JPH0666117A - 内燃機関のバルブガイド - Google Patents

内燃機関のバルブガイド

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JPH0666117A
JPH0666117A JP21294092A JP21294092A JPH0666117A JP H0666117 A JPH0666117 A JP H0666117A JP 21294092 A JP21294092 A JP 21294092A JP 21294092 A JP21294092 A JP 21294092A JP H0666117 A JPH0666117 A JP H0666117A
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valve
copper
valve guide
alloy powder
based alloy
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Yoshihiko Ito
与志彦 伊藤
Yoshio Fuwa
良雄 不破
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は内燃機関の給排気バルブの耐摩耗性
および耐焼き付き性を向上させる内燃機関のバルブガイ
ドに関し、熱伝導率が高く、かつ十分な空孔を有し、バ
ルブの耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させることを
目的とする。 【構成】 バルブガイド10を、鉄系合金粉11、銅系
合金粉12および硬質粒子13の焼結体で構成する。鉄
系合金11と銅系合金12との間に十分な結合が得られ
る焼結温度より、銅系合金粉12の融点を高くするため
約28wt%のNiを銅系合金粉12中に添加する。バル
ブガイド10は固相焼結で形成され、摺動面に多数の空
孔を有する。また、鉄系合金粉11と銅系合金粉12と
の重量配合比を6:4〜4:6とする。このため、バル
ブガイドは良好な含油率と熱伝導率を兼ね備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関のバルブガイド
に係り、特に給排気バルブのバルブステム部の耐摩耗性
および耐焼き付き性を向上させる内燃機関のバルブガイ
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関を高回転化させるには、吸排気
バルブ等の動弁系を軽量化するのが一般的な手法とされ
ている。このため、従来より吸排気バルブの母材にチタ
ン(Ti)合金を用いたものが注目されている。
【0003】しかし、給排気バルブの形状に成形したま
まのTi合金では、バルブとしての表面硬さが不足して
いる。すなわち、成形したままのTi合金では、バルブ
ガイドとして一般に使用されている鋳鉄または鉄系焼結
材に対して十分な耐摩耗性および耐焼き付き性が確保で
きない。
【0004】このため、一般には図9(A)に示すよう
に、Ti合金製給排気バルブ1のバルブステム部1a表
面にモリブデンを溶射したり、窒化処理やクロムメッキ
処理を施す方法が採られている。このような処理を施す
ことによりTiの表面硬度が高まり、給排気バルブとし
て十分な硬度を得ることができる。
【0005】しかし、これらの処理はいずれも、高価な
原料を用い、かつその工程が量産向きでないことから、
給排気バルブの大幅なコストアップを引き起こしてしま
い、Ti合金バルブ1の量産車両への適用の障害となっ
ている。
【0006】そこで、このようなバルブとしてTi合金
バルブを低コストで実用化するため、バルブガイド側を
改質して、耐摩耗性等の向上を図った動弁系構造が多数
提案されている(特開昭62−199704号公報
等)。
【0007】図9(B)は、動弁系の構成断面図を示
す。同図中、符号2は内燃機関の本体を示し、また符号
3は、吸排気バルブ1を摺動可能に保持するバルブガイ
ドを示している。このバルブガイド3は主に鉄系合金の
焼結材で構成され、例えば銅系合金を溶浸させたり、銅
系合金粉を混合して焼結したりすることにより、Ti合
金バルブの耐摩耗製等の向上が図られている。
【0008】つまり、バルブガイド3に、熱伝導性に優
れた銅系合金を含有させると、バルブガイド3の放熱性
が向上し、定常運転時におけるバルブ1の温度を低く保
持することができる。このため、バルブ1の摩耗が抑制
されると共に、バルブ1とバルブガイド3との焼き付き
も起こりにくくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の構
造のバルブガイドのうち、例えばバルブガイドに銅系合
