JPH068383B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

ポリエステル組成物

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JPH068383B2
JPH068383B2 JP1014842A JP1484289A JPH068383B2 JP H068383 B2 JPH068383 B2 JP H068383B2 JP 1014842 A JP1014842 A JP 1014842A JP 1484289 A JP1484289 A JP 1484289A JP H068383 B2 JPH068383 B2 JP H068383B2
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polyester
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一夫 遠藤
一弘 椚原
恵 小見山
征二 坂本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフィルムとした際、粗大突起が少なく、優れた
走行性及び耐摩耗性を与えるポリエステル組成物に関す
る。
〔従来の技術および発明が解決しようとする課題〕
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル
は、その優れた機械的、電気的特性、耐薬品性、寸法安
定性の点から、磁気記録用コンデンサー用、包装用、製
版用、電絶用、写真フィルム用等多くの分野で基材とし
て用いられている。これらの用途にポリエステルが用い
られる場合、各用途に応じてその要求特性は異るが、普
遍的に要求される特性はフィルム取り扱い時の作業性で
あり、これを改善するためには、フィルムの走行性、即
ち摩擦係数を減じる必要がある。
また、近年伸びの著しいオーディオ、ビデオ、コンピュ
ーター等の磁気記録媒体としてポリエステルを用いる場
合には、走行性や耐摩耗性が劣ると磁性層塗布時におけ
るコーティングロールとフィルム表面との摩擦及び摩耗
が激しく、フィルム表面に擦り傷が発生し易くなる。
また、磁性層塗布後のフィルムをオーディオ、ビデオ、
コンピューター用テープ等に加工し製品とした後でも、
リールやカセット等からの引き出し、巻き上げ、その他
の操作の際に多くのガイド部、記録、再生ヘッドとの間
で摩擦及び摩耗が生じ、ポリエステルフィルム表面の粒
子の脱落等による白粉状物質が発生するため、しばしば
磁気記録信号の欠落、即ちドロップアウトが発生するよ
うになる。
これらの特性を改良する方法は従来から種々提案されて
いるが、最も一般的に採用されているのはフィルム中に
不活性物質を配合する方法であり、この方法は二つに大
別される。
一つは析出法と呼ばれる方法であり、エステル交換反
応、あるいはエステル化の前後にエチレングリコールに
可溶な金属化合物、例えばカルシウム化合物、リチウム
化合物の一種以上を添加し、リン化合物の存在下あるい
は非存在下でポリエステルに不溶の微粒子として沈澱さ
せる方法である。
析出法と対比される今一つの方法は添加法と呼ばれる方
法であり、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ
等の無機粒子または有機系の粒子をそのまま、あるいは
微粒子化した後、ポリエステル合成時あるいは成型時に
添加するものである。この方法は微粒子の粒径、量を加
減することができ延伸によってもこれら微粒子は破壊さ
れ難く、析出法と比べ優れている。そして更にフィルム
の品質を改良するために、添加する粒子として有機系の
架橋高分子粒子を用いる試みもなされている。
例えば特開昭55−99948号公報には、メチルメタ
クリレート/ジビニルベンゼン系コポリマーで代表され
る架橋高分子から成る粒子を用い、その一部をポリエス
テルと共有結合させることによりポリエステルと粒子と
の親和性を改良することが示されている。また、特開昭
59−217755号公報及び特開昭61−21722
9号公報には前述の特開昭55−99948号公報記載
の発明と同一の思想でメチルメタクリレート/ブチルア
クリレート/ヒドロキシメチルアクリレート/ジビニル
ベンゼン系コポリマーから成る架橋高分子粒子を用いポ
リエステルと粒子との親和性を改良すること、および乳
化重合法により製造される該粒子は狭い粒度分布を有す
ることが記載されている。しかしながら、磁気記録用、
コンデンサー用等多くの分野では近年の著しい技術進歩
に伴い、更に小型化、精密化が一段と進み、フィルム品
