JPH0686402B2 - フマル酸の製造方法 - Google Patents

フマル酸の製造方法

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JPH0686402B2 JP7112390A JP7112390A JPH0686402B2 JP H0686402 B2 JPH0686402 B2 JP H0686402B2 JP 7112390 A JP7112390 A JP 7112390A JP 7112390 A JP7112390 A JP 7112390A JP H0686402 B2 JPH0686402 B2 JP H0686402B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はフマル酸の製造法に関し、詳しくは結晶体形状
が実質的に球状の微細結晶粒子であって良好な水溶性を
示すフマル酸の製造方法に関する。
(従来の技術) 近年、フマル酸はポリエステル樹脂の原料、食品添加
物、薬品向だけでなく、浴剤などに使用する酸剤として
も需要が増加している。
フマル酸の製造方法としては、(イ)例えば、特公昭48
−30617号公報に記載された、マレイン酸を原料とし、
これをチオ尿素および鉱酸を触媒としてフマル酸に転移
させる触媒転移反応法および(ロ)マレイン酸を高温下
に転移させてフマル酸とリンゴ酸とを併産する熱転移反
応法が知られている。(尚、本発明においては、加熱に
よるマレイン酸のフマル酸への異性化反応およびリンゴ
酸のフマル酸への脱水反応を熱転移反応と定義する。) 上記触媒転移反応法によれば、結晶体形状が球状に近い
フマル酸が得られるが、このフマル酸は粒子径が300〜7
00μmという粗大結晶粒子である。しかも、この触媒転
移反応法においては触媒などの除去のために、精製した
粗フマル酸を低濃度での再結晶によって精製する工程が
必要となる。
一方、熱転移反応法は、触媒を使用しないので生成した
フマル酸は水洗するだけで精製でき、また原料マレイン
酸の高濃度化が可能であるため、フマル酸を効率よく製
造できるので工業的に有利な方法である。しかし、この
熱転移反応法によって得られるフマル酸は、粒子径が30
0〜700μmの針状系の粗大結晶粒子である。
このような針状系の粗大フマル酸粒子は、水に対する溶
解性が極端に悪く、例えば浴剤の酸剤として使用する場
合、使用時に水に容易に溶解しないで酸剤としての機能
を発揮できないので、一般には300μm以下に粉砕処理
したり、あるいは粒子表面に親水性の化合物をコーティ
ングする(例えば特公昭50−33146号公報参照)ことが
行われている。しかしながら、このような処理を施して
も、なお水溶性が低く、水に対する溶解速度の面で充分
満足のいくフマル酸は得られていない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の一つの目的は、平均粒子径が小さく結晶体形状
が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル酸
の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、マレイン酸および/またはリンゴ
酸を熱転移反応させて、平均粒子径が小さく、結晶体形
状が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル
酸を製造する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、結晶体形状が実質的に球状でな
い、例えば針状のフマル酸結晶体あるいは粗大フマル酸
結晶体を再結晶させて、平均粒子径が小さく、結晶体形
状が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル
酸を製造する方法を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは鋭意検討した結果、マレイン酸および/ま
たはリンゴ酸を原料とし、これを熱転移反応を行って得
られる反応液からフマル酸を晶析させる際に、フマル酸
結晶微粒子を含有する水性スラリーを添加して反応液を
急冷することにより実質的に球状で微細なフマル酸結晶
体が得られること、また任意の方法で得られるフマル酸
を再結晶する際に、上記と同じ水性スラリーを添加して
