JP2019007422A - エンジンと弁ガイドと弁ガイドの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の発明では、弁ガイドの先端部内で排気中の未然燃料の炭化物が形成されると、この炭化物が先端部内ガイド面に噛み込み、弁ガイド内で弁軸が膠着するおそれがある。
図1(A)または図2(A)に例示するように、排気と吸気の少なくとも一方のポート(1)の弁口(1a)を開閉するポペット弁(2)と、このポペット弁(2)の往復動をガイドする筒状の弁ガイド(3)と、この弁ガイド(3)が挿入されるガイド挿入孔(4)及び上記ポート(1)を有するシリンダヘッド(5)を備えた、エンジンにおいて、
図1(A)または図2(A)に例示するように、弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)を備え、
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備え、
ガイド挿入孔(4)は、ポート(1)側の内底に設けられた底壁(4c)と、弁軸(2a)が挿通される底壁(4c)の弁軸挿通孔(4d)と、弁ガイド(3)の先端(6c)と底壁(4c)の間に設けられる挿入孔内底隙間(4e)を備え、
挿入孔内底隙間(4e)は弁軸挿通孔(4d)の内周と弁軸(2a)の外周の間の弁軸挿通孔内隙間(4f)を介してポート(1)内と連通している、ことを特徴とするエンジン。
請求項6から請求項8のいずれかに記載されたエンジンに用いる弁ガイドであって、弁ガイド(3)は少なくとも請求項6に記載された構成を備えている、ことを特徴とする弁ガイド。
請求項11に記載された弁ガイドの製造方法であって、
図3または図4に例示するように、弁ガイド(3)を金属粉末(9)の焼結で製造するに当たり、
金属粉末(9)の成形時に弁ガイド(3)の内周を形成する樹脂製中子(10)を用い、金属粉末(9)の焼結時の熱で、樹脂製中子(10)を溶融または熱分解させて、樹脂製中子(10)を弁ガイド(3)の焼結品から除くことを特徴とする弁ガイドの製造方法。
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 先端部(6)内での炭化物の発生が抑制される。
図1(A)または図2(A)に例示するように、ポート(1)を通過する排気や吸気が弁ガイド(3)の先端部(6)に衝突しにくく、弁ガイド(3)の先端部(6)内での炭化物の発生が抑制される。
図1(A)または図2(A)に例示するように、弁軸(2a)の摺動熱が挿入孔内底隙間(4e)内の排気や吸気に放熱されても、放熱を受けて高温になった排気や吸気が対流により弁軸挿通孔内隙間(4f)を介してポート(1)内の比較的低温の排気や吸気と入れ替わり、弁軸(2a)の放熱が促進される。
請求項11に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 弁ガイド(3)内での弁軸(2a)の膠着が抑制される。
図1(A)に例示するように、弁ガイド(3)の先端部(6)内で排気中の未燃燃料や吸気中のブローバイガスやEGRガスの成分が炭化物となっても、この炭化物は、中間部内凹入部(7b)に排出され、炭化物が先端部内ガイド面(6a)に噛み込み難く、弁ガイド(3)内での弁軸(2a)の膠着が抑制される。
請求項12に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 外周に凸部がある樹脂製中子(10)が簡単に除去される。
図3または図4に例示するように、樹脂製中子(10)の外周に凸部があっても、弁ガイド(3)の焼結品から外周に凸部がある樹脂製中子(10)が簡単に除去される。
図1(A)に示すように、この立形ディーゼルエンジンは、排気(及び吸気)のポート(1)の弁口(1a)を開閉するポペット弁(2)と、このポペット弁(2)の往復動をガイドする弁ガイド(3)と、この弁ガイド(3)が挿入されるガイド挿入孔(4)及び上記ポート(1)を有するシリンダヘッド(5)を備えている。
この種のエンジンによれば、ポペット弁(2)の往復動を弁ガイド(3)でスムーズにガイドすることができる利点がある。
この実施形態では、排気のポートも吸気のポートも同じ構造であり、以下の説明では、特に断らない限り、ポート(1)は排気のポート、吸気のポートのいずれをも意味する。
ポート(1)の開口端には円環形の弁座(1f)が内嵌され、弁座(1f)内に弁口(1a)が開口されている。
このエンジンは、ポペット弁(2)の弁軸(2a)に取り付けられたスプリングリテーナ(11)と、スプリングリテーナ(11)とシリンダヘッド(5)のスプリング座(5b)の間に配置されたバルブスプリング(12)と、弁軸(2a)に当接されたロッカアーム(13)と、弁ガイド(3)の基端(8b)に外嵌された弁軸シール(14)を備え、バルブスプリング(12)の付勢力で、弁頭(2c)の弁面(2d)が弁座(1f)に着座し、ロッカアーム(13)の押圧力により、バルブスプリング(12)の付勢力に抗して、ポペット弁(2)が下降し、ポペット弁(2)が開く。
図1(A)に示すように、弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)を備えている。
