JPH0892605A - 焼結品の射出成形用中子及び該中子を用いた焼結品の製造方法 - Google Patents

焼結品の射出成形用中子及び該中子を用いた焼結品の製造方法

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JPH0892605A
JPH0892605A JP6226445A JP22644594A JPH0892605A JP H0892605 A JPH0892605 A JP H0892605A JP 6226445 A JP6226445 A JP 6226445A JP 22644594 A JP22644594 A JP 22644594A JP H0892605 A JPH0892605 A JP H0892605A
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JP
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sintered article
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JP6226445A
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Kenji Shirasu
賢治 白須
Koichiro Tsuji
晃一郎 辻
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Yazaki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼結品製造工程の簡素化、及び中子の除去時
間の短縮化を共に図ることができると共に、焼結品の緻
密化に伴なう強度向上をも図ることができること。 【構成】 焼結品の射出成形用中子1をポリスチレン樹
脂材で形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属やセラミックなど
の粉末を原料とする焼結品の予備焼結成形体を成形する
のに用いられる射出成形用中子、及び該中子を用いた焼
結品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属やセラミックスなどから成形品を製
造するには、機械加工が適用されてきたが、近年では、
プラスチックの射出成形技術を適用した粉末焼結成形
が、金属加工と比較して作業性が良好であり、しかも大
量生産が可能であることから、採用されるようになって
きた。
【0003】すなわち、上記粉末焼結成形は、金属やセ
ラミックスなどの微粉末からなる原料粉末とバインダ
(結合材)との混合物を加熱して混練体とし、これを射
出成形機から所定の金型中へ射出成形することにより予
備焼結成形体を得た後、この予備焼結成形体を原料粉末
の融点以下の温度で加熱することにより脱バインダ処理
し、次いでこの脱バインダ成形体を高温で焼結処理する
ことにより、脱バインダした後の空隙を埋めて、金型と
相似形状を有する収縮した粉末焼結品を製造する方法で
ある。
【0004】しかるに、上記粉末焼結成形により、内部
に中空部を有する複雑な形状の粉末焼結品を製造するに
際しては、金型内に前記中空部の形状に相当する中子を
配置した状態で射出成形することにより予備焼結成形体
を得た後、この予備焼結成形体から中子を除去する工程
が必要とされる。
【0005】そして、上記粉末焼結成形における中子除
去については、従来から多くの提案がなされており、そ
の代表的な手段としては、ビスマスまたはビスマスース
ズ合金などの低融点金属で中子を形成し、この中子を、
脱バインダ処理と並行して、または脱バインダ処理に先
立って予備焼結成形体から溶融除去する方法(特開平4
−99082号公報)、および有機溶剤に可溶な有機系
樹脂により中子を形成し、脱バインダ処理に先立って、
予備焼結成形体を有機溶剤に浸漬することにより、予備
焼結成形体から中子を溶解除去する方法(特開平4−1
79501号公報)などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平4−99082号公報に記載の方法では、原料粉末
の材質によっては中子と原料粉末とが反応し、合金化す
る恐れがあるばかりか、中子の除去工程が新たに加わる
場合もあって、コストアップを招くという課題を有して
いる。
【0007】また、上記特開平4−179501号公報
に記載の方法では、中子の除去工程が新たに加わるばか
りか、この中子除去工程に10時間以上の長時間を必要
