JPH067429A - 血液濾過材 - Google Patents

血液濾過材

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JPH067429A
JPH067429A JP5081108A JP8110893A JPH067429A JP H067429 A JPH067429 A JP H067429A JP 5081108 A JP5081108 A JP 5081108A JP 8110893 A JP8110893 A JP 8110893A JP H067429 A JPH067429 A JP H067429A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液の濡れ性に優れ、且つ血液または血漿の
濾過時にキニンの上昇を起こさない濾過材を提供する。 【構成】 平均孔径が1〜100μm、全細孔容積が
0.4〜0.95ml/ml、細孔直径が1〜100μ
mの孔が全細孔容積の75%以上を占める高分子からな
る多孔性の血液濾過材であって、表面に陰性荷電を有
し、且つその総荷電量が−30μeg/g以上である血
液濾過材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中の不要物質を除
去するための血液濾過材に関する。
【0002】
【従来の技術】輸血分野において、輸血に伴い頭痛、吐
き気、悪寒、非溶血性発熱反応、アロ抗原感作、輸血後
対宿主移植片拒否反応(GVHD)、ウイルス感染等の
重篤な副作用が発症することが知られている。この副作
用予防のため、ポリエステル製の不織布やコットン綿な
どの濾過材による、輸血血液中からの白血球の除去が行
われている。
【0003】また、全身性エリテマトーデス、慢性関節
リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患、白血病、
癌などの治療、あるいは移植前の免疫機能低下の目的
で、不織布などの濾過材を用いた血液中の白血球の除去
が行われている。
【0004】心臓外科分野においても、例えば冠動脈バ
イパス手術後に灌流する血液より白血球を除去する試み
がなされている。これは白血球が手術部位で活性化され
た結果、スーパーオキサイド(超酸化物)を放出し、こ
のスーパーオキサイドが手術部位に損傷を与えるため、
あらかじめ白血球を除去しておこうとするものである。
また種々の外科手術後に、術野に流出した血液を回収
し、患者に返血する事も行われている。この際、術野に
流出した血液中には手術により発生した組織片、骨破
片、その他のゴミなどが混入しているため、これらを濾
過材で濾過して除くことが実施されている。更に、体外
循環による血漿成分の吸着除去療法において、吸着材を
容器に充填したものが利用されている。この容器の血漿
流出部や容器の後方にも、吸着材やその破片などの濡れ
防止用に濾過材が設けられている。これらの濾過材には
綿あるいは不織布などの繊維状のもの、スポンジなどの
連続孔を有する多孔体などが利用あるいは研究されてい
る。これら濾過材は一般に血液の濡れ性を高めるための
親水化を、表面に陰性荷電を導入する事によって行って
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところでガラスなど、
表面に多量の陰性荷電を有する材料表面と血液とが接触
すると、血液凝固第XII因子の活性化が起こり、活性
化血液凝固第XII因子によってプレカリクレインから
カリクレインが生成され、更にカリクレインによって高
分子量キニノーゲンが限定分解されてキニン(血液キニ
ン:Bradykinin)が生成される事が知られて
いる。このキニンは、血圧低下、顔面紅潮、結膜充血、
平滑筋収縮、発痛等のアナフィラキシー反応の原因物
質、即ちアナフィラトキシンの一つであることも知られ
ている。しかし一方でキニンの生成と材料表面の陰性荷
電量との定量的な知見は十分に知られておらず、特に臨
床的に使用できる濾過材料について至適な表面の陰性荷
電量についての検討はなされていない。更に臨床的にア
ナフィラキシー反応による症状とキニン量との間の定量
的な関係についても知られていない。本発明者等の知見
によるとキニンの血漿濃度が1,000pg/ml以上
特に4,000pg/mlを越えると特に重篤なアナフ
ィラキシー反応症状が現れた。本発明者等の研究による
と、前記の用途に利用されている公知の血液濾過材料
は、血液の濡れ性が良好な反面、材料表面の陰性荷電量
が多く、キニンの上昇を引き起こし、このためしばしば
キニン上昇に起因するアナフィラキシーを引き起こす事
が判明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、血液の
濡れ性に優れ、且つ血液または血漿の濾過時にキニンの
上昇を起こさない濾過材を提供することにある。即ち本
発明の要旨は下記のとおりのものである。平均孔径が1
〜100μm、全細孔容積が0.4〜0.95ml/m
l、細孔直径が1〜100μmの孔が全細孔容積の75
%以上を占める高分子からなる多孔性の血液濾過材であ
って、表面に陰性荷電を有し、且つその総荷電量が−3
0μeq/g以上の血液濾過材である。本発明において
総荷電量とは陽性荷電量をプラス(+)、陰性荷電量を
マイナス(−)で表わした時の両荷電が相殺された後の
荷電量をいう。従って総荷電量が−30μeg/g以上
とは、陰性荷電の絶対量が30μeg/gより多くない
ことを意味する。本発明でいう血液濾過材とは血液又は
血漿と接触して、サイズによる分画、粘着、付着、或い
は静電的、疎水的などの化学的、物理的、更には生物学
的相互作用による吸着、等により、或いはこれらの複数
の作用によって血液の成分、不純物、共雑物等の一部又
は全部を分離するための材料をいう。血液濾過器とは、
上記濾過材を容器に装着或いは充填した血液の導出入口
を有する血液の処理器をいう。又本発明にいう血液に
は、全血、血漿の他赤血球製剤、血小板製剤など、血液
成分を含む懸濁液、溶液の全てが含まれる。本発明の濾
過材の具体的用途としては血液中からの白血球、血小板
などの血球成分、凝固因子を介した血液中の凝集物(マ
イクロアグリケート)や混入した骨破片、肉片などの組
織片、医療材料から発生した固形物片等の血漿中の微粒
子等の、除去、分画、分離、採取に用いられる。又、濾
過材の具体例としては、織布、不織布、綿等の濾布型、
スポンジ、多孔質膜等の多孔体のビーズ状、中空糸状の
物などが挙げられる。又モノクローナル抗体等を表面に
不溶化して特定の白血球分画のみを特異的に採取、分離
する場合も含む。
【0007】表面陰性荷電量測定法 表面の陰性荷電量の測定方法としては、酸アルカリによ
る中和滴定、逆滴定、酸化還元滴定、色素吸着、ゼータ
電位による測定、核磁気共鳴スペクトル法、赤外吸光ス
ペクトル測定法、X線光電子分光(ESCA)、電子線
プロープマイクロアナリシス(EPMA)、二次イオン
質量分析(SIMS)、オージェ電子分光(AES)、
蛍光X線分析等の方法が知られており、いずれの方法で
も測定可能である。しかし中和滴定、逆滴定、酸化還元
滴定、ゼータ電位による測定、色素吸着などは、検出感
度が低く、且つ精度的にも必ずしも満足できるものでは
ない。又核磁気共鳴スペクトル法、赤外吸光スペクトル
測定法、X線光電子分光(ESCA)、電子線プロープ
マイクロアナリシス(EPMA)、二次イオン質量分析
(SIMS)、オージュ電子分光(AES)、蛍光X線
分析等は、良好な手段であるが、高価な器材を必要と
し、更に測定技術も必要とするため簡便な方法とはいえ
ない。更に紙、綿、織布、不織布、スポンジ、多孔質ビ
ーズ等、多孔質材料表面が血液と接触した時に有効に働
く陰性荷電を測定する意味で必ずしも最適な方法とはい
えない。そこで、本発明に先立って、測定対象である材
料の表面の陰性荷電を触媒としてアルコール等の有機溶
剤中でヨウ素とヨウ化物イオンとを反応させて三ヨウ化
物錯イオンを生成し、該三ヨウ化物錯イオン量を吸光度
測定する事によって、多孔質濾過材表面の陰性荷電量の
測定する方法を完成した。以下本測定法という。
【0008】以下、本測定法についてより詳細に説明す
る。表面の陰性荷電量を測定する材料を水又はアルコー
ルなどの溶媒中でヨウ素及びヨウ化物塩を反応させ、生
成されるヨウ化物錯イオンを、波長359nmでの吸光
度を測定する。材料から溶出物が存在する場合は、測定
への影響を除くためあらかじめ除去操作を施すことが、
より正確に陰性荷電量を求めるために望ましい。別に表
面にカルボキシル基等の陰性荷電が既知量固定された材
質を用意し、同様の操作を行って検量線を作製する。こ
の検量線より前記材料の表面の陰性荷電量を求めること
ができる。この他に波長290nmでの吸光度や、29
0nmと359nmとの両方の吸光度からも求めること
もできる。本測定法でいうヨウ化物錯イオンを与える物
質としては、全てのヨウ化物塩を用いることができる
が、好ましい例を挙げると、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナ
トリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化マ
ンガン、ヨウ化鉄(I)、ヨウ化リチウム等アルコール
性溶媒に容易に溶解するヨウ化物塩である。特に、ヨウ
化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のヨウ化物塩がアルコ
ール性溶媒への溶解性、入手のしやすさ及び保存の容易
さより良好に用いられる。又、ヨウ素は、ヨウ化物に含
まれる微量のヨウ素を用いてもよいし、それに更に、ヨ
ウ素を添加しても良好な測定が実施できる。微量の陰性
荷電量を測定する場合は、ヨウ化物塩に含まれる微量の
ヨウ素だけでも良好に測定できる。用いられるヨウ化物
塩は、上記の塩に限定されるものではない。
【0009】本測定で言うアルコール性溶媒とは、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピル
アルコール、t−ブタノール等のアルコールに、水及び
359nmに吸収を持たない有機溶媒を混合した液を指
し、更に材料自体を溶解せずしかもヨウ化物塩を溶解す
る溶媒を指す。上記のアルコール性溶媒全てにおいて測
定が可能であるが、アルコール性溶媒には、200nm
から500nmの間に可視及び紫外領域に吸収のない溶
媒が使用できる。更にこの波長を限定するならば、25
0nmから450nmの間の波長、より限定すれば30
0nmから400nmの間の波長に吸収を持たないこと
が有用である。好ましくは、水の混合比が50重量%以
下のアルコールが挙げられ、より好ましくは、100%
アルコールが良好である。特に、ポリエステル等の不織
布の表面荷電量を測定する場合には、溶媒と材料との親
和性の良さ及びヨウ化物塩の溶解性より100%メタノ
ールが最も良好なアルコール性溶媒として挙げられる。
【0010】本測定法においてヨウ素及びヨウ化物イオ
ンのアルコール性溶媒中での濃度は、特に制限はない
が、そのアルコール性溶媒に反応温度において溶解する
濃度である必要がある。359nm付近の吸収とは、ア
ルコール性溶媒中で表面陰性荷電が触媒となってヨウ素
とヨウ化物イオンから生成する三ヨウ化物錯イオンの水
又はアルコール性溶媒中での吸収を示している。従っ
て、三ヨウ化物錯イオンによる359nm付近の吸収
は、表面陰性荷電量が大きいほど比例して大きくなる。
一定時間における吸光度の増加量が三ヨウ化物錯イオン
の増加量に相当し、これが被測定物質の表面陰性荷電量
として求められる。これにより表面陰性荷電量が数μe
q/g量存在すれば測定が可能で、微量の陰性荷電量に
ついても測定が可能となる。さらに生成した三ヨウ化物
錯イオン量を紫外吸光度に置き換えて測定するために明
確な数値化が行え、又表面陰性荷電量を三ヨウ化物錯イ
オン増量に置き換えることで、陰性荷電量の差が増幅さ
れ、大きな吸光度の差として現れるために、高精度の測
定が可能となる。
【0011】本測定法において濾過材料からの抽出物が
存在する場合、抽出物自身が測定波長で吸収を有する、
或いは陰性荷電を有することがあるため、本測定法に影
響することがある。そのため、あらかじめ十分に除去す
る、或いは抽出物の非溶媒を使用することが好ましい。
しかし、本発明者等の研究によると、特にポリエステル
系材料からのオリゴマーの抽出では、測定条件のアルコ
ール性溶液と測定される材料の重量比において、測定に
用いられる温度で、測定の為の反応時間における溶出物
の紫外吸収領域での吸光度が0.1以下であれば測定結
果への影響は少なく、更には、上記吸光度が0.01以
下、最も好ましくは0.001以下であれば好適に測定
が実施できる。本測定法では、容器状、板状、フィル
ム、シート、薄膜、平膜、中空糸等の膜、ゲル等の無定
型個体、ビーズ、裁断片、粒状、、粉末状、多孔糸、
綿、織布、不織布、メッシュ、紙状などの公知の材料の
いずれの形態の物質でも測定が可能であるが、特に比表
面積が5m2 /g以下の低表面積の材料において好適で
ある。具体的例をあげると、メルトブロー法やフラッシ
ュ紡糸法、抄造法等によって得られる不織布に対して
は、特に好適な測定法である。尚、ここで不織布とは、
編織によらずに繊維或いは糸の集合体が、化学的、熱
的、または機械的に結合された布状のものをいう。繊維
と繊維が互いに接触することにより一定の形状を保って
いる場合、機械的に結合されたことに含める。本測定法
は特にポリエステル系の不織布に対して、好適な測定法
