JPH0684061B2 - 金属とポリオレフインの積層体の製造方法 - Google Patents

金属とポリオレフインの積層体の製造方法

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JPH0684061B2
JPH0684061B2 JP60133553A JP13355385A JPH0684061B2 JP H0684061 B2 JPH0684061 B2 JP H0684061B2 JP 60133553 A JP60133553 A JP 60133553A JP 13355385 A JP13355385 A JP 13355385A JP H0684061 B2 JPH0684061 B2 JP H0684061B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は金属とポリオレフインの積層体の製造方法に関
する。詳しくは金属−ポリオレフイン間の密着性やその
耐熱水性に優れた金属とポリオレフインの積層体の製造
方法に関する。
〔従来技術〕
ポリオレフインは、その本来の特性から、従来より鋼
板、鋼管、ドラム管等のライニング、電線、機械器具の
コーテイング、ガラスの保護などに広く利用されてい
る。とくに鉄、アルミニウムなどの金属表面への被覆が
盛んに行なわており、その加工方法も種々提案されてい
る。
いかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テンのようなポリオレフイン類は、分子中に極性部分例
えば官能基などを持たず結晶性が高いため、接着性が極
めて悪く、この点がポリオレフインを金属被覆に使用す
る上の最大の難点であつた。
この接着性を改善するため、従来種々の試みがなされて
きた。例えば、 (イ) ポリオレフインの接着面に溶剤処理、火焔処
理、加熱空気処理、酸化処理等の表面処理をする方法。
(ロ) 接着される金属表面を機械的に粗面化、あるい
は表面酸化処理する方法。
(ハ) 金属に不飽和カルボン酸または無水物で変性さ
れた変性ポリオレフイン及び未変性ポリオレフインを順
次押出しコーテイングにより積層する方法(特開昭42−
10757)、 (ニ) 金属にエポキシ樹脂系接着剤等のブライマーを
塗布し、その上に不飽和カルボン酸またはその無水物で
変性した変性ポリオレフイン及び未変性ポリオレフイン
を順次押出しにより、ラミネートにより積層する方法
(特開昭56−168862等)、 等が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記(イ)及び(ロ)の方法では何れも
処理操作が繁雑であるばかりでなく、十分な接着強度を
得ることはできない。上記(ハ)の方法では金属面に一
度固化した変性ポリオレフイン上に未変性ポリオレフイ
ンをコーテイングして充分な接着性を得るには、300℃
程度で押出しコーテイングする必要があり、その際未変
性ポリオレフイン被覆層が高い熱履歴を受けて劣化し、
耐候性及び耐ストレスクラツク性等の物性が低下する。
また、上記(ニ)の方法では各層間の十分な接着性を得
るためには、樹脂を300℃程度で溶融押出する必要があ
り、未変性ポリオレフイン樹脂層が高い熱履歴を受けて
劣化し、耐候性及び耐ストレスクラツク性等の物性が低
下する。さらに、上記(ハ)及び(ニ)の方法では、未
変性ポリオレフイン樹脂として低密度ポリエチレン以外
のポリオレフイン樹脂では、押出ラミネート加工時にド
ローレゾナンスやネツクインを起しやすく、溶融張力の
高い樹脂しか使用できないという制限がある。
以上の問題点に対し、本発明者らは、少なくとも片側の
表面が変性ポリオレフインより為る共押出多層フイルム
を予め用意し該フイルムを金属に対して熱圧着する方法
を用いることにより、上記の問題点が克服される旨を既
に報告しているが(特開昭59−241259)、この方法によ
つても金属−ポリオレフイン積層体がプレス加工等の2
次加工が為されポリオレフイン層に歪応力がかつた状態
ではその接着力の耐久性とくに耐熱水性は必らずしも満
足なものではなかつた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は従来法のかかる問題点を解決すべく、種々
検討を重ねた結果、金属に変性ポリオレフインを積層し
て得た積層体を特定の温度で加熱処理した後、特定の温
度まで急冷することにより、該積層体の接着性(樹脂層
と金属との接着性)が著しく改善されることを見出し、
本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は金属に不飽和カルボン酸もし
くはその無水物またはそれらの誘導体で変性された変性
ポリオレフインを積層し、要すれば更に該変性ポリオレ
フイン層の上に1層乃至はそれ以上のポリオレフイン層
を積層して為る積層体は製造するに際し、まずかかる積
層体を形成させた後該積層体を変性ポリオレフインの融
