JPH068367Y2 - 車両の自動変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、車両の自動変速装置に関する。

（従来の技術） 車両の自動変速装置は、エンジン回転数、アクセル開
度、クラッチ回転数、車速、ギヤ位置、チェンジレバー
位置等の各種車両情報に基づいて、マイクロコンピュー
タからなる自動変速コントローラが適宜の制御信号を出
してエンジン回転操作、変速機のギア位置の切換操作、
エンジンと変速機間のクラッチの断接操作を共に自動化
したものである。そして、ギヤ位置は、シフトパターン
（第２図参照）に沿ってフィンガータッチで操作し得る
チェンジレバーの位置選択動作（マニアル変速）と、車
速やエンジン回転数等の車両情報に基づいて自動的にギ
ヤ位置を切り換える自動変速により切り換わるようにな
っている。

（考案が解決しようとする課題） 車両を後退させるには、チェンジレバーをリバース位置
Ｒに位置させる。ところで、車両の後退中に、運転車が
何かの拍子にチェンジレバーに触れてしまい、該レバー
を誤って前進段、第２図に示すシフトパターンにあって
は前進１段の位置に移動させてしまうと、車両に大きな
ショックが加えられ、ギヤ鳴りが発生したり、ひいては
変速機が破損するという問題点がある。

そこで、チェンジレバーが誤操作された時には、変速機
のギヤ位置をニュートラル位置に切り換える技術が提案
されている。この技術によれば変速機の破損という問題
は解決されるものの、運転者が全く気付くことなくニュ
ートラル走行に入り、これを早期に認識することは困難
である。しかし、このような状態は可及早急に解消する
必要があった。

また、後進と前進の誤操作ではないが、前進中の変速段
の選択が適切でない場合にブザー等の警報手段を作動さ
せることが提案されているが、この場合のブザーは誤操
作状態が解消されるまで鳴動するように制御されてお
り、騒々しい上に運転者に余計な不安を持たせてしまう
という問題が残っている。

（課題を解決するための手段） 本考案は、入力された情報と検出された車両の情報に基
づいて始動処理、発進処理、変速処理を自動化する自動
変速コントローラを組み込んだ車両の自動変速装置にお
いて、クラッチを断接するクラッチアクチュエータと、
変速機のギヤ位置を変更するギヤシフトユニットと、ク
ラッチを断接するクラッチアクチュエータと、変速機の
ギア位置を変更するギアシフトユニットと、選択された
チェンジレバーの位置に応じた変速位置信号を出力する
変速スイッチと、変速機のギア位置を検出するギア位置
スイッチと、車速を検出する車速センサと、ブザーと表
示灯からなる警報手段と、上記車速センサからの検出信
号が車両が走行状態にあることを示し、且つ、上記ギア
位置スイッチが後進段のギア位置を検知していて上記変
速スイッチが前進段の変速信号を出力したとき、上記警
報手段のブザーと表示灯をオンすると共に上記クラッチ
アクチュエータとギアシフトユニットを作動させて変速
機のギア位置をニュートラル位置に変更し、ギア位置が
ニュートラル位置に変更させると上記警報手段のブザー
を停止させる制御信号を出力する機能が付与された自動
変速コントローラとを具備したことを特徴としている。

（作用） 車両が走行状態で、且つギアがリバース位置にあると
き、チェンジレバーが誤って前進段に置かれると、ブザ
ーと表示灯を自動変速コントローラが自動的にオンさせ
ると共にギア位置をニュートラルに切り替わったところ
で、ブザーを停止させることができる。

（実施例） 以下、図示の一実施例に基づいて本考案を詳細に説明す
る。

第１図において、符号１はエンジンを、同２はクラッチ
を、同３は変速機をそれぞれ示している。エンジンは、
電磁アクチュエータ４により作動させられるラック５を
備えた燃料噴射ポンプ６を有していて、電磁アクチュエ
ータ４は電子ガバナコントローラ７により操作される。
燃料噴射ポンプ６の入力軸８には、エンジン回転数信号
を発するエンジン回転センサ９が設けられている。

