粉末は、その製造工程に起因し
て、粉末中には炭素、酸素がそれぞれ約1%程度含まれ
ている。また、細かいものでは平均粒径1μm程度とい
う微細な球形粉を得ることができ、高密度かつ寸法精度
に優れた焼結体が得られるため粉末射出成形方法に広く
利用されている。
【0003】前記カルボニル鉄粉末を用いた粉末射出成
形方法による従来の鉄焼結部品の製造方法は、たとえば
特開平2−57615公報に記載の方法がある。それに
よると、まず、カルボニル鉄粉末と有機バインダである
熱可塑性樹脂を混練し、射出成形用組成物を作製する。
次に前記射出成形用組成物を射出成形機を用いて成形
し、所望の形状の成形体を得る。続いて、得られた成形
体中に含まれるバインダを除去する。このバインダの除
去工程を脱脂といい、脱脂終了後の成形体を脱脂体とい
う。次に前記脱脂体を所定の温度で焼結して最終製品で
ある焼結体を得る。一般にこの脱脂、焼結は、前記成形
体をアルミナ、ジルコニア製の板などの治具に載せてお
こなう。ここで前記公報に記載された焼結方法は、鉄粉
末成形体を1100〜1400℃で焼結し、いったん9
00℃以下に冷却してから再び1100〜1400℃で
焼結する方法となっている。
形方法による従来の鉄焼結部品の製造方法は、たとえば
特開平2−57615公報に記載の方法がある。それに
よると、まず、カルボニル鉄粉末と有機バインダである
熱可塑性樹脂を混練し、射出成形用組成物を作製する。
次に前記射出成形用組成物を射出成形機を用いて成形
し、所望の形状の成形体を得る。続いて、得られた成形
体中に含まれるバインダを除去する。このバインダの除
去工程を脱脂といい、脱脂終了後の成形体を脱脂体とい
う。次に前記脱脂体を所定の温度で焼結して最終製品で
ある焼結体を得る。一般にこの脱脂、焼結は、前記成形
体をアルミナ、ジルコニア製の板などの治具に載せてお
こなう。ここで前記公報に記載された焼結方法は、鉄粉
末成形体を1100〜1400℃で焼結し、いったん9
00℃以下に冷却してから再び1100〜1400℃で
焼結する方法となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カルボ
ニル鉄粉末を用いた脱脂体を焼結した場合、前記カルボ
ニル鉄粉末および有機バインダ中に含まれる炭素および
酸素に起因したガスが焼結工程の初期段階で発生し、従
来の技術ではこのガスによる焼結炉内雰囲気の汚染状態
を制御しない状態で鉄粉末の焼結収縮が進行するため、
焼結体の変形不良が発生するという問題点を有してい
た。以下に、この変形不良の発生原因を詳細に示す。
ニル鉄粉末を用いた脱脂体を焼結した場合、前記カルボ
ニル鉄粉末および有機バインダ中に含まれる炭素および
酸素に起因したガスが焼結工程の初期段階で発生し、従
来の技術ではこのガスによる焼結炉内雰囲気の汚染状態
を制御しない状態で鉄粉末の焼結収縮が進行するため、
焼結体の変形不良が発生するという問題点を有してい
た。以下に、この変形不良の発生原因を詳細に示す。
【0005】カルボニル鉄粉末と有機バインダからなる
射出成形体中には、前記鉄粉末中および有機バインダに
起因した炭素、酸素が含まれている。これらの炭素およ
び酸素は前記成形体を不活性雰囲気中で加熱分解脱脂す
ることによって除去される。
射出成形体中には、前記鉄粉末中および有機バインダに
起因した炭素、酸素が含まれている。これらの炭素およ
び酸素は前記成形体を不活性雰囲気中で加熱分解脱脂す
ることによって除去される。
【0006】ここで、前記鉄粉末中に含まれる炭素、酸
素は、不活性雰囲気中およそ600℃までにガス化して
除去される。一方、有機バインダの熱分解終了温度は樹
脂の種類に依存するが、成形性および形状保持性に優れ
た粉末射出成形用として一般的に用いられる有機バイン
ダ組成では、不活性雰囲気下での熱分解終了温度はおよ
そ600℃程度である。したがって、脱脂工程において
成形体中の炭素、酸素を完全に除去するためには、脱脂
温度をおよそ600℃程度にすればよいのであるが、特
に高い寸法精度が要求される部品を作製する場合には脱
脂温度はより低い温度としなければならない。なぜなら
ば、不活性雰囲気下といえども、およそ500℃以上で
は雰囲気中にわずかに含まれる酸素によって鉄粉末が酸
化し、この鉄粉末の酸化は、焼結密度や寸法精度の低下
の原因となるためである。以上の理由から、脱脂温度は
およそ500℃以下にする必要がある。また、脱脂体の
形状保持性の面からも、脱脂体中には有機バインダを若
干残留させておくことが好ましい。すなわち、脱脂体中
には残留バインダおよびカルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素および酸素を少しは残留させておかなければならな
いのである。
素は、不活性雰囲気中およそ600℃までにガス化して
除去される。一方、有機バインダの熱分解終了温度は樹
脂の種類に依存するが、成形性および形状保持性に優れ
た粉末射出成形用として一般的に用いられる有機バイン
ダ組成では、不活性雰囲気下での熱分解終了温度はおよ
そ600℃程度である。したがって、脱脂工程において
成形体中の炭素、酸素を完全に除去するためには、脱脂
温度をおよそ600℃程度にすればよいのであるが、特
に高い寸法精度が要求される部品を作製する場合には脱
脂温度はより低い温度としなければならない。なぜなら
ば、不活性雰囲気下といえども、およそ500℃以上で
は雰囲気中にわずかに含まれる酸素によって鉄粉末が酸
化し、この鉄粉末の酸化は、焼結密度や寸法精度の低下
の原因となるためである。以上の理由から、脱脂温度は
およそ500℃以下にする必要がある。また、脱脂体の
形状保持性の面からも、脱脂体中には有機バインダを若
干残留させておくことが好ましい。すなわち、脱脂体中
には残留バインダおよびカルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素および酸素を少しは残留させておかなければならな
いのである。
【0007】次に、脱脂体を焼結し、最終製品を得る。
ここで焼結工程について説明する。通常、焼結工程は一
定量の水素ガスを流しながらおこなわれる。まず焼結工
程の初期には、脱脂体中に残留していた炭素、酸素に起
因したガスが発生する。このガスの発生を脱ガスと呼
び、脱ガスが開始する温度を以下、脱ガス発生開始温度
という。続いて昇温すると、ある温度から鉄粉末の焼結
に伴って脱脂体の寸法収縮が開始する。この焼結工程に
おける寸法収縮が開始する温度を以下、焼結収縮開始温
度という。さらに温度を上昇させると脱脂体の寸法収縮
がさらに進行し、やがて緻密化が完了して寸法が一定と
なる。焼結収縮が完了した物質、すなわち最終製品を焼
結体という。
ここで焼結工程について説明する。通常、焼結工程は一
定量の水素ガスを流しながらおこなわれる。まず焼結工
程の初期には、脱脂体中に残留していた炭素、酸素に起
因したガスが発生する。このガスの発生を脱ガスと呼
び、脱ガスが開始する温度を以下、脱ガス発生開始温度
という。続いて昇温すると、ある温度から鉄粉末の焼結
に伴って脱脂体の寸法収縮が開始する。この焼結工程に
おける寸法収縮が開始する温度を以下、焼結収縮開始温
度という。さらに温度を上昇させると脱脂体の寸法収縮
がさらに進行し、やがて緻密化が完了して寸法が一定と
なる。焼結収縮が完了した物質、すなわち最終製品を焼
結体という。
【0008】先に示した様に、焼結工程の初期には前記
脱脂体中に残留していた炭素、酸素に起因したガスが発
生する。ここで、特に大量に部品を焼結する場合には、
脱脂体の脱炭素、脱酸素を効率よくおこなう目的から還
元雰囲気が必要となり、ガスが生じる温度領域において
焼結をおこなう場合、真空および不活性雰囲気下で焼結
することは好ましくない。
脱脂体中に残留していた炭素、酸素に起因したガスが発
生する。ここで、特に大量に部品を焼結する場合には、
脱脂体の脱炭素、脱酸素を効率よくおこなう目的から還
元雰囲気が必要となり、ガスが生じる温度領域において
焼結をおこなう場合、真空および不活性雰囲気下で焼結
することは好ましくない。