である。なお、上記の測定法にしたがって、血液濾過材
の表面陰性荷電量が実質的に0と測定された場合は、該
血液濾過材表面には全く陰性(官能)基が存在しない場
合と、陰性(官能)基を有しながら、共存する陽性官能
基により電気的に相殺されている場合とがあり得る。そ
こで、次に陰性(官能)基の存在の有無を、以下の方法
により確認する。
【0012】陽性荷電過多存在下での陰性荷電量簡便化
測定法 陰性荷電と陽性荷電が共存しており、且つ陽性荷電量が
高い、濾過材料の陰性荷電の有無を簡便に測定する方法
として本方法を用いる。陰性を示す官能基に対し、陽性
荷電を有する色素を吸着させ、その吸着量より、その陰
性荷電量を求める。その例を以下に示す。濾過材料を密
栓のできるガラス製容器に0.01g秤量する。これに
0.013重量%のサフラニン0水溶液10ml入れ、
密栓後、30℃、48時間振とうする。48時間経過
後、上清のみを取りだし、515nmの波長で吸光度測
定を行う。更に、濾過材料を加えずに同様の操作を行
い、未吸着時の吸光度を測定する。予め、本陰性荷電量
測定法によって、陰性荷電量の解った材料で、検量線を
作製し、濾過材料に吸着したサフラニン0の量より、陰
性荷電の有無と、その陰性荷電量を求める。
【0013】キニンの生成性 血液の抗凝固剤にはヘパリンなどの抗トロンビン活性を
示すことによるもの、クエン酸及びその塩、エチレンジ
アミン四酢酸及びその塩等の二価金属イオンと錯体を形
成することによって抗凝固活性を示すもの、メシル酸ナ
ファモスタット(Nafamostat Mesila
te)等蛋白分解酵素阻害剤などが用いられている。本
発明者等の研究ではメシル酸ナファモスタットはカリク
レイン活性を阻害し、キニン生成に抑制的に作用するの
に対して、二価金属イオンと錯体を形成することによっ
て抗凝固活性を示すものではキニン分解酵素(キニナー
ゼ)活性を阻害しキニン分解に抑制的に作用する。この
為、抗凝固剤はいずれであっても使用できるが、抗凝固
剤に二価金属イオンと錯体を形成することによって抗凝
固活性を示すものを使用する時、表面の総荷電量が−3
0μeq/g以下、特に−50μeq/g以下と高い濾
過材料でキニン上昇がより激しく問題であった。更にカ
プトプリル(Captopril)、エナラプリル(E
narapril)等のアンジオテンシン転換酵素阻害
剤が血漿中に存在するとき、キニンの分解がやはり阻害
され、やはりキニン上昇が多かった。よって、濾過材料
のキニン生成性の評価には、クエン酸等の抗凝固剤が好
ましく、実用的には、メシル酸ナファモスタットがキニ
ン上昇性を抑制できるため安全上好ましい。
【0014】表面の総荷電量が−30μeq/g以下、
特に−50μeq/g以下と高い血液濾過材料は、フラ
スコ中でクエン酸及びその塩等を0.1〜20重量%程
度含んだ血液と接触させるインビトロ血液試験による
と、血漿中のキニン濃度が上昇し、4000pg/ml
以上の高い濃度となることが分かった。更に実用時にも
該血液濾過材料では血漿中のキニン濃度を4000pg
/ml以上に上昇させ、且つキニン濃度4000pg/
ml以上の血漿が体内に入った時、顔面紅潮、血圧低下
等のアナフィラキシー症状を呈することが分かった。よ
ってキニン濃度を4000pg/ml以上に上昇させな
い濾過材料が副作用をおこさない安全な血液或いは血液
製剤を得るために必要である。本発明者等が濾過材料に
よるキニン上昇性と濾過材料表面の陰性荷電量との関係
に注目し、研究したところ両者に明らかな正の相関関係
があり、濾過材料表面の陰性荷電量を下げることによっ
て血液濾過材料によるキニン上昇を防止できることを見
いだした。そこで表面の陰性荷電量の少ない血液濾過材
料を得るべく鋭意研究した結果、表面の陰性荷電絶対量
が30μeq/g以下の血液濾過材料の製造に成功し、
本発明を成すにいたった。即ち本発明は、表面の陰性荷
電絶対量が30μeq/g以下の、血液キニン上昇性の
低い血液濾過材料を提供することにある。本発明者等の
研究の結果、血液濾過材料の表面の陰性荷電絶対量が3
0μeq/g以下の時、血漿中の血液凝固第XII因子
の活性化は少なく、それ故キニン濃度の上昇は軽微で、
インビトロ血液試験にて4000pg/ml以上に上昇
しないことが分かった。
【0015】表面陰性荷電量は少なければ少ない程好ま
しく、濾過材料の表面陰性荷電絶対量のより好ましい範
囲は、25μeg/g以下である。更に好ましくは20
μeg/g以下である。血液濾過材料の表面の陰性荷電
量は少ないほど好ましく、特に下限は無い。が、使用時
の血液の濡れ性と血液適合性の点、更に、血漿蛋白質の
非特異吸着性が低い点より、表面に陰性荷電を有するこ
とが好ましく、0.01μeq/gよりは多いことが好
ましい。更に好ましくは0.1μeq/g以上、最も好
ましくは1μeq/g以上である。物質表面の荷電量は
表面積あたりの荷電密度で現されるのが一般的ではある
が、本発明者等の研究では荷電密度が低くても表面積が
大きければそれだけキニンが生成される機会は多く、よ
って単に表面積あたりの荷電密度で表現することは好ま
しくなかった。
【0016】キニンと表面の陰性荷電量との関係 材料と血液又は血漿との接触により、血液凝固XIIと
カリクレインとが活性化して高分子量キニノーゲンが分
解され、血液キニンが生成されて血液中の濃度が上昇す
る。この時の血液キニン濃度の上昇の大きさを以下キニ
ンの生成性と称し、濃度の上昇が大きい時キニンの生成
性が高いとした。本発明者等の研究によると、材料の表
面の陰性荷電量が多いとキニンの生成性は高く、特に陰
性荷電量が100μeq/gを越えると、非常に大きな
キニン生成性を示し、一方、陰性荷電量が少ないとキニ
ン生成性は低い事がわかった。即ち、材料の表面の陰性
荷電量とキニンの生成性とは正の相関を示すのである。
この時、材料の表面の陰性荷電絶対量が30μeq/g
より多くなるとキニンの生成量は臨床上問題となるレベ
ルに達する場合があるが、30μeq/g以下である
と、キニンの生成性は非常に低く、特に好ましかった。
【0017】本発明において表面とは血液又は血漿と接
触出来得る濾過材料の全表面を指すものであり、血液と
の接触が不可能な濾過材料内部は含まない。表面が何ら
かの表面処理されていても、その処理も含めて血液が接
触できる全表面を示す。表面の荷電とは該表面及び表面
近傍に存在する荷電であって、血液中の成分に対して静
電的作用を及ぼし得るものをいう。あえて定量的に示す
ならば、表面及び表面より10Åの深さまでの間に存在
する荷電である。
【0018】陰性荷電の定義 ここでいう陰性荷電とは、カルボキシル基、リン酸基、
亜燐酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、亜硫酸基、
次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシ
ル基など中性のpHで陰性を示す酸性官能基をいう。上
記の酸性官能器はほんの1例を示したのみで、これに限
定されるものではない。好ましくは血液及び血漿中で陰
性を示す上記官能基である。この中でカルボキシル基と
スルホン酸基及び硫酸エステル基が荷電強度が高く、実
用上特に重要である。この陰性荷電には、血液濾過材料
自身が本来持つ陰性官能基、血液濾過材料の製造過程で
例えば熱、酸化物や酸、アルカリ溶液などの薬品、放射
線などによって加水分解で生じたもの、陰性荷電を有す
る化合物を共有結合、グラフト、物理吸着、イオン結
合、包埋などの方法で導入されたものを含む。更に、放
射線グラフトやプラズマグラフトによって陰性基を有す
るモノマーをグラフト重合した結果導入されたもの、或
いは陰性基を有しないモノマーをグラフト重合した時に
モノマー或いは担体に新たに生成した陰性荷電が含まれ
る。従って、結果的に実用時に濾過材料表面に存在する
全ての陰性荷電が含まれる。
【0019】共存する官能基 更に、上記陰性基と共に陽性基や非イオン性基が共存し
てもよい。非イオン性基の例を挙げると、非イオン性基
で特に親水性の向上を目的にした水酸基、ポリエチレン
グリコール鎖、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、
ジイソプロピルアミド基等のアミド基、ポリエチレンテ
レフタレート鎖、ポリブチレンテレフタレート鎖等の芳
香族ポリエステル鎖及び脂肪族ポリエステル鎖等のポリ
エステル鎖、メチレングリコール鎖、プロピレングリコ
ール鎖等のポリエーテル鎖、ポリカーボネート鎖、等の
非イオン性親水性基、又は、疎水性付与を目的としたア
ルキル鎖、フッ化アルキル鎖、アリル鎖等の非イオン性
基全般を含む。以上の何れの官能基が共存しても良い
が、好ましくは、該非イオン性親水性基を有する場合で
あり、特に白血球除去フィルターに好適な効果が得られ
る。
【0020】陽性基の定義 本発明でいう陽性基とは、アミン類、及びアミン誘導体
等が含まれ、3級及び4級アミノ基があげられ、いずれ
であつても良い。好ましい例としてはpKbが2.0以
上、より好ましくはpKbが3.0以上のものがあげら
れる。更に血液は抗凝固剤として通常ヘパリンが用いら
れることがあるため、ヘパリンの吸着が少ないことがよ
り望ましい。この点より、より好ましい例を示すと次式
(イ)で現されるものである。
【0021】
【化1】
【0022】置換基であるR1、R2、R3に特に制限
は無く、任意の置換基を与えることができるが、どこか
の置換基(例えばR1)が濾過材料上の何れかの主鎖と
共有結合によって接続されているものである。例えば水
素、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベ
ンジル基などの炭化水素置換基であっても良いし、メチ
ロール、エチロールなどの異核種の原子を含んだ置換基
でも良い。さらにはR1とR2(又はR3)とで主鎖を
構成する構造であっても良い。R2、R3は2つ以上で
環状となっているものでもよく、例えばピリジン、イミ
ダゾール、ピペリジン、ピロール、ピリミジンなどがこ
れに相当する。
【0023】陽性官能基の一例を単量体名で例示する
と、アリルアミン、ジアリルアミン、N,N−ジメチル
アリルアミン、N,N−ジアリルピペラジン、N,N−
ジアリルアニリン、N,N−ジアリルメラミン、アミノ
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−
ジエチルアミノスチレン、ビニルベンジルアミン、ビニ
ルフェネチルアミン、N,N−ジメチルビニルフェネチ
ルアミン、N,N−ジエチルビニルフェネチルアミン、
N−プロピルビニルフェネチルアミン、ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5
−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、ビニルピラゾリ
ン、ビニルピラジン、4−ビニルピリミジン、ビニルア
ミン、ビニルカルバゾール、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミン、N,N−ジエチル−N−ビニルフ
ェネチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルスチレンなどのモノマーや、これらのいずれ
かを重合単位とするオリゴマーやポリマーがあげられ
る。またこれらを4級化したアンモニウム基であっても
良い。これらの中で、特にR2、R3は水素(H)又は
炭素数1以上12以下のアルキル鎖であることが好まし
い。更にはR2、R3は水素(H)又は炭素数1以上6
以下のアルキル鎖であることがより好ましい。具体例を
示すとジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−N−ビニルフェネチルアミン、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミ
ノエチルアクリレートがより好ましい例としてあげられ
る。
【0024】またこれらの重合単位と他の重合性単量
体、例えばヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチ
レン、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、セグメ
ント化ポリウレタン、セグメント化ポリエステル等との
共重合体であったも良い。特に重合体中にヒドロキシル
基を有していることが血液適合性向上の点で好ましい。
ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特に制限
はない。特に式(イ)で現される陽性官能基を持つ重合
体単位を1から50重量%含む、ヒドロキシル基を有す
る重合体単位との共重合体であることが好ましい。
【0025】本発明にいう血液濾過材表面の総荷電量と
は、表面に陰性基のみ、又は陰性基と非イオン性基とを
有し、いずれも陽性基を有さない場合は、陰性基の量を
いう。又、表面に陰性と陽性が共存する場合、血液濾過
材使用時のpH5から9付近の血液中において共存する
陽性荷電と陰性荷電とを相殺した結果残った荷電量をい
う。
【0026】本発明において血液濾過材の総荷電量を−
30μeq/g以上にする手段には次の方法がある。 (1)原料チップの含水率を下げる、溶融時の温度や水
分率を下げるなどの方法によって、濾過材の製造過程で
の加水分解、熱分解を防止する。 (2)放射線、電子線、プラズマ照射等の際に酸素の共
存量を下げる事で過酸化物(パーオキサイド)の生成を
