JPH0682530U - 焦電素子装置 - Google Patents
焦電素子装置Info
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- JPH0682530U JPH0682530U JP6455493U JP6455493U JPH0682530U JP H0682530 U JPH0682530 U JP H0682530U JP 6455493 U JP6455493 U JP 6455493U JP 6455493 U JP6455493 U JP 6455493U JP H0682530 U JPH0682530 U JP H0682530U
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Abstract
(57)【要約】
【構成】焦電体膜1の第1の面および第2の面にそれぞ
れ第1の電極4、5および第2の電極2、3を設けるこ
とによって複数個の単位焦電素子を構成した焦電素子装
置において、複数個の第1の電極4、5のそれぞれの端
子部4c、5cは、焦電体膜1の上記第1の面の縁部に
配置され、複数個の第1の電極4、5のそれぞれの引き
出し部4b、5bは、電極本体4a、5aから端子部4
c、5cまで延在している。また、上記引き出し部4
b、5bのおのおのは、その基端部分9の引き出し方向
が実質的に互いに同一であり、また、その基端部分9の
幅も実質的に互いに同一の大きさである。 【効果】第1の電極4、5および第2の電極2、3のパ
ターンの間に多少の位置ずれがあっても、各単位焦電素
子間の有効受光電極面積は実質的に互いに相違しないの
で、外乱光に対する電気的特性が優れ、また、電極のリ
ード接続のための作業がきわめて簡便である。
れ第1の電極4、5および第2の電極2、3を設けるこ
とによって複数個の単位焦電素子を構成した焦電素子装
置において、複数個の第1の電極4、5のそれぞれの端
子部4c、5cは、焦電体膜1の上記第1の面の縁部に
配置され、複数個の第1の電極4、5のそれぞれの引き
出し部4b、5bは、電極本体4a、5aから端子部4
c、5cまで延在している。また、上記引き出し部4
b、5bのおのおのは、その基端部分9の引き出し方向
が実質的に互いに同一であり、また、その基端部分9の
幅も実質的に互いに同一の大きさである。 【効果】第1の電極4、5および第2の電極2、3のパ
ターンの間に多少の位置ずれがあっても、各単位焦電素
子間の有効受光電極面積は実質的に互いに相違しないの
で、外乱光に対する電気的特性が優れ、また、電極のリ
ード接続のための作業がきわめて簡便である。
Description
【0001】
本考案は、焦電体膜と、この焦電体膜の一方の面に設けられた第1の電極と、 上記焦電体膜の他方の面に設けられた第2の電極とを備え、上記第1の電極は、 複数個の電極から成り、これら複数個の第1の電極のおのおのは、有効受光電極 面積を与えるための電極本体と、他の電気回路とのリード接続を行うために、上 記電極本体と一体に形成されている端子部とをそれぞれ有し、上記第2の電極は 、上記第1の電極の上記電極本体と対向して有効受光電極面積を与えるための電 極本体を少くとも有し、上記第1および第2の電極と、これら第1および第2の 電極の間に介在する上記焦電体膜とによって、複数個の単位焦電素子が構成され ている焦電素子装置、特にその電極構造に関し、この焦電素子装置は、焦電型赤 外線センサに用いるのに好適なものである。
【0002】
セキュリティや自動ドアなどの分野で使用される侵入者検知用の焦電型赤外線 センサには高い信頼性が求められており、このために、以下に述べるように、こ のようなセンサについて各種の研究・開発がなされている。例えば、米国特許第 3,839,640号明細書には、一対の単位焦電素子をこれらの極性が互いに 逆向きになるように直列または並列に接続して対焦電素子を構成することによっ て、室温の変化や外乱光の入射などで誤検出が生ずる欠陥を改善するようにした 焦電素子装置が開示されている。また、特開昭61−175583号公報、実開 昭58−32337号公報およびヨーロッパ特許公開第131996号公報には 、本願の添付図面中の図1(A)、図2(A)および図3(A)にそれぞれ示す ように、上述のような対焦電素子から成る焦電素子装置の電極構造が開示されて いる。
【0003】 次に、これらの図1(A)、図2(A)および図3(A)に示す対焦電素子か ら成る焦電素子装置の電極構造について説明する。なお、これらの図において、 互いに対応する部分には、同一の符号が付されている。
