JPH0682100U - 垂直昇降式高所作業車の安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 拡張床の拡張時に車体の安定性を確保するこ
とができる垂直昇降式高所作業車の安全装置を得る。 【構成】 作業床１３に対して所定方向に拡張収納自在
な拡張床１４を収納した状態でロック保持する拡張床ロ
ック保持手段と、拡張床１４が拡張した方向と反対方向
に、車体１１から突出するカウンターウエイト２０を備
え、カウンターウエイト２０が車体１１から突出したこ
とを検出する突出検出手段によって、カウンターウエイ
ト２０の突出が検出されたときにのみ、解除手段によっ
て拡張床ロック保持手段による拡張床１４のロックを解
除する。このため、手動によって拡張床１４の拡張及び
カウンターウエイト２０の突出作動を行う高所作業車に
おいても、カウンターウエイトの突出作動を行った後で
なければ拡張作動を行うことができないため、拡張床１
４の拡張時に車体の安定性が低下することがない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、作業床を昇降移動させる垂直昇降式高所作業車に関し、さらには作 業床を拡張することができる垂直昇降式高所作業車の安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

走行自在な車体の上部に、作業床を垂直に昇降移動させる昇降支持手段を備え ている高所作業車は、屋内での内装工事や配線工事等に多く用いられる。昇降支 持手段としては、例えば、シザース型伸縮リンク装置が用いられることが多く、 この伸縮リンク装置は、その上端部において作業床の下面における幅方向（前後 幅方向または左右幅方向をいう）の両側を支持し、油圧力等によって伸縮するこ とによって作業床を昇降させる。こうして昇降する作業床に搭乗した作業者は任 意の高所に移動することができ、所望の高所作業を行うことができる。

【０００３】 このような高所作業車においては、作業床の上昇時における車体の安定性を確 保するために、作業床の寸法は車体の平面寸法以内に構成されるように制限され ている。したがって、高所において作業を行うに当たり、車体からのオーバーハ ングがとれないため作業上使用しずらい場合がある。そこで、このような高所作 業車においては、作業床に対して拡張収納自在な拡張床を備え、作業床における シザース型伸縮リンク装置による被支持部よりも外方に拡張可能としたものがあ る。これによって高所における作業者の移動可能面積を広げることができ、作業 効率を向上させることができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、拡張床を拡張した場合、拡張した部分（車体からオーバーハン グした部分）に作業者が搭乗したり、作業機器等の重量物を積載すると、車体を 転倒させる方向に作用するモーメント（以下転倒モーメントと称する）により車 体が不安定になるという問題を生じ、作業床を上昇させた場合にはさらに転倒モ ーメントは大きくなるという問題を生じる。

【０００５】 本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであり、拡張床の拡張時に車 体の安定性を確保することができる垂直昇降式高所作業車の安全装置を提供する ことを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案の安全装置は、車体に対して昇降自在な 作業床と、作業床に対して所定方向に拡張収納自在な拡張床を備えている。そし て、拡張床を収納した状態でロック保持する拡張床ロック保持手段と、作業床が 拡張した方向と反対方向に、車体から突出するカウンターウエイトを備え、カウ ンターウエイトが車体から突出したことを検出する突出検出手段によって、カウ ンターウエイトの突出が検出されたときにのみ、拡張床ロック解除手段によって 拡張床ロック保持手段による拡張床のロックを解除する。

【０００７】 また、カウンターウエイトが車体から突出した状態でロック保持するカウンタ ーウエイトロック保持手段を備え、拡張床が収納されたことを検出する収納検出 手段によって、拡張床の収納が検出されたときにのみ、カウンターウエイトロッ ク解除手段によってカウンターウエイトロック保持手段によるカウンターウエイ トのロックを解除する。