フマル酸水溶液を急冷することにより実質的に球状で微
細なフマル酸結晶体が得られること、さらにまたこのよ
うなフマル酸結晶体が良好な水溶性を示すことを知り、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
従って、本発明の一つの発明は、マレイン酸および/ま
たはリンゴ酸の熱転移反応によってフマル酸を製造する
際に、熱転移反応終了後の反応液に、平均粒子径が1〜
100μmのフマル酸結晶微粒子を2〜30重量%含有する
水性スラリーを該反応液の1〜25重量%(フマル酸基
準)に相当する量添加して該反応液を急冷せしめ、フマ
ル酸を実質的に球状であって、平均粒子径が50〜250μ
mの微細結晶粒子として晶析させることを特徴とするフ
マル酸の製造方法に関する(以下、この発明を「第一発
明」という)。
本発明の他の発明は、フマル酸を昇温した水に溶解し、
得られたフマル酸水溶液に、平均粒子径が1〜100μm
のフマル酸結晶微粒子を2〜30重量%含有する水性スラ
リーを該フマル酸水溶液の1〜25重量%(フマル酸基
準)に相当する量添加して該フマル酸水溶液を急冷せし
め、フマル酸を実質的に球状であって、平均粒子径が50
〜250μmの微細結晶粒子として晶析させることを特徴
とするフマル酸の製造方法に関する(以下、この発明を
「第二発明」という)。
以下、本発明を詳細に説明する。
第一発明において使用するフマル酸製造用の出発原料
は、マレイン酸(無水マレイン酸も包含する)またはリ
ンゴ酸、あるいはこれらの混合物である。このマレイン
酸および/またはリンゴ酸の熱転移反応は通常水溶液と
して行う。第一発明において、このマレイン酸および/
またはリンゴ酸の水溶液を用い、熱転移反応を行わせて
フマル酸を製造する方法自体には特に制約はなく、従来
公知の方法および条件下に行うことができる。具体的に
は、例えば反応器に無水マレイン酸と水とを仕込み、攪
拌しながら150〜200℃程度まで昇温し、この温度で1〜
5時間程度反応させればよい。出発原料の水溶液中の濃
度についても特に制約はなく、出発原料の水への溶解の
容易さ、反応後の晶析操作の効率などを考慮して決定す
ればよく、例えば40〜80重量%程度でよい。
次に、上記熱転移反応によって得られた反応液を冷却し
てフマル酸を晶析させる。第一発明における特徴は、こ
のフマル酸の晶析に際し、平均粒子径が1〜100μmの
フマル酸結晶微粒子を2〜30重量%含有する水性スラリ
ー(以下、単に「水性スラリー」という)を反応液の1
〜25重量%に相当する量添加して反応液を急冷すること
である。この際、水性スラリー中のフマル酸結晶微粒子
は種晶として機能し、この種晶の添加と反応液の急冷と
によって生起される晶析によって本発明の目的とする球
状フマル酸が得られることになる。
上記水性スラリー中のフマル酸結晶微粒子の平均粒子径
は、1〜100μmであり、好ましくは10〜90μmであ
る。この平均粒子径が1μm未満では水性スラリーの粘
度が高くなり取り扱いの面から不都合が生じ、一方100
μmを超えると目的とする微細結晶粒子を得ることがで
きない。
上記水性スラリー中のフマル酸結晶微粒子の含量は、2
〜30重量%であり、好ましくは5〜20重量%である。こ
の結晶微粒子含量が2重量%未満では目的とする晶析を
行うことができない。一方、30重量%を超えると、粒子
径にもよるが、水性スラリーの流動性が悪くなりポンプ
輸送が困難となって好ましくない。
上記水性スラリー中のフマル酸結晶微粒子の形状につい
ては特に制約はなく、平均粒子径が上記範囲内にあれ
ば、針状、球状などいずれでもよいが、目的とする微細
結晶粒子の粒子径をコントロールしやすいという点にお
いて球状の結晶微粒子を使用するのが好ましい。
また、フマル酸結晶微粒子の製造法にも特に制約はな
く、各種方法によって得られるフマル酸結晶微粒子を使
用することができる。
なお、本発明における水性スラリー中の結晶粒子の平均
粒子径は、スライドガラス板上に水性スラリーを一滴採
取し、カバーガラスで被った後、光学顕微鏡で200倍程
度の写真をとり、各粒子の粒径を測定して決定した。
上記水性スラリーは、予めフマル酸を上記平均粒子径の
範囲に、例えば乾式粉砕機を用いて粉砕して水に添加、
混合して調製してもよいが、先ずフマル酸を水に添加、
混合して水性スラリーを調製し、この水性スラリーを、
例えば湿式粉砕機を用いて粉砕して平均粒子径を上記範
