JPH067877Y2 - 屑材収集装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、プレス，旋盤等の加工装置で金属，プラスチ
ック等の各種の材料を加工する際に発生する屑材を収集
する装置、特に高圧エアの流動により後方に発生する吸
引力を用いて屑材を効率よく収集できる装置に係る。

［従来の技術］ 従来、材料の加工装置の一例を示すプレスで打抜き加工
を行う場合、その加工時にプレスで発生する屑材の収集
方法としては、例えば次のような２つの代表的なものが
ある。

その１つは、屑材の自重による自然落下によって収集す
るもの（以下「前者」という）である。屑材を収集する
屑材収集箱をプレスの打抜き型の下方に設置しておき、
板材の打抜き加工により発生して自重で落下してくる屑
材を屑材収容箱で受止めて収集している。

その２つは、集塵装置を使用して収集するもの（以下
「後者」という）である。そのような集塵装置の一例と
しては、例えば実開昭６１−２４１５７号公報に記載さ
れているようなものがある。このものは、ポータブルエ
アグラインダーの集塵装置として適用したものであり、
円筒形タンクの蓋体にマルチノズルエアエジェクタを定
着し、このエジェクタの吸引管の下端にはフランジを介
してエアフィルタを吊設するとともに、圧気導入路には
開閉弁を介して給気管を接続し、前記蓋体には吸塵口を
設け、駆動部給気口とＴ字接手とは給気ホースを連結
し、砥石カバー付設の吸塵管端と吸塵口とは吸塵ダクト
を連結したことを特徴としている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来の屑材の収集装置等にあ
っては、前者の自然落下による場合には金型等に付着し
て落下しない屑材が多くなり、これらが原因とみられる
打痕による製品不良の増大、治工具寿命の短縮、装置稼
動率の低下等の不具合が発生し易いという問題点があっ
た。

また、後者の吸塵装置を使用する場合には吸塵装置自体
が大型化され、本装置を設置のためのスペースを広く確
保する必要があるばかりでなく、設備が複雑なため高価
なものになるという問題点があった。

本考案は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであ
り、装置の構造が簡単で、安価であって、しかも取付ス
ペースの少ない屑材収集装置を提供することを目的とし
ている。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案における屑材収集装
置は、加工装置で発生加工装置で発生した屑材が落下し
てくる部分の下方に位置するホッパを有し且つ当該ホッ
パにより屑材を受ける屑材受部と前記ホッパに下方に設
置され且つ屑材が入り込む開口部と送り込まれたエアを
排出するフィルタとを有する屑材を収容する屑材収容箱
と、この屑材収容箱と前記屑材受部との間を上下方向に
連通する接続パイプと、前記屑材受部と前記屑材収容箱
との間の位置で前記接続パイプに接続されると共に屑材
が通過する上下方向に貫通した軸方向通路を有し且つ当
該軸方向通路の周面に開口する斜方向通路から供給され
る高圧エアを屑材収容箱に向かって吐出するエアエジェ
クタとを備えたことを特徴としている。

そして、屑材受部とエアエジェクタとの間に継手を介在
させることにより、装置の着脱操作を簡単に行うことが
できる。

［作用］ エアエジェクタは接続パイプを介して上端を屑材受部に
接続し、下端を屑材収容箱に接続する。そして、エアエ
ジェクタの中途部に高圧エアの圧力源を接続し、高圧エ
アを斜方向通路から軸方向通路を経て屑材収容箱に向か
って吐出させる。すると、高圧エアの流れによって屑材
受部側に負圧が発生し、その負圧に基づく吸引力により
加工装置で発生した屑材が屑材収容箱側に吸引され、こ
のようにして吸引された屑材が屑材収容箱に収集され
る。

［実施例］ 次に、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図は、本考案の一実施例を示す図である。

まず、構成を説明すると、図中１は、加工装置の一具体
例を示すプレスの機体、２は、機体１のプレス加工部に
固定したボルスター、３は、ボルスター２にボルト等の
固着手段によって固定した補助板である。

補助板３には複数個の長穴４（本実施例では３個）を直
列に設けているとともに、それらの長穴４に対応させ
て、当該補助板３の上面には順送り金型５を配設してい
る。そして、補助板３の下面には各長穴４に対応させ
て、ホッパ６を固定している。

