JPH068719Y2 - フイルム食品製造機用圧延装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、かまぼこ等の擂身を薄く引き延ばしたフイル
ム状食品を製造する製造機に用いて好適な圧延装置に関
する。

〔従来の技術〕

従来の練食品のイメージを変える新しい食品として、か
まぼこ等の擂身をベースにして、これに細かく切ったシ
イタケとかオキアミ等を混入し、且つ、全体を薄く延ば
したフイルム状食品（以下単にフイルム状食品と云う）
が開発され、食卓等で次第に利用されつつあるが、この
フイルム状食品を造るには、従来はヘラ等を用いて擂身
を薄く延ばして１枚ずつ成形していた。

しかし、フイルム状食品は一般に０．３〜０．５mm程度
の厚さに成形され、而も、全体が海苔１枚程度の大きさ
に造られる関係で、ヘラ等を用いて手作業で薄く延ばし
て成形する作業が非常に難しく、熟練者でも成形枚数に
限りがあって生産効率が悪く、また、製品に厚さの不揃
いとか穴あき等の問題が生じ易くて、商品価値の高い製
品を提供することが難しかった。

そこで本出願人は、先の特願昭６２−８８４５２号の出
願によって、上記フイルム状食品の製造を自動化したフ
イルム状食品製造機を開発するに至った。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記出願に係るフイルム状食品製造機は、一定速度で引
張り搬送される表裏のフイルム間に供給された練食品の
生地を、複数本の圧延用ローラとベルトコンベヤの間、
或は、略Ｖ字型形状に形成した圧延板とベルトコンベヤ
の間で圧延して薄くフイルム状に引き延ばす様に構成さ
れているが、上記の如き構成の圧延装置を用いると、圧
延用のローラ又は圧延板による圧延を直接受ける上側フ
イルムに対し、無理な圧力が極所的に加わる関係で、圧
延時に上側フイルムにシワが生じて破れ易く成るとか、
同じく圧延されるフイルム状食品にもシワが生じて厚さ
が一定せず、商品価値の低い食品が製造されてしまう問
題があった。

従って本考案は技術的課題は、表裏のフイルム間に供給
される練食品の生地を、一定の厚さで而もシワのないフ
イルム状食品に圧延すると共に、このフイルム状食品を
適当な大きさにきれいに切断することである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の技術的課題を解決するために本考案で講じた手段
は以下の如くである。

同一速度で搬送される表裏のフイルム間に供給される練
食品の生地を、これ等表裏のフイルム間で圧延してフイ
ルム状に引延ばし、然る後、これを遠赤外線を用いた加
熱装置で加熱処理してフイルム状の食品と成すフイルム
食品製造機に於いて、 (1)上記両フイルムを夫々横に並設した左右一対の圧延
ローラに掛渡して、両圧延ローラの間で重ね合せて挿通
せしめること。

(2)上記練食品の生地をこれ等左右の圧延ローラに掛渡
した表裏のフイルム間に材料供給器を用いて上方から連
続供給するように構成すること。

(3)上記の圧延ロール間で圧延されたフイルム状食品を
加熱装置で加熱した後に、スリッターとカッターを用い
て適当な大きさに切断するように構成すること。

〔作用〕

上記の手段は以下の如く作用する。

上記(1)で述べた要素によれば、横に並設した左右一
対の圧延ローラは、挿通された表裏のフイルムを左右両
側から均等に加圧して重ね合わせる作用を発揮するか
ら、これ等表裏のフイルム間に供給された練食品の生地
は、両側から圧延ローラによる押圧を受けて表裏のフイ
ルム間に於いてフイルム面に沿って四方に均等に圧延さ
れ、シワとか厚薄が無く、均一な厚さに引き延ばされた
食品価値の高いフイルム状食品の提供を可能にする。

