JPH0673603A

JPH0673603A - 吸放湿性衣類

Info

Publication number: JPH0673603A
Application number: JP4228966A
Authority: JP
Inventors: Shigeru Aoyama; 滋青山
Original assignee: NIPPON DESHIKANTO KK; Mizuno Corp
Current assignee: NIPPON DESHIKANTO KK; Mizuno Corp
Priority date: 1992-08-27
Filing date: 1992-08-27
Publication date: 1994-03-15

Abstract

(57)【要約】【目的】タオルで拭いた時のような爽快感のある吸湿性
を備えるとともに、すぐれた放湿性を有する衣類を提供
することを目的としている。【構成】防風性、防水性その他所望の性質を有する表生
地２と、該表生地２の裏側に貼着された裏生地とからな
る吸放湿性衣類１であって、前記裏生地が、所定湿度以
下で放湿し、所定湿度以上で吸湿するとともに、自重の
２倍以上の捕水量を有するようになされた吸放湿布３に
よって形成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吸放湿性を有する衣類
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、運動時などは汗をかきやすいの
で、衣類としては、優れた通湿性または吸湿性が要求さ
れる。

【０００３】従来より、通湿性に優れた衣類としては、
例えば、雨具やウインドブレーカーなどの防水性および
防風性に優れた衣類に、通湿性を備えたものが提案され
ている。すなわち、この衣類は、裏地側から吸湿した湿
気を、表地側から素早く放湿することによって、衣類が
捕水して重たくならず、かつ、表地側が防水性および防
風性を有するようになされている。

【０００４】また、吸湿性に優れた衣類としては、例え
ば、スエットシャツのように、裏地側がタオル地状に形
成され、汗を素早く吸収するようになされた吸湿性に優
れた衣類が知られている。また、吸水性高分子ポリマー
の入った紙おむつのように、尿を完全吸収するようにな
された衣類が知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の通
気性および通湿性に優れた衣類の場合、生地自身の捕水
性が乏しく、単に生地自身の通湿性によって汗を外部に
吸放湿させるだけなので、汗をタオルで拭き取った時の
ような爽快感はなく、漸次的に吸放湿されることとな
る。そのため、このような素材を採用した雨具やウイン
ドブレーカーなどであっても、大量に汗をかくような場
合には、充分に対応できない。

【０００６】この点、スエットシャツの場合は、生地自
身が吸湿するので汗をかいた場合に素早く吸収してくれ
るが、雨具やウインドブレーカーなどのように防水性お
よび防風性に優れた衣類の素材としては採用できない。
また、吸収力を生地自身の捕水力に頼っているため、大
量の汗を吸収するためには、生地自身を分厚くしなけれ
ばならない。ところが、このように生地自身を分厚く形
成すると、使用後に放湿させる、すなわち、乾かすのに
時間がかかるといった不都合を生じることとなる。その
他、中綿入りの自動車レース用のレーシングウェアの場
合も、上記ウエットシャツの場合と同様に、耐火性など
が要求されるために衣類自身が分厚くなっているので、
放湿性に優れたものとすることができない。

【０００７】また、吸水性高分子ポリマーの入った紙お
むつなどの場合は、薄くても充分の吸収力を有するが、
吸収した後、分解してゼリー状になってしまうので、放
湿させて再利用することができず、衣類としては不経済
である。

【０００８】本発明は、係る実情に鑑みてなされたもの
で、タオルで拭いた時のような爽快感のある吸湿性を備
えるとともに、すぐれた放湿性を有する衣類を提供する
ことを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の吸放湿性衣類は、防風性、防水性その他所望
の性質を有する表生地と、該表生地の裏側に貼着された
裏生地とからなる衣類であって、前記裏生地が、所定湿
度以下で放湿し、所定湿度以上で吸湿するとともに、自
重の２倍以上の捕水量を有するようになされた吸放湿布
によって形成されたものである。

【００１０】また、防風性、防水性その他所望の性質を
有する表生地および裏生地と、該表生地および裏生地の
間に挿入するようになされた中綿とからなる衣類であっ
て、前記中綿が、所定湿度以下で放湿し、所定湿度以上
で吸湿するとともに、自重の２倍以上の捕水量を有する
ようになされた吸放湿綿によって形成されたものであ
る。

【００１１】

【作用】請求項１記載の本発明によると、着用時に発汗
すると、裏生地である吸放湿布が素早く吸収することと
なる。また、着用時に蒸れてきた場合も、該吸放湿布が
素早く湿気を吸湿することとなる。さらに、脱衣後は、
日向などの乾燥した空気により乾すことによって吸放湿
布が素早く放湿して平衡になり、吸湿前の状態に復元す
る。

【００１２】また、請求項２記載の本発明によると、着
用時に発汗すると、裏生地を介して吸放湿綿が素早く吸
収することとなる。また、着用時に蒸れてきた場合も、
裏生地を介して吸放湿綿が素早く湿気を吸湿することと
なる。さらに、脱衣後は、日向などの乾燥した空気によ
り乾すことによって吸放湿綿が素早く放湿して平衡にな
り、吸湿前の状態に復元する。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。