【0004】 これらの図において、符号1は焦電体膜、符号2、3は焦電体膜1の表面上に 形成された表面電極である。そして、これらの電極2、3は、有効受光電極面積 を与えるための電極本体2a、3aと、これらの電極本体2a、3aから引き出 されて延在する引き出し部2b、3bと、これらの引き出し部2b、3bの先端 部分で構成される端子部2c、3cとから成っている。また、符号4、5は、焦 電体膜1の裏面上に形成された裏面電極である。そして、これらの電極4、5は 、有効受光電極面積を与えるための電極本体4a、5aと、これらの電極本体4 a、5aから引き出されて延在する引き出し部4b、5bと、これらの引き出し 部4b、5bの先端部分で構成される端子部4c、5cとから成っている。また 、電極2と電極3とは、焦電体膜1の表面上に点対称的に配置され、電極4と電 極5とは、焦電体膜1の裏面上に点対称的に配置されている。そして、電極2お よび3と、電極4および5とは、焦電体膜1の表裏で同一形状となるように配置 されている。
【0005】 したがって、電極2と、電極4と、焦電体膜1のうちのこれらの電極2および 4の間に介在する部分とによって、第1の単位焦電素子が構成されている。また 、電極3と、電極5と、焦電体膜1のうちのこれらの電極3および5の間に介在 する部分とによって、第2の単位焦電素子が構成されている。そして、これら第 1および第2の単位焦電素子をこれらの極性が互いに逆向きになるように直列ま たは並列に接続することによって、対焦電素子が構成されている。例えば、これ ら第1および第2の単位焦電素子をこれらの極性が互いに逆向きになるように並 列に接続する場合には、引き出し部2bの先端部分で構成される端子部2cと、 引き出し部5bの先端部分で構成される端子部5cとは、共通のリード線(図示 せず)にそれぞれ電気的に接続される。そして、引き出し部3bの先端部分で構 成される端子部3cと、引き出し部4bの先端部分で構成される端子部4cとは 、上述の端子部2cおよび5cの場合と同様に、別の共通のリード線(図示せず )にそれぞれ電気的に接続される。
【0006】
以上に述べたように、第1および第2の単位焦電素子を対にして構成した対焦 電素子から成る焦電素子装置に関する多くの研究・開発がなされているにもかか わらず、このような対焦電素子から成る焦電素子装置の技術を用いて、焦電型赤 外線センサを実際に製造した場合、外乱光に対する電気的特性が期待どおりに優 れているセンサは必ずしも得られず、また、製造ロット間でその外乱光に対する 電気的特性にばらつきが見られる。
【0007】 上述の点についてさらに詳述すると、第1および第2の単位焦電素子をこれら の極性が互いに逆向きになるように直列または並列に接続することによって構成 した対焦電素子において、外乱光に対する誤検出を生じないようにするためには 、第1および第2の単位焦電素子の外乱光に対する電気的特性が互いに揃ってい ることが必要である。さらに具体的に言えば、これら第1および第2の単位焦電 素子を逆並列に接続した場合には、外乱光である赤外光が2つの単位焦電素子に 同時に入射したときのこれら両単位焦電素子の発生電荷量が互いに等しいことが 必要であり、また、逆直列に接続した場合には、赤外光が2つの単位焦電素子に 同時入射したときのこれら両単位焦電素子の発生電位が互いに等しいことが必要 である。
【0008】 しかし、実際に製造される対焦電素子は、これら2つの単位焦電素子の厚み、 誘電率および焦電係数のばらつきを小さくしても、それだけでは外乱光に対する 電気的特性は改善されなかった。
【0009】 本考案者は、その原因を鋭意調査・検討した結果、通常の製造時の機械的精度 では、焦電体膜の表裏両面にそれぞれ形成される表面電極のパターンと裏面電極 のパターンとの間に互いに位置ずれが生じ、この結果、各単位焦電素子間で有効 受光電極面積に違いが生じるためであることを見出した。
【0010】 次に、この現像を、従来の電極構造を有する焦電素子装置について、図1(A )〜図3(B)を参照してさらに説明する。
【0011】 図1(A)、図2(A)および図3(A)に示す焦電素子装置において、焦電 体膜1の表側の表面電極2、3のパターンと裏側の裏面電極4、5のパターンと が上下および左右方向に若干互いに位置ずれした場合が、図1(B)、図2(B )および図3(B)にそれぞれ示されている。なお、これらの図1(B)、図2 (B)および図3(B)においては、焦電体膜1の図示は省略されている。また 、斜線部分7aおよび7bは、電極2と電極4との重なり部分および電極3と電 極5との重なり部分をそれぞれ示している。そして、矢印は、引き出し部2b、 3b、4b、5bが各電極本体2a、3a、4a、5aからそれぞれ引き出され て延在し始める方向を示している。