金を溶浸させたものは、バルブガイドの主材である鉄系
合金の焼結材が有する空孔が、銅系合金で埋められた状
態となる。このため、バルブガイドの含油効果が著しく
低下し、バルブとバルブガイドとの間に十分な潤滑油を
保持することができなくなる場合がある。
【0010】同様に、一般的な鉄系合金粉と銅系合金粉
との混合粉を焼結させた場合も、焼結材に十分な空孔を
確保することが難しい。すなわち、鉄系合金の融点と銅
系合金の融点との間には一般に大きな差があり、これら
の粉末を混合して焼結する場合、両者の結合を十分に確
保できる焼結温度は、銅系合金の融点より高い温度とな
るからである。
【0011】つまり、一般的な鉄系合金粉と銅系合金粉
との焼結反応は、銅系合金が溶融した状態で行われる液
相焼結となり、焼結後の空孔率が、鉄系合金単独の焼結
材に比べて著しく低下する。このため、上記の銅系合金
を溶浸した場合と同様に、バルブガイドの含油率が低下
し、バルブとバルブガイドとの間に十分な潤滑作用が得
られなくなる場合がある。
【0012】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、熱伝導率が高く、かつ十分な空孔を有し、バル
ブの耐摩耗性および耐焼き付き性を向上させる内燃機関
のバルブガイドを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、鉄系合金
粉と、26乃至30wt%のNiを含有する銅系合金粉と
が重量配合比4:6乃至6:4の割合で混合された焼結
材からなる内燃機関のバルブガイドにより解決される。
【0014】
【作用】上記の構成によれば、前記銅系合金粉の融点
は、前記鉄系合金粉と前記銅系合金粉との間に十分な原
子間結合を生じさせる焼結温度より高温となる。このた
め前記鉄系合金粉と前記銅系合金粉とは、共に固相状態
で焼結される。従って、前記バルブガイドは、前記鉄系
合金の相と前記鉄系合金の相とが均一に分散した焼結体
で構成される。
【0015】このため、前記バルブガイドの表面には多
数の空孔が存在し、十分な含油率が確保されることか
ら、バルブステムとバルブガイドの金属接触による摺動
抵抗が小さく抑えられる。また、バルブステムとバルブ
ガイドが金属接触して凝着しても、凝着が異種合金相に
は拡大しないため、摺動方向にその凝着が拡大すること
がなく、バルブステムとバルブガイドとの焼き付きが防
止される。
【0016】
【実施例】図1は本発明に係る内燃機関のバルブガイド
の一実施例の構成図を示す。以下、同図に沿って本実施
例のバルブガイドの構成について説明する。
【0017】同図(A)の概略図に示すように、本実施
例のバルブガイド10は、上記した従来のバルブガイド
3と同様に、内燃機関本体2内の所定の部位に設けられ
た筒状の部材で、その内部にはTi合金バルブ1のバル
ブステム部1aが挿入される。
【0018】また、同図(B)は、Ti合金バルブ1を
バルブガイド10に挿入した際の、両者の界面(同図
(A)中、B部)の拡大図である。同図に示すように、
バルブガイド10は、鉄系合金粉11、銅系合金粉1
2、硬質粒子13がそれぞれ独立した相として存在して
いる。
【0019】この鉄系または銅系合金および硬質粒子の
各相は、それぞれの粒子自体で形成され、本実施例にお
いては、その大きさが約150μm とされている。この
ようにバルブガイド10は、鉄系合金粉11、銅系合金
粉12および硬質粒子13が均一に分散された構造の焼
結物で構成されている。尚、バルブガイド10のTi合
金バルブ1との摺動面は、10μmRz 以下に処理されて
いる。
【0020】従って、同図(B)に示すように、バルブ
ガイド10の内部および表面には多数の空孔が存在し、
その中には潤滑油14が浸透している。このため、Ti
合金バルブ1とバルブガイド10との間には、摺動面全
面に渡って潤滑油14の膜が形成される。
【0021】この潤滑油14の膜は、Ti合金バルブ1
がバルブガイド10内を摺動する際の金属接触を抑制
し、両者の間に生じる摩擦を少なくするように作用す
る。この結果、従来のバルブガイド3を用いた動弁系と
比べて内燃機関の運転時におけるTi合金バルブ1の温
度が低く維持される。
【0022】また、上記したように、バルブガイド10
の摺動面には3種の異種合金が均一に分散されている。
このため、仮にTi合金バルブ1とバルブガイド10と
が凝着しても、Ti合金バルブ1の摺動時にその凝着が
拡大することはない。つまり、異種合金相間にまたがっ
た凝着の拡大は起こり難く、凝着の拡大は異種合金の境
界で遮断される。
【0023】このように、本実施例のバルブガイド10
によれば、Ti合金バルブ1とバルブガイド10との摩
擦を少なくすることにより、Ti合金バルブ1の摩耗量
