JPH0680995A

JPH0680995A - 低残渣洗浄剤

Info

Publication number: JPH0680995A
Application number: JP4253551A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Kobayashi; 博司小林; Toru Takeda; 透武田; Ryoji Kaneda; 亮二金田; Takashi Tokuue; 孝徳植
Original assignee: Toho Chemical Industry Co Ltd; Asahi Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Toho Chemical Industry Co Ltd; Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1992-08-31
Filing date: 1992-08-31
Publication date: 1994-03-22
Anticipated expiration: 2019-03-31
Also published as: JP3514782B2

Abstract

(57)【要約】【目的】塩素系溶剤に匹敵する脱脂力、浸透力を有
し、水リンス不要で精密な洗浄が可能な水系洗浄剤を提
供する。【構成】少なくとも（１）アルカノールアミン１〜２０重量％（２）非イオン界面活性剤０．１〜１０重量％（３）グリコールエーテル０．１〜１０重量％（４）炭素数６〜１２の脂肪族カルボン酸１〜１０重
量％（５）水からなることを特徴とする低残渣洗浄剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属、セラミックス、
ガラス、プラスチック等の脱脂洗浄に用いる水系の洗浄
剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、金属、セラミックス、ガラス、プ
ラスチック等の工業用の脱脂洗浄剤としては、アルカリ
洗浄剤を代表とする水系洗浄剤、および１、１、１−ト
リクロロエタンを代表とする溶剤系洗浄剤が用いられて
いる。

【０００３】アルカリ洗浄剤は、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルを代表とする非イオン界面活性
剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを代表とす
るアニオン界面活性剤等の界面活性剤、炭酸ナトリウ
ム、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナト
リウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカ
リ塩、トリポリリン酸ナトリウム、ＥＤＴＡ、ＮＴＡ、
グルコン酸塩等のキレート剤、ベンゾトリアゾール、ア
ミン類、アルカノールアミン類、亜硝酸ナトリウム等の
防錆剤等を適宜配合したものである。その配合組成は、
たとえば、辻薦著「精密洗浄技術」工学図書ｐ１１７−
１２０、辻薦編著「精密洗浄技術マニュアル」新技術開
発センターｐ５０−５６に記載されているように、洗浄
する物品、金属、汚れに応じて種々のものが提案されて
いる。しかし、脱脂力、浸透力は、１、１、１−トリク
ロロエタン等の塩素系溶剤に比べて劣るため、実際の適
用分野としては、簡単な構造を有する物品の洗浄や洗浄
後の残存油分量をあまり気にしない分野が主体である。

【０００４】一方、１、１、１−トリクロロエタン等の
塩素系溶剤は、脱脂力、浸透力に優れ、切削油、引き抜
き油、プレス油等あらゆる脱脂に適用でき、主として、
複雑な構造を有する物品や、高い清浄度を要求する精密
部品の洗浄分野で用いられている。ところが、近年、塩
素系溶剤による地下水汚染、大気汚染、オゾン層破壊等
の環境問題が顕著に現れるようになり、産業界では、こ
れを代替するための洗浄剤として、従来のアルカリ洗浄
剤を適用しつつある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アルカリ洗浄剤は、塩素系溶剤に比べ、脱脂力、浸透力
が劣り、特に、切削油、引き抜き油やプレス油等が狭い
隙間や細部に付着しているような場合や、部品表面のご
く微量の残留油分量を問題にする場合には適用できな
い。脱脂力、浸透力を上げるために、多量の非イオン界
面活性剤を使用することが考えられるが、製品としての
安定な濃縮液体とすることが困難である。

【０００６】また、脱脂力を高めるためにアルカリ塩を
増量してｐＨを高めることが考えられるが、これも、製
品として安定な液体状とすることを困難とし、さらに、
非鉄金属への影響、作業者への安全性の配慮からも好ま
しくない。安定な液体状とする方法としては、たとえ
ば、特公昭６３−１３４８０に示されるような、芳香族
カルボン酸ナトリウム等を併用する方法があるが、芳香
族カルボン酸ナトリウムの代表として用いられるパラタ
ーシャリーブチル安息香酸ナトリウムは、腎臓、肝臓に
対する毒性が強いという問題がある。