質の改良が望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記実情に鑑みて、ポリエステルフィルム
の走行性を改良するため、鋭意検討を行った結果、ポリ
エステル中にある特定の有機粒子を含有させたポリエス
テル組成物によれば、前記特性が高度に達成されたフィ
ルムを得ることができることを見出し本発明を完成する
に至った。
すなわち本発明の要旨は、エチレングリコール単位を含
有する架橋高分子で被覆された、平均粒径が0.01〜3
μmである多層有機粒子を0.005〜1重量%含有する
ことを特徴とするポリエステル組成物に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルとはポリエチレンテレフ
タレートを主体とするポリマーであり、例えばポリエチ
レンテレフタレート単独あるいはエチレンテレフタレー
ト単位を80モル%以上含む共重合体をいう。
本発明で用いるエチレングリコール単位を含有する架橋
高分子で被覆された多層有機粒子を含有するポリエステ
ル組成物の最大の特徴は、粒子とポリエステルとの親和
性が飛躍的に向上した点にある。これはエチレングリコ
ールとポリエステルの親和性が良好なためであるが、多
層有機粒子表層の架橋高分子中のエチレングリコール単
の含有率は、通常3〜38重量%の範囲であり、好まし
くは5〜25重量%の範囲である。エチレングリコール
単位の含有率が3重量%未満では、ポリエステル配合時
に凝集して2次粒子を形成するため好ましくない。一
方、38重量%を超えてエチレングリコール単位を含有
させても改良効果はさほど向上せず上記範囲が実用的で
ある。
また、本発明で用いる多層有機粒子はポリエステルの合
成あるいは成型時の高温においても実質的に不溶、不融
であることが好ましい。すなわち、本発明において多層
有機粒子の300℃−30分間処理後の重量減少は、通
常30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下で
ある。重量減少率が30重量%を超える多層有機粒子
は、ポリエステル成形品の製造工程において分解した
り、変形したりするので好ましくない。
更に、本発明に用いる多層有機粒子の平均粒径は0.01
〜3μmの範囲であり、好ましくは0.05〜2μm、更
に好ましくは0.1〜1.5μmの範囲である。平均粒径が
0.01μm未満ではフィルムの走行性が充分に改良され
ない。一方、平均粒径が3μmを越えると、磁気記録媒
体等で要求される表面平坦性を満足できず、電磁気変換
特性及びドロップアウトの点で悪影響が出るようにな
る。以上述べた多層有機粒子のポリエステル中における
含有量は0.005〜1重量%であり、好ましくは0.03
〜0.6重量%の範囲である。含有量が0.005重量%未
満ではフィルムとした際の耐摩耗性及び走行性が充分に
改良されない。一方、含有量が1重量%を越えると磁気
記録媒体等で要求される表面平坦性を満足できず、電磁
気変換特性及びドロップアウトの点で悪影響が出る。
かかる特性を有する多層有機粒子は、例えば以下に示す
方法により製造することができる。
まず核となる有機粒子を、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、ス
チレン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン等の
芳香族ビニル化合物を単独で重合させるか、あるいはこ
れらを共重合することによって得る。この核となる有機
粒子はエチレングリコール単位を有する架橋高分子で被
覆する際に粒子の一部が溶解したり、粒子形状が変化し
ない程度の耐溶剤性及び耐熱性を有していることが好ま
しい。第1段目の重合で得られる核となる有機粒子、例
えば粒径コントロールの容易な代表的な系であるスチレ
ン/ジビニルベンゼン系粒子はそのままポリエステルに
添加すると凝集が著しく良好な製品は得られない。一
方、核となる有機粒子を被覆する架橋高分子は分子中に
エチレングリコール単位を有する化合物、例えば下記式
(1)で示される化合物を重合させるか、該化合物と共重
合可能な化合物とを共重合させることにより得られる。
一般式(1)で示される化合物の中でも、本発明において
は、特にエチレングリコールモノアクリレート、エチレ
ングリコールメタクリレート、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート等が
好ましく用いられる。また、これらの化合物と共重合可
能な化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エステル等のメタクリル酸エステル、スチレ