【0012】 図1(B)の場合には、一対の斜線部分7a、7bのうちの右側の斜線部分7 aの方が、左側の斜線部分7bよりも、斜線部分7aの上下端において2重斜線 で示す部分8a、8bだけ大きくなっている。図2(B)の場合には、左側の斜 線部分7bの方が、右側の斜線部分7aよりも、斜線部分7bの上下端において 2重斜線で示す部分8a、8bだけ大きくなっている。図3(B)の場合には、 左側の斜線部分7bの方が、右側の斜線部分7aよりも、電極3の引き出し部3 bの基端部において2重斜線で示す部分8だけ大きくなっている。なお、上記2 重斜線部分8a、8b、8は、引き出し部2b〜5bの何れかが焦電体膜1を介 して反対側にある電極2〜5の何れかと重なった部分である。そして、上記2重 斜線部分8a、8b、8が第1および第2の単位焦電素子の有効受光電極面積を 互いに相違させていることが判る。
【0013】 上述のように、2重斜線部分8a、8b、8が生じる理由は、図1(B)、図 2(B)および図3(B)において、引き出し部2b〜5bが電極本体2a〜5 aから引き出されて延在し始める方向(すわなち、引き出し開始方向)が互いに 異なっているために、電極2〜5のパターンが焦電体膜1の表裏で上下および/ または左右方向に位置ずれすると、電極2と電極4との間の位置ずれの状態と、 電極3と電極5との間の位置ずれの状態とが互いに異なって来るためである。
【0014】 このような問題を解決するために、焦電体膜1の表面電極2、3を裏面電極4 、5よりも小さくして、電極のパターンが表裏で多少ずれても良いように設計す る方法も、図3(A)に示すように、すでに知られている。しかし、このように 設計した場合でも、やはり、上述のような理由から、図3(B)に示すように、 第1および第2の単位焦電素子で有効受光電極面積が相違してしまう。
【0015】 本考案者は、上述の知見に基づいて、次に述べるような焦電素子装置(以下、 「参考例装置」という)を本考案とは別に案出した。
【0016】 すなわち、この参考例装置は、焦電体膜と、この焦電体膜の一方の面に設けら れた第1グループの複数個の電極と、上記焦電体膜の他方の面に設けられた第2 グループの複数個の電極とを備えている。また、この参考例装置においては、上 記第1および第2グループのそれぞれの電極は、有効受光電極面積を与えるため の電極本体と、他の電気回路とのリード接続を行うために、上記電極本体から一 体に引き出されて延在する引き出し部とをそれぞれ有し、上記第1グループの複 数個の電極と、上記第2グループの複数個の電極と、これら第1および第2グル ープのそれぞれの複数個の電極の間に介在する上記焦電体膜とによって、複数個 の単位焦電素子が構成されている。
【0017】 さらに、上記参考例装置においては、上記第1グループの第1の電極と上記第 2グループの第1の電極とこれら2つの第1の電極の間に介在する上記焦電体膜 とにより第1の単位焦電素子が構成されると共に、上記第1グループの第2の電 極と上記第2グループの第2の電極とこれら2つの第2の電極の間に介在する上 記焦電体膜とにより第2の単位焦電素子が構成されている。また、この参考例装 置においては、上記第1の単位焦電素子が上記第2の単位焦電素子にそれらの分 極方向を互いに逆にして並列接続されるように上記第1および第2の単位焦電素 子のそれぞれの上記第1および第2の電極を上記他の電気回路にリード接続する ために、上記第1グループの上記第1の電極の上記引き出し部の先端部分は、上 記第2グループの上記第2の電極の上記引き出し部の先端部分と上記焦電体膜を 挾んでほゞ対向すると共に、上記第1グループの上記第2の電極の上記引き出し 部の先端部分は、上記第2グループの上記第1の電極の上記引き出し部の先端部 分と上記焦電体膜を挾んでほゞ対向している。また、この参考例装置においては 、これら第1グループの上記複数個の電極のパターンが上記第2グループの上記 複数個の電極のパターンに対して多少位置ずれして形成されていても、上記第1 グループの上記第1および第2の電極と上記第2グループの上記第1および第2 の電極とのそれぞれの重なり部分により構成される有効受光電極面積が各単位焦 電素子間で実質的に相違しないように、上記第1グループの複数個の電極のそれ ぞれの引き出し部は、上記電極本体から引き出されて延在し始める方向が実質的 に互いに同一の方向であり、また、この延在し始める部分の幅も実質的に互いに 同一の大きさであると共に、上記第2グループの複数個の電極のそれぞれの引き 出し部は、上記電極本体から引き出されて延在し始める方向が実質的に互いに同 一の方向であり、また、この延在し始める部分の幅も実質的に互いに同一の大き さである。
