JPH0598308A - 焼結用成形体の脱脂方法 - Google Patents

焼結用成形体の脱脂方法

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JPH0598308A
JPH0598308A JP3289293A JP28929391A JPH0598308A JP H0598308 A JPH0598308 A JP H0598308A JP 3289293 A JP3289293 A JP 3289293A JP 28929391 A JP28929391 A JP 28929391A JP H0598308 A JPH0598308 A JP H0598308A
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degreasing
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organic
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JP3289293A
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English (en)
Inventor
Yutaka Kato
豊 加藤
Tadashi Kato
忠士 加藤
Yasunari Kaneko
泰成 金子
Yoshimitsu Sagawa
喜光 寒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 焼結用粉末と2種以上の有機化合物から成る
有機バインダーとの混練物の射出成形により得られた焼
結用成形体を脱脂する方法であって、前記有機バインダ
ーを実質的に構成する各有機化合物の何れもが抽出され
るように抽出溶剤を選択し、各有機化合物の少なくとも
一部が抽出されるように、該成形体について抽出処理を
行い、次いで加熱によって残りの有機バインダーを成形
体中から除去することを特徴とする。 【効果】 有機バインダーを構成する複数の有機化合物
の何れもが抽出されるように抽出溶剤が選択されている
ことから、成形体中への抽出溶剤の浸透が早く、抽出処
理時間が大幅に短縮される。また前記複数の有機化合物
の何れもが少なくとも一部抽出されていることに関連し
て、残存する有機バインダーの加熱による脱脂処理も効
率よく、迅速に行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス、金属、
サーメット等の焼結用粉末を射出成形法により成形体を
得、脱脂を行った後に、これを焼結処理に付することに
よって焼結製品を製造するに際し、該成形体の脱脂を短
時間で有効に行う脱脂方法に関する。
【0002】
【従来技術】焼結用粉末に有機バインダーを混合し、こ
の混合物を射出成形し、脱脂を行った後に該成形体を焼
結処理することにより焼結製品を製造する方法は、複雑
な形状の製品を製造する方法として有用であり、現在広
く採用されている。ここで、上記有機バインダーは、焼
結用粉末に適当な加熱流動性を与え、射出成形が有効に
行われるために使用する成分や、射出成形によって得ら
れた成形体に形状保持性を与え、その後の工程を円滑に
行うために使用する成分等を含んでおり、通常、複数種
の有機化合物から成っている。
【0003】上記の製造方法において、欠陥のない焼結
製品を得るために最も重要な工程は脱脂工程である。現
在、この脱脂方法としては、射出成形体を加熱し、該成
形体中に含まれている有機バインダーを加熱分解しガス
化する方法、及び、有機溶媒や水等を用いて射出成形体
中に含まれている有機バインダーの一部を抽出除去し、
残った有機バインダーを加熱により除去する方法(特開
昭52−145414号、特開昭57−26105 号、特開平2−1011
01号及び米国特許明細書第 4,765,950号等参照)が現在
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、射出成形
体を加熱することにより脱脂を行う方法では、成形体中
に欠陥を生じないようにするために、有機バインダーの
加熱分解及び蒸発が短時間に集中しないようにする必要
がある。即ち、有機バインダーの加熱分解及び蒸発が短
時間に集中すると、成形体内部に圧力がかかり、割れや
膨れの原因となるのである。従って、この脱脂方法で