ン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン等の芳香
族ビニル化合物が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。核となる有機粒子に被覆する該架橋高分子
の厚さは0.02〜0.5μmの範囲が好ましい。被覆する
厚さが0.02μm未満では核となる有機粒子のポリマー
中における凝集を防ぐ効果が充分でない。また被覆する
厚さが0.5μmを越えると、この被覆反応を進行させる
際に凝集を生じ易くなるので好ましくない。
核となる有機粒子にエチレングリコール単位を有する架
橋高分子が被覆され、実際に多層構造を有していること
は、例えば次の方法により容易に確認することができ
る。
すなわち核粒子としてのスチレン/ジビニルベンゼン系
粒子にエチレングリコール単位を有するエチレングリコ
ールジメタクリレート/メチルメタアクリレート/ジビ
ニルベンゼン系架橋高分子を被覆した多層有機粒子と、
過剰のメタノールをミクロボンベに取り200℃で4時
間程度メタノール分解を行う。反応後、冷却し内容物
(メタノールスラリー)を取り出す。次に該スラリーを
超遠心機(日立工機製55P−72型)を用い、遠心分
離処理を行う。ガスクロマトグラフィー(カラム:Chro
mosorb1013%−カラム長1m)を用い上澄液中のエチ
レングリコール量を定量すれば、被覆した架橋高分子中
のエチレングリコール単位に相当するエチレングリコー
ルを検出することができる。また、多層有機粒子の赤外
吸収スペクトルは1725cm-1と1300〜1150cm
-1にエチレングリコールジメタクリレート及びメチルメ
タクリレートのエステル結合に基く吸収を示すが、メタ
ノール分解処理した有機粒子には1725cm-1と130
0〜1150cm-1の吸収は認められない。なお、メタノ
ール分解処理した粒子の粒径を測定すると、被覆したエ
チレングリコール単位を有する架橋高分子に相当するだ
け小粒子化していることを確認することができる。
かかる方法により、本発明の多層有機粒子を製造するこ
とができるが、重合に際してはいわゆるソープフリー重
合法を採用することが好ましい。例えば、核となる有機
粒子の重合は、水媒体中に水溶性の開始剤である過酸化
水素、過硫酸カリウムあるいは過硫酸カリウム−チオ硫
酸ナトリウム等のレドックス系開始剤を所定量溶解した
後、あらかじめ常法により精製したスチレン/メチルメ
タクリレート/ジビニルベンゼンを所定の割合で均一に
混合し添加する。その際の浴比(モノマー/水の割合)
は1/15〜1/5が好ましい。浴比が1/5を超える
と凝集粒子が生成しやすくなるため好ましくない。また
モノマー組成によっては一部凝集粒子が生成することも
あるので、この場合は粒子の分散安定性を保持するため
分散安定剤として臨界ミセル濃度以下の極く微量の界面
活性剤を添加してもよい。第一段重合における重合条件
は撹拌下重合開始剤の分解開始温度以上、好ましくは4
0〜80℃で重合率95%以上とするのが良く、この場
合、ほぼ球状の核粒子を得ることができる。
次にあらかじめ常法により精製したエチレングリコール
ジメタクリレート/メチルメタクリレート/ジビニルベ
ンゼンを所定の割合で均一に混合し、追添加した後、第
1段重合と同様に撹拌下40〜80℃で通常重合率が9
5%以上となるよう6〜8時間第2段重合を行い、第1
段重合で得られた該有機粒子をエチレングリコールユニ
ットを有するエチレングリコールジメタクリレート/メ
チルメタクリレート/ジビニルベンゼン系の架橋高分子
で被覆する。該有機粒子は第1段重合で得られた粒子と
同様にほぼ球状の均一分散の水スラリーとして得られ
る。得られた有機粒子をポリエステル製造工程に添加す
るには、水スラリーをエチレングリコールで置換し、エ
チレングリコールスラリーとすることが好ましい。
本発明においては、かかる多層有機粒子の中でも球状に
近くかつ粒度分布の鋭いものが好適に使用される。すな
わち、本発明でいう球状とは下記式(2)で定義される体
積形状係数が0.3〜π/6好ましくは0.4〜π/6の範
囲内にあるものを指すが、かかる粒子を用いる時、フィ
ルムの走行性が好ましく改良される。
体積形状係数=V/D ……(2) また、架橋高分子粒子の粒度分布のシャープさ(γ値)
は下記式(3)で定義され、γ値は2.0以下、好ましくは
1.6以下が良い。γ値が2.0を越えると粒径が不揃いと
なり、フィルムとした場合の表面粗度の制御が困難とな
ったり、粗大粒子が増加するため好ましくない。
(ただし、粒径は電子顕微鏡による写真法で測定し、積
算重量は大粒子側から積算) かかる特定の多層有機粒子を含有するポリエステル組成
