JPH0674792B2 - 回転型圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、冷凍冷蔵装置等に用いられる回転型圧縮機に
関する。

従来の技術 近年、冷凍冷蔵装置に用いられる圧縮機は、省エネルギ
ー、省スペースの見地より往復型から回転型へ移行しつ
つある。これらの回転型圧縮機は、通常密閉ケース内が
高圧側とされ、シリンダ内で圧縮された冷媒は圧縮機か
ら冷凍システム内に吐出される前にいったんシェル内空
間に吐出される。その結果、シリンダ内で冷媒が圧縮さ
れることにより生じた冷媒の圧力脈動成分はほとんど減
衰することなくシェル内空間に伝わり、シェル内空間の
気柱共振を引き起こし、さらにシェルを振動させて大き
な騒音を発生する。

そのため、従来よりシリンダ内で圧縮された冷媒がシリ
ンダより吐出された直後に吐出チャンバーを設けて、圧
力脈動を減衰させる方法がとられている。

以下図面を参照しながら、上述した従来の回転型圧縮機
の一例について説明する。

第４図，第５図は従来の回転型圧縮機の一例を示すもの
である。

図において、１は回転型圧縮機で、２は密閉ケース、３
はステータで密閉ケース２に焼バメ固定されている。４
はロータでクランクシャフト５と連結されている。６は
ロータリー型のピストンで、７はシリンダである。８は
ロータ側の軸受で、密閉ケース２に溶接固定されてい
る。９はシャフト端部の軸受で9aはバルブ（図示せず）
を装着する凹陥部である。10aは吐出チャンバーであり
軸受９にカップ状の吐出カバー10を固定することにより
構成される。吐出カバー10には吐出チャンバー10aと密
閉ケース内の空間11を連通する吐出孔10bが設けられて
いる。

以上のように構成された回転型圧縮機について、以下そ
の動作について説明する。

シリンダ７内で圧縮された冷媒ガスは吐出チャンバー10
aに吐出され、さらに吐出カバー10に設けられた吐出孔1
0bより、密閉ケース内空間11に吐出される。そのため、
吐出チャンバー10aは主として膨張型の消音器として作
用し、冷媒が吐出チャンバー10aを通過する際に冷媒の
圧力脈動成分は減衰されるので、密閉ケース内空間11に
吐出される冷媒の圧力脈動成分は減少し、騒音の発生を
減少することができる。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記のような構成では、吐出チャンバー
10aは主として膨張型消音器として作用するため、消音
効果のほとんどない周波数領域（以後非減衰領域と呼
ぶ）が発生する。これらの非減衰領域は比較的せまい周
波数帯域であるが、密閉ケース内空間11にて生じる気柱
共振の周波数と、これらの非減衰領域の周波数帯域が一
致すると、大きな騒音を発生するので、吐出チャンバー
10aによる騒音低減効果は非常に小さいものとなる。

本発明は上記問題点に鑑み、圧縮機効率を低下させるこ
となく、さらに圧縮機のコンパクト性をほとんどそこな
うことなく、極めて有効な消音効果を提供するものであ
る。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の回転型圧縮機はシ
リンダ内周より外側の位置にシリンダ側の面と反シリン
ダ側の面とを連通する孔を有する軸受と、この軸受に設
けられた前記孔と連通する孔を設けた前記シリンダと、
前記軸受の反シリンダ側の面側に配置され、かつこの軸
受とで前記孔と連通する吐出チャンバーを形成する吐出
カバーとを備えたものである。

作用 本発明は上記した構成によって、吐出チャンバーによる
消音効果の非減衰領域の周波数帯域に共鳴型の消音効果
を作用させることによりきわめて巾広い消音効果を得る
ものである。

実施例 以下本発明の一実施例の回転型圧縮機について、図面を
参照しながら説明する。尚、説明の重複をさけるため、
従来例と同一部分については同一符号を付しその詳細な
説明を省略する。

第１図〜第３図は本発明の回転型圧縮機の一実施例を示
すものである。図において、12はシャフト端部の軸受で
あり、13はシリンダである。そして、軸受12の反シリン
ダ面12aにはバルブ14を装着する凹陥部15が設けられて
いる。また軸受12のシリンダ内周13aより外側の位置に
は、反シリンダ面12aとシリンダ13側の面12bを連通し、
シリンダ13に設けられた孔16と吐出チャンバー10aを連
通する孔17が設けられている。孔16は反軸受12側の開口
部16aを軸受８により封止されており、孔16と17によ
り、一端開口の室18を形成している。19はバルブ孔であ
る。