クラッチ２は、フライホール１０と、クラッチ出力軸１
１側のクラッチプレート１２と、両回転体を接離させる
クラッチアクチュエータ１３を具備している。クラッチ
アクチュエータ１３のピストンロッド１３ａはクラッチ
レリーズレバー１４の一端に枢着されている。クラッチ
レリーズレバー１４の他端は、クラッチプレート１２に
枢着されている。クラッチアクチュエータ１３には、ク
ラッチの断接状態を検出するクラッチストロークセンサ
１５が設けられている。第１図において、符号１６はク
ラッチ出力軸１１の回転数信号を発するクラッチ出力軸
回転数センサを、符号１７は変速信号を発する車速セン
サをそれぞれ示している。クラッチアクチュエータ１３
には、エア通路１８を介して、高圧エアを貯溜している
エアタンク１９が凍結されている。

エア通路１８には、デューティ制御されてエアタンク１
９とクラッチアクチュエータ１３とを選択的に連通する
常閉性の第１電磁弁２０が配設されている。第１電磁弁
２０とクラッチアクチュエータ１３との間のエア通路に
は、デューティ制御されてクラッチアクチュエータ１３
を断続的に開放する常閉性の第２電磁弁２１と、クラッ
チアクチュエータ１３を大気開放する常開性の第３電磁
弁２２とが設けられている。これら各弁は、後述する自
動変速コントローラ２３から入力される作動信号により
作動させられる。

変速機３は、第２図に示すようなシフトパターンに対応
したギヤ列を備えていて、これにはギヤシフトユニッチ
２４が設けられている。ギヤシフトユニット２４は、自
動変速コントローラ２３からの作動信号により作動する
複数個の電磁バルブ（一つのみ示す）２５と、このバル
ブを介して供給されるエアタンク１９からの作動エアに
より作動されて、図示しないセレクトフォークをセレク
ト方向Ｘやシフトフォークをシフト方向Ｙ（第２図参
照）に移動させるパワーシリンダとを有し、電磁バルブ
２５に与えられる作動信号によりエアを給排し、パワー
シリンダを操作して変速機のギヤ位置を所望の変速段に
自動切換えするように作動する。また、ギヤシフトユニ
ット２４には、ギヤ位置を検出するギヤ位置スイッチ２
６が対設され、このスイッチからのギヤ位置信号は自動
変速コントローラ２３に出力される。

変速スイッチ２７は、図示されないチェンジレバーがシ
フトパターンに沿って操作されたとき、選択されたレン
ジに対応した変速信号を自動変速コントローラ２３に対
して出力する。変速機３のギヤ位置を切り換えるには、
第２図に示すようなシフトパターンに対応した変速位置
にチェンジレバー（図示せず）を移動させることによ
り、変速スイッチ２７を切り換えて得られる変速信号に
基づき、ギヤ位置を切り換えるギヤシフトユニット２４
を作動し、シフトパターンに対応した目標変速段に切り
換える。第２図において、Ｒは後進段（リバース）を、
Ｎはニュートラル位置を、１，２，３，４，５はマニア
ル変速モードを選択した時のそれぞれの指定変速段位置
を、ＤＰ（パワフル走行），ＤＥ（エコノミ走行）は自
動変速モードを選択した時の２速から７速までの任意の
自動変速位置をそれぞれ示している。ＤＰ，ＤＥレンジ
を選択すると、走行条件と各種車両情報に基づいて最適
の変速段が決定されるようになっている。

