JPH067715Y2 - 錠剤分割機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は病院・診療所等の薬局で、処方箋に基づいて患
者に薬剤を提供するに当たり、調剤時処方に対応して錠
剤１錠をさらに分割して投薬するために使用する錠剤分
割機に関する。

（従来の技術） 患者に対して投薬するに際し、錠剤１錠が１回分の服用
量として過剰になる場合、この錠剤を分割して適量とす
ることがある。この場合手作業で１錠ずつ錠剤を分割し
ていたが、これでは作業が困難で、しかも正しく分割で
きずに破砕して使用できなくなるなどの欠点があった。
また、錠剤を分割する作業は薬剤の性質上、投薬する直
前に分割しないと断面から吸湿して投薬できなくなるこ
とから、錠剤を機械に掛けて簡単に分割できる装置が開
発されるに到った。その錠剤分割機としては、特開昭６
３−１９２４４２号公報、特開平２−２９２５７号公報
にて開示されたようなものがある。

（解決しようとする課題） 前記した前者の錠剤分割機にあっては、錠剤を切断して
分割するために、カッター位置まで導くガイド機構が、
２本のガイド板片をネジ軸の外部からの回動操作で、被
処理錠剤の直径に応じて、その都度ガイド板片の間隔設
定を行わねばならず、多種類の錠剤を取り扱う場合は、
頻繁にガイド板片の位置設定を行うことが必要となり、
不便であった。さらに、錠剤を切断位置まで移動させる
のに平ベルトを用いて搬送しており、そのために切断部
でのカッターに対応させる必要上、ベルトを２本に分割
して配しておかねばならず、またカッターも電磁石を用
いて錠剤に押し付けるようにしたことで頑丈な構造が必
要となり、構造上複雑かつ嵩張る欠点があった。

また前記後者の錠剤分割機にあっては、前者の問題点を
解決するために、多くの改良を行っているが、回転カッ
ターを用いると錠剤の姿勢を保つのに強力な挟持力が要
求される。すなわち、錠剤を両側でエンドレスベルトに
て挟持しながらカッターに押し当てて切削分断する関係
上、圧縮密度の高い錠剤の場合、該錠剤が速やかに切断
されないこと、あるいは切り屑が飛散するなどの問題点
がある。

このような問題点を解決するために本考案では、分割し
ようとする錠剤の外形寸法に係わりなく、錠剤が供給さ
れると自動的に錠剤を両側から挟持して切断位置に送
り、挟持力を過度に高めることなく確実に分割できるよ
うにした錠剤分割機を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案による錠剤分割機は、挟持搬送機構により被処理
錠剤を平らな状態で両側から挟持して搬送し、この被処
理錠剤を所定位置で切断機構により切断して２片に分割
する錠剤分割機において、前記挟持搬送機構は、前記被
処理錠剤を受け入れる受入れ位置からその被処理錠剤を
切断する切断位置までの区間で左右対称に配設されると
ともに、この区間の前記切断位置側に設定される錠剤挟
持区間で前記被処理錠剤を挟持する一対の搬送ベルト
と、これら一対の搬送ベルトを少なくとも前記錠剤挟持
区間で前記被処理錠剤を挟圧する方向に付勢する付勢手
段とを備え、前記切断機構は、前記被処理錠剤が前記切
断位置に達したことを検知して押し下げ作動される薄刃
のカッターを備えることを特徴とするものである。

また、前記切断機構としては、基端部が支持軸に枢支さ
れて常時上向きに付勢されるとともに先端下部に前記カ
ッターが固着される支持アームと、基端部が前記支持軸
に遊支されて先端下部が圧縮ばねにより押し上げられる
とともに、上面に回転カムが当接することにより常時上
下動される操作片と、前記支持アーム側面付設のソレノ
イドにより操作されてそのソレノイドが励磁されると前
記操作片の先端下部に係合してその操作片と前記支持ア
ームとを一体化する操作ピンとを備えるものとするのが
好ましい。