【0009】また、前記脱脂体を大量に焼結炉内に仕込
んだ場合には、ガスが大量に発生するため、焼結炉内雰
囲気がガスで汚染された状態で鉄粉末の焼結収縮が進行
することになる。ここで、本発明において焼結工程の初
期工程にある脱脂体で、粉末の焼結に伴う寸法収縮が始
まる直前段階までのものを以下、仮焼結体という。焼結
収縮開始温度以降に、焼結炉内の雰囲気が炭素、酸素を
含むガスで汚染されていると、仮焼結体の焼結雰囲気に
接した面は、その汚染によって焼結に伴う収縮の進行が
妨げられ、焼結雰囲気に接していない面に比べて相対的
に収縮率が小さくなる。その結果、焼結体の上面と下面
とで収縮率に相対的な差が生じ、反りなどの変形不良が
発生するのである。特に、小型で薄型形状の部品、例え
ば直径1mmから3mm程度、厚さ150μmから20
0μm程度の時計用モジュール部品を製造する場合に
は、±10μm程度の高い寸法精度が要求されるにもか
かわらず、こうした焼結収縮の不均一に起因した反り変
形が発生しやすい。特にこれらの部品を大量に焼結した
場合に発生する変形不良は、歩留まりを低下させる大き
な問題点となっていた。
んだ場合には、ガスが大量に発生するため、焼結炉内雰
囲気がガスで汚染された状態で鉄粉末の焼結収縮が進行
することになる。ここで、本発明において焼結工程の初
期工程にある脱脂体で、粉末の焼結に伴う寸法収縮が始
まる直前段階までのものを以下、仮焼結体という。焼結
収縮開始温度以降に、焼結炉内の雰囲気が炭素、酸素を
含むガスで汚染されていると、仮焼結体の焼結雰囲気に
接した面は、その汚染によって焼結に伴う収縮の進行が
妨げられ、焼結雰囲気に接していない面に比べて相対的
に収縮率が小さくなる。その結果、焼結体の上面と下面
とで収縮率に相対的な差が生じ、反りなどの変形不良が
発生するのである。特に、小型で薄型形状の部品、例え
ば直径1mmから3mm程度、厚さ150μmから20
0μm程度の時計用モジュール部品を製造する場合に
は、±10μm程度の高い寸法精度が要求されるにもか
かわらず、こうした焼結収縮の不均一に起因した反り変
形が発生しやすい。特にこれらの部品を大量に焼結した
場合に発生する変形不良は、歩留まりを低下させる大き
な問題点となっていた。
【0010】〔発明の目的〕したがって、本発明の目的
は、上記問題点を解決して部品の変形不良を防止し、寸
法精度に優れた焼結体を得るためのカルボニル鉄粉末の
仮焼結体および粉末射出成形方法を提供することにあ
る。
は、上記問題点を解決して部品の変形不良を防止し、寸
法精度に優れた焼結体を得るためのカルボニル鉄粉末の
仮焼結体および粉末射出成形方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のカルボニル鉄粉末の仮焼結体は下記記載の
構成を採用する。
に、本発明のカルボニル鉄粉末の仮焼結体は下記記載の
構成を採用する。
【0012】すなわち、カルボニル鉄粉末と有機バイン
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形法で用いる仮焼結体であって、前記カルボニル鉄粉
末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中に含まれ
る炭素量が0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量
%以下であることを特徴とする。
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形法で用いる仮焼結体であって、前記カルボニル鉄粉
末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中に含まれ
る炭素量が0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量
%以下であることを特徴とする。
【0013】また、上記目的を達成するために、本発明
の粉末射出成形方法は下記記載の方法を採用する。
の粉末射出成形方法は下記記載の方法を採用する。
【0014】すなわち、カルボニル鉄粉末と有機バイン
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出成
形方法であって、脱脂終了後、焼結をおこなう前に真空
下での加熱処理を加え、前記カルボニル鉄粉末の焼結収
縮開始温度時における仮焼結体中に含まれる炭素量を
0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%以下にな
るようにすることを特徴とする。
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出成
形方法であって、脱脂終了後、焼結をおこなう前に真空
下での加熱処理を加え、前記カルボニル鉄粉末の焼結収
縮開始温度時における仮焼結体中に含まれる炭素量を
0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%以下にな
るようにすることを特徴とする。
【0015】また、上記目的を達成するために、本発明
の粉末射出成形方法は他の一方法として下記記載の方法
をも採用する。
の粉末射出成形方法は他の一方法として下記記載の方法
をも採用する。
【0016】すなわち、カルボニル鉄粉末と有機バイン
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形方法であって、焼結工程で脱脂体から発生する残留
バインダ成分および前記カルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素、酸素に起因した脱ガスが発生し始める温度から前
記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度までの昇温勾配
を制御することにより、前記仮焼結体中に含まれる炭素
量を0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%以下
になるようにすることを特徴とする。
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形方法であって、焼結工程で脱脂体から発生する残留
バインダ成分および前記カルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素、酸素に起因した脱ガスが発生し始める温度から前
記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度までの昇温勾配
を制御することにより、前記仮焼結体中に含まれる炭素
量を0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%以下
になるようにすることを特徴とする。
【0017】さらに、上記目的を達成するために、本発
明の粉末射出成形方法は他の一方法として下記記載の方
法をも採用する。
明の粉末射出成形方法は他の一方法として下記記載の方
法をも採用する。
【0018】すなわち、カルボニル鉄粉末と有機バイン
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形方法であって、焼結工程で脱脂体から発生する残留
バインダ成分および前記カルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素、酸素に起因した脱ガスが発生し始める温度から前
記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度までにおける焼
結炉内に流す水素流量を制御することにより、前記仮焼
結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以下でかつ酸素
量が0.4重量%以下になるようにすることを特徴とす
る。
ダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練し
て粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形して射出
成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出
成形方法であって、焼結工程で脱脂体から発生する残留
バインダ成分および前記カルボニル鉄粉末中に含まれる
炭素、酸素に起因した脱ガスが発生し始める温度から前
記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度までにおける焼
結炉内に流す水素流量を制御することにより、前記仮焼
結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以下でかつ酸素
量が0.4重量%以下になるようにすることを特徴とす
る。
【0019】〔作用〕本発明は、カルボニル鉄粉末と有
機バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂
を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形
して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られ
る脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する
粉末射出成形法で用いる仮焼結体であって、前記カルボ
ニル鉄粉末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中
に含まれる炭素量が0.2重量%以下でかつ酸素量が
0.4重量%以下であることを特徴とする。これによっ
て仮焼結体の収縮が進行する際に発生する脱ガス量が低
減し、焼結炉内雰囲気を汚染させることなく焼結を進行
させることができるため、焼結収縮が均一に進行して変
形のない寸法精度に優れた焼結体を得ることができる。
機バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂
を混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形
して射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られ
る脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する
粉末射出成形法で用いる仮焼結体であって、前記カルボ
ニル鉄粉末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中
に含まれる炭素量が0.2重量%以下でかつ酸素量が
0.4重量%以下であることを特徴とする。これによっ
て仮焼結体の収縮が進行する際に発生する脱ガス量が低
減し、焼結炉内雰囲気を汚染させることなく焼結を進行
させることができるため、焼結収縮が均一に進行して変
形のない寸法精度に優れた焼結体を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための最
良の形態におけるカルボニル鉄粉末の仮焼体と粉末射出
成形方法について説明する。
良の形態におけるカルボニル鉄粉末の仮焼体と粉末射出
成形方法について説明する。
【0021】本発明に用いられるカルボニル鉄粉末は、
カルボニル法によって作製された粉末で、粉末中には炭
素が0.8%から1%、酸素が0.4%から1%程度含ま
れている。また、本発明に用いられる有機バインダは、
少なくとも一種類の熱可塑性樹脂から成る。例えば粉末
射出成形品に強度を付与するものとして、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体などが、また強度および高速脱脂性を付与
する目的で、アタクチックポリプロピレン、ポリブチル
メタクリレートなどが用いられる。また、粉末射出成形
用混合物に流動性を付与する目的で、パラフィンワック
ス、カルナバワックス、ステアリン酸、ジブチルフタレ
ートなどを使用することができる。
カルボニル法によって作製された粉末で、粉末中には炭
素が0.8%から1%、酸素が0.4%から1%程度含ま
れている。また、本発明に用いられる有機バインダは、
少なくとも一種類の熱可塑性樹脂から成る。例えば粉末
射出成形品に強度を付与するものとして、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体などが、また強度および高速脱脂性を付与
する目的で、アタクチックポリプロピレン、ポリブチル
メタクリレートなどが用いられる。また、粉末射出成形
用混合物に流動性を付与する目的で、パラフィンワック
ス、カルナバワックス、ステアリン酸、ジブチルフタレ
ートなどを使用することができる。
【0022】まず、前記カルボニル鉄粉末と前記有機バ
インダとを加圧ニーダー等を用いて混練し、粉末射出成
形用組成物を作製する。混練後は必要に応じてペレタイ
ザー等を利用して造粒し、射出成形用組成物を得る。
インダとを加圧ニーダー等を用いて混練し、粉末射出成
形用組成物を作製する。混練後は必要に応じてペレタイ
ザー等を利用して造粒し、射出成形用組成物を得る。
【0023】次に、前記射出成形用組成物を射出成形機
により成形し、所望の形状の射出成形体を得る。
により成形し、所望の形状の射出成形体を得る。
【0024】次に、前記成形体中に含まれる有機バイン
ダを除去するための加熱分解脱脂を行う。鉄粉末の酸化
を防止するため、加熱雰囲気は窒素、アルゴンなどの不
活性雰囲気中でおこなうことが好ましい。また本発明に
おける脱脂工程は、加熱分解脱脂の他に溶媒抽出など、
他の公知の脱脂方法を併用しておこなってもよい。
ダを除去するための加熱分解脱脂を行う。鉄粉末の酸化
を防止するため、加熱雰囲気は窒素、アルゴンなどの不
活性雰囲気中でおこなうことが好ましい。また本発明に
おける脱脂工程は、加熱分解脱脂の他に溶媒抽出など、
他の公知の脱脂方法を併用しておこなってもよい。
【0025】次に、本発明におけるカルボニル鉄粉末を
用いた射出成形体の脱脂体を水素雰囲気中で焼結した場
合の、脱脂体からのガスの発生状況と寸法変化について
示す。カルボニル鉄粉末の脱脂体を水素中で焼結した場
合、およそ300℃から600℃の範囲で、残留バイン
ダおよび鉄粉末中に含まれる炭素、酸素が、CO、CO
2 、H2 O、炭化水素の形で発生する。さらに温度を上
昇させていくと、鉄粉末の焼結に伴い寸法収縮が開始す
る。ここで、焼結収縮開始温度は粉末粒径に依存し、粒
径が粗いほど若干高くなる。また、粉末のこうした焼結
収縮開始温度は、脱脂体を水素雰囲気中で任意の温度ま
で加熱した場合の寸法変化によって調べることができ
る。
用いた射出成形体の脱脂体を水素雰囲気中で焼結した場
合の、脱脂体からのガスの発生状況と寸法変化について
示す。カルボニル鉄粉末の脱脂体を水素中で焼結した場
合、およそ300℃から600℃の範囲で、残留バイン
ダおよび鉄粉末中に含まれる炭素、酸素が、CO、CO
2 、H2 O、炭化水素の形で発生する。さらに温度を上
昇させていくと、鉄粉末の焼結に伴い寸法収縮が開始す
る。ここで、焼結収縮開始温度は粉末粒径に依存し、粒
径が粗いほど若干高くなる。また、粉末のこうした焼結
収縮開始温度は、脱脂体を水素雰囲気中で任意の温度ま
で加熱した場合の寸法変化によって調べることができ
る。
【0026】本発明では、焼結収縮開始温度における仮
焼結体中の炭素量を0.2重量%以下かつ酸素量を0.
4重量%以下に制御することにより、反り変形を回避で
きることを見いだした。炭素量、酸素量の含有量がこれ
を越えた場合、残留した炭素や酸素に起因した脱ガスに
より、仮焼結体の焼結雰囲気に接した面の焼結収縮が阻
害され、反り変形が発生する。そこで、本発明では焼結
初期に発生するガスによるカルボニル鉄粉末の焼結収縮
阻害を回避するため次の手法を用いる。
焼結体中の炭素量を0.2重量%以下かつ酸素量を0.