とし、しかも溶剤槽を用いることから設備がおおがかり
となり、作業環境も悪化するという課題を有している。
【0008】本発明は、前記した課題を解決すべくなさ
れたものであり、その目的は、焼結品製造工程の簡素
化、及び中子の除去時間の短縮化を共に図ることができ
ると共に、焼結品の緻密化に伴う強度向上をも図ること
ができる焼結品の射出成形用中子及び該中子を用いた焼
結品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ため、請求項1記載の発明の焼結品の射出成形用中子
は、ポリスチレン樹脂材で形成したことを特徴としてい
る。
【0010】また、請求項2記載の発明の焼結品の製造
方法は、原料粉末とバインダとの混練物を、中子を含む
金型中に射出成形して得た予備焼結成形体を、前記原料
粉末の融点以下の温度で加熱することにより脱バインダ
処理し、次いで得られた脱バインダ成形体を焼結処理す
る焼結品の製造方法において、前記中子がポリスチレン
樹脂材で形成されると共に、前記金型に着脱可能に取付
けられており、前記中子を前記予備焼結成形体と共に離
型後、前記脱バインダ処理工程で前記バインダと共に前
記予備焼結成形体から溶融除去することを特徴としてい
る。
【0011】
【作用】請求項1及び2記載の発明は、前記した構成に
なっているので次の作用を奏する。
【0012】すなわち、請求項1記載の発明の焼結品の
射出成形用中子は、ポリスチレン樹脂材で形成したの
で、射出成形温度では軟化せず、脱バインダ処理温度で
は溶融して、バインダと共に予備焼結成形体から速やか
に溶融除去される。さらに中子を形成するポレリスチレ
ン樹脂材は、予備焼結成形体に含まれる材質とは反応を
起こすことがないので、焼結品内に炭化物として残留す
ることもない。
【0013】また、請求項2記載の発明の焼結品の製造
方法は、予備焼結成形体の成形用中子をポリスチレン樹
脂材で形成し、この中子を予備焼結成形体と共に離型
後、脱バインダ処理工程でバインダと共に前記予備焼結
成形体から溶融除去するようにしたので、中子の除去工
程を新たに設ける必要が無く、かつポリスチレン樹脂が
熱可塑性樹脂であるので予備焼結成形体からの中子の除
去を速やかに行なうことができる。
【0014】その上請求項2記載の発明の焼結品の製造
方法は、中子を形成するポリスチレン樹脂材が予備焼結
成形体に含まれる材質とは反応を起こすことがないの
で、焼結品内に炭化物として残留することがなく、焼結
処理工程における焼結品の緻密化を促進することができ
る。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図示した実施例に基づいて具
体的に説明する。
【0016】図1は、一実施例としての射出成形用中子
1を示し、図2はこの射出成形用中子1を用いた射出成
形用金型装置2を示し、図3はこの射出成形用金型装置
2を用いた焼結品の製造方法で得られる焼結品3を示
す。
【0017】射出成形用中子1は、ポリスチレン樹脂材
を用いて焼結品3の中空部4に相当する略U字形状の中
実円柱体に形成されている。
【0018】この中子1を形成するポリスチレン樹脂材
は、射出成形温度では軟化せず、脱バインダ処理温度で
溶融し、かつ予備焼結成形体に含まれる材質とは反応を
起こすことのない熱可塑性樹脂である。
【0019】そして中子1は、ポリスチレン樹脂材を用
いて、圧縮成形、粉末成形、あるいは注型成形等に供す
ることによって所定形状に成形される。
【0020】射出成形用金型装置2は、射出成形用中子
1を組付けることによって構成されている。
【0021】すなわち、射出成形用金型装置2は、図2
に示すように、型合せ面5aから断面U字状に突出形成
された雄型8を有する第1の割型5と、型合せ面6aか
ら断面U字状に窪ませて形成され雄型8との間で金型内
空間部10を形成する雌型9を有する第2の割型6と、
雄型8の両側の型合せ面5aに開口させて穿設した凹部
11に両端部1aを着脱可能に嵌入させて取付けられた
中子1とから構成されている。さらに、第1の割型5に
は、一端7aを型合せ面5aに開口し、他端7bを図外
の射出成形機に連通したゲート7が穿設されている。
【0022】このように組付けられた中子1は、第1及
び第2の割型5及び6の型合せにより形成される金型内
空間部10内に位置して雄型8及び雌型9との間でゲー
ト7に連通するキャビティ10aを形成している。
【0023】そしてこの射出成形用金型装置2を用いて
焼結品3を得るには次の製造方法による。
【0024】まず、成形材料を調整する。成形材料は、