【0018】 したがって、上述のように構成された参考例装置(すなわち、焦電素子装置) を用いて従来の手法に従って焦電型赤外線センサを製造した場合、電極のパター ンが焦電体膜の両側面で互いに多少位置ずれしていても、上記焦電素子装置を構 成する複数個の単位焦電素子の有効受光電極面積が各単位焦電素子間で実質的に 互いに同一となるので、外乱光に対する電気的特性の優れたセンサを得ることが できる。
【0019】 次に、上述のように構成された参考例装置の具体例を図4(A)および図4( B)について説明する。なお、これらの図において、図1(A)〜図3(B)と 共通の部分には、同一の符号が付されている。
【0020】 図4(A)において、符号1は焦電体膜であり、この焦電体膜1の表面上には 、表面電極2、3が形成され、裏面上には、裏面電極4、5が形成されている。
【0021】 電極2〜5は、有効受光電極面積を与えるためのほぼ長方体形状の電極本体2 a〜5aと、他の電気回路(図示せず)とリード接続を行うために、これらの電 極本体2a〜5aから一体に引き出されて延在する引き出し部2b〜5bと、こ れらの引き出し部2b〜5bの先端部分で構成される端子部2c〜5cとから成 っている。そして、この引き出し部2b〜5bは、その幅が電極本体2a〜5a の幅よりも小さい細幅に構成されている。また、電極2と電極3の電極本体2a 、3aはほぼ同形であり、電極4と電極5の電極本体4a、5aもほぼ同形であ る。しかし、電極本体4a、5aは、電極本体2a、3aとの間に位置ずれを生 じていない図4(A)に示す場合に、電極本体2a、3aらはみ出している部分 11をそのほぼ全周囲に亘って備えるように構成されている。
【0022】 引き出し部2b〜5bは、電極本体2a〜5aら引き出されて延在し始める方 向が互いにほぼ同一の方向でかつこの延在し始める基端部分9の幅も互いにほゞ 同一である。なお、本文において、「同一方向」とは、平行な方向または完全に 同一の方向でかつ向きも同じ側であることを意味している。
【0023】 引き出し部2b〜5bは、短い長さだけ上記同一の方向に延びる基端部分9と この基端部分9からほぼ直角の方向に引き出されてほゞL字状に延在する部分1 0とから成っている。そして、こられの部分10の先端部分で端子部2c〜5c が構成されている。また、引き出し部2b〜5bは、その基端部分9が互いに重 ならないようにそれぞれ形成されている。そして、電極2と5の端子部2cと5 cは、焦電体膜1の縁部においてこの焦電体膜1を挾んで表裏で互いに対向する と共に、電極3と4の端子部3cと4cは、これと同様に、焦電体膜1の縁部に おいてこの焦電体膜1を挟んで表裏で互いに対向している。また、表面電極2、 3のパターンと裏面電極4、5のパターンとは、はみ出し部分11が存在するこ とを除いて、焦電体膜1の表裏でほぼ対称的になっている。
【0024】 したがって、電極2と、電極4と、焦電体膜1のうちのこれらの電極2および 4の間に介在する部分とによって、第1の単位焦電素子が構成されている。また 、電極3と、電極5と、焦電体膜1のうちのこれらの電極3および5の間に介在 する部分とによって、第2の単位焦電素子が構成されている。そして、これら第 1および第2の単位焦電素子をこれらの極性が互いに逆向きになるように並列に 接続することによって、対焦電素子から成る焦電素子装置が構成されている。な お、このように極性が互いに逆向きになるように並列に接続するには、表面電極 2の端子部2cと、裏面電極5の端子部5cとが、特開昭61−175583号 公報およびヨーロッパ特許公開第131,996号公報に開示されているように 、共通のリード線(図示せず)にそれぞれ電気的に接続される。また、表面電極 3の端子部3cと、裏面電極4の端子部4cとが、電極2および5の端子部2c および5cの場合と同様に、別の共通のリード線(図示せず)にそれぞれ電気的 に接続される。
【0025】 図4(B)には、図4(A)に示す焦電素子装置において表面電極2、3のパ ターンと裏面電極4、5のパターンとがはみ出し部分11の幅だけ上下および左 右方向に互いに位置ずれしている状態を示している。このような位置ずれは、焦 電体膜1に電極2〜5を形成する際の製造上の誤差によって往々にして生ずる。