4重量%以下に制御することにより、反り変形を回避で
きることを見いだした。炭素量、酸素量の含有量がこれ
を越えた場合、残留した炭素や酸素に起因した脱ガスに
より、仮焼結体の焼結雰囲気に接した面の焼結収縮が阻
害され、反り変形が発生する。そこで、本発明では焼結
初期に発生するガスによるカルボニル鉄粉末の焼結収縮
阻害を回避するため次の手法を用いる。
【0027】すなわち、以下に示す方法により、焼結収
縮開始温度における仮焼結体中の炭素量を0.2重量%
以下かつ酸素量を0.4重量%以下に制御する。
縮開始温度における仮焼結体中の炭素量を0.2重量%
以下かつ酸素量を0.4重量%以下に制御する。
【0028】まず、第一の手法は、脱脂終了後、水素雰
囲気での焼結工程をおこなう前に、脱脂体を真空下で加
熱する工程を追加し、炭素量および酸素量をあらかじめ
低減させておく方法である。真空下では、発生するガス
を積極的に排気し、不活性雰囲気下よりも低温でしかも
鉄粉末を酸化させることなく脱脂体中の炭素量、酸素量
を低減させることができる。ここで、真空加熱処理は、
10-3Torr以下で350℃以上500℃以下の温度
でおこなうことが好ましい。10-3Torr以上あるい
は350℃未満では、脱脂体からの炭素、酸素等の脱離
の効果が認められないか、あるいはその効果が小さい。
また加熱温度が500℃を越えると、炭素、酸素が残留
した状態でカルボニル鉄粉末の焼結が部分的に開始し、
変形の原因となるため好ましくない。
囲気での焼結工程をおこなう前に、脱脂体を真空下で加
熱する工程を追加し、炭素量および酸素量をあらかじめ
低減させておく方法である。真空下では、発生するガス
を積極的に排気し、不活性雰囲気下よりも低温でしかも
鉄粉末を酸化させることなく脱脂体中の炭素量、酸素量
を低減させることができる。ここで、真空加熱処理は、
10-3Torr以下で350℃以上500℃以下の温度
でおこなうことが好ましい。10-3Torr以上あるい
は350℃未満では、脱脂体からの炭素、酸素等の脱離
の効果が認められないか、あるいはその効果が小さい。
また加熱温度が500℃を越えると、炭素、酸素が残留
した状態でカルボニル鉄粉末の焼結が部分的に開始し、
変形の原因となるため好ましくない。
【0029】第二の手法は、焼結工程初期における脱ガ
ス発生開始温度から焼結収縮開始温度までの間の昇温勾
配を制御することにより、仮焼結体中の炭素量、酸素量
を低減させる方法である。すなわち、この温度範囲内で
の昇温勾配を緩やかにすることによって脱ガスを促進さ
せ、焼結収縮開始温度における仮焼結体中に含まれる炭
素、酸素量を低減させることができる。ここで、脱ガス
発生開始温度から焼結収縮開始温度までの最適な昇温勾
配は、用いる有機バインダの種類、焼結炉内に仕込む脱
脂体の量に依存するが、5℃/min以下が好ましい。これ
より昇温速度が大きい場合には脱脂体から急激にガスが
発生し、膨れや割れの原因となる。
ス発生開始温度から焼結収縮開始温度までの間の昇温勾
配を制御することにより、仮焼結体中の炭素量、酸素量
を低減させる方法である。すなわち、この温度範囲内で
の昇温勾配を緩やかにすることによって脱ガスを促進さ
せ、焼結収縮開始温度における仮焼結体中に含まれる炭
素、酸素量を低減させることができる。ここで、脱ガス
発生開始温度から焼結収縮開始温度までの最適な昇温勾
配は、用いる有機バインダの種類、焼結炉内に仕込む脱
脂体の量に依存するが、5℃/min以下が好ましい。これ
より昇温速度が大きい場合には脱脂体から急激にガスが
発生し、膨れや割れの原因となる。
【0030】次に第三の手法は、焼結工程初期における
脱ガス発生開始温度から焼結収縮開始温度までの温度範
囲において、焼結炉内に流す水素ガスの流量を制御する
ことにより仮焼結体中の炭素量、酸素量を低減させる方
法である。すなわち水素流量の増加によって還元能力を
向上させ、脱脂体中から発生するガスが積極的に炉外に
除去されるため、焼結収縮開始温度における仮焼結体中
に含まれる炭素、酸素量を低減させることができる。
脱ガス発生開始温度から焼結収縮開始温度までの温度範
囲において、焼結炉内に流す水素ガスの流量を制御する
ことにより仮焼結体中の炭素量、酸素量を低減させる方
法である。すなわち水素流量の増加によって還元能力を
向上させ、脱脂体中から発生するガスが積極的に炉外に
除去されるため、焼結収縮開始温度における仮焼結体中
に含まれる炭素、酸素量を低減させることができる。
【0031】ここで脱ガス発生開始温度から焼結収縮開
始温度までの温度範囲における最適な水素流量は、用い
るバインダの種類や焼結炉内に仕込む脱脂体の量にも依
存するが、脱ガス発生開始温度のときに焼結炉内に導入
された水素ガスが焼結収縮開始温度直前までに新しく導
入される水素ガスで置換される流量以上とするのが好ま
しい。これよりも水素流量が少ないと還元が十分に行わ
れず、仮焼結体中の炭素、酸素量を低減する効果を十分
に得ることができない可能性がある。しかしながら、使
用用途によっては、必ずしも水素流量をこのような流量
以上とする必要はない。
始温度までの温度範囲における最適な水素流量は、用い
るバインダの種類や焼結炉内に仕込む脱脂体の量にも依
存するが、脱ガス発生開始温度のときに焼結炉内に導入
された水素ガスが焼結収縮開始温度直前までに新しく導
入される水素ガスで置換される流量以上とするのが好ま
しい。これよりも水素流量が少ないと還元が十分に行わ
れず、仮焼結体中の炭素、酸素量を低減する効果を十分
に得ることができない可能性がある。しかしながら、使
用用途によっては、必ずしも水素流量をこのような流量
以上とする必要はない。
【0032】本発明では、上に示した三種類の手法を一
種類あるいは二種類以上を任意に組み合わせて用いるこ
とができる。これにより水素雰囲気中、焼結収縮開始温
度における仮焼結体中の炭素量および酸素量をそれぞれ
0.2重量%以下かつ0.4重量%以下に制御すること
ができる。
種類あるいは二種類以上を任意に組み合わせて用いるこ
とができる。これにより水素雰囲気中、焼結収縮開始温
度における仮焼結体中の炭素量および酸素量をそれぞれ
0.2重量%以下かつ0.4重量%以下に制御すること
ができる。
【0033】このように上記手法を用いて焼結収縮開始
温度における仮焼結体中の炭素量および酸素量を制御し
た後、連続して従来の方法で所定の温度で焼結をおこな
い、所望の焼結体を得ることができる。ここで焼結収縮
開始温度から焼結収縮による緻密化がほぼ完了する温度
までは、仮焼結体中に残留している炭素、酸素を除去す
るため、水素雰囲気中で焼結するのが好ましい。その後
は水素、不活性雰囲気中または真空中で焼結することが
できる。
温度における仮焼結体中の炭素量および酸素量を制御し
た後、連続して従来の方法で所定の温度で焼結をおこな
い、所望の焼結体を得ることができる。ここで焼結収縮
開始温度から焼結収縮による緻密化がほぼ完了する温度
までは、仮焼結体中に残留している炭素、酸素を除去す
るため、水素雰囲気中で焼結するのが好ましい。その後
は水素、不活性雰囲気中または真空中で焼結することが
できる。
【0034】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明する。
説明する。
【0035】(実施例1)平均粒径1.1μm、炭素
0.74重量%、酸素0.56重量%を含むカルボニル
鉄粉に対して、有機バインダとしてエチレン酢酸ビニル
−ポリブチルメタクリレート−ポリスチレン共重合体、
アタクチックポリプロピレン、パラフィンワックス、フ
タル酸ジブチルからなる混合物を添加し、加圧ニーダー
にて混練し、射出成形用組成物を作製した。なお、鉄粉
末と有機バインダとの混合比は、鉄粉末100重量部に
対して有機バインダ9.1重量部とした。
0.74重量%、酸素0.56重量%を含むカルボニル