【０００７】さらに、精密な加工を行った後の仕上げ洗
浄や、気密試験、寸法検査等の製品検査を行う前の洗
浄、防錆油を塗布する前の洗浄のような場合には、洗浄
剤残渣が悪影響を及ぼすため、部品に付着した洗浄剤を
水によりリンスして除去することが必須である。ところ
が、水によるリンスを行う場合、多量のリンス排水を処
理することが必要になるため、従来、塩素系溶剤のみを
使用していて、排水処理設備を有していない所や、排水
処理設備の能力上、処理量を増やすことができない所で
は、従来のアルカリ洗浄剤を容易に適用できないことか
ら、水リンスしないで使用可能な水系洗浄剤が切望され
ている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、アルカノールアミン、非イオン界面活性剤、
グリコールエーテル、脂肪族カルボン酸および水を組み
合わせることにより、前記問題が解決できることを見い
だし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、少なくとも（１）アルカノールアミン１〜２０重量％（２）非イオン界面活性剤０．１〜１０重量％（３）グリコールエーテル０．１〜１０重量％（４）炭素数６〜１２の脂肪族カルボン酸１〜１０重
量％（５）水からなることを特徴とする低残渣洗浄剤である。

【０００９】アルカノールアミンとしては、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ンおよびこれらのアルキル化物等が挙げられる。配合量
が１重量％より少ないと、洗浄力が低下し、２０重量％
より多いと、水が蒸発した後の残渣（以後、残渣と言
う）の量が多くなり、また、石油系溶剤に溶解または分
散しにくくなり好ましくない。

【００１０】非イオン界面活性剤としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンブロックポリマーや、アルキルアミン、エチレ
ンジアミン、シクロヘキシルアミン等のアミンのエチレ
ンオキシド付加物等が挙げられる。その配合量が０．１
重量％より少ないと洗浄性が劣り、１０重量％より多い
と、残渣の量が多くなり、また、石油系溶剤に溶解また
は分散しにくくなり好ましくない。

【００１１】グリコールエーテルとしては、エチレング
リコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモ
ノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロ
ピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノフェニルエーテル等が挙げられる。その配合量
が０．１重量％より少ないと、残渣が石油系溶剤に分散
および／または溶解しにくくなり、１０重量％より多い
と、残渣の量が多くなり、また、石油系溶剤に溶解また
は分散しにくくなり好ましくない。

【００１２】炭素数６〜１２の脂肪族カルボン酸は、本
発明の洗浄剤を０℃以下の低温から５０℃以上の高温ま
での幅広い温度範囲で安定な液体状に保つために必須な
成分であり、具体的には、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オ
クタン酸、２−エチルヘキサン酸、ノナン酸、３，５，
５−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ウンデカン酸、
ドデカン酸等が挙げられる。炭素数が６より少ないと、
不快な臭気が強くなり、１２より大きいと、泡立ちが大
きくなり好ましくない。その配合量が１重量％より少な
いと、製品として安定な液体状に保つことが困難にな
り、１０重量％より多いと、残渣量が多くなり、また、
洗浄性が低下するようになり好ましくない。

【００１３】水は、アルカリ塩、界面活性剤、脂肪族カ
ルボン酸等、洗浄剤有効成分を均一な液体製品とするた
めの溶媒として用いる。その量は、前記洗浄剤有効成分
および後述の公知の添加剤等の量と水の総量が１００重
量％になるように決められる。

【００１４】本発明の洗浄剤は、洗浄剤の蒸発残渣が液
状で石油系溶剤に溶解および／または分散する特徴を有
する。この性質は、残渣が被洗物表面に薄く広がり、水
リンスすることなく精密仕上げ洗浄を可能とし、かつ、
後工程での寸法検査、石油系溶剤、例えば、灯油、ガソ
リン等の炭化水素類での気密試験、水切り、あるいは防
錆油の塗布等の際に残渣が析出する等の悪影響を防ぐも
のである。残渣全体のうち、石油系溶剤への溶解および
／または分散する割合としては、実用上６０重量％以上
が好ましい。