ホッパ６は、ラッパ状の受部６ａと、この受部６ａの底
部に設けた下方に突出するネジ軸部６ｂとを有し、この
ネジ軸部６ｂの下部には継手７の一端を螺合している。
継手７の他端には上下方向に延在する接続パイプ８の上
部を螺合しているとともに、当該接続パイプ８の下部に
は継手９の一端を螺合し、当該継手９の他端にはエアエ
ジェクタ１０を螺合して、それぞれ接続している。

エアエジェクタ１０は、両端に小径部１０ａ，１０ｂを
有する本体の軸心部分を軸方向、即ち上下方向へ貫通す
る軸方向通路１１と、本体の側方に一端が開口し且つ肉
厚部分を斜め方向に伸びて他端が軸方向通路１１に開口
する複数個の斜方向通路１２とを有し、軸方向通路１１
に対して斜方向通路１２が離れる方向に位置する小径部
１０ａを前記継手９の他端に接続している。斜方向通路
１２の外側開口部１２ａには、供給路１３を介して、高
圧エアを発生するエアコンプレッサ等のエア供給装置１
４を接続している。

かかるエアエジェクタ１０の材質としては、比較的硬度
の高い鋼材等を使用することが好ましいが、黄銅その他
の金属材料を採用することもできる。さらに、エアエジ
ェクタ１０の小径部１０ａ側の軸方向通路１１の開口部
には、奥行方向へ進むに従って小径となるテーパ部１２
ｂを設けている。

また、エアエジェクタ１０の他方の小径部１０ｂには軸
方向へ伸縮自在な伸縮継手１５の一端を接続し、その伸
縮継手１５の他端は、ホッパ６の下方に設置された屑材
収容箱１６の上面板に設けた接続部１６ａに接続し、こ
の接続部１６ａ内に屑材が入り込む開口部を設けてい
る。屑材収容箱１６の上面板には、入口を箱内に臨ませ
た状態で送り込まれたエアを排出するフィルタ１７を取
付けている。このフィルタ１７の外側突出部には連結パ
イプ１８の一端を接続し、当該連結パイプ１８の他端は
排気管１９に接続している。図中２０は、屑材収容箱１
６の下面に設けた移動輪である。

なお、上記補助板３とホッパ６とで、プレス加工によっ
て発生した屑材２１を受ける屑材受部を構成している。

次に、本実施例の作用について説明する。

本装置のプレスへの組付は、例えば次のようにして行
う。

まず、予め補助板３の裏面にホッパ６を固定した屑材受
部を、順送り金型５を取り外した状態でプレスの所定位
置に機体１のボルスター２側から取り付け、しかる後、
金型５を当該プレスに取り付け、次いで、エアエジェク
タ１０を屑材受部に組み付ける。

即ち、継手７を介して接続パイプ８をホッパ６に接続す
るとともに、継手９を介してエアエジェクタ１０を接続
する。そして、エアエジェクタ１０の側方開口部１２ａ
に、エア供給装置１４に接続した供給管１３を接続する
とともに、エアエジェクタ１０の小径部１０ｂに伸縮継
手１５の一端を接続し、この伸縮継手１５の他端を接続
部１６ａに接続してエアエジェクタ１０と屑材収容箱１
６を接続する。

この状態でプレスを作動してプレス加工を開始するとと
もに、エア供給装置１４を作動して高圧エアを各エアエ
ジェクタ１０に供給する。すると、順送りに金型５によ
るプレス加工で作られた屑材２１が補助板３の長穴４を
経てホッパ６内に落下する一方、エアエジェクタ１０に
供給された高圧エアが斜方向通路１２の作用により屑材
収容箱１６に向かって高速で流れ込む。

その結果、上記高圧エアの流れによってホッパ６側が負
圧となり、屑材受部内に存在するエアが屑材収容箱１６
側に吸引され、その吸引力により加速されて屑材２１
が、軸方向通路１１を通って屑材収容箱１６内に急速に
流れ込む。これにより、屑材２１のみが屑材収容箱１６
内に堆積される一方、エアはフィルタ１７及び連結パイ
プ１８を通って排気管１９内に流れ込み、屑材２１が取
り除かれたエアが屑材収容箱１６から排出される。