鉄粉に対して、有機バインダとしてエチレン酢酸ビニル
−ポリブチルメタクリレート−ポリスチレン共重合体、
アタクチックポリプロピレン、パラフィンワックス、フ
タル酸ジブチルからなる混合物を添加し、加圧ニーダー
にて混練し、射出成形用組成物を作製した。なお、鉄粉
末と有機バインダとの混合比は、鉄粉末100重量部に
対して有機バインダ9.1重量部とした。
【0036】このようにして得られた射出成形用組成物
を射出成形機を用いて成形し、厚さ250μm、直径3
400μmの歯車形状の成形体を得た。ここで、本実施
例において、収縮率を考慮した焼結体の厚さの寸法狙い
値は200±10μmである。
を射出成形機を用いて成形し、厚さ250μm、直径3
400μmの歯車形状の成形体を得た。ここで、本実施
例において、収縮率を考慮した焼結体の厚さの寸法狙い
値は200±10μmである。
【0037】次に、前記成形体を10cm四方のアルミ
ナ製の平板上に144個並べ、この平板を42枚分、合
計6048個をそれぞれバッチ式の炉を用い、脱脂およ
び焼結をおこなった。以下、脱脂および焼結方法を詳細
に示す。
ナ製の平板上に144個並べ、この平板を42枚分、合
計6048個をそれぞれバッチ式の炉を用い、脱脂およ
び焼結をおこなった。以下、脱脂および焼結方法を詳細
に示す。
【0038】まず、前記成形体を炉内容積35Lの脱脂
炉を用いて窒素雰囲気中で加熱分解脱脂をおこなった。
窒素ガスの流量は5L/minで一定とした。まず、室温か
ら150℃までを3℃/minで昇温させ、続いて250℃
までを0.4℃/min、続いて350℃までを0.6℃/m
in、続いて450℃までを0.7℃/minで昇温させ、4
50℃で1時間保持して脱脂体を得た。ここで脱脂体の
炭素量は1.17重量%、酸素量は0.80重量%であ
った。
炉を用いて窒素雰囲気中で加熱分解脱脂をおこなった。
窒素ガスの流量は5L/minで一定とした。まず、室温か
ら150℃までを3℃/minで昇温させ、続いて250℃
までを0.4℃/min、続いて350℃までを0.6℃/m
in、続いて450℃までを0.7℃/minで昇温させ、4
50℃で1時間保持して脱脂体を得た。ここで脱脂体の
炭素量は1.17重量%、酸素量は0.80重量%であ
った。
【0039】次に、前記脱脂体中に残留する炭素、酸素
等を脱脂体中から脱離し、炉外に除去するため、以下に
示す処理をおこなった。得られた脱脂体を10-4 To
rrの減圧下で加熱し、真空加熱処理をおこなった。真
空加熱処理は、まず室温から300℃までを7℃/minで
昇温させ、300℃から400℃までを0.7℃/minで
昇温させ、400℃で1時間保持しておこなった。本実
施例において真空加熱処理後の仮焼結体中に含まれる炭
素量は0.7重量%、酸素量は0.19重量%であり、
真空加熱処理によって炭素量、酸素量の低減が認められ
た。
等を脱脂体中から脱離し、炉外に除去するため、以下に
示す処理をおこなった。得られた脱脂体を10-4 To
rrの減圧下で加熱し、真空加熱処理をおこなった。真
空加熱処理は、まず室温から300℃までを7℃/minで
昇温させ、300℃から400℃までを0.7℃/minで
昇温させ、400℃で1時間保持しておこなった。本実
施例において真空加熱処理後の仮焼結体中に含まれる炭
素量は0.7重量%、酸素量は0.19重量%であり、
真空加熱処理によって炭素量、酸素量の低減が認められ
た。
【0040】次に、前記真空加熱処理後の仮焼結体を炉
内容積80Lの焼結炉を用い、水素フロー中で焼結をお
こなった。水素の流量は1L/minで一定とした。まず室
温から300℃までを7℃/minとし、本実施例で用いた
カルボニル鉄粉末の脱ガス開始温度である300℃から
焼結収縮開始温度である400℃までを10℃/min、4
00℃から800℃までを2℃/minで昇温し、800℃
で2時間保持をおこなった。さらに800℃から125
0℃まで10℃/minで昇温させ1250℃で2時間保持
をおこない、焼結体を得た。得られた焼結体の断面を図
1に示す。なお、焼結途中400℃の仮焼結体中に含ま
れる炭素量および酸素量を測定するため、これらの条件
と同一条件で焼結温度400℃までの仮焼結体を作製
し、炭素量、酸素量の測定をおこなった。焼結温度40
0℃での炭素量は0.09重量%、酸素量は0.05重
量%であった。
内容積80Lの焼結炉を用い、水素フロー中で焼結をお
こなった。水素の流量は1L/minで一定とした。まず室
温から300℃までを7℃/minとし、本実施例で用いた
カルボニル鉄粉末の脱ガス開始温度である300℃から
焼結収縮開始温度である400℃までを10℃/min、4
00℃から800℃までを2℃/minで昇温し、800℃
で2時間保持をおこなった。さらに800℃から125
0℃まで10℃/minで昇温させ1250℃で2時間保持
をおこない、焼結体を得た。得られた焼結体の断面を図
1に示す。なお、焼結途中400℃の仮焼結体中に含ま
れる炭素量および酸素量を測定するため、これらの条件
と同一条件で焼結温度400℃までの仮焼結体を作製
し、炭素量、酸素量の測定をおこなった。焼結温度40
0℃での炭素量は0.09重量%、酸素量は0.05重
量%であった。
【0041】次に1250℃で2時間保持して得られた
焼結体の反り変形量を評価するため、高さ測定器を用い
て図1に示した部分の厚さを測定した。寸法測定は、ア
ルミナ製の板1枚につき5個を42枚、合計210個の
焼結体についておこなった。その結果、図1に示したよ
うに反り変形などの不良は全く発生せず、すべて狙い値
寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件および400
℃で焼結を終了させた仮焼結体中に含まれる炭素量、酸
素量、および1250℃で2時間保持して得られた焼結
体の厚さを表1に示す。
焼結体の反り変形量を評価するため、高さ測定器を用い
て図1に示した部分の厚さを測定した。寸法測定は、ア
ルミナ製の板1枚につき5個を42枚、合計210個の
焼結体についておこなった。その結果、図1に示したよ
うに反り変形などの不良は全く発生せず、すべて狙い値
寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件および400
℃で焼結を終了させた仮焼結体中に含まれる炭素量、酸
素量、および1250℃で2時間保持して得られた焼結
体の厚さを表1に示す。
【0042】(実施例2)実施例1と全く同様の条件で
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は1L/minで一定とし
た。本実施例で用いたカルボニル鉄粉末の脱ガス開始温
度である300℃から焼結収縮開始温度である400℃
までを0.7℃/minで昇温させた他はすべて実施例1と
同様の昇温プログラムでおこなった。なお実施例1と同
様に、焼結途中400℃の仮焼結体中に含まれる炭素量
および酸素量を測定するため、これらの条件と同一条件
で焼結途中の400℃で焼結を終了させた仮焼結体を作
製した。焼結温度400℃での炭素量は0.13重量
%、酸素量は0.36重量%であった。
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は1L/minで一定とし
た。本実施例で用いたカルボニル鉄粉末の脱ガス開始温
度である300℃から焼結収縮開始温度である400℃
までを0.7℃/minで昇温させた他はすべて実施例1と
同様の昇温プログラムでおこなった。なお実施例1と同
様に、焼結途中400℃の仮焼結体中に含まれる炭素量
および酸素量を測定するため、これらの条件と同一条件
で焼結途中の400℃で焼結を終了させた仮焼結体を作
製した。焼結温度400℃での炭素量は0.13重量
%、酸素量は0.36重量%であった。
【0043】次に実施例1と同様に、焼結体の厚さを測
