JPH0688796B2 - 磁気記録用強磁性微粉末の製造方法 - Google Patents

磁気記録用強磁性微粉末の製造方法

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JPH0688796B2
JPH0688796B2 JP61104531A JP10453186A JPH0688796B2 JP H0688796 B2 JPH0688796 B2 JP H0688796B2 JP 61104531 A JP61104531 A JP 61104531A JP 10453186 A JP10453186 A JP 10453186A JP H0688796 B2 JPH0688796 B2 JP H0688796B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は、高密度磁気記録、特に垂直磁気記録用媒体に
好適な六方晶フェライト結晶粒子よりなる磁気記録用強
磁性微粉末の製造方法に関する。
(発明の技術的背景とその問題点) 磁気記録は、一般に記録媒体の面内長手方向に磁化する
方式がとられている。しかるに、この方式による場合は
記録の高密度化を図ると記録媒体内の反磁界が増大して
十分な高密度記録を達成し難い。このような長手方向の
記録方式に対して記録媒体層の表面に垂直方向に磁化す
ることによって記録媒体内の反磁界を減少させて高密度
記録を図るいわゆる垂直磁気記録方式が近年とみに注目
されきている。
ところで、前記垂直磁気記録媒体としては、従来から実
用化が試みられてきている。Co−Cr系などの合金膜法に
よるもののほか、バリウムフェライトのような六方晶フ
ェライト結晶粒子粉末をバインダーに分散させたものを
ベースフイルム上に塗布するいわゆる塗布型記録媒体が
提案されている。前記塗布型の場合にあっては、従来の
長手記録方式の記録媒体の製造の場合と同様に生産性よ
く経済的にも有利に製造し得るとともに記録媒体の耐久
性が優れているところから、その実用化が急がれてい
る。
一方、前記の垂直磁気記録媒体に使用される六方晶フェ
ライト結晶粒子よりなる磁性粉末としては、記録時に磁
気ヘッドを飽和せしめない適当な範囲の保磁力(Hc:400
〜2000Oe)と大きな飽和磁化を有しかつ粒子板面状に対
して垂直方向に磁化容易軸をもつものであるとともに、
0.3μ以下とりわけ0.2μ以下の微細な粒子径のものであ
って磁性層中での分散性が良好なものであることが重要
であるとされている。しかして近時、前記の磁性粉末に
要求される特性は、高記録密度化の指向とあいまって、
垂直磁気記録媒体におけるノイズレベルの低減化及び短
波長領域での高出力化を満足し得るものであることが一
層望まれてきている。これがため、より微細な粒子径の
ものであってしかも粒子径分布もよりシャープなもので
あること、かつ分散性が良好であって塗膜面の平滑性に
優れ、高配向性、高充填性を示す六方晶フェライト粒子
粉末の開発がますます急がれている。
従来から、六方晶フェライト粒子粉末の製造方法につい
ては、種々の方法が知られており、また粒子の微細化に
ついても数多くの提案がなされているが、一般に粒子の
微細化にともなって分散性や配向性が大巾にそこなわれ
易く、このため未だ前記要望を十分満足されるには至っ
ておらずその解決が強く希求されている。例えば六方晶
フェライト粒子微粉末の製造方法として、六方晶フェラ
イトの構成成分を含む金属塩水溶液とアルカリ水溶液を
混合して得られる前駆体物質懸濁液を一旦加熱処理した
後焼成する方法はよく知られている。この方法は製造が
比較的容易であり、かつ微細で飽和磁化の高いものが得
られ易いものであるが、フェライト前駆体粒子の微細化
が進むと焼成過程での粒子間焼結や粒子形状の崩れが起
り易く、このため配向性、充填性、分散性などの低下が
さけられなかったりする。
また、一般に、六方晶フェライト粒子は保磁力が高く、