防止する。 (3)非陰性の化合物を陰性基に共有結合するなどし
て、化学的に陰性基をブロックする。 (4)非陰性の化合物をコーティング等の物理的方法に
よって陰性基を被覆する。 (5)化学的或いは物理的に陽性基を導入して静電的に
中和する方法。 いずれの方法も利用できる。より好ま
しい方法は濾過材の種類や用途によって異なるため一概
に断定できないが、一般には親水性の中性或いは陽性基
を有する化合物、重合体の被覆層を形成する方法が最も
容易で、実用上好ましい。
【0027】本発明でいうところのフィルターは、前述
のとおり、濾過材のうちで、輸血分野での白血球除去
用、自己免疫疾患での白血球除去治療用、心臓外科にお
ける術後灌流血液中からの白血球除去、術野血液回収時
の骨破片などのゴミ取り、体外循環などでの吸着材破片
の体内流入防止用等それぞれの用途によって異なるが、
上記で用いる総称として用いる。特に、白血球除去フィ
ルターに関しては、おもに白血球を粘着、濾過、除去す
るメインフィルターと、ゲルやマイクロアグリゲート等
を除去するために用いるプレフィルターとに大別され
る。
【0028】濾過材の至適な陰性荷電 本発明者等は、各種の濾過材料について表面陰性荷電の
測定を行ったところ、これまでの濾過材料は、保存血小
板製剤中の白血球の除去に用いられる陽性荷電導入型の
白血球除去器Sepacell PL(旭メディカル社
製)を除き、いずれも絶対量が50μeq/g以上の多
くの陰性荷電量を有するものであった。濾過材料表面
は、陰性荷電量が例えば50μeq/g以上と多いとキ
ニンが大量に生成され問題であり、このキニン生成の点
では陰性荷電が少ないほど好ましく、さらには表面に陽
性荷電を有する場合もキニン生成の問題は無かった。し
かし一方でSepacell PLなど表面に陽性荷電
を有する濾過材料は、例えば血液灌流時に濾過材料を内
蔵した容器やチューブ等で生じた活性化補体をまったく
吸着せず、直接体内に活性化補体が進入し、問題となる
可能性があること、体外循環時に抗凝固剤として用いら
れるヘパリンを吸着し、血液凝固をおこし易いこと、血
液中の例えば血小板由来増殖因子、α1−酸性糖タンパ
ク質など微量な有用タンパク質が多く存在する酸性のタ
ンパク質を吸着する可能性があることなどの問題点があ
り、表面に陽性荷電を多量に有することは必ずしも好ま
しくなかった。又表面に陰性を有するものは、その酸性
基の親水性が高く、血液の濡れ性の点でも優れており特
に好ましかった。
【0029】本発明の濾過材の材質としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及び
ポリオキシエチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリアクリロニトリル、ナイロン6、及びナイロン6、
6等のポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスチレン及
びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポ
リブテン等のポリオレフィン、メチルメタクリレート、
及びエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル誘
導体を重合して得られる高分子化合物、メチルアクリレ
ート、及びエチルアクリレート等のアクリル酸エステル
誘導体を重合して得られる高分子化合物、ポリトリフル
オロクロルエチレン、ポリビニルマール、ポリスルホ
ン、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリカーボ
ネイト等の合成高分子化合物で、上記高分子化合物の単
量体の単独重合体、共重合体、ブロック重合体及び上記
高分子化合物の、ブレンド及びアロイ化したものを含む
ものや、セルロース及び/またはその誘導体等の再生繊
維及び上記に示した合成高分子化合物とのブレンド、ア
ロイ化したものを含むものなどが挙げられる。上記の中
で、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレートなど
のポリエステル系合成高分子材料が、不織布への成形性
や、得られる不織布の繊維径、繊維によって形成される
細孔状態等が制御し易く、白血球等の除去対象物質に合
わせた最適な血液濾過材の製造が可能で好ましい。この
ポリエステル系合成高分子材料は、血液の濡れ性の点で
も好ましい。
【0030】本発明の濾過材の製造には、多孔質状にあ
っては、公知の常圧発泡法、加圧発泡法、押出発泡法、
射出発泡法等の発泡分解法、溶剤気散法、気体混入法、
化学反応法、溶出法、燒結法等が採用でき、熱プレス圧
縮、適当な液体による膨潤等の2次加工を施し、本発明
で規定する孔径分布になるように制御することが好まし
い。また、繊維状の濾過材の製造法としてはメルトブロ
ー法やフラッシュ紡糸等の方法が挙げられ、更に製造さ
れた繊維にプレス圧縮や熱収縮、適当な液体による処理
等の2次加工を施し、本発明で規定する孔径分布になる
ように制御することが好ましい。
【0031】濾過材の表面修飾法 濾過材に、種々の低分子量、高分子量の化合物を共有結
合、イオン結合、放射線やプラズマによるグラフト法、
物理吸着、包埋あるいは濾過材料表面への沈澱不溶化等
あらゆる公知の方法を用いて固定して用いることもでき
る。例えば、高分子化合物やその単量体を放射線或いは
プラズマ等を用いてグラフト重合したり、共有結合する
などの公知の方法により表面改質(特開平1−2490
63、特開平3−502094)を施した濾過材料が知
られている。表面改質に用いられる単量体及び高分子化
合物の例として、メタクリル酸、アクリル酸、2−メタ
クリロイルオキシエチルコハク酸、モノ(2−アクリロ
イルオキシエチル)アシッドフォスフェート、2−スル
ホエチルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエ
チルフタル酸、等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘
導体や、p−スチレンスルホン酸、p−ビニル安息香酸
等のスチレン誘導体、ビニルフェノール等のフェノール
誘導体、アリルスルホン酸ナトリウム等のアリル化合物
等の各種ビニルモノマー、アセチレン誘導体、トリオキ
サン誘導体等の陰性基を有する単量体を重合して得られ
る高分子化合物、また上記の単量体と重合性官能基、好
ましくはビニル基または、アセチレン基を有する、例え
ば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、1、2−ジヒドロキシエチル
メタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシノナエチレングリコールメタクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアク
リル酸エステル及びメタクリル酸エステル誘導体、スチ
レン及びその誘導体等の中性の単量体、N,N−ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチ
ルメアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアク
リレート等のカチオン性の単量体との共重合体、ブロッ
ク重合体として得られる高分子化合物或いはオリゴマー
等の合成化合物があるが、特に、ビニルモノマーを重合
して得られる高分子化合物が重合性が高く、入手も容易
であるため好ましい。上記の表面修飾を行う濾過材料の
中で、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレートな
どのポリエステル系合成高分子材料が、グラフト及びコ
ート等の表面修飾性に優れている点で特に好ましい。
【0032】濾過材の陰性荷電絶対量を30μeq/g
以下にする手段 本発明における表面陰性荷電量を下げる手段の例を挙げ
るならば、表面陰性荷電絶対量を30μeq/g以下に
する手段としてポリエステル不織布の場合、紡糸する際
にメルトブロー前の原料チップの水分率を公知の真空乾
燥機及びホッパードライヤー等乾燥機を用いて下げ、乾
燥条件で紡糸すること、及び押し出し温度、ブロー温度
を下げる事によって実施できる。他の表面陰性荷電絶対
量を30μeq/g以下にする方法の例として、公知の
ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミドを
用いて公知の第1及び第2アミン及びそれらアミノ基を
有する化合物と反応する事によるアミド化や、ジアゾメ
タンを用いるメチルエステル化等のエステル化反応など
がある。エステル化剤及びアミド化剤の例を挙げると、
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジアゾメ
タン、硫酸ジアルキル、ハロゲン化アルキル等があるが
これに限定されるものではない。他に、真空下加熱脱水
処理を行うことにより、自己水酸基とのエステル化反
応、疎水面との接触による陰性基の包埋等の方法などで
ある。更に、公知の放射線及びプラズマ等を用いたグラ
フト法により、表面を改善することにより実施できる。
また、公知の陰性荷電を有しない親水性ポリマーまたは
含窒素陽性ポリマー等をコートすること等によって陰性
官能基を有する表面を被覆する事で表面陰性荷電絶対量
を30μeq/g以下にすることもできる。ポリエステ
ル系合成高分子濾過材料は、製造工程で熱などによって
加水分解されてカルボキシル基が生じる。発明者らの測
定では現在利用されているポリエステル系合成構成高分
子濾過材料からなる不織布は、いずれも表面の陰性荷電
絶対量は30μeq/gより多いものばかりであった。
この例では、発明者等の研究では特に原料チップの水分
率を下げることが、表面陰性荷電量を下げる上で最も好
適な結果が得られた。即ち、原料チップの水分率が15
ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする時、
表面の陰性荷電絶対量を30μeq/g以下とすること
ができた。
【0033】濾過材の血液の濡れ性 濾過材料は表面の陰性荷電量が少なければ少ないほどキ
ニン生成の点で好ましいが、一方で本発明者等の研究に
よると、表面の陰性荷電を下げるにしたがって表面の濡
れ性が下がり、血漿タンパク質の非特異吸着が多くなる
事、血小板の粘着が多くなること、使用開始時の湿潤化
が容易でなくなることがわかった。濡れ性を臨界湿潤表
面張力(CWST)で表現する時50dyne/cm以
上であることが好ましかった。特に58dyne/cm
以上である時最も好ましかった。濡れ性は表面の陰性官
能基の量のみによって決まるのではないが、通常利用さ
れる血液濾過材料、特に白血球除去の目的で利用される
濾過材料、例えばポリエステル不織布等ではカルボキシ
ル基の寄与が最も高く、よってCWSTを高めることに
よってカルボキシル基の量もまた増加する事がわかっ
た。CWSTの上限は、高ければ高いほど濡れ性が上が
るため好ましいが、一方でキニン生成が高まる事がある
ため、実際には102dyne/cm以下である事が好
ましく、より好ましくは90dyne/cm以下であっ
た。しかし、例えば中性の親水基を表面に保持させるこ
とにより、陰性官能基を30μeq/g以下に維持した
まま、CWSTを上げる事が可能である。CWSTは、
以下の方法によって測定できる。即ち、表面張力が順次
2〜4dyne/cmずつ異なる一連の試薬用標準液を
調整する。少なくとも2種の連続した表面張力を持つ標
準液の少なくとも10滴を別個に濾過材料表面の典型的
部分に乗せ10分間放置する。10分後観察し、10滴
のうち9滴以上が濡れている場合は、当該表面張力の液
で湿潤されたと判断する。また、10滴のうち8滴以下
しか濡れなかった場合は、湿潤されなかったと判断す
る。滴下した連続した表面張力を持つ2種の標準液の
内、一方が湿潤し他方が湿潤しないことが確認されるま
で順次より高いか、より低い表面張力を持つ標準液を用
い試験を続ける。上記現象が確認されれば、この時用い
た2種の標準液の表面張力の平均値を算出し、濾過材料
のCWST値とする。
【0034】濾過材の接触角の定義、接触角の至適範囲 液体を濾過材料表面と接触させ、液体と濾過材料表面と
のなす角を接触角θとした時、濾過材料表面の親水性を
接触角で表せる。即ち、本発明で、測定方法としては、
表面張力100dy/cmの液体を用いて、濾過材料表
面の液滴を落とした時、液滴と周りの気体との濾過材料
との接点における接線と濾過材料平面との成す角を接触
角θとする時、このθが120度以下のとき、白血球除
去時に湿潤が起こりやすい。更に、その親水性が高い
と、必要な血漿タンパク質が吸着するのを防ぐことがで
きる事より、好ましくは、折衝角が90度以下で、より
好ましくは、70度以下の時、良好な白血球除去フィル
ターとなる。
【0035】濾過材のゼータ電位 ゼータ電位は、流動電位測定装置(島津製作所製、ZP
−10B)でKCI濃度10-3mol/lで測定でき
る。ゼータ電位もある意味において表面荷電と親水性を
みる基準となり、その親水性によって値が左右される。
濾過材において、そのゼータ電位が−25mV以上の
時、血液キニンの上昇のない安全な濾過材となる。血液
キニンの上昇は陰性基によるゼータ電位がより高い時に
低くなることより、好ましくは、−20mV以上で、よ
り好ましくは、−15mV以上0mV以下のときより良
好な濾過材となる。