定した。その結果、反り変形などの不良は全く発生せ
ず、すべて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結
条件および400℃で焼結を終了させた仮焼結体中に含
まれる炭素量、酸素量、および1250℃で2時間保持
して得られた焼結体の厚さを表1にあわせて示す。
定した。その結果、反り変形などの不良は全く発生せ
ず、すべて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結
条件および400℃で焼結を終了させた仮焼結体中に含
まれる炭素量、酸素量、および1250℃で2時間保持
して得られた焼結体の厚さを表1にあわせて示す。
【0044】(実施例3)実施例1と全く同様の条件で
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は、300℃から40
0℃までを8L/minとし、それ以外は1L/minとした。
その他はすべて実施例1と同様の昇温プログラムでおこ
なった。また、これらの条件と同一条件で焼結温度40
0℃までの仮焼結体を作製し、炭素量、酸素量の測定を
おこなった。焼結温度400℃での仮焼結体中に含まれ
る炭素量は0.19重量%、酸素量は0.38重量%で
あった。
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は、300℃から40
0℃までを8L/minとし、それ以外は1L/minとした。
その他はすべて実施例1と同様の昇温プログラムでおこ
なった。また、これらの条件と同一条件で焼結温度40
0℃までの仮焼結体を作製し、炭素量、酸素量の測定を
おこなった。焼結温度400℃での仮焼結体中に含まれ
る炭素量は0.19重量%、酸素量は0.38重量%で
あった。
【0045】実施例1と同様に、焼結体の厚さを測定し
た。その結果、反り変形などの不良は全く発生せず、す
べて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件お
よび400℃仮焼結体の炭素量、酸素量、焼結体の厚さ
を表1にあわせて示す。
た。その結果、反り変形などの不良は全く発生せず、す
べて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件お
よび400℃仮焼結体の炭素量、酸素量、焼結体の厚さ
を表1にあわせて示す。
【0046】(実施例4)実施例1と全く同様の条件で
脱脂をおこなった脱脂体を用いて、脱脂体中に残留する
炭素、酸素等を脱脂体中から脱離し、炉外へ除去するた
め、以下に示す処理をおこなった。前記脱脂体を、10
-4Torrの減圧下で加熱し、真空加熱処理をおこなっ
た。真空加熱処理は、まず室温から300℃までを7℃
/minで昇温させ、300℃から350℃までを0.7℃
/minで昇温させ、350℃で1時間保持しておこなっ
た。ここで真空加熱処理後の仮焼結体中に含まれる炭素
量は0.95重量%、酸素量は0.48重量%であり、
減圧下での加熱処理によって炭素量、酸素量の低減が認
められた。
脱脂をおこなった脱脂体を用いて、脱脂体中に残留する
炭素、酸素等を脱脂体中から脱離し、炉外へ除去するた
め、以下に示す処理をおこなった。前記脱脂体を、10
-4Torrの減圧下で加熱し、真空加熱処理をおこなっ
た。真空加熱処理は、まず室温から300℃までを7℃
/minで昇温させ、300℃から350℃までを0.7℃
/minで昇温させ、350℃で1時間保持しておこなっ
た。ここで真空加熱処理後の仮焼結体中に含まれる炭素
量は0.95重量%、酸素量は0.48重量%であり、
減圧下での加熱処理によって炭素量、酸素量の低減が認
められた。
【0047】次に、前記真空加熱処理後の仮焼結体の焼
結をおこなった。水素の流量は4L/minで一定とした。
まず室温から300℃までを7℃/minとし、本カルボニ
ル鉄粉末の脱ガス開始温度である300℃から焼結収縮
開始温度である400℃までを5℃/minで昇温した。さ
らに400℃から800℃までを2℃/minで昇温し、8
00℃で2時間保持をおこなった。続いて800℃から
1250℃まで10℃/minで昇温し、1250℃で2時
間保持をおこない、焼結体を得た。
結をおこなった。水素の流量は4L/minで一定とした。
まず室温から300℃までを7℃/minとし、本カルボニ
ル鉄粉末の脱ガス開始温度である300℃から焼結収縮
開始温度である400℃までを5℃/minで昇温した。さ
らに400℃から800℃までを2℃/minで昇温し、8
00℃で2時間保持をおこなった。続いて800℃から
1250℃まで10℃/minで昇温し、1250℃で2時
間保持をおこない、焼結体を得た。
【0048】なお、実施例1と同様に、焼結途中400
℃の仮焼結体中に含まれる炭素量および酸素量を測定す
るため、これらの条件と同一条件で焼結途中の400℃
で焼結を終了させた仮焼結体を作製した。焼結温度40
0℃での炭素量は0.18重量%、酸素量は0.15重
量%であった。
℃の仮焼結体中に含まれる炭素量および酸素量を測定す
るため、これらの条件と同一条件で焼結途中の400℃
で焼結を終了させた仮焼結体を作製した。焼結温度40
0℃での炭素量は0.18重量%、酸素量は0.15重
量%であった。
【0049】実施例1と同様に、焼結体の厚さを測定し
た。その結果、反り変形などの不良は全く発生せず、す
べて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件お
よび400℃仮焼結体の炭素量、酸素量、焼結体の厚さ
を表1にあわせて示す。
た。その結果、反り変形などの不良は全く発生せず、す
べて狙い値寸法公差内の焼結体が得られた。焼結条件お
よび400℃仮焼結体の炭素量、酸素量、焼結体の厚さ
を表1にあわせて示す。
【0050】(比較例1)実施例1と全く同様の条件で
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は1L/minで一定とし
た。真空加熱処理は行わず、他はすべて実施例1と同様
の昇温プログラムでおこなった。得られた焼結体の断面
を図2に示す。また、これらの条件と同一条件で焼結温
度400℃までの仮焼結体を作製し、炭素量、酸素量の
測定をおこなった。焼結温度400℃での仮焼結体中に
含まれる炭素量は0.56重量%、酸素量は0.45重
量%であった。
脱脂をおこなった脱脂体を実施例1と同様の装置を用い
て焼結をおこなった。水素の流量は1L/minで一定とし
た。真空加熱処理は行わず、他はすべて実施例1と同様
の昇温プログラムでおこなった。得られた焼結体の断面
を図2に示す。また、これらの条件と同一条件で焼結温
度400℃までの仮焼結体を作製し、炭素量、酸素量の
測定をおこなった。焼結温度400℃での仮焼結体中に
含まれる炭素量は0.56重量%、酸素量は0.45重
量%であった。
【0051】実施例1と同様に焼結体の厚さを測定し
た。その結果、焼結時に炉内雰囲気に接していた面の焼
結収縮が阻害され、図2に示したように全体的に下方向
への反り変形が発生した。この反り変形によって、見か
け上の焼結体の厚さが平均で30μm大きくなり、すべ
て狙い値寸法公差外となった。焼結条件および400℃
での仮焼結体中に含まれる炭素量、酸素量、焼結体の厚
さを表1にあわせて示す。
た。その結果、焼結時に炉内雰囲気に接していた面の焼
結収縮が阻害され、図2に示したように全体的に下方向
への反り変形が発生した。この反り変形によって、見か
け上の焼結体の厚さが平均で30μm大きくなり、すべ
て狙い値寸法公差外となった。焼結条件および400℃
での仮焼結体中に含まれる炭素量、酸素量、焼結体の厚
さを表1にあわせて示す。
【0052】
【表1】
【0053】本実施例および比較例で用いたカルボニル
