JPH06810Y2 - 変圧器巻線の締付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、変圧器の鉄心に装着された巻線を締め付ける
際に使用する変圧器巻線の締付装置の改良に関する。

〔従来の技術〕

変圧器の巻線は素線を巻線形状に巻き上げた後に必要な
接続を実施して変圧器の鉄心脚に挿入し、その後に巻線
押えを巻線上部に配置したあと鉄心上部ヨークを組み立
て、鉄心下部および上部ヨークの組み立てに使用されて
いるフレームの中上部側のフレームと巻線押えの間に配
置された油圧ジャッキにより締め付けられる。

この油圧ジャッキによって巻線が締め付けられている間
に、前記巻線押えと前記上部鉄心用フレームとの間の空
間にブロック状の絶縁物やクサビ状の絶縁物を挿入し、
油圧ジャッキをゆるめて、撤去したときに今まで締め付
けられていた巻線の鉄心脚にそった高さ寸法が元に復元
して少し大きくなろうとする力を利用して、巻線は締め
付け固定されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

前述した変圧器の巻線を締め付ける場合、締め付けられ
る巻線の荷重中心点Ｇを油圧ジャッキで確実に締め付け
ることが重要である。もしも巻線の荷重中心点Ｇ上に鉄
心上部ヨーク用フレームの下面が位置しない構造の場合
は、Ｇ点以外の場所を油圧ジャッキで締め付けて前記作
業を行うことになるが、この場合は巻線および巻線押え
が傾斜し巻線に均等に締付力を与えることができず、変
圧器の巻線が充分に締め付けられた状態で完成させるこ
とができなかった。その結果変圧器の運転中に発生する
ことが予想される外部短絡事故等により、変圧器の巻線
に過電流が流れた場合に発生する電磁機械力によって変
圧器の巻線が構造的破損をするなどの問題があった。

本考案は、前述のような点に鑑み、大きな電磁機械力が
発生しても破損することがないような堅固な巻線を有す
る変圧器を製作することができる巻線締付装置を提供す
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するために、この考案によれば、鉄心脚
に装着された巻線を、この巻線の上面に配された巻線押
えと鉄心脚の上部にある鉄心上部ヨークを締め付ける鉄
心上部ヨーク用フレークとの間に配された油圧ジャッキ
によって締め付けるものにおいて、巻線押えと油圧ジャ
ッキとの間に、巻線の荷重中心点に設置される押座を備
えた締付アームを配置したものとする。

〔作用〕

この考案の構成において、変圧器の鉄心と巻線の製作組
み立て時に、変圧器巻線の荷重中心点Ｇ点上に、本考案
になる巻線の締付装置の締付アームの押座を設置し、締
付アームと鉄心上部ヨーク用フレーム下面間の空間に油
圧ジャッキを設置して、巻線の締め付け作業を行うの
で、均一で充分な締付力が得られる。なお本考案による
巻線締付装置は鉄心上部ヨークをまたいだ形で左右に締
付アームが形成され２ケ所の前記Ｇ点上にそれぞれ左右
の押座が設置されるようにすると、２ケ所同時にＧ点の
締付作業が可能となる。また前記Ｇ点と前記油圧ジャッ
キの中心線が上下一直線上にならないで締付力により発
生する回転モーメントは、左右両方の締付アームが上部
で結合ビームにより合体化されているので相殺されて締
付作業に支障がない。

〔実施例〕

以下この考案を実施例に基づいて説明する。第１図は変
圧器製作組立作業時本考案になる巻線締付装置６の使用
状態を示す第２図のＰ方向より見た側面図である。変圧
器巻線１の中には本図では図示されていないが第２図に
示す鉄心脚２が挿入されている。鉄心上部ヨーク４の両
側面には鉄心上部ヨーク用フレーム３が取り付けられて
おり、巻線１の上部には巻線押え５が配置されている。
巻線締付装置６は左右に分かれる締付アーム６ａ，この
アーム６ａの左右を結合している結合ビーム６ｂ，変圧
器巻線の荷重中心点Ｇの上に配置される押座６ｃから形
成されている。

第２図は本考案になる巻線締付配置６が設置されるべき
変圧器の内部状態を説明する平面図で、この図で巻線押
え５の背後になっていて図示されていない変圧器巻線１
に鉄心脚２が挿入されている。巻線押え５には、変圧器
製作組立時、巻線を締め付けるポイントとなる巻線の荷
重中心点Ｇが４ケ所示されているが、この点Ｇの真上に
は、巻線締付時利用される鉄心上部ヨーク用フレーム３
の下面は対向してない場合、直接点Ｇと前記フレーム３
の下面の間を油圧ジャッキを使用して締め付けることは
出来ない。そこで第１図に示すごとく、本考案になる巻
線締付装置６を使用し、これを鉄心上部ヨーク４および
鉄心上部ヨーク用フレーム３にまたがらせて配置し、締
付アーム６ａの先端に取り付けられた押座６ｃをそれぞ
れ２ケ所の点Ｇの真上に設置し、締付アーム６ａと鉄心
上部ヨーク用フレーム３の下面との空間に油圧ジャッキ
７を配して、この油圧ジャッキ７にて２ケ所の点Ｇを同
時に締め付けるものである。同様に巻線押え５に示す残
りの２ケ所の点Ｇにも本考案になる巻線締付装置を配置
し、前記説明と同じ順序に作業をすることで、鉄心脚２
に組み合わされる変圧器巻線１の４ケ所の点Ｇは同時に
締付作業を行うことが出来て、電磁機械力に耐える堅固
な巻線をもった変圧器を製作することができる。

第３図および第４図は本考案による巻線締付装置の異な
る実施例を示し第１図および第２図と同一の機能を有す
る部位には、同一の番号が付してある。第３図の左図は
第４図のＰより見た本考案になる巻線締付装置８の側面
図、同じく第３図の右図は第４図のＱより見た同じく締
付装置８の側面図である。この実施例では第１図で示し
た巻線締付装置６を２個平行に並べ、その間を第３図右
図の結合パイプ６ｄでもって連結固定して形成してなる
ものであって巻線押え５上にある点Ｇを４ケ所同時に押
座６ｃでもって締付可能となるものである。

〔考案の効果〕

この考案は前述のように、変圧器の製作組み立て時に、
巻線締付装置を配置し、変圧器巻線の荷重中心点Ｇを同
時に締め付けることが可能になり、堅固な変圧器を提供
できるうえに、変圧器の内部構造設計時に前記点Ｇの真
上に鉄心上部ヨーク用フレームを必ず配置しなければな
らないという設計上の制約から解放されて、自由度をも
った変圧器内部設計ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例による側面図、第２図は本考案
の実施例取付母体を説明する変圧器内部の平面図、第３
図は本考案の異なる実施例による側面図、第４図は本考
案の異なる実施例取付母体を説明する変圧器内部の平面
図である。 １……変圧器巻線、２……鉄心脚、３……鉄心上部ヨー
ク用フレーム、４……鉄心上部ヨーク、５……巻線押
え、６，８……巻線締付装置、６ａ……締付アーム、６
ｂ……結合ビーム、６ｃ……押座、６ｄ……結合パイ
プ、７……油圧ジャッキ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄心脚に装着された巻線を、この巻線の上
   面に配された巻線押えと鉄心脚の上部にある鉄心上部ヨ
   ークを締め付ける鉄心上部ヨーク用フレームとの間に配
   された油圧ジャッキによって締め付けるものにおいて、
   巻線押えと油圧ジャッキとの間に、巻線の荷重中心点に
   設置される押座を備えた締付アームを配置したことを特
   徴とする変圧器巻線の締付装置。