【0036】濾過材の平均孔径、全表面積の定義 本発明における平均孔径とは、濾過材を血液の流れ方向
に対して垂直方向に切断し、断面全体に分散している細
孔の各々について直径を測定して直径と細孔の数との関
係を調べたときに、最も数の多い細孔の、円に換算した
直径を表すものである。即ち、濾過材の任意の切断面に
分散する細孔はいろいろな形で、その直径もさまざまで
あるが、個々の細孔をその細孔の断面積と同じ面積の円
に換算し、その直径を横軸にとり、縦軸に細孔の数をと
ってグラフを描くと一般に正規分布に近い曲線となる。
そして、その曲線のピークに当たる直径が本発明でいう
平均孔径である。即ち、平均孔径とは、任意の切断面各
々につきその切断面上に分散する細孔の平均直径のこと
であり、どの切断面上の平均孔径も1〜300μmの範
囲内にあることが好ましい。また、血液上流側及び下流
側とは、濾過材最表面から濾過材の厚み方向に対して
0.5mm以下の部分をいい、血液上流側及び下流側の
平均孔径の測定は走査電子顕微鏡でフィルターの表面を
撮影し、目視により撮影面上に分散している細孔の直径
をランダムに1000個以上測定して求める。また、濾
過材の平均孔径を求める際に、細孔の直径を測定するこ
とが困難な場合には、濾過材表面から濾過材の厚み方向
に対して0.5mm以下の部分で血液の流れ方向に対し
できるだけ垂直に切断したある厚みを持った検体を水銀
圧入法(島津製作所、ポアサイザ9320)で測定し、
縦軸に細孔の数をとり、横軸に孔径をとってグラフを描
き、そのピークにあたる点を平均孔径とすることもでき
る。また、本発明における濾過材の表面積は、水銀圧入
法で測定した比表面積(m2 /g)に濾過材のかさ密度
(g/cm3 またはg/ml)を乗じた値であり、実際
に白血球選択除去フィルター装置内に濾過材を充填した
ときと同等またはそれに近い状態で測定されるものであ
る。なお、水銀圧入法による測定は、1〜2650ps
iaの圧力範囲で測定した値である。
【0037】濾過材の平均孔径 以下、本発明の実施態様に基づき詳細に説明する。平均
孔径の好ましい範囲は、1μm〜300μmであり、白
血球除去性能より考慮すると、より好ましい範囲は1〜
150μmである。本発明の細孔が、厚み方向に変化す
る場合、白血球選択除去フィルターにおいて、血液上流
側の平均孔径は10μm〜300μm、より好ましくは
10〜150μm、最も好ましくは10μm〜100μ
mであることが望ましい。即ち平均孔径が10μm未満
であると白血球除去操作時において、濾過材表面で血球
目詰まりを引き起こし、圧力損失が増大するため不適で
あり、一方、平均孔径が300μmを超えるものである
と、血球と濾過材表面との接触頻度が低下するため、白
血球の血液上流側濾過材表面での除去率が低下し、濾過
材内部での血球目詰まりを引き起こすためである。ま
た、血液下流側の平均孔径は、上流側と同等もしくはよ
り小さいことが望ましく、好ましい範囲を示すと1〜3
0μmである。平均孔径が1μm未満であると孔路が狭
すぎるため圧力損失が増大し、一方30μmを超える平
均孔径であると、白血球の除去量が低下してしまうた
め、より好ましくは2〜20μm、最も好ましくは3〜
15μmである。
【0038】メインフィルターの平均孔径と表面積の最
適値 また、本発明の血液下流側の濾過材、即ちメインフィル
ターの全表面積は0.20〜5.70m2 /ml以上で
あることが好ましく、より好ましくは0.50m2 /m
l以上、最も好ましくは0.70m2 /ml以上であ
り、上限は特にない。しかし、全表面積が非常に大きい
と、血漿蛋白等の非特異吸着が増加する可能性があり、
好ましくは10m2 /ml以下、より好ましくは5.7
0m2 /ml以下である。このうち1〜10μmの細孔
部分の表面積は血液下流側の多孔質体の全表面積の50
%以上、より好ましくは55%以上、最も好ましくは6
0%以上であることが望ましく、1〜30μmの細孔部
分の表面積は血液下流側の多孔質体の全表面積の60%
以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは70
%以上であることが望ましく、1μm未満の細孔部分の
表面積は38%以下、より好ましくは30%以下、最も
好ましくは28%以下であることが望ましい。血液下流
側のメインフィルターの全表面積が0.35m2 /ml
未満であると白血球が粘着する表面積が少ないため、白
血球漏出が起こり、5.70m2 /mlを超えると血液
処理に要する時間が長くなったり、白血球のみならず赤
血球や血小板も除去されやすくなり、目詰まりによる圧
力損失の増加が起こるため不適である。また、血液下流
側のメインフィルターの1〜10μm及び1〜30μm
の細孔部分の表面積が血液下流側のメインフィルターの
全表面積の50%未満、60%未満であると、リンパ球
漏出または目詰まりを誘発するため不適である。また、
1μm未満の細孔部分は血球が通過し難い細孔であるた
め、1μm未満の細孔部分の表面積が38%を超えると
赤血球や血小板の回収量が低下するため不適である。ま
た、本発明の血液上流側の平均孔径は血液下流側の平均
孔径の2〜100倍、より好ましくは3〜50倍、最も
好ましくは3〜25倍であることが望ましい。即ち、血
液上流側と下流側の平均孔径比が2倍未満であると白血
球による目詰まりが生ずる、または白血球の捕捉量が低
下し、一方平均孔径比が100倍を超えると、血液下流
側での白血球の目詰まりが生じ、圧力損失が増大するた
め不適である。
【0039】濾過材の全細孔容積 本発明における細孔容積とは、濾過材料の体積当たりの
細孔の体積の割合を示し、上記平均細孔と同様に、濾過
材表面から濾過材の厚み方向に対して0.5mm以下の
部分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂直に切断した
ある厚みを持った検体を水銀圧入法(島津製作所、ポア
サイザ9320)で測定し、縦軸に細孔の数をとり、横
軸に孔径をとってグラフを描き、細孔数とその孔径より
求めた値である。本発明の白血球除去フィルターの全細
孔容積は、ある程度の機械的な強度をもたせるために、
上限は0.95ml/ml以下であることが、好まし
く、更に白血球除去性能の観点からいえば、好ましい孔
径の細孔が多く存在し、その接触面積がより大きいこと
が有効であることより、下限は0.4ml/ml以上が
良好で、好ましくは0.45ml/ml以上、更に好ま
しくは0.50ml/ml以上である。
【0040】濾過材の孔径分布 高い白血球除去率を有する白血球除去フィルターを開発
すべく検討を行ったところ、上記特定範囲の平均孔径及
び全孔容積を有し、且つ孔径1〜100μmの孔部分の
容積が全孔容積の75%以上である必要があり、好まし
くは、孔径1〜100μmの孔部分の容積が全孔容積の
85%以上、更に、血球による目詰まりが少なく、白血
球残存率が10-4以下と高い白血球除去能を有する為に
は、上記特定範囲の平均孔径及び全孔容積を有し、且つ
孔径1〜100μmの孔部分の容積が全孔容積の90%
以上であることが良好な結果を導くことがわかった。特
に、下流側に用いるメインフィルターにおいては、孔径
1〜30μmの孔部分の容積が全孔容積の75%以上で
ある必要があり、好ましくは、孔径1〜30μmの孔部
分の容積が全孔容積の85%以上、更に、血球による目
詰まりが少なく、白血球残存率が10-4以下と高い白血
球除去能を有する為には、上記特定範囲の平均孔径及び
全細孔容積を有し、且つ孔径1〜30μmの孔部分の容
積が全孔容積の90%以上であることが良好な結果を導
くことがわかった。
【0041】濾過材の比表面積 比表面積は、機械的強度及び白血球除去性能を加味し、
0.5〜15m2 /gである時良好で、好ましくは、1
〜15m2 /g、更に好ましくは、2〜15m2 /gの
時十分な白血球除去性能となる。
【0042】濾過材の平均繊維直径、繊維直径変動係数 不織布などの、繊維状の濾過材を用いる場合、繊維径が
孔径及び細孔分布に寄与する為、その有効な平均繊維直
径を示すことも重要である。本発明の平均繊維直径の測
定は走査型電子顕微鏡で繊維状の濾過材の表面を撮影
し、目視により撮影面上に分散している糸の直径をラン
ダムに100個以上測定して求める。機械的強度及び白
血球除去性能において有効なメインフィルターの繊維直
径は0.3μm以上10μm以下で、糸径は細いほど白
血球除去性能は向上することより、好ましくは0.3μ
m以上5μm以下、更に好ましくは0.3μm以上3μ
m以下である。更に、平均繊維直径からの繊維直径の変
動の分布は、狭い方が好ましく、上下変動が20〜60
%以内である必要がある。好ましくは上下変動が20〜
50%以内で、更に好ましくは、20〜45%以内のと
き、均一な濾過材を与える。
【0043】ブラジキニン濃度の測定方法 濾過材料のブラジキニン濃度を測定する方法として、血
液の入口と出口を有する容器に濾過材料を充填して血液
を流し、その出口側より血液をサンプリングし、ブラジ
キニン濃度を測定することもできるが、多量の血液を必
要とし、一度にたくさんの濾過材料を評価することが困
難なため、本発明では、以下に示す方法により評価を行
った。以後、インビトロ血液試験と呼ぶ。表面積を一定
に揃えた表面荷電量を測定した濾過材料をポリカーボネ
ート製の50ml三角フラスコに入れ、これにACD−
A液を11.1%添加してヘマトクリット値を40%以
上60%以下とした血液、または、赤血球濃厚液にAC
D−A液11.1%(体積%)の生理食塩液を加えてヘ
マトクリットを調整した液を、37℃に加温した後、5
ml加え37℃で5分間放置する。本発明者等の研究で
は、赤血球濃厚液より調整した液がブラジキニンの上昇
性も高く、入手も比較的容易であり、特に好適であっ
た。正確に5分後カリクレインの分解阻害剤及びキニナ
ーゼ阻害剤としてトラジオール、大豆トリプシンインヒ
ビター、硫酸プロタミン、エチレンジアミン四酢酸−2
−ナトリウム塩を添加後、4℃で冷却遠心して血漿成分
のみを取り出し冷凍後、公知のラジオイムノアッセイ法
(PEG沈澱法)によりブラジキニン濃度を測定してブ
ラジキニン量の定量とした。同時に陰性コントロールと
して、濾過材料を入れないポリカーボネート製三角フラ
スコを同様のインビトロ血液試験を行い、比較の対象と
した。なお、ガラス製三角フラスコを用いた陽性コント
ロールのインビトロ血液試験は、三角フラスコの材質が
ガラスになったことと及び濾過材料を入れないこと以外
はインビトロ血液試験と同じ操作を行うものとする。
【0044】白血球除去器 本発明の血液濾過材は血液の入口と出口を有する容器に
充填して、白血球除去器として使用できる。容器へ充填
する際、該濾過材のみを充填しても良く、更にプレフィ
ルターと共に充填しても良い。
【0045】白血球除去器の容器形状 容器形状としては、血液の入口と出口を有する容器であ
れば特に限定はないが、敢えて例を挙げると、濾過材を
積層状に充填できる公知の容器や、円柱状、三角柱状、
四角柱状、六角柱状、八角柱状、等の角柱状容器、更
に、濾過材を円筒状に巻きこれを充填できる容器、又
は、血液の流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最
も内側に集まり血液流出口より出ることを特徴とする容
器等が良好な形状となる。また、錘状等の断面積が入口
から出口に向かうに従って、小さくなる形状を有する容
器等が用いられる。この時の容器の断面積と長さの比
(断面積/長さ、S/L)は、10cm以上500cm
以下が良好なS/Lとなる。
【0046】白血球除去器の充填密度 充填密度は、容器中に本発明の濾過材を充填した時の一
定体積当たりの重さをいい、該容器に該濾過材を充填密
度0.05以上0.5g/cm3 以下充填して、白血球
除去器とする事が望ましい。更に、目詰まりを防ぎ、圧
損の上昇を防ぎ流れをスムーズにする為に、好ましい充
填密度は、0.1以上0.4g/cm3以下で、更に好
ましい充填密度は0.1以上0.3g/cm3 以下であ
る。
【0047】白血球除去器の断面積、厚み 該白血球除去器の好ましい断面積は何れの大きさでも良
いが、その製造上の容易さ及び血液処理量より0.5c
2 以上300cm2 以下が好ましく、小型化及び操作
性の観点から好ましくは250cm2 以下、更に好まし
くは、200cm2 以下が好ましい。又、濾過材全体の
厚みは、その形状に依存するが、実用的な範囲として濾
過材全体の厚みが0.1mm以上500mm以下が好ま
しい。プライミング性から考慮すると好ましくは0.1
mm以上450mm以下が好ましく、更に好ましくは
0.1mm以上400mm以下が実用的である。
【0048】白血球除去器のカスケード 又、本発明の白血球除去器は1〜100μmの平均孔径
を有する、白血球除去用濾過材を血液の入口と出口を有
する容器内に全部又は一部充填した白血球除去器であ
る。血液の入口から出口に向かって濾過材の平均孔径が
実用的に連続的又は段階的に減少し、且つ血液最下流側
の濾過材の全表面積は0.35〜5.70m2 /mlで
あり、このうち1〜10μm及び1〜30μmの孔部分
の表面積がそれぞれ50%以上、60%以上である白血
球選択除去器とする事もできる。又、本発明の白血球除
去器は、血液最下流側の濾過材の1μm未満の孔部分の
表面積が38%以下であることが好ましい。又、本発明
の白血球選択除去器は、白血球除去用として血液上流側
の平均孔径が3〜100μm、血液下流側の平均孔径が
1〜30μmであって、しかも血液上流側の濾過材の平
均孔径が血液下流側のそれの平均孔径の2〜100倍で