【０００８】

【作用】

このような安全装置では、カウンターウエイトを車体から突出させた後でなけ れば、拡張床ロック保持手段による拡張床のロックを解除する拡張床ロック解除 手段が作動しない。また、拡張床を収納させた後でなければ、カウンターウエイ トロック保持手段によるカウンターウエイトのロックを解除するカウンターウエ イトロック解除手段が作動しない。したがって、カウンターウエイトが車体から 突出し、転倒モーメントに対する抗力を有する状態でなければ作業範囲を拡張す るために拡張床を拡張状態とさせることができない。また、拡張床を収納しなけ ればカウンターウエイトを車体に格納することができず、転倒モーメントに対す る抗力を維持し続けることができる。このため、拡張床を拡張させた場合に車体 が不安定になることがない。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。まず、 図１には、本考案に係る安全装置を備えた高所作業車１０を示している。この高 所作業車１０は、車体１１に配設されたバッテリ２０から供給される電力等を利 用して走行する車体１１をベースとして構成されている。車体１１の上部左右に は、互いに平行に配置された一対のシザースリンクが取り付けられている。これ らのシザースリンクは相互に連結されており、一体となって上下方向に伸縮作動 するシザース型伸縮リンク装置（昇降支持手段）１２を構成している。このシザ ース型伸縮リンク装置１２の上端部には、作業床１３が水平に支持されている。 このため、作業者は、作業に用いる工具、設備等とともに作業床１３に搭乗し、 車体１１の走行制御やシザース型伸縮リンク装置１２の伸縮制御を行うことによ り、任意の高所に移動することができる。作業床１３には、作業床用手摺１５が 備えられており、作業床１３に搭乗した作業者および工具などの落下を防止する ようになっている。

【００１０】 この高所作業車１０では、作業床１３の一辺（前方）の端部に拡張床１４を備 えている。この拡張床１４は、作業床１３にヒンジ２２によって回動自在に取り 付けられ、拡張床１４に対して折り畳みが自在な拡張床用手摺１６が備えられて いる。この拡張床用手摺１６は、左側手摺１６ａ、前方手摺１６ｂおよび右側手 摺１６ｃからなり、矢印Ａに示すように、拡張床１４側（内側）に倒伏自在に構 成されている。そして、作業終了後などに車体の外形寸法を小さくする必要があ る場合には、拡張床用手摺１６を折り畳んだ後に、拡張床１４を矢印Ｂに示すよ うに回動させて、拡張床１４を起立させることにより拡張床１４を格納状態とす ることができる。

【００１１】 高所作業車１０の車体１１における拡張床１４が取り付けられている側と反対 側（後方）には、車体１１に対して突出、収納が自在なバッテリ保持機構１９が 備えられている。そして、このバッテリ保持機構１９には、高所作業車１０の走 行および昇降装置を作動させるための油圧ポンプ等の駆動を行う駆動装置（図示 せず）の動力源となるバッテリ２０が載置されており、矢印Ｃに示すように、取 っ手１９ａを引くことにより、車体１１から突出するように構成されている。

【００１２】 このように構成された高所作業車１０において、作業床１３に搭乗した作業者 の水平方向の移動可能面積を車体１１を走行させることなく広げることにより作 業を効率良く行うために、拡張床１４を作業床１３に対して拡張させる場合があ る。ここで、拡張床１４を拡張した場合、拡張した部分（車体からオーバーハン グした部分）に作業者が搭乗したり、作業機器等の重量物を積載すると、車体１ １を転倒させる方向に作用するモーメント（以下転倒モーメントと称する）によ り車体１１が不安定になる。そして、作業床１３を上昇させた場合にはさらに転 倒モーメントは大きくなる。そこで、本考案に係る垂直昇降式高所作業車の安全 装置により、拡張床１４の拡張時に車体１１を安定させる。

【００１３】 この垂直昇降式高所作業車の安全装置は、図２に示すように、作業床１３に備 えられた第１ソレノイド１７、第１リミットスイッチ（収納検出手段）２３およ び、車体１１に備えられた第２ソレノイド２４、第２リミットスイッチ（突出検 出手段）１８からなる。この第１ソレノイド１７は、拡張床１４が取り付けられ た作業床１３の前方の端面１３ａに面して取り付けられており、第１ソレノイド １７の非励磁時は端面１３ａから突出し、励磁時には作業床１３内に収納される 第１ソレノイドピン（拡張床ロック保持手段）１７ａが備えられている。また、 拡張床１４の端面１４ａには、第１リミットスイッチ２３が備えられており、拡 張床１４の収納状態を検出する。この検出は、第１リミットスイッチ２３のアク チェータから作業床１３の端面１３ａが離れ、第１リミットスイッチ２３がオフ 状態となることにより行われる。