（作用） 本考案の錠剤分割機は、例えば公知の錠剤フィーダーと
組み合わせて、該錠剤フィーダーから間欠的に被処理錠
剤を１個ずつシュート上に落下供給すれば、被処理錠剤
は挟持搬送機構の受け入れ部に、その手前位置で平らな
状態に姿勢を整えられて流入し、左右対称に配された搬
送ベルトによって両側から挟持されて下方へ移動する。
この際この両搬送ベルトは、例えば引きばねのような付
勢手段により、少なくとも錠剤挟持区間で被処理錠剤を
挟圧する方向に付勢されているので、挟持搬送される錠
剤の直径が異なっても、その錠剤を両方の搬送ベルトが
挟持した時点で自動的に挟持幅を対応させ、強力に挟持
搬送することができる。

搬送される被処理錠剤が切断位置に達したときに、カッ
ターによって移動して来た被処理錠剤を、瞬間的に切断
するのである。

このようにして被処理錠剤の挟持搬送に際しては、その
挟持幅が自動的に設定されるので、錠剤の寸法を事前に
調べて案内部の間隔設定をする必要なく、併せて挟持力
が強力になって確実に搬送できることになり、さらに切
断時は瞬間的に剪断操作するから、錠剤が挟持されてい
ても逃げることなく確実に分割できることになる。

（考案の効果） 本考案の錠剤分割機によれば、上記したように、錠剤の
切断部への搬送機構において、錠剤の寸法に応じて自動
的に挟持幅が設定されるから、挟持条件をいちいち設定
する必要なく、しかも強力な挟持力が与えられ、切断機
構についても確実な切断ができるようになり、より効率
のよい分割機として完成されたのである。

（実施例） 以下本考案を一実施例について、図面により説明すれば
次の通りである。

第１図ないし第５図において、箱形になった機体10内の
上部に、前下がり勾配のシュート12が配され、このシュ
ート12の下端部からその延長された下方へ、両側にエン
ドレスの搬送ベルト21を対称に配した錠剤の挟持搬送機
構20が配設され、この錠剤の挟持搬送機構20の下端部寄
り上側に、錠剤の切断機構40が機体10の両側板11,11間
に架設された支持軸16にて支持配設されている。また、
機体10の頂部には、容器形をした公知の錠剤フィーダー
60を装着するフィーダー取付部18が設けてある。

錠剤の挟持搬送機構20は、機体10の両側板11間に、シュ
ート12の傾斜角度とほぼ同じ傾斜で上側に配設した取付
片14とシュート12の下側で配設した取付板15とに、軸受
22,22によって回転自在に２本の縦駆動軸23が、所要の
間隔で配設されてあり、これら各縦駆動軸23を基準にし
て設けられている。すなわち、各縦駆動軸23の中間部に
は、軸受片24′，24′を介して回転力が伝達されること
なく歯車24が支持され、その歯車24上面に第２図で示す
ように搬送ベルト支持板25が固着されて対称に配されて
いる。

この搬送ベルト支持板25上には、少なくとも２個のタイ
ミングベルトのベルトプーリー26,26″が、所要の間隔
で回転自在に軸26′，26′支持され、これら２個のベル
トプーリー26′，26′と前記縦駆動軸23上に取り付いた
駆動ベルトプーリー27との間に、エンドレスのタイミン
グベルトにてなる搬送ベルト21を巻き掛けて、左右両搬
送ベルト21,21が上側から中間のベルトプーリー26″ま
での間では次第に狭くなるようにして、該中間のベルト
プーリー26″から下端のベルトプーリー26までの間では
被処理錠剤Ａが挟持搬送されるように配されている。な
お、左右の両搬送ベルト21による被処理錠剤Ａの挟持力
を得るために、両ベルトプーリー26,26″の支持軸2
6′，26′を所定位置に保つと共に搬送ベルト21のガー
ドを兼ねた補助板28を、駆動ベルトプーリー27と中間ベ
ルトプーリー26″との間位置で、搬送ベルト21の移動に
支障を与えない状態で、図示のように付勢手段としての
引きばね29によって双方の搬送ベルト21,21が中央に引
き寄せられるようにされている。この両搬送ベルト21の
駆動は、機体10の内下部に配設されたモータにより駆動
された横向きの駆動軸31上に取り付く傘歯車32と、前記
各縦駆動軸23の下端に取り付けた傘歯車33とを噛合させ
て、両搬送ベルト21が等速で循環するように構成されて
いる。