あるものを充填したものであることが好ましい。本発明
における平均孔径の連続的又は段階的減少とは、濾過材
1枚を血液の流れ方向に切断した時、血液の上流側から
下流側に向かって、濾過材の孔径が徐々に小さくなる場
合を連続的減少といい、平均孔径がほぼ均一な数枚の濾
過材を平均孔径の大きさ順に積層し、容器内に充填する
場合を段階的減少という。特に濾過材が不織布等の繊維
の場合、その平均繊維直径が、入口側で1.5μm〜
3.0μmで、出口付近で0.3μm〜1.9μmの濾
過材を用いて白血球除去器とすることができる。更に、
その平均繊維直径が、入口側で1.5μm〜1.8μm
で、出口付近で0.5μm〜1.3μmを用い、これに
プレフィルターとして入口側に平均繊維直径が、1mm
〜5μmの白血球除去用フィルターを付与した白血球除
去器が良好に用いられる。
【0049】白血球除去器のプレフィルター 更に、本発明の白血球除去器は、採血直後でない血液、
例えば採血後1時間以上経過した後の血液を処理する場
合等には、血液中に凝集物、例えばマイクロアグリゲー
ト等が生じ、これによる目詰まりが発生する場合があ
る。この目詰まりを未然に防ぐ為、プレフィルターとし
て平均孔径が100〜400μmの濾過材材料を用いる
ことができる。プレフィルターの構造は、繊維体或い
は、多孔質体等の該白血球除去フィルターの形態と同様
の何れの形態であっても良く、平均孔径が100〜40
0μm或いは平均繊維直径が5μm〜1mmであること
が好ましい。
【0050】白血球除去器のプライミングボリウム 本発明の白血球除去器のプライミング量は、何れの量で
も良いが、その量は操作性の面及び白血球除去時間の短
縮の為少ないことが好まれる。好ましいプライミング量
の例を示すと、0.5〜300mlが良く、更に好まし
くは1〜250ml、最も好ましくは、5〜250ml
である。
【0051】白血球除去器の滅菌方法 滅菌方法は、公知の何れの方法を用いても良いが、敢え
て例を挙げるならば、オートクレーブ等の熱滅菌、エチ
レンオキサイドガス(EOG)滅菌、γ線滅菌、電子線
滅菌等の放射線滅菌、UV照射等の滅菌法を使用でき
る。
【0052】白血球除去器の使用形状 本発明の白血球除去器の使用方法の具体例を示すと、白
血球除去器の前後に血液バッグ、血液回路、チェンバ
ー、クランプ、ローラクランプ、ドリップチェンバー、
針、メッシュ付きドリップチェンバー、血液ポンプ用チ
ューブ等の何れかもしくは複数組み込んだ体外循環用回
路又は輸血用回路を用いることができる。又、回路中に
組み込まれる器材は、上記に限定されるものではない。
更に、血液処理は回路の途中に血液ポンプ或いは送液ポ
ンプ或いは吸引ポンプ等のポンプを組み込んで使用する
こともできる。又、血液の自重による落差でも良好に用
いることができる。
【0053】白血球除去器の用途 本発明の白血球除去器は、輸血用の白血球除去フィルタ
ー及び全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、慢性関
節リウマチ等の自己免疫疾患患者血からの白血球の除
去、白血病、癌患者血からの白血球除去、移植前の免疫
機能低下の目的での白血球除去等の体外循環に用いられ
る他、心臓外科における術後灌流血液中からの白血球の
除去、術野血液回収時の骨破片等のゴミ取り、体外循環
等で吸着材破片の体内流入防止用等に良好に用いられ
る。
【0054】白血球除去器の性能 本発明の白血球除去用フィルターを用いた白血球除去器
は、血液処理後の白血球残存率が10-4以下とする事も
できる。
【0055】白血球除去方法 本発明は、上記白血球除去フィルター及び白血球除去器
を用いた白血球除去方法についても開示している。
【0056】白血球除去条件 本発明は、上記白血球除去フィルター及び白血球除去器
を用いて、血液を流速1〜100ml/分で流す除去方
法であり、この時の線速は、0.05〜15cm/分で
ある。流速は遅い方が白血球除去能力は高いが、処理時
間が長くなる為、実用上から、より好ましくは、流速が
1〜80ml/分で、線速が0.1〜10cm/分であ
るとき、高い白血球除去能力を示す。又、血液の通過方
法としては、使用上の必要に応じ、或いは設備の装置状
況に応じて、連続的に通過しても良いし、又断続的に通
液しても良い。この時血液が長く白血球除去器内に滞留
するとそれだけブラジキニンは活性化される。更に高い
白血球除去性能を得るためには、滞留時間は長い方が良
く、好ましくは白血球除去器内での血漿の滞留時間は1
0秒以上であるが、長時間血液が白血球除去器内に滞留
することは、血液成分の非特異吸着や血液凝固を引き起
こす危険性が生じるため、滞留時間は30分以下である
ことが好ましい。本発明が特に優れた効果を発揮するの
は、滞溜時間が1分以上で血液を処理する場合である。
【0057】返血時間 ブラジキニンは血漿中のアンジオテンシン転換酵素等の
キニン分解酵素によって徐々に分解される。白血球除去
器で処理後、時間をおいて血漿を体内に注入する場合は
ブラジキニンの上昇は問題とならない。本発明の効果は
白血球除去器で処理後の血液を速やかに体内に注入する
ときに高い効果を発揮する。具体的には血液が白血球除
去器流出後1時間以内に注入するときに、本発明は効果
的に用いられる。更に30分以内に注入するときより高
い効果が得られ、10分以内に注入する用途に用いる時
特に好ましい。最も好ましくは体外循環など処理後直ち
に用いる場合である。
【0058】白血球除去方法 本発明の白血球除去方法では、新鮮全血や、新鮮血小板
濃厚液、保存血等の血液製剤を該白血球除去器を用い
て、白血球を粘着除去する物である。血液製剤の例を挙
げると、クエン酸系の抗凝固剤(ACD−A、ACD−
B、ACD−C、CPD)を加えた赤血球濃厚液(CR
C)、又は濃厚血小板液(PC)及び赤血球保存液とし
てMAP(Mannitol−adenine−pho
sphate)又はSAGM(Saline−Aden
ine−Glucose−Mannitol)又はAD
SOLを加えたCRC等があり、これらの白血球を血液
キニンの血中濃度を上昇させずに白血球除去処理する目
的でも使用できる。更に、該白血球除去器を用いて血液
キニンの血中濃度を上昇させずに体外循環により白血球
を除去する事ができる。
【0059】白血球除去時の抗凝固剤 本発明の白血球除去方法において、使用できる抗凝固剤
に特に限定はないが、例を挙げると、ACD−A、CP
D、エチレンジアミンテトラアミン4酢酸(EDTA)
ヘパリン、MAP、メシル酸ナファモスタット、等であ
る。本発明の効果がより大きく発揮されるのはクエン酸
系のACD−A、CPD、ヘパリンで、より効果が発揮
されるのは、クエン酸系のACD−A、CPDを用いた
時であり、血液キニン濃度を上昇させることなく白血球
を除去できる。更に、カプトプリル等のアンジオテンシ
ン転換酵素阻害剤(ACD−インヒビター)を用いてい
る患者血においても、血液キニン濃度を上昇させること
なく白血球を除去できる。特に、メシル酸ナファモスタ
ットを抗凝固剤として含む血液や、ACE−インヒビタ
ーを含まない血液を、本発明の白血球除去器を用いて処
理する時、キニン上昇の点で最も好ましい結果が得られ
る。
【0060】本発明の白血球除去フィルターを用いれ
ば、血液キニンの血中濃度を4000pg/ml以上に
上昇させずに白血球を除去することができる。
【0061】
【実施例】
【実施例1】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)(PET)の原料チップ
(比重1.37)を十分乾燥した後、ラインを通じてホ
ッパードライヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸
し、紡口からネット面までの距離(ディスタンス長)
を、10cmに設定し、目付け40g/m2 、厚み0.
32mm、密度0.125の平均繊維直径1.6μm不
織布を紡糸した。この乾燥時のチップ水分率は11pp
mであった。押し出し成形時の押し出し温度は320
℃、スチーム温度は380℃で、スチーム圧は2.5気
圧、吐出量は0.2g/minであった。この不織布の
CWST値は58dyne/cmで、平均孔径5.3μ
mであった。この不織布の表面陰性荷電量を測定した。
不織布を予め80%エタノールで十分洗浄して、溶出物
を除去した。該不織布を十分に乾燥させた後、1gを秤
量し、5%ヨウ化カリウム(wt/wt)を溶解したメ
タノール液50mlに浸漬した。これを30℃、24時
間振とう下で反応させた。反応後、上清を回収して35
9nm及び290nmで吸光度測定を行った。この時対
照(ブランク)として上記反応で用いたのと同じ5%ヨ
ウ化カリウムを溶解したメタノール液を用いた。別にポ
リプロピレンとポリエチレンとの2成分からなる不織布
に、放射線グラフト法にてメタクリル酸0.572me
q/gを固定した不織布(平均繊維直径1.5μm)を
重量をかえて用いて上記と同様にして359nm及び2
90nmで吸光度を測定をした。この不織布の表面陰性
荷電量は、予めECH−Sepharose 4b(P
harmacia社製)を対照にして測定した。この測
定値より吸光度と表面陰性荷電量との検量線を作製し、
この検量線より検体の表面陰性荷電量を算定した。この
PET不織布の陰性荷電量は、25.5μeq/gであ
った。更に不織布のキニン生成能は次のようにして測定
した。抗凝固剤としてCPDを用いて採取した後、処理
された赤血球濃厚液(ヘマトクリット値65%)をAC
D−A11.1%を含む生理食塩液でヘマトクリット値
を45%に調製して試験血液として用いた。この試験血
液5mlを採取し、ポリカーボネート製三角フラスコに
入れ、1.35×4.04cmの不織布を添加して、3
7℃、5分間反応させた。反応後血液を速やかに回収
し、直ちに氷冷下でトラジロール5,000U、大豆ト
リプシンインヒビター2mg、硫酸プロタミン5mg、
エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム20mgを加え
て混合し、4℃で3,000rpm×10分間遠心し
て、上清を回収した。この上清中のブラジキニン濃度を
ラジオアイソトープを用いたポリエチレングリコール沈
澱法にて定量したところ、772pg/mlであった。
この時同時に、不織布を加えずに反応させた対照では、
血漿中のブラジキニン濃度は65.4pg/mlであ
り、不織布存在下でのブラジキニン濃度の上昇があった
ものの、対照の10倍程度の軽微な上昇であった。
【0062】
【実施例2】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)の原料チップ(比重1.3
7)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.125の平均繊維直径2.4μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は13ppmであった。
押し出し成形時の押し出し温度は310℃、スチーム温
度は330℃で、スチーム圧は3.5気圧、吐出量は
0.2g/minであった。この不織布のCWST値は
60dyne/cmで、平均孔径15.3μmであっ
た。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法によ
り測定したところ26.0μeq/gであった。更に、
実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求めたと
ころ、血漿中のブラジキニン濃度は912pg/mlで
あり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0063】
【実施例3】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)の原料チップ(比重1.3
7)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.125の平均繊維直径1.8μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は15ppmであった。
押し出し成形時の押し出し温度は310℃、スチーム温
度は365℃で、スチーム圧は3.0気圧、吐出量は
0.2g/minであった。この不織布のCWST値は
58dyne/cmで、平均孔径12.5μmであっ
た。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法によ
り測定したところ25.0μeq/gであった。更に、
実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求めたと
ころ、血漿中のブラジキニン濃度は650pg/mlで
あり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0064】
【実施例4】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)の原料チップ(比重1.3
7)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.125の平均繊維直径1.2μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は6ppmであった。押
し出し成形時の押し出し温度は310℃、スチーム温度
は320℃で、スチーム圧は2.5気圧、吐出量は0.