【００１５】本発明の洗浄剤を実際の洗浄工程に用いる
場合は、水によりさらに希釈して用いる。その時の洗浄
剤有効成分濃度は、通常０．０１〜５重量％である。こ
の洗浄剤有効成分濃度は、洗浄方法、洗浄物品、汚れ等
の条件により、適宜調整される。なお、本発明では、そ
の他の界面活性剤たとえばアニオン界面活性剤、フッ素
系界面活性剤、公知の添加剤、たとえば、グルコン酸ナ
トリウム、ＥＤＴＡ、ＮＴＡ等のキレート剤、ベンゾト
リアゾール、アミン類、亜硝酸塩等の腐食防止剤、消泡
剤、アルコール、グリコール等の溶剤を残渣の性状に影
響のない範囲で適宜配合して用いることも可能である。

【００１６】

【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。実施例１〜４および比較例１〜２表１に示す洗浄剤を配合し、以下の試験を行った。その
結果を表２に示す。（１）脱脂力、浸透力試験３０メッシュのステンレス金網（６０×３０ｍｍ）に下
記金属加工油を含浸させ、１００℃で３０分加熱した。
これを、洗浄剤の３重量％水溶液で洗浄し、水リンスす
ることなく乾燥し、洗浄前後の付着油分量から下記数１
で脱脂率を計算し、１、１、１−トリクロロエタンによ
る脱脂と比較評価した。試験に用いた金属加工油切削油：ユニカットＧＨ３５（商品名、日本石油株式
会社製）（２）安定性試験洗浄剤を−５℃、３０℃、６０℃に保ち、洗浄剤有効成
分の分離、沈澱がないか観察した。（３）残渣試験洗浄剤の０．０５ｇをホールスライドガラスに滴下し、
１２０℃で３０分乾燥した後、残渣の重量の測定と、状
態の観察を行った。さらに、これを灯油に２４時間浸漬
後、残渣の重量を測定し、下記数２で除去率を計算し
た。（４）精密洗浄試験自動車エンジン用燃料噴射ポンプのシリンダーとピスト
ンを洗浄剤の３重量％水溶液で洗浄し、水リンスしない
で熱風乾燥後、両部品のはめ合い具合をみた。

【００１７】

【数１】

【００１８】

【数２】

【００１９】

【表１】

【００２０】表中の数字は重量％を示す。１）アルカノールアミンａ１：モノエタノールアミン〃ａ２：ジエタノールアミン２）非イオン界面活性剤ｂ１：ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル（エチレンオキシド平均８モル付加）〃ｂ２：ポリオキシエチレンラウリルエーテル（エチレンオキシド平均９モル付加）３）グリコールエーテルｃ１：ジエチレングリコールモノブチルエーテル〃ｃ２：エチレングリコールモノフェニルエーテル４）脂肪族カルボン酸ｄ１：ノナン酸〃ｄ２：３、５、５−トリメチルヘキサン酸

【００２１】

【表２】１）脱脂率が１、１、１−トリクロロエタンによる脱脂
と同等である場合；〇劣る場合；× ２）変化がない場合；〇沈澱、分離が見られる場
合；× ３）状態液状；〇固体状；× 除去率６０％以上；〇６０％未満；× ４）シリンダーの動きがスムーズな場合；〇スム
ーズでない場合；×

【００２２】

【発明の効果】本発明の洗浄剤は、塩素系溶剤に匹敵す
る洗浄力、浸透力を有し、且つ、水リンスすることなく
精密な洗浄が可能な優れた水系洗浄剤である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者金田亮二神奈川県藤沢市善行坂１−14−25 (72)発明者徳植孝神奈川県横浜市旭区市沢町97−６

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも（１）アルカノールアミン１〜２０重量％（２）非イオン界面活性剤０．１〜１０重量％（３）グリコールエーテル０．１〜１０重量％（４）炭素数６〜１２の脂肪族カルボン酸１〜１０重
量％（５）水からなることを特徴とする低残渣洗浄剤。