点以上300℃以下の温度に加熱し、しかる後該融点より3
0℃以上低い温度まで60秒以内に急冷することを特徴と
する金属とポリオレフインの積層体の製造方法に存す
る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は金属に変性ポリオレフインを積層し、要すれば
更に該変性ポリオレフイン層の上に1層乃至は2層以上
のポリオレフイン層を積層してなる積層体をまず形成し
ておき、該積層体を、変性ポリオレフインの融点以上の
温度に加熱し、しかる后変性ポリオレフインフインの融
点より30℃以上低い温度に所定時間内に強制的に急冷す
ることにより金属−ポリオレフイン間の密着性に優れた
積層体を製造するものである。
本発明で用いる変性ポリオレフインとは、ポリオレフイ
ンを不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはこれら
の誘導体で変性したものである。この変性は公知の方法
に従い、通常これらの化合物をポリオレフインに混合な
いしグラフトさせるか又はかくして得た変性ポリオレフ
インの酸基又は酸無水物基を更にその誘導体に変化させ
ることにより行なわれる。
この様な変性ポリオレフインの製造に用いられるポリオ
レフインとしては、ポリオレフイン、エチレンとエチレ
ン以外のα−オレフインで酢酸ビニル、(メタ)アクリ
ル酸及びそのエステル等との共重合体、ポリプロピレ
ン、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフインとの
共重合体等が挙げられる。
本発明で言う変性ポリオレフイン樹脂とは上記の様にし
て得た変性ポリオレフインの単体若しくは二種以上のブ
レンド物又は上記に示すポリオレフイン樹脂と上記の様
にして得た変性ポリオレフイン樹脂とのブレンド物を言
う。
本発明に用いる変性ポリオレフインは上記内容のもので
あればとくに限定はされないが、本発明の如く金属との
積層体に用いるに際しては二次加工(プレス加工、曲げ
加工等)に対する追随性や加工后の歪応力下での耐熱性
等を考慮した場合、ある適当な結晶性を有していること
が好ましく具体的にはその融点が90℃以上125℃以下の
ものが好ましい。
変性ポリオレフイン樹脂の融点が90℃以下では樹脂その
ものの耐熱性が不足し125℃以上のものは結晶性が高い
ため后述する加熱急冷処理を経ても二次加工に対する追
随性や加工后の歪応力下において高温下での金属と樹脂
間の密着性が低下してくる。また、これらのポリオレフ
インに混合ないしグラフトさせる不飽和カルボン酸また
はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラ
コン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などが挙げられ、
さらに不飽和カルボン酸またはその無水物の誘導体とし
ては、例えばモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル
化物、分子内にこれら酸と反応し得る基を有する重合体
と酸の反応生成物などが挙げられる。上記した原料ポリ
オレフインとグラフト反応を生起させる方法としては溶
液法またはスラリー法であつてもよいが、経済的には溶
融混練法であることが好ましい。溶融混練法による場合
には、常法に従い原料ポリオレフインの粉末またはベレ
ツトに不飽和カルボン酸またはその無水物及び有機過酸
化物、アゾビス化合物のようなラジカル反応開始剤を所
定の配合比でヘンシエルミキサー等でドライブレンドす
るか、もしくは有機溶媒に不飽和カルボン酸またはその
無水物および開始剤を溶解し、ポリオレフインの粉末ま
たはペレツトに噴霧し、ヘンシエルミキサー等でブレン
ドする。この配合したポリオレフインの粉末もしくはペ
レツトを系内を窒素ガス置換された混練機、例えばバン
バリーミキサー、ダブルスクリユーミキサー等に投入
し、温度120〜300℃、時間0.1〜30分で溶融混練するこ
とにより上記した変性ポリオレフインが得られる。上記
変性ポリオレフインにグラフトされている不飽和カルボ
ン酸またはその無水物の量は原料ポリオレフインに対
し、0.02〜1重量%、好ましくは0.05〜0.4重量%の範
囲である。0.02重量%以下では充分な接着強度は得られ
ず、1重量%以上では耐温水性、耐塩水性がむしろ不良
となる。また開始剤の量はポリオレフインに対し0.1重
量%以下、好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲であ
る。上記開始剤として使用される有機過酸化物として
は、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシラウレート、ジクミルパーオキサイド、α,α′−
ビス−t−ブチルパーオキシ−p−ジイソプロピルベン
ゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシ
ヘキサン、2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシル、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4
−ビス−t−ブチルパーオキシパレート、オクタノイル
パーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド等を
あげることができ、またアゾビス化合物としては、アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−ト
リスメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−
シクロプロピルプロピオニトリル)などがあげられる。
変性ポリオレフインには、従来一般的に用いられている
着色剤、安定剤、その他の添加物、充填剤を更に配合し
てもよいことはいうまでもない。充填剤としては、砂、
石英などの天然シリカ、湿式法、乾式法で製造した合成
シリカ、カオリン、マイカ、タルク、クレー、石綿など
の天然珪酸塩、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムなど
の合成珪酸塩、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物、
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、その他アルミニウ
ム、ブロンズなどの金属粉等を使用することができる。
特に添加剤としてヒンダードフエノール系ラジカル捕捉
剤を添加することが望ましい。
本発明におけるヒンダードフエノール系ラジカル捕捉剤
とは、フエノール系水酸基の近傍に嵩高い置換基を配置
せしめて、ラジカル捕捉後の安定化をはかつたフエノー
ル系ラジカル捕捉剤である。その具体例としては、たと
えば2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフエノール、2,4
−ジメチル−6−第三ブチルフエノール、3−第三ブチ
ル−4−ヒドロキシアニゾール、2,6−ジオクタデシル
−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−イソポニルフ
エノール、2,6−ジイソボニル−p−クレゾール、n−
オクタデシル−β−(4′−ハイドロオキシ−3′,5′
−ジ−第三ブチルフエノール)プロピオネート、スチレ
ン化フエノール、2,4−ジメチル−6−α−メチルシク
ロヘキシルフエノール、4,4′−ブチリデン−ビス(3
−メチル−6−第三ブチルフエノール)、4,4′−メチ
レン−ビス(2,6−ジ−第三ブチルフエノール、2,2′−
メチレン−ビス(6−第三ブチル−p−クレゾール)、
2,2′−メチレン−ビス(6−第三ブチル−4−エチル
フエノール)、アルキル化ビスフエノール、2,6−ビス
(2′−ハイドロキシ−3′−第三ブチル−5′−メチ
ルベンジル)−4−メチルフエノール、トリス(2−メ
チル−4−ハイドロオキシ−5−第三ブチルフエノー
ル)ブタン、テトラキス−〔メチレン−(3,5−ジ−第
三ブチル−4−ハイドロオキシ−ハイドロシンナメー
ト)〕メタン、ハイドロキノン−モノベンジルエーテ
ル、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾー
ル)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−第三ブチル
フエノール)、ビス(2−ハイドロオキシ−3,5−ジ−
第三ブチルフエニル)サルフアイド、2,2′−メチレン
ビス(4−メチル−6−α−メチルシクロヘキシルフエ
ノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−
ジ−第三ブチル−4−ハイドロオキシベンジル)ベンゼ
ン、2,4−ビス(4−ハイドロオキシ−3,5−ジ−第三ブ
チルフエノキシ)−6−(n−オクチルチオ)−1,3,5
−トリアジン、6−(4−ハイドイルオキシ−3,5−ジ
−第三ブチルアニリノ)−2,4−ビス(n−オクチルチ
オ)−1,3,5−トリアジン、(4−ハイドロオキシ−3,5
−ジ−第三ブチルベンジル)−ジオクタデシルリン酸エ
ステル、リン−アルキル化フエノール縮合体、テトラキ
ス〔メチレン−3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒド
ロキシフエニル)プロピオネート〕メタン等があげられ
る。
ヒンダードフエメール系ラジカル捕捉剤の種類及び添加
量は、フイルム成形時や金属板との積層時、更には積層
体が実使用においてさらされる熱履歴等を考慮するとそ
の融点が90℃以上好ましくは100℃以上分子量は200以上
のものが好ましく融点90℃以下分子量200以下のもので