錠剤の切断機構40は、前記した錠剤の挟持搬送機構20の
下端部上側位置に、基部を支持軸16に枢支されて先端上
部をステー53に一端を取り付けられた引張ばね49によっ
て支持されて、上下方向に回動可能なカッターの支持ア
ーム41と、この支持アーム41内に組み込まれて作動する
操作片42と、支持アーム41と操作片42とを一体化させる
操作ピン43並びにその操作用ソレノイド45と、さらに上
側位置で回転軸50に取り付いて回転するカム51とで構成
されている。

支持アーム41は２枚のプレート41′を適宜間隔で平行に
配して、先端部に設けた取付片41″の下側に薄肉のカッ
ター44が取り付けてあり、前記カッターの取付片41″以
後の空間部41aに、操作片42が基部を支持軸16に枢支さ
れて配設してある。この操作片42の先端下部と支持アー
ム41に付設された受け金46下部との間には押し戻し用の
圧縮ばね47が係合されていて、常時上向きに押し上げら
れるようにされている。その上限は受け金46の上側屈曲
部46′にて規制されるようになっている。操作ピン43
は、支持アーム41形成のプレート41′，41′に中間部で
穿設された長孔48に挿通して、支持アーム41の一側面に
付設されたソレノイド45の可動鉄心45′先端部にて連結
され、該ソレノイド45が励磁したとき長孔48に沿って基
部側に引き寄せられると前記操作片42の先端下面に係合
するように配されている。回転カム51はモータから動力
を分岐駆動された回転軸50上に偏心状態で取り付いて、
その長半径側にローラ52を備えて、作動時の操作片42に
対する接触抵抗が少なくなるように構成されている。

なお、この切断機構40はカッター44が前記挟持搬送機構
20の下半部中央に対向するよう配設され、このカッター
44に対応して、取付け板15上に受け板54を付設してあ
る。

図中符号45″はソレノイド45の可動鉄心45′戻しばね、
55は錠剤の姿勢を整える機構で、錠剤が平らになって挟
持搬送機構20に移動するようシュート12の上側に設けて
ある。

このように構成された本考案の錠剤分割機は、付設され
ている公知の送り出し操作機構によって、機体10頂部に
装着された公知の錠剤フィーダーから被処理錠剤Ａを１
個ずつシュート12上に落下供給させれば、被処理錠剤Ａ
は錠剤の姿勢を整える機構55によって平らな状態に姿勢
を整えられて、その下側位置の挟持搬送機構20に流入す
る。

その挟持搬送機構20は、左右対称に配されたエンドレス
の搬送ベルト21,21が、被処理錠剤受け入れ側から切断
位置に向け次第に幅寄せられて、両側で被処理錠剤を挟
持するようにしても循環移動し、搬送ベルト支持板25が
いずれも縦駆動軸23を基準として回動自在にされ、かつ
引きばね29力によって常時中心寄りに引き寄せられるよ
うにされているので、この挟持搬送機構20における両搬
送ベルト21,21での挟持搬送部に被処理錠剤Ａが進入す
ると、該被処理錠剤Ａの直径に対応して搬送ベルト21,2
1間の挟持幅が自動的に定まり、両搬送ベルト21,21によ
って被処理錠剤Ａが挟持され、切断位置まで搬送され
る。したがって、錠剤Ａの直径が標準値より大きくなる
と挟持する両側の搬送ベルト21,21が左右に押し広げら
れ、挟持される被処理錠剤は左右両搬送ベルト支持板2
5,25が引きばね29で相互に繋がれているから、挟持状態
でのその中心が搬送部での中心線上に保たれる。

搬送される被処理錠剤Ａは切断位置の直前に達すると、
予め当該位置に設けてある光電スイッチのような検知器
（図示省略）によって錠剤が送られて来たことが検知さ
れて、その検知信号によって切断機構40のソレノイド45
が励磁される。

