JPH0681342A - 杭を柱に利用した建築構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】杭によって支持される建築構造物の工期を短縮
することを目的としている。 【構成】所定深さの支持地盤１まで複数の杭２が打ち込
まれ、その杭頭にそれぞれ鋼管巻コンクリート杭３が打
ち継がれて、その鋼管巻コンクリート杭３の上部３ａが
地表から上方に突出している。各階のスラブ構築高さ位
置においては、杭３外周は鋼管巻き６の状態となってお
り、その鋼管巻き部分６からスタッドボルトが複数，側
方に突設している。そのスタッドボルトがフラットスラ
ブ８内に埋設されて、該フラットスラブ８がスタッドボ
ルト７を介して鋼管巻コンクリート杭３の地上立上り部
位３ａに支持されている。４階高さ位置にある杭頭３ｂ
にも、その杭頭３ｂに支持されるようにしてフラットス
ラブ９が敷設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地中に打ち込こまれた
杭によって支持される建築構造物に係り、特に、階高を
必要としない立体倉庫や駐車場ビル等の建築構造物に関
する。

【０００２】

【従来の技術】杭によって支持される建築構造物を構築
する場合には、従来、所定深さの支持地盤まで複数の杭
を打ち込み、その打ち込んだ杭の地上立上り部を、所定
高さで切断して該杭頭部のコンクリートをはつって、該
杭頭の鉄筋を出して基礎コンクリートへのアンカーと
し、また、割栗石等を敷設して捨てコンクリートを打設
する。

【０００３】そして、捨てコンクリート上にベース筋を
配筋し、柱筋，帯筋，フーチング筋等を配筋した後，基
礎コンクリートを打設して柱基礎を構築し、その基礎上
に柱を建込み、その柱のスラブ構築高さに梁を接合し
て、該梁にスラブを支持させていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の建築構造物では、柱基礎を構築するために煩雑な施
工を必要とし、また、その構築した基礎の上に柱を立設
するため、手間が掛かると共に工期が長くなるという問
題がある。本発明は、上記のような問題に着目してなさ
れたもので、杭によって支持される建築構造物の工期を
短縮することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の建築構造物は、地中に打ち込んだコンクリ
ート杭の地上立上り部に、基礎を設けることなくフラッ
トスラブを支持させたことを特徴としている。このと
き、少なくともスラブ構築高さの杭外周を鋼管巻き状態
とし、その鋼管巻き部分の杭外周から側方に向けて複数
のシアコネクタを突設させ、そのシアコネクタを介して
フラットスラブを上記杭に支持させるとよい。

【０００６】

【作用】鋼管とコンクリートを一体とした鋼管巻コンク
リート杭は、許容軸力が大きく、且つ、高い曲げ強度を
備えているので直接スラブを支持することができる。こ
れをもとに、杭の地上立上り部分を柱の代わりに利用し
てスラブを支持させるので、柱立設のために従来実施さ
れていた，煩雑な基礎の施工が不要となる。

【０００７】鋼管巻コンクリート杭へのフラットスラブ
の支持は、杭から突設させたスタッドボルト等の複数の
シアコネクタを、フラットスラブ内に埋設させることで
実施して、スラブからの剪断力等を該シアコネクタを介
して杭に伝達させるようにする。なお、シアコネクタを
固定する杭部分に、鋼帯を巻いて鋼管巻き状態としたの
は、杭の曲げ強度の増強と杭に対するシアコネクタの結
合を強固にするためである。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例の建築構造物は、駐車場ビルである。まず構成
を説明すると、図１に示すように、所定深さの支持地盤
１まで複数のＰＨＣ杭，若しくはＰＣ杭２が打ち込ま
れ、そのＰＣ杭２の頭にそれぞれ部分鋼管巻コンクリー
ト杭３が打ち継がれて、その鋼管コンクリート杭３の上
部３ａが地表から上方に突出している。

【０００９】その複数の部分鋼管巻コンクリート杭３間
は、地中において地中梁４によって結合されて、不同沈
下が防止されていると共に、地盤表面に土間コンクリー
トや置きスラブが敷かれて一階部分の床５が形成されて
いる。また、２階や３階のスラブ構築高さ位置において
は、図２及び図３に示すように、杭３外周に鋼帯が巻回
・固着されて鋼管巻き６の状態となっており、その鋼管
巻き部分６からシアコネクターであるスタッドボルト７
が複数，側方に突設している。

【００１０】そして、そのスタッドボルト７がフラット
スラブ８内に埋設されて、該フラットスラブ８がスタッ
ドボルト７を介して鋼管巻コンクリート杭３の地上立上
り部位３ａに支持されている。なお、そのフラットスラ
ブ８の構築は、例えば，スラブ用の型枠を配設・支持
し、該型枠内に所定の床鉄筋を配筋した後に、現場コン
クリートを打設してフラットスラブ８を形成する。

【００１１】また、４階高さ位置にある杭頭３ｂにも、
その杭頭３ｂに支持されるようにしてフラットスラブ９
が敷設されている。また、図４に示すように、建物中央
部分の鋼管巻コンクリート杭３を連結するように耐震壁
１０が配設されていて、その耐震壁１０によっても上記
フラットスラブ８は支持されている。なお、図４中，１
１部分はスロープであって、上下のフロア間を連結して
車両が上下階へ移動可能にしている。

【００１２】上記構造の建築構造物では、杭３とは別に
従来立設させていた柱のための煩雑な基礎施工が省略で
きると共に、梁が不要となるので階高を低くすることが
できる。また、上記実施例は、立体駐車場を想定した一
例であるが、勿論，立体倉庫等，他の建築構造物にも適
用できる。

【００１３】なお、上記実施例では、鋼管コンクリート
杭３に対して、スラブ構築高さのみを鋼管巻き状態とし
ているが、杭３全体を鋼管巻きにしてもよい。また、上
記実施例では、スタッドボルト７を直接，フラットスラ
ブ８内に埋設させてフラットスラブ８を杭３に支持させ
ているが、スタッドボルト７を埋設するように水平支持
版を杭３に接合した後、その水平支持版間にＰＣ床パネ
ルを橋架し、そのＰＣ床パネル上に所定の床鉄筋を配筋
して現場コンクリートを打設してフラットスラブ８を構
築するなど、他のフラットスラブ構築手段を適用しても
構わない。

【００１４】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の杭を
柱に利用した建築構造物では、柱のための煩雑な基礎施
工が不要となり、建築構造物を構築するための工期を短
縮することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例の建築構造物を示す側面図
である。

【図２】本発明に係る実施例の鋼管巻コンクリート杭と
フラットスラブ接合部分を示す側面図である。

【図３】本発明に係る実施例の杭とスタッドボルトの関
係を示す横断面図である。

【図４】本発明に係る実施例の建築構造物の駐車場床を
示す平面図である。

【符号の説明】

３ 部分鋼管巻コンクリート杭 ３ａ 部分鋼管巻コンクリート杭の地上立上り部 ６ 鋼管巻き部分 ７ スタッドボルト ８，９ フラットスラブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地中に打ち込んだコンクリート杭の地上
   立上り部に、基礎を設けることなくフラットスラブを支
   持させたことを特徴とする杭を柱に利用した建築構造
   物。
2. 【請求項２】 少なくともスラブ構築高さのコンクリー
   ト杭外周を鋼管巻き状態とし、その鋼管巻き部分の杭外
   周から側方に向けて複数のシアコネクタを突設させ、そ
   のシアコネクタを介してフラットスラブを杭に支持させ
   たことを特徴とする請求項１記載の杭を柱に利用した建
   築構造物。