JP2000097096A - 可変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診断装置 - Google Patents

可変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診断装置

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JP2000097096A
JP2000097096A JP10261789A JP26178998A JP2000097096A JP 2000097096 A JP2000097096 A JP 2000097096A JP 10261789 A JP10261789 A JP 10261789A JP 26178998 A JP26178998 A JP 26178998A JP 2000097096 A JP2000097096 A JP 2000097096A
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detection sensor
position detection
sensor system
cam
pulse
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JP10261789A
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Tatsuya Nakamura
竜也 中村
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Fuji Heavy Industries Ltd
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】可変バルブタイミング機構付きエンジンの回転
位置検出センサ系の異常を正確に診断する。 【解決手段】可変バルブタイミング機構27により、ク
ランク軸18に対し吸気カム軸19の回転位相(変位角
度)が変化しても、クランク角センサ44からのθ1ク
ランクパルス入力間に入力されるカム位置センサ46R
(46L)から入力されるθ7(θ8)カム位置パルス
の入力回数は必ず一定の規定値(=1)を取ることに着
目し、θ1クランクパルス入力間に入力されるθ7(θ
8)カム位置パルスの入力回数をカム位置パルス入力回
数カウント値CVVTC によりカウントする。そして、こ
のカム位置パルス入力回数カウント値CVVTCを規定値と
比較することで(S11)、回転位置検出センサ系に対す
る診断を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの吸気バ
ルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミン
グをエンジン運転状態に応じて変更する可変バルブタイ
ミング機構付エンジンにおける回転位置検出センサ系の
診断装置に関し、詳しくは、第1の回転位置検出センサ
から出力されるクランクパルスと、第2の回転位置検出
センサから出力されるカム位置パルスとの入力パターン
に基づいて回転位置検出センサ系の異常を診断する可変
バルブタイミング機構付エンジンにおける回転位置検出
センサ系の診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特開平7−150989号公報等
に開示されているように、エンジンのクランク軸の回転
を吸気バルブ若しくは排気バルブの開閉を行うカムのカ
ム軸に伝達する伝達手段に、クランク軸とカム軸との間
の回転位相を調整する可変バルブタイミング機構を介在
し、エンジン運転状態に基づいて可変バルブタイミング
機構を制御することで、エンジン運転状態に応じ吸気バ
ルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミン
グを連続的に変更する可変バルブタイミング機構付きエ
ンジンが実用化されている。
【0003】そして、この種の可変バルブタイミング機
構付きエンジンにおいては、クランク軸に同期して回転
するクランクロータに所定クランク角毎に形成された突
起等のクランク角指標を検出しクランク角を表すクラン
クパルスを出力するクランク角センサ(第1の回転位置
検出センサ)と、カム軸に同期して回転するカムロータ
に形成された突起等のカム位置指標を検出しカム位置を
表すカム位置パルスを出力するカム位置センサ(第2の
回転位置検出センサ)とを備えている。そして、クラン
ク角センサから出力されるクランクパルス、及び、カム
位置センサから出力されるカム位置パルスを電子制御装
置に入力し、該電子制御装置によって、クランクパルス
とカム位置パルスとに基づいて基準クランク角に対する
カム位置の回転位相、すなわち、クランク軸に対するカ
ム軸の回転位相がエンジン運転状態に基づき設定した目
標回転位相に収束するよう可変バルブタイミング機構を
制御する。例えば、アイドル時においては、吸気バルブ
の開閉タイミングを遅角化して排気バルブと吸気バルブ
とのオーバラップを減少させてアイドル回転安定化を図
り、また、高負荷運転時には、吸気バルブの開閉タイミ
ングを進角して排気バルブと吸気バルブとのオーバラッ
プを増加させて掃気効率の向上によりエンジン出力の向
上を図り、更に、低,中負荷運転時には、燃費向上に最
適なバルブタイミングを得るようにしている。
【0004】従って、クランク角センサやカム位置セン
サ自体、或いは、これら回転位置検出センサと電子制御
装置間のハーネスやコネクタ等の断線やショート等、或
いは、クランク角を表すクランクロータの突起、カム位
置を表すカムロータの突起の欠落等に起因して、パルス
抜けが生じたり、又は、パルス自体が出力されなくなっ
たりすると、基準クランク角に対するカム位置の回転位
相、すなわち、クランク軸に対するカム軸の回転位相を
正確に検出できず、或いは、回転位相そのものが検出不
能となって、エンジン運転状態に応じたバルブタイミン
グ制御を行うことができず、アイドルの不安定化を招
き、また、高負荷運転時にはエンジン出力が低下してし
まう。
【0005】また、クランクパルスやカム位置パルスに
ノイズが重積した場合にも、同様に、クランク軸に対す
るカム軸の回転位相を正確に検出できず、エンジン運転
状態に応じたバルブタイミング制御が不能となってしま
う。
【0006】このため、これら回転位置検出センサ系に
対する故障診断が必要である。
【0007】尚、可変バルブタイミング機構付きのエン
ジンではないが、特開平8−189409号公報には、
クランク軸と同期回転するシグナルロータ(クランクロ
ータ)の外周に1箇所のみ大きい間隔(30°CA)と
し他はそれよりも間隔の狭い所定間隔(10°CA)毎
にクランク角指標としての歯(突起)を設け、また、カ
ム軸と同期回転するシグナルロータ(カムロータ)の外
周にカム位置指標に対応する歯(突起)を1歯のみ設
け、これらをそれぞれクランク角センサ、基準位置セン
サ(カム位置センサ)により検出し、基準位置センサか
ら基準位置パルス(カム位置パルス)が出力されてから
次の基準位置パルスが出力されるまでの間において、ク
ランク角センサから出力されるクランクパルス数が所定
数よりも少ないときに、クランク角センサの異常と判断
し、また、基準位置パルスの入力間隔が所定時間よりも
短いとき、基準位置センサ(カム位置センサ)の異常と
判断して、クランク角センサに対する診断を中止する技
術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行例による技術を可変バルブタイミング機構付きエンジ
ンに転用し、回転位置検出センサ系の異常診断を行う場
合には、下記の不都合がある。
【0009】(1)可変バルブタイミング機構付きエン
ジンにおいて、カム位置検出精度を向上してバルブタイ
ミング制御性を向上するためには、カムロータに1つの
歯のみならず、カム位置指標として複数の歯(突起)を
所定角度毎に設ける必要がある。
【0010】そして、カムロータにカム位置指標として
複数の歯(突起)を設けた場合は、可変バルブタイミン
グ機構付きエンジンにおいては、クランク軸に対しカム
軸の回転位相が変化するため、クランクロータの外周に
1箇所のみ大きい間隔(30°CA)とし他はそれより
も間隔の狭い所定間隔(10°CA)毎にクランク角指
標としての歯(突起)を設けて、これらカム位置指標、
クランク角指標をそれぞれカム位置センサ、クランク角
センサにより検出し、カム位置センサから出力されるカ
ム位置パルス入力間のクランクパルス数を所定値と比較
して回転位置検出センサ系の異常を診断すると、クラン
ク軸に対するカム軸の回転位相の変化によって、カム位
置パルス入力間のクランクパルス数が正規状態において
も変化し、単に、カム位置パルス入力間のクランクパル
ス数を所定値と比較することで回転位置検出センサ系の
診断を行うと誤診断を生じる。
【0011】(2)クランクパルスにノイズが重積した
場合には、カム位置パルス入力間におけるクランクパル
ス数が増加する。このとき、クランク角センサ系に異常
が生じ、パルス抜け等によりカム位置パルス入力間に入
力される真のクランクパルス数が正規よりも少ない場合
においても、ノイズによる分、クランクパルス数が増加
するため、クランク角センサ系に異常が生じているにも
拘らず、カム位置パルス入力間のクランクパルス数が所
定値に達してしまい、回転位置検出センサ系(この場合
はクランク角センサ系)の異常を診断できず、誤診断を
生じる虞がある。
【0012】(3)また、上記先行例においては、カム
位置センサから出力されるカム位置パルスの入力間隔が
所定時間よりも短いときに、カム位置センサ系の異常と
診断しているものの、カム位置パルスの入力間隔時間
は、エンジン回転数に応じて変化し、アイドル時等のエ
ンジン低回転時には長く、エンジン高回転に移行するに
従い短くなる。従って、カム位置センサから出力される
カム位置パルスの入力間隔の時間と所定時間とを比較し
てカム位置センサ系の異常を判断する場合は、誤判定を
防止するため、診断基準値としての所定時間を、エンジ
ン高回転時よりも更に短い時間値とする必要があり、エ
ンジン低回転等においてカム位置パルスの入力間隔が比
較的長いときに、カム位置パルスにノイズが重積した場
合に、これを判断することができず、ノイズによってク
ランク軸に対するカム軸の回転位相を誤検出してしま
い、バルブタイミング制御性が悪化する不都合が生じ
る。
【0013】本発明は、上記事情に鑑み、複数のカム位
置指標を備えた場合にも正確に回転位置検出センサ系の
異常を診断でき、また、各回転位置検出センサからそれ
ぞれ出力されるパルスの少なくとも一方のパルスにノイ
ズが重積した場合においても対処することが可能な可変
バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置検
出センサ系の診断装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、エンジンのクランク軸の回