自動変速コントローラ２３の入力側には、図示されな
い、アクセルペダルの踏み込み代を検知してアクセル開
度信号を出力するアクセル開度センサ２８が接続されて
いる。

自動変速コントローラ２３の出力側には、警報手段とし
てのブザー２９と表示灯３０が接続されている。

自動変速コントローラ２３は、マイクロコンピュータよ
りなり、車両情報源としての、エンジン回転センサ９，
クラッチストロークセンサ１５，クラッチ出力軸回転数
センサ１６，車速センサ１７，ギヤ位置スイッチ２６，
変速スイッチ２７，アクセル開度センサ２８を各々接続
されていて、これらの信号を入力される。また、自動変
速コントローラ２３の図示されないメモリには、各機構
の制御プログラムや、各電磁弁を作動させる信号をアク
セル開度に応じて決定するためのマップが記憶されてい
て、適時処理される。そして、自動変速コントローラ２
３は、各種の車両情報に基づいて、電子ガバナコントロ
ーラ７を介して電磁アクチュエータ４を操作し、更に、
適時電磁弁２０〜２２や電磁バルブ２５を操作して、ギ
ヤ位置を自動切換えする。

第１図及び第３図において、初期設定では、エア圧等の
各種のチェックを行ない、始動処理では、第３電磁弁２
２を閉じると共に第１電磁弁２０を一定時間開く信号を
出力してクラッチを断にし、チェンジレバー位置とギヤ
位置を合せ、ギヤ位置がニュートラルラインＮ（第２図
参照）にあると、スタータリレー（図示せず）をオンし
てエンジンを始動する。こののち、第２電磁弁２１をデ
ューティ制御してクラッチアクチュエータ１３を徐々に
大気開放して、クラッチをクラッチ接の寸前位置で停止
し待機させる。始動処理終了後、車速が設定された規定
の４Ｋｍ／ｈ以下であると、ギヤ位置のチェックを行な
い、ギヤ位置がニュートラル位置以外であるとクラッチ
出力軸１１の回転数ＮＣＬを規定値と比較して、規定値
より低いときには、発進処理に進む。発進処理に進む
と、自動変速コントローラ２３の制御信号によって第２
電磁弁２１がデューティ制御されて、クラッチアクチュ
エータ１３を徐々に大気開放してクラッチを接にする、
各種発進処理が実行される。

始動処理後、車速が規定の４Ｋｍ／ｈ以上であると、走
行中と判断して変速処理に移行する。ギヤ位置がニュー
トラル位置以外にあってクラッチ出力軸の回転数ＮＣＬ
が規定値より大きい場合にも変速処理に移行する。

第４図において、変速処理を説明する。チャンジレバの
位置に応じて変速スイッチ２７が出力している変速信号
と、ギヤ位置スイッチ２６が出力しているギヤ位置信号
とを比較して、チェンジレバーの位置とギヤ位置が同じ
か否かを判断して同じ場合には正常な変速処理へ進み、
ＮＯの場合には、チェンジレバーの位置が自動変速モー
ドのＤＥ位置かＤＰ位置かを判断する。ＮＯであるとい
うことはマニュアル変速モードを選択していることにな
り、チェンジレバー位置が前進段（マニュアルの２，
３，４，５）にあるか否かを判断する。チェンジレバー
が前進段にあると、ギヤ位置がリバース位置Ｒにあるか
否かを判断し、ＮＯなら始めに戻る。

ギヤ位置Ｒの判断において、ＹＥＳであると、ギヤ位置
がリバース位置Ｒであるにも拘らず、チェンジレバーが
マニュアル前進段に入っていることになるから、車両の
後退を示すＲ表示灯を点灯し、ブザー２９をオンして鳴
動させ、ギヤシフトユニット２４を作動させて、ギヤの
目標変速段をニュートラルにする。ギヤをニュートラル
にするには、第１電磁弁２０，第２電磁弁２２を制御し
て、クラッチアクチュエータ１３をクラッチ断の向きに
移動させると共に電磁バルブ２５を制御してギヤシフト
ユニット２４を作動させればよい。ギヤがニュートラル
位置に置かれたことをギヤ位置スイッチが検知すると、
ギヤシフトユニット２４への作動を停止したのち、ブザ
ー２９をオフする。このブザーの鳴動と表示灯の点灯に
より、運転者は、チェンジレバーの誤動作を警報され、
ブザーの停止によってギヤ位置がニュートラル位置に切
り替わったことを確認してチェンジレバーをリバース位
置Ｒに切り替える。