物は以下に述べる方法により製造することができる。
ポリエステルはテレフタル酸もしくはそのエステル形成
性誘導体、例えばジメチルテレフタレートとエチレング
リコールを主な出発物質とし、これを常法により重合す
ることによって製造することができる。ポリマー製造工
程は、通常エステル交換反応又はエステル化反応を行な
いポリエステルオリゴマーを得た後、重縮合反応を行う
という二段階の工程を経るが、この場合エステル交換触
媒としては公知の化合物、例えばカルシウム化合物、マ
ンガン化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、リチ
ウム化合物の一種以上を用いることができる。またエス
テル交換反応又はエステル化反応が実質的に終了した
後、析出粒子の調節剤又は熱安定剤としてリン化合物の
一種以上を添加してもよい。
重合触媒としては公知のアンチモン化合物、ゲルマニウ
ム化合物、テタン化合物、スズ化合物、コバルト化合物
等の一種以上を用いることができるが、特にアンチモン
化合物及びゲルマニウム化合物が好ましく用いられる。
本発明におけるエチレングリコール単位を有する架橋高
分子で被覆された多層有機粒子の添加時期はポリエステ
ル製造工程の重縮合段階の中期以前が好ましく、特にエ
ステル交換反応前または重縮合反応開始前が好ましい。
なおポリマー製造工程への多層有機粒子の添加方法とし
てはエチレングリコールスラリーとして添加するのが良
い。なお当然の事ながら該多層有機粒子とエチレングリ
コールとを予め反応させた後添加してもよい。
このような方法により初めてポリエステルフィルムを得
るに必要なポリエステルを得ることができる。得られた
ポリエステルをそのままあるいは他のポリエステルで希
釈して公知の製膜方法、例えばポリエステルチップを2
70〜300℃でフィルム状に溶融押出し後、40〜7
0℃で冷却、固化し無定形シートとした後、縦、横に逐
次二軸延伸あるいは同時二軸延伸し160〜240℃で
熱処理する等の方法(例えば特公昭30−5639号公
報記載の方法)により該粒子を含有せしめたポリエステ
ルフィルムを得ることができる。
以上詳述したように、特定量のエチレングリコール単位
を有する架橋高分子で被覆された有機粒子を含有してな
る本発明のポリエステル組成物は、例えばフィルムに形
成して、磁気テープ、フロッピーディスクを始めとする
磁気記録媒体の基材、またコンデンサー用、写真製版
用、電絶用、感熱転写用、包装用、転写マーク用、金銀
糸用等の分野に於て極めて効果的に使用することができ
る。
〔実施例〕
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発
明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定され
るものではない。なお実施例及び比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
また、本発明で用いた測定法は次の通りである。
エチレングリコール単位 多層有機粒子中のエチレングリコール単位とは−CH
−CH−O−を指し、その表層部における割合は下記
式より求めた。
エチレングリコール単位の割合(重量%)= 平均粒径 電子顕微鏡による写真法で薬1000個の粒子の最大径
を測定し、平均粒径は最大径を直径とする球群の重量分
布を算出することにより求めた重量分布率50%の点の
直径で表わした。
重量減少率 島津製作所製熱分析装置DT−20Bs型を用い、窒素
ガス流通下(200m/min)室温より10℃/minの
昇温速度で300℃まで加熱し、300℃で30分間保
持後の多層有機粒子の重量減少率を下記式より求めた。
重量減少率(重量%)= 表面粗度(Ra) 中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。
(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を
用いて次のようにして求めた。即ち、フィルム断面曲線
からその中心線の方向に基準長さ(2.5mm)の部分を抜
き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方
向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表わしたとき、
次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均
粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求