鉄粉末の脱脂体において、脱ガス発生開始温度はおよそ
300℃であり、焼結収縮開始温度は400℃である。
ここで、表1において、本発明である実施例1、実施例
2、実施例3、実施例4は、比較例1と比較して、焼結
体の厚さがすべて狙い寸法公差内となり、寸法精度に優
れていることが明らかである。また、これらのいずれの
実施例においても焼結温度400℃での仮焼結体中に含
まれる炭素量は0.2重量%以下、酸素量は0.4重量
%以下となっている。
鉄粉末の脱脂体において、脱ガス発生開始温度はおよそ
300℃であり、焼結収縮開始温度は400℃である。
ここで、表1において、本発明である実施例1、実施例
2、実施例3、実施例4は、比較例1と比較して、焼結
体の厚さがすべて狙い寸法公差内となり、寸法精度に優
れていることが明らかである。また、これらのいずれの
実施例においても焼結温度400℃での仮焼結体中に含
まれる炭素量は0.2重量%以下、酸素量は0.4重量
%以下となっている。
【0054】ここで、実施例1と比較例1を比較した場
合、実施例1では脱脂後に真空加熱処理をおこなうこと
によって、焼結工程の前にあらかじめ炭素量、酸素量を
低減しておくことができる。このため、脱ガス発生開始
温度から、焼結収縮開始温度までの昇温勾配、水素流量
が実施例1と比較例1では同じ条件であるにもかかわら
ず、焼結温度400℃における仮焼結体中に含まれる炭
素量、酸素量は実施例1の方が少なく、炭素量が0.2
重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%となっている。
このため焼結収縮開始温度以降では炉内雰囲気は汚染さ
れず、焼結収縮が均一に進行して、焼結体に反り変形が
発生していないのである。
合、実施例1では脱脂後に真空加熱処理をおこなうこと
によって、焼結工程の前にあらかじめ炭素量、酸素量を
低減しておくことができる。このため、脱ガス発生開始
温度から、焼結収縮開始温度までの昇温勾配、水素流量
が実施例1と比較例1では同じ条件であるにもかかわら
ず、焼結温度400℃における仮焼結体中に含まれる炭
素量、酸素量は実施例1の方が少なく、炭素量が0.2
重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%となっている。
このため焼結収縮開始温度以降では炉内雰囲気は汚染さ
れず、焼結収縮が均一に進行して、焼結体に反り変形が
発生していないのである。
【0055】また実施例2と比較例1を比較すると、実
施例2では、焼結初期300℃から400℃までの昇温
勾配を緩やかにすることによって、焼結収縮開始温度で
ある400℃における仮焼結体中に含まれる炭素量、酸
素量が比較例1に比べて低減されている。このため焼結
収縮開始温度以降では炉内雰囲気は汚染されず、焼結収
縮が均一に進行して焼結体に反りは発生していないので
ある。
施例2では、焼結初期300℃から400℃までの昇温
勾配を緩やかにすることによって、焼結収縮開始温度で
ある400℃における仮焼結体中に含まれる炭素量、酸
素量が比較例1に比べて低減されている。このため焼結
収縮開始温度以降では炉内雰囲気は汚染されず、焼結収
縮が均一に進行して焼結体に反りは発生していないので
ある。
【0056】次に実施例3と比較例1を比較すると、実
施例3では脱ガス発生開始温度から焼結収縮開始温度ま
での水素流量を増加させたことによって、焼結温度40
0℃での仮焼結体中に含まれる炭素量、酸素量が低減さ
れている。このため400℃以降での焼結収縮が均一に
進行し、反り変形が発生していないのである。
施例3では脱ガス発生開始温度から焼結収縮開始温度ま
での水素流量を増加させたことによって、焼結温度40
0℃での仮焼結体中に含まれる炭素量、酸素量が低減さ
れている。このため400℃以降での焼結収縮が均一に
進行し、反り変形が発生していないのである。
【0057】また、実施例4のように脱脂終了後の真空
雰囲気下での加熱処理、脱ガス発生開始温度から焼成収
縮開始温度までの昇温勾配およびそこでの水素流量の条
件を任意に組み合わせて、焼成収縮開始温度における仮
焼結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以下かつ酸素
量を0.4重量%以下に制御することも可能である。
雰囲気下での加熱処理、脱ガス発生開始温度から焼成収
縮開始温度までの昇温勾配およびそこでの水素流量の条
件を任意に組み合わせて、焼成収縮開始温度における仮
焼結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以下かつ酸素
量を0.4重量%以下に制御することも可能である。
【0058】以上のように、本発明によるカルボニル鉄
粉の仮焼結体および粉末射出成形方法を用いることによ
り、焼結工程で発生する部品の変形を防止し、寸法精度
に優れたカルボニル鉄粉末射出成形部品を製造し、提供
することができる。
粉の仮焼結体および粉末射出成形方法を用いることによ
り、焼結工程で発生する部品の変形を防止し、寸法精度
に優れたカルボニル鉄粉末射出成形部品を製造し、提供
することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明により、カルボニル鉄粉末と有機
バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を
混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形し
て射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる
脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉
末射出成形法で用いる仮焼結体において、前記カルボニ
ル鉄粉末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中に
含まれる炭素量が0.2重量%以下で、かつ酸素量が
0.4重量%以下であるカルボニル鉄粉末の仮焼結体を
用いることにより、前記仮焼結体の焼結収縮が均一に進
行し、部品の反り変形などが生じない寸法精度に優れた
焼結体、すなわち、粉末射出成形部品を得ることができ
る。
バインダ成分である少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を
混練して粉末射出成形用組成物を作製し、これを成形し
て射出成形体とし、前記射出成形体を脱脂して得られる
脱脂体を水素雰囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉
末射出成形法で用いる仮焼結体において、前記カルボニ
ル鉄粉末の焼結収縮開始温度における前記仮焼結体中に
含まれる炭素量が0.2重量%以下で、かつ酸素量が
0.4重量%以下であるカルボニル鉄粉末の仮焼結体を
用いることにより、前記仮焼結体の焼結収縮が均一に進
行し、部品の反り変形などが生じない寸法精度に優れた
焼結体、すなわち、粉末射出成形部品を得ることができ
る。
【0060】すなわち、本発明により、寸法精度に優れ
た粉末射出成形部品を得ることが可能となる。
た粉末射出成形部品を得ることが可能となる。
【0061】特に薄型形状部品では、焼成治具に接した
面と焼成雰囲気に接した面での焼結収縮率の違いが反り
変形として現れやすい。また、脱脂体を大量に焼結する
場合には、脱脂体中の炭素、酸素によるガスも大量に発
生し、それに伴って反り変形量も増大する。したがっ
て、本発明を用いて仮焼結体中に含まれる炭素量および
酸素量を制御して焼結収縮を均一に進行させることは、
特に薄型形状部品の製造や脱脂体をバッチ炉を用いて大
量に焼結する場合に有効である。
面と焼成雰囲気に接した面での焼結収縮率の違いが反り