原料粉末とバインダとの混練物、すなわち銅、アルミニ
ウム、鉄鋼、ニッケルおよび各種合金などの金属微粉
末、またはガラス、ホーローなどのおよびセラミックス
微粉末などの原料粉末と、これら原料粉末を結合するた
めに機能するポリエチレン、アクリル樹脂などのバイン
ダを、前記バインダの融点以上の温度で混合してなる溶
融混練物であり、この混練物における原料粉末とバイン
ダとの配合比は、通常原料粉末100重量部に対しバイ
ンダ5〜30重量部の範囲に設定される。
【0025】このように調整された混練物は、図外の射
出成形機を用いて射出成形用金型装置2のゲート7を介
してキャビティ10a内に射出注型され、予備焼結成形
体を射出成形する。その後、第1及び第2の割型5及び
6を型開きし、中子1と共に予備焼結成形体を離型す
る。離型された予備焼結成形体は、内部に中子1が充填
されたものとなっている。
【0026】次いで、予備焼結成形体は、脱バインダ槽
に送られて脱バインダ処理される。この脱バインダ処理
は、真空状態、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気および
水素雰囲気などの還元雰囲気において、400〜600
℃の温度、好ましくは約500℃の温度まで徐々に昇温
する条件にて、10〜20時間加熱することにより行わ
れる。
【0027】そして、この脱バインダ処理工程において
は、予備焼結成形体に含まれるバインダと、ポリスチレ
ン樹脂材からなる中子1が溶融し、予備焼結成形体から
効果的に除去され、その後前記したと同様の還元雰囲気
下で冷却して脱バインダ成形体が形成される。
【0028】かくして得られる脱バインダ成形体は、次
いで焼結処理工程に送られ、600〜2200℃の温度
で、3〜10時間焼結または焼成されることにより、原
料粉末が溶融し、脱バインダ処理した後の微細な空隙が
埋められて緻密化が進行し、図3に示す焼結品3を得る
ことができる。この焼結品3は、中子1を溶融除去した
部分が中空部4となったU字形状のパイプ体となってい
る。
【0029】以上のようにポリスチレン樹脂材で形成さ
れた中子1を用いることにより中子1を脱バインダ処理
工程で溶融除去することができるので中子1の除去工程
を新たに設ける必要がなく、かつポリスチレン樹脂が熱
可塑性樹脂であるので予備焼結成形体からの中子1の除
去を速やかに行なうことができ、この結果製造工程の簡
略化及び中子1の除去時間の短縮化を共に図ることがで
きる。
【0030】その上、中子1を形成するポリスチレン樹
脂材は、予備焼結成形体に含まれる材質とは反応を起こ
すことがないので、焼結品内に炭化物として残留するこ
とがなく、この結果焼結処理工程における緻密化が進行
して強度の向上した焼結品を安定的に得ることができ
る。
【0031】実験例:次に、実験例により本発明の効果
について更に説明する。
【0032】原料粉末として、粒子径が5〜30μの銅
粉末を準備した。
【0033】一方、バインダとして、ポリスチレン樹脂
2〜5重量部、アクリル樹脂2〜5重量部、ポリエチレ
ン1〜3重量部、パラフィンワックス0.5〜1.5重
量部およびステアリン酸0.1〜0.5重量部を混合し
たバインダを準備した。
【0034】そして前記銅粉末90重量%と前記混合バ
インダ10重量%とを混練して、成形材料を調整した。
【0035】中子は、本発明中子としてポリスチレン樹
脂製中子を、比較中子としてポリカーボネート樹脂製中
子(比較中子A)及びポリエチレン樹脂製中子(比較中
子B)をそれぞれ準備した。
【0036】これらの中子は、図2に示すように金型内
に組付けて、それぞれ予備焼結成形体を射出成形する射
出成形用金型装置を構成した。
【0037】そして前述した成形材料を射出成形機に供
給すると共に、各中子をセットした各射出成形用金型装
置へそれぞれ注型して、各中子を包含する予備焼結成形
体を同一条件下で射出成形した。
【0038】このときの射出成形条件は、成形材料の射
出温度180℃、成形材料の射出速度12.4cm3
sec、成形材料の射出圧力470kg/cm2 あっ
た。
【0039】この結果、本発明中子及び比較中子Aを組
付けた射出成形用金型装置においては、中子が変形する
ことなく所望の予備焼結成形体を得ることができたが、
比較中子Bを組付けた射出成形用金型装置においては、
中子がゲート7の一端7a口付近で変形を生じて所望の
予備焼結成形体を得ることができなかった。
【0040】このようにして得られた本発明中子及び比
較中子Aを包含する予備焼結成形体を、次に活性炭を満
たした脱バインダ処理槽に埋設し、窒素ガス雰囲気下に
て室温から500℃まで徐々に昇温して脱バインダ処理