は熱履歴により揮発して効果がなくなつたりブリードア
ウトにより接着性の経時低下が生じる。
添加量は変性ポリオレフインに対して50ppm〜5000ppmの
範囲好ましくは100ppm〜1000ppmの範囲であり50ppm以下
ではその効果がほとんど認められず変性ポリオレフイン
の熱劣化による脆化により接着力が低下する。5000ppm
以上では熱安定剤の効果が飽和し実質的な意味が無いほ
かかえつて接着性が低下するという現象が認められる。
更に、これらのヒンダードフエノール系ラジカル捕捉剤
に加えてホスフアイト系過酸化物分解剤を併用すること
が好ましい。
本発明におけるホスフアイト系過酸化物分解剤として
は、たとえばトリフエニルホスフアイト、トリスノニル
フエニルホスフアイト、ジフエニルデシルホスフアイ
ト、フエニルジデシルホスフアイト、トリデシルホスフ
アイト、トリラウリルトリチオホスフアイト、トリオク
タデシルホスフアイト、サイクリツクネオペンタンテト
ライルビス(オクタデシルホスフアイト)等があげられ
る。
この場合その添加量は50ppm〜700ppm好適には50〜500pp
mの範囲が好ましく50ppm以下では添加効果が認められず
700ppm以上ではホスフアイト系過酸化物分解剤の加水分
解が主たる原因と考えられる接着力低下が認められる。
本発明において、上記した変性ポリオレフインと共に複
合体を形成させるに用いられる未変性ポリオレフインと
しては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレ
ン−メタクリル酸エステル共重合体などのポリオレフイ
ンが好適に使用される。
上記未変性ポリオレフインには必要に応じて任意に顔
料、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤等ポリオレフイン
に常用される添加剤を含有させてもよい。
本発明で用いられる金属はその表面が清浄であれば充分
であるが該積層体を産業資材として用いる場合その金属
としてはアルミニウム又は鉄が好んで用いられアルミニ
ウムの場合は表面を脱脂処理したり鉄の場合はプラスチ
ングあるいはリン酸塩処理、クロメート処理等の化成処
理を施すと、接着力の耐水性、耐塩水性、耐温水性の増
大がはかれるので一層効果的である。
本発明では、こうした金属の表面に上記変性ポリオレフ
イン層を熱圧着させるに際し、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂等の有機接着剤を金属と上記変性ポリオレフイ
ンとの間に介在させて熱圧着することにより、層間接着
性、特に接着力の耐温水性、、耐塩水性が増大できるの
で望ましく、さらに防錆能を有する顔料を併用するとさ
らに効果的である。
本発明において予め金属とポリオレフインの積層体を形
成させる方法は公知のいずれの方法でもよく、例えば前
記した様に金属上に変性ポリオレフインを押出コートす
る方法や少なくとも片面が変性ポリオレフインから為る
フイルムを金属に対して熱圧着させる方法の他パウダー
状の変性ポリオレフインをスプレー法や流動浸漬法、静
電融着法等により加熱された金属上にコートする方法も
用いることができるが、仕上つた製品の安定性や耐候
性、2次加工后の耐ストレスクラツク性等の要求物性を
考慮すると少なくとも片面が変性ポリオレフインから為
る熱接着性フイルムを金属へ熱圧着させる方法が好まし
い。
本発明において、上記の様にして得た積層体を次いで、
加熱処理するが、該加熱処理については変性ポリオレフ
イン層の一部又は全部が熔融していることが必要であ
る。該加熱処理は、該積層体そのものの温度が該変性ポ
リオレフインの融点以上〜300℃以下の温度で行なわ
る。加熱処理温度が変性ポリオレフインの融点未満で
は、該積層体の接着性が充分改良されず、また300℃を
越えた場合には該積層体の樹脂層が熱劣化や変色を引き
起こすので好ましくない。
該加熱処理に必要な時間としては、加熱処理温度、被覆
樹脂層の厚み、金属の厚み、処理前の該樹脂層の結晶化
状態などの兼合いによつて決まるが、一般的には少なく
とも1秒、好ましくは10秒以上である。処理時間が長す
ぎると、該樹脂層の劣化、着色などの弊害がでるので、
処理時間は10分以下、好ましくは5分以下にとどめるべ
きである。
上記積層体を加熱処理温度に加熱するには、種々の手段
を用いることができる。例えば、高周波誘導加熱、熱風
加熱炉、赤外線輻射、火焔による直接あるいは間接加熱
およびこれらの加熱方式のいずれか二つ以上の組合せも
可能である。またいずれの加熱方式を採用する場合にも
該積層体の表面温度検出機構を設けるとともに、この検
出機構からの信号によつて、加熱機構を制御することが
望ましい。
なお、本発明でいう上記の変性ポリオレフイン樹脂の融
点は示唆熱分析によつて吸熱ピークから求められるもの
である。該樹脂が2種以上の混合物からなる場合で、吸
熱ピークが多数存在する場合には、主成分に起因する吸
熱ピークをもつて、該樹脂の融点とするものである。