【0026】 図4(B)において、電極2〜5の引き出し部2b〜5bの基端部分9が同一 方向に引き出されているので、電極2と4との間の位置ずれの状態と電極3と5 との位置ずれの状態とが引き出し部2b〜5bを含めて、点対称的に互いに類似 している。このために、第1の単位焦電素子と第2の単位焦電素子とで有効受光 電極面積は、図4(B)において斜線部分7a、7bとして示すように、実質的 な相違が生じない。
【0027】 しかし、図4(A)および図4(B)に具体例が示されている上記参考例装置 は、2つの単位焦電素子をこれらの分極方向が互いに逆になるように並列接続し たものであるが、焦電型赤外線センサの用途によっては、2つの単位焦電素子を これらの分極方向が互いに逆になるように直列接続またはこの直列接続に類似し た接続(後述の図5に示すような接続であって、以下、「擬似的直列接続」とい う)にした焦電素子装置を必要とする場合があり、このような場合には、上記参 考例装置を用いることができない。また、上記参考例装置の場合には、焦電体膜 の両側面にこの焦電体膜を挟んで表裏に互いに対向するようにそれぞれ配置され た一対の電極の一対の端子部を共通のリード線に接続する必要があるから、電極 のリード線への接続作業が面倒である。
【0028】 したがって、本考案の目的は、複数個の単位焦電素子を直列接続または擬似的 直列接続にした焦電素子装置であって、その外乱光に対する電気的特性が優れ、 しかも、電極のリード線への接続作業が簡単なものを提供することを目的とする 。
【0029】
この目的を達成するための本考案は、冒頭に述べた焦電素子装置において、前 記端子部は、前記複数個の単位焦電素子の第1の電極を前記焦電体膜の前記一方 の面の縁部において前記他の電気回路とリード接続するために、上記焦電体膜の 上記一方の面の上記縁部に配置され、上記複数個の第1の電極のおのおのは、前 記電極本体から一体に引き出されて上記端子部まで延在しかつこの端子部と一体 に形成されている引き出し部をさらに有し、上記複数個の第1の電極のそれぞれ の引き出し部は、これら第1の電極のパターンが前記第2の電極のパターンに対 して多少位置ずれして形成されていても、上記第1の電極と上記第2の電極との 重なり部分により構成される有効受光電極面積が各単位焦電素子間で実質的に相 違しないように、上記電極本体から引き出されて延在し始める方向が実質的に互 いに同一の方向であり、また、この延在し始める部分の幅も実質的に互いに同一 の大きさである。
【0030】
【実施例】 図5(A)および図5(B)には、本考案の一実施例による焦電素子装置が示 されている。なお、図5(A)および図5(B)において、図4(A)および図 4(B)と共通の部分には、同一の符号が付されている。
【0031】 図5(A)において、焦電体膜1の裏面上には、裏面電極4、5が形成されて いる。これらの裏面電極4、5は、互いに平行に延在しかつ有効受光電極面積を 与えるための電極本体4a、5aと、これらの電極本体4a、5aが延在する方 向に電極本体4a、5aから一体に引き出されて焦電体膜1の縁部附近まで延在 する細幅の引き出し部4b、5bと、これらの引き出し部4b、5bの先端部分 で構成されている端子部4c、5cとから成っている。したがって、引き出し部 4b、5bは、電極本体4a、5aの延在する方向にほゞ沿って互いに同一の側 に引き出されて延在している。
【0032】 端子部4c、5cは、裏面電極4、5を焦電体膜1の裏面の縁部において他の 電気回路(図示せず)とリード接続するために、焦電体膜1の裏面の縁部に互い に並置されている。そして、電極本体4a、5aから一体に引き出された引き出 し部4b、5bは、端子部4c、5cまで延在しかつこれらの端子部4c、5c と一体に形成されている。また、引き出し部4b、5bの幅は電極本体4a、5 aおよび端子部4c、5cのいずれの幅よりも小さく、端子部4c、5cの幅は 、電極本体4a、5aの幅よりも小さくなっている。
【0033】 焦電体膜1の表面上には、表面電極2、3が形成されている。そして、表面電 極2は、裏面電極4、5の電極本体4a、5aが延在する第1の方向の側の一半 部分にそれぞれ重なりかつ有効受光電極面積を与えるための電極本体2a1 、2 a2 と、これらの電極本体2a1 、2a2 を互いに接続している細幅の接続部1 2とから成っている。また、表面電極3は、裏面電極4、5の電極本体4a、5 aの上記第1の方向とは反対側の他半部分にそれぞれ重なりかつ有効受光電極面 積を与えるための電極本体3a1 、3a2 と、これらの電極本体3a1 、3a2 を互いに接続している細幅の接続部12とから成っている。さらに、表面電極2 と3との間には、細幅の隙間13が設けられている。したがって、表面電極2、 3は、裏面電極4、5のようには引き出し部や端子部を有していない。