め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線
平均粗さの平均値で表わした。尚、触針の先端半径は2
μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとし
た。
走行性(μd) 第1図の装置により、固定した硬質クロムメッキ金属ロ
ール(直径6mm)にフィルムを巻きつけ角135°
(θ)で接触させ、53g(T2)の荷重を一端にかけ
て、1m/minの速度でこれを走行させ他端の抵抗力
(T1g)を測定し、次式により走行中の摩擦係数(μ
d)を求めた。
耐摩耗性 第2図に示す走行系でフィルムを200mにわたって走
行させ、6mmφの硬質クロム製固定ピンに付着した摩耗
白粉量を目視評価し、下に示すランク別に評価を行なっ
た。尚、フィルム速度は10m/minとし、張力は約2
00g、θ=135°とした。
ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する 粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、干渉顕微鏡を用
い二光束法にて測定した。測定波長0.54μmで3次以
上の干渉縞を示す突起個数を25cm2測定して求めた。
親和性 粒子とポリマーとの親和性の程度を一定条件下での延伸
による空隙の発生の程度により評価した。すなわち、厚
さ300μmの未配向フィルムを95℃で縦及び横方向
に各々3.5倍延伸しフィルム中での粒子の長軸と短軸の
平均長さと、粒子周辺に発生するボイドの長軸と短軸の
平均長さとの比を求めた。各粒子についてこの値の相加
平均を求め粒子とポリマーとの親和性の尺度とした。
この値が大きく1に近づく程、空隙の発生は少なく親和
性が良いことになる。なお延伸条件としては7000%
/minを採用した。
実施例1 〔多層有機粒子の製造〕 まず、核粒子となる架橋高分子粒子を製造した。すなわ
ち脱塩水120部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム
0.32部と分散安定剤としてエマール0(ラウリル硫酸
ナトリウム:花王アトラス社製法)を0.0004部添加
し均一に溶解した後、エチレングリコールジメタクリレ
ート7部,メチルメタクリレート2部,ジビニルベンゼ
ン1部の均一溶液を加えた。
次に窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら70℃に昇温し、
6時間重合を行った。反応率は99%であり、得られた
架橋高分子粒子の平均粒径は0.27μmであった。
更に反応系に脱塩水60部とエチレングリコールジメタ
クリレート3.5部のメチルメタクリレート1部およびジ
ビニルベンゼン0.5部の均一混合溶液を加え、70℃で
6時間重合を行った。反応率は99.8%で、得られた多
層有機粒子の平均粒径は0.31μmであった。
生成した多層有機粒子の水スラリーにエチレングリコー
ル285部を加え、加熱、減圧下で留去した。得られた
架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリー中の水分
量は0.3重量%であった。
〔ポリエステルフィルムの製造〕
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール
60部及び酢酸マグネシウム四水塩0.09部を反応器に
とり、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエス
テル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して23
0℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次に平均粒径0.31μmの多層有機粒子のエチレングリ
コールスラリー2部を添加した後、エチルアシッドフォ
スフェート0.04部と三酸化アンチモン0.035部を添
加し4時間重縮合を行い、極限粘度0.66のポリエチレ
ンテレフタレートを得た。
得られたポリエステルを180℃窒素雰囲気下で6時間
乾燥後押出機により厚さ220μmのシートを製造し、
ついで縦方向に3.7倍、横方向に4.0倍延伸した。更に
220℃で5秒間熱固定を行って厚さ15μmの二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例2 実施例1において多層有機粒子製造時のモノマー組成を
エチレングリコールジメタクリレート2.5部、メチルメ
タクリレート2部、ジビニルベンゼン0.5部と変える他
は実施例1と同様にして、ポリエステルフィルムを得