【００１４】 ここで、拡張床１４は、作業床１３に対して各々の床面の上部に取り付けられ たヒンジ２２によって回動自在に取り付けられているため、拡張床１４を起立さ せた格納状態においては、作業床１３の端面１３ａに対して拡張床１４の端面１ ４ａは、ヒンジ２２を中心として直角に位置することとなる。したがって、拡張 床１４の格納状態においては、第１ソレノイドピン１７ａの突出、収納は自在で あり第１ソレノイドピン１７ａが突出した状態にあっては、第１ソレノイドピン １７ａと拡張床１４の端面１４ａが当接した状態となるため、拡張床１４を倒し て拡張状態（作業床１３の端面１３ａと拡張床１４の端面１４ａを当接させた状 態）とすることができない。したがって、拡張床１４は、格納状態を維持するこ ととなり、この状態は第１リミットスイッチ２３によって検出される。

【００１５】 第２リミットスイッチ１８は、車体１１の下部に取り付けられており、バッテ リ２０が車体１１から引き出されたことを検出する。この検出は、第２リミット スイッチ１８のアクチェータにバッテリ側ストッパ１９ａが当接して、第２リミ ットスイッチ１８がオン状態となることにより行われる。ここで、バッテリ保持 機構１９は、後部（車体１１の中心側）の上下に備えられたローラ２１が車体１ １の内面を回動することにより、車体１１に対して引出し、格納が自在に構成さ れている。そして、バッテリ２０を載置したバッテリ保持機構１９が車体１１に 対して引き出された場合に、車体１１に備えられた車体側ストッパ２１ａに当接 することにより引き出された状態を保持するバッテリ側ストッパ１９ｂが備えら れている。

【００１６】 車体１１には、第２ソレノイド２４が備えられており、この第２ソレノイド２ ４は、第１リミットスイッチ２３がオン状態となった場合に励磁して、第２ソレ ノイドピン（カウンターウエイトロック保持手段）２４ａが突出するように構成 されている。第２ソレノイド２４は、バッテリ２０を載置したバッテリ保持機構 １９が車体１１に対して引き出された場合に、突出した第２ソレノイドピン２４ ａがバッテリ保持機構１９の後端に当接する位置に取り付けられている。これに より、第２ソレノイドピン２４ａが突出している場合には、バッテリ保持機構１ ９を格納させることができない。

【００１７】 ここで、車体側ストッパ２１ａとバッテリ側ストッパ１９ｂが当接した場合（ バッテリが引き出された場合）に、バッテリ側ストッパ１９ｂと第２リミットス イッチ１８のアクチェータも当接する。そして、第１ソレノイド１７にはバッテ リ２０からの電力が、第２リミットスイッチ１８を介して供給されるように配線 されている。これにより、バッテリ２０が引き出されたことによって第２リミッ トスイッチ１８がオン状態となった場合には、第１ソレノイド１７が励磁（拡張 床ロック保持手段による拡張床のロックを解除する解除手段が作動）し、第１ソ レノイドピン１７ａが作業床１３内に格納されることとなるため、作業床１４を 倒して拡張状態とすることができる。

【００１８】 また、第２ソレノイド２４にはバッテリ２０からの電力が第１リミットスイッ チ２３および第２リミットスイッチを介して供給されるように配線されている。 これにより、拡張床１３が収納されて第１リミットスイッチ２３がオフ状態とな った場合に第２ソレノイド２４が非励磁状態となって第２ソレノイドピン２４ａ が車体１１内に格納されることとなるため、バッテリ２０を車体１１内に格納す ることができる。

【００１９】 上記のような構成の垂直昇降式高所作業車の安全装置によれば、拡張床１４が 車体１１に対してオーバーハングすることにより生じる転倒モーメントが増加す るおそれのある場合は、拡張床１４の拡張方向と反対方向にバッテリ２０を車体 １１から引き出すことにより、転倒モーメントに対する抗力を得るためのカウン ターウエイトとして作用させる。このとき、カウンターウエイトとしてのバッテ リ２０を確実に車体１１から突出させた後でなければ、拡張床１４を拡張させる ことができず、拡張床１４を収納した後でなければ、カウンターウエイトとして のバッテリ２０を車体１１内に格納することができない。このため、車体１１に 作用する転倒モーメントのみが増加して車体が不安定になることがない。

【００２０】 なお、上記の実施例においては、拡張床の拡張、収納作動として、作業床に取 り付けたヒンジによって作業床に対して折り畳むような構成としているが、本考 案はこのような作動に限られるものではなく、拡張床に対して作業床をスライド 自在な構成として、拡張床の拡張、収納作動を行うようにしてもよい。

