JPH0686071U - ガスクロマトグラフにおける試料気化室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 注入される試料量、試料気化室温度やカラム
入口圧などが異なっても気化により膨脹した試料がガラ
スインサート外にあふれ出ないように工夫をしたガスク
ロマトグラフにおける試料気化室を提供することを目的
としている。 【構成】 ガラスインサートを試料気化室内から同気化
室外へ気密的にその軸方向に移動可能にして挿入したも
のである。インサートは、試料気化室内に固定される固
定部とこの固定部内に移動可能に挿入される可動部とか
らなり、いずれもホウケイ酸ガラス製である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ガスクロマトグラフにおける、特に内部にインサートを備えた方式 の試料気化室の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ガスクロマトグラフにおける試料気化室においては、気化室金属内壁と 試料との反応を避けるためガラス製の管（インサート）を内部に備えたものが知 られている。一方、試料気化室内容積はインサートを内部に備える場合にも一定 であり、注入される試料量、試料気化室温度やカラム入口圧などによっては気化 により膨脹した試料がガラスインサート外にあふれ出てこれがテーリングを引き 起こしていた。このため、ガラスインサート外にあふれ出た試料はセプタムパー ジ流路を通じて試料気化室外へ捨てていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の試料気化室にあっては、上述のようにガラスインサート外にあふれ出た 試料をセプタムパージ流路を通じて試料気化室外へ捨てていたので、カラムに導 入される試料が減り、また、定量の再現性が悪くなるという問題点があった。

【０００４】 本考案は、注入される試料量、試料気化室温度やカラム入口圧などが異なって も、気化により膨脹した試料がガラスインサート外にあふれ出ないように工夫を したガスクロマトグラフにおける試料気化室を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案のガスクロマトグラフにおける試料気化室に おいては、ガラスインサートを試料気化室内から同気化室外へ気密的にその軸方 向に移動可能にして挿入したものである。

【０００６】 なお、本考案のインサートは、試料気化室内に固定される固定部とこの固定部 内に移動可能に挿入される可動部とからなり、いずれもホウケイ酸ガラス製であ る。また、本考案にいう気化室内容積とはガラスインサートの固定部と可動部と で形成される実質的内容積をいう。

【０００７】 従って、本考案においてガラスインサートの固定部入口を狭く形成する（“か えり”をつける）のが効果的である。

【０００８】

【作用】

上記のように構成された本考案のガスクロマトグラフ試料気化室では、ガラス インサート（インサート可動部）を試料気化室内から同気化室外へ気密的にその 軸方向に沿って移動させると、インサート可動部と同固定部とで形成される気化 室内容積が変化する。

【０００９】 従って、インサート可動部を適宜移動させて、注入される試料量、試料気化室 温度及びカラム入口圧などが異なっても、気化により膨脹した試料がガラスイン サート外にあふれ出ることがないよう気化室内容積を加減する。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案のガスクロマトグラフ試料気化室について図面を参照して説明す ると、図１において、試料気化室はパージガス流路３が接続された筒状本体部１ と、その頂部に穿設された試料注入孔５（ニードルが通る孔）を封止するセプタ ム４を有し、キャリアガス流路６及びセプタムパージ流路７がそれぞれ接続され たキャップ部２とからなる。パージガス流路３は後述するインサート固定部８と 筒状本体部１との隙間に洩れ出たガスをパージするものである。

【００１１】 試料気化室（筒状本体部１）内には、ガラス製のインサート固定部８がキャッ プ部２の締付けにより押圧されるシール部材１０を介して装着固定され、また、 このインサート固定部８の入口はニードル（図示せず）が通る程度の孔９に絞ら れ、これによって“かえり”の効果を持たしている。

【００１２】 インサート固定部８の内側には、ガラス製のインサート可動部１１がその軸方 向に移動可能に挿入されている。このインサート可動部１１は図面から明らかな ように、試料気化室（筒状本体部１）から突出しており、ナット部材１２で固定 されている。また、インサート可動部１１内にはキャピラリーカラム１３の一端 が接続金具１４を介して挿入され固定されている。

【００１３】 従って、表１及び２のように、試料の気化体積は条件により大きく変わるが、 ナット部材１２を弛め、インサート可動部１１をインサート固定部８に対して相 対的に移動させ、これにより可動部１１と固定部８とで形成される試料気化室の 実質的内容積を調整して、試料の気化体積の変動に合わせて効率の良い試料導入 を達成することができる。

【００１４】

【表１】

【表２】 なお、１５、１６、１７はそれぞれシール部材である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したように構成されているので、試料の気化体積の変動に 合わせて試料気化室の実質的内容積を変更することができ、効率の良い試料導入 をすることができる。また、ガラスインサートに気化補助のためガラスウールを 詰めたり、これを交換したりすることが簡単にでき、さらにガラスインサートの 洗浄も容易となるなどの効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の概略図である。

【符号の説明】

１…試料気化室本体 ２…試料気化室
キャップ部 ８…インサート固定部 １１…インサート
可動部 １２…ナット部材 １３…キャピラ
リーカラム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャピラリーカラムが挿入され固定保持
   されるインサートを内部に備えた試料気化室の構造にお
   いて、 前記インサートを試料気化室内から同気化室外へ気密的
   にその軸方向に移動可能にして挿入し、同インサートの
   移動によって気化室内容積を可変としたことを特徴とす
   るガスクロマトグラフにおける試料気化室。