JPH0673483U - ダンパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低硬度エラストマーを用いた、振動吸収性能
に優れ、製造方法も簡単な新しいダンパーを提供する。 【構成】 低硬度エラストマーから形成される中実体を
スプリングコイル内部に配置し、かつ、該スプリングコ
イルの圧縮時に、前記中実体の一部がスプリングコイル
を構成する線状体の少なくとも一部の線状体と該線状体
に隣接する線状体との間に入り込まれるように配置す
る。しかも該スプリングコイルが圧縮されていない時に
は、中実体の一部がスプリングコイルを構成する線状体
の少なくとも一部の線状体と該線状体に隣接する線状体
との間に入り込まれていないように配置する。

Description

【考案の詳細な説明】 【従来の技術およびその問題点】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、低硬度エラストマーから形成される中実体とスプリングコイルとか ら少なくとも構成されるダンパーに関し、とくに、車載用音響機器の防振に有用 なダンパーに関する。

【０００２】

【従来の技術およびその問題点】

例えばＣＤプレイヤー等の音響機器を、自動車等に搭載する場合には、自動車 の走行中等に振動が発生するので、振動に極めて弱い前記音響機器の防振対策を 十分に行う必要がある。

【０００３】 該音響機器の防振対策として、金属バネ、ゴム弾性体、エアダンパー、オイル ダンパー等を利用する技術が知られている。その中でも、とくに、オイルダンパ ー、つまり、高粘度流体が封入され、該高粘度流体内に突入する攪拌部を設けた 密閉容器と、該密閉容器を固定するホルダーとから構成されるダンパーが、その 性能等の有利さから広く採用されているところである。

【０００４】 ところが、前記広く使用されているオイルダンパーにも、いくつかの欠点があ る。すなわち、ダンパー本体内に封入されている高粘度流体が漏れてしまう等の トラブルが時折発生し、また、オイルダンパーの製法が簡単であるといえるもの ではなかった。

【０００５】 そこで、オイルを使用しないダンパーあるいは製法が簡単なダンパーの開発研 究がなされている。例えば、本出願人が、特願平５−３９０６１号として出願済 のダンパーもその一つである。 該ダンパーは、筒状の外枠と該外枠に保持された表面硬度が１５°以下の熱 可塑性エラストマーあるいはゲル状物質とから構成されるダンパーであり、構造 が単純で、製法も複雑でなく、振動の吸収特性も優れた、画期的なダンパーであ る。

【０００６】 前記低硬度エラストマーは衝撃吸収性に優れているので、その低硬度エラスト マーを用いたさらに新しいダンパーの提案が待たれている。

【０００７】

【考案の目的】

そこで、本考案は、低硬度エラストマーを用いた、振動吸収性能に優れた新し いダンパーを提供することを目的とするものである。 すなわち、オイルの漏れの心配がなく、従来のオイルダンパーと同程度あるい はそれ以上の減衰特性を有し、しかも製造方法も簡単なダンパーを提供すること を目的とするものである。 さらには、各種精密機器、音響機器、情報機器等の防振材料として有用なダン パーを提供することを目的とするものでもある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、低硬度エラストマーを用いた新しいダンパーを得るべく、鋭意 研究した結果、低硬度エラストマーから形成される中実体とスプリングコイルと からなるダンパーであって、該スプリングコイルの圧縮時に、該低硬度エラスト マーの少なくとも一部がスプリングコイルを構成する線状体と隣接する線状体と の間に入り込まれているように構成すると、該ダンパーは優れた振動吸収作用を 示し、とくに、車載用音響機器の防振に有用なダンパーであるという知見を得、 この知見にもとづいてさらに研究を続けた結果、ついに本考案に到達することが できたものである。 すなわち、本考案により、低硬度エラストマーから形成される中実体とスプリ ングコイルとから少なくとも構成されるダンパーであって、該中実体がスプリン グコイル内部に、しかも該スプリングコイルの圧縮時に、前記中実体の一部がス プリングコイルを構成する線状体の少なくとも一部の線状体と該線状体に隣接す る線状体との間に入り込まれるように配置され、しかも中実体の一部がスプリン グコイルを構成する線状体の少なくとも一部の線状体と該線状体に隣接する線状 体との間に入り込まれていないことを特徴とするダンパ−が提供される。