転を吸気バルブ若しくは排気バルブの開閉を行うカムの
カム軸に伝達する伝達手段に、上記クランク軸とカム軸
との間の回転位相を調整する可変バルブタイミング機構
を介在し、上記クランク軸に同期して回転するクランク
角指標を検出しクランク角を表すクランクパルスを出力
する第1の回転位置検出センサと、上記カム軸に同期し
て回転するカム位置指標を検出しカム位置を表すカム位
置パルスを出力する第2の回転位置検出センサとを備
え、上記クランクパルスとカム位置パルスとに基づいて
基準クランク角に対するカム位置の回転位相がエンジン
運転状態に基づき設定した目標回転位相に収束するよう
上記可変バルブタイミング機構を制御するものであっ
て、上記クランクパルスとカム位置パルスとの入力パタ
ーンに基づき回転位置検出センサ系の異常を診断する可
変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置
検出センサ系の診断装置において、図1の基本構成図に
示すように、上記両回転位置検出センサの一方からの特
定パルス入力間に入力される他方の回転位置検出センサ
からのパルスの入力回数をカウントするカウント手段
と、上記カウント値が規定値外のとき、回転位置検出セ
ンサ系の異常と診断する診断手段とを備えたことを特徴
とする。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記診断手段は、特定パルス入力間におけ
る他方の回転位置検出センサからのパルス入力回数が規
定値外のとき回転位置検出センサ系の異常状態と判断し
て、この異常状態を示す回数をカウントし、異常状態を
示す回数が所定回数に達したとき、回転位置検出センサ
系の異常と確定することを特徴とする。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1或いは請
求項2記載の発明において、上記診断手段は、特定パル
ス入力間における他方の回転位置検出センサからのパル
ス入力回数が規定値を示すとき、回転位置検出センサ系
の正常状態と判断して、この正常状態の継続判定回数を
カウントし、正常状態の継続判定回数が所定回数に達し
たとき、回転位置検出センサ系の正常と確定することを
特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項1ないし請
求項3記載の発明において、上記可変バルブタイミング
機構付きエンジンは複数のバンクを有して各バンクに可
変バルブタイミング機構を備え、上記診断手段は、回転
位置検出センサ系の異常を各バンク毎に診断することを
特徴とする。
【0018】すなわち、請求項1記載の発明では、第1
の回転位置検出センサから出力されるクランク角を表す
クランクパルスと、第2の回転位置検出センサから出力
されるカム位置を表すカム位置パルスとに基づいて、基
準クランク角に対するカム位置の回転位相がエンジン運
転状態に基づき設定した目標回転位相に収束するよう可
変バルブタイミング機構を制御する可変バルブタイミン
グ機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診
断装置において、回転位置検出センサ系の異常を診断す
るに際し、両回転位置検出センサの一方からの特定パル
ス入力間に入力される他方の回転位置検出センサからの
パルスの入力回数をカウントする。そして、一方の回転
位置検出センサからの特定パルス入力間に入力される他
方の回転位置検出センサからのパルスの入力回数が規定
値外のとき、回転位置検出センサ系の異常と診断する。
すなわち、クランク軸に対しカム軸の回転位相が変化し
ても、一方の回転位置検出センサからの或る特定のパル
スの入力間に、他方の回転位置検出センサから入力され
るパルスの入力回数は必ず一定の値を取ることに着目
し、この入力回数を規定値と比較することにより、正確
に回転位置検出センサ系に対する診断を行い得る。
【0019】請求項2記載の発明では、回転位置検出セ
ンサ系の異常を診断するに際し、特定パルス入力間にお
ける他方の回転位置検出センサからのパルス入力回数が
規定値外のとき回転位置検出センサ系の異常状態と判断
する。そして、更に、この異常状態を示す回数をカウン
トし、異常状態を示す回数が所定回数に達したとき、回
転位置検出センサ系の異常と確定する。これにより、一
時的な誤診断の影響を排除して可変バルブタイミング機
構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系に対する
診断精度を向上する。
【0020】また、請求項3記載の発明では、特定パル
ス入力間における他方の回転位置検出センサからのパル
ス入力回数が規定値を示すとき、回転位置検出センサ系
の正常状態と判断する。そして、この正常状態の継続判
定回数をカウントし、正常状態の継続判定回数が所定回
数に達したとき、回転位置検出センサ系の正常と確定す
る。
【0021】請求項4記載の発明では、複数のバンクを
有して各バンクに可変バルブタイミング機構を備えた可
変バルブタイミング機構付きエンジンに対して、回転位
置検出センサ系の診断を行うに際し、各バンク毎に回転
位置検出センサ系の異常を診断する。
【0022】
【実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形
態を説明する。図2〜図16は、本発明の実施の第1形
態を示す。
【0023】先ず、本発明が適用される可変バルブタイ
ミング機構付きエンジンの全体構成について、図5に従
い説明する。
【0024】同図において、符号1は、可変バルブタイ
ミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略
記する)であり、図においては、DOHC水平対向型4
気筒ガソリンエンジンを示す。このエンジン1のシリン
ダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2
がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に気筒毎に吸
気ポート2aと排気ポート2bとが形成されている。
【0025】エンジン1の吸気系としては、各吸気ポー
ト2aにインテークマニホルド3が連通され、このイン
テークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエア
チャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロッ
トル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通さ
れている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に
吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエ
アクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャン
バ8が連通されている。
【0026】また、上記吸気管6には、スロットル弁5
aをバイパス通路9が接続されており、このバイパス通
路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通
路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル
回転数を制御するアイドル回転数制御弁(ISC弁)1
0が介装されている。
【0027】更に、上記インテークマニホルド3の各気
筒の吸気ポート2aの直上流に、インジェクタ11が配
設されている。また、先端の放電電極を燃焼室に露呈す
る点火プラグ12が、シリンダヘッド2に各気筒毎に配
設されている。そして、各点火プラグ12は、イグナイ
タ内蔵イグニッションコイル13に接続されている。
【0028】一方、エンジン1の排気系としては、シリ
ンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエキゾース
トマニホルド14の集合部に排気管15が連通され、こ
の排気管15に触媒コンバータ16が介装されてマフラ
17に連通されている。
【0029】次に、図5〜図11に基づいて、エンジン
1の可変バルブタイミング機構について説明する。
【0030】エンジン1のクランク軸18の回転は、伝
達手段によって、左右バンクの各シリンダヘッド2内に
それぞれ配設された各吸気カム軸19及び各排気カム軸
20に伝達される。本形態においては、伝達手段は、ク
ランクシャフト18に固設されたクランクプーリ21、
タイミングベルト22、吸気カムプーリ23、排気カム
軸20に固設された排気カムプーリ24等によって構成
される。また、これらベルト、プーリを介して、クラン
ク軸18とカム軸19,20とが2対1の回転角度とな
るよう、その伝達係数が設定されている。そして、吸気
カム軸19に設けられたカム19a、及び排気カム軸2
0に設けられた排気カム(図示せず)は、それぞれクラ
ンク軸18と2対1の回転角度に維持される各カム軸1
9,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バル
ブ26を開閉駆動する。
【0031】また、図6に示すように、左右バンクの各
吸気カム軸19と吸気カムプーリ23と間に、該吸気カ
ムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクラン
ク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相(変位角
度)を連続的に変更する油圧駆動式の可変バルブタイミ
ング機構(以下、「VVT」と略記する)27が配設さ
れている。
【0032】このVVT27は、周知のように、後述の
電子制御装置60からの駆動信号により作動するオイル
フロー制御弁(以下、「OCV」と略記する)36R
(36L)によって油圧が切換えられ、駆動するもので
ある。尚、以下において、符号における添え字L,LH
は右バンク、R,RHは左バンクを表す。
【0033】吸気カム軸19は、シリンダヘッド2及び
ベアリングキャップ(図示せず)間において回転自在に
支持され、吸気カム軸19の先端部に、図6〜図8に示
すように、3つのベーン28を有するベーンロータ28
がボルト29により一体回転可能に取付けられている。
【0034】また、吸気カムプーリ23には、ハウジン
グ30及びハウジングカバー31がボルト32により一
体回転可能に取付けられている。また、吸気カムプーリ
23の外周には、タイミングベルト22を掛装するため
の外歯23aが多数形成されている。
【0035】そして、吸気カム軸19が回動自在に上記
ハウジングカバー31を貫通し、吸気カム軸19に固設
されたベーンロータ28の各ベーン28aが吸気カムプ
ーリと一体のハウジング30に形成された3つの扇状空
間部33に回動自在に収納される。各扇状空間部33
は、それぞれベーン28aによって進角室33aと遅角