【００２１】 また、上記の実施例においては、拡張床の拡張およびカウンターウエイトとし てのバッテリの突出を手動によりおこなうこととしているが、本考案はこれに限 られるものではなく、拡張床の拡張およびカウンターウエイトの突出をモータ等 の動力を用いて行うように構成してもよい。この場合、突出検出手段がカウンタ ーウエイトの突出を検出した後に拡張床の拡張作動を行い、拡張床の収納作動を 行った後にカウンターウエイトの格納を行うようような一連の制御とすることに より、車体の安定性を確保することができる。

【００２２】 さらに、上記の実施例においては、各検出手段、各ロック保持手段および各解 除手段として、リミットスイッチおよびソレノイドを用いて電気的に制御する構 成としているが、車体１１と作業床１３の間にプッシュ・プルケーブルを配設し カウンターウエイトとしてのバッテリの引出し作動が行われたときに、ケーブル の作用により拡張床のロックを解除するような機構としてもよく、拡張床の収納 作動が行われたときに、ケーブルの作用によりバッテリのロックを解除するよう にしてもよい。

【００２３】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係る垂直昇降式高所作業車の安全装置は、作業床に対 して所定方向に拡張収納自在な拡張床を収納した状態でロック保持する拡張床ロ ック保持手段と、拡張床が拡張した方向と反対方向に、車体から突出するカウン ターウエイトを備え、カウンターウエイトが車体から突出したことを検出する突 出検出手段によって、カウンターウエイトの突出が検出されたときにのみ、解除 手段によって拡張床ロック保持手段による拡張床のロックを解除する。このため モータ等の動力を使用して、拡張床の拡張作動と連動してカウンターウエイトを 車体から突出させるような機構を有する高所作業車をはじめ、手動によって拡張 床の拡張及びカウンターウエイトの突出作動を行う高所作業車においても、カウ ンターウエイトの突出作動を行った後でなければ拡張床の拡張作動を行うことが できないため、拡張床の拡張時に車体の安定性が低下することがない。

【００２４】 また、本考案に係る垂直昇降式高所作業車の安全装置は、作業床に対して所定 方向に拡張収納自在な拡張床を備え、この収納状態を検出する収納検出手段によ って、拡張床の収納が検出されたときにのみ、拡張床が拡張した方向と反対方向 に、車体から突出するカウンターウエイトのロック保持をカウンターウエイト解 除手段によって解除する。これにより、拡張床の収納作動を行った後でなければ カウンターウエイトの格納作動を行うことができないため、拡張床の拡張時に車 体の安定性が低下することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る安全装置を備えた高所作業車の斜
視図である。

【図２】上記高所作業車の側面図である。

【符号の説明】

１１ 車体 １３ 作業床 １４ 拡張床 １７ 第１ソレノイド １８ 第２リミットスイッチ（突出検出手段） ２０ バッテリ ２３ 第１リミットスイッチ（収納検出手段） ２４ 第２ソレノイド

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体と、 前記車体に対して昇降自在な作業床と、 前記作業床に対して所定方向に拡張収納自在な拡張床
   と、 前記拡張床を収納した状態でロック保持する拡張床ロッ
   ク保持手段と、 前記所定方向と反対方向に前記車体から突出するカウン
   ターウエイトと、 前記カウンターウエイトが前記車体から突出したことを
   検出する突出検出手段と、 前記突出検出手段により前記カウンターウエイトの突出
   が検出されたときにのみ、前記拡張床ロック保持手段に
   よる前記拡張床のロックを解除する拡張床ロック解除手
   段とを有することを特徴とする垂直昇降式高所作業車の
   安全装置。
2. 【請求項２】 車体と、 前記車体に対して昇降自在な作業床と、 前記作業床に対して所定方向に拡張収納自在な拡張床
   と、 前記拡張床が所定方向に収納されたことを検出する収納
   検出手段と、 前記所定方向と反対方向に前記車体から突出するカウン
   ターウエイトと、 前記カウンターウエイトが前記車体から突出した状態で
   ロック保持するカウンターウエイトロック保持手段と、 前記収納検出手段により前記拡張床の収納が検出された
   ときにのみ、前記カウンターウエイトロック保持手段に
   よる前記カウンターウエイトのロックを解除するカウン
   ターウエイトロック解除手段とを有することを特徴とす
   る垂直昇降式高所作業車の安全装置。