JP6975636B2 - 固体浴用剤組成物 - Google Patents
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(A)吸油量が40mL/100g以上200mL/100g以下である、ジカルボン酸結晶の集合体、
(B)炭酸塩、並びに
(C)20℃で液体の油性成分(C1)、及び20℃で液体の界面活性剤(C2)から選ばれる1種又は2種以上の液状成分 1質量%以上
を含有し、水溶性バインダー(D)の含有量が10%以下であり、かつ
成分(C)の少なくとも一部が、成分(A)の内部に担持してなる固体浴用剤組成物を提供するものである。
本発明の固体浴用剤組成物は、次の成分(A)、(B)、並びに(C):
(A)吸油量が40mL/100g以上200mL/100g以下である、ジカルボン酸結晶の集合体、
(B)炭酸塩、並びに
(C)20℃で液体の油性成分(C1)、及び20℃で液体の界面活性剤(C2)から選ばれる1種又は2種以上の液状成分 1質量%以上
を含有し、水溶性バインダー(D)の含有量が10質量%以下であり、かつ
成分(C)の少なくとも一部が、成分(A)の内部に担持してなる。
かかる成分(A)は、ジカルボン酸の結晶が集結又は凝集してなり、或いは形成された集合体がさらに集結又は凝集してなり、全体形状としては不定形ながらも粒状又は塊状を呈し、多くの空隙を内包する集合体である。そのため、かかる集合体内部(本明細書において「集合体内部」とは、集合体表面又はその近傍、或いは集合体同士の間隙も含む広義の意である)、後述する成分(C)の液状成分を充分な量で担持させることのできる、高い吸油量を有する。これにより、成分(C)の少なくとも一部が、成分(A)の内部に適度な力で吸着されてなるかのような体をなすため、成型時における成分(C)の染み出しを有効に抑制することができるだけでなく、かかる成分(C)の染み出しに誘導されて生じる外観劣化や、保存時のピロー膨れや保存後の浴剤の溶解性の悪化等も有効に抑制することができ、良好な保存安定性を確保することが可能となる。
炭素数4のジカルボン酸又はその塩としては、特に制限されず、ベンゼンやブタン等の石化原料由来の化学合成、又は微生物発酵により得たものであってもよい。炭素数4のジカルボン酸又はその塩を生成する微生物としては、リゾプス属菌等の糸状菌が挙げられる。微生物発酵による場合、炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む培養液から炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出して、炭素数4のジカルボン酸又はその塩を得てもよい。
なお、かさ密度の測定方法は、JIS K 3362「8.2 見かけ密度」により規定された方法により決定される。
具体的には、HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有するノニオン性界面活性剤やHLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さないノニオン性界面活性剤、又は水溶性のノニオン性高分子やカチオン性高分子、両性高分子を用い、或いはポリ(メタ)アクリル酸等のアニオン性高分子を用い、ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、酸の添加等によるpH調整、昇温して溶解している酸濃度を高めてからの冷却、溶媒(水)を蒸発させることによる濃縮、又は触媒の添加等の反応による析出方法を介し、遠心分離やろ過、デカンテーション等の固液分離操作を経たのち、乾燥することによって、成分(A)を得ることができる。
好適な析出方法としては、より具体的には、例えば、ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液を80℃以上に昇温し、溶解を確認した後、0.05℃/min以上の平均冷却速度で冷却による析出を行い、30℃に達した後、無機酸を添加してpHを2.5以下に下げる方法等が挙げられる。
なお、本発明の固体浴用剤組成物において、成分(C)のうち、成分(A)の内部に担持してなる成分(C)を特に「成分(CA)」と称する。具体的には、例えば、後述する実施例にも記載するように、成分(C1)に相当する香料を担持した香料担持体を配合することによって、成分(A)の内部に担持されていない、成分(CA)以外の成分(C)として、香料担持体中の成分(C1)が本発明の固体浴用剤組成物中の成分(C)を構成してもよい。
したがって、本発明の固体浴用剤組成物における成分(C)の含有量とは、成分(A)の内部に担持してなる成分(CA)と、成分(CA)以外の成分(C)の含有量との合計量、すなわち「成分(C)の全含有量」を意味する。
大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油等の天然油脂;流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、スクアレン、ジオクチルシクロヘキサン、ブリスタン等の炭化水素油;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類;オレイルアルコール等の高級アルコール類;シリコーン油類;ハッカ油、ジャスミン油、ショウ脳油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、リナロール、ゲラニオール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等の精油又は香料成分;トコフェロール等の酸化防止剤;防菌・防黴剤や生薬等の油溶性有効成分等から選ばれる1種又は2種以上の油性成分(C1−2)が挙げられる。
成分(C1)のなかでも、温まり感の観点から、成分(C1−1)が好ましい。
また、本発明の固体浴用剤組成物を浴水に投入した際、これに含有される各成分、例えば成分(C)等を浴水中に均一に分散又は拡散させて、温浴効果をより一層高めるとともに、浴水面における浮遊物等の発生を抑制することができる観点から、成分(C2)を含むことが好ましい。さらに、成分(C)は、成分(C1)と成分(C2)の両方を含むことが好ましい。
なお、20℃で固体又はペースト状のノニオン界面活性剤や、20℃で固体又はペースト状の油性成分は、成分(C)と共に成分(A)に担持してもよいし、成分(A)には担持されることなく、別途成分(C)の担持体を用いることによって、成分(A)に担持してなる成分(C)(成分(CA))と共に、成分(C)として固体浴用剤組成物を構成してもよい。
なお、本発明の固体浴用剤組成物の1回あたりの使用量(質量)は、浴水150Lあたり20〜200gが好ましく、30〜100gがより好ましい。
なお、ジカルボン酸の吸油量、及び生地の流動性については、下記方法にしたがって測定及び評価した。
JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定した。具体的には、試料1〜5gを測定板(300×400mmより大きい平滑なガラス板)上の中央部にとり、煮あまに油をビュレットから1回に4、5滴ずつ、徐々に試料の中央に滴下し、その都度全体をパレットナイフで充分に練り合わせた。煮あまに油の滴下及び練り合わせを繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったら1滴ごとに練り合わせて、最後の1滴でパレットナイフを用いてらせん形に巻くことができる状態になったときを終点とした。
ただし、らせん状に巻くことができない場合は、煮あまに油の1滴で急激に柔らかくなる直前を終点とした。終点に達するまでの操作時間が7〜15分の間になるように操作を調節した。
終点に達したときのビュレット内の煮あまに油滴下量を読み取り、吸油量(mL/100g、試料100gあたりの煮あまに油滴下量)とした。
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.14kg、フマル酸105gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、ポリアクリル酸(分子量5000g/mol)を0.113g混合した後、平均冷却速度0.3℃/minにて85℃から25℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、250r/minの条件にて行った。
次に、析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WT(東京硝子器械社製)にて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、60.0mL/100gであった。
得られた集合体XのSEM像を図1に示す。
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリビニルアルコール(分子量100000)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.39℃/minにて85℃から25℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に、析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、158.6mL/100gであった。
3Lの反応槽にイオン交換水1.80kg、コハク酸450gを混合した後、80℃に昇温した。続いて、ポリビニルアルコール(分子量100000)を2.25g混合した後、平均冷却速度0.42℃/minにて80℃から26℃まで冷却することでコハク酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したコハク酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.0であった。ろ過後のコハク酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、コハク酸結晶を得た。
得られたコハク酸結晶の吸油量を測定したところ、115.7mL/100gであった。
製造例1で得られたジカルボン酸結晶の集合体Xを用い、表1に示す成分(A)と成分(C)を配合して混合し、成分(C)を成分(A)に担持させた。その後、更に成分(B)、及び香料(C1)を担持させた造粒物である香料担持体や、その他の成分を適宜配合して混合し、プレス打錠機を用いて圧縮成型することにより、錠剤を得た。
得られた錠剤を用い、下記方法にしたがって各評価を行った。
ジカルボン酸結晶の集合体X1〜X3の代わりに、市販のフマル酸(吸油能20ml/100g)(ジカルボン酸Y)を用いた以外、実施例1と同様にして錠剤を得た。
得られた錠剤を用い、下記方法にしたがって各評価を行った。
得られた各錠剤をそれぞれ150Lのお湯(40℃)に投入して均一に溶解・分散させたのち、パネラー5名を入浴させ、入浴直後、及び出浴後30分経過時点の温まり感を下記基準にしたがって評価し、その平均値を求めた。
5:さら湯と比べて、非常に温まる
4:さら湯と比べて、かなり温まる
3:さら湯と比べて、やや温まる
2:さら湯と同等
1:さら湯と比べて温まらない
打錠セル内に打錠セルの大きさに切り取ったN0.5Cの定量濾紙を4枚重ねた上に、30℃に保温した表1に示す各処方の(A)と(C)の混合物40gを入れ、設定10MPaの成形圧で3秒間圧縮した。圧縮後、混合物と直接接しない側の濾紙3枚の重量を測定し、試験前の濾紙の重量を差し引き、しみ出し量(mg)とした。
得られた各錠剤の製造直後の外観(色素の発色)について、下記基準にしたがって目視により評価した。
◎:発色がなく、外観が非常に良好である
○:発色がほとんどなく、外観がほぼ良好である
×:発色が確認され、外観が悪化していると認められる
Claims (7)
- 次の成分(A)、(B)、並びに(C):
(A)吸油量が40mL/100g以上200mL/100g以下であり、かつ板状又は繊維状の形状である、フマル酸結晶の集合体又はコハク酸結晶の集合体、
(B)炭酸塩、並びに
(C)20℃で液体の油性成分(C1)、及び20℃で液体の界面活性剤(C2)から選ばれる1種又は2種以上の液状成分 1質量%以上
を含有し、水溶性バインダー(D)の含有量が10質量%以下であり、或いは水溶性バインダー(D)を含有せず、かつ
成分(C)の少なくとも一部が、成分(A)の内部に担持してなる固体浴用剤組成物。 - 成分(A)のかさ密度が、0.10g/cm3以上0.60g/cm3以下である請求項1に記載の固体浴用剤組成物。
- 成分(A)の含有量と、成分(A)の内部に担持してなる成分(C)の含有量((CA)の含有量)との質量比((A)/(CA))が、1以上30以下である請求項1又は2に記載の固体浴用剤組成物。
- 成分(C1)が、脂肪酸エステル、及び脂肪酸トリグリセライドから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体浴溶剤組成物。
- 成分(C2)が、ノニオン性界面活性剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体浴溶剤組成物。
- 成分(D)が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はポリオキシエチレンフェノールエーテルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体浴用剤組成物。
- 成分(C)の全含有量が、3質量%以上7質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体浴用剤組成物。
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