室33bとに区画される。
【0036】上記進角室33aは、それぞれベーンロー
タ28、吸気カム軸19、シリンダヘッド2に形成され
た進角側オイル通路28b,19b,34を介してOC
V36R(36L)のAポート36aに連通され、ま
た、遅角室33bは、それぞれベーンロータ28、吸気
カム軸19、シリンダヘッド2に形成された遅角側オイ
ル通路28c,19c,35を介してOCV36R(3
6L)のBポート36bに連通されている。
【0037】また、OCV36R(36L)は、更に、
オイルパン37からオイルポンプ38、オイルフィルタ
39を介してオイルすなわち所定の油圧が供給されるオ
イル供給通路40に接続するオイル供給ポート36c
と、2つのドレイン通路41,42にそれぞれ連通する
ドレインポート36d,36fとを有し、4つのランド
及び各ランド間に形成された3つのパッセージを有する
スプール36gを軸方向に往復動させることで、Aポー
ト36a,Bポート36bと、オイル供給ポート36
c,レインポート36d又は36fとを選択的に連通す
る。
【0038】すなわち、このOCV36R(36L)
は、デューティソレノイド弁或いはリニアソレノイド弁
等からなり、スプール36gを軸方向に往復移動させる
ことによりオイルの流れ方向を切換える4方向制御弁で
ある。そして、OCV36R(36L)は、後述の電子
制御装置60によりデューティ制御或いは電流制御され
ることにより、その開度が調整され、各進角室33a、
遅角室33bに供給する油圧の大きさが調整される。
【0039】尚、符号43は、ベーンロータ28のベー
ン28aに挿通されたストッパピンであり、VVTが最
遅角状態のとき(図7参照)、ハウジング30に形成さ
れた孔30aに係合して位置決めを行う。
【0040】尚、図7はVVT27の最遅角状態を示
し、図8はVVT27の最進角状態を示す。
【0041】ここで、VVT27の動作について説明す
ると、詳しくは後述するが、クランク軸18に軸着され
てクランク軸18に同期して回転するクランクロータ4
3に所定クランク角毎に形成された突起43a,43
b,43c(図12参照)によるクランク角指標を検出
しクランク角を表すクランクパルスを出力する第1の回
転位置検出センサとしてのクランク角センサ44と、吸
気カム軸19の後端に固設され吸気カム軸19に同期し
て回転するカムロータ45に等角度毎に複数形成された
突起45a(図14参照)によるカム位置指標を検出し
カム位置を表すカム位置パルスを出力する第2の回転位
置検出センサとしてのカム位置センサ46R(46L)
とを備えている。そして、クランク角センサ44から出
力されるクランクパルス、及び、カム位置センサ46R
(46L)から出力されるカム位置パルスを電子制御装
置60に入力し、該電子制御装置60によって、クラン
クパルスとカム位置パルスとに基づいて基準クランク角
に対する吸気カム位置の回転位相、すなわち、クランク
軸18に対する吸気カム軸19の回転位相がエンジン運
転状態に基づき設定した目標回転位相に収束するようV
VT27をフィードバック制御する。
【0042】本実施の形態においては、VVT27を吸
気カム軸19側にのみ設け、図9に示すように、排気バ
ルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開
閉タイミングを変更する。
【0043】例えば、図10に示すように、エンジン運
転状態として、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表
す基本燃料噴射パルス幅Tp(=K×Q/NE;Qは吸
入空気量、Kはインジェクタ特性補正定数)とを採用
し、低負荷低回転のアイドル時においては、吸気バルブ
25の開閉タイミングを遅角化して排気バルブ26と吸
気バルブ25とのオーバラップを減少させてアイドル回
転安定化を図る。また、高負荷運転時には、吸気バルブ
25の開閉タイミングを進角して排気バルブ26と吸気
バルブ25とのオーバラップを増加させて掃気効率の向
上によりエンジン出力の向上を図り、更に、アイドル等
の低回転を除く低,中負荷運転時には、燃費向上に最適
なバルブタイミングを得るようにする。
【0044】本形態において、デューティソレノイド弁
によるOCV36R(36L)を採用する場合、OCV
36R(36L)に対し電子制御装置60から出力する
デューティ信号のデューティ比が大きい程、スプール3
6gは、図8に示すように左方向に移動し、デューティ
比が小さいほど、図7に示すように右方向に移動する。
【0045】すなわち、エンジン運転状態に基づいて設
定した目標回転位相に対し、クランク角センサ44から
出力されるクランクパルス、及び、カム位置センサ46
R(46L)から出力されるカム位置パルスとに基づい
て基準クランク角に対する吸気カム位置の回転位相、す
なわち、クランク軸18に対する吸気カム軸19の回転
位相(変位角度)が進角しているときには、電子制御装
置60は、OCV36R(36L)に出力するデューテ
ィ信号のデューティ比を減少し、VVT27の作動によ
りクランク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相
(変位角度)を遅角させる。
【0046】ここで、デューティ信号のデューティ比が
減少すると、OCV36R(36L)のスプール36g
が図の右方向に移動し、Aポート36aとドレインポー
ト36dとが連通することで、VVT27の進角室33
aが進角側オイル通路28b,19b,34、OCV3
6R(36L)を介してドレイン通路41に連通する。
また、これと共に、Bポート36bとオイル供給ポート
36cとが連通することで、VVT27の遅角室33b
が遅角側オイル通路28c,19c,35、OCV36
R(36L)を介してオイル供給通路40に連通する。
【0047】これにより、VVTの進角室33a内のオ
イルのドレインにより進角室33aに作用する油圧が低
下すると共に、遅角室33bにオイルが供給されて遅角
室33bに作用する油圧が上昇するため、図7に示すよ
うに、ベーンロータ28が図の反時計回り方向に回動
し、吸気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転
位相、すなわち、クランク軸18に対する吸気カム軸1
9の回転位相(変位角度)が遅角化されて、吸気カム軸
19の吸気カム19aによって駆動される吸気バルブ2
5の開閉タイミングが遅角される。
【0048】一方、逆に、目標回転位相に対し、基準ク
ランク角に対する吸気カム位置の回転位相、すなわち、
クランク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相(変
位角度)が遅角しているときには、電子制御装置60
は、OCV36R(36L)に出力するデューティ信号
のデューティ比を増加し、VVT27の作動によりクラ
ンク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相(変位角
度)を進角させる。
【0049】すなわち、デューティ信号のデューティ比
が増加すると、OCV36R(36L)のスプール36
gが図の左方向に移動し、Aポート36aとオイル供給
ポート36cとが連通することで、VVT27の進角室
33aが進角側オイル通路28b,19b,34、OC
V36R(36L)を介してオイル供給通路40に連通
する。また、これと共に、Bポート36bとドレインポ
ート36fとが連通することで、VVT27の遅角室3
3bが遅角側オイル通路28c,19c,35、OCV
36R(36L)を介してドレイン通路42に連通す
る。
【0050】その結果、VVTの進角室33aにオイル
が供給されて進角室33aに作用する油圧が上昇すると
共に、遅角室33b内のオイルのドレインにより遅角室
33bに作用する油圧が低下するため、図8に示すよう
に、ベーンロータ28が図の時計回り方向に回動し、吸
気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転位相、
すなわち、クランク軸18に対する吸気カム軸19の回
転位相(変位角度)が進角化されて、吸気カム軸19の
吸気カム19aによって駆動される吸気バルブ25の開
閉タイミングが進角される。
【0051】以上によって、エンジン運転状態に基づき
設定した目標回転位相(目標変位角度)に対し、クラン
ク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相(変位角
度)が収束するように、VVT27がフィードバック制
御される。
【0052】尚、本実施の形態においては、図11
(a)に示すように、各気筒の吸気バルブ25、排気バ
ルブ26のうち前側の吸気バルブ25、排気バルブ26
において、排気バルブ26に対する吸気バルブ25の最
遅角時のバルブオーバラップ量は、6°CAに設定さ
れ、最進角時のバルブオーバラップ量は56°CAに設
定されている。また、図11(b)に示すように、各気
筒の吸気バルブ25、排気バルブ26のうち後側の吸気
バルブ25、排気バルブ26において、排気バルブ26
に対する吸気バルブ25の最遅角時のバルブオーバラッ
プ量は、10°CAに設定され、最進角時のバルブオー
バラップ量は60°CAに設定されている。
【0053】従って、本形態においては、各吸気カム軸
19のクランク軸18(吸気カムプーリ23)に対する
回転位相は、VVT27によって、最大50°CA変化
する。
【0054】次に、エンジン運転状態を検出するための
センサ類について説明する。
【0055】吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、
ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた熱式の吸
入空気量センサ47が介装され、スロットルチャンバ5
に配設されたスロットル弁5aにスロットル開度センサ
48が連設されている。
【0056】また、エンジン1のシリンダブロック1a
にノックセンサ49が取付けられ、シリンダブロック1
aの左右両バンクを連通する冷却水通路50に冷却水温
センサ51が臨まされている。そして、触媒コンバータ
16の上流にO2センサ52が配設されている。
【0057】また、エンジン1のクランク軸18に軸着
するクランクロータ43の外周にクランク角センサ44
が対設され、更に、クランク軸18に対し1/2回転す
る吸気カムプーリ23の裏面に気筒判別センサ53が対
設され(図6参照)、吸気カム軸19の後端に固設され
たカムロータ45の外周にカム位置センサ46R(46
L)が対設されている。
【0058】上記クランクロータ43は、図12に示す
ように、その外周に突起43a,24b,43cが形成
され、これらの各突起43a,43b,43cが、各気
筒(#1,#2気筒と#3,#4気筒)の圧縮上死点前
(BTDC)θ1,θ2,θ3の位置に形成されてい
る。本形態においては、θ1=97°CA,θ2=65
°CA,θ3=10°CAである。
【0059】また、図13に示すように、吸気カムプー
