JPH0686838B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、例えば自動車の各種機器の制御をマイクロ
コンピュータによる時分割演算処理によって集中制御す
るようにした場合の、上記マイクロコンピュータを用い
るようにしたエンジンの制御装置に関する。

［背景技術］ 自動車に搭載される各種機器の制御をマイクロコンピュ
ータを用いて実行するように構成することは、広く知ら
れていることである。このようなマイクロコンピュータ
を用いた電子的制御にあっては、時分割的な演算処理を
実行しているものであるが、この自動車に搭載されるエ
ンジン制御、特にエンジンに対する燃料噴射制御および
点火時期制御等も上記マイクロコンピュータによって行
っているものである。

このマイクロコンピュータによるエンジ制御にあって
は、エンジンのクランク角度位置（例えばTDC）信号、
基準角信号、さらに吸入空気量に対応する検出信号等を
主なパラメータとして演算処理を実行し、燃料噴射量、
燃料噴射時期、さらに点火時期等の制御を実行するもの
である。

このようなマイクロコンピュータによるエンジン制御を
実行する場合に使用される上記角度位置信号および基準
角信号の検出手段は、例えばエンジンと同軸的に回転駆
動される回転角検出機構によって構成されている。この
場合、上記角度位置信号と基準角信号との相互間には、
常に特定される関係が存在するもので、例えば角度位置
信号の発生される間隔が基準角信号によって特定される
数に分割されるような状態で発生されるものである。具
体的には、火花点火式の４気筒エンジンの場合に、角度
位置信号は180゜CA毎に発生され、また基準角信号は30
゜CA毎に発生されるようになっている。

そして、例えば点火時期は上記角度位置信号を基準とし
て上記基準角信号を計数して、所定の点火時期を算出し
点火制御を実行するものである。

しかしながら、例えば基準角信号に対してノイズ成分が
重畳して、実際に発生される基準角信号よりも多い数の
信号を発生する状態となった場合には、すなわち角度位
置信号と基準角信号との対応が異常となった場合には、
マイクロコンピュータはこの異常状態の基準角信号に基
づき、点火時期を演算出力するようになり、したがって
異常進角の状態で点火制御するようになる。このような
状態が連続すると、これはエンジンの破損に至ってしま
うものである。

［発明が解決しようとする問題点］ この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、特に
基準角信号に対してノイズ等が重畳されて、この基準角
信号とクランク角度位置信号との対応が異常となって、
点火時期等のエンジン制御に支障が発生するような状態
となった場合にこれを確実に検出して、例えば異常進角
制御等によってエンジンに破損が生ずるようになること
が確実に防止されるようにするエンジの制御装置を提供
しようとするものである。

［問題点を解決するための手段］ この発明に係るエンジンの制御装置は、エンジンが所定
のクランク角位置にあることをクランク角度位置検出手
段で検出すると共に、基準角信号検出手段で前記クラン
ク角度位置の相互間を複数に分割して繰り返し発生され
る基準角信号を検出し、前記クランク角度位置の検出に
よって初期状態に設定され、且つ前記基準角信号検出手
段による基準角信号の検出に応じて計数制御されるカウ
ンタ手段を設ける。さらに、前記クランク角度位置の検
出に応答して起動され、初期状態に設定される前の前記
カウンタ手段のカウンタ値が前記分割数により特定され
る数値を越えるとき前記基準角信号の異常を判別してエ
ンジン制御が切り替えられるようにするもので、前記ク
ランク角度位置と前記基準角信号とに基づいてエンジン
の燃料噴射、点火等が制御されるようにしている。

［作用］ この様に構成されエンジンの制御装置にあっては、クラ
ンク角度位置検出手段からのクランク角度位置信号によ
って初期状態に設定される基準角信号のカウンタの計数
値を観測することによって、基準角信号に対してノイズ
成分が重畳されたことが検出されるもので、このノイズ
成分が重畳された基準角信号の異常状態の検出時に、エ
ンジンの制御状態が切り替えられて、例えば異常進角制
御されることが回避できるようになる。したがって、こ
の様な異常時におけるエンジンの破損等の問題が確実に
改善されるもので、エンジ制御の信頼性が向上される。

［実施例］ 以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
第１図はその構成を示したもので、図示されない例えば
４気筒のエンジンのクランク回転位置検出装置11および
基準角検出装置12が設定される。この回転位置および基
準角の検出装置11および12は、それぞれ検出回転板11a
および12aを備えるもので、この回転板11aおよび12aは
クランク軸と同軸的に回転される軸13に対して一体的に
取付けられている。この場合、回転位置検出の回転板11
aは、エンジンの180゜CAを検出するために、その外周部
に対して互いに直角の位置関係で４個の検出突起を備え
るように構成され、また基準角を検出する回転板12aに
は、その外周部に30゜CAを検出する24個の検出突起が形
成されている。そして、この回転板11aおよび12aのそれ
ぞれ外周部に近接する位置に、電磁ピックアップ11bお
よび12bを固定的に設定し、上記回転板に形成した突起
が近接通過する状態を電磁的に検出して、パルス状の信
号が検出されるようにして、回転位置検出装置11および
基準角検出装置12が構成されるものである。