【0034】 電極本体2a1 、2a2 、3a1 、3a2 は、電極本体4a、5aとの間に位 置ずれを生じていない図5(A)に示す場合に、電極本体4a、5aからはみ出 している部分11を、上記隙間13に臨む部分を除くそのほぼ全周囲に亘って備 えている。また、引き出し部4bおよび5bは、電極本体4aおよび5aから引 き出されて延在し始める方向が互いにほぼ同一の方向でかつこの延在し始める基 端部分9の幅も互いにほぼ同一である。
【0035】 したがって、表面電極2、3の電極本体2a1 、3a1 と、裏面電極4と、焦 電体膜1のうちのこれらの電極本体2a1 、3a1 と電極4との間に介在する部 分とによって、第1の単位焦電素子が構成されている。また、表面電極2、3の 電極本体2a2 、3a2 と、裏面電極5と、焦電体膜1のうちのこれらの電極本 体2a2 、3a2 と裏面電極5との間に介在する部分とによって、第2の単位焦 電素子が構成されている。そして、裏面電極4の端子部4cは、他の電気回路と リード線(図示せず)により電気的に接続され、また、裏面電極5の端子部5c は、他の電気回路と別のリード線(図示せず)により電気的に接続される。
【0036】 なお、これら第1および第2の単位焦電素子は、表面電極2と3とが互いに一 体に形成されていて電気的に接続されている場合には、従来から周知のように、 これらの極性が互いに逆向きになるように直列に接続されて対焦電素子を構成し ていることになる。しかし、この実施例においては、表面電極2と3とが隙間1 3を介して互いに分離されているから、極性が互いに逆向きになるように擬似的 直列接続されて対焦電素子を構成している。
【0037】 図5(B)には、図5(A)に示す焦電素子装置において表面電極2、3と裏 面電極4、5とがはみ出し部分11の幅だけ上下および左右方向に互いに位置ず れしている状態を示している。
【0038】 図5(B)において、裏面電極4、5の引き出し部4b、5bの基端部分9が 同一方向に引き出されているので、表面電極2、3の電極本体2a1 、3a1 と 電極4との間の位置ずれの状態と、表面電極2、3の電極本体2a2 、3a2 と 裏面電極5との位置ずれの状態とが、引き出し部4b、5bを含めて、互いに類 似している。このために、第1の単位焦電素子および第2の単位焦電素子の有効 受光電極面積のそれぞれの合計は、図5(B)において斜線部分7a1 、7a2 および斜線部分7b1 、7b2 としてそれぞれ示すようになるので、両者の間で 実質的な相違は生じない。換言すれば、斜線部分7a1 と7a2 とを合計した第 1の単位焦電素子の有効受光電極面積は、焦電体膜1の表裏で電極パターンが多 少位置ずれしていても、斜線部分7b1 と7b2 とを合計した第2の単位焦電素 子の有効受光電極面積と常に実質的に同一である。
【0039】 本考案は、図5に示す電極パターンのみに限定されるものではなく、2個の引 き出し部4b、5bの引き出されて延在し始める方向が実質的に互いに同一でそ の幅も実質的に同一の大きさであれば、他の電極パターンであってもよい。また 、本考案による焦電素子装置は必ずしも一対の単位焦電素子のみから成っている 必要はなく、一対よりも多い単位焦電素子から成る焦電素子装置を共通のパッケ ージ内に封入するようにした焦電型赤外線センサに本考案を適用することも可能 である。
【0040】
本考案によれば、電極のパターンが焦電体膜の両側面で互いに多少位置ずれし ていても、複数個の単位焦電素子を直列接続または擬似的直列接続にした焦電素 子装置を構成する上記複数個の単位焦電素子の有効受光電極面積が各単位焦電素 子間で実質的に同一となるので、この焦電素子装置を用いて焦電型赤外線センサ を製造した場合、外乱光に対する電気的特性の優れたセンサを得ることができる 。
【0041】 しかも、他の電気回路とリード接続する必要がある電極は、焦電体膜の一方の 面に設けられた第1の電極のみであり、また、焦電体膜の縁部に配置された端子 部を用いてリード接続することができるから、電極のリード接続のための作業が きわめて簡便である。
【図1】(A)は、従来の焦電素子装置の斜視図であ
り、(B)は、(A)に示す焦電素子装置において表面
電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状態を示す
平面図である。
り、(B)は、(A)に示す焦電素子装置において表面
電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状態を示す
平面図である。
【図2】(A)は、従来の別の焦電素子装置の平面図で