リ23の裏面の外周側に、気筒判別用の突起23b,2
3c,23dが形成され、突起23bが#3,#4気筒
の圧縮上死点後(ATDC)θ4の位置に形成され、突
起23cが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気
筒のATDCθ5の位置に形成されている。更に、突起
23dが2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒
のATDCθ6の位置に形成されている。尚、本形態に
おいては、θ4=20°CA,θ5=5°CA,θ6=
20°CAである。また、これら気筒判別用の突起23
b,23c,23d、及び、気筒判別センサ53は、一
方のバンクのみに設けられる。
【0060】さらに、本形態で採用するエンジン1が4
気筒エンジンであるのに対応して、上記カムロータ45
は、図14に示すように、その外周にカム位置検出用の
突起45aが180°CAの等角度毎に1個づつ計4個
形成されている。そして、これら各突起45aは、VV
T27の作動によって、各気筒の圧縮上死点を基準とし
て、θ7=BTDC30°CA〜ATDC20°CAの
間で変化する。尚、図14においては、RH側の吸気カ
ム軸19に固設されているカムロータ45を示すが、L
H側の吸気カム軸19にも、同様に、その外周にカム位
置検出用の突起45aが180°CAの等角度毎に4個
形成されており、これら各突起45aは、VVT27の
作動によって、各気筒の圧縮上死点を基準として、θ8
=BTDC30°CA〜ATDC20°CAの間で変化
する。
【0061】そして、図15のタイムチャートに示すよ
うに、エンジン運転に伴い、クランク軸18、吸気カム
プーリ23、及び吸気カム軸19の回転により、クラン
クロータ43及びカムロータ45が回転して、クランク
ロータ43の各突起43a,43b,43cがクランク
角センサ44によって検出され、クランク角センサ44
からθ1,θ2,θ3(BTDC97°,65°,10
°CA)の各クランクパルスがエンジン1/2回転(1
80°CA)毎に出力される。また、θ3クランクパル
スとθ1クランクパルスとの間で吸気カムプーリ23の
各突起23b,23c,23dが気筒判別センサ53に
よって検出され、気筒判別センサ53から所定数の気筒
判別パルスが出力される。
【0062】一方、VVT27によってクランク軸18
に対し回転位相が変化する右バンク,左バンクの各吸気
カム軸19の後端に固設されたカムロータ45の各突起
45aがカム位置センサ46R,46Lによって検出さ
れ、カム位置センサ46R,46Lからそれぞれθ7,
θ8のカム位置パルスが出力される。
【0063】そして、以下のエンジン制御用の電子制御
装置(以下、「ECU」と略記する)60において、ク
ランク角センサ44から出力されるクランクパルスの入
力間隔時間に基づいてエンジン回転数NEを算出し、ま
た、各気筒の燃焼行程順(例えば、#1気筒→#3気筒
→#2気筒→#4気筒)と、気筒判別センサ53からの
気筒判別パルスをカウンタによって計数した値とのパタ
ーンに基づいて、燃焼行程気筒、燃料噴射対象気筒や点
火対象気筒の気筒判別を行う。
【0064】さらに、ECU60は、クランク角センサ
44から出力されるクランクパルス(例えば、θ1パル
ス)、及び、カム位置センサ46R,46Lから出力さ
れるθ7,θ8カム位置パルスとに基づいて基準クラン
ク角に対する吸気カム位置の回転位相(変位角度)を算
出する。ここで、エンジン回転数NEから単位角度当た
りの回転時間を求めることができ、この単位角度回転当
たりの時間に、θ7,θ8カム位置パルスが入力してか
らθ1クランクパルスが入力するまでの時間を乗算する
ことで、基準クランク角に対する吸気カム位置の回転位
相(変位角度)、すなわち、クランク軸18に対する各
吸気カム軸19の回転位相(変位角度)を算出すること
が可能である。
【0065】上記ECU60は、前述のインジェクタ1
1、点火プラグ12、ISC弁10、VVT27に供給
する油圧を調節するためのOCV36R,36L等のア
クチュエータ類に対する制御量の演算、制御信号の出
力、すなわち、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル
回転数制御、吸気バルブ25に対するバルブタイミング
制御(VVT制御)等を行うものであり、図16に示す
ように、CPU61、ROM62、RAM63、バック
アップRAM64、カウンタ・タイマ群65、及びI/
Oインターフェイス66がバスラインを介して接続され
るマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に
安定化電源を供給する定電圧回路67、上記I/Oイン
ターフェイス66に接続される駆動回路68、A/D変
換器69等の周辺回路が内蔵されている。
【0066】尚、上記カウンタ・タイマ群65は、フリ
ーランカウンタ、気筒判別センサ信号(気筒判別パル
ス)の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射
用タイマ、点火用タイマ、定期割込みを発生させるため
の定期割込み用タイマ、クランク角センサ信号(クラン
クパルス)の入力間隔計時用タイマ、及びシステム異常
監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上
総称するものであり、その他、各種のソフトウエアカウ
ンタ・タイマが用いられる。
【0067】上記定電圧回路67は、2回路のリレー接
点を有する電源リレー70の第1のリレー接点を介して
バッテリ71に接続され、電源リレー71は、そのリレ
ーコイルの一端が接地され、リレーコイルの他端が駆動
回路68に接続されている。尚、電源リレー70の第2
のリレー接点には、バッテリ71から各アクチュエータ
に電源を供給するための電源線が接続されている。バッ
テリ71には、イグニッションスイッチ72の一端が接
続され、このイグニッションスイッチ72の他端がI/
Oインターフェイス66の入力ポートに接続されてい
る。
【0068】さらに、上記定電圧回路67は、直接、バ
ッテリ71に接続されており、イグニッションスイッチ
72のONが検出されて電源リレー70の接点が閉とな
ると、ECU60内の各部へ電源を供給する一方、イグ
ニッションスイッチ72のON,OFFに拘らず、常
時、バックアップRAM64にバックアップ用の電源を
供給する。
【0069】上記I/Oインターフェイス66の入力ポ
ートには、ノックセンサ49、クランク角センサ44、
気筒判別センサ53、カム位置センサ46R,46L、
車速を検出するための車速センサ54が接続されてお
り、更に、A/D変換器69を介して、吸入空気量セン
サ47、スロットル開度センサ48、冷却水温センサ5
1、及びO2センサ52が接続されると共に、バッテリ
電圧VBが入力されてモニタされる。
【0070】一方、上記I/Oインターフェイス66の
出力ポートには、ISC弁10、インジェクタ11、O
CV36R,36L、図示しないインストルメントパネ
ルに配設され各種警報を集中表示する警報ランプとして
のCHECK ENGINEランプ55、及び、電源リレー70のリ
レーコイルが上記駆動回路68を介して接続されると共
に、イグナイタ内蔵イグニッションコイル13のイグナ
イタが接続されている。
【0071】また、上記I/Oインターフェイス66に
は、外部接続用コネクタ75が接続されており、この外
部接続用コネクタ75にシリアルモニタ(携帯型故障診
断装置)80を接続することで、シリアルモニタ80に
よってECU60における入出力データ、及び、ECU
60の自己診断機能により上記バックアップRAM64
にストアされた回転位置検出センサ系の異常を示す後述
の回転位置検出センサ系NGフラグFNGを含む故障部
位、故障内容を示すトラブルデータを読み出して診断可
能としている。更に、シリアルモニタ60によって、上
記トラブルデータのイニシャルセット(クリア)が行え
るようになっている。
【0072】尚、このシリアルモニタ60によるトラブ
ルデータの診断、及びイニシャルセットについては、本
出願人による特公平7−76730号公報に詳述されて
いる。
【0073】上記ECU60は、ROM62に記憶され
ている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイ
ス66を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検
出信号、及びバッテリ電圧等をCPU61で処理すると
共に、RAM63に格納される各種データ、バックアッ
プRAM64に格納されている各種学習値データ、及び
ROM62に記憶されている固定データ等に基づき、燃
料噴射量、点火時期、ISC弁10に対する制御信号の
デューティ比、OCV36R,36Lに対する制御信号
のデューティ比等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制
御、アイドル回転数制御、バルブタイミング制御(VV
T制御)等のエンジン制御を行う。
【0074】ここで、上述のように、バルブタイミング
制御においては、クランク角センサ44から出力される
クランクパルスと、カム位置センサ46R(46L)か
ら出力されるカム位置パルスとに基づいて基準クランク
角に対する吸気カム位置の回転位相、すなわち、クラン
ク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相が、エンジ
ン運転状態に基づいて設定した目標回転位相に収束する
ようOCV36R,36Lに対する制御デューティ比を
演算し、このデューティ比による制御信号をOCV36
R,36Lに出力して、VVT27をフィードバック制
御する。
【0075】このため、クランク角センサ44やカム位
置センサ46R(46L)自体、或いは、これら回転位
置検出センサ46R(46L)とECU60間のハーネ
スやコネクタ等の断線やショート等、或いは、基準クラ
ンク位置(基準クランク角)を表すクランクロータ43
の突起43a、カム位置を表すカムロータ45の突起4
5aの欠落等に起因して、パルス抜けが生じたり、又
は、パルス自体が出力されなくなったりすると、基準ク
ランク角に対する吸気カム位置の回転位相(変位角
度)、すなわち、クランク軸18に対する各吸気カム軸
19の回転位相(変位角度)を正確に検出できず、或い
は、回転位相そのものが検出不能となって、エンジン運
転状態に応じたバルブタイミング制御を行うことができ
ず、アイドルの不安定化を招き、また、高負荷運転時に
はエンジン出力が低下してしまう。
【0076】また、クランクパルスやカム位置パルスに
ノイズが重積した場合にも、同様に、 クランク軸18
に対する各吸気カム軸19の回転位相を正確に検出でき
ず、エンジン運転状態に応じたバルブタイミング制御が
不能となってしまう。
【0077】従って、これらクランク角センサ44やカ
ム位置センサ46R(46L)等の回転位置検出センサ
系に対する診断が必要である。