チェンジレバーの位置が自動変速モードのＤＥ位置かＤ
Ｐ位置かを判断してＹＥＳならギヤ位置がＲか否かのス
テップへ進み、ギヤ位置がＲであると、車両が後退して
いるときチェンジレバーが自動変速モードのＤＥ位置か
ＤＰ位置に入ってしまっていることになるから、Ｒ表示
点灯以下の処理を行なう。

チェンジレバー位置が前進段（マニュアルの２，３，
４，５）にあるか否かを判断したとき、ＮＯ（リバース
位置又はニュートラル位置）であれば、チェンジレバー
の位置がリバース位置Ｒにあるか否かを判断する。ＹＥ
Ｓの場合には、車両の後退を示すＲ表示灯を点灯し、ブ
ザー２９をオンして鳴動させ、ギヤシフトユニット２４
を作動させて、ギヤの目標変速段をニュートラルにする
と共にブザー２９をオフする。チェンジレバーの位置が
リバース位置Ｒにあるか否かを判断したとき、ＮＯであ
れば、チェンジレバーの位置がニュートラルにあるか否
かを判断するステップへ進む。

チェンジレバーがニュートラルがニュートラル位置にあ
る場合には、１秒間レバーが移動していないかどうかを
判断し、移動していないときには、チェンジレバーの誤
動作と判断してギヤの目標変速段をニュートラルにす
る。チェンジレバーが１秒間の間に移動していると、目
標変速段を切換える動作の途中であると判断して始めに
戻る。チェンジレバーがニュートラル位置にない場合に
は、チェンジレバーの位置を前回のレバー位置に移動さ
せたのち始めに戻る。

（考案の効果） 以上のように、後退走行中にチェンジレバーが誤って前
進段に切り換えられたとしても、ギヤをニュートラル位
置に自動切り換えするようにし、ブザーと表示灯を作動
させて誤操作を運転者に警告出来、一旦ニュートラルに
なると表示灯のみを作動させてニュートラル段を警告出
来る。このため、誤変速によるギヤの破損や車両に対す
るショックを防止出来、後退走行を安全に行える。特
に、自動的に運転者に誤操作を覚知させることができ、
しかも、ブザーの鳴りつづけにより余計な不安感を与え
ることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略構成図、第２図は
変速機のシフトパターンを示す線図、第３図は第１図中
の自動変速コントローラの動作を説明するためのフロー
チャート、第４図は変速処理を説明するためのフローチ
ャートである。 １…エンジン、２…クラッチ、３…変速機、１３…クラ
ッチアクチュエータ、１７…車速センサ、２３…自動変
速コントローラ、２４…ギヤシフトユニット、２６…ギ
ヤ位置スイッチ、２７…変速スイッチ、２９…ブザー、
３０…表示灯。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−61349（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−16144（ＪＰ，Ａ) 実開 昭55−95930（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−69926（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】入力された情報と検出された車両の情報に
   基づいて始動処理、発進処理、変速処理を自動化する自
   動変速コントロールを組み込んだ車両の自動変速装置に
   おいて、 クラッチを断接するクラッチアクチュエータと、変速機
   のギア位置を変更するギアシフトユニットと、 選択されたチェンジレバーの位置に応じた変速位置信号
   を出力する変速スイッチと、 変速機のギア位置を検出するギア位置スイッチと、 車速を検出する車速センサと、 ブザーと表示灯からなる警報手段と、 上記車速センサからの検出信号が車両が走行状態にある
   ことを示し、且つ、上記ギア位置スイッチが後進段のギ
   ア位置を検知していて上記変速スイッチが前進段の変速
   信号を出力したとき、上記警報手段のブザーと表示灯を
   オンすると共に上記クラッチアクチュエータとギアシフ
   トユニットを作動させて変速機のギア位置をニュートラ
   ル位置に変更し、ギア位置がニュートラル位置に変更さ
   れると上記警報手段のブザーを停止させる制御信号を出
   力する機能が付与された自動変速コントローラと、 を具備したことを特徴とする車両の自動変速装置。