このため記録媒体として適当な範囲の保磁力に制御する
必要があり、通常Co、Ti、Ni、Mn、Zr等の元素を適量添
加することによってフェライト構成原子のFe3+の一部を
置換させる方法が行なわれるが、均一に効率良く置換さ
せ且つ焼結を抑制させないと保磁力低減効果が十分でな
く、結局、所望の低保磁力粉末を得ようとすると、これ
ら元素の置換量を多くする必要があり、その結果飽和磁
化の低下や磁化容易軸の垂直異方性が損われ易いという
問題があった。
〔発明の目的〕
本発明は、粒子間焼結を実質的に回避し得るとともに保
磁力制御が容易な方法であって、飽和磁化が十分高く、
微細粒子径のもので、且つ形状の整った六角板状で垂直
配向性に優れた高分散性の磁気記録用、とりわけ垂直磁
気記録用に好適な六方晶フェライト結晶粉末の製造方法
を提供することを目的とする。
〔発明の概要〕
本発明者等は、かねてより六角板状の六方晶フェライト
結晶粒子の製造における前記問題点を解決すべく種々検
討を進めた結果、微細なフェライト前駆体物質を焼成す
るにあたり特定の焼成処理剤を使用することによって、
飽和磁化を損なうことなく粒子間焼結を実質的に回避し
得、しかもCo、Ti等による組成の部分置換を効率よくお
こなわしめ、保磁力制御が容易になし得られることの知
見を得、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、バリウム、ストロンチウム、鉛の
群から選ばれる1種以上の金属化合物と鉄化合物とを少
なくとも含む水溶液と、アルカリ水溶液とを混合してア
ルカリ性懸濁液とし、次いで該懸濁液を60〜250℃で加
熱処理することによりフェライト前駆体物質を得、得ら
れた該前駆体物質に対して重量基準でPとして0.05〜1.
0%のリン化合物を添加処理し、しかる後650〜950℃の
温度範囲で焼成して六方晶フェライト結晶粒子とするこ
とを特徴とする磁気記録用強磁性微粉末の製造方法であ
る。
本発明方法において、まず、バリウム、ストロンテウ
ム、鉛の群から選ばれる1種以上の金属化合物Maと鉄化
合物及び所望により保磁力制御のための置換元素Mbとし
てCo、Ti、Ni、Mn、Zr、Zn、Ge、Nb、V化合物の少なく
とも1種を、それぞれ所定量含む水溶液を作成する。こ
れらの化合物は種々の水溶性化合物を使用し得るが、好
ましくは塩化物、硝酸塩などである。前記Ma成分は、Fe
+Mb成分に対してモル比で1/4〜1/12、好ましくは1/6〜
1/10である。該モル比が前記範囲より小さくなると得ら
れるフェライト結晶粒子粉末は、粗大化し易く分散性の
低下、記録媒体における配向性、表面平滑性などの特性
の低下がさけられない。また該モル比が、前記範囲より
大きくなるとマグネトプランバイト型結晶と異なる結晶
相が混在したりして、飽和磁化の低下や形状の不均一化
がさけられなかったりし好ましくない。なお置換成分Mb
は、Co、Ti、Ni、Mn、Zr、Zn、Ge、Nb、Vの少なくとも
1種をFe1モルに対して0.2モル以下、好ましくは0.17モ
ル以下使用し得るが、とりわけFe成分を少なくともCo及
びTi元素で置換することが好ましい。
次に上記金属化合物水溶液に、例えばNaOH、KOH、NH4OH
などの水溶液を接触、混合しアルカリ性懸濁液とする。
前記アルカリの添加量は、金属化合物水溶液に含有され
る金属塩に対して当量以上、特に微細なフェライト強磁
性粉末を得ようとする場合は、懸濁液のアリカリ濃度
は、遊離OH基準で1.5モル/l以上、好ましくは2モル/l
以上であって、前記範囲より低きにすぎると、反応が十
分進まず非板状粒子の生成が多くみられ、このものは焼
成過程で焼結粒子を形成し易く配向性、分散性などの低
下がさけられない。
次いで前記アルカリ性懸濁液を加熱装置付の反応容器を
使用するかまたはオートクレーブなどの圧力容器に入れ
て、60〜250℃、好ましくは100〜200℃で加熱反応処理
して板状粒子のフェライト前駆体物質を形成させる。前