以上のように構成された回転型圧縮機について、以下第
１図〜第３図を用いてその動作を説明する。

シリンダ７内で圧縮された冷媒はバルブ孔19より吐出チ
ャンバー10aに吐出され、さらに吐出カバー10に設けら
れた吐出孔10bより密閉ケース内空間11に吐出される。

かかる過程において、シリンダ13内で発生した冷媒の圧
力脈動は、吐出チャンバー10aの消音効果により減衰さ
れ、密閉ケース２内の空間11に冷媒が吐出されるときは
大部分が減衰されているが、この吐出チャンバー10aの
消音効果は主として、膨張型の消音効果であるため、非
減衰領域があり、その周波数帯域では圧力脈動成分はほ
とんど減衰されない。

しかし、吐出チャンバー10aは軸受12とシリンダ13に設
けられた室18と連通しており、室18は吐出チャンバー10
a内の圧力脈動に対して、サイドブランチ型消音器とし
て作用するため、吐出チャンバー10a内の圧力脈動成分
の一部はこの消音効果により減衰される。さらにこの室
18は軸受12だけでなくシリンダ13を用いて形成している
ため、室18の長さは軸受12のみに室を設けたものに比べ
て長く、遮断周波数もより低いため、吐出チャンバーの
低次の非減衰領域の圧力脈動を減衰させることができる
ため、この領域の吐出チャンバーの消音効果をきわめて
有効なものとなる。

本実施例では、吐出チャンバー10aの非減衰領域の中心
周波数に室18の遮断周波数を設定したため、孔16は貫通
孔となっているが、消音の目的とする非減衰領域の中心
周波数が、この場合より高い場合は、孔16を貫通孔とす
る必要はない。

以上のように本実施例によれば、軸受12のシリンダ内周
13aより外側の位置に、シリンダ13側の面12bと反シリン
ダ面12aとを連通する孔17を設け、シリンダ13に孔17と
連通する孔を設け、さらに、軸受12の反シリンダ側の面
12a側に配置され、かつこの軸受とで孔17と連通する吐
出チャンバー10aを形成する吐出カバーを設けることに
より、圧縮機効率を損なうことなく、さらに圧縮機のコ
ンパクト性を損なうことなく、比較的低周波数領域で、
巾広い消音効果が得られ、圧縮機騒音を効果的に低減で
きる。

発明の効果 以上のように本発明は、密閉ケース内に電動圧縮要素を
収納する回転型圧縮機において、シリンダ内周より外側
の位置に、シリンダ側の面と反シリンダ側の面とを連通
する孔を有する軸受と、この軸受に設けられた前記孔と
連通する孔を設けた前記シリンダと、前記軸受の反シリ
ンダ側の面側に配置され、かつこの軸受とで前記孔と連
通する吐出チャンバーを形成する吐出カバーとを備える
ことにより、圧縮機効率と、圧縮機のコンパクト性とを
損なうことなく、比較的低周波数領域で巾広い消音効果
が得られ、圧縮機騒音を効果的に低減するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す回転型圧縮機の吐出カ
バー、軸受、シリンダを示す分解斜視図、第２図は同圧
縮機の吐出カバー、軸受、シリンダ部分を示す断面図、
第３図は同圧縮機の断面図、第４図は従来例の回転型圧
縮機の吐出カバーと軸受を示す分解斜視図、第５図は同
圧縮機の断面図である。 ８……軸受、10……吐出カバー、10a……吐出チャンバ
ー、12……軸受、13……シリンダ、16……孔、17……
孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電動圧縮要素を収納した密閉ケースと、シ
   リンダ内周より外側の位置に、シリンダ側の面と反シリ
   ンダ側の面とを連通する孔を有する軸受と、この軸受に
   設けられた前記孔と連通する孔を設けた前記シリンダ
   と、前記軸受の反シリンダ側の面側に配置され、かつこ
   の軸受とで前記孔と連通する吐出チャンバーを形成する
   吐出カバーとを備えた回転型圧縮機。