そして、この角度位置検出装置11および基準角検出装置
12それぞれからの検出信号は、波形整形回路を含む増幅
器14および15を介して、演算制御を実行するマイクロコ
ンピュータ16に対して、入力データとして供給する。こ
のマイクロコンピュータ16に対しては、さらに吸入空気
量、エンジン温度、エンジン暖機温度等のエンジ運転状
態を検出する信号ライン17からの入力データも結合され
ている。すなわち、このマイクロコンピュータ16はエン
ジ状態を検出するセンサ信号類を取込み、設定されたプ
ログラムにしたがって演算を実行し、点火時期制御手段
18、および燃料噴射時期および噴射量を設定する燃料噴
射制御手段19を制御するものである。

すなわち、上記のように構成される制御装置において、
角度位置検出装置11からは第２図の（Ａ）に示すよう
な、例えばエンジンの180゜CA毎にTDC位置を検出するパ
ルス状の角度位置信号が検出されるものであり、また基
準角度検出装置12からは同じく（Ｂ）図に示すような例
えば30゜CA毎に立上がりエッジの設定されるパルス状の
基準角信号を検出するものである。そして、この基準角
信号はマイクロコンピュータ16において、上記角度位置
信号によってリセット制御される基準角信号カウンタに
よって計数されるもので、その計数値の状態は第２図の
（Ｃ）に示すような状態となる。

この場合、角度位置信号と基準角信号との対応は、正常
な状態では角度位置信号の相互間に６個の基準角信号パ
ルスが入力される状態となる。しかし、基準角信号に対
してノイズ信号が乗る状態となると、基準角信号のパル
ス数が増大する状態となるものであり、マイクロコンピ
ュータ16においては基準角を誤って検出する状態とな
る。したがって、第２図の（Ｄ）に示すように異常な点
火出力信号を発生して、点火時期制御手段18に対して伝
えるようになる。すなわち、過進角の状態となるもので
あり、この状態が長く続くとエンジンの溶損につながる
ようになる。

したがって、このような検出信号に基づいて、マイクロ
コンピュータ16がエンジンに対する点火時期演算および
燃料噴射制御の演算処理を実行する場合に、例えば基準
角信号に対してノイズ信号が重畳されるような異常状態
が発生する状態にあっては、この異常状態による異常制
御が実行されないように、マイクロコンピュータ16にお
いて監視制御が実行されるようにする。

第３図は、このようなマイクロコンピュータ16における
基準角信号による割込みルーチンの流れを説明するもの
で、まずステップ301で角度位置信号の存在が判別され
る。このステップ301で角度位置信号が存在しないタイ
ミングと判別された時はステップ302に進むもので、こ
のステップ302では基準角信号を計数するカウンタの計
数値を設定された所定値（例えば５）と比較する。この
場合、基準角信号に対してノイズ信号が含まれない状態
であれば、第２図の（Ｃ）で示されるように基準角信号
カウンタの計数値は、角度位置信号で「０」にリセット
されて、最大件数値「５」まで計数されるようになる。

したがって、この基準角信号カウンタの計数値が「５」
を越える状態となったときには、基準角信号に対してノ
イズが重畳されることが判別できるものである。

そして、上記ステップ302で基準角信号カウンタの計数
値が設定回数より多い状態と判断された時、すなわち基
準角信号に対してノイズ成分が重畳されていると判断さ
れた時はステップ303に進み、ノイズカウンタをインク
リメントする。その後、ステップ304でオーバフローチ
ェックをした後に、割込みルーチンを抜出す。したが
て、以後基準角信号割込みが実行される毎にこのノイズ
カウンタの計数値は歩進され、第２図の（Ｅ）に示すよ
うに計数動作される。

上記ステップ302で基準角信号カウンタの計数値が、設
定回数より小さいと判断された時はステップ305に進
み、基準信号カウンタをインクリメントするだけで、こ
の割込みルーチンを抜出す。

上記のように計数制御されるノイズカウンタの計数値比
較動作は、ステップ301で角度位置信号が入力されたタ
イミングと判断された時にステップ306で実行される。
このステップ306は、ノイズカウンタの計数値を設定さ
れた所定回数（例えば３）と比較するもので、このノイ
ズカウンタの計数値が上記設定回路「３」より大きい状
態と判断された時、具体的には第２図の（Ｅ）で斜線で
示すような計数状態となった時は、ステップ307で正常
カウンタを「０」にリセットした後、ステップ308で第
２図の（Ｆ）に示すようにエラーカウンタをインクリメ
ントし、ステップ309でエラーカウンタのオーバフロー
チェックを行う。