3g/minであった。この不織布のCWST値は58
dyne/cmで、平均孔径2.9μmであった。この
不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測定し
たところ21.0μeq/gであった。更に、実施例1
の方法によってブラジキニン上昇性を求めたところ、血
漿中のブラジキニン濃度は491pg/mlであり、極
僅かの上昇しか認められなかった。
【0065】
【比較例1】実施例1と同じ原料チップ(比重1.3
7)を用い、ホッパードライヤー乾燥を行わずに、溶融
押し出し紡糸し、紡口からネット面までの距離(ディス
タンス長)を、60cmに設定し、目付け40g/m
2 、厚み0.32mm、密度0.125の平均繊維直径
1.7μm不織布を紡糸した。このチップ水分率は50
ppmであった。押し出し成形時の押し出し温度は31
0℃、スチーム温度は320℃で、スチーム圧は2.5
気圧、吐出量は0.2g/minであった。この不織布
のCWST値は64dyne/cmで、平均孔径12.
5μmであった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例
1の方法により測定したところ41.2μeq/gであ
った。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇
性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は4,0
00pg/mlであり、非常に顕著な上昇が認められ
た。
【0066】
【比較例2】実施例1と同じ原料チップ(比重1.3
7)を用い、ホッパードライヤー乾燥を行わずに、溶融
押し出し紡糸し、紡口からネット面までの距離(ディス
タンス長)を、60cmに設定し、目付け40g/m
2 、厚み0.32mm、密度0.125の平均繊維直径
1.7μm不織布を紡糸した。このチップ水分率は23
50ppmであった。押し出し成形時の押し出し温度は
310℃、スチーム温度は350℃で、スチーム圧は
3.5気圧、吐出量は0.25g/minであった。こ
の不織布のCWST値は66dyne/cmで、平均孔
径12.5μmであった。この不織布の表面陰性荷電量
を実施例1の方法により測定したところ79.5μeq
/gであった。更に、実施例1の方法によってブラジキ
ニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度
は14,000pg/ml以上の、非常に顕著な上昇が
認められた。
【0067】
【実施例5】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)の原料チップ(比重1.3
7)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.125の平均繊維直径1.6μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は15ppmであった。
押し出し成形時の押し出し温度は310℃、スチーム温
度は365℃で、スチーム圧は3.0気圧、吐出量は
0.2g/minであった。この不織布のCWST値は
58dyne/cmで、平均孔径11.2μm、全細孔
容積が、0.85ml/ml、全細孔面積が0.89m
2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98
%であった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の
方法により測定したところ25.1μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は650p
g/mlであり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0068】
【実施例6】乾燥機を用いてポリブチレンテレフタレー
ト(固有粘度η=0.85)の原料チップ(比重1.3
1)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.125の平均繊維直径1.7μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は15ppmであった。
押し出し成形時の押し出し温度は310℃、スチーム温
度は365℃で、スチーム圧は3.0気圧、吐出量は
0.2g/minであった。この不織布のCWST値は
58dyne/cmで、平均孔径15.2μm、全細孔
容積が、0.81ml/ml、全細孔面積が0.89m
2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の97
%であった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の
方法により測定したところ25.0μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は650p
g/mlであり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0069】
【比較例3】実施例3と同じ原料チップ(比重1.3
7)を用い、ホッパードライヤー乾燥を行わずに、溶融
押し出し紡糸し、紡口からネット面までの距離(ディス
タンス長)を、60cmに設定し、目付け40g/m
2 、厚み0.32mm、密度0.125の平均繊維直径
1.6μm不織布を紡糸した。このチップ水分率は50
ppmであった。押し出し成形時の押し出し温度は31
0℃、スチーム温度は350℃で、スチーム圧は2.7
気圧、吐出量は0.2g/minであった。この不織布
のCWST値は62dyne/cmで、平均孔径15.
1μm、全細孔容積が、0.75ml/ml、全細孔面
積が0.80m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容
積が全体の71%であった。この不織布の表面陰性荷電
量を実施例1の方法により測定したところ55.0μe
q/gであった。更に、実施例1の方法によってブラジ
キニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃
度は7200pg/mlであり、非常に顕著な上昇が認
められた。
【0070】
【実施例7】乾燥機を用いてポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度η=0.49)の原料チップ(比重1.3
7)を十分乾燥した後、ラインを通じてホッパードライ
ヤーにて乾燥したまま、溶融押し出し紡糸し、紡口から
ネット面までの距離(ディスタンス長)を、10cmに
設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32mm、密度
0.174の平均繊維直径1.2μm不織布を紡糸し
た。この乾燥時のチップ水分率は15ppmであった。
押し出し成形時の押し出し温度は320℃、スチーム温
度は380℃で、スチーム圧は2.8気圧、吐出量は
0.2g/minであった。この不織布のCWST値は
60dyne/cmで、平均孔径12.5μm、全細孔
容積が、0.86ml/ml、全細孔面積が0.95m
2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98
%であった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の
方法により測定したところ22.0μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は620p
g/mlであり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0071】
【比較例4】実施例4と同じ原料チップを用い、ホッパ
ードライヤー乾燥を行わずに、溶融押し出し紡糸し、紡
口からネット面までの距離(ディスタンス長)を、60
cmに設定し、目付け40g/m2 、厚み0.32m
m、密度0.125の平均繊維直径1.6μm不織布を
紡糸した。このチップ水分率は50ppmであった。押
し出し成形時の押し出し温度は320℃、スチーム温度
は360℃で、スチーム圧は2.6気圧、吐出量は0.
2g/minであった。この不織布のCWST値は62
dyne/cmで、平均孔径15.2μm、全細孔容積
が、0.85ml/ml、全細孔面積が0.90m2
ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の97%で
あった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法
により測定したところ53.0μeq/gであった。更
に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求め
たところ、血漿中のブラジキニン濃度は7000pg/
mlであり、非常に顕著な上昇が認められた。
【0072】
【比較例5】ポリプロピレンチップ(比重0.90)を
溶融押し出し紡糸し、紡口からネット面までの距離(デ
ィスタンス長)を、45cmに設定し、目付け60g/
2、厚み0.23mm、平均繊維直径1.2μm不織
布を紡糸した。この不織布のCWST値は20dyne
/cmで、平均孔径13.2μm、全細孔容積が、0.
89ml/ml、全細孔面積が0.92m2 /ml、1
〜30μmの孔径の細孔容積が全体の95%であった。
この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測
定したところ22.0μeq/gであった。更に、実施
例1の方法によってブラジキニン濃度を求めたところ、
血漿中のブラジキニン濃度は420pg/mlであった
が、この不織布は親水性が低いため血液があまり浸漬し
なかった。
【0073】
【比較例6】公知の放射線グラフト法により、0.43
重量%の2−ヒドロキシルエチルメタクリレートを0.
082重量%のメタクリル酸とともに0.4重量%のt
−ブタノールを含んだ水溶液中にポリブチレンテレフタ
レート不織布を浸漬し、窒素バブリングを行い、重合溶
液中の溶存ガスを窒素置換した。これにγ線を27.3
kGy(1.2kGy/時間)照射してグラフト重合さ
せた。この不織布のCWST値は102dyne/cm
で、平均繊維直径2.3μm、平均孔径10.2μm、
全細孔容積が、0.87ml/ml、全細孔面積が0.
93m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体
の97%であった。この不織布の表面陰性荷電量を実施
例1の方法により測定したところ112μeq/gであ
った。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇
性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は12,
000pg/mlであり、上昇が認められた。
【0074】
【比較例7】公知の放射線グラフト法により、0.43
重量%の2−ヒドロキシルエチルメタクリレートを0.
082重量%のメタクリル酸メチルとともに0.4重量
%のt−ブタノールを含んだ水溶液中にポリブチレンテ
レフタレート不織布を浸漬し、窒素バブリングを行い、
重合溶液中の溶存ガスを窒素置換した。これにγ線を2
7.3kGy(1.2kGy/時間)照射してグラフト
重合させた。この不織布のCWST値は90dyne/
cmで、平均繊維直径1.8μm、平均孔径9.78μ
m、全細孔容積が、0.87ml/ml、全細孔面積が
0.94m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が
全体の96%であった。この不織布の表面陰性荷電量を
実施例1の方法により測定したところ125μeq/g
であった。更に、実施例1の方法によってブラジキニン
上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は1
4,000pg/mlであり、非常に顕著な上昇が認め
られた。
【0075】
【実施例8】比較例2で用いた不織布と同様のポリエチ
レンテレフタレート不織布に、比較例5と同様な方法の
公知の放射線グラフト法により、0.4重量%の2−ヒ
ドロキシルエチルメタクリレートを0.012重量%の
N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートととも
に、0.4重量%のt−ブタノールを含んだ水溶液を用
いてグラフトした。この不織布のCWST値は102d
yne/cmで、平均孔径12.3μm、全細孔容積
が、0.86ml/ml、全細孔面積が0.88m2
ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の96%で
あった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法
により測定したところ23.3μeq/gであった。更
に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求め
たところ、血漿中のブラジキニン濃度は700pg/m
lであり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0076】
【比較例8】公知の放射線グラフト法により、p−スチ
レンスルホン酸2.5重量%のメタノール溶液中に平均
繊維径が1.53μmのポリエチレン/ポリプロピレン
(1:1)の組成よりなる不織布を浸漬し、窒素を通気
して脱気した。この溶液にγ線を27.3kGy(1.