は、有機バインダーの加熱分解及び蒸発が徐々に行われ
るように、加熱処理を時間をかけて行なわなければなら
ない。特に、粒径が小さく比表面積の大きい焼結用粉末
を用いる場合、射出成形に際しての加熱流動性を安定し
て確保するためには、多量の有機バインダーを使用する
必要があるため、脱脂に要する時間は益々長くなり、製
造効率上、極めて不利となる。
【0005】また有機溶媒や水等を用いて抽出により脱
脂を行う方法では、溶媒に可溶な有機バインダー中の成
分が溶出し、残った有機バインダー中には空洞が形成さ
れ、この空洞部分が通り道になることによって、残りの
有機バインダーの加熱分解及び蒸発がスムーズに行われ
るので、脱脂に際しての割れや膨れ等が有効に回避され
るという利点がある。然るに、成形体に形状保持性を持
たせるために、抽出除去により全ての有機バインダーを
除去するわけにはいかないので、この方法では、有機バ
インダーを構成する一部の有機化合物について、これを
溶解しないような溶媒を抽出溶剤として使用するように
していた。然しながらこのために、抽出溶剤に不溶の有
機化合物が抵抗として作用し、抽出溶剤の成形体中への
浸透速度が低下し、抽出操作に時間がかかるという問題
がある。また抽出後に残った有機バインダー(即ち、抽
出溶剤に不溶の有機化合物)の加熱分解及び蒸発がスム
ーズに行われず、時間がかかるという点で未だ改良の余
地がある。
【0006】従って、本発明の目的は、射出成形法を用
いて焼結製品を製造するに際し、脱脂を短時間で有効に
行うことが可能な方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、溶剤抽出による脱脂方法を改善し、抽出操
作及びその後の加熱処理による脱脂を、短時間でスムー
ズに行うことが可能な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、焼結用
粉末と2種以上の有機化合物から成る有機バインダーと
の混練物の射出成形により得られた焼結用成形体を脱脂
する方法において、前記有機バインダーを実質的に構成
する各有機化合物の何れもが抽出されるように抽出溶剤
を選択し、各有機化合物の少なくとも一部が抽出され且
つ該有機バインダーの15〜80重量%が残るように、前記
成形体について抽出処理を行い、次いで加熱によって残
りの有機バインダーを成形体中から除去することを特徴
とする脱脂方法が提供される。
【0008】
【作用】本発明においては、加熱処理による脱脂に先立
って行われる抽出による脱脂工程において、有機バイン
ダーを構成する複数種の有機化合物の実質上全ての種類
について、少なくともその一部が除去されるように抽出
が行われることが顕著な特徴である。即ち、上記のよう
な抽出を行うということは、有機バインダーを構成する
複数種の有機化合物の実質上全ての種類について溶解性
を示す溶媒を抽出溶剤として使用することを意味する。
従って、本発明によれば、有機バインダー中に抽出溶剤
の抵抗体として作用する有機化合物が実質的に存在しな
いので、成形体中への抽出溶剤の浸透が迅速に進行し、
抽出操作を短時間で有効に行うことが可能となる。
【0009】また本発明によれば、極めて意外なこと
に、上記のような抽出による脱脂後においては、その後
に行われる加熱処理による脱脂もスムーズに短時間で行
なわれるのである。この理由は、未だ明確ではないが、
本発明者等は次のように推定している。
【0010】即ち、従来の抽出溶剤を用いての脱脂で
は、成形体の形状保持のために少なくとも1種の有機化
合物のほぼ全量が抽出されずに成形体中に残存する。こ
の残った有機化合物は、成形体中の粉末粒子間を結合す
る橋状となって存在しているものと考えられ、この橋状
の残存有機化合物が、加熱処理に際しての成形体中の熱
風や分解ガスの通過を遮断し、この結果として、残存有
機化合物の加熱分解及び蒸発が円滑に進行しないことと
なる。一方、本発明によれば、有機バインダーを構成す
る全ての有機化合物は、それぞれ少なくとも一部が抽出
による脱脂工程で除去されている。従って、抽出脱脂後
の成形体中に残存する各有機化合物は、粉末粒子間に点
在する形で存在しているものと考えられる。従って、本
発明においては、加熱処理に際しての成形体中の熱風や
分解ガスの通過がこれら残存有機化合物によって遮断さ
れることがなく、この結果として加熱処理による脱脂が
スムーズに短時間で行なわれるものと考えられる。