本発明における急冷する方法としては、上記の様に加熱
処理された積層体を変性ポリオレフインの融点より30℃
以上低い好ましくは50℃以上低い温度に保たれた水、鉱
物油等の冷媒に浸漬して冷却したり、該冷媒をスプレー
して冷却する方法、該温度に保たれた金属ロールに充分
接触させて冷却する方法又は充分に冷却された空気を該
積層体に強制的に吹きつけて冷却する方法等が採用でき
るが、とくに水を用いて冷却する方法がその効果や作業
性から好適である。
この際、充分な急冷効果を得るには、積層体が加熱され
ている温度から変性ポリオレフインの融点より30℃低い
温度まで60秒以内、好ましくは30秒以内、更に好ましく
は10秒以内に到達させることが望ましい。変性ポリオレ
フインの融点より30℃低い温度まで速かに冷却させない
と、接着性(特に耐熱水性)が十分改良されないので好
ましくない。
本法によれば予め形成された積層体における金属−ポリ
オレフイン間の密着力が必らずしも充分でなくとも上記
の如き加熱−急冷の工程を入れることによりロール圧着
やプレス圧着等の力学的圧着工程を経ずとも密着力を向
上させることができるという驚くべき効果を得ることが
できる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。
以下の実施例において、使用する樹脂の融点の測定及び
得られた積層体についての密着性能の評価は次の方法に
よつて行なつた。
(1) 樹脂の融点の測定 示差熱分解において10mg±1mgの試料を200℃で加熱融解
したのち10℃/minで40℃まで冷却固化させ、再度10℃/m
inで昇温融解しチヤート上にあらわれる主ピーク位置を
融点とした。
(2) 密着性の評価 JIS−K 6744に準じてエリクセン試験を行ない#型ノツ
チでの浮上りについて ランクA 異常なし B 若干浮上る C 明らかに浮上る D 大きく浮上る E 完全にハク離する というランク付けで評価し初期接着性とした。またこの
様にして得た試験片を沸騰水に5時間浸漬したあとのノ
ツチの浮上りを上記ランク付けにて評価し耐熱水性とし
た。
実施例1〜4 無水マレイン酸でグラフト変性された変性高圧法ポリエ
チレン(密度:0.91g/cm3、メルトインデツクス(MI):
2.0g/10分、無水マレイン酸グラフト量:1200ppm、融点:
109℃)にテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−第3
ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メ
タンを300ppm、トリス(ノニルフエニル)ホスフアイト
を150ppm添加した組成物と高圧法低密度ポリエチレン
(密度:0.926g/cm3、MI:0.9g/10分、融点:112℃)を樹
脂温度160℃でインフレーシヨン法によるダイ内共押出
法により、該低密度ポリエチレン層100μおよび変性高
圧法ポリエチレン層25μの複合体フイルムを製造した。
次いで、該複合体フイルムの変性ポリエチレン層を接着
面とし、これを熱硬化型エポキシ樹脂100部に対してク
ロム酸亜鉛10部、クロム酸ストロンチウム5部を配合し
た熱硬化型エポキシ樹脂接着剤が8g/m2の割合で表面に
塗布され且つ260℃に加熱処理されたリン酸亜鉛処理鋼
板上にロール圧4kg/cm2でロール圧着して積層体を得
た。
この様にして得た積層体の初期接着性はCランクであつ
た。この積層体をその板温が115℃(実施例1)、140℃
(実施例2)、170℃(実施例3)、210℃(実施例
4)、になる様に所定温度のオーブン中で45秒間加熱
し、ただちに15℃の水浴に浸漬し急冷した夫々の積層板
の密着性の評価を行ない、その結果を第1表に示す。
比較例−1〜2 実施例1において積層体の加熱を板温が90℃、60℃にな
る様にした。密着性の評価結果を第1表に示す。
比較例−3〜4 実施例−2.4において加熱された積層体を20℃の大気中
にて放冷した。密着性の評価結果を第1表に示す。
比較例−5 実施例−2において加熱后の冷却を80℃温水への浸漬に
より行なつた。密着性の評価結果を第1表に示す。
実施例−5 実施例−2において加熱后の冷却を15℃に温調されたク
ローバー型に配列された金属ロール3本に接触させるこ
とにより行なつた。この時の積層体と金属ロールとの接
触時間は2.5秒であつた。密着性の評価結果を第1表に
示す。
実施例−6〜7、比較例−6〜7 実施例−2,4または比較例−3,4においてエポキシ樹脂接
着剤をコートした鋼板を用いるかわりに該接着剤をコー
トしていない鋼板を使用した。密着性の評価結果を第1
表に示す。
実施例8 無水マレイン酸でグラフト変性された変性高圧法ポリエ
チレン(密度:0.91g/cm3、MI:4g/10分、無水マレイン酸
グラフト量:1200ppm、融点:107℃)にテトラキス〔メチ
レン−3−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフ
エニル)プロピオネート〕メタンを600ppm、トリス(ノ
ニルフエニル)ホスフアイトを300ppm添加した組成物を
25μの厚さのフイルムに押出つつ、そのフイルムの両側
に、エポキシ樹脂接着剤をコートし、260℃に加熱した
鋼板と密度:0.926g/cm3、MI:0.9g/10分、融点:112℃の
高温法低密度ポリエチレンから為る厚さ100μのフイル
ムとを供給し、押出サンドラミネーシヨンにより積層体
を得た。この積層体の一次密着性はCランクであつた。
これをその板温が140℃になる様に加熱し、15℃水浴中
で急冷した。密着性の評価結果を第1表に示す。
比較例−8 実施例−8において加熱后の冷却を20℃大気中に放冷す
ることにより行なつた。密着性の評価結果を第1表に示
す。
比較例−9 実施例2において用いた変性高圧法ポリエチレンのかわ
りにMI:0.6g/10分、無水マレイン酸グラフト量:800pp
m、融点129℃の変性高密度ポリエチレンを用いた。密着
性の評価結果を第1表に示す。
比較例−10 実施例−2において用いた変性高圧法ポリエチレンのか
わりにMI:2g/10分、無水マレイン酸グラフト量:700pp
m、融点:85℃のエチレン−酢酸ビニルコポリマーの変性
体を用いた。密着性の評価結果を第1表に示す。
以上の様にして得られた積層体の密着性(初期接着性及
び耐熱水性)を付表に示す。
付表により明らかな様に積層体をそれに含まれる変性ポ
リオレフイン樹脂の融点以上に加熱した后急冷すること
により密着性とくにその耐熱水性に優れた積層体を得る
ことができる。
〔発明の効果〕 本発明の方法によれば良好な接着強度を有し、また耐温
水性、耐塩水性等に優れた金属とポリオレフインの積層
体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 敏雄 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化成 工業株式会社水島工場内 (72)発明者 篠原 義尚 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化成 工業株式会社水島工場内 (72)発明者 細田 泉 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化成 工業株式会社水島工場内 (72)発明者 谷原 秀太郎 千葉市星久喜町694番地6 (72)発明者 斉藤 巖 千葉県市原市藤井2丁目115番2号 (56)参考文献 特開 昭56−168862(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属に不飽和カルボン酸もしくはその無水
    物またはこれらの誘導体で変性された変性ポリオレフィ
    ンを積層し、要すれば更に該変性ポリオレフィン層の上
    に1層乃至はそれ以上のポリオレフィン層を積層して為
    る積層体を製造するに際し、まずかかる積層体を形成さ
    せた後該積層体を変性ポリオレフィンの融点以上、300
    ℃以下の温度に加熱し、しかる後該融点より30℃以上低
    い温度まで60秒以内に急冷することを特徴とする金属と
    ポリオレフィンの積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】使用する変性ポリオレフィンが融点が90℃
    以上125℃以下のポリエチレン又はエチレンとエチレン
    以外のα−オレフィン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル
    酸又はそのアルキルエステルとのコポリマーを変性した
    ものである事を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】金属の表面が化成処理された又は処理され
    ていない鋼材又は亜鉛メッキ鋼材である事を特徴とする
    特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  4. 【請求項4】変性ポリオレフィンは、ヒンダードフェノ
    ール系熱安定剤を50〜5000ppm含有するものであること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれ
    かに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】変性ポリオレフィンは、ヒンダードフェノ
    ール系熱安定剤を50〜5000ppm及びホスファイト系熱安
    定剤を50〜700ppm含有するものであることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載の製
    造方法。
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