2kGy/時間)照射してグラフト重合させた。この不
織布のCWST値は104dyne/cmで、平均孔径
9.9μm、全細孔容積が、0.87ml/ml、全細
孔面積が0.89m2 /ml、1〜30μmの孔径の細
孔容積が全体の98%であった。この不織布の表面陰性
荷電量を実施例1の方法により測定したところ123μ
eq/gであった。更に、実施例1の方法によってブラ
ジキニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン
濃度は13,200pg/mlであり、非常に顕著な上
昇が認められた。
【0077】
【実施例9】比較例2で用いた不織布と同様のポリエチ
レンテレフタレート不織布に、公知のプラズマ照射グラ
フト法により、10重量%のメトキシトリエチレングリ
コールメタクリレートを0.5重量%のN,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートとともに、メタノール溶
液に含浸した後、溶液から取り出し、真空乾燥機により
溶媒を蒸発した後、プラズマ照射を3分行い、グラフト
した。この不織布のCWST値は74dyne/cm
で、平均孔径12.5μm、全細孔容積が、0.86m
l/ml、全細孔面積が0.88m2 /ml、1〜30
μmの孔径の細孔容積が全体の96%であった。この不
織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測定した
ところ24.0μeq/gであった。更に、実施例1の
方法によってブラジキニン上昇性を求めたところ、血漿
中のブラジキニン濃度は712pg/mlであり、極僅
かの上昇しか認められなかった。
【0078】
【実施例10】ポリビニルホルマールの高分子多孔質体
(比重1.2)に実施例5と同様の操作で公知のプラズ
マ照射グラフト法により、10重量%のメトキシノナエ
チレングリコールメタクリレートを0.5重量%のN,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとともに、メ
タノール溶液に含浸した後、溶液から取り出し、真空乾
燥機により溶媒を蒸発した後、グラフトした。この高分
子多孔質体のCWST値は74dyne/cmで、平均
孔径8.2μm、全細孔容積が、0.86ml/ml、
全細孔面積が0.79m2 /ml、1〜30μmの孔径
の細孔容積が全体の92%であった。この高分子多孔質
体の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測定したと
ころ23.0μeq/gであった。更に、実施例1の方
法によってブラジキニン上昇性を求めたところ、血漿中
のブラジキニン濃度は672pg/mlであり、極僅か
の上昇しか認められなかった。
【0079】
【実施例11】ポリビニルホルマールの高分子多孔質体
(比重1.2)に実施例5と同様の操作で公知のプラズ
マ照射グラフト法により、10重量%のメトキシトリエ
チレングリコールメタクリレートを0.5重量%のN,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとともに、メ
タノール溶液に含浸した後、溶液から取り出し、真空乾
燥機により溶媒を蒸発した後、グラフトした。この高分
子多孔質体のCWST値は74dyne/cmで、平均
孔径30μm、全細孔容積が、0.82ml/ml、全
細孔面積が0.77m2 /ml、1〜30μmの孔径の
細孔容積が全体の91%であった。この高分子多孔質体
の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測定したとこ
ろ23.6μeq/gであった。更に、実施例1の方法
によってブラジキニン上昇性を求めたところ、血漿中の
ブラジキニン濃度は872pg/mlであり、極僅かの
上昇しか認められなかった。
【0080】
【比較例9】実施例10で用いたのと同様のポリビニル
ホルマールの高分子多孔質体に公知の放射線グラフト法
により、2重量%のモノ(2−メタクリロイルオキシエ
チル)アシッドフォスフェートを用いてグラフトした。
この高分子多孔質体の表面陰性荷電量を実施例1の方法
により測定したところ118μeq/gであった。更
に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求め
たところ、血漿中のブラジキニン濃度は12,700p
g/mlであり、非常に顕著な上昇が認められた。
【0081】
【実施例12】ポリウレタン(比重1.2)の高分子多
孔質体に比較例7と同様の操作で公知の放射線グラフト
法により、10重量%のメトキシトリエチレングリコー
ルメタクリレートをメタノール溶液に含浸した後、溶液
から取り出し、真空乾燥機により溶媒を蒸発した後、グ
ラフトした。この高分子多孔質体のCWST値は88d
yne/cmで、平均孔径8.8μm、全細孔容積が、
0.85ml/ml、全細孔面積が0.90m2 /m
l、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の95%であ
った。この高分子多孔質体の表面陰性荷電量を実施例1
の方法により測定したところ21.0μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は472p
g/mlであり、極僅かの上昇しか認められなかった。
【0082】
【比較例10】実施例12で用いたとの同様のポリウレ
タンの高分子多孔質体に公知の放射線グラフト法によ
り、0.43重量%の2−ヒドロキシルエチルメタクリ
レートを0.082重量%のメタクリル酸とともに0.
4重量%のt−ブタノールを含んだ水溶液中にポリウレ
タン高分子多孔質体を浸漬し、窒素バブリングを行い、
重合溶液中の溶存ガスを窒素置換した。これにγ線を2
5.3kGy(1.2kGy/時間)照射してグラフト
重合させた。この高分子多孔質体のCWST値は98d
yne/cmで、平均孔径8.8μm、全細孔容積が、
0.85ml/ml、全細孔面積が0.90m2 /m
l、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の95%であ
った。この高分子多孔質体の表面陰性荷電量を実施例1
の方法により測定したところ128μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は14,4
00pg/mlであり、非常に顕著な上昇が認められ
た。
【0083】
【実施例13】比較例4の不織布に、公知のジアゾメタ
ンを用いて、エステル化反応を行いカルボキシル基の一
部を、エステル化した。この不織布のCWST値は58
dyne/cmで、平均繊維直径1.6μm、平均孔径
8.2μmであった。この不織布の表面陰性荷電量を実
施例1の方法により測定したところ27.0μeq/
g、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の95%であ
った。更に、実施例1の方法によって、ブラジキニン上
昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は82
0pg/mlであり、上昇が認められなかった。
【0084】
【実施例14】比較例2の不織布に、公知のジアゾメタ
ンを用いて、エステル化反応を行いカルボキシル基の一
部を、エステル化した。この不織布のCWST値は60
dyne/cmで、平均繊維直径1.7μm、平均孔径
12.5μm、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の
97%であった。この不織布の表面陰性荷電量を実施例
1の方法により測定したところ24.0μeq/gであ
った。更に、実施例1の方法によって、ブラジキニン上
昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は62
0pg/mlであり、上昇が認められなかった。
【0085】
【実施例15】公知の放射線グラフト法により合成した
比較例8の不織布に、公知のジアゾメタンを用いて、エ
ステル化反応を行いカルボキシル基の一部を、エステル
化した。この不織布のCWST値は84dyne/cm
で、平均繊維直径1.5μm、平均孔径9.9μm、1
〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98%であった。
この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法により測
定したところ29μeq/gであった。更に、実施例1
の方法によってブラジキニン上昇性を求めたところ、血
漿中のブラジキニン濃度は900pg/mlであり、上
昇が認められなかった。
【0086】
【実施例16】公知の放射線グラフト法により合成した
比較例8の不織布に、公知のアミド化剤であるジシクロ
ヘキシルカルボジイミドを用いて、ジエチルアミンと反
応を行い、アミド化反応を行いカルボキシル基の一部を
アミドとした。この不織布のCWST値は82dyne
/cmで、平均繊維直径1.5μm、平均孔径9.9μ
m、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98%であ
った。この不織布の表面陰性荷電量を実施例1の方法に
より測定したところ22.0μeq/gであった。更
に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性を求め
たところ、血漿中のブラジキニン濃度は650pg/m
lであり、顕著な上昇が認められなかった。
【0087】
【実施例17】比較例10で用いたのと同様のポリウレ
タンの高分子多孔質体に、公知のジアゾメタンを用い
て、エステル化反応を行いカルボキシル基の一部を、エ
ステル化した。この不織布のCWST値は78dyne
/cmで、平均孔径8.6μm、1〜30μmの孔径の
細孔容積が全体の95%であった。この不織布の表面陰
性荷電量を実施例1の方法により測定したところ28μ
eq/gであった。更に、実施例1の方法によってブラ
ジキニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン
濃度は870pg/mlであり、上昇が認められなかっ
た。
【0088】
【実施例18】比較例9で用いたのと同じのポリビニル
ホルマールの高分子多孔質体に、公知のジアゾメタンを
用いて、エステル化反応を行い燐酸基の一部を、エステ
ル化した。この不織布のCWST値は80dyne/c
mで、平均孔径8.2μm、1〜30μmの孔径の細孔
容積が全体の92%であった。この不織布の表面陰性荷
電量を実施例1の方法により測定したところ29.0μ
eq/gであった。更に、実施例1の方法によってブラ
ジキニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラジキニン
濃度は970pg/mlであり、顕著な上昇が認められ
なかった。
【0089】
【実施例19】比較例2の不織布に、公知の放射線グラ
フト法にてメトキシトリエチレングリコールメタクリレ
ートを用いて、表面の一部を被った。この不織布のCW
ST値は74dyne/cmで、平均繊維直径1.7μ
m、平均孔径12.5μmであった。この不織布の表面
陰性荷電量を実施例1の方法により測定したところ2
8.5μeq/gであった。更に、実施例1の方法によ
ってブラジキニン上昇性を求めたところ、血漿中のブラ
ジキニン濃度は850pg/mlであり、上昇が認めら
れなかった。
【0090】
【実施例20】100%エタノール中に、N,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレート(以下DMと略す)を
0.015mol/l、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート(以下HEMAと略す)を0.05mol/l、
メチルメタクリレート(以下MMAと略す)を0.03
mol/l及びメタクリル酸(以下MAAと略す)を
0.0003mol/lの濃度になるように加え、全量
を250mlとした。重合開始剤としてアゾビスイソブ
チロニトリル(AIBN)を0.01モル/1の濃度に
なるように加え、窒素雰囲気下、45℃にて4.5時間
重合させた後、蒸留水に滴下して析出した物質を集めて
凍結乾燥し、DMとHEMA及びMAAとの共重合体を
得た。比較例2の平均繊維直径1.7μmのポリエステ
ル不織布を充填密度0.2g/cm3 、厚み3mmにな
るように、有効濾過面積65mm×65mmの容器に充
填した後、上記の共重合体を100%エタノール溶液に
0.01g/dlの濃度になるように溶解した共重合体
液を上記容器に充填し1分間静置した。次いで窒素ガス
によって充填した共重合体液を追い出した後、更に10
分間窒素ガスを流し続け、更に70℃で7時間真空乾燥
させることにより、上記共重合体をポリエステル不織布
にコーティングした白血球除去フィルター材を作成し
た。この不織布のCWST値は102dyne/cm
で、平均繊維直径1.7μm、平均孔径は12.5μm
であった。この不織布の表面陰性荷電量をポリマーの酸
塩基滴定法により測定したところ28μeq/gであっ
た。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇性
を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は950p
g/mlであり、顕著な上昇は認められなかった。
【0091】
【実施例21】ポリエチレンテレフタレートからなる実
施例5と同様の方法で製造した不織布の平均繊維直径
は、1.6μm、平均孔径が11.2μm、全細孔容積
が、0.85ml/ml、全細孔面積が0.95m2
ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98%で
あった。これを断面積が49×49mmの入口と出口を
有する容器に充填し、フィルター材の厚みを3.3mm
とした。450mlの血液に63mlのCPD液(ci
trate phosphate dextorose
solution)を加えて調製した全血513ml
から、採血後8時間以内に遠心分離により多血小板血漿
243mlを除去して調製し、4℃で15日間保存した
赤血球製剤(ヘマトクリット68%)を、25℃になる
まで室温(26.5℃)に放置した後、ゲル捕捉用とし
て、平均繊維径が20μmのニードル繊維体、マイクロ
アグリゲート(MA)捕捉用として平均繊維径が、3μ
mの不織布、第1ステージの白血球除去フィルターとし
て繊維径2.2μmの不織布を、有効断面積が67×6
7mmの容器に充填して作成したフィルターで処理し、
ゲル、MA及び90%の白血球を除去した後、該赤血球
製剤200mlを新しい血液バッグに移し、上記の白血
球除去器で濾過した。濾過を開始するに当たり、除去器
を血液回路を介して赤血球製剤が入っている血液バッグ
に接続した後、除去器内に血液を満たした。かくして血
液が除去器内に満たされた後、ペリスタポンプを用いて
5ml/分の一定流速で流し続け、濾過に伴う圧力損失
をデジタル式の圧力計で測定した。濾過の終了は、血液