【0011】尚、本発明において、有機バインダーを構
成する複数種の有機化合物の実質上全てとは、例えば合
計しても5重量%以下のような微量の割合で該バインダ
ー中に含まれる有機化合物については、これを無視して
もよく、抽出されずにそのまま残存していてもよいこと
を意味するものである。この微量に残存する有機化合物
は、その後の加熱処理による脱脂で除去される。換言す
ると、合計量で有機バインダーの少なくとも95重量%を
占める有機化合物については、本発明により行う抽出の
対象とすべきである。即ち、個々では微量であっても、
合計で5重量%以上となると、抽出に際しての不溶成分
量が多くなるため、抽出時間が長くなり不適当である。
【0012】焼結用粉末 本発明の脱脂方法において、用いる焼結用粉末の材料と
しては特に制限されず、例えば各種セラミックス、金属
もしくは合金、サーメット等、焼結可能である限りにお
いて、任意の材料を使用することができる。かかる粉末
は、後述する射出成形及び焼結等を有効に行うために、
微粒であることが好ましく、通常、平均粒径が20μm 以
下であることが望ましい。
【0013】有機バインダー 上記焼結用粉末と混合される有機バインダーは、既に述
べたとおり、射出成形を有効に行うために加熱流動性を
向上させ、また得られた射出成形体の形状保持性を確保
する等の作用を有するものであり、複数種の有機化合物
によって構成される。このような有機化合物としては、
例えば、主剤として、ポリ酢酸ビニル (PVAC) 、ポリビ
ニルブチラール (PVB) 、熱溶融型ポリビニルアルコー
ル (MPVA) 、ポリエチレングリコール (PEG) 、ポリブ
チルメタクリレート (PBMA) 、イソブチルメタクリレー
ト (IBMA) 、エチレン−酢酸ビニル共重合体 (EVA)、ポ
リスチレン (PS) 、また可塑剤や滑剤として、ステアリ
ン酸(ST) 、パラフィンワックス (WAX) 、ジエチレン
グリコール、エチレンカーボネート、グリセリンエーテ
ル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル等を例示するこ
とができ、一般にこれらを2種以上組み合わせて、有機
バインダーとして使用される。これら各有機化合物の組
み合わせ量比は、それらの種類に応じて、目的とする作
用が有効に発揮されるように適宜定められる。上述した
有機化合物から構成される有機バインダーは、通常、前
記焼結用粉末当り、5〜20重量%の割合で使用される。
【0014】射出成形 本発明によれば、上記焼結用粉末と有機バインダーとを
混合して均一混合物を調製して射出成形を行い、所定形
状の成形体を作成する。成形条件は、周知のものでよ
く、例えば前記有機バインダーを構成する有機化合物の
融点以上の温度で行われる。
【0015】抽出による脱脂 本発明においては、前述した抽出による脱脂を行い、前
記有機バインダーを構成する各有機化合物の実質的に全
ての種類について、その少なくとも一部を抽出により除
去する。かかる抽出においては、各有機化合物のそれぞ
れについての抽出除去量は、3重量%以上、特に5重量
%以上とすることが好ましい。この各有機化合物につい
ての抽出除去量が3重量%よりも少ないと、抽出作業を
迅速に行うことが困難となったり、また以下の加熱処理
による脱脂を速やかに行うことも困難となる。またかか
る抽出は、有機バインダーの残量が15〜80重量%、特に
30〜70重量%となる程度に行われる。即ち、有機バイン
ダーの残量が15重量%よりも少ないと、射出成形体の形
状保持機能が失われ、以後の工程を円滑に行うことが困
難となる。また残量が80重量%を超えると、抽出による
脱脂を行った意義が失われ、以後の加熱処理による脱脂
に長時間を要することになる。また本発明においては、
有機バインダーの残量が上記範囲となる限りにおいて、
有機バインダーを構成する有機化合物の少なくとも1種
について、その全量が抽出により除去されてもよい。
【0016】本発明において、上述した抽出は、適当な
抽出溶剤中に射出成形体を浸漬し、温度や浸漬時間を適
宜調整することによって容易に行われる。例えば、抽出
溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、
芳香族炭化水素類、有機ハロゲン化合物等の有機溶媒や
水等を、有機バインダーを構成する各有機化合物の全て
に対して溶解性を示すように、それぞれ単独または2種