【０００９】 なお、本発明の低硬度エラストマーには、表面硬度（ＪＩＳ Ａ 以下、同じ ）が１５°以下の熱可塑性エラストマーおよび表面硬度が１５°以下のゲル状物 質、例えばシリコーンゲルあるいはポリウレタンゲルが含まれるものである。 また、「中実体の一部がスプリングコイルの線状体と線状体との間に入り込まれ る」とは、中実体の一部がスプリングコイルの内側の表面に接しているだけでは なく、さらに線状体周辺に回り込み、場合によっては線状体の外側まではみ出し 、所期の振動吸収性能を示す状態を意味し、「中実体の一部がスプリングコイル の線状体と線状体との間に入り込まれていない」とは、例えば、中実体の一部が スプリングコイルの内側の表面に接している状態、あるいはさらに中実体の一部 がスプリングコイルの線状体の一部分に回り込むなど、前記「中実体の一部がス プリングコイルの線状体と線状体との間に入り込まれる」状態とは異なる状態を 意味するものである。

【００１０】

【考案の具体的な説明】

以下、本考案の好適なダンパー図１、図２および図３を用いて、さらに具体的 に説明する。 本考案の好適なダンパーは、低硬度エラストマーから形成される中実体（１） がスプリングコイル（２）により接触保持された構造を有するものである。スプ リングコイルが圧縮されていない時には、例えば、図１に示されるように、該中 実体（１）の外周面はスプリングコイルと接触されてほうが好ましいが、例えば 図２に示されるように、極短い距離だけ離れていてもよい。 そして、前記スプリングコイルが圧縮されると、中実体（１）を構成する低硬 度エラストマーの一部が、図３に示されるように、スプリングコイルを構成する 線状体の少なくとも一部の線状体（２１ｂ）と該線状体に隣接する他の線状体（ ２１ａあるいは２１ｃ）との間に入り込まれる。 なお、該ダンパーには、被支持部材あるいは固着部材と連結するための支持部 が形成されていてもよい。 前記低硬度エラストマーから形成される中実体（１）の断面は、例えば図１あ るいは２に示されるように、上表面がなだらかな凸部を有するような形状を取る ようにすることが好ましい。

【００１１】 前記中空体の素材として、表面硬度が１５°以下の熱可塑性エラストマーが使 用される。 好ましい熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステル系エラストマ ー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン−ブタジエン系エラストマーあるい はオレフィン系エラストマーが挙げられる。 なお、これらの熱可塑性エラストマーには、充填剤など常用の配合剤を添加し ておくとより優れた効果をもたらすことができる。

【００１２】 前記中空体の素材として、表面硬度が１５°以下のゲル状物質が使用される。 該ゲル状物質としては、シリコーンゲルあるいはポリウレタンゲルが好ましい 。シリコーンゲルの好適例としては、ポリオルガノシロキサン、硬化剤、硬化促 進剤等の混合物を加熱硬化して得られたものが挙げられる。市販されているもの としては、アルファゲル（シーゲル社製）がある。 該ポリウレタンゲルの好適例としては、通常のポリオールとイソシアネート類 、とくにジイソシアネート、トリイソシアネートなどのポリイソシアネートと常 用の配合剤共存下に反応させて得られるゲル状物質を挙げることができる。 これらのゲル状物質は針入度（ＪＩＳ Ｋ２５３０）が３０ないし９００、特 に２００ないし５００のものを選択することが望ましい。 この範囲以外のゲル状物質を使用すると、減衰特性が好ましいダンパーを得る ことができないばかりでなく、耐久性のあるダンパーを得ることができなくなる という不都合が生じてくる。 なお、これらのゲル状物質には、充填剤など常用の配合剤を添加しておくとよ り優れた効果をもたらすことができる。