【0078】上述のように、本実施の形態においては、
クランク軸18に対し吸気カム軸19がVVT27の作
動により最大50°CA回転位相(変位角度)が変化
し、吸気カム軸19に固設されたカムロータ45の各突
起45aを検出してカム位置を表すカム位置センサ46
R(46L)からのθ7(θ8)カム位置パルスは、図
15のタイムチャートに示すように、各気筒の圧縮上死
点を基準として、θ7(θ8)=BTDC30°CA〜
ATDC20°CAの間で変化する。
【0079】ここで、図15において、クランク角セン
サ44からBTDC97°CA毎に出力されるθ1クラ
ンクパルスに着目すると、クランク軸18に対し吸気カ
ム軸19の回転位相が変化しても、クランク角センサ4
4から出力されるθ1クランクパルスの入力間(θ1ク
ランクパルスが入力されてから次のθ1クランクパルス
が入力されるまでの間)に、カム位置センサ46R(4
6L)からのθ7(θ8)カム位置パルスが必ず1つ入
力する。
【0080】すなわち、VVT27の作動によりクラン
ク軸18に対し吸気カム軸19の回転位相が変化して
も、一方の回転位置検出センサ(クランク角センサ4
4)からの或る特定のパルス(θ1クランクパルス)入
力間に、他方の回転位置検出センサ(カム位置センサ4
6R(46L))から入力されるパルス(θ7(θ8)
カム位置パルス)の入力回数は必ず一定の値(本形態で
は、1つ)を取ることに着目し、この入力回数を規定値
(本形態では、規定値=1)と比較することにより、正
確に、これら回転位置検出センサ系に対する診断を行う
ことが可能である。
【0081】従って、本形態においては、クランク角セ
ンサ44からのθ1クランクパルス入力間に入力される
カム位置センサ46R(46L)からのθ7(θ8)カ
ム位置パルスの入力回数をカウントし、このカウント値
が規定値外のとき(カウント値≠1)、回転位置検出セ
ンサ系の異常と診断する。
【0082】さらに、本実施の形態においては、回転位
置検出センサ系の異常を診断するに際して、θ1クラン
クパルス入力間におけるカム位置センサ46R(46
L)からのθ7(θ8)カム位置パルスの入力回数が規
定値外のとき回転位置検出センサ系の異常状態と判断
し、更に、この異常状態を示す回数をカウントし、異常
状態を示す回数が所定回数に達したとき、回転位置検出
センサ系の異常と確定する。これにより、一時的な誤診
断の影響を排除して可変バルブタイミング機構付きエン
ジンにおける回転位置検出センサ系に対する診断精度を
向上する。
【0083】また、θ1クランクパルス入力間における
カム位置センサ46R(46L)からのθ7(θ8)カ
ム位置パルスの入力回数が規定値を示すとき、回転位置
検出センサ系の正常状態と判断し、この正常状態の継続
判定回数をカウントし、正常状態の継続判定回数が所定
回数に達したとき、回転位置検出センサ系の正常と確定
する。
【0084】すなわち、ECU60は、本発明に係るカ
ウント手段、及び診断手段としての機能を実現する。
【0085】以下、ECU60によって実行される本発
明に係る回転位置検出センサ系に対する診断処理につい
て、図2〜図4に示すフローチャートに従って説明す
る。
【0086】先ず、イグニッションスイッチ72がON
され、ECU60に電源が投入されると、システムがイ
ニシャライズされ、バックアップRAM64に格納され
ているトラブルデータ及び各種学習値等のデータを除
く、各フラグ、各カウンタ類が初期化される。そして、
スタータスイッチ(図示せず)がONされてエンジンが
起動すると、カム位置センサ46R(或いは、46L)
からのθ7(θ8)カム位置パルス入力毎に、図2に示
すカム位置パルス割込みルーチンが実行される。
【0087】このカム位置パルス割込みルーチンでは、
エンジン運転に伴い吸気カム軸19に固設されたカムロ
ータ45が回転してカム位置センサ46R(或いは、4
6L)からのθ7(θ8)カム位置パルスが入力される
と、ステップS1で、カム位置パルスの入力回数をカウン
トするカム位置パルス入力回数カウント値CVVTCをカウ
ントアップして(CVVTC←CVVTC+1)、ルーチンを抜
ける。
【0088】そして、クランク角センサ44からのθ1
クランクパルス入力毎に実行される図3に示すθ1クラ
ンクパルス割込みルーチンにおいて、クランク角センサ
44からのθ1クランクパルス入力間に入力されるカム
位置センサ46R(46L)からのθ7(θ8)カム位
置パルスの入力回数を表すカム位置パルス入力回数カウ
ント値CVVTCを規定値(=1)と比較し、このカウント
値CVVTCが規定値外のとき(CVVTC≠1)、回転位置検
出センサ系の異常と判断する。
【0089】このθ1クランクパルス割込みルーチンに
おいては、先ず、ステップS11で、カム位置パルス入力
回数カウント値CVVTCを規定値(=1)と比較する。そ
して、このカウント値CVVTCが規定値のとき(CVVTC=
1)、回転位置検出センサ系の正常状態と判断して、ス
テップS12へ進み、回転位置検出センサ系の正常状態の
継続判定回数を表す正常状態カウント値COKをカウント
アップし(COK←COK+1)、続くステップS13で、次
回に備えカム位置パルス入力回数カウント値CVVTCをク
リアして(CVVTC←0)、ルーチンを抜ける。
【0090】一方、上記ステップS11において、カム位
置パルス入力回数カウント値CVVTCが規定値外のときは
(CVVTC≠1)、回転位置検出センサ系の異常状態と判
断して、ステップS14へ進み、回転位置検出センサ系の
正常状態の継続判定回数を表す正常状態カウント値COK
をクリア(COK←0)すると共に、続くステップS15
で、回転位置検出センサ系の異常状態の判定回数を表す
異常状態カウント値CNGをカウントアップし(CNG←C
NG+1)、上記ステップS13を経てルーチンを抜ける。
【0091】そして、所定時間(例えば、10msec)毎
に実行される図4の回転位置検出センサ系診断ルーチン
において、バックアップRAM64にストアされている
回転位置検出センサ系の異常を示す回転位置検出センサ
系NGフラグFNGを参照し、現在、回転位置検出センサ
系の正常と診断されているときには、上記異常状態カウ
ント値CNGに基づいて回転位置検出センサ系の異常診断
を行い、一方、現在、回転位置検出センサ系の異常と診
断されているときには、上記正常状態カウント値COKに
基づいて回転位置検出センサ系の正常診断を行う。
【0092】この回転位置検出センサ系診断ルーチンに
おいては、先ず、ステップS21で、バックアップRAM
64にストアされている回転位置検出センサ系の異常を
示す回転位置検出センサ系NGフラグFNGを参照する。
そして、FNG=0で、現在、回転位置検出センサ系の正
常と診断されているときには、ステップS22へ進み、上
記異常状態カウント値CNGを、回転位置検出センサ系の
異常を確定診断するための設定値NSET1(本形態におい
ては、NSET1=32)と比較する。
【0093】上記設定値NSET1は、一時的な誤診断の影
響を排除して、回転位置検出センサ系の異常と確定し得
る回転位置検出センサ系の異常状態判定回数の適正値
を、予めシミュレーション或いは実験等により求め、固
定データとしてROM62に記憶されているものであ
る。
【0094】そして、CNG≦NSET1のときには、そのま
まルーチンを抜け、CNG>NSET1で、異常状態カウント
値CNGが設定値NSET1に達し、すなわち、回転位置検出
センサ系の異常状態の判定回数が設定値NSET1による所
定回数に達したとき、回転位置検出センサ系の異常と確
定して、ステップS23へ進む。
【0095】ステップS23では、回転位置検出センサ系
の異常確定により、回転位置検出センサ系の異常を示す
回転位置検出センサ系NGフラグFNGをセットし(FNG
←1)、続くステップS24で、CHECK ENGINEランプ55
を点灯して、運転者に回転位置検出センサ系の異常を報
知し、ステップS25で、次回の診断に備えて、異常状態
カウント値CNGをクリアして(CNG←0)、ルーチンを
抜ける。
【0096】一方、上記ステップS21において、FNG=
1で回転位置検出センサ系NGフラグFNGがセットされ
ており、現在、回転位置検出センサ系の異常と診断され
ているときには、ステップS26へ進み、上記正常状態カ
ウント値COKを、回転位置検出センサ系の正常を確定診
断するための設定値NSET2(本形態においては、NSET2
=32)と比較する。
【0097】この設定値NSET2は、一時的な誤診断の影
響を排除して、回転位置検出センサ系の正常と確定し得
る回転位置検出センサ系の正常状態判定の継続回数の適
正値を、予めシミュレーション或いは実験等により求
め、固定データとしてROM62に記憶されているもの
である。
【0098】そして、COK≦NSET2のときには、そのま
まルーチンを抜け、COK>NSET2で、正常状態カウント
値COKが設定値NSET2に達し、すなわち、回転位置検出
センサ系の正常状態判定の継続回数が設定値NSET2によ
る所定回数に達したとき、回転位置検出センサ系の正常
と確定して、ステップS27へ進む。
【0099】ステップS27では、回転位置検出センサ系
の正常確定により、回転位置検出センサ系の異常を示す
回転位置検出センサ系NGフラグFNGをクリアし(FNG
←0)、続くステップS28で、CHECK ENGINEランプ55
を消灯して、ルーチンを抜ける。
【0100】ここで、上述のカム位置パルス入力回数カ
ウント値CVVTCは、図2のカム位置パルス割込みルーチ
ンにより、カム位置センサ46R(46L)からのθ7
(θ8)カム位置パルス入力毎にカウントアップされ、
また、クランク角センサ44からのθ1クランクパルス
入力毎に実行される図3のθ1クランクパルス割込みル
ーチンにおいて、該カウント値CVVTCを規定値と比較す
ることで回転位置検出センサ系の異常を判断した後にク
リアされる(ステップS13)。
【0101】従って、このカム位置パルス入力回数カウ
ント値CVVTCは、該カウント値CVVTCを規定値と比較す
ることで回転位置検出センサ系の異常を判断するステッ
プS11の実行時点において、クランク角センサ44から
の前回と今回のθ1クランクパルス入力間に入力される
カム位置センサ46R(46L)からのθ7(θ8)カ
ム位置パルスの入力回数を表す。
【0102】このため、前述の説明、及び図15のタイ
ムチャートから明らかなように、正規に、クランク角セ
ンサ44からのθ1クランクパルス、及び、カム位置セ
ンサ46R(46L)からのθ7(θ8)カム位置パル
スがECU60に入力されている場合、ステップS11の
実行時点で、カム位置パルス入力回数カウント値CVVTC
は、必ずCVVTC=1となる。
【0103】従って、クランク角センサ44やカム位置
センサ46R(46L)自体、或いは、これら回転位置
検出センサ44,46R(46L)とECU60間のハ
ーネスやコネクタ等の断線やショート等、或いは、基準
クランク位置(基準クランク角)を表すクランクロータ
43の突起43a、カム位置を表すカムロータ45の突