これに対して切断機構40では、カッター44を備えた支持
アーム41に枢支されて先端部を引張ばね49により吊上げ
られてカッター44を待機状態に保たれており、この支持
アーム41に組み込まれた操作片42が機体10付設のモータ
からの駆動で回転する回転軸50上のカム51により、常時
上下遊動するようにされている。その支持アーム41に付
設された前記ソレノイド45が励磁して可動鉄心45′が引
き寄せられることにより、その可動鉄心45′に取り付く
操作ピン43が支持アーム41を構成する両プレート41′に
設けられた長孔48に沿って操作片42の揺動範囲内に移動
することにより、該操作片42下面に操作ピン43が係合す
ると、該操作ピン43によって支持アーム41と操作片42と
が一体化する。したがって、支持アーム41の上面より突
き出している操作片42先端部にカム51のローラ52が接す
ると、操作片42と共に支持アーム41が押し下げられて、
支持アーム41先端下面に付されたカッター44が搬送され
て来た被処理錠剤Ａに押し付けられ、下側に配設されて
いる受け板54上で、被処理錠剤Ａがカッター44より瞬間
的に切断されているので、被処理錠剤Ａはカッター44が
薄板で形成されて、かつ瞬間的に押し付けられて切断さ
れることになるので、切り屑の発生や破砕による無駄が
生じることはない。

支持アーム41は操作片42に対する回転カム51の接触押圧
力が除かれると、引張ばね49力によって引き上げられ、
これと同時にソレノイド45の励磁が断たれることによ
り、操作ピン43による操作片42と支持アーム41との一体
化が解かれて、次の錠剤検知信号がソレノイド45に与え
られるまで、カッター44が上方に待機して操作片42のみ
がカム52によって揺動されるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は本考案錠剤分
割機の要部縦断面図、第２図は要部の平面図、第３図は
挟持搬送機構の要部平面図、第４図は切断機構の側面
図、第５図は切断機構の縦断面図である。 10……機体、11……機体の側板 12……シュート、14……取付片 15……取付板、20……錠剤の挟持搬送機構 21……搬送ベルト、22……軸受 23……縦駆動軸、25……搬送ベルト支持板 26,26″……ベルトプーリー 26′……軸、27……駆動ベルトプーリー 28……補助板、29……引きばね 31……横向き駆動軸、32,33……傘歯車 40……錠剤の切断機構、41……支持アーム 41′……プレート、41″……取付片 42……操作片、43……操作ピン 44……カッター、45……ソレノイド 45′……可動鉄心、46……受け金 47……圧縮ばね、48……長孔 50……回転軸、51……カム 52……ローラ、54……受け板

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】挟持搬送機構により被処理錠剤を平らな状
   態で両側から挟持して搬送し、この被処理錠剤を所定位
   置で切断機構により切断して２片を分割する錠剤分割機
   において、 前記挟持搬送機構は、前記被処理錠剤を受け入れる受入
   れ位置からその被処理錠剤を切断する切断位置までの区
   間で左右対称に配設されるとともに、この区間の前記切
   断位置側に設定される錠剤挟持区間で前記被処理錠剤を
   挟持する一対の搬送ベルトと、これら一対の搬送ベルト
   を少なくとも前記錠剤挟持区間で前記被処理錠剤を挟圧
   する方向に付勢する付勢手段とを備え、 前記切断機構は、前記被処理錠剤が前記切断位置に達し
   たことを検知して押し下げ作動される薄刃のカッターを
   備える ことを特徴とする錠剤分割機。
2. 【請求項２】前記切断機構は、基端部が支持軸に枢支さ
   れて常時上向きに付勢されるとともに先端下部に前記カ
   ッターが固着される支持アームと、基端部が前記支持軸
   に遊支されて先端下部が圧縮ばねにより押し上げられる
   とともに、上面に回転カムが当接することにより常時上
   下動される操作片と、前記支持アーム側面付設のソレノ
   イドにより操作されてそのソレノイドが励磁されると前
   記操作片の先端下部に係合してその操作片と前記支持ア
   ームとを一体化する操作ピンとを備えるものである請求
   項１に記載の錠剤分割機。