上記(2)で述べた要素によれば、練食品の生地を左右
の圧延ローラに掛渡した表裏のフイルムの間に上から連
続供給するため、生地を満遍無く表裏のフイルム間に供
給して、左右の圧延ローラによって生地が均一に分布さ
た生地むらのない均一な厚さのフイルム状食品を製造可
能にする。

上記(3)で述べた要素によれば、加熱装置で加熱する
ことによって生地のスワリを良くして弾力性を高めた後
に、スリッターとカッターによって切断を行うため、フ
イルム状食品を適当な大きさにきれいに切断することを
可能にする。

以上の如くであるから、上記の手段によって上述した技
術的課題を解決して、前記従来の技術の問題点を解消す
ることができる。

〔実施例〕

以下に、上述した本考案に係るフイルム食品製造機用圧
延装置の好適な実施例を添付した図面と共に詳細に説明
する。

第１図は本考案に係る圧延装置を実施したフイルム食品
製造機の全体構成を示した正面図であって、図中１は機
台、２は機台１の左右に設けたロール３，４間に掛渡し
たエンドレスのベルトコンベヤで、このベルトコンベヤ
２は、一方のロール４をモータ５によって駆動回転する
ことによって、機台１のテーブル板１ａに沿って図面上
右方向に搬送作動する仕組に成っている。また、６は以
下に述べるフイルムを搬送するために上記ベルトコンベ
ヤ２の略中間部分に設けたピンチローラで、これは上記
のモータ５によって駆動回転される。７Ｒは機台１の左
側に架設した下側フイルムのシートロールで、裏側フイ
ルム７はこのシートロール７Ｒより上記ベルトコンベヤ
２の上面側に引出される。一方、８Ｒは機台１上に架設
した表面フイルムのシートロールであって、表面フイル
ム８はこのシートロール８Ｒから引出される。

９と１０は同じく機台１上に横に並べて架設された左右
一対の圧延ロールであって、これ等両ロール９，１０は
前記のモータ５によって、矢印の方向に回転して、両ロ
ール面に掛渡した両フイルム７，８を重ね合わせて下方
に送り出す仕組みに成っている。

次に、１１は練食品の生地Ｓ（第２図、第３図参照）
を、供給ノズル１２より上記左右の圧延ローラ９，１０
に掛渡した両フイルム７，８の間に上から連続供給する
材料供給器で、第１図に示した供給器１１は２本の送り
ローラの送り回転に従って生地Ｓを供給ノズル１２より
連続供給する構成に成っている。

上記の如くノズル１２より両フイルム７，８の間に供給
される生地Ｓは、左右一対の圧延ローラ９，１０の強力
な加圧を両側から受けて、両フイルム７，８の間に於い
て四方に均等に圧延され、両圧延ローラ９，１０の間を
出た所で０．３〜０．５mm厚のフイルム状食品に成形さ
れ、且つ、この成形食品は両圧延ローラ９，１０の下側
に設けたガイドローラ１３に案内されてその送り方向を
ベルトコンベヤ２の搬送方向に沿って略９０度屈曲さ
れ、前記ピンチローラ６の間に送り込まれる仕組に成っ
ている。

次に、第１図に於いて１４は上記ピンチローラ６の後段
に設けた加熱装置で、遠赤外線を照射するヒータを備え
たこの加熱装置１４は、ベルトコンベヤ２と共に両フイ
ルム７，１０間に挟まれて搬送されて来る上記フイルム
状食品を、例えば４０〜５０℃程度の温度で加熱して、
所謂生地Ｓのスワリを進行させて弾力性を高め、味の向
上を図ることができる。

更に、図中１５…は、フイルム７，８間に挟まれて搬送
されて来る上記加熱後のフイルム状食品を、ローラ４と
の間で適当な幅に切断するスリッターで、１６はこのス
リッター１５によって幅切されたフイルム状食品を適当
な長さに切断するカッターを示す。また、１７は上記カ
ッター１６にて切断された最終製品ＴＲ…を温風乾燥室
１８の入口１８ａに向けて送り出す送りローラを示す。