以上を組み合わせて混合溶媒として使用される。以下の
表1に、本発明において有機バインダーとして使用され
る代表的な有機化合物と各種溶媒との溶解性の関係を示
す。
【0017】
【表1】
【0018】加熱処理による脱脂及び焼結 上記抽出による脱脂終了後、射出成形体は加熱脱脂に付
せられ、加熱分解及びガス化によって残存する有機バイ
ンダーの除去が行われる。この加熱脱脂は、例えば熱風
循環式の乾燥炉、真空乾燥炉等の加熱炉に該成形体を装
入し、常圧もしくは減圧下において行われる。本発明に
おいては、後述する実施例からも明らかな通り、この加
熱脱脂を短時間で行うことができる。加熱脱脂終了後
は、それ自体公知の条件で焼結処理が行われ、目的とす
る焼結製品が製造される。
【0019】
【実施例】実施例1 平均粒径 0.5μm 、比表面積 5.0m2 /gのアルミナ粉末
100重量部に対し、有機バインダーとして、ポリビニル
ブチラール (PVB) 3.5重量部、ステアリン酸 (ST) 0.5
重量部、及びポリエチレングリコール (PEG) 16.5重量
部を添加し、加圧ニーダーにより 160℃で40分間、混練
を行った。得られた混練物をペレット化して射出成形を
行い、長さ50mm、直径6mmの丸棒状の射出成形体を得
た。得られた射出成形体をエタノールと水の体積比2:
3の混合液に25℃でそれぞれ1時間、2時間、3時間、
4.5時間及び 5.5時間浸漬して抽出処理を行なった。こ
こで PVB及びSTはエタノールに易溶性であり、 PEGはエ
タノール及び水に易溶性である。各成形体をそれぞれ真
空乾燥機にて30分間乾燥した後、各有機化合物の抽出率
及び抽出されずに残存した有機バインダーの残存率(残
存した各有機バインダーの総量/初期の各有機バインダ
ーの総量)を測定し、その結果を表2に示す。また1時
間浸漬処理後の成形体については、上記乾燥を行った
後、これを大気中で加熱炉にて毎時 100℃の昇温速度で
最高温度 420℃となるまで加熱して脱脂処理を行った。
さらに、得られた脱脂成形体を毎時 150℃の昇温速度で
最高温度1620℃となるまで加熱し、その温度に2時間保
持することにより焼結を行った。得られた焼結製品は、
割れ、膨れのない良質の焼結体であり、焼結密度が3.94
g/cm3(理論密度の98.5%)と緻密であった。
【0020】比較例1 有機バインダーとして、エチレン酢酸ビニル共重合体
(EVA) 4.64重量部、アモルファスポリオレフィン (PO)
2.85重量部、PEG 12.85重量部を使用した以外は、実施
例1と全く同様にして射出成形体を得た。この射出成形
体を実施例1と同様にしてエタノールと水の体積比2:
3の混合液に浸漬して抽出処理を行ない、各浸漬時間毎
の成形体を真空乾燥機にて30分間乾燥し、各有機バイン
ダーの抽出率及び抽出されずに残存した有機バインダー
の残存率を測定し、その結果を表2に示す。ここで、 E
VA及びPOは、いずれもエタノール並びに水に不溶性であ
り、 PEGはエタノール及び水に易溶性である。この比較
例1においては、実施例1と比較して、有機バインダー
の抽出速度が極めて遅く、本発明によれば、抽出時間を
大幅に短縮できることが理解される。
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 イットリア添加部分安定化ジルコニア粉末(比表面積1
5.1m2 /g) 100重量部に対し、有機バインダーとし
て、ポリビニルブチラール (PVB) 3.48重量部、ステア
リン酸 (ST) 0.7重量部、ポリブチルメタクリレート
(PBMA) 1.39重量部及びポリエチレングリコール (PEG)
22.94重量部を添加し、実施例1と同様にして混練及び
射出成形を行い、中空コマ型の射出成形体を得た。得ら
れた射出成形体をメタノール、アセトン及び水の体積比
3:3:4の混合液に25℃でそれぞれ 0.5時間、1時
間、2時間、3時間及び5時間浸漬して抽出処理を行な
った。ここで PVB及びSTはメタノールに易溶性であり、
PBMAはアセトンに易溶性であり、 PEGはメタノール及び
水に易溶性である。各成形体をそれぞれ真空乾燥機にて
30分間乾燥した後、各有機バインダーの抽出率及び抽出
されずに残存した有機バインダーの残存率を測定し、そ
の結果を表3に示す。また1時間浸漬処理後の成形体に
ついては、実施例1と全く同様にして加熱による脱脂処