囲内に調整する方法のほうが簡便である。なお、スラリ
ー濃度は上記乾式粉砕処理あるいは湿式粉砕処理をした
後純水を添加して調整することもできる。この際、純水
の代わりに、あるいは純水とともにリンゴ酸水溶液を使
用してもよい。
上記水性スラリーを添加する際、熱転移反応終了後の反
応液は、フマル酸が飽和な状態、すなわち飽和温度に維
持するのが晶析の効率などから好ましく、水性スラリー
の温度と飽和温度との差を大きくするほうが急冷効果が
大きくなって目的とする球状フマル酸を効率よく得られ
る傾向にある。従って、水性スラリーの温度は低いほど
好ましいが、通常、50℃以下で充分である。なお、反応
液の温度を飽和温度を超える温度まで上げて、これに水
性スラリーを添加すると、所定の急冷効果を得るために
多量の水性スラリーが必要となって、経済的に不利にな
る。
水性スラリーの添加は、前記の通り、反応液の急冷とい
う目的だけではなく、フマル酸結晶微粒子を種晶として
添加することを目的とするものであり、水性スラリーを
短時間に多量に添加すると種晶をベースとする結晶成長
が阻害されて目的とする球状フマル酸を得るのが困難と
なる場合があり、一方水性スラリーの添加を長時間にわ
たって行うと急冷効果が低下し、目的とする球状フマル
酸が得られなくなる場合がある。
従って、反応液の急冷は、1〜20分程度の時間をかけ
て、反応液の温度が飽和温度から少なくとも5℃程度、
好ましくは10〜50℃程度低下するようにすればよい。具
体的には、反応液を1〜10℃/分程度の冷却速度で冷却
するように水性スラリーを添加するのが望ましい。
上記水性スラリーの添加量は、通常、フマル酸基準で反
応液の1〜25重量%であり、好ましくは2〜15重量%で
ある。水性スラリーの添加量が少なすぎると目的とする
晶析が起こらず、一方多すぎると目的とする球状フマル
酸粒子と水性スラリー中の粒子の混合物となって好まし
くない。
第一発明においては、水性スラリー中のフマル酸結晶微
粒子の平均粒子径、該結晶微粒子の含量および水性スラ
リーの添加量を上記各範囲内で適宜選択することによっ
て、約50〜250μmの範囲内の所望平均粒子径を有する
球状フマル酸を製造することができる。例えば、平均粒
子径が50〜150μm程度の球状フマル酸は、フマル酸結
晶微粒子の平均粒子径が1〜60μm、該結晶微粒子含量
が10〜30重量%の水性スラリーを反応液の3〜25重量%
(フマル酸基準)に相当する量添加することによって製
造することができる。また、平均粒子径が150〜250μm
程度の球状フマル酸は、フマル酸結晶微粒子の平均粒子
径が60〜100μm、該結晶微粒子含量が2〜20重量%の
水性スラリーを反応液の1〜15重量%(フマル酸基準)
に相当する量添加することによって製造することができ
る。
上記水性スラリーの添加終了後、混合物は常温までに冷
却する。この冷却条件については特に制約はなく、通
常、冷却水を通して常温まで徐冷する。具体的には、例
えば10分〜4時間程度の時間をかけて常温まで冷却すれ
ばよい。
このように晶析させて得られたフマル酸結晶体を含有す
るスラリーを、反応器から取り出し、ろ過し、水洗によ
って精製した後、乾燥すると目的とする球状フマル酸が
得られる。
第二発明は、結晶体形状が球状以外の、例えば針状であ
って水溶性に劣るフマル酸結晶体、あるいは結晶体形状
を問わずに、平均粒子径が大きく、水溶性に劣る粗大フ
マル酸結晶体から再結晶によって、良好な水溶性を示
す、実質的に球状の微細結晶粒子としてフマル酸を製造
するものである。
第二発明で使用する原料としてのフマル酸は、上記性状
のものであればいずれでもよく、その製法などに特に制
約はない。
第二発明における原料フマル酸の再結晶は、晶析の際に
上記第一発明と同様にフマル酸結晶微粒子を含有する水
性スラリーを添加することを除けば常法によって行うこ
とができる。
すなわち、先ず原料フマル酸を昇温した水に溶解する。
例えば、100℃における飽和濃度である約9重量%から1
80℃における飽和濃度である約50重量%の範囲を採用す
ることができる。かくして得られたフマル酸水溶液に第
一発明で使用するのと同じ水性スラリーを添加して、急
冷せしめる。水性スラリーの性状、フマル酸水溶液の急
冷条件などはいずれも第一発明と同じでよい。
第一または第二発明によって得られる球状フマル酸は、
使用目的に応じて、さらに粉砕して所望の平均粒子径に