記の水熱処理時の温度が前記の範囲より低い場合には、
非晶質体を形成し易く、凝集体になり易い。そのため均
一な形状のフェライト粒子粉末が得られにくく、配向性
の低下がさけられなかったりする。一方、前記範囲より
高い場合には、粗大粒子の形成、粒度分布の広がりがさ
けられなかったりして好ましくない。
次に本発明において、前記のようにして得られた六方晶
フェライト前駆体物質にリン化合物を添加処理するにあ
たっては、使用するリン化合物として種々のものを使用
し得るが、例えばオルトリン酸もしくはメタリン酸また
はそれらの塩、ピロリン酸もしくはヘキサリン酸または
それらの縮合リン酸塩、亜リン酸もしくは次亜リン酸ま
たはそれらの塩等の無機リン化合物、種々のリン酸エス
テル等の有機リン化合物などを挙げることができるが、
通常オルトリン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどの
水溶液を使用するのが望ましい。前記リン化合物よりな
る処理剤をフェライト前駆体物質に添加処理するには、
種々の方法によっておこなうことができるが、例えば前
記フェライト前駆体物質粒子を含む水性懸濁液中に、リ
ン酸水溶液を添加し、該粒子表面にリン化合物を吸着さ
せることによっておこなうことができる。
前記リン化合物の添加処理量は、フェライト前駆体物質
に対して重量基準でPとして0.05〜1.0%望ましくは0.1
〜0.5%である。添加処理量が、前記範囲より少なきに
すぎると焼結防止等の効果が十分もたらされず、また多
きにすぎると飽和磁化の低下が大きく好ましくない。
なお、焼成処理剤として前記のリン化合物に、さらにケ
イ素化合物、アルミニウム化合物、ホウ素化合物、アル
カリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを併せて
添加処理すると一層望ましい効果をもたらす場合があ
る。
本発明方法において、前記のように加熱反応処理して得
られたフェライト前駆体物質に前記焼成処理剤の添加処
理をおこなった後、次いで焼成するには普通650〜950
℃、望ましくは、700〜900℃でおこなう。焼成温度が前
記の範囲より低くなると、フェライト粒子の結晶化が十
分進まず、飽和磁化が低くかったりし、また、前記範囲
より高くなるとフェライト粒子相互の固着や焼結がおこ
り凝集塊が形成され易く、塗料化での分散性が大巾に損
なわれ記録媒体の磁気特性や表面平滑性などの低下がさ
けられなかったりする。前記焼成は、回転炉、流動層炉
などの種々の型式の装置を使用して通常0.5〜5時間程
度でおこなうことができる。なお、本発明においては、
前記焼成処理剤の添加処理を行なうことによって、粒子
間焼結の抑制ができ、高飽和磁化であって、かつ微細粒
子径のものを得ることができる。
前記のようにして得られたフェライト結晶粒子粉末は、
水性媒液あるいは必要に応じ酸性水性媒液中に浸漬処理
して過剰のバリウム分や夾雑成分を酸洗除去する。な
お、前記の場合に水性媒液に強酸性媒液を使用して処理
すると、分散性が一層高められる場合がある。
以上詳述したように、本発明の製造方法によって得られ
た強磁性微粉末は、飽和磁化ほぼ45〜60emu/g、保磁力
ほぼ400〜2,000Oeを有するマグネトプランバイト型のフ
ェライト結晶粒子粉末で、このものは六角板状を呈し平
均粒子径がほぼ0.05〜0.15μでかつ粒度分布の広がりも
少なく磁気記録媒体の磁性層中での分散性にきわめて優
れ、高密度垂直磁気記録用材料として甚だ好適なもので
ある。
〔発明の実施例〕
以下に実施例及び比較例を挙げ本発明をさらに説明す
る。
実施例1 1モル/lのBaCl2水溶液360ml、1モル/lのFeCl3水溶液2
496ml、1モル/lのCoCl2水溶液192ml及び1モル/lのTiC
l4水溶液192mlを混合し(Ba/Fe+Meモル比:1/8、Ba/Fe
モル比:1.5/10.4)、次いで、この混合液を10モル/lのN