あり、(B)は、(A)に示す焦電素子装置において表
面電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状態を示
す平面図である。
あり、(B)は、(A)に示す焦電素子装置において表
面電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状態を示
す平面図である。
【図3】(A)は、従来のさらに別の焦電素子装置の平
面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装置にお
いて表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状
態を示す平面図である。
面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装置にお
いて表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれしている状
態を示す平面図である。
【図4】(A)は、本考案の参考例における焦電素子装
置の平面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装
置における表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれして
いる状態を示す平面図である。
置の平面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装
置における表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれして
いる状態を示す平面図である。
【図5】(A)は、本考案の一実施例による焦電素子装
置の平面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装
置における表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれして
いる状態を示す平面図である。
置の平面図であり、(B)は、(A)に示す焦電素子装
置における表面電極と裏面電極とが互いに位置ずれして
いる状態を示す平面図である。
1 焦電体膜 2 表面電極 2a1 電極本体 2a2 電極本体 3 表面電極 3a1 電極本体 3a2 電極本体 4 裏面電極 4a 電極本体 4b 引き出し部 4c 端子部 5 裏面電極 5a 電極本体 5b 引き出し部 5c 端子部 9 基端部分 12 接続部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01V 9/04 N 9216−2G H01L 31/00 31/0264
Claims (5)
- 【請求項1】焦電体膜と、 この焦電体膜の一方の面に設けられた第1の電極と、 上記焦電体膜の他方の面に設けられた第2の電極とを備
え、 上記第1の電極は、複数個の電極から成り、これら複数
個の第1の電極のおのおのは、有効受光電極面積を与え
るための電極本体と、他の電気回路とのリード接続を行
うために、上記電極本体と一体に形成されている端子部
とをそれぞれ有し、 上記第2の電極は、上記第1の電極の上記電極本体と対
向して有効受光電極面積を与えるための電極本体を少く
とも有し、 上記第1および第2の電極と、これら第1および第2の
電極の間に介在する上記焦電体膜とによって、複数個の
単位焦電素子が構成されている焦電素子装置において、 上記端子部は、上記複数個の単位焦電素子の第1の電極
を上記焦電体膜の上記一方の面の縁部において上記他の
電気回路とリード接続するために、上記焦電体膜の上記
一方の面の上記縁部に配置され、 上記複数個の第1の電極のおのおのは、上記電極本体か
ら一体に引き出されて上記端子部まで延在しかつこの端
子部と一体に形成されている引き出し部をさらに有し、 上記複数個の第1の電極のそれぞれの引き出し部は、こ
れら第1の電極のパターンが上記第2の電極のパターン
に対して多少位置ずれして形成されていても、上記第1
の電極と上記第2の電極との重なり部分により構成され
る有効受光電極面積が各単位焦電素子間で実質的に相違
しないように、上記電極本体から引き出されて延在し始
める方向が実質的に互いに同一の方向であり、また、こ
の延在し始める部分の幅も実質的に互いに同一の大きさ
であることを特徴とする焦電素子装置。 - 【請求項2】上記第1および第2の電極のおのおのは、
2個の電極から成り、 上記第2の電極のうちの一方の電極は、上記2個の第1
の電極の電極本体の一半部分とそれぞれ対向する第1お