起45aの欠落等に起因して、パルス抜けが生じたり、
又は、パルス自体が出力されなくなったりすると、カム
位置パルス入力回数カウント値CVVTCは、CVVTC≠1と
なる。
【0104】すなわち、クランク角センサ44自体、或
いは、クランク角センサ44とECU60間のハーネス
やコネクタ等の断線やショート等、或いは、基準クラン
ク位置(基準クランク角)を表すクランクロータ43の
突起43aの欠落等に起因して、θ1クランクパルスに
抜けが生じた場合には、CVVTC>1となり、従って、ス
テップS11において、CVVTC≠1により回転位置検出セ
ンサ系の異常を判断することができる。
【0105】また、カム位置センサ46R(46L)自
体、或いは、カム位置センサ46R(46L)とECU
60間のハーネスやコネクタ等の断線やショート等、或
いは、カム位置を表すカムロータ45の突起45aの欠
落等に起因して、θ7(θ8)カム位置パルスに抜けが
生じたり、又は、θ7(θ8)カム位置パルス自体が全
く出力されなくなった場合は、CVVTC=0となり、従っ
て、ステップS11において、同様に、CVVTC≠1により
回転位置検出センサ系の異常を判断することができる。
【0106】さらに、クランク角センサ44からのクラ
ンクパルスにノイズが重積してθ1クランクパルスが誤
検出された場合には、CVVTC=0となり、この場合にお
いても、ステップS11で、CVVTC≠1により回転位置検
出センサ系の異常を判断することができる。
【0107】また、カム位置センサ46R(46L)か
らのカム位置パルスにノイズが重積して、θ7(θ8)
カム位置パルスが誤検出された場合には、CVVTC>1と
なって、ステップS11で、CVVTC≠1により回転位置検
出センサ系の異常を判断することができる。
【0108】すなわち、何れの場合においても、確実
に、回転位置検出センサ系の異常を判断することができ
る。
【0109】また、可変バルブタイミング機構付きエン
ジン1において、カム位置検出精度を向上してバルブタ
イミング制御性を向上するため、カムロータ45に、カ
ム位置指標として複数(本形態においては、4つ)の突
起45aを所定角度毎に設けているが、VVT27の作
動によりクランク軸18に対し吸気カム軸19の回転位
相が変化し、これら突起45aを検出するカム位置セン
サ46R(46L)からのθ7(θ8)カム位置パルス
の角度位相が変化しても、このθ7(θ8)カム位置パ
ルスは、必ず、クランク角センサからのθ1クランクパ
ルス入力間に1つ入力するため、カム位置検出精度を向
上してバルブタイミング制御性を向上するために、カム
ロータ45に複数の突起45aを設けた場合において
も、誤診断を生じることなく、確実且つ正確に回転位置
検出センサ系の診断を行うことが可能となり、回転位置
検出センサ系に対する診断信頼性の向上が可能となる。
【0110】従って、カムロータ44に複数のカム位置
指標としての突起45aを備えた場合にも、正確に回転
位置検出センサ系の異常を診断でき、また、各回転位置
検出センサ44,46R(46L)からそれぞれ出力さ
れるクランクパルス、カム位置パルスの少なくとも一方
のパルスにノイズが重積した場合においても、対処する
ことが可能となり、可変バルブタイミング機構付きエン
ジン1の回転位置検出センサ系に対する診断精度及び信
頼性を著しく向上することが可能となる。
【0111】また、本実施の形態においては、図3のθ
1クランクパルス割込みルーチンのステップS11におい
て、上述のカム位置パルス入力回数カウント値CVVTC
が、CVVTC≠1で、クランク角センサ44からのθ1ク
ランクパルス入力間に入力されるカム位置センサ46R
(46L)からのθ7(θ8)カム位置パルスの入力回
数が規定値外の値を示すとき、回転位置検出センサ系の
異常状態と判断する。そして、この異常状態の判定回数
を、ステップS15において、異常状態カウント値CNGに
よりカウントし、所定時間毎に実行される図4の回転位
置検出センサ系診断ルーチンのステップS22において、
上記異常状態カウント値CNGによってカウントされた異
常状態の判定回数が設定値NSET1による所定回数に達し
たとき、回転位置検出センサ系の異常と確定するため、
一時的な誤診断の影響を排除して、可変バルブタイミン
グ機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系に対
する異常診断の診断精度を更に向上することが可能とな
る。また、上述の異常状態カウント値CNGは、積算値を
採るため、回転位置検出センサ系に異常が生じたときに
は、早期に回転位置検出センサ系の異常を診断し得る。
【0112】さらに、図3のθ1クランクパルス割込み
ルーチンのステップS11において、カム位置パルス入力
回数カウント値CVVTCが、CVVTC=1で、クランク角セ
ンサ44からのθ1クランクパルス入力間に入力される
カム位置センサ46R(46L)からのθ7(θ8)カ
ム位置パルスの入力回数が規定値の値を示すとき、回転
位置検出センサ系の正常状態と判断する。そして、この
正常状態の継続判定回数を、ステップS12において、正
常状態カウント値COKによりカウントし、所定時間毎に
実行される図4の回転位置検出センサ系診断ルーチンの
ステップS26において、上記正常状態カウント値COKに
よってカウントされた正常状態の継続判定回数が設定値
NSET2による所定回数に達したとき、回転位置検出セン
サ系の正常と確定するため、一時的な誤診断の影響を排
除して可変バルブタイミング機構付きエンジンにおける
回転位置検出センサ系に対する正常診断の診断精度を向
上することが可能となる。また、正常状態カウント値C
OKは、正常状態判定の継続値を採るため、回転位置検出
センサ系の正常診断を厳密に診断し得る。
【0113】次に、図17〜図20に基づいて本発明の
実施の第2形態を説明する。上記実施の第2形態におい
ては、一方バンクのカム位置センサ46R(或いは46
L)からのカム位置パルスθ7(θ8)を用いて一義的
に回転位置検出センサ系の診断を行うのに対し、本実施
の形態は、左右両バンクの各カム位置センサ46R,4
6Lからのカム位置パルスθ7,θ8の双方を用い、回
転位置検出センサ系の異常を各バンク毎に診断する。
【0114】すなわち、特定パルスとしてクランク角セ
ンサ44からのθ1クランクパルス入力間に入力される
両カム位置センサ46R,46Lからのカム位置パルス
θ7,θ8の入力回数をそれぞれ個別にカウントし、こ
れら各入力回数に基づいて回転位置検出センサ系の異常
を各バンク毎に診断する。
【0115】以下、ECU60によって実行される本形
態に係る回転位置検出センサ系に対する診断処理につい
て、図17〜図20に示すフローチャートに従って説明
する。
【0116】エンジン運転に伴い各バンクの吸気カム軸
19に固設されたカムロータ45がそれぞれ回転して各
カム位置センサ46R,46Lからθ7,θ8カム位置
パルスが出力する。
【0117】そして、右バンクに配設されたカム位置セ
ンサ46Rからのθ7カム位置パルス入力毎に、図17
に示すθ7カム位置パルス割込みルーチンが実行され、
また、左バンクに配設されたカム位置センサ46Lから
のθ8カム位置パルス入力毎に、図18に示すθ8カム
位置パルス割込みルーチンが実行される。
【0118】図17のθ7カム位置パルス割込みルーチ
ンでは、右バンクのカム位置センサ46Rからのθ7カ
ム位置パルスが入力されると、ステップS31で、θ7カ
ム位置パルスの入力回数をカウントするθ7カム位置パ
ルス入力回数カウント値CVVTCRをカウントアップして
(CVVTCR←CVVTCR+1)、ルーチンを抜ける。
【0119】また、図18のθ8カム位置パルス割込み
ルーチンは、左バンクのカム位置センサ46Lからのθ
8カム位置パルスが入力されると、ステップS41で、θ
8カム位置パルスの入力回数をカウントするθ8カム位
置パルス入力回数カウント値CVVTCLをカウントアップ
して(CVVTCL←CVVTCL+1)、ルーチンを抜ける。
【0120】そして、クランク角センサ44からのθ1
クランクパルス入力毎に実行される図19のθ1クラン
クパルス割込みルーチンにおいて、クランク角センサ4
4からのθ1クランクパルス入力間にそれぞれ入力され
る各カム位置センサ46R,46Lからのθ7,θ8カ
ム位置パルスの入力回数を表すθ7,θ8カム位置パル
ス入力回数カウント値CVVTCR,CVVTCLを、それぞれ規
定値(=1)と比較する。そして、θ7カム位置パルス
入力回数カウント値CVVTCRが規定値外のとき(CVVTCR
≠1)、右バンク側の回転位置検出センサ系の異常と判
断し、また、θ8カム位置パルス入力回数カウント値C
VVTCLが規定値外のとき(CVVTCL≠1)、左バンク側の
回転位置検出センサ系の異常と判断する。
【0121】このθ1クランクパルス割込みルーチンに
おいては、先ず、ステップS51〜S54で、右バンク側の回
転位置検出センサ系の異常を判断する。
【0122】すなわち、ステップS51で、θ7カム位置
パルス入力回数カウント値CVVTCRを規定値(=1)と
比較する。そして、このカウント値CVVTCRが規定値の
とき(CVVTCR=1)、右バンク側回転位置検出センサ
系の正常状態と判断して、ステップS52へ進み、右バン
ク側回転位置検出センサ系の正常状態の継続判定回数を
表す右バンク側正常状態カウント値CROKをカウントア
ップし(CROK←CROK+1)、ステップS55へ進む。
【0123】また、上記ステップS51において、θ7カ
ム位置パルス入力回数カウント値CVVTCRが規定値外の
ときは(CVVTCR≠1)、右バンク側回転位置検出セン
サ系の異常状態と判断して、ステップS53へ進み、右バ
ンク側回転位置検出センサ系の正常状態の継続判定回数
を表す右バンク側正常状態カウント値CROKをクリア
(CROK←0)すると共に、続くステップS54で、右バン
ク側回転位置検出センサ系の異常状態の判定回数を表す
右バンク側異常状態カウント値CRNGをカウントアップ
し(CRNG←CRNG+1)、ステップS55へ進む。
【0124】そして、ステップS55以下の処理により左
バンク側の回転位置検出センサ系の異常を判断する。
【0125】ステップS55では、θ8カム位置パルス入
力回数カウント値CVVTCLを規定値(=1)と比較す
る。そして、このカウント値CVVTCLが規定値のとき
(CVVTCL=1)、左バンク側回転位置検出センサ系の
正常状態と判断して、ステップS56へ進み、左バンク側
回転位置検出センサ系の正常状態の継続判定回数を表す
左バンク側正常状態カウント値CLOKをカウントアップ
し(CLOK←CLOK+1)、続くステップS57で、次回に
備えθ7カム位置パルス入力回数カウント値CVVTCRを
クリア(CVVTCR←0)すると共に、ステップS58で、θ
8カム位置パルス入力回数カウント値CVVTCLをクリア
して(CVVTCL←0)、ルーチンを抜ける。
【0126】一方、上記ステップS55において、θ8カ
ム位置パルス入力回数カウント値CVVTCLが規定値外の