aOH水溶液3480ml中に添加して褐色沈殿を含むアルカリ
性懸濁液を調整した。ひきつづいて該懸濁液をオートク
レーブに入れ、150℃で3時間加熱してフェライト前駆
体物質粒子を生成させた(該前駆体物質粒子は、X線回
折によれば、結晶性不完全なるもマグネトプランバイト
型の結晶構造のものであった)。
次いで得られた該沈殿物を濾過、水洗し、水にてリパル
プしスラリー(固形分濃度50g/l)とした。
このスラリー2lにオルトリン酸水溶液(P濃度10g/l)
を15ml添加し十分攪拌した。次いでこのものは濾別、乾
燥(110℃)した後粗砕した。
しかる後、前記の添加処理をおこなったフェライト沈殿
粒子粉末を焼成温度を変え各1時間焼成してバリウムフ
ェライト結晶粒子粉末を得た。次いで得られた該粉末を
塩酸水溶液中に浸漬した後濾過、水洗したものを乾燥し
て本発明の強磁性粉末を得た。
この時、焼成温度を750℃としたもを試料(A)800℃と
したものを試料(B)とする。
比較例 前記実施例において、リン化合物の添加処理をおこなわ
ないことのほかは同例の場合と同様の方法で処理して強
磁性粉末を得た。この時焼成温度750℃としたものを試
料(C)、800℃としたものを試料(D)とする。
なお、前記実施例及び比較例で得られた各試料は、X線
の回折の結果、いずれもマグネトプランバイト結晶相の
ものであった。
前記試料A〜Dについて常法により平均粒子径(Dp:電
子顕微鏡法)、保磁力(Hc)、飽和磁化(σs)をそれ
ぞれ測定し、さらに次記の配合組成で磁性塗料を調製
し、このものをポリエステルフィルム上に塗布し配向処
理して記録媒体を作成した。
これらの結果を下表に示す。
磁性粉末 100 重量部 酢ビー塩ビ共重合体樹脂 16.2 〃 界面活性剤 4 〃 メチルエチルケトン 186 〃 前記記録媒体について、常法により保磁力(Hc⊥:媒体
面に対して垂直方向)、配向比(OR)、角形比(SQ⊥:
媒体面に垂直方向であって、反磁界補正後の値である) これらの結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明のようにフェラ
イト前駆体物質に予めリン化合物を添加処理したものを
焼成することにより、飽和磁化を損なうことなく焼成中
の粒子焼結が抑制し得、角形比、配向性特に垂直配向性
が優れており、分散性がきわめて良好な飽和磁化が十分
高い六方晶フェライト結晶粒子微粉末が得られる事がわ
かる。
(発明の効果) 粒子間焼結が抑制され、飽和磁化が大きく、優れた垂直
配向性を有する高分散性の六方晶フェライト結晶粒子よ
りなる強磁性粉末を、比較的簡潔な手段でもって容易に
製造し得、垂直磁気記録媒体のノズルレベルの低減化、
高出力化を図る上で甚だ有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−99306(JP,A) 特開 昭62−252908(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バリウム、ストロンチウム、鉛の群から選
    ばれる1種以上の金属化合物と鉄化合物とを少なくとも
    含む水溶液とアルカリ水溶液とを混合してアルカリ性懸
    濁液とし、次いで該懸濁液を60〜250℃で加熱処理する
    ことによりフェライト前駆体物質を得、得られた該前駆
    体物質に対して重量基準でPとして0.05〜1.0%のリン
    化合物を添加処理し、しかる後650〜950℃の温度範囲で
    焼成して六方晶フェライト結晶粒子とすることを特徴と
    する磁気記録用強磁性微粉末の製造方法
JP61104531A 1986-05-07 1986-05-07 磁気記録用強磁性微粉末の製造方法 Expired - Lifetime JPH0688796B2 (ja)

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