ステップ310では、上記エラーカウンタの計数値が所定
回数（例えば２）を越える状態になったか否かを判断す
るもので、もしエラーカウンタの計数値が上記所定の設
定値を越える状態となった場合には、ステップ311で燃
料噴射もしくは点火制御の停止フラグをセットする。第
２図の（Ｇ）は上記ステップ307により制御される正常
カウンタの計数状態を示しているものであり、また
（Ｈ）は上記ステップ311で制御される停止フラグの状
態を示している。

そして、この状態でステップ312でノイズカウンタを
「０」に設定し、またステップ313で基準角信号カウン
タを「０」に設定して、このルーチンから抜出す。

また、上記ステップ310でエラーカウンタの計数値が所
定回数より小さいと判断された場合には、ステップ312
に進むようになる。

前記ステップ306で、ノイズカンウタの計数値が所定値
よりまだ小さい状態にあると判定された場合には、ステ
ップ314に進んでエラーカウンタを「０」に設定し、ス
テップ315で正常カウンタをインクリメントする。

そして、ステップ316で正常カウンタのオーバフローを
チェックし、ステップ317でこの正常カウンタの計数値
を所定の設定値（例えば２）と比較して、第２図の
（Ｇ）に示すようにこのカウンタ計数値が「２」を越え
る状態となった時に、次のステップ318で停止フラグを
リセットする。すなわち、燃料噴射制御もしくは点火制
御が第２図の（Ｈ）の（イ）の時点で停止制御され、ま
た（ロ）の時点で再び開始制御されるようになるもので
ある。

上記ステップ317で正常カウンタの計数値が設定される
所定回数に至っていない場合には、ステップ312に進ん
でこのルーチンから抜出すようにされる。

すなわち、マイクロコンピュータ16に対して供給される
角度位置信号の相互間に所定のパルス数を越える基準角
信号パルスが入力されると、この異常パルスの発生状態
をノイズカウンタで計数して、このノイズカウンタの計
数状態が所定のクランク角度間（例えば180゜AC×２）
連続すると、燃料噴射制御もしくは点火制御の少なくと
も一方が停止制御されるようになる。そして、この異常
基準角検出状態でエンジンを速やかに停止させるもので
ある。

また、角度位置信号と基準角信号との対応が正常状態に
復帰した場合には、この状態が所定のクランク角度間
（例えば180゜AC×２）連続する状態で、上記燃料噴射
制御および点火時期制御が正常状態に復帰制御されるも
のである。

［発明の効果］ 以上のようにこの発明に係るエンジの制御装置にあって
は、マイクロコンピュータにおいてエンジに対する燃料
の噴射制御さらに点火時期制御等を実行するような場合
に、このマイクロコンピュータに対して供給されるエン
ジの回転に対応する角度位置信号および基準角信号の対
応関係に異常状態が生ずるような状態となった場合に
は、マイクロコンピュータに対して基準角信号に異常が
発生したことが告知されるようになって、エンジの制御
態様が切り替えられて、例えば異常進角による破損から
確実に保護されるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例に係るエンジンの制御装置
を説明する構成図、第２図は上記制御装置の動作状態を
説明するタイムチャート、第３図は上記制御装置のマイ
クロコンピュータにおける基準角信号による割込みルー
チンを示すフローチャートである。 11……角度位置検出装置、12……基準角検出装置、16…
…マイクロコンピュータ、18……点火時期制御手段、19
……燃料噴射制御手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンが所定のクランク角位置にあるこ
   とを検出するクランク角度位置検出手段と、 前記クランク角度位置の相互間を複数に分割して繰り返
   し発生される基準角信号を検出する基準角信号検出手段
   と、 前記クランク角度位置検出手段によるクランク角度位置
   の検出によって初期状態に設定され、前記基準角信号検
   出手段による基準角信号の検出に応じて計数制御される
   カウンタ手段と、 前記クランク角度位置検出手段によるクランク角度位置
   の検出に応答して起動され、初期状態に設定される前の
   前記カウンタ手段のカウンタ値が前記分割数により特定
   される数値を越えるとき前記基準角信号の異常を判別す
   る異常判別手段と、 前記クランク角度位置と前記基準角信号とに基づいてエ
   ンジンの燃料噴射、点火等を制御すると共に、前記異常
   判定手段に応答してエンジン制御を切り替えるエンジン
   制御手段と、 を具備したことを特徴とするエンジンの制御装置。