【００１４】

【実施例１】図１はウインドブレーカー１の要部断面を
示している。

【００１５】すなわち、このウインドブレーカー１は、
表生地２と、裏生地である吸放湿布３とによって形成さ
れている。

【００１６】表生地２は、防風性に優れた素材で身頃全
体を形成するようになされている。また、この表生地２
は、防風性に加えて通湿性にも優れた新素材などで構成
されたものであってもよい。

【００１７】吸放湿性布３としては、例えば、湿度６０
％以下で放湿し、湿度８０％以上で吸湿するとともに、
自重の２倍の捕水量を有するようになされたものを使用
することができる。具体的には、多孔質の酸化ケイ素な
どの無機吸放湿剤と、有機系吸水ポリマーとを、混合、
重合、架橋剤結合させることによって不織布として形成
することができる。また、天然繊維以外の本来吸水性を
有さない繊維材料に、オングストローム単位の微細孔を
生成させた、すなわちシリカゲル程度の微細孔を生成し
た繊維を用いてもよい。この場合、吸水時に吸湿熱を発
生することが考えられるが、この熱も即乾性に寄与し得
る。

【００１８】この吸放湿布３は、表生地２に合わせて身
頃全体を形成してもよいし、発汗しやすい脇の下、背中
および胸元など、部分的に形成したものであってもよ
い。ただし、この吸放湿布３によってウインドブレーカ
ー１の吸放湿力が左右されることとなるので、例えば、
有効面積３ｍ²で、少なくとも１０００ｇの汗を吸収で
きるウインドブレーカー１とする場合には、１ｍ²で約
３３０ｇの汗を吸収しなければならない。すなわち、吸
放湿布３が自重の２倍の捕水量を有するものだとする
と、１ｍ²で約１６５ｇ、厚さにして約０．７５ｍｍの
吸放湿布３によって、表生地２と同様の身頃を設けなけ
ればならない。

【００１９】また、この吸放湿布３を、表生地２の裏面
に設ける方法としては、通常の衣類のように、縫製する
時に表生地２と一緒に縫うこともできるし、ヒートシー
ルや粘着シートを介して貼着することもできる。そのた
め、既製のウインドブレーカーなどにも容易に取り付け
ることができる。

【００２０】なお、本実施例では、湿度６０％以下で放
湿し、湿度８０％以上で吸湿するようになされた吸放湿
布３を用いているが、吸放湿する湿度の設定はこれに限
定されるものではなく、必要に応じて好適な吸放湿点を
有する吸放湿布３を用いることができる。また、吸放湿
布３の捕水量も、２倍に限定されるものではなく、２倍
以上から数十倍の捕水量のものまで、必要に応じた適宜
の吸放湿布３を用いることができる。

【００２１】また、本実施例では、ウインドブレーカー
１について述べているが、発汗する汗を吸収するととも
に蒸れを防ぐ目的の衣類であれば、表生地２の変更によ
って各種衣類を構成することができる。例えば、表生地
２として防水性に優れたものを用いることで、レインコ
ートとして構成することができる。

【００２２】さらに、衣類としては、ウインドブレーカ
ー１のような上着に限定されるものではなく、帽子、手
袋、靴下および靴の底敷など、身体に接する各種の衣類
に適応することができる。

【００２３】

【実施例２】図２は、本例に係る自動車レース用のレー
シングウェア１１の要部断面を示している。

【００２４】すなわち、このレーシングウェア１１は、
表生地４と、裏生地５との間に、中綿である吸放湿綿６
を挿入している。

【００２５】表生地４は、耐熱性の難燃繊維からなり、
身頃全体を形成するようになされている。

【００２６】裏生地５も、上記表生地４と同様に、身頃
全体を形成するようになされており、この両者間に、適
宜の厚みで吸放湿綿６を挿入するようになされている。
ただし、このレーシングウェア１１は、裏生地５を介し
て吸放湿綿６が優れた吸放湿性を有するので、裏生地５
としては通湿性の優れたものであることが好ましい。

【００２７】吸放湿性綿６としては、例えば、湿度６０
％以下で放湿し、湿度８０％以上で吸湿するとともに、
自重の２倍の捕水量を有するようになされたものを使用
することができる。具体的には、多孔質の酸化ケイ素な
どの無機吸放湿剤と、有機系吸水ポリマーとを、混合、
重合、架橋剤結合させることによって吸放湿性の粉末も
しくは繊維状とし、これを耐熱繊維中に分散させること
によって形成することができる。そして、この耐熱繊維
中に分散させる吸放湿性粉末（もしくは繊維）の割合を
調節することによって、捕水量などを決定することがで
きる。