理及び焼結を行った。得られた焼結製品は、割れ、膨れ
のない良質の焼結体であり、焼結密度が6.04g/cm3 (理
論密度の99.0%)と緻密であった。
【0023】
【表3】
【0024】実施例3 SUS−316L粉末(平均粒径 9.8μm ) 100重量部に対
し、有機バインダーとして、ポリビニルブチラール (PV
B)2重量部、ポリブチルメタクリレート (PBMA)1重量
部、ポリエチレングリコール (PEG) 7.5重量部及びステ
アリン酸 (ST)0.5重量部を添加し、実施例1と同様にし
て混練及び射出成形を行い、中空コマ型の射出成形体を
得た。得られた射出成形体をアセトン、メタノール及び
水の体積比1:2:1の混合液に25℃でそれぞれ 0.5時
間、1時間、2時間、3時間及び5時間浸漬して抽出処
理を行なった。ここで PVB及びSTはアセトン及びメタノ
ールに易溶性であり、PBMAはアセトンに易溶性であり、
PEGはアセトン、メタノール及び水に易溶性である。各
成形体をそれぞれ真空乾燥機にて30分間乾燥した後、各
有機バインダーの抽出率及び抽出されずに残存した有機
バインダーの残存率を測定し、その結果を表4に示す。
また各時間浸漬処理後の成形体について、それぞれ上記
乾燥を行った後、これを大気中で加熱炉にて毎時 100℃
の昇温速度で最高温度 320℃となるまで加熱して脱脂処
理を行った。得られた脱脂成形体の良品率(20個当たり
の脱脂成形体において割れ及び膨れのない割合)を表4
に示した。さらに、浸漬時間1時間の脱脂成形体を、真
空中、1320℃で2時間の焼結に付した。得られた焼結製
品は、割れ、膨れのない良質の焼結体であり、焼結密度
が7.6g/cm3 (理論密度の95.0%)と緻密であった。
【0025】
【表4】
【0026】実施例4 SUS−304 粉末(平均粒径10μm ) 100重量部に対し、
有機バインダーとして、イソブチルメタクリレート (IB
MA) 1重量部、ポリビニルブチラール (PVB) 2重量部、
ポリエチレングリコール (PEG) 6.5重量部、エチレン−
酢酸ビニル共重合体 (EVA) 1重量部及び融点が46℃のパ
ラフィンワックス(WAX) 1重量部を添加し、実施例1と
同様にして混練及び射出成形を行い、中空コマ型の射出
成形体を得た。得られた射出成形体をアセトン、イソプ
ロピルアルコール、THF及び水の体積比1:1:1:
1の混合液に25℃でそれぞれ 0.5時間、1時間、2時
間、3時間及び5時間浸漬して抽出処理を行なった。こ
こでIBMA及び PBVは、アセトン及びイソプロピルアルコ
ールに易溶性であり、 PEGは、アセトン、イソプロピル
アルコール及び水に易溶性であり、 EVAはアセトンに易
溶性であり、 WAXは THFに易溶性である。各成形体をそ
れぞれ真空乾燥機にて30分間乾燥した後、各有機バイン
ダーの抽出率及び抽出されずに残存した有機バインダー
の残存率を測定し、その結果を表5に示す。また各時間
浸漬処理後の成形体について、それぞれ上記乾燥を行っ
た後、これを大気中で加熱炉にて毎時 100℃の昇温速度
で最高温度 320℃となるまで加熱して脱脂処理を行っ
た。得られた脱脂成形体の良品率を表5に示した。さら
に、浸漬時間2時間の脱脂成形体を、真空中、1320℃で
2時間の焼結に付した。得られた焼結製品は、割れ、膨
れのない良質の焼結体であり、焼結密度が7.58g/cm
3 (理論密度の94.8%)と緻密であった。
【0027】
【表5】
【0028】実施例5 SUS−304 粉末(平均粒径10μm ) 100重量部に対し、
有機バインダーとして、イソブチルメタクリレート (IB
MA) 1重量部、ポリビニルブチラール (PVB) 2重量部、
ポリエチレングリコール (PEG) 6.5重量部、ポリスチレ
ン (PS)1重量部及び融点が46℃のパラフィンワックス
(WAX) 1重量部を添加し、実施例1と同様にして混練及
び射出成形を行い、中空コマ型の射出成形体を得た。得
られた射出成形体をベンゼン、イソプロピルアルコー
ル、THF及び水の体積比1:1:1:1の混合液に25
℃でそれぞれ 0.5時間、1時間、2時間、3時間及び5
時間浸漬して抽出処理を行なった。ここでIBMA及び PBV
は、ベンゼン及びイソプロピルアルコールに易溶性であ
り、 PEGは、ベンゼン、イソプロピルアルコール及び水
に易溶性であり、PSは、ベンゼンに易溶性であり、 WAX
は、 THFに易溶性である。各成形体をそれぞれ真空乾燥
