JPH0684392B2 - アルキルグリコシド又はその水溶液の製造方法 - Google Patents

アルキルグリコシド又はその水溶液の製造方法

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JPH0684392B2
JPH0684392B2 JP1242529A JP24252989A JPH0684392B2 JP H0684392 B2 JPH0684392 B2 JP H0684392B2 JP 1242529 A JP1242529 A JP 1242529A JP 24252989 A JP24252989 A JP 24252989A JP H0684392 B2 JPH0684392 B2 JP H0684392B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、未反応高級アルコール(以下、未反応アルコ
ールと略記する)含量が少なく、色相、匂いに関して高
品質なアルキルグリコシド又はその水溶液を製造する方
法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
糖誘導体界面活性剤であるアルキルグリコシドは、低刺
激性界面活性剤であり、しかも非イオン性界面活性剤で
あるにも拘らず、それ自身安定な泡を生成するだけでは
なく、他の陰イオン性界面活性剤に対して泡安定剤とし
て作用することが知られており、近年注目されつつあ
る。
しかし、アルキルグリコシドは上記の如く、新たな界面
活性剤として注目すべき性質を有しているにも拘わら
ず、その実際の製造には多くの困難が伴う。
アルキルグリコシドは通常、糖類と過剰の高級アルコー
ルとの反応によって製造されるため、界面活性剤として
実際に使用する前に、アルキルグリコシドから未反応ア
ルコールを除去することが避けられない。未反応アルコ
ールは該アルキルグリコシド反応生成物から極力除去す
ることが望ましい。なぜならば、残存アルコールそれ自
体の匂いがアルキルグリコシドを配合した製品の匂いの
悪化につながるからである。
過剰の高級アルコールは公知の蒸留等の手段により分離
除去できるが、一般にアルキルグリコシドの融点は高
く、実際にポンプで輸送できる流体にするためには加熱
する必要がある。
他方、大部分のアルキルグリコシドの熱安定性は限られ
ており、若干の熱履歴によっても生成物の色相が悪化
し、糖アルコールが生成する傾向がある。
そのため、従来よりアルキルグリコシドの色相の悪化を
起こさずにアルコールを除去する方法が研究されてお
り、いくつかの方法が提案されている。
例えば、特開昭58-194902号公報に記載されているよう
に、過剰の未反応アルコールを含んだ反応生成物の薄膜
を形成し、比較的高温で、極端に短い滞留時間で過剰の
アルコールを蒸発させる方法、あるいは特開昭64-47796
号公報に記載されているように、場合により少量の短鎖
アルキル(炭素数1〜5)糖類を存在させ、より低温で
の流動性を改善し、過剰のアルコールを蒸発させる方
法、又特開昭62-192396号公報に記載されているよう
に、760ミリバールにおける沸点が含有未反応アルコー
ルよりも50℃以上高く、洗浄剤、乳化剤、洗浄助剤とし
ての活性を有する一種又は数種の粘度減少剤を添加し、
アルキルグリコシドの分解温度より少なくとも20℃低い
温度で過剰のアルコールを除去する方法等の提案がなさ
れているが、いずれの方法によっても、得られるアルキ
ルグリコシドの色相が充分良好でないか又はアルキルグ
リコシドの色相悪化を起こさないためには残存未反応ア
ルコールはアルキルグリコシドに対して高々0.5重量%
程度まで除去するのが限界であるか、あるいはアルキル
グリコシド以外の第2成分を必要とする等、未だ充分満
足できる方法ではなかった。
更に、アルキルグリコシドの色相を改良するために、特
開昭61-33193号公報に記載されているように、過酸化水
素及び二酸化イオウ源を用いた酸化漂白という手法を用
いた場合には、残存アルコールがアルデヒドに酸化され
匂いの急激な悪化を招いたり、保存安定性が不良といっ
た好ましくない問題が発生し、この方法もアルキルグリ