ときは(CVVTCL≠1)、左バンク側回転位置検出セン
サ系の異常状態と判断して、ステップS59へ進み、左バ
ンク側回転位置検出センサ系の正常状態の継続判定回数
を表す左バンク側正常状態カウント値CLOKをクリア
(CLOK←0)すると共に、続くステップS60で、左バン
ク側回転位置検出センサ系の異常状態の判定回数を表す
左バンク側異常状態カウント値CLNGをカウントアップ
し(CLNG←CLNG+1)、上記ステップS57,S58を経て
ルーチンを抜ける。
【0127】そして、所定時間(例えば、10msec)毎
に実行される図20の回転位置検出センサ系診断ルーチ
ンにおいて、右バンク側回転位置検出センサ系の異常を
示す右バンク側回転位置検出センサ系NGフラグFRNG
を参照し、現在、右バンク側回転位置検出センサ系の正
常と診断されているときには、上記右バンク側異常状態
カウント値CRNGに基づいて右バンク側回転位置検出セ
ンサ系の異常診断を行い、一方、現在、右バンク側回転
位置検出センサ系の異常と診断されているときには、上
記右バンク側正常状態カウント値CROKに基づいて右バ
ンク側回転位置検出センサ系の正常診断を行う。
【0128】更に、この回転位置検出センサ系診断ルー
チンにおいては、左バンク側回転位置検出センサ系の異
常を示す左バンク側回転位置検出センサ系NGフラグF
LNGを参照し、現在、左バンク側回転位置検出センサ系
の正常と診断されているときには、上記左バンク側異常
状態カウント値CLNGに基づいて左バンク側回転位置検
出センサ系の異常診断を行い、一方、現在、左バンク側
回転位置検出センサ系の異常と診断されているときに
は、上記左バンク側正常状態カウント値CROKに基づい
て左バンク側回転位置検出センサ系の正常診断を行う。
【0129】この回転位置検出センサ系診断ルーチンに
おいては、先ず、ステップS71〜S76で、右バンク側の回
転位置検出センサ系に対する診断確定処理を行う。
【0130】ステップS71では、バックアップRAM6
4にストアされている右バンク側回転位置検出センサ系
の異常を示す右バンク側回転位置検出センサ系NGフラ
グFRNGを参照する。そして、FRNG=0で、現在、右バ
ンク側回転位置検出センサ系の正常と診断されていると
きには、ステップS72へ進み、上記右バンク側異常状態
カウント値CRNGを、右バンク側回転位置検出センサ系
の異常を確定診断するための設定値NSETR1(本形態に
おいては、NSETR1=32)と比較する。
【0131】この設定値NSETR1は、一時的な誤診断の
影響を排除して、右バンク側回転位置検出センサ系の異
常と確定し得る右バンク側回転位置検出センサ系の異常
状態判定回数の適正値を、予めシミュレーション或いは
実験等により求め、固定データとしてROM62に記憶
されているものである。
【0132】そして、CRNG≦NSETR1のときには、その
ままステップS77へジャンプし、CRNG>NSETR1で、右
バンク側異常状態カウント値CRNGが設定値NSETR1に達
し、すなわち、右バンク側回転位置検出センサ系の異常
状態の判定回数が設定値NSETR1による所定回数に達し
たとき、右バンク側回転位置検出センサ系の異常と確定
して、ステップS73へ進む。
【0133】ステップS73では、右バンク側回転位置検
出センサ系の異常確定により、右バンク側の回転位置検
出センサ系の異常を示す右バンク側回転位置検出センサ
系NGフラグFRNGをセットし(FRNG←1)、続くステ
ップS74で、次回の診断に備えて、右バンク側異常状態
カウント値CRNGをクリアして(CRNG←0)、ステップ
S77へ進む。
【0134】一方、上記ステップS71において、FRNG=
1で右バンク側回転位置検出センサ系NGフラグFRNG
がセットされており、現在、右バンク側回転位置検出セ
ンサ系の異常と診断されているときには、ステップS75
へ進み、上記右バンク側正常状態カウント値CROKを、
右バンク側回転位置検出センサ系の正常を確定診断する
ための設定値NSETR2(本形態においては、NSETR2=3
2)と比較する。
【0135】この設定値NSETR2は、一時的な誤診断の
影響を排除して、右バンク側の回転位置検出センサ系の
正常と確定し得る右バンク側回転位置検出センサ系の正
常状態判定の継続回数の適正値を、予めシミュレーショ
ン或いは実験等により求め、固定データとしてROM6
2に記憶されているものである。
【0136】そして、CROK≦NSETR2のときには、その
ままステップS77へジャンプし、CROK>NSETR2で、右
バンク側正常状態カウント値CROKが設定値NSETR2に達
し、すなわち、右バンク側回転位置検出センサ系の正常
状態判定の継続回数が設定値NSETR2による所定回数に
達したとき、右バンク側回転位置検出センサ系の正常と
確定して、ステップS76へ進む。
【0137】ステップS76では、右バンク側回転位置検
出センサ系の正常確定により、右バンク側回転位置検出
センサ系の異常を示す右バンク側回転位置検出センサ系
NGフラグFRNGをクリアし(FRNG←0)、ステップS7
7へ進む。
【0138】そして、ステップS77〜S82の処理により、
左バンク側の回転位置検出センサ系に対する診断確定処
理を行う。
【0139】ステップS77では、バックアップRAM6
4にストアされている左バンク側回転位置検出センサ系
の異常を示す左バンク側回転位置検出センサ系NGフラ
グFLNGを参照する。そして、FLNG=0で、現在、左バ
ンク側回転位置検出センサ系の正常と診断されていると
きには、ステップS78へ進み、上記左バンク側異常状態
カウント値CLNGを、左バンク側回転位置検出センサ系
の異常を確定診断するための設定値NSETL1(本形態に
おいては、NSETL1=32)と比較する。
【0140】この設定値NSETL1は、一時的な誤診断の
影響を排除して、左バンク側回転位置検出センサ系の異
常と確定し得る左バンク側回転位置検出センサ系の異常
状態判定回数の適正値を、予めシミュレーション或いは
実験等により求め、固定データとしてROM62に記憶
されているものである。
【0141】そして、CLNG≦NSETL1のときには、その
ままステップS83へジャンプし、CLNG>NSETL1で、左
バンク側異常状態カウント値CLNGが設定値NSETL1に達
し、すなわち、左バンク側回転位置検出センサ系の異常
状態の判定回数が設定値NSETL1による所定回数に達し
たとき、左バンク側回転位置検出センサ系の異常と確定
して、ステップS79へ進む。
【0142】ステップS79では、左バンク側回転位置検
出センサ系の異常確定により、左バンク側の回転位置検
出センサ系の異常を示す左バンク側回転位置検出センサ
系NGフラグFLNGをセットし(FLNG←1)、続くステ
ップS80で、次回の診断に備えて、左バンク側異常状態
カウント値CLNGをクリアして(CLNG←0)、ステップ
S83へ進む。
【0143】一方、上記ステップS77において、FLNG=
1で左バンク側回転位置検出センサ系NGフラグFLNG
がセットされており、現在、左バンク側回転位置検出セ
ンサ系の異常と診断されているときには、ステップS81
へ進み、上記左バンク側正常状態カウント値CLOKを、
左バンク側回転位置検出センサ系の正常を確定診断する
ための設定値NSETL2(本形態においては、NSETL2=3
2)と比較する。
【0144】この設定値NSETL2は、一時的な誤診断の
影響を排除して、左バンク側の回転位置検出センサ系の
正常と確定し得る左バンク側回転位置検出センサ系の正
常状態判定の継続回数の適正値を、予めシミュレーショ
ン或いは実験等により求め、固定データとしてROM6
2に記憶されているものである。
【0145】そして、CLOK≦NSETL2のときには、その
ままステップS83へジャンプし、CLOK>NSETL2で、左
バンク側正常状態カウント値CLOKが設定値NSETL2に達
し、すなわち、左バンク側回転位置検出センサ系の正常
状態判定の継続回数が設定値NSETL2による所定回数に
達したとき、左バンク側回転位置検出センサ系の正常と
確定して、ステップS82へ進む。
【0146】ステップS82では、左バンク側回転位置検
出センサ系の正常確定により、左バンク側回転位置検出
センサ系の異常を示す左バンク側回転位置検出センサ系
NGフラグFLNGをクリアし(FLNG←0)、ステップS8
3へ進む。
【0147】そして、ステップS83,S84で、それぞれ右
バンク側回転位置検出センサ系NGフラグFRNG,左バ
ンク側回転位置検出センサ系NGフラグFLNGを参照
し、少なくとも一方のNGフラグがセットされていると
き、該当ステップからステップS85へ進み、CHECK ENGIN
Eランプ55を点灯し、運転者に回転位置検出センサ系
の異常を報知して、ルーチンを抜ける。
【0148】また、上記ステップS83,S84で、右バンク
側回転位置検出センサ系NGフラグFRNG,左バンク側
回転位置検出センサ系NGフラグFLNGが共にクリアさ
れており、両バンクの回転位置検出センサ系が共に正常
のときには、ステップS86へ進み、CHECK ENGINEランプ
55を消灯して、ルーチンを抜ける。
【0149】従って、複数バンクを有して各バンクにV
VT27を備え、クランク角センサ44から出力される
クランクパルスと、各バンク毎に配設されたカム位置セ
ンサ46R,46Lから出力されるカム位置パルスとに
基づいて基準クランク角に対する各吸気カム位置の回転
位相、すなわち、クランク軸18に対するバンク毎の吸
気カム軸19の回転位相を、各バンク毎に個別にフィー
ドバック制御する可変バルブタイミング機構付きエンジ
ンであっても、各バンク毎に回転位置検出センサ系の異
常診断を行うことが可能となり、診断の信頼性を向上す
ることが可能となる。
【0150】尚、実施の各形態においては、吸気バルブ
のバルブタイミングのみを、可変バルブタイミング機構
により変更する例につき説明したが、本発明は、これに
限定されず、少なくとも吸気バルブのバルブタイミング
と排気バルブのバルブタイミングとの少なくとも一方を
可変バルブタイミング機構によって変更する可変バルブ
タイミング機構付きエンジンであれば、本発明は適用し
得る。
【0151】また、採用するエンジンは、可変バルブタ
イミング機構付きエンジンであればよく、少なくともク
ランク軸と連動する1つのカム軸が有ればよく、DOH
C(ダブル・オーバ・ヘッド・カムシャフト)タイプの
エンジンである必要はなく、また、水平対向エンジンに
限定されない。
【0152】さらに、クランク軸とカム軸との間の伝達
手段は、実施の各形態によるタイミングベルト方式に限
定されず、チェーン方式や歯車方式等、適宜の手段を採
用し得る。
【0153】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、第1の回転位置検出センサから出力される
クランク角を表すクランクパルスと、第2の回転位置検
出センサから出力されるカム位置を表すカム位置パルス
とに基づいて、基準クランク角に対するカム位置の回転