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備えている。
挿入孔内底隙間(4e)は弁軸挿通孔(4d)の内周と弁軸(2a)の外周の間の弁軸挿通孔内隙間(4f)を介してポート(1)内と連通している。
なお、底壁(4c)を設ける分だけ、弁ガイド(3)をポート(1)と反対側にスライドさせ、スプリング座(5b)を無くしまたは浅くすることもできる。
タンジェンシャル吸気ポートとは、シリンダ中心軸線と平行な向きに見て、シリンダの接線方向に方向付けられた吸気ポートをいう。
このため、この実施形態では、図1(A)に示すように、弁ガイド(3)の先端部(6)内で排気中の未燃燃料や吸気中のブローバイガスやEGRガスの成分が炭化物となっても、この炭化物は、中間部内凹入部(7b)に排出され、炭化物が先端部内ガイド面(6a)に噛み込み難く、弁ガイド(3)内での弁軸(2a)の膠着が抑制される。
このため、この実施形態では図1(A)(B)に示すように、円環状の中間部内凹入部(7b)内には多量の炭化物が収容される。
弁ガイド(3)の軸長方向は、上下方向に向けられ、上側が弁ガイド(3)の基端部(8)とされ、下側が弁ガイド(3)の先端部(6)とされている。
このため、この実施形態では、図1(A)(B)に示すように、弁軸(2a)の摺動熱を受けた中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、中間部(7)を介してシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱が促進される。
このため、この実施形態では、図1(A)に示すように、中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、中間部(7)の外周面からガイド挿入孔(4)の内周面を介してシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱効率が高い。
このため、この実施形態では、図1(A)に示すように、中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、ウォータージャケット(5a)を通過するエンジン冷却水で強力に冷却されるシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱効率が高い。
ポペット弁(2)の露出弁軸部分(2b)の外周面は、単一径とされている。
図2(A)に示すように、中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の軸長方向となる上下方向にも所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上下方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)(7b)の間にも設けられ、上下方向にも複数配置されている。
図3に示すように、この製造方法では、弁ガイド(3)を金属粉末(9)の焼結で製造するに当たり、金属粉末(9)の成形時に弁ガイド(3)の内周を形成する樹脂製中子(10)を用いる。
次に、金属粉末(9)の焼結時の熱で、樹脂製中子(10)を溶融または熱分解させて、樹脂製中子(10)を弁ガイド(3)の焼結品から除く。
金属粉末(9)の成形には、金型(15)によるプレス成形がなされる。金型(15)は金属粉末(9)を充填するキャビティ(15a)と金属粉末(9)をキャビティ(15a)に供給する供給口(15b)を備えたダイ(15c)と、ダイ(15c)の内部で昇降する上下パンチ(15d)(15e)で構成されている。
樹脂製中子(10)には、ナイロン等の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
樹脂製中子(10)に熱可塑性樹脂を用いた場合には、樹脂製中子(10)は、溶融により弁ガイド(3)の焼結品から除かれる。
樹脂製中子(10)に熱硬化性樹脂を用いた場合には、樹脂製中子(10)は、熱分解により弁ガイド(3)の焼結品から除かれる。
樹脂製中子(10)には、ガラス繊維等の繊維で補強したものを用いる。
この樹脂製中子(10)の外周には、先端側から順に、先端部内凹入部(6b)、先端部内ガイド面(6a)、中間部内凹入部(7b)、基端部内ガイド面(8a)を形成するための凹凸が形成されている。
図4に示すように、この製造方法及び効果も、図3に示す製造方法と同じである。
図4中、図3と同一の要素には、図3と同一の符号を付しておく。
この樹脂製中子(10)の外周には、先端側から順に、先端部内凹入部(6b)、先端部内ガイド面(6a)、3組の中間部内凹入部(7b)及び中間部内ガイド面(7a)、基端部内ガイド面(8a)を形成するための凹凸が形成されている。
Claims (12)
- 排気と吸気の少なくとも一方のポート(1)の弁口(1a)を開閉するポペット弁(2)と、このポペット弁(2)の往復動をガイドする筒状の弁ガイド(3)と、この弁ガイド(3)が挿入されるガイド挿入孔(4)及び上記ポート(1)を有するシリンダヘッド(5)を備えた、エンジンにおいて、
弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)を備え、
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備え、
ガイド挿入孔(4)は、ポート(1)側の内底に設けられた底壁(4c)と、弁軸(2a)が挿通される底壁(4c)の弁軸挿通孔(4d)と、弁ガイド(3)の先端(6c)と底壁(4c)の間に設けられる挿入孔内底隙間(4e)を備え、
挿入孔内底隙間(4e)は弁軸挿通孔(4d)の内周と弁軸(2a)の外周の間の弁軸挿通孔内隙間(4f)を介してポート(1)内と連通している、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載されたエンジンにおいて、
ポート(1)は、ポート内面(1b)が弁軸挿通孔(4d)に向けて凹入されたポート内凹入部(1c)を備え、弁軸挿通孔内隙間(4f)は、ポート内凹入部(1c)を介してポート(1)内と連通している、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載されたエンジンにおいて、
ポート(1)は、ガイド挿入孔(4)が設けられる位置で、ポート壁内周面(1d)からポート(1)内に突出するボス(1e)を備え、ボス(1e)の突出端面(1g)が凹入されたポート内凹入部(1c)を備えている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ポート(1)はタンジェンシャル吸気ポートを備え、ポート内凹入部(1c)は、タンジェンシャル吸気ポートに設けられている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
弁ガイド(3)は、その内周に、摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備え、ガイド内凹入部(3b)は、弁ガイド(3)の先端部(6)に設けられた先端部内凹入部(6b)を備え、先端部内凹入部(6b)は、挿入孔内底隙間(4e)に向けて開口される先端開口(6d)を備えている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
弁ガイド(3)は、その内周に、摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備え、ガイド内凹入部(3b)は、弁ガイド(3)の中間部(7)に設けられた中間部内凹入部(7b)を備えている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項6に記載されたエンジンにおいて、
中間部内凹入部(7b)は、円環状に形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項6または請求項7に記載されたエンジンにおいて、
中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の軸長方向となる上下方向にも所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上下方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)(7b)の間にも設けられ、上下方向にも複数配置されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
弁ガイド(3)の先端部(6)は、ガイド挿入孔(4)に内嵌され、ガイド挿入孔(4)の内周面と弁ガイド(3)の先端部(6)の外周面の間にポート(1)に向けて開口される先端部外隙間(4a)が形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ポペット弁(2)の全開時にポート(1)内に露出するポペット弁(2)の露出弁軸部分(2b)の外周面は、段差なく形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項6から請求項8のいずれかに記載されたエンジンに用いる弁ガイドであって、
弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)を備え、
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備え、
更に、弁ガイド(3)は、その内周に、摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備え、ガイド内凹入部(3b)は、弁ガイド(3)の中間部(7)に設けられた中間部内凹入部(7b)を備えている、ことを特徴とする弁ガイド。 - 請求項11に記載された弁ガイドの製造方法であって、
弁ガイド(3)を金属粉末(9)の焼結で製造するに当たり、
金属粉末(9)の成形時に弁ガイド(3)の内周を形成する樹脂製中子(10)を用い、金属粉末(9)の焼結時の熱で、樹脂製中子(10)を溶融または熱分解させて、樹脂製中子(10)を弁ガイド(3)の焼結品から除く、ことを特徴とする弁ガイドの製造方法。
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