た。
実施例3 実施例1において核粒子製造時のモノマー組成をスチレ
ン9部、ジビニルベンゼン1部に変える他は実施例1と
同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
実施例4 実施例3において多層有機粒子製造時のモノマー組成を
エチレングリコールジメタアクリレート3.5部、メチル
メタアクリレート1部、ジビニルベンゼン0.5部と変え
る他は実施例3と同様にしてポリエステルフィルムを得
た。
比較例1 実施例1において多層有機粒子の代わりに架橋高分子粒
子を用いる他は実施例1と同様にしてポリエステルフィ
ルムを得た。
比較例2 実施例3において多層有機粒子の代わりに架橋高分子粒
子を用いる他は実施例1と同様にしてポリエステルフィ
ルムを得た。
比較例3 実施例1において多層有機粒子製造時のモノマー組成を
メチルメタクリレート4.5部、ジビニルベンゼン0.5部
と変える他は実施例1と同様にしてポリエステルフィル
ムを得た。
比較例4 実施例3において多層有機粒子製造時のモノマー組成を
メチルメタクリレート4.5部、ジビニルベンゼン0.5部
と変える他は実施例3と同様にしてポリエステルフィル
ムを得た。
比較例5 実施例1において多層有機粒子のエチレングリコールス
ラリーの代りに10重量%に調製した平均粒径0.62μ
mのカオリン粒子のエチレングリコールスラリー3部を
添加する他は実施例1と同様にしてポリエステルフィル
ムを得た。
比較例6 実施例1において、多層有機粒子のエチレングリコール
スラリーの代りに10重量%に調製した平均粒径0.61
μmの炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリ
ー3部を添加する他は実施例1と同様にしてポリエステ
ルフィルムを得た。
比較例7 実施例において多層有機粒子のエチレングリコールスラ
リーの代わりに10重量%に調製した平均粒径0.29μ
m酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリー3部を
添加する他は実施例1と同様にしてポリエステルフィル
ムを得た。
以上、得られた結果をまとめて表−1に示す。
表1の結果から明らかなようにエチレングリコール単位
を有する多層有機粒子を含有してなる本発明のポリエス
テル組成物から得られるフィルムは粗大粒子が極めて少
なく、該粒子の分散性及びポリエステルとの親和性も極
めて良好である。更にフィルムの重要な特性である走行
性及び耐摩耗性においても優れている。
一方、多層構造でない比較例1、2の核粒子やエチレン
グリコール単位を全く含まない比較例3、4の多層有機
粒子は二次凝集が激しく分散性に極めて劣りフィルム化
困難でありその品質も許容し得ないレベルであった。ま
た、比較例5〜7のようにカオリン,炭酸カルシウム,
酸化チタン等の不活性無機粒子を添加した場合は、走行
性は優れているものの粗大粒子の増加及び耐摩耗性の低
下は避けられない。
〔発明の効果〕
以上詳述したように特定の製造法で製造されたエチレン
グリコールユニットを有する特定粒径の架橋高分子粒子
を特定量含有してなる本発明のポリエステル組成物は例
えばフィルムとした際、該架橋高分子粒子の有する、
粗大粒子が少ない、その形状はほぼ球状で粒径が揃っ
ている、エチレングリコールユニットを有することに
よりポリエステルとの親和性が良好、という優れた特徴
により各種のフィルム用途に賞用される他、その透明性
を生かしいわゆるボトル用としても利用し得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は金属との動摩擦係数を評価する走行系を示し、
(I)は6mmφの硬質クロムメッキ固定ピン、(II)は入り
口テンションメーター、(III)は出口テンションメータ
ーを示し、θは135°である。 第2図は耐摩耗性を評価する走行系を示し、(IV)は6mm
φの硬質クロム製の固定ピン、(V)はテンションメータ
ーを示し、θは135°である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33:06) B29K 67:00 4F B29L 7:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレングリコール単位を含有する架橋高
    分子で被覆された、平均粒径が0.01〜3μmである多
    層有機粒子を0.005〜1重量%含有することを特徴と
    するポリエステル組成物。
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