および温度上昇が抑制されると共に、凝着の拡大も抑制
される。従って、このバルブガイド10を用いることに
より、良好な耐摩耗性および耐焼き付き性を確保するこ
とができる。尚、本実施例においては、Ti合金バルブ
1のバルブステム部1aは、2μmRz 以下の表面粗さに
仕上げられている。
【0024】次に、上記のバルブガイド10を構成する
各合金組成等について説明する。上記の鉄系合金粉11
は、鉄(Fe)、0.6〜1.1wt%の炭素(C)およ
び7〜10wt%のコバルト(Co)で構成される。
【0025】ここで、鉄と固溶して鉄を硬化させる元素
として知られるCの含有率は、焼結によりTi合金バル
ブ1を形成する際に、鉄系合金粉の内部に微細なパーラ
イトまたはベイナイト組織を形成し、かつそれらの中に
オーステナイト相を形成させるため、Fe−Cの共析点
である0.8wt%近傍に設定している。
【0026】また、鉄系合金の高温強度を向上させる元
素として知られるCoの含有率は、上記のオーステナイ
ト相中にCoを固溶させるための必要量として公知の量
である7wt%を下限とし、Co添加による強度向上効果
の飽和傾向と価格との兼ね合いから、10wt%を上限と
している。
【0027】次に、銅系合金粉12の成分について説明
する。銅系合金粉12は、銅(Cu)、26〜30wt%
のニッケル(Ni)、0.5〜1.5wt%のシリコン(
Si) 及び0.05〜0.5wt%のリン(P)で構成さ
れる。
【0028】ところで、本実施例のバルブガイド10に
おいては、上記の鉄系合金粉11を良好に焼結させるた
め、焼結温度を1100〜1150℃に設定している。
このため、Ti合金バルブ1を固相焼結で得るために
は、銅系合金粉12の融点を1150℃より高い温度に
設定する必要がある。
【0029】また、図2は、Cu−Ni系合金の状態図
を示す。同図に示すように、NiはCu中に全率固溶
し、Niの固溶率が高いほど融点が上昇し、28wt%程
度Niを含有する銅系合金の融点は、約1150℃とな
る。
【0030】つまり、銅系合金12が約28wt%のNi
を含有する場合、その融点がバルブガイド10の焼結温
度の上限である1150℃より低くなり、固相状態が維
持されたまま焼結が行われる。一方、後述する理由によ
り、銅系合金中のNi含有率は、できるだけ低い方が強
度上有利であるため、本実施例の銅系合金粉におけるN
i含有率は、28wt%を中央値として26〜30wt%に
設定されている。
【0031】図3は、Cu−Ni2 Si系合金の状態図
を示す。同図中、固相線(破線)と全率固溶線(一点鎖
線)とに囲まれたα相は、Cu中にNi2 Siを構成す
るNiとSiとが全率固溶する領域である。このため、
同図中、矢線に示すように、Cuに対するNi2 Siの
割合が8.2wt%以下の領域で、銅系合金を液相から急
冷すると、この合金はα相を経た後にα+Ni2 Si相
に到達する。
【0032】このとき、α相においてはNiもSiも全
率固溶しているため、当然Ni2 Siは生成されない。
α相から更に冷却されると、全率固溶線に沿ってNi2
Siが析出するはずであるが、この冷却が急冷である
と、Ni2 Siの析出が間に合わず、Cu中にNiとS
iが過飽和に固溶した状態で凝固が行われる。
【0033】このため、次いで、この銅系合金を固相領
域内の所定温度に昇温して焼き戻しを行うと、過飽和に
固溶していたNiとSiとが微細に析出して、銅系合金
中全域にNi2 Si粒子が均一に分散された状態とな
る。
【0034】一般に、金属の変形は、金属結晶格子が金
属内を移動することで起こる。このため、上記の銅系合
金のように、多数の析出物を均一に含有する金属では、
金属結晶格子がずれるのに余分なエネルギを必要とす
る。従って、Ni2 Siの析出物を含有する銅系合金
は、それらを含有しないものに比べて変形しにくい固い
合金となる。
【0035】尚、上記したように本実施例の銅系合金に
おいては、Ni含有率を26〜30wt%として、所望の
融点を得るための最小限の量としている。これは、仮
に、Niを必要以上に添加すると、全体としてCuの割
合が減り、急冷時に過飽和するNiとSiの割合が減る
と共に、銅系合金12中にNi単体の相が生成してしま
うためである。
【0036】また、液相状態の銅系合金のNi2 Si含
有率が、8.2wt%を越えている場合は、急冷時にα相
を経ずにα+Ni2 Si相に移行するため、余分なNi
2 Siが析出して、銅系合金中にNi2 Si単体の相が
生成してしまう。
【0037】このように、銅系合金中にNiやNi2
i単体の相が生成されると、合金としての均一性が悪化
し、所望の熱伝導率が得られなくなったり、焼結材の強
度不良等の原因となることがある。
【0038】さて、上記した理由から、銅系合金中に含