【００１３】 前記スプリングコイルとしては、従来からダンパーに使用されるものであれば 、特に制限されるものではない。そして、被支持体の重量などの性質、減衰させ る振動の周波数などの変動に応じて、スプリングコイルのバネ定数などを適宜設 定するとよい。

【００１４】 このダンパーは、例えば、下記の方法にて製造することができる。 まず、金型内部に設けられた彫り込み部内表面に離型剤を塗布し、ついでゲル 化可能な液体混合物を注入した後、加熱硬化し、該液体混合物をゲル化させ、ゲ ル状物質からなる中実体を得ることができる。 次いで、該中実体に予め容易してあるスプリングコイルを押込み、本考案のゲ ルダンパーを得ることができる。 また、別な方法としては、前記中実体を固着部材あるいは被支持体に固着させ 、次いでスプリングコイルを該中実体に押込む方法を採用することもできる。 さらに中実体を射出成形法等の公知の成形方法により、製造することも可能で ある。 なお、前記中実体表面に、予め粉体などをまぶしておくと、作業性が向上する 。また、金型表面はクロムメッキ処理したものが好ましく使用され、また、前記 離型剤としてフッ素系離型材を用いることが、ダンパーを金型から除去する際に 有利である。

【００１５】 かくして得られたダンパーの使用例を具体的に説明する。 前記ダンパーを用いて、例えばＣＤプレイヤーを保持する一例を、要部断面図 である図４を用いて説明すると、ＣＤディスク板（４２）、光学系（図示せず） 、モーター（４３）から主として構成されるＣＤプレイヤーの被支持具（４１） は、前記ダンパーの支持部（３）で保持されている。 ダンパーは、該ダンパーの支持部（３）にて固定部材（５）と固定支持されて いる。

【００１６】 前記ゲルダンパーに振動が加えられた場合には、高周波域の振動に対しては主 としてスプリングコイルが、低周波域の振動に対しては主として低硬度エラスト マーが機能し、前記加えられた振動は殆ど吸収されていしまう。

【００１７】

【考案の効果】

本考案のダンパーは、加えられた振動を十分に吸収することができる優れた振 動吸収材である。すなわち、高周波域から低周波域まで広範囲にわたる振動が十 分に吸収され、共振周波数が低いダンパーを簡単に得ることが可能となり、各種 精密測定機器、音響機器、情報機器等振動の影響を受けやすい機器の防振材とし て有用である。 したがって、例えばＣＤプレイヤー等を自動車などに搭載した場合でも、前記 機器に伝達される振動は極めて弱く、いわゆる音飛びなどの問題点を解消するこ とができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のダンパーの一例の断面図である。

【図２】本考案のダンパーの異なる例の断面図である。

【図３】本考案のダンパーのスプリングコイルが圧縮さ
れた例の断面図である。

【図４】本考案のダンパーを用いてＣＤプレイヤーを支
持する一例の要部断面図である。

【符号の説明】

１ 低硬度エラストマー ２ スプリングコイル ２１ スプリングコイルを構成する線状体 ３ 支持部 ４１ 被支持具 ４２ ＣＤディスク板 ４３ モーター ５ 固定部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 低硬度エラストマーから形成される中実
   体とスプリングコイルとから少なくとも構成されるダン
   パーであって、該中実体がスプリングコイル内部に、し
   かも該スプリングコイルの圧縮時に、前記中実体の一部
   がスプリングコイルを構成する線状体の少なくとも一部
   の線状体と該線状体に隣接する線状体との間に入り込ま
   れるように配置され、しかも中実体の一部がスプリング
   コイルを構成する線状体の少なくとも一部の線状体と該
   線状体に隣接する線状体との間に入り込まれていないこ
   とを特徴とするダンパ−。
2. 【請求項２】 前記スプリングコイルの自由長の長さよ
   りも低硬度エラストマーから形成される中実体の高さが
   低い請求項１記載のダンパー。
3. 【請求項３】 前記中実体が、表面硬度（ＪＩＳ Ａ）
   が１５°以下の熱可塑性エラストマーあるいは表面硬度
   （ＪＩＳ Ａ）が１５°以下のゲル状物質からえられる
   請求項１または２記載のダンパー。