JP6815706B2 - エンジン - Google Patents
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Description
特許文献1の発明では、弁ガイドの先端部内で排気中の未然燃料の炭化物が形成されると、この炭化物が先端部内ガイド面に噛み込み、弁ガイド内で弁軸が膠着するおそれがある。
図1(A)または図2(A)に例示するように、弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)と、この摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備え、
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備え、
ガイド内凹入部(3b)は、中間部(7)に設けられた中間部内凹入部(7b)を備え、中間部(7)は、ガイド挿入孔(4)に内嵌され、
ポート(1)は、ポート内面(1b)がガイド挿入孔(4)のポート側開口(4b)に向けて凹入されたポート内凹入部(1c)を備え、弁ガイド(3)の先端(6c)がポート内凹入部(1c)内に臨んでいる、ことを特徴とするエンジン。
《効果》 弁ガイド(3)内での弁軸(2a)の膠着が抑制される。
図1(A)または図2(A)に例示するように、弁ガイド(3)の先端部(6)内で排気中の未燃燃料や吸気中のブローバイガスやEGRガスの成分が炭化物となっても、この炭化物は、中間部内凹入部(7b)内に排出され、炭化物が先端部内ガイド面(6a)に噛み込み難く、弁ガイド(3)内での弁軸(2a)の膠着が抑制される。
図1(A)(B)または図2(A)(B)に例示するように、弁軸(2a)の摺動熱を受けた中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、中間部(7)を介してシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱が促進される。
《効果》 弁ガイド(3)の先端部(6)内での炭化物の発生が抑制される。
ポート(1)を通過する排気や吸気が弁ガイド(3)の先端部(6)に衝突しにくく、弁ガイド(3)の先端部(6)内での炭化物の発生が抑制される。
図1(A)に示すように、この立形ディーゼルエンジンは、排気(及び吸気)のポート(1)の弁口(1a)を開閉するポペット弁(2)と、このポペット弁(2)の往復動をガイドする弁ガイド(3)と、この弁ガイド(3)が挿入されるガイド挿入孔(4)及び上記ポート(1)を有するシリンダヘッド(5)を備えている。
この種のエンジンによれば、ポペット弁(2)の往復動を弁ガイド(3)でスムーズにガイドすることができる利点がある。
この実施形態では、排気のポートも吸気のポートも同じ構造であり、以下の説明では、特に断らない限り、ポート(1)は排気のポート、吸気のポートのいずれをも意味する。
ポート(1)の開口端には円環形の弁座(1f)が内嵌され、弁座(1f)内に弁口(1a)が開口されている。
このエンジンは、ポペット弁(2)の弁軸(2a)に取り付けられたスプリングリテーナ(11)と、スプリングリテーナ(11)とシリンダヘッド(5)のスプリング座(5b)の間に配置されたバルブスプリング(12)と、弁軸(2a)に当接されたロッカアーム(13)と、弁ガイド(3)の基端(8b)に外嵌された弁軸シール(14)を備え、バルブスプリング(12)の付勢力で、弁頭(2c)の弁面(2d)が弁座(1f)に着座し、ロッカアーム(13)の押圧力により、バルブスプリング(12)の付勢力に抗して、ポペット弁(2)が下降し、ポペット弁(2)が開く。
図1(A)に示すように、弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)と、この摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備えている。
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備えている。
弁ガイド(3)の軸長方向は、上下方向に向けられ、上側が弁ガイド(3)の基端部(8)とされ、下側が弁ガイド(3)の先端部(6)とされている。
このため、この実施形態では、図1(A)(B)に示すように、中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、中間部(7)の外周面からガイド挿入孔(4)の内周面を介してシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱効率が高い。
このため、この実施形態では、図1(A)に示すように、中間部内凹入部(7b)内の炭化物の熱は、ウォータージャケット(5a)を通過するエンジン冷却水で強力に冷却されるシリンダヘッド(5)に放熱され、炭化物の放熱効率が高い。
このため、この実施形態では、図1(A)(B)に示すように、円環状の中間部内凹入部(7b)内には多量の炭化物が収容される。
なお、先端部内凹入部(6b)は、弁ガイド(3)内の周方向に連続する円環状のものであってもよい。
ポペット弁(2)の露出弁軸部分(2b)の外周面は、単一径とされている。
このため、この実施形態では、図1(A)に示すように、ポート(1)を通過する排気や吸気が弁ガイド(3)の先端部(6)に衝突しにくい。
タンジェンシャル吸気ポートとは、シリンダ中心軸と平行な向きに見て、シリンダの接線方向に方向付けられた吸気ポートをいう。
スワールポートに比べ、ポート中心の吸気流量が多いタンジェンシャルポートは、ブローバイガスやEGRガスを含む吸気が弁ガイド(3)の先端部(6)の対面を多く通過し、弁ガイド(3)の先端部(6)内で炭化物が発生しやすい傾向があるが、この実施形態では、吸気が弁ガイド(3)の先端部(6)に衝突しにくい構造が採用され、先端部(6)での炭化物の発生が大幅に低減され、 弁ガイド(3)の先端部(6)内での炭化物の発生抑制機能が顕在化する。
図2(A)(B)に示すように、摺動ガイド面(3a)は、中間部(7)に設けられた中間部内ガイド面(7a)を備えている。
中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の周方向に所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上記周方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)・(7b)の間に設けられ、上記周方向に複数配置されている。
図2(A)に示すように、中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の軸長方向となる上下方向に所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上下方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)・(7b)の間に設けられ、上下方向に複数配置されている。
