JPH0347529Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「考案の目的」 本考案は靴用中敷の考案に係り、靴用中敷を用
いた着用歩行時において蒸れ感を与えることが少
く、靴の快適な着用を図ろうとするものである。

産業上の利用分野 靴内の底部などに用いられる靴用中敷。

従来の技術 靴用中敷として従来採用されているものは皮革
製、合成樹脂製、或いは棘瓜繊維などの天然繊維
材、更には活性炭などを不織布や織物などで包み
込んだものなどがあり、その形態は一般的に靴の
底部内面に合致したものとされている。

考案が解決しようとする問題点 ところが上記のような従来のものにおいては発
汗などによる液分が着用者の足の周囲に存するこ
ととなるから若干の歩行によつて蒸れ感を与える
ことが著しく、即ち蒸れによる不快感と疲労を与
える。特に靴の外被層はゴム製、皮革製などの何
れであつても殆んど通気せず、勿論透水しないか
ら発汗水分の実質的全体が靴内に保留されるよう
なこととなる。

「考案の構成」 問題点を解決するための手段 防水透湿性延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
レンフイルムに吸水性樹脂層を形成したものを保
護布帛によつて被覆したことを特徴とする靴用中
敷。

作 用 保護布帛は防水透湿性延伸多孔質ポリテトラフ
ルオロエチレンフイルムと吸水性樹脂層とを保護
すると共に一体化して靴内に対する装脱を容易に
する。

防水透湿性延伸多孔質ポリテトラフルオロエチ
レンフイルムはその組織からして発汗時の蒸気を
有効に透過するが、その蒸気透過量は該フイルム
の内外における蒸気圧差に比例する。即ち実質的
に非透水（防水）で且つ非透湿性である靴の外被
内においては前記防水透湿性フイルムの内外にお
ける蒸気圧が共に高くなつたままであることから
このフイルムにおける透湿性能が著しく低減され
ることとなるが、このようなフイルム内外が共に
高い蒸気圧状態となろうとする際にその外面に形
成された吸水性樹脂層においてフイルム外面側の
水分を吸水するから上記フイルムの外面側は低蒸
気圧化され、従つてこのフイルムにおける透湿性
（蒸気圧差）は少くとも吸水性樹脂層の保水量範
囲内において常に高く保持され、足の周辺から有
効に蒸気分を排除する。

前記吸水性樹脂の吸水量（保水量）は自重の少
くとも数十倍以上、一般的には100〜1000倍或い
はそれ以上に達し、その吸水による好ましい透湿
性が確保される。

実施例 上記したような本考案によるものの具体的な実
施態様を添附図面に示すものについて説明する
と、第１図に示すように靴底内面の形状に即応し
て形成された中底部体１０は、第２，３図をも参
照して明かなようにその表裏を織布又は編布或い
は不織布のような保護布５で被覆されているが、
その底部には吸水性樹脂層２が形成され、又該吸
水性樹脂層２上に防水透湿性延伸多孔質ポリテト
ラフルオロエチレンフイルム１が形成される。第
２図のものはで前記フイルム１上に上記保護布５
が接着されているが、この部分の構造は第３図に
示すようにフイルム１と保護布５の間に脱臭作用
をなす活性炭層３を形成することができ、又第４
図に示すように底面保護布５と吸水性樹脂層２と
の間に前記活性炭層３を形成してよい。

前記吸水性樹脂層２は該吸水性樹脂のみで形成
してよいが、又第３図のようにパルプ６を吸水性
樹脂に分散させたものによつて前記層２を形成
し、或いは第４図に示すように不織布４を用い、
不織布４の片面又は両面に吸水性樹脂層２を接着
固定したものとして所定形態を保持するようにす
ることができる。勿論不織布４と吸水性樹脂にパ
ルプを分散したものとを併用することができる
し、場合によつては第５図に示すように吸水性樹
脂層２又はパルプを分散させた該樹脂層２を不織
布４ａで挾み込んだものとしてよい。このように
パルプ６や不織布４，４ａを用いて吸水性樹脂層
２の形態を安定に保持するようにすることにより
前述のように多量の水分を吸収した場合において
も該樹脂層２の形態が維持されるわけであつて、
用いられる樹脂層２の吸水能を考慮し、その材
質、配合量を適当に選ぶ。

前記した延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ンフイルム１の具体的構成としては第６，７図に
顕微鏡的に組織を拡大して示す通りである。即ち
弗素樹脂フイルムを延伸処理することにより、一
方向延伸の場合には第６図、多方向延伸の場合に
は第７図に示すような組織を形成することとなる
もので、微小結節部１１が無数の微細フイブリル
１２によつてくもの巣状の如きに連結されたもの
であつて、その空隙率は少くとも60％以上、好ま
しくは85〜95％で、しかもμmオーダ以下、場合
によつては0.01〜0.02μmのような微細孔隙を形成
し、前記樹脂自体の有する揆水性と相俟つて非透
水組織をなすものであるが、しかも蒸気などの気
体をば略適切に透過するものである。

前記吸水性樹脂層２の形成は場合によつては防
水透湿性フイルム１の片面にコーテイングして形
成してもよいが、斯かる吸水性樹脂としては近時
において高吸水性のものがアクリル酸ソーダ系、
アクリル酸ビニルアルコール共重合体系のもの、
又変性ポパール系或いは殿粉系の如きにおいて開
発され、自重の数十倍ないし1000倍以上にも達す
るような卓越した吸水性能を有し、これらのもの
を適宜に採用することができる。なおこの吸水性
樹脂層３としては場合によつては踏圧時の弾力復
元性を考慮したものとすることができる。

「考案の効果」 以上説明したような本考案によるときは発汗蒸
気分は防水透湿性フイルム１を介して吸水性樹脂
層２に吸水され、該層２の吸水によつてフイルム
１の樹脂層２側を低蒸気圧条件に保持し、該フイ
ルム１の透湿性を高く維持し、しかもそ吸収水分
は前記フイルム１を介して再び足の周辺に戻るこ
とがなく、足の周辺は常に水分の存しない乾燥状
態に保持できるので蒸れ感を与えることのない快
適な靴の着用を図らしめるもので、実用上その効
果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すもので、第１図
は本考案による靴用中敷の部分切欠平面図、第２
図はその拡大断面図、第３図から第５図は夫々そ
の変形例を示した第２図と同様な拡大断面図、第
６図と第７図はその防水透湿性延伸多孔質ポリテ
トラフルオロエチレンフイルムについての繊維形
状顕微鏡写真である。 然してこれらの図面において、１は防水透湿性
延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフイル
ム、２は吸水性層、３は活性炭層、４，４ａは不
織布、５は保護布、１０は中底部体、１１は微小
結節部、１２は微細フイブリルを示すものであ
る。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 防水透湿性延伸多孔質ポリテトラフルオロエ
   チレンフイルムに吸水性樹脂層を形成したもの
   を保護布帛によつて被覆したことを特徴とする
   靴用中敷。 ２ 活性炭層をも保護布帛内に形成した実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載の靴用中敷。