位相がエンジン運転状態に基づき設定した目標回転位相
に収束するよう可変バルブタイミング機構を制御する可
変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置
検出センサ系の診断装置において、回転位置検出センサ
系の異常を診断するに際し、クランク軸に対しカム軸の
回転位相が変化しても、一方の回転位置検出センサから
の或る特定のパルスの入力間に、他方の回転位置検出セ
ンサから入力されるパルスの入力回数は必ず一定の値を
取ることに着目し、両回転位置検出センサの一方からの
特定パルス入力間に入力される他方の回転位置検出セン
サからのパルスの入力回数をカウントする。そして、一
方の回転位置検出センサからの特定パルス入力間に入力
される他方の回転位置検出センサからのパルスの入力回
数が規定値外のとき、回転位置検出センサ系の異常と診
断するので、カム位置検出精度を向上してバルブタイミ
ング制御性を向上するために複数のカム位置指標を備え
た場合においても、誤診断を生じることなく、確実且つ
正確に回転位置検出センサ系の診断を行うことが可能と
なり、回転位置検出センサ系に対する診断信頼性を向上
することができる。
【0154】また、回転位置検出センサ系に異常が生
じ、或いは、回転位置検出センサからのパルスにノイズ
が生じた場合には、一方の回転位置検出センサからの特
定パルス入力間に入力される他方の回転位置検出センサ
からのパルスの入力回数は、必ず規定値外の値を示すこ
とから、正確に回転位置検出センサ系の異常を診断する
ことができ、また、各回転位置検出センサからそれぞれ
出力されるパルスの少なくとも一方のパルスにノイズが
重積した場合においても、対処することが可能となり、
可変バルブタイミング機構付きエンジンの回転位置検出
センサ系に対する診断精度及び信頼性を著しく向上する
ことができる。
【0155】請求項2記載の発明によれば、回転位置検
出センサ系の異常を診断するに際し、特定パルス入力間
における他方の回転位置検出センサからのパルス入力回
数が規定値外のとき回転位置検出センサ系の異常状態と
判断する。そして、更に、この異常状態を示す回数をカ
ウントし、異常状態を示す回数が所定回数に達したと
き、回転位置検出センサ系の異常と確定するので、上記
請求項1記載の発明の効果に加え、一時的な誤診断の影
響を排除して、可変バルブタイミング機構付きエンジン
における回転位置検出センサ系に対する診断精度を更に
向上することができる。また、カウントする異常状態の
回数は、積算値を採るため、回転位置検出センサ系に異
常が生じたときには、一時的な誤診断の影響を排除しつ
つ、早期且つ的確に回転位置検出センサ系の異常を診断
することができる。
【0156】請求項3記載の発明によれば、特定パルス
入力間における他方の回転位置検出センサからのパルス
入力回数が規定値を示すとき、回転位置検出センサ系の
正常状態と判断する。そして、この正常状態の継続判定
回数をカウントし、正常状態の継続判定回数が所定回数
に達したとき、回転位置検出センサ系の正常と確定する
ので、上記請求項1或いは請求項2記載の発明の効果に
加え、一時的な誤診断の影響を排除して、可変バルブタ
イミング機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ
系に対する正常診断の診断精度を向上することができ
る。
【0157】また、正常確定診断を行うベースとなる正
常状態の継続判定回数は、継続値を採り、この継続値に
より正常状態の確定を行うため、確実に回転位置検出セ
ンサ系が正常であると見做し得るときにのみ正常確定が
行われ、従って、回転位置検出センサ系の正常診断を厳
密に診断することができる効果を有する。
【0158】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
1ないし請求項3記載の発明の効果に加え、複数のバン
クを有して各バンクに可変バルブタイミング機構を備
え、第1の回転位置検出センサから出力されるクランク
パルスと、各バンク毎に配設された第2の回転位置検出
センサから出力されるカム位置パルスとに基づいて基準
クランク角に対する各カム位置の回転位相、すなわち、
クランク軸に対するバンク毎のカム軸の回転位相を、各
バンク毎に個別にフィードバック制御する可変バルブタ
イミング機構付きエンジンであっても、各バンク毎に回
転位置検出センサ系の異常診断を行うことができ、診断
信頼性を向上することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図
【図2】本発明の実施の第1形態に係り、カム位置パル
ス割込みルーチンのフローチャート
【図3】同上、θ1クランクパルス割込みルーチンのフ
ローチャート
【図4】同上、回転位置検出センサ系診断ルーチンのフ
ローチャート
【図5】同上、可変バルブタイミング機構付きエンジン
の全体構成図
【図6】同上、可変バルブタイミング機構の概略構成図
【図7】同上、可変バルブタイミング機構の最遅角状態
を示し、図6のA−A断面図
【図8】同上、可変バルブタイミング機構の最進角状態
を示し、図6のA−A断面図
【図9】同上、排気バルブに対する吸気バルブのバルブ
タイミングの変化を示す説明図
【図10】同上、バルブタイミング特性を示す説明図
【図11】同上、可変バルブタイミング機構による吸気
バルブと排気バルブとのバルブオーバラップ量の変化を
示す説明図
【図12】同上、クランクロータとクランク角センサの
正面図
【図13】同上、吸気カムプーリの背面図
【図14】同上、カムロータと気筒判別センサの正面図
【図15】同上、クランクパルス、気筒判別パルス、カ
ム位置パルス、燃焼行程気筒、点火タイミング、及び燃
料噴射タイミングの関係を示すタイムチャート
【図16】同上、電子制御系の回路構成図
【図17】本発明の実施の第2形態に係り、θ7カム位
置パルス割込みルーチンのフローチャート
【図18】同上、θ8カム位置パルス割込みルーチンの
フローチャート
【図19】同上、θ1クランクパルス割込みルーチンの
フローチャート
【図20】同上、回転位置検出センサ系診断ルーチンの
フローチャート
【符号の説明】
1 可変バルブタイミング機構付きエンジン 18 クランク軸 19 吸気カム軸 23 吸気カムプーリ(伝達手段) 25 吸気バルブ 26 排気バルブ 27 可変バルブタイミング機構 43 クランクロータ 43a,43b,43c 突起(クランク角指標) 44 クランク角センサ(第1の回転位置検出センサ) 45 カムロータ 45a 突起(カム位置指標) 46R,46L カム位置センサ(第2の回転位置検出
センサ) 60 電子制御装置(カウント手段、診断手段) CVVTC カム位置パルス入力回数カウント値(パルス入
力回数) CNG 異常状態カウント値(回転位置検出センサ系の異
常状態を示す回数) COK 正常状態カウント値(正常状態の継続判定回数) NSET1 設定値(所定回数) NSET2 設定値(所定回数)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F063 AA35 BA07 BD16 CA02 DA05 DD08 EA03 KA02 KA03 LA15 3G084 AA03 BA33 DA20 DA27 DA31 EA00 EA11 EB22 EC02 EC03 FA00 FA38 FA39 3G092 AA11 AA13 DA01 DA09 DF04 DG09 EA03 EA04 EA08 EA09 EA17 EB04 FA44 FB02 FB04 FB06 HA13X HA13Z HE00X HE00Z HE01Z HE03Z HE04Z HE05Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランク軸の回転を吸気バルブ
    若しくは排気バルブの開閉を行うカムのカム軸に伝達す
    る伝達手段に、上記クランク軸とカム軸との間の回転位
    相を調整する可変バルブタイミング機構を介在し、上記
    クランク軸に同期して回転するクランク角指標を検出し
    クランク角を表すクランクパルスを出力する第1の回転
    位置検出センサと、上記カム軸に同期して回転するカム
    位置指標を検出しカム位置を表すカム位置パルスを出力
    する第2の回転位置検出センサとを備え、上記クランク
    パルスとカム位置パルスとに基づいて基準クランク角に
    対するカム位置の回転位相がエンジン運転状態に基づき
    設定した目標回転位相に収束するよう上記可変バルブタ
    イミング機構を制御するものであって、上記クランクパ
    ルスとカム位置パルスとの入力パターンに基づき回転位
    置検出センサ系の異常を診断する可変バルブタイミング
    機構付きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診断
    装置において、 上記両回転位置検出センサの一方からの特定パルス入力
    間に入力される他方の回転位置検出センサからのパルス
    の入力回数をカウントするカウント手段と、 上記カウント値が規定値外のとき、回転位置検出センサ
    系の異常と診断する診断手段とを備えたことを特徴とす
    る可変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転
    位置検出センサ系の診断装置。
  2. 【請求項2】上記診断手段は、特定パルス入力間におけ
    る他方の回転位置検出センサからのパルス入力回数が規
    定値外のとき回転位置検出センサ系の異常状態と判断し
    て、この異常状態を示す回数をカウントし、異常状態を
    示す回数が所定回数に達したとき、回転位置検出センサ
    系の異常と確定することを特徴とする請求項1記載の可
    変バルブタイミング機構付きエンジンにおける回転位置
    検出センサ系の診断装置。
  3. 【請求項3】上記診断手段は、特定パルス入力間におけ
    る他方の回転位置検出センサからのパルス入力回数が規
    定値を示すとき、回転位置検出センサ系の正常状態と判
    断して、この正常状態の継続判定回数をカウントし、正
    常状態の継続判定回数が所定回数に達したとき、回転位
    置検出センサ系の正常と確定することを特徴とする請求
    項1或いは請求項2記載の可変バルブタイミング機構付
    きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診断装置。
  4. 【請求項4】上記可変バルブタイミング機構付きエンジ
    ンは複数のバンクを有して各バンクに可変バルブタイミ
    ング機構を備え、上記診断手段は、回転位置検出センサ
    系の異常を各バンク毎に診断することを特徴とする請求
    項1ないし請求項3記載の可変バルブタイミング機構付
    きエンジンにおける回転位置検出センサ系の診断装置。
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