この場合、自由落下する屑材２１をエアの流れによる吸
引力で吸引するため、小さいものから大きなものまでも
れなく且つ確実に吸引して屑材２１を屑材収容箱１６内
に収容することができる。これにより、材料に屑材２１
が付着して残存するのを防ぐことができるため、屑材２
１に起因する加工面における打痕の発生を防止すること
ができるとともに、金型５の寿命を向上させることがで
きる。従って、金型５の寿命向上により機械の稼動率を
高めることができるとともに、金型５のクリアランスを
緩く設定することができ、金型製作を容易に行うことが
できる。

また、屑材受部とエアエジェクタ１０との間に継手７，
９を介在させているため、接続パイプ８で長さ調整を行
うことにより、プレスの機体１と屑材収容箱１６との間
の高さ調整を簡単に行うことができる。さらに、エアエ
ジェクタ１０を鋼材によって形成し、これに設けた軸方
向通路１１の受口（小径部１０ａ側の開口部）にテーパ
部１２ｂを設ける構造としたため、流動する屑材２１に
よるエアエジェクタ１０の磨耗を抑制し、当該エアエジ
ェクタ１０の長期使用を実現することができる。

また、本実施例では、補助板３を設けて当該補助板３と
ホッパ６とで屑材受部を形成したため、予めホッパ６を
補助板３に固定しておくことにより、当該屑材受部をプ
レスに比較的簡単に取り付けることができるとともに、
プレス側に容積を小さくして真空圧を高め吸引力を強く
することができる。さらに、屑材受部及び屑材収容箱１
６間をエアエジェクタ１０で連結するだけの簡単な構造
であるため、装置全体を小型化することができ、加工部
下方のスペースが狭いプレスにも使用することができ
る。

なお、上記実施例では、プレスによる板金加工で発生し
た屑材を収集する例について説明したが、本考案はこれ
に限定されるものではなく、例えば旋盤、フライス盤等
の他の加工装置を使用して銅合金等の他の金属材料の屑
材を収集するようにしてもよく、また、金属以外のプラ
スチック等の各種材料の屑材を収集する装置に適用でき
ることは勿論である。

さらに、上記実施例では、補助板とホッパとで屑材受部
を形成したが、ホッパのみで屑材受部を形成して当該ホ
ッパを金型に直接固定する構造としてもよい。

［考案の効果］ 以上説明してきたように、本考案によれば、屑材受部と
屑材収容箱との間に接続パイプとエアエジェクタを設
け、このエアエジェクタから高圧エアを屑材収容箱に向
かって吐出する構造としたため、プレス等の加工装置で
発生する屑材を迅速且つ効率よく吸引することができ、
従って、残存した屑材に起因する製品の打痕不良の発生
を防止することができるとともに、金型等の治工具の寿
命を大幅に向上することができるという効果が得られ
る。さらに、金型等の寿命の向上に伴ない加工装置の稼
動率を向上できるとともに、金型のクリアランスを緩め
に設定することができ、そのため金型製作を容易にする
ことができるという効果がある。

また、屑材受部とエアエジェクタとの間に継手を介在す
る構造としたため、屑材受部へのエアエジェクタの着脱
操作を簡単に行うことができるとともに、構造が簡単で
小型化が可能なため、狭いスペースに設置でき、しかも
安価に製作することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す説明図である。 ３：補助板、５：金型 ６：ホッパ、７，９：継手 ８：接続パイプ、10：エアエジェクタ 11：軸方向通路、12：斜方向通路 13：供給管、14：エア供給装置 16：屑材収容箱、17：フィルタ 19：排気管、21：屑材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】加工装置で発生した屑材が落下してくる部
   分の下方に位置するホッパを有し且つ当該ホッパにより
   屑材を受ける屑材受部と、前記ホッパの下方に設置され
   且つ屑材が入り込む開口部と送り込まれたエアを排出す
   るフィルタとを有する屑材を収容する屑材収容箱と、こ
   の屑材収容箱と前記屑材受部との間を上下方向に連通す
   る接続パイプと、前記屑材受部と前記屑材収容箱との間
   の位置で前記接続パイプに接続されると共に屑材が通過
   する上下方向に貫通した軸方向通路を有し且つ当該軸方
   向通路の周面に開口する斜方向通路から供給される高圧
   エアを屑材収容箱に向かって吐出するエアエジェクタと
   を備えたことを特徴とする屑材収集装置。
2. 【請求項２】前記屑材受部と前記エアエジェクタとの間
   には、継手を着脱自在に介在して設けたことを特徴とす
   る請求項１記載の屑材収集装置。