図3に示すように、この製造方法では、弁ガイド(3)を金属粉末(9)の焼結で製造するに当たり、金属粉末(9)の成形時に弁ガイド(3)の内周を形成する樹脂製中子(10)を用いる。
次に、金属粉末(9)の焼結時の熱で、樹脂製中子(10)を溶融または熱分解させて、樹脂製中子(10)を弁ガイド(3)の焼結品から除く。
金属粉末(9)の成形には、金型(15)によるプレス成形がなされる。金型(15)は金属粉末(9)を充填するキャビティ(15a)と金属粉末(9)をキャビティ(15a)に供給する供給口(15b)を備えたダイ(15c)と、ダイ(15c)の内部で昇降する上下パンチ(15d)(15e)で構成されている。
樹脂製中子(10)には、ナイロン等の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
樹脂製中子(10)に熱可塑性樹脂を用いた場合には、樹脂製中子(10)は、溶融により弁ガイド(3)の焼結品から除かれる。
樹脂製中子(10)に熱硬化性樹脂を用いた場合には、樹脂製中子(10)は、熱分解により弁ガイド(3)の焼結品から除かれる。
樹脂製中子(10)には、ガラス繊維等の繊維で補強したものを用いる。
この樹脂製中子(10)の外周には、先端側から順に、先端部内凹入部(6b)、先端部内ガイド面(6a)、中間部内凹入部(7b)、基端部内ガイド面(8a)を形成するための凹凸が形成されている。
図4に示すように、この製造方法及び効果も、図3に示す製造方法と同じである。
図4中、図3と同一の要素には、図3と同一の符号を付しておく。
この樹脂製中子(10)の外周には、先端側から順に、先端部内凹入部(6b)、先端部内ガイド面(6a)、3組の中間部内凹入部(7b)及び中間部内ガイド面(7a)、基端部内ガイド面(8a)を形成するための凹凸が形成されている。
Claims (12)
- 排気と吸気の少なくとも一方のポート(1)の弁口(1a)を開閉するポペット弁(2)と、このポペット弁(2)の往復動をガイドする筒状の弁ガイド(3)と、この弁ガイド(3)が挿入されるガイド挿入孔(4)及び上記ポート(1)を有するシリンダヘッド(5)を備えた、エンジンにおいて、
弁ガイド(3)は、その内周に、ポペット弁(2)の弁軸(2a)をガイドする摺動ガイド面(3a)と、この摺動ガイド面(3a)よりも弁ガイド(3)の径方向外側に凹入されたガイド内凹入部(3b)を備え、
摺動ガイド面(3a)は、弁ガイド(3)のポート(1)側の先端部(6)とその反対側の基端部(8)とこれらの間にある中間部(7)のうち、先端部(6)に設けられた先端部内ガイド面(6a)と、基端部(8)に設けられた基端部内ガイド面(8a)を備え、
ガイド内凹入部(3b)は、中間部(7)に設けられた中間部内凹入部(7b)を備え、中間部(7)は、ガイド挿入孔(4)に内嵌され、
ポート(1)は、ポート内面(1b)がガイド挿入孔(4)のポート側開口(4b)に向けて凹入されたポート内凹入部(1c)を備え、弁ガイド(3)の先端(6c)がポート内凹入部(1c)内に臨んでいる、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1に記載されたエンジンにおいて、
中間部内凹入部(7b)が内設されている中間部(7)の外周面は、ガイド挿入孔(4)の内周面に密着している、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載されたエンジンにおいて、
シリンダヘッド(5)は、エンジン冷却水を通過させるウォータージャケット(5a)を備えている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
中間部内凹入部(7b)は円環状に形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
摺動ガイド面(3a)は、中間部(7)に設けられた中間部内ガイド面(7a)を備え、
中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の周方向に所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上記周方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)・(7b)の間に設けられ、上記周方向に複数配置されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項3または請求項5のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
摺動ガイド面(3a)は、中間部(7)に設けられた中間部内ガイド面(7a)を備え、
中間部内凹入部(7b)は、弁ガイド(3)内の軸長方向となる上下方向に所定間隔を保持して複数配置され、中間部内ガイド面(7a)は、上下方向で隣り合う中間部内凹入部(7b)・(7b)の間に設けられ、上下方向に複数配置されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ガイド内凹入部(3b)は、弁ガイド(3)の先端部(6)内に設けられた先端部内凹入部(6b)を備え、先端部内凹入部(6b)は、先端部内ガイド面(6a)よりも先端(6c)側に設けられ、ポート(1)に向けて開口されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
弁ガイド(3)の先端部(6)は、ガイド挿入孔(4)に内嵌され、ガイド挿入孔(4)の内周面と弁ガイド(3)の先端部(6)の外周面の間にポート(1)に向けて開口される先端部外隙間(4a)が形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ポペット弁(2)の全開時にポート(1)内に露出するポペット弁(2)の露出弁軸部分(2b)の外周面は、段差なく形成されている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
弁ガイド(3)の先端(6c)は、ガイド挿入孔(4)内からポート内凹入部(1c)内に臨んでいる、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ポート(1)は、ガイド挿入孔(4)が設けられる位置で、ポート壁内周面(1d)からポート(1)内に突出するボス(1e)を備え、ボス(1e)の突出端面(1g)が凹入されたポート内凹入部(1c)を備えている、ことを特徴とするエンジン。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
ポート(1)はタンジェンシャル吸気ポートを備え、ポート内凹入部(1c)は、タンジェンシャル吸気ポートに設けられている、ことを特徴とするエンジン。
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