バッグ内の血液がなくなった時点とし、フィルター装置
下流に血液回路を介して接続した回収バッグをフィルタ
ー装置の血液出口の下流30〜40cmのところで回路
ごと切断し、回路及び回収バッグ内の血小板製剤を回収
液とした。
【0092】濾過前の赤血球製剤(以下、濾過前液とい
う)及び回収液の体積、血小板数、白血球数を測定し、
赤血球回収率及び白血球残存率を求めた。 赤血球回収率={回収液体積×ヘマトクリット(回収
液)}/{濾過前液体積×ヘマトクリット(濾過前
液)} 白血球残存率={白血球数(回収液)}/{濾過前液体
積×白血球濃度(濾過前液)} なお、濾過前液及び回収液の体積は、それぞれの重量を
比重1.075で割った値とした。また白血球濃度の測
定は次の方法で行った。 濾過前液の白血球濃度の測定:チュルク液によって、1
0倍希釈した濾過前液をビルケルチュルク型の血球計算
板に注入し、光学顕微鏡を用いて大区画4区画中に存在
する白血球をカウントし、この値をnpre とした。 白血球濃度(濾過面)=npre ×0.25×105 個/
ml
【0093】また、回収液の白血球数の測定は、以下に
示す方法によって行った。 回収液の白血球数の測定:回収液100mlに5%フィ
コール400DLをEBSS溶液(以下フィコール液と
いう)100mlを振とう混和しながら加えた後、40
分静置した。静置後、沈降している赤血球層を乱さない
ように注意深く上澄を回収した後、再び100mlのフ
ィコール液を加え、同様の操作を繰り返した。2回の操
作により回収された上澄をコーニング25350遠心チ
ューブに分注し、840×g、15分遠心し、沈査を吸
い上げぬように注意しながら、上澄をアスピレータで廃
棄した。各遠心チューブに200mlの溶血液(1.1
45%しゅう酸アンモニウム生理食塩液)を加えて振と
う混和し、ただちに468×g、10分間遠心し、沈査
を吸い上げぬように注意しながら、上澄をアスピレータ
で廃棄した。沈査を容量15mlの遠心チューブに集
め、溶血液を加えて全量を15mlとした後、10分間
室温に静置した。静置後、468×g、10分間遠心
し、沈査を含む0.5mlを残して、上澄を慎重に廃棄
した。沈査を含む液を十分に攪拌して単一細胞浮遊液と
した後、蛍光染色液(69.9mg/1アクリジンオレ
ンジ液)50μlを加え、更に攪拌した。この液を、改
良型ノイバウエル式血球計算盤6枚に注入し、落射式蛍
光顕微鏡を用いて大区画108区画中に存在する白血球
をカウントした。このカウント値n2 から次式によっ
て、回収液白血球数を算出した。 回収液白血球数=2 ×(1/108)×104 ×0.55×(1/0.55) ×{回収液体積(ml)}/100 下線部が回収液100mlからフィコール液を用いて最
終的に0.55mlまで濃縮した液(以下濃縮液とい
う)中の白血球濃度(個/ml)であり、これに濃縮液
の体積0.55mlを乗じて白血球数を算出する。更に
0.55で割るのは、フィコール液を用いて白血球を回
収する際の回収率が55%であるためである。以上の結
果、白血球残存率は10-4.5であった。濾過終了時の圧
力損失は26mmHgであった。血液の出口側よりサン
プリングした血液の血漿中のブラジキニン濃度は750
pg/mlであり、上昇がほとんど認められなかった。
【0094】
【比較例11】ポリエチレンテレフタレートからなる比
較例3と同様の方法で製造した不織布の平均繊維直径
は、1.6μm、平均孔径が15.1μm、全細孔容積
が、0.85ml/ml、全細孔面積が0.89m2
ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の97%で
あった。これを断面積が49×49mmの入口と出口を
有する容器に充填し、フィルター材の厚みを3.3mm
とした。450mlの血液に63mlのCPD液(ci
trate phosphate dextorose
solution)を加えて調製した全血513ml
から、採血後8時間以内に遠心分離により多血小板血漿
243mlを除去して調製し、4℃で15日間保存した
赤血球製剤(ヘマトクリット68%)を、25℃になる
まで室温(26.5℃)に放置した後、ゲル捕捉用とし
て、平均繊維径が20μmのニードル繊維体、マイクロ
アグリゲート(MA)捕捉用として平均繊維径が、3μ
mの不織布、第1ステージの白血球除去フィルターとし
て繊維径2.2μmの不織布を、有効断面積が67×6
7mmの容器に充填して作成したフィルターで処理し、
ゲル、MA及び90%の白血球を除去した後、該赤血球
製剤200mlを新しい血液バッグに移し、上記の白血
球除去器で濾過した。実施例21と同様の操作を行った
結果、白血球残存率は10-4.4、であった。濾過終了時
の圧力損失は28mmHgであった。更に血液の出口側
よりサンプリングした血液の血漿中のブラジキニン濃度
は4700pg/mlであり、濾過前血液血漿中の濃度
62pg/mlに比べ、顕著な上昇が認められた。
【0095】
【実施例22】ポリエチレンテレフタレート(チップ水
分率13ppm)からなる実施例1と同様の方法で製造
した不織布の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔径が
9.4μm、全細孔容積が、0.81ml/ml、全細
孔面積が0.91m2 /ml、1〜30μmの孔径の細
孔容積が全体の98%であった。これを断面積が49×
49mmの入口と出口を有する容器に充填し、フィルタ
ー材の厚みを3.3mmとした。450mlの血液に6
3mlのCPD液(citrate phosphat
e dextorose solution)を加えて
調製した全血513mlから、採血後8時間以内に遠心
分離によって多血小板血漿243mlを除去して調製
し、4℃で15日間保存した赤血球製剤(ヘマトクリッ
ト68%)を、25℃になるまで室温(26.5℃)に
放置した後、上記の白血球除去器で濾過した。実施例2
1と同様の操作を行った結果、白血球残存率は1
-4.0、であった。濾過終了時の圧力損失は50mmH
gであった。この不織布の表面陰性荷電量は、25.6
μeq/gであった。血液の出口側よりサンプリングし
た血液の血漿中のブラジキニン濃度は725pg/ml
であり、濾過前血液血漿中の濃度73pg/mlに比
べ、上昇がほとんど認められた。
【0096】
【比較例12】ポリエチレンテレフタレート(原料チッ
プ水分率50ppm)からなる比較例1と同様の方法で
製造した不織布の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔
径が32.2μm、全細孔容積が、0.40ml/m
l、全細孔面積が0.50m2 /ml、1〜30μmの
孔径の細孔容積が全体の60%であった。これを断面積
が49×49mmの入口と出口を有する容器に充填し、
フィルター材の厚みを3.3mmとした。450mlの
血液に63mlのCPD液(citrate phos
phate dextorose solution)
を加えて調製した全血513mlから、採血後8時間以
内に遠心分離により多血小板血漿243mlを除去して
調製し、4℃で15日間保存した赤血球製剤(ヘマトク
リット68%)を、25℃になるまで室温(26.5
℃)に放置した後、上記の白血球除去器で濾過した。実
施例13と同様の操作を行った結果、白血球残存率は1
-2.1、であった。濾過終了時の圧力損失は28mmH
gであった。この不織布の表面陰性荷電量は、42.6
μeq/gであった。更に血液の出口側よりサンプリン
グした血液の血漿中のブラジキニン濃度は5700pg
/mlであり、濾過前血液血漿中の濃度173pg/m
lに比べ、顕著な上昇が認められた。
【0097】
【実施例23】ポリエチレンテレフタレート(チップ水
分率13ppm)からなる実施例1と同様の方法で製造
した不織布の平均繊維直径は、1.6μm、平均孔径が
9.2μm、全細孔容積が、0.82ml/ml、全細
孔面積が0.92m2 /ml、1〜30μmの孔径の細
孔容積が全体の98%であった。これを断面積が49×
49mmの入口と出口を有する容器に厚み3.3mmに
充填し、更に入口側に平均繊維直径2.4μm、平均孔
径30μmのPET(チップ水分率13ppm)からな
る不織布を厚み0.7mm充填し、フィルター材の厚み
を4.0mmとした。450mlの血液に67.5ml
のACD−A液(acid citratedextr
ose−A)を加えて調製した全血517.5mlか
ら、採血後8時間以内に遠心分離により多血小板血漿2
43mlを除去して調製し、4℃で15日間保存した赤
血球製剤(ヘマトクリット68%)を、25℃になるま
で室温(26.5℃)に放置した後、上記の白血球除去
器で濾過した。結果、白血球残存率は10-4.5、であっ
た。濾過終了時の圧力損失は22mmHgであった。こ
の不織布の表面陰性荷電量は、23.6μeq/gであ
った。血液の出口側よりサンプリングした血液の血漿中
のブラジキニン濃度は872pg/mlであり、濾過前
血液血漿中の濃度73pg/mlに比べ、上昇がほとん
ど認められなかった。
【0098】
【比較例13】ポリエチレンテレフタレート(チップ水
分率53ppm)からなる比較例1と同様の方法で製造
した不織布の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔径が
12.5μm、全細孔容積が、0.86ml/ml、全
細孔面積が0.88m2 /ml、1〜30μmの孔径の
細孔容積が全体の98%であった。これを断面積が49
×49mmの入口と出口を有する容器に厚み3.3mm
に充填し、更に上流側に平均繊維直径2.4μm、平均
孔径30μmのPET(チップ水分率13ppm)から
なる不織布を厚み0.7mm充填し、フィルター材の厚
みを4.0mmとした。450mlの血液に67.5m
lのACD−A液(acid citratedext
rose−A)を加えて調製した全血517.5mlか
ら、採血後8時間以内に遠心分離により多血小板血漿2
43mlを除去して調製し、4℃で15日間保存した赤
血球製剤(ヘマトクリット68%)を、25℃になるま
で室温(26.5℃)に放置した後、上記の白血球除去
器で濾過した。結果、白血球残存率は10-4.9、であっ
た。濾過終了時の圧力損失は22mmHgであった。こ
の不織布の表面陰性荷電量は、それぞれ22.6μeq
/g(上流側)と41.2μeq/g(下流側)であっ
た。血液の出口側よりサンプリングした血液の血漿中の
ブラジキニン濃度は4500pg/mlであり、濾過前
血液血漿中の濃度73pg/mlに比べ、上昇が認めら
れた。
【0099】
【比較例14】ポリエチレンテレフタレート(チップ水
分率15ppm)からなる実施例1と同様の方法で製造
した不織布の平均繊維直径は、1.8μm、平均孔径が
12.5μm、全細孔容積が、0.86ml/ml、全
細孔面積が0.89m2 /ml、1〜30μmの孔径の
細孔容積が全体の97%であった。これを断面積が49
×49mmの入口と出口有する容器に厚み3.3mmに
充填し、更に上流側に平均繊維直径2.4μm、平均孔
径30μmのPET(チップ水分率55ppm)からな
る不織布を厚み0.7mm充填し、フィルター材の厚み
を4.0mmとした。450mlの血液に67.5ml
のACD−A液(acid citratedextr
ose−A)を加えて調製した全血517.5mlか
ら、採血後8時間以内に遠心分離により多血小板血漿2
43mlを除去して調製し、4℃で15日間保存した赤
血球製剤(ヘマトクリット68%)を、25℃になるま
で室温(26.5℃)に放置した後、上記の白血球除去
器で濾過した。結果、白血球残存率は10-4.9、であっ
た。濾過終了時の圧力損失は22mmHgであった。こ
の不織布の表面陰性荷電量は、それぞれ50.0μeq
/g(上流側)と23.8μeq/g(下流側)であっ
た。血液の出口側よりサンプリングした血液の血漿中の
ブラジキニン濃度は7300pg/mlであり、濾過前
血液血漿中の濃度73pg/mlに比べ、上昇が認めら
れた。
【0100】
【実施例24】血液回路に血液ポンプ、ドリップチェン
バーを組み込み、ポリエチレンテレフタレート(チップ
水分率13ppm)からなる実施例1と同様の方法で製
造した不織布の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔径
が9.4μm、全細孔容積が、0.81ml/ml、全
細孔面積が0.91m2 /ml、1〜30μmの孔径の
細孔容積が全体の98%であった。この不織布を20c
m×240cmの大きさに切断し、これを円筒状に巻
き、直径(内径)50cm×20cmの円筒容器に充填
し、上下両端をポリウレタンによって閉じ、血液の流れ
が外側から内側へと流れるように血液の下流側の中央部
に血液の出口の流路を作った白血球除去器を作成した。
これを血液ポンプ、ドリップチェンバーを組み込んだ血
液回路に接続し、実施例23と同様の抗凝固剤にACD
−Aを用いた血液41を血液プールより、流速50ml
/minで流し、白血球除去を行った。結果、白血球残
存率は10-4.9、であった。濾過終了時の圧力損失は8
5mmHgであった。この不織布の表面陰性荷電量は、
25.5μeq/gであった。血液出口側から採取した
血液の血漿中のブラジキニン濃度は872pg/mlで
あり、濾過前血液血漿中の濃度61pg/mlに比べ、
顕著な上昇がほとんど認められなかった。
【0101】
【実施例25】比較例2で用いた不織布と同様のポリエ
チレンテレフタレート不織布に、比較例5と同様な方法
で公知の放射線グラフト法により、2重量%の2−ヒド
ロキシルエチルメタクリレートを2重量%のN,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、0.012重量%
のメタクリル酸と共に、0.4重量%のt−ブタノール
を含んだ水溶液を用いてグラフトした。このときのグラ
フト率は、グラフトの前後の重量変化より15%であっ
た。この不織布のCWST値は98dyne/cmで、
平均孔径が12.3μm、全細孔容積が、0.86ml
/ml、全細孔面積が0.88m2 /ml、1〜30μ
mの孔径の細孔容積が全体の96%であった。この不織
布の表面荷電量を実施例1の方法によって測定したとこ
ろ、陰性荷電量より陽性荷電量が明らかに多いため正確
な測定は出来ず、3μeq/g以下であった。また、サ
フラニンOによる色素吸着より、陰性荷電の存在が確認
され、更に陰性荷電量が測定され、約9μeq/gであ
った。更に、実施例1の方法によってブラジキニン上昇
性を求めたところ、血漿中のブラジキニン濃度は400
pg/mlであり、極僅かの上昇しか認められなかっ
た。各実施例及び比較例の結果を表1〜表6に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均孔径が1〜100μm、全細孔容積
    が0.4〜0.95ml/ml、細孔直径が1〜100
    μmの孔が全細孔容積の75%以上を占める高分子から
    なる多孔性の血液濾過材であって、表面に陰性荷電を有
    し、且つその総荷電量が−30μeq/g以上である血
    液濾過材。
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