コシドの色相を改良するのに充分な方法ではなかった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは操作的にも煩雑でなく、第2成分等を用い
ないで未反応アルコール含量が少なく、色相、匂いに関
して高品質なアルキルグリコシドを経済的に有利に製造
する方法につき鋭意研究した結果、本発明を完成させ
た。
即ち、本発明は、糖と高級アルコールとを直接反応させ
るか、又は糖と低級アルコールとを反応させたのち、次
いで高級アルコールを反応させることにより得られる未
反応高級アルコール含有アルキルグリコシド製造反応生
成物又はその水溶液を、薄膜状に流し、これと水蒸気又
は不活性ガスとを50〜200℃にて接触させることを特徴
とする未反応アルコール含量の少ない、色相、匂いに関
して高品質なアルキルグリコシド又はその水溶液の製造
方法を提供するものである。
本発明におけるアルキルグリコシド製造反応生成物は周
知の反応方法で得られるものであって、糖類と高級アル
コールを酸触媒の存在下に直接反応させる方法、あるい
は予め糖類をメタノール、エタノール、プロパノール又
はブタノールなどの低級アルコールと反応させ低級アル
キルグリコシドとしたのち、高級アルコールと反応させ
る方法のいずれの方法で得られたものであってもよい。
本発明に係るアルキルグリコシドの原料となる高級アル
コールとしては、下記式(I)で表されるアルコールが
挙げられる。
RO(AO)nH …(I) (式中、Rは炭素数6〜22の直鎖ないし分岐鎖のアルキ
ル基ないしアルケニル基、又はアルキルフェニル基を表
し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nはその
平均値が0〜5の数である。) 本発明に係るアルキルグリコシドの原料となる糖類とし
ては、単糖類、オリゴ糖類あるいは多糖類が使用され
る。単糖類の具体例としては、アルドース類、例えばア
ロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロ
ース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、
アラビノース、キシロース、リキソースなどが挙げられ
る。オリゴ糖類の具体例としては、マルトース、ラクト
ース、スクロース、マルトトリオースなどが挙げられ
る。多糖類の具体例としては、ヘミセルロース、イヌリ
ン、デキストリン、デキストラン、キシラン、デンプ
ン、加水分解デンプンなどが挙げられる。
本発明におけるアルキルグリコシド製造反応は、上記の
出発物質を用い、触媒、反応温度等の条件については公
知の方法に従って行われる(特公昭47-24532号、USP第3
839318号、EP第092355号、特開昭59-139397号、特開昭5
8-189195号など)。
上述の如く、未反応アルコールを含有するアルキルグリ
コシド反応生成物から蒸留又は溶剤抽出等の公知技術に
より未反応アルコールは除去することができるが、未反
応アルコールのより好ましい除去方法は、未反応アルコ
ールを含有するアルキルグリコシド反応生成物を、薄膜
状に流し、熱及び真空を適用する方法であり、未反応ア
ルコールの含有量を2重量%以下まで除去できることが
すでに見い出されている(特開昭58-194902号公報)。
しかしながら、未反応アルコールの含有量をアルキルグ
リコシドに対して0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%
以下まで除去するためには、上記方法では更に高温を適
用することが不可欠であり、アルキルグリコシドの熱分
解による色相の悪化並びに匂いの劣化等の品質の劣化を
避けることができず、得られるアルキルグリコシドの色
相及び匂いに於いてきびしい品質を要求される場合には
適当な方法ではなかった。
また、高温を避けるために行われる方法として、真空度
を下げる方法が考えられるが、上述の程度までアルコー
ルを除去するためには0.5mmHg以下という高真空が必要
である。そのため、装置的に特別の重装備な真空装置を