機にて30分間乾燥した後、各有機バインダーの抽出率及
び抽出されずに残存した有機バインダーの残存率を測定
し、その結果を表6に示す。また各時間浸漬処理後の成
形体について、それぞれ上記乾燥を行った後、これを大
気中で加熱炉にて毎時 100℃の昇温速度で最高温度 320
℃となるまで加熱して脱脂処理を行った。得られた脱脂
成形体の良品率を表6に示した。さらに、浸漬時間3時
間の脱脂成形体を、真空中、1320℃で2時間の焼結に付
した。得られた焼結製品は、割れ、膨れのない良質の焼
結体であり、焼結密度が7.55g/cm3 (理論密度の95.3
%)と緻密であった。
【0029】
【表6】
【0030】実施例6 窒化珪素(平均粒径 1.0μm )80重量部、イットリア
(焼結助剤)15重量部及びアルミナ5重量部から成る窒
化珪素セラミックス粉末に対し、有機バインダーとし
て、ポリビニルブチラール (PVB) 4.39重量部、ポリブ
チルメタクリレート(PBMA) 1.75重量部、ポリエチレン
グリコール (PEG) 28.97重量部及びステアリン酸 (ST)
0.87重量部を添加し、実施例1と同様にして混練及び射
出成形を行い、丸棒状型の射出成形体を得た。得られた
射出成形体を水、アセトン及びメタノールの体積比2:
1:1の混合液に25℃、40℃及び55℃の各温度でそれぞ
れ1時間、2時間及び3時間浸漬して抽出処理を行なっ
た。各成形体をそれぞれ真空乾燥機にて30分間乾燥した
後、各有機バインダーの抽出率及び抽出されずに残存し
た有機バインダーの残存率を測定し、その結果を表7に
示す。また上記の各成形体を、毎時 100℃の昇温速度で
50℃から 420℃まで加熱し、この温度に2時間保持して
脱脂処理を行った。いずれの脱脂成形体も欠陥の無いも
のであった。さらに、1時間浸漬処理が行われた上記成
形体については、窒素雰囲気( 8.5atm )で最高温度19
00℃で焼結を行い、焼結製品を製造した。得られた焼結
体の密度は3.36g/cm3 であり、相対密度99.3%であっ
た。
【0031】
【表7】
【0032】
【表8】
【0033】
【表9】
【0034】
【発明の効果】本発明方法によれば、射出成形法により
焼結製品を製造するに際し、焼結用粉末と有機バインダ
ーとの混練物から得られた射出成形体の脱脂処理を行う
にあたって、用いた有機バインダーの種類に併せて抽出
溶剤を適当に選択し、有機バインダーを構成する複数種
の有機化合物のいずれもが除去されるように抽出による
脱脂処理を行い、その後に最終的に加熱による脱脂処理
を行うことにより、抽出に要する時間及び加熱脱脂に要
する時間を大幅に短縮することができ、しかも欠陥のな
い脱脂成形体を得ることができる。
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【表8】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結用粉末と2種以上の有機化合物から
    成る有機バインダーとの混練物の射出成形により得られ
    た焼結用成形体を脱脂する方法において、 前記有機バインダーを実質的に構成する各有機化合物の
    何れもが抽出されるように抽出溶剤を選択し、各有機化
    合物の少なくとも一部が抽出され且つ該有機バインダー
    の15〜80重量%が残るように、前記成形体について抽出
    処理を行い、次いで加熱によって残りの有機バインダー
    を成形体中から除去することを特徴とする脱脂方法。
  2. 【請求項2】 前記各有機化合物は、その何れもが3重
    量%以上抽出除去される請求項1に記載の脱脂方法。
  3. 【請求項3】 前記有機バインダーを構成する有機化合
    物として、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、熱
    溶融型ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
    ル、ポリブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
    ート、エチレン酢酸ビニル共重合体及びポリスチレンの
    少なくとも1種を使用する請求項1に記載の脱脂方法。
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