まれるNi2 Siは8.2wt%以内にしなければならな
い。すでに、Niの含有率は決まっているので、Ni2
Siの含有率が8.2wt%以内になるように、Siの含
有率を適当に設定する必要がある。
【0039】図4は、Cu−Ni−Si三元合金系の状
態図を示す。同図に示すように、26〜30wt%のNi
を含有する場合、Ni2 Siの生成量が8.2wt%以下
となるSi含有量は1.5wt%以下となる。また、Si
の含有量が微量すぎると、Ni2 Siの析出による銅系
合金の焼き戻し効果が得られないため、本実施例の銅系
合金粉12においては、Si含有量の下限値を0.5wt
%としている。
【0040】また、上記したように銅系合金粒子12に
は、更に、0.05〜0.5wt%のPが混入されてい
る。このPは、Cu中に固溶してCuを硬化させると共
に、Cu3 Pを生成、分散してCuを硬化させる元素と
して知られており、従来より上記の範囲でCu中に添加
することにより効果的に銅系合金の強度を高め得ること
が知られている。
【0041】尚、本実施例の銅系合金粉12は、合金の
内部にNi2 Siを析出させるため、まず1250℃で
焼き入れされ、次いで、常温領域まで急冷された後50
0℃で1h 焼き戻しが行われる。
【0042】上記したように、鉄系合金粉11および銅
系合金粉12には、それぞれ硬度を高めるための処理が
施されている。このため、これらの合金11、12に
は、高温環境下でバルブと摺動するバルブガイドの材料
に適した良好な耐摩耗性が確保される。
【0043】本実施例のバルブガイド10は、上記の鉄
系合金粉11、銅系合金粉12をそれぞれ重量比6:4
乃至4:6で混合し、補強材としてFeMo等からなる
硬質粒子13を5〜15wt%添加して得られた合金粉を
焼結させることにより得られる。また、この焼結は、上
記の混合粒子を密度約6.9g/cm3 で所定形状に成形
し、1100〜1150℃のアンモニア分解ガス中で1
5min 程度焼成することにより行われる。
【0044】このように、バルブガイド10の焼結が銅
系合金12の融点より低い温度で行われるため、バルブ
ガイド10の焼結中に銅系合金粉12が溶融してしまう
ことがない。すなわち、本実施例のバルブガイド10
は、鉄系合金と銅系合金の固相焼結により得ることがで
きる。
【0045】従って、上記の図1に示すように、バルブ
ガイド10は鉄系合金粉11、銅系合金粉12および硬
質粒子13の集合体となり、表面および内部に多数の空
孔を有する構造となる。
【0046】図5は、鉄系合金粉11と銅系合金粉12
の混合比を決めるために行った実験の結果を表す図を示
す。この実験は、鉄系合金11と銅系合金12とを焼結
させることにより得られた焼結材と、Ti合金バルブ1
の構成材であるTi−6Al−4Vとを潤滑油の存在下
で摺動させ、焼き付き荷重を測定することにより行われ
ている。
【0047】すなわち、まず、鉄系合金11と銅系合金
12の配合比を変えてリング状の焼結材を作成する。次
に、それぞれのリングを、潤滑油を給油しながらTi−
6Al−4V製プレート上で一定回転速度で摺動回転さ
せる。そして、両者を押しつける荷重を徐々に上昇さ
せ、焼き付き発生時の荷重検出を行う。
【0048】この結果、同図に示すように、鉄系合金粉
11と銅系合金粉12との重量配合比が7:3〜3:7
の範囲で、高いレベルの焼き付き発生荷重が得られ、特
にそれらの重量配合比が6:4〜4:6の範囲では安定
してピーク値近傍の焼き付き発生荷重が得られる。つま
り、高温強度に優れた鉄系合金11と、放熱性に優れた
銅系合金12とがほぼ等量均一に存在する場合に、良好
な耐焼き付き性が得られることが判明した。
【0049】図6は、鉄系合金粉11、銅系合金粉12
および硬質粒子13の配合比の異なる焼結材、およびバ
ルブガイドとして従来一般的に用いられている鋳鉄(F
C20)の硬度と密度を、各合金粉の成分比率等と共に
表した図表を示す。
【0050】この図表中、TP1 〜TP4 は鉄系合金1
1と銅系合金12とが上記の配合比、つまり6:4〜
4:6の重量配合比内で調合されている。TP5 、TP
6 は上記の範囲から外れており、TP7 は鋳鉄を示して
いる。
【0051】図7は、上記のTP1 〜TP7 について、
焼き付き発生荷重検出試験を行った結果を表している。
同図に示すように、鉄系合金11と銅系合金12との配
合比が所定の範囲内にないTP5 およびTP6 は、TP
7 の鋳鉄に比べると焼き付き発生荷重が高いが、TP1
〜TP4 と比較すると明らかに、低い荷重で焼き付きが
発生することが判る。
【0052】上記の実験結果から、本実施例のバルブガ
イド10における鉄系合金11と銅系合金12との重量