用いるため高額な設備投資がかかる。更に、低温度の凝
縮器を用いても蒸発アルコールの系外への留去が多くな
り、かつ公害対策費がかさむ等の好ましくない問題が発
生する。
ところが、本発明者らは、アルキルグリコシド反応生成
物からの含有する未反応アルコールのほぼ完全な除去
が、該生成物を薄膜状に流し、水蒸気ないし不活性ガス
と接触させることにより、特別重装備な真空装置を用い
ることなく、比較的低真空下でも未反応アルコールが極
めて効率よく除去できることを見出し、本発明を完成さ
せたものである。
該アルキルグリコシド反応生成物は、反応終了後、既知
の方法による触媒の中和除去物をそのまま流してもよ
く、その場合は多段操作を行う。また、該アルキルグリ
コシドは水溶液にしたのちに流しても良い。この場合水
溶液濃度に限定はない。通常は本発明の技術を実施する
前、蒸留又は溶剤抽出等の公知の技術で予め含有未反応
アルコールを3〜10重量%程度まで低減しておく事が望
ましい。
操作温度は50℃〜200℃、好ましくは120℃〜170℃であ
り、200℃より高い温度ではアルキルグリコシドの熱分
解による色相悪化並びに匂いの劣化が激しくなり、又、
50℃より低い温度では極めて粘度が高くなり好ましくな
い。操作圧力は300mmHg以下、より好ましくは150mmHg以
下である。水蒸気ないし不活性ガスの吹き込み量は特に
限定されるものではなく、未反応アルコールの除去の程
度により任意に選ぶことができる。
水蒸気ないし不活性ガスの気流下に蒸発を行うと、分圧
の降下作用により、未反応アルコールの蒸発が促進され
る。
この際、水蒸気ないし不活性ガス気流を薄膜を形成した
アルキルグリコシド生成物に対し、向流、並流、十字
流、いずれの形態で流しても有効である。不活性ガスと
しては、アルキルグリコシド生成物と反応性を有しない
ものであれば何でもよいが、好ましくは窒素、炭酸ガ
ス、空気などである。
薄膜の厚さは薄いほど好ましいが、特に限定されるもの
でなく、通常市販されている薄膜蒸発装置で得られる程
度で充分であるが、通常約10mm程度以下が好ましい。
薄膜を形成する装置としては、通常の薄膜式蒸発機が使
用できる。例えば、スミス式薄膜蒸発機(神鋼ファウド
ラー(株)製)、日立コントロ装置((株)日立製作所
製)、ルーワ薄膜式蒸発機(ルーワ社製)等が挙げられ
る。これらはいずれも強制的に薄膜を形成させる装置で
あるが、流下薄膜式等の自然薄膜形成型の装置も使用で
きる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。
実施例1 (a)デシルアルコールを無水グルコースに対して5モ
ル倍、又パラトルエンスルホン酸1水和物を無水グルコ
ースに対して0.014モル倍使用し、公知の方法で反応を
行った。次いで、過剰の未反応デシルアルコールを150
℃、5mmHgで蒸留し、未反応デシルアルコールを2.8重量
%含有するアルキルグリコシドを得た。
(b)上記アルキルグリコシドをスミス薄膜蒸発機(神
鋼ファウドラー(株)製、伝熱面積0.2m2)に導入し、
スチームを吹き込みながら、140℃、80mmHgの条件下で
処理した。得られたアルキルグリコシド生成物につい
て、色相の悪化並びに匂いの劣化はほとんど認められな
かった。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
実施例2 実施例1(a)にて得られたアルキルグリコシドをスミ
ス薄膜蒸発機(0.032m2)に導入し、N2を吹き込みなが
ら、140℃、50mmHgの条件下で処理した。色相の悪化な
らびに匂いの劣化はほとんど認められなかった。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
実施例3 (a)実施例1(a)におけるデシルアルコールをドデ
シルアルコールに変えることを除いては、実施例1
(a)と同様の方法で未反応ドデシルアルコール含有ア
ルキルグリコシドを得た。次いで、過剰のドデシルアル
コールを160℃、5mmHgで蒸留し、未反応ドデシルアルコ
ールを3.2重量%含有するアルキルグリコシドを得た。
(b)上記アルキルグリコシドをスミス薄膜蒸発機(0.