してもよい。
(発明の効果) 本発明によれば、フマル酸結晶微粒子を含有する水性ス
ラリーを、マレイン酸および/またはリンゴ酸の熱転移
反応によって得られる反応液、あるいはフマル酸の再結
晶のために調製したフマル酸水溶液に種晶として添加す
るとともに上記反応液あるいはフマル酸水溶液を急冷せ
しめので、平均粒子径が50〜250μmと小さく、形状が
実質的に球状のフマル酸結晶体を得ることができる。
このような実質的に球状の微細結晶粒子としてのフマル
酸は良好な水溶性を示し、例えば浴剤の酸剤として効果
的に利用することができる。
また、このようなフマル酸の安息角は約40°であり(従
来のフマル酸約45°)製品としての流動性が良好であ
り、さらにかさ比重も0.8程度と従来品と同程度である
ことから取扱い上都合がよい。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、「%」は「重量%」を意味する。
実施例1 5lオートクレーブと2lステンレス製スラリー容器とを均
圧配管で接続した装置を準備した。
先ず、オートクレーブに無水マレイン酸1622gと純水137
8gとを仕込み、200rpmで攪拌しながら、180℃まで昇温
し、この温度にて3時間熱転移反応を行った。
別途、平均粒子径10μmのフマル酸結晶微粒子96gと純
水544gとを混合、攪拌してフマル酸結晶微粒子含量が15
%の均一な水性スラリーを調製し、上記スラリー容器に
入れた。
上記熱転移反応が終了した時点で、25℃の上記水性スラ
リーを3分かけて添加した。水性スラリーの添加量は、
フマル酸基準で、反応液の10%であった。
この水性スラリーの添加により、混合物の内温は約140
℃まで急冷された。その後、混合物を1時間かけて40℃
まで冷却した。得られたスラリーをオートクレーブから
取り出し、ろ過し、水洗して精製した後、110℃で2時
間乾燥させて平均粒子径が80μmの球状フマル酸結晶体
を得た。
この結晶体の電子顕微鏡写真(50倍)を第1図に示す。
この写真から、得られたフマル酸結晶体はほぼ球状であ
ることが判る。
実施例2 実施例1において、水性スラリーとして、平均粒子径が
90μmのフマル酸結晶微粒子を用いて調製した水性スラ
リーを使用した以外は実施例1と同様にして晶析を行
い、平均粒子径が200μmの球状フマル酸結晶体を得
た。
実施例3 実施例1において、水性スラリーとして、平均粒子径が
50μmのフマル酸結晶微粒子を用いて調製した結晶微粒
子含量が10%の水性スラリーを用い、これを反応液の10
%に相当する量(フマル酸基準)を添加した以外は実施
例1と同様にして晶析を行い、平均粒子径が150μmの
球状フマル酸結晶体を得た。
実施例4 実施例1において、水性スラリーとして、平均粒子径が
60μmのフマル酸結晶微粒子を用いて調製した結晶微粒
子含量が15%の水性スラリーを用い、これを反応液の5
%に相当する量(フマル酸基準)を添加した以外は実施
例1と同様にして晶析を行い、平均粒子径が180μmの
球状フマル酸結晶体を得た。
この結晶体の電子顕微鏡写真(50倍)を第2図に示す。
この写真から得られたフマル酸結晶体はほぼ球状である
ことが判る。
実施例5 平均粒子径500μmの針状フマル酸1400gと純水1400gと
をオートクレーブに仕込み、180℃に昇温して溶解し
た。
別途調製した平均粒子径10μmのフマル酸結晶微粒子21
0gと純水1190gとを混合、攪拌して均一な水性スラリー
を調製し、この水性スラリーを上記水溶液に5分かけて
添加した。
以下、実施例1と同様にして平均粒子径が70μmの球状
フマル酸結晶体を得た。
比較例1 水性スラリーの代わりに純水816gを使用した以外は実施
例1と同様にしてフマル酸を製造した。得られたフマル
酸は平均粒子径が360μmの針状結晶体であった。
種晶としてのフマル酸結晶微粒子を同時に添加しないと
目的とする球状結晶体は得られないことが判る。
比較例2 実施例3で得られた平均粒子径が150μmのフマル酸ス
ラリー(分離、水洗まえのもの)の一部をとり、これを
粉砕処理することなく、これに純水を添加してフマル酸
結晶微粒子含量が15%の水性スラリーを調製した。
実施例1において、水性スラリーとして上記水性スラリ
ー640gを3分かけて添加し、さらに1時間かけて40℃ま
で冷却した以外は実施例1と同様にしてフマル酸を製造
した。
得られたフマル酸は平均粒子径が240μmの針状結晶体