【００２８】この吸放湿綿６は、表生地４および裏生地
５に合わせて身頃全体に挿入してもよいし、発汗しやす
い脇の下、背中および胸元など部分的に挿入したもので
あってもよい。ただし、背中やお尻などの後身頃の部分
は、車に乗り込んだ状態でシートと接することとなるの
で、これらを除く前身頃の部分に集中して吸放湿綿６を
挿入するのが快適である。

【００２９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、所
定湿度以上で吸放湿布および吸放湿綿が吸湿することに
よって汗や湿気を吸湿するので、各種の表生地と組み合
わせることによって、各種衣類においてタオルで拭いた
時のような爽快感のある吸湿性を得ることができる。ま
た、所定湿度以下で吸放湿布および吸放湿綿が放湿する
ので、容易に乾燥させて繰り返し使用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ウインドブレーカーの要部構成を示す断面図で
ある。

【図２】レーシングウェアの要部構成の示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ウインドブレーカー（衣類）１１レーシングウェア（衣類）２表生地３吸放湿布４表生地５裏生地６吸放湿綿

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成５年６月２４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００２

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００２】一般に、運動時などは汗をかきやすいの
で、衣類としては、優れた透湿性または吸湿性が要求さ
れる。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００３

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００３】従来より、透湿性に優れた衣類としては、
例えば、雨具やウインドブレーカーなどの防水性および
防風性に優れた衣類に、透湿性を備えたものが提案され
ている。すなわち、この衣類は、裏地側から吸湿した湿
気を、表地側から素早く放湿することによって、衣類が
捕水して重たくならず、かつ、表地側が防水性および防
風性を有するようになされている。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００５

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の通
気性および透湿性に優れた衣類の場合、生地自身の捕水
性が乏しく、単に生地自身の透湿性によって汗を外部に
吸放湿させるだけなので、汗をタオルで拭き取った時の
ような爽快感はなく、漸次的に吸放湿されることとな
る。そのため、このような素材を採用した雨具やウイン
ドブレーカーなどであっても、大量に汗をかくような場
合には、充分に対応できない。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１６】表生地２は、防風性に優れた素材で身頃全
体を形成するようになされている。また、この表生地２
は、防風性に加えて透湿性にも優れた新素材などで構成
されたものであってもよい。

【手続補正５】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１７】吸放湿性布３としては、例えば、湿度６０
％以下で放湿し、湿度８０％以上で吸湿するとともに、
自重の２倍の捕水量を有するようになされたものを使用
することができる。ただし、ここでいう捕水とは、水分
を短時間に吸放水できる保水状態を指す。例えば、多孔
質の酸化ケイ素や合成ゼオライトなどの無機吸放湿剤
と、有機系吸水ポリマーとを、混合、重合、架橋剤結合
させることによって不織布として形成することができ
る。また、天然繊維以外の本来吸水性を有さない繊維材
料に、オングストローム単位の微細孔を生成させた、す
なわちシリカゲル程度の微細孔を生成した繊維を用いて
もよい。これらの場合、吸水時に吸湿熱を発生すること
が考えられるが、この熱は、即乾性と着用感に寄与し得
る。

【手続補正６】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２６】裏生地５も、上記表生地４と同様に、身頃
全体を形成するようになされており、この両者間に、適
宜の厚みで吸放湿綿６を挿入するようになされている。
ただし、このレーシングウェア１１は、裏生地５を介し
て吸放湿綿６が優れた吸放湿性を有するので、裏生地５
としては透湿性の優れたものであることが好ましい。

【手続補正７】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２７】吸放湿性綿６としては、例えば、湿度６０
％以下で放湿し、湿度８０％以上で吸湿するとともに、
自重の２倍の捕水量を有するようになされたものを使用
することができる。ただし、ここでいう捕水とは、水分
を短時間に吸放水できる保水状態を指す。例えば、多孔
質の酸化ケイ素や合成ゼオライトなどの無機吸放湿剤
と、有機系吸水ポリマーとを、混合、重合、架橋剤結合
させることによって吸放湿性の粉末もしくは繊維状と
し、これを耐熱繊維中に分散させることによって形成す
ることができる。そして、この耐熱繊維中に分散させる
吸放湿性粉末（もしくは繊維）の割合を調節するこによ
って、捕水量などを決定することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】防風性、防水性その他所望の性質を有す
る表生地と、該表生地の裏側に貼着された裏生地とから
なる衣類であって、前記裏生地が、所定湿度以下で放湿
し、所定湿度以上で吸湿するとともに、自重の２倍以上
の捕水量を有すようになされた吸放湿布によって形成さ
れたことを特徴とする吸放湿性衣類。
【請求項２】防風性、防水性その他所望の性質を有す
る表生地および裏生地と、該表生地および裏生地の間に
挿入するようになされた中綿とからなる衣類であって、
前記中綿が、所定湿度以下で放湿し、所定湿度以上で吸
湿するとともに、自重の２倍以上の捕水量を有するよう
になされた吸放湿綿によって形成されたことを特徴とす
る吸放湿性衣類。