尚、上述した実施例では圧延成形されたフイルム状食品
をガイドローラ１３でベルトコンベヤ２の搬送方向に沿
わせて略９０度屈曲し、矢印Ａの方向に送り出している
が、これを第２図仮想線の如く矢印Ｂの方向に真直ぐ下
方に垂下させ、自重によって加熱装置１４及び乾燥室１
８への搬送を行って、シワの発生を極力少くすることも
考えられる。この場合、圧延ローラ９，１０と材料供給
器１１は作業場内に立設したヤグラの上とか、作業場の
２階部分と云った高所に設置する必要があることは勿論
である。

本考案は以上述べた如き構成であるから、裏面フイルム
７と表面フイルム８を繰出しながら、供給器１１から練
食品の生地Ｓを横に並設されている左右の圧延ローラ
９，１０に掛渡した両フイルム７と８の間に連続供給す
ると、両圧延ローラ９，１０の加圧を両側から受けて生
地Ｓは両フイルム７，１０の間で０．３〜０．５mm程度
に薄くフイルム状に引き延ばされるから、これでシワと
生地むらの発生がなく、第４図の様に表裏にフイルム
７，８を添設した厚さが均一なフイルム状食品Ｔが成形
され、更にこのフイルム状食品Ｔを加熱装置１４の遠赤
外線ヒータで加熱して生地Ｓのスワリを良くした後、ス
リッター１５…とカッター１６にて所定の大きさに切断
して、温風乾燥室１８で乾燥させることにより、最終製
品ＴＲ…を提供することができる。

この様に製造された製品ＴＲは、表裏のフイルム７，８
を剥離しながら例えば従来の海苔に代えて巻物とかムス
ビ等に用いたり、そのままちぎって酒の肴として食した
りして大変美味である。

〔効果〕

本考案に係るフイルム食品製造機用圧延装置は以上述べ
た如くであって、表裏を加工紙或は合成樹脂製のフイル
ムで覆い、且つ、横に並設した左右の圧延ローラの加圧
を受けて均一の厚さで生地むらとシワがなく、更に、味
が良くて一定の大きさにきれいに切断された商品価値の
高いフイルム状食品を自動的に大量生産できるものであ
って、従来のヘラ等を用いて手作業で１枚ずつ延ばして
成形していた方法に比較して能率良く製造できる利点を
発揮できる効果を備えている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る圧延装置を備えたフイルム食品製
造機の全体構成を示した正面図で、第２図はその要部を
拡大して示した構成図、第３図は同じく平面図、第４図
は製造されたフイルム状食品の断面図で、第５図は同じ
く全体の斜視図である。 １は機台、２はベルトコンベヤ、７は裏面フイルム、８
は表面フイルム、９と１０は一対の圧延ローラ、１１は
材料供給器、１４は加熱装置、１５はスリッター、１６
はカッター、Ｓは練食品の生地、Ｔは圧延されたフイル
ム状食品、ＴＲは切断された最終製品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】同一速度で搬送される表裏のフイルム間に
   供給される練食品の生地を、これ等表裏のフイルム間で
   圧延してフイルム状に引延ばし、然る後、これを遠赤外
   線を用いた加熱装置で加熱処理してフイルム状の食品と
   成すフイルム食品製造機に於いて、 上記両フイルムを夫々横に並設した左右一対の圧延ロー
   ラに掛渡して、両圧延ローラの間で重ね合せて挿通せし
   めると共に、上記練食品の生地をこれ等左右の圧延ロー
   ラに掛渡した表裏のフイルム間に材料供給器を用いて上
   方から連続供給するように構成し、且つ、上記の圧延ロ
   ール間で圧延されたフイルム状食品を加熱装置で加熱し
   た後に、スリッターとカッターを用いて適当な大きさに
   切断するように構成したことを特徴とするフイルム食品
   製造機用圧延装置。