配合比は、6:4〜4:6に設定されている。このた
め、本実施例のバルブガイド10と、Ti合金バルブ1
のバルブステム部1aとの間には、良好な耐焼き付き性
が確保されている。
【0053】また、図8は硬質粒子13の添加量を決め
るために行った実験の結果を表す図を示す。硬質粒子1
3は、主にバルブガイド10の耐摩耗性を調整するため
に添加される物質で、Ti合金バルブ1の硬度との兼ね
合いで、適当な添加量を決定する必要がある。
【0054】この実験は、所定の配合比で混合された鉄
系合金粉11と銅系合金粉12との混合物を基に、硬質
粒子13の添加量を変えてリング状焼結物を作成し、そ
れらをTi−6Al−4V製プレート上で回転させ、リ
ングおよびプレートの摩耗量を測定することにより行わ
れる。
【0055】尚、摩耗量の測定は、リングの回転速度お
よびリングとプレートとの押しつけ荷重を一定として、
1cc/minの割り合いで潤滑油を滴下しながら約30min
回転摺動を行った後に行う。
【0056】この結果、同図(A)に示すように、硬質
粒子13の添加量が5〜15wt%の範囲にある場合は、
バルブガイド材の摩耗量が小さく抑制されることが判
る。また、同図(B)に示すように、バルブステム材の
摩耗量は、硬質粒子13の添加量が増えるに従って増加
する傾向にあることが判る。
【0057】そこで、本実施例のバルブガイド10にお
いては、バルブガイド10の摩耗量とバルブステム1a
の摩耗量との調和をとる必要があることから、銅系合金
粉12中の硬質粒子13を5〜15wt%とした。このた
め、本実施例のバルブステム部1aとバルブガイド10
とは、互いに良好な耐摩耗性を有している。
【0058】このように、本実施例のバルブガイド10
は、主要構成物質として硬質の銅系合金を含有している
ため、良好な熱伝導性を耐摩耗性を有している。更に、
銅系合金を固相焼結させていることから、その表面およ
び内部に多数の空孔が存在し、含油効果に優れている。
このため、このバルブガイド10と摺動するバルブステ
ム部の摩耗と昇温が抑制される。
【0059】従って、本実施例のバルブガイドを用いる
ことにより、表面硬化処理を施していないTi合金バル
ブ1を動弁系に適用することが可能となり、安価に動弁
系を軽量化することができる。
【0060】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、バルブガ
イドが、鉄系合金粉と銅系合金粉との固相焼結により得
られた焼結材で構成される。このため、本発明に係るバ
ルブガイドは、鉄系のバルブガイドに比べて著しく優れ
た熱伝導性を有し、かつ、鉄系のバルブガイドを同等の
空孔を摺動面に有している。このため、本発明に係るバ
ルブガイドは、摺動するバルブの摩耗および昇温を抑制
し、バルブの耐摩耗性および耐焼き付き性が向上したの
と同様の効果を発揮する。
【0061】従って、本発明に係るバルブガイドを用い
ることにより、表面硬化処理が施されていないTi合金
バルブを動弁系に適用することが可能となり、Ti合金
バルブの適用による動弁系の軽量化を安価に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関のバルブガイドの一実施
例の構成図である。
【図2】Cu−Ni系合金の二元状態図である。
【図3】Cu−Ni2 Si系合金の二元状態図である。
【図4】Cu−Ni−Si系合金の三元状態図である。
【図5】本実施例のバルブガイドを構成する鉄系合金と
銅系合金との配合比と焼き付き発生荷重との関係を表す
図である。
【図6】本実施例のバルブガイドを構成する各合金の配
合比を決める実験に用いたテストサンプルにおける各合
金の配合比および成分比率を表す図表である。
【図7】本実施例のバルブガイドを構成する各合金の配
合比を決める実験の結果を表す図である。
【図8】本実施例のバルブガイド中に添加する硬質粒子
の添加量を決める実験の結果を表す図である。
【図9】従来のバルブおよびバルブガイドの構成を表す
図である。
【符号の説明】
1 Ti合金バルブ 1a バルブステム部 2 内燃機関本体 10 バルブガイド 11 鉄系合金粉 12 銅系合金粉 13 硬質粒子 14 潤滑油

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系合金粉と、26乃至30wt%のNi
    を含有する銅系合金粉とが重量配合比4:6乃至6:4
    の割合で混合された焼結材からなることを特徴とする内
    燃機関のバルブガイド。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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