032m2)に導入し、スチームを吹き込みながら、150℃、
50mmHgの条件下で処理した。
色相の悪化並びに匂いの劣化はほとんど認められなかっ
た。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
比較例1 実施例1(a)で得られたアルキルグリコシドをスミス
薄膜蒸発機(0.032m2)に導入し、スチームを吹き込み
ながら、210℃、100mmHgの条件下で処理した。色相の明
らかな悪化が認められ、かつ糖縮合度が平均で1.3から
1.5に上昇していることがわかった。即ち品質の変化が
認められた。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
比較例2 実施例1(b)において、スチームの吹き込みをやめる
ことを除いては実施例1と同様の操作を行った。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
比較例3 実施例1(a)にて得られたアルキルグリコシドをスミ
ス薄膜蒸発機(0.032m2)に導入し、スチームあるいは
不活性ガスを吹き込まずに180℃、0.5mmHgの条件下で処
理した。
製造条件及び結果を表1にまとめて示す。
実施例4 (a)デシルアルコール11400g(72.0mol)、無水グル
コース3240g(18.0mol)及びp−トルエンスルホン酸1
水和物96g(0.5mol)を30l反応槽中で加熱攪拌した。95
℃まで昇温の後、系内圧力を40mmHgとして脱水反応を開
始した。この際、反応混合液中にN2を5Nl/minで吹き込
み、生成する水を効率よく除去する様にした。5時間
後、グルコースが完全に消費されたのを確認した後、減
圧を解除し、冷却してNaOH20gで中和した。副生する多
糖を濾別した後、130℃、0.4mmHgの蒸留条件でアルキル
グリコシド4270gと未反応アルコール8460gとを分離し
た。次いで固形分の一部を水に溶解し、50%の水溶液を
調製した。色相はガードナー5であった。
(b)上記アルキルグリコシド水溶液をスミス薄膜蒸発
機(神鋼ファウドラー(株)製、伝熱面積0.032m2)に
導入し、スチームを吹き込みながら、70℃、100mmHgの
条件下で処理した。色相の劣化はなく、熱分解に由来す
る特有のこげ臭が除去されていた。
製造条件及び結果を表2にまとめて示す。
実施例5 (a)実施例4(a)にて得られたアルキルグリコシド
水溶液を60℃まで加熱し、3%NaOH水溶液10gを添加し
てpH9にした後、30%過酸化水素水12gを添加し、30分
間、60℃で攪拌を続けた。処理後の色相はガードナー3
であった。匂いは熱分解に由来する。こげ臭はとれてい
たが、酸敗臭及びアルデヒド臭が新たに発生していた。
(b)上記アルキルグリコシド水溶液をスミス薄膜蒸発
機(0.2m2)に導入し、スチームを吹き込みながら、80
℃、200mmHgの条件下で処理した。色相の劣化はなく、
匂いの改善が認められた。
製造条件及び結果を表2にまとめて示す。
比較例4 実施例5(b)において、スチームの吹き込みをやめる
ことを除いて実施例5と同様の操作を行った。
製造条件及び結果を表2にまとめて示す。
比較例5 実施例5(a)で得られたアルキルグリコシド水溶液を
1コルベンに500g入れ、スチームを吹き込みながら、
70℃、300mmHg、5時間、泡立ちに注意しながら処理し
た。臭いは改善したが色相の明らかな劣化が認められ
た。
製造条件及び結果を表2にまとめて示す。
〔発明の効果〕 本発明に依れば、色相及び匂いが良好で且つ未反応アル
コール含量が極めて微少であるアルキルグリコシド又は
その水溶液を極めて経済的に有利に得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖と高級アルコールとを直接反応させる
    か、又は糖と低級アルコールとを反応させたのち、次い
    で高級アルコールを反応させることにより得られる未反
    応高級アルコール含有アルキルグリコシド製造反応生成
    物又はその水溶液を、薄膜状に流し、これと水蒸気又は
    不活性ガスとを50〜200℃にて接触させることを特徴と
    するアルキルグリコシド又はその水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】高級アルコール含量を最終的にアルキルグ
    リコシドに対して0.5重量%以下にする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】高級アルコール含量を最終的にアルキルグ
    リコシドに対して0.2重量%以下にする請求項1記載の
    方法。
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