変形として現れやすい。また、脱脂体を大量に焼結する
場合には、脱脂体中の炭素、酸素によるガスも大量に発
生し、それに伴って反り変形量も増大する。したがっ
て、本発明を用いて仮焼結体中に含まれる炭素量および
酸素量を制御して焼結収縮を均一に進行させることは、
特に薄型形状部品の製造や脱脂体をバッチ炉を用いて大
量に焼結する場合に有効である。
【図1】本発明の実施例における成形体を焼結して得ら
れる焼結体の断面図である。
れる焼結体の断面図である。
【図2】従来例における成形体を焼結して得られる焼結
体の断面図である。
体の断面図である。
1 焼結体の厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石山 康太郎 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社技術研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 カルボニル鉄粉末と有機バインダ成分で
ある少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練して粉末射
出成形用組成物を作製し、これを成形して射出成形体と
し、前記射出成形体を脱脂して脱脂体を得、前記脱脂体
を水素雰囲気中で焼結して焼結体を作製することによる
粉末射出成形方法で用いる仮焼結体であって、 前記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度における前記
仮焼結体中に含まれる炭素量が0.2重量%以下でかつ
酸素量が0.4重量%以下であることを特徴とするカル
ボニル鉄粉末の仮焼結体。 - 【請求項2】 カルボニル鉄粉末と有機バインダ成分で
ある少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練して粉末射
出成形用組成物を作製し、これを成形して射出成形体と
し、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体を水素雰
囲気で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出成形方法で
あって、 脱脂終了後、焼結をおこなう前に真空下での加熱処理を
加え、前記カルボニル鉄粉末の焼結収縮開始温度時にお
ける仮焼結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以下で
かつ酸素量が0.4重量%以下になるようにすることを
特徴とする粉末射出成形方法。 - 【請求項3】 カルボニル鉄粉末と有機バインダ成分で
ある少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練して粉末射
出成形用組成物を作製し、これを成形して射出成形体と
し、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体を水素雰
囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出成形方法
であって、 焼結工程で脱脂体から発生する残留バインダ成分および
前記カルボニル鉄粉末中に含まれる炭素、酸素に起因し
た脱ガスが発生し始める温度から前記カルボニル鉄粉末
の焼結収縮開始温度までの昇温勾配を制御することによ
り、前記仮焼結体中に含まれる炭素量を0.2重量%以
下でかつ酸素量が0.4重量%以下になるようにするこ
とを特徴とする粉末射出成形方法。 - 【請求項4】 カルボニル鉄粉末と有機バインダ成分で
ある少なくとも一種類の熱可塑性樹脂を混練して粉末射
出成形用組成物を作製し、これを成形して射出成形体と
し、前記射出成形体を脱脂して得られる脱脂体を水素雰
囲気中で焼結して鉄焼結体を作製する粉末射出成形方法
であって、 焼結工程で脱脂体から発生する残留バインダ成分および
前記カルボニル鉄粉末中に含まれる炭素、酸素に起因し
た脱ガスが発生し始める温度から前記カルボニル鉄粉末
の焼結収縮開始温度までにおける焼結炉内に流す水素流
量を制御することにより、前記仮焼結体中に含まれる炭
素量を0.2重量%以下でかつ酸素量が0.4重量%以
下になるようにすることを特徴とする粉末射出成形方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6626497A JPH10259404A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | カルボニル鉄粉末の仮焼結体および粉末射出成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6626497A JPH10259404A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | カルボニル鉄粉末の仮焼結体および粉末射出成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10259404A true JPH10259404A (ja) | 1998-09-29 |
Family
ID=13310826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6626497A Pending JPH10259404A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | カルボニル鉄粉末の仮焼結体および粉末射出成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10259404A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101230286B1 (ko) | 2010-07-19 | 2013-02-05 | 베스너 주식회사 | 금속사출성형 소결체의 탄소함량 제어방법 |
CN103464759A (zh) * | 2013-09-05 | 2013-12-25 | 北京科技大学 | 一种制备高性能复杂形状纯铁软磁产品的方法 |
CN104841938A (zh) * | 2015-05-26 | 2015-08-19 | 北京科技大学 | 一种高性能异形铁钴系软磁合金零件的制备方法 |
CN115338405A (zh) * | 2022-08-31 | 2022-11-15 | 中南大学 | 一种微注射成形铁基小模数齿轮的制备方法 |
-
1997
- 1997-03-19 JP JP6626497A patent/JPH10259404A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101230286B1 (ko) | 2010-07-19 | 2013-02-05 | 베스너 주식회사 | 금속사출성형 소결체의 탄소함량 제어방법 |
CN103464759A (zh) * | 2013-09-05 | 2013-12-25 | 北京科技大学 | 一种制备高性能复杂形状纯铁软磁产品的方法 |
CN104841938A (zh) * | 2015-05-26 | 2015-08-19 | 北京科技大学 | 一种高性能异形铁钴系软磁合金零件的制备方法 |
CN115338405A (zh) * | 2022-08-31 | 2022-11-15 | 中南大学 | 一种微注射成形铁基小模数齿轮的制备方法 |
CN115338405B (zh) * | 2022-08-31 | 2024-06-04 | 中南大学 | 一种微注射成形铁基小模数齿轮的制备方法 |
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