よび第2の電極本体と、これら第1および第2の電極本
体を互いに電気的に接続する細幅の第1の接続部とを有
し、 上記第2の電極のうちの他方の電極は、上記2個の第1
の電極の電極本体の他半部分とそれぞれ対向する第1の
および第2の電極本体と、これら第1および第2の電極
本体を互いに電気的に接続する細幅の第2の接続部とを
有することを特徴とする請求項1に記載の焦電素子装
置。 - 【請求項3】上記第1の電極のそれぞれの引き出し部の
幅は、これら第1の電極のそれぞれの電極本体の幅より
も小さく、上記第1の電極のそれぞれの端子部の幅より
も小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の焦
電素子装置。 - 【請求項4】上記第2の電極の電極本体は、上記複数個
の第1の電極の電極本体との重なり部分の周囲にはみ出
し部分を有することを特徴とする請求項1〜3のうちの
いずれかに記載の焦電素子装置。 - 【請求項5】上記複数個の第1の電極のそれぞれの引き
出し部は、これら第1の電極のそれぞれの電極本体の延
在する方向にほゞ沿って同一の側に引き出されて延在し
ていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか
に記載の焦電素子装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993064554U JP2551249Y2 (ja) | 1993-11-08 | 1993-11-08 | 焦電素子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993064554U JP2551249Y2 (ja) | 1993-11-08 | 1993-11-08 | 焦電素子装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0682530U true JPH0682530U (ja) | 1994-11-25 |
JP2551249Y2 JP2551249Y2 (ja) | 1997-10-22 |
Family
ID=13261568
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1993064554U Expired - Lifetime JP2551249Y2 (ja) | 1993-11-08 | 1993-11-08 | 焦電素子装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2551249Y2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5555135A (en) * | 1978-10-18 | 1980-04-22 | Grelan Pharmaceut Co Ltd | Preparation of d-2-(6-methoxy-2-naphthyl)-propionic acid |
JPS55141644A (en) * | 1979-04-12 | 1980-11-05 | Philips Nv | Pyroelectric type radiation detector and circuit arrangement |
JPS5749825A (en) * | 1980-09-10 | 1982-03-24 | Sanyo Electric Co Ltd | Infrared ray sensor |
JPS6243160A (ja) * | 1985-08-20 | 1987-02-25 | Murata Mfg Co Ltd | 電極構造 |
JPS6275219A (ja) * | 1985-09-27 | 1987-04-07 | Murata Mfg Co Ltd | 焦電型センサアレイ |
-
1993
- 1993-11-08 JP JP1993064554U patent/JP2551249Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6275219A (ja) * | 1985-09-27 | 1987-04-07 | Murata Mfg Co Ltd | 焦電型センサアレイ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2551249Y2 (ja) | 1997-10-22 |
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