であった。
平均粒子径が100μmを超えるフマル酸結晶微粒子を含
有する水性スラリーを用いては、目的とする球状結晶体
が得られないことが判る。
なお、得られた結晶体の電子顕微鏡写真(50倍)を第3
図に示す。
比較例3 実施例1において、水性スラリーとして、平均粒子径が
50μmのフマル酸結晶微粒子を用いて調製した結晶微粒
子含量が15%の水性スラリーを使用し、この水性スラリ
ー32g(フマル酸基準で反応液の0.5%)を熱転移反応液
に1分かけて添加した以外は実施例1と同様にして晶析
を行った。得られたフマル酸は平均粒子径が300μmの
針状結晶体であった。
水性スラリーの反応液に対する添加量が少なすぎると目
的とする球状結晶体が得られないことが判る。
参考例 実施例1〜5で得られた球状フマル酸、実施例1で得ら
れた球状フマル酸をさらに粉砕した球状フマル酸(平均
粒子径30μm)、比較例1で得られた針状フマル酸をさ
らに粉砕した針状フマル酸(平均粒子径150μm)、比
較例2で得られた針状フマル酸をさらに粉砕した針状フ
マル酸(平均粒子径70μm)、および比較例3で得られ
た針状フマル酸をさらに粉砕した針状フマル酸(平均粒
子径10μm)を下記方法で評価した。
比較のため、食品製剤として使用されている、庶糖脂肪
酸エステルをコーティングした市販のフマル酸(商品名
ハイフマール、扶桑化学工業(株)製)も同様にして評
価した。
300mlビーカーに20℃の純水300mlを入れ、250rpm(スタ
ーラー回転子50mm)で攪拌しつつ、上記サンプル0.5gを
添加し溶解状態を観察した。
なお、針状粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡写真に基づ
き粒子の縦、横長さの平均値を求めて決定した。
表面浮上性 添加2分後の粒子の水面浮上状態を観察し、下記の3段
階で評価した。
○:わずかに浮上 △:かなり浮上 ×:殆ど全部浮上 完溶時間 添加後粒子が完全に溶解するまでに要する時間を測定し
た。
安息角 水平板上ヘロートを用いて10cmの高さから約100mlの粉
体を落し、円錐状に堆積させ、その斜面の傾斜角を測定
した。
結果を表1に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたフマル酸結晶体の粒子構造
を示す電子顕微鏡写真(50倍)であり、第2図は実施例
4で得られたフマル酸結晶体の粒子構造を示す電子顕微
鏡写真(50倍)であり、第3図は比較例2で得られたフ
マル酸結晶体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(50倍)
である。
フロントページの続き (72)発明者 馬場 将夫 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 日本触媒化学工業株式会社姫路製造所 内 審査官 唐木 以知良

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マレイン酸および/またはリンゴ酸の熱転
    移反応によってフマル酸を製造する際に、熱転移反応終
    了後の反応液に、平均粒子径が1〜100μmのフマル酸
    結晶微粒子を2〜30重量%含有する水性スラリーを該反
    応液の1〜25重量%(フマル酸基準)に相当する量添加
    して該反応液を急冷せしめ、フマル酸を実質的に球状で
    あって、平均粒子径が50〜250μmの微細結晶粒子とし
    て晶析させることを特徴とするフマル酸の製造方法。
  2. 【請求項2】フマル酸を昇温した水に溶解し、得られた
    フマル酸水溶液に、平均粒子径が1〜100μmのフマル
    酸結晶微粒子を2〜30重量%含有する水性スラリーを該
    フマル酸水溶液の1〜25重量%(フマル酸基準)に相当
    する量添加して該フマル酸水溶液を急冷せしめ、フマル
    酸を実質的に球状であって、平均粒子径が50〜250μm
    の微細結晶粒子として晶析させることを特徴とするフマ
    ル酸の製造方法。
  3. 【請求項3】使用するフマル酸が針状フマル酸結晶体ま
    たは粗大フマル酸結晶体である請求項(2)に記載のフ
    マル酸の製造方法。
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