JPH0684608B2 - プレキャスト床版の支持方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、橋梁構造物の床版の支持方法、特に既設床版
を取り壊し、プレキャスト床版の設置を行なう場合の床
版支持方法に関する。

（従来の技術） 従来、既設床版を取り壊し、プレキャスト床版を設置す
る方法としては、交通規制をしたのち、既設床版を取り
壊し、撤去し、桁上を清掃したのち、プレキャスト床版
を桁上に載置する方法が知られている。

この方法は、第５図に示すように桁１′上に載置された
プレキャスト床版２′内に予め埋め込まれた高さ調整ボ
ルト３′を使用し、プレキャスト床版２′の設置高さを
基準高さになるよう調節し、ついで第６図に示すように
プレキャスト床版２′と桁１′上面との間にテーパー状
のプラスチック製のくさび４′を打ち込み、床版支持終
了後高さ調整ボルト３′を撤去し、ボルト穴及びプレキ
ャスト床版２′と桁１′の空隙を間詰材やシール材で充
填するというものである。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、かかる方法はプレキャスト床版の荷重や
通過車輛等の活荷重は、くさびを介して、点で桁上部の
フランジの端部に伝達されるため、フランジ部分の損傷
をきたしたり、くさびの形状がテーパー状であるため、
通過車輛の振動で緩みを起し、抜け落ちることもある。
また、くさびは数多く設置するが、荷重を点で受けてい
るため、必ずしも均一に荷重を受けることはむつかし
い。このような状況で支点間隔が広くなった場合には、
床版にクラック等を発生させるおそれがある。また、桁
上面とプレキャスト床版の下面との高さは必ずしも一定
でないので、時にはくさびを何枚も重ねて使用すること
もあり、常に安定した状態で上部の荷重を受けることが
むつかしい。

本発明は、このような問題点を以下述べるところにより
除去せんとするものである。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明のプレキャスト床版の
支持方法においては、荷重に対してほぼ同じ容積を維持
しながら変形可能な弾力性を有する容器に主剤・硬化剤
を混合した樹脂を封入してなるスペーサーを桁上に適当
な間隙で配置したのち、その上に高さ調整ボルトを下面
に突出させたプレキャスト床版を載置することにより変
形させ、このスペーサーを介して荷重を桁へと伝達させ
るものである。

（作用） スペーサーが荷重に対して、ほぼ同じ容積を維持しなが
ら、変形可能な弾力性を有する容器に主剤・硬化剤を混
合したのち、樹脂を封入してなるので、桁とプレキャス
ト床版との間にあって、プレキャスト床版の荷重に対し
て、もとに戻ろうとしながらも平に変形し、樹脂の硬化
とともにその変形を維持する。

（実施例） つぎに本発明の実施例を図面に基いて説明する。

第１図は本発明の実施例を示す概略斜視図、第２図は乃
至第４図は施工過程を示すための要部の断面図で、第２
図は第３図のＡ−Ａ断面図、第３図は第２図のＢ−Ｂ断
面図、第４図はプレキャスト床版の荷重によりスペーサ
ーが変形した状態を示す第３図におけるＣ−Ｃ断面相当
図である。

まず、第１図乃至第３図において、桁１のフランジ1aの
上面にほぼ同じ容積を維持しながら変形可能な弾力性を
有する素材の容器5a、たとえば、ゴム風船の中に主剤・
硬化剤を混合、封入した樹脂5b、たとえば、樹脂として
ポリエステル系樹脂を封入してなるスペーサー５を適宜
の間隔をもって配置し、その上に高さ調整ボルト３を下
面に概略設計高さ程度突出させたプレキャスト床版２を
載置する。ここで、桁１のフランジ1aの上に載置される
スペーサー５はプレキャスト床版２の下面に突出する高
さ調整ボルト３を避けて配置される。

ついで、高さ調整ボルト３を使用し、プレキャスト床版
２の設置高さを基準高さになるよう調整する。このと
き、スペーサー５は桁１とプレキャスト床版２との間に
あって、プレキャスト床版の押圧に対してもとに戻ろう
としながらもほぼ同じ容積を維持しながら平状に変形
し、樹脂の硬化とともに変形を維持する。樹脂の硬化に
要する時間は、プレキャスト床版を載置後２〜３時間程
度が作業性からみて好ましい。

樹脂硬化後は高さ調整ボルト３を撤去し、プレキャスト
床版相互間は必要によってPC鋼材で緊張し、ボルト穴及
び桁１とプレキャスト床版２との空隙には従来工法と同
様に間詰材やシール材を充填する。

〔発明の効果〕

本発明は、上述のようにしてなるので、つぎの効果を有
する。

スペーサーが荷重に対してほぼ同じ容積を維持しながら
変形可能な弾力性を有する容器に主剤・硬化剤を混合し
た樹脂を封入してなるので、桁とプレキャスト床版との
間にあって、プレキャスト床版の荷重に対して、もとに
戻ろうとしながらも空隙に従って、平に変形し、樹脂の
硬化とともにその変形を維持する。

そのため、上部の荷重は平たい板状の物を介して桁に伝
達されるから、これまでのくさびを用いての支持方法に
おける欠点、すなわち、桁のフランジ部分の損傷、床版
のクラックの発生、くさびの抜け落ち等の欠点を除去す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す概略斜視図、第２図乃至
第４図は施工過程を示すための要部の断面図で、第２図
は第３図のＡ−Ａ断面図、第３図は第２図のＢ−Ｂ断面
図、第４図はプレキャスト床版の荷重によりスペーサー
が変形した状態を示す第３図におけるＣ−Ｃ断面相当
図、第５図及び第６図は従来例を説明する要部断面図で
ある。 図面において、１は桁、２はプレキャスト床版、３は高
さ調整ボルト、５はスペーサーである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】荷重に対してほぼ同じ容積を維持しながら
   変形可能な弾力性を有する容器に主剤・硬化剤を混合し
   た樹脂を封入してなるスペーサーを、桁上に適当な間隔
   で配置したのち、その上に、高さ調整ボルトを下面に突
   出させたプレキャスト床版を載置し、上記スペーサーを
   介して桁に荷重を伝達することを特徴とするプレキャス
   ト床版の支持方法。