した。
【0041】この脱バインダ処理工程において、予備焼
結成形体から中子がバインダと共に溶融除去されて、脱
バインダ成形体が得られた。
【0042】次いで、上記脱バインダ成形体を窒素ガス
雰囲気下にて室温から1050℃まで10時間かけて徐
々に昇温し、1050℃で4時間保持した後、冷却し
て、図3に示す口径a:5〜10mm、中空径b:3〜
8mm、高さh:15〜50mmの二又パイプの焼結品
3を得た。
【0043】このときの脱バインダ処理工程における中
子の除去時間、及び得られた焼結品の性状を示すと表1
の通りとなる。
【0044】
【表1】 この表1から解るように、本発明中子は、比較中子Aに
比べて脱バインダ処理工程でバインダと共に速やかに溶
融除去することができ、このため中子の除去のための一
工程を追加することなく製造工程の簡素化、及び中子の
除去時間の短縮化を共に図ることができる。
【0045】また、本発明中子は、焼結品内に炭化物と
して残留することがないので、焼結品の緻密化を進行さ
せて強度の向上した焼結品を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば次の効果を奏する。
【0047】すなわち、請求項1記載の発明によれば、
中子をポリスチレン樹脂材で形成したので、脱バインダ
処理工程でバインダと共に速やかに溶融除去することが
でき、この結果中子の除去のための一工程を追加するこ
となく製造工程の簡素化、及び予備焼結成形体からの中
子の除去時間の短縮化を共に図ることができる射出成形
用中子を提供することができる。
【0048】その上請求項1記載の発明によれば、ポリ
スチレン樹脂材と予備焼結成形体に含まれる材質とは反
応を起こすことがないので、焼結品内に炭化物として残
留することがなく、この結果焼結品の緻密化を進行させ
て強度の向上した焼結品を得ることができる射出成形用
中子を提供することができる。
【0049】また、請求項2記載の発明によれば、予備
焼結成形体の成形用中子をポリスチレン樹脂材で形成
し、この中子を予備成形体と共に離型後、脱バインダ処
理工程でバインダと共に前記予備焼結成形体から溶融除
去するようにしたので、中子の除去工程を新たに設ける
必要が無く、かつポリスチレン樹脂が熱可塑性樹脂であ
るので予備焼結成形体からの中子の除去を速やかに行な
うことができ、この結果製造工程の簡素化及び中子の除
去時間の短縮化を共に図ることができる焼結品の製造方
法を提供することができる。
【0050】その上請求項2記載の発明によれば、中子
を形成するポリスチレン樹脂材が予備焼結成形体に含ま
れる材質とは反応を起こすことがないので焼結品内に炭
化物として残留することがなく、この結果焼結処理工程
における緻密化が進行して強度の向上した焼結品を安定
的に得ることができる焼結品の製造方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例としての中子の斜視図である。
【図2】一実施例としての射出成形用金型装置の断面図
である。
【図3】一実施例としての焼結品を示し、(a)はその
正面図、(b)はその一部破断した底面図である。
【符号の説明】
1 射出成形用中子 2 射出成形用金型装置(金型) 3 焼結品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/64 B22F 5/00 B C04B 35/64 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレン樹脂材で形成したことを特
    徴とする焼結品の射出成形用中子。
  2. 【請求項2】 原料粉末とバインダとの混練物を、中子
    を含む金型中に射出成形して得た予備焼結成形体を、前
    記原料粉末の融点以下の温度で加熱することにより脱バ
    インダ処理し、次いで得られた脱バインダ成形体を焼結
    処理する焼結品の製造方法において、 前記中子がポリスチレン樹脂材で形成されると共に、前
    記金型に着脱可能に取付けられており、 前記中子を前記予備焼結成形体と共に離型後、前記脱バ
    インダ処理工程で前記バインダと共に前記予備焼結成形
    体から溶融除去することを特徴とする焼結品の製造方
    法。
JP6226445A 1994-09-21 1994-09-21 焼結品の射出成形用中子及び該中子を用いた焼結品の製造方法 Pending JPH0892605A (ja)

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