JPH0671Y2 - 垂直全回転かま - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、垂直全回転かまに関し、もっと詳しくは、垂
直全回転かまの内かまおよびボビンケースの組合わせ構
造に関する。

従来の技術 典型的な先行技術は、第３図に示されている。垂直全回
転かまの外かま１には、内かま２が支持され、外かま１
は回転軸３に固定されて、回転駆動される。内かま２は
かま止め部材４によって回転しないように係止される。
内かま２の中にボビンケース５が装着され、ボビン６は
ボビンケース５内に収納され、ボビンケースの支持軸７
に支承され、このボビン支持軸７は内かま２に立設され
るスタッド８の全長に亘って支持される。ボビンケース
５の筒状側壁９は内かま２の内部に、その内かま２の軸
線方向のほぼ全長に亘って延びる。

このような先行技術では、厚物縫い用、すなわち太糸用
のかま、および自動機に使用されるかまにおいて、作業
能率を高めるために、ボビン６の糸巻量の増大が望まれ
る。このため、２倍量のかま、および３倍量のかまが従
来から存在する。このような先行技術では、外かま１お
よび内かま２の外径は大きく、したがってかまの糸引き
込み量が大きく、また糸とかまとの摩擦力が増大し、し
たがって縫い性能が低下する。したがって外かま１およ
び内かま２の外径をなるべく小さく抑えることが、縫い
性能を良好にするためには、必要である。

第４図は、この問題を解決する或る先行技術の断面図で
あり、第５図はその正面図である。この先行技術では、
外かま１に収納されている内かま２の内径Ｒ１とボビン
ケース５のボビン６を収納する収納室の内径Ｒ２を同じ
値にし、内かま２の底部１０側の軸線方向に沿う約半分
は内かま２自体に、開放側（第４図の右方）の約半分は
ボビンケース５によって、ボビン６を収納する収納室を
形成する。

このような構成によれば、ボビン６の糸巻量を増大する
ことは可能であるけれども、その糸巻量をさらに増大す
ることが望まれる。

本件出願人は、糸巻量の増大を図るために、特開昭６３
−２８３６９７において、第６図に示される垂直全回転
かまを提案した。この先行技術では、針１２の移動経路
を避けるように、ボビン６の軸線１３を外かま１の水平
な回転軸線１４に対して角度θだけ傾斜させ、このボビ
ン６をボビンケース５に収納し、ボビンケース５を内か
ま２に収納する。

考案が解決しようとする課題 このような第６図に示される先行技術では、内かま２の
軸線は、参照符１３で示すボビン６の軸線と同一の直線
上であり、したがってボビン６を収納したボビンケース
５を内かま２に着脱するとき、かまの開口側に位置する
かま止め部材１５に当たる恐れがあり、したがってボビ
ン６およびボビンケース５を内かま２から着脱する際に
は、そのたび毎に、かま止め部材１５を除去し、または
退避するように構成しなければならなくなる。

本考案の目的は、ボビンの糸巻量を増大し、縫い性能を
向上し、しかもボビンを収納したボビンケースを内かま
に容易に着脱が可能であるようにした垂直全回転かまを
提供することである。

課題を解決するための手段 本考案は、内かま２５およびボビンケース３０のボビン
収納室３１の内径Ｒ３，Ｒ４が同じであって、かつ、ボ
ビンケース３０を内かまスタッド２９に嵌装し、ラッチ
手段３９，４０によってボビンケース３０を内かま２５
に相互の回転を阻止して係止する構造の垂直全回転かま
において、 内かまスタッド２９は、遊端部３３よりも大径の基部３
２を有し、 ボビンケース３０の筒状のボビン支持軸３４は、前記遊
端部３３に嵌り込み、前記基部３２の外径Ｒ５と同一の
外径Ｒ６を有し、 ボビン３６は、前記基部３２とボビン支持軸３４とによ
って回転可能に支承され、 前記基部３２と、ボビンケース３０の内かま２５への装
着状態でのボビン支持軸３４との間には、内かまスタッ
ド２９の軸線方向に間隔があけられることを特徴とする
垂直全回転かまである。

作用 本考案に従えば、内かまおよびボビンケースのボビン収
納室の内径を同じにしたので、ボビンの糸巻量の増大が
可能である。しかも内かまスタッド基部の外径とボビン
ケースのボビン支持軸の外径を同一にしてボビンを回転
可能に支承するようにしたので、ボビンを安定に回転す
ることが可能であり、これによってボビン糸の張力を安
定にして縫い性能を向上することができるのは勿論、さ
らに、ボビンケースのボビン支持軸は、内かまのスタッ
ドの全長に比べて、短く、したがってこのボビン支持軸
がスタッドから離脱した状態では、ボビンの筒部が、ス
タッド基部から抜け出ているので、ボビンケースの軸線
をスタッドの軸線に対して傾斜させることができる。そ
のためボビンケースおよびボビンケースに把持されたボ
ビンが、内かまの回転を阻止するかま止め部材の下方
で、そのかま止め部材に当接しないようにして内かまか
ら取り外し、または装着することができる。

実施例 第１図は、本考案の一実施例の断面図である。この垂直
全回転かまの外かま２１は、水平な回転軸線２２を有す
る回転軸２３に固定され、回転駆動される。外かま２１
の軌溝２４には、内かま２５の軌条２６が嵌り込んで内
かま２５が支持される。軌条２６を含む平面は、回転軸
２３の軸線２２に垂直である。内かま２５の底部２６に
は、軸線２８を有するスタッド２９が立設される。内か
ま２５内には、ボビンケース３０が設けられる。ボビン
収納室３１を形成するこの内かま２５とボビンケース３
０の筒部４７との内径Ｒ３，Ｒ４は、同一の値である。

スタッド２９の基部３２は、その遊端部３３よりも大径
である。ボビンケース３０は、このスタッド２９の遊端
部３３に嵌り込むボビン支持軸３４を有する。スタッド
２９の基部３２の外径Ｒ５とボビン支持軸３４の外径Ｒ
６とは、同一の値である。下糸が巻回されるボビン３６
は、スタッド２９の基部３２とボビン支持軸受３４とに
よって回転可能に支承される。

スタッド２９には、遊端部３３よりも小径の首部３７
と、この首部３７に連なる頭部３８とが形成される。ボ
ビンケース３０には角変位可能にラッチレバー３９が取
付けられており、このラッチレバー３９を第１図に示さ
れるように内かま２５の軸線２８に対して垂直な長手方
向の姿勢としたとき、ラッチ片４０は内かま２５に係止
し、これによって内かま２５とボビンケース３０との相
互の角変位が阻止されるとともに、ボビンケース３０が
内かま２５から外れることが防がれる。ラッチレバー３
９を角変位して、第２図(1)および第２図(2)のように、
内かま２５の軸線２８に沿って長手方向が延びるように
起立した状態では、ラッチ片４０は内かま２５との係止
状態を脱し、これによってボビンケース３０を内かま２
５から取り外すことができる。

内かま２５には係止凹所４２が形成され、この係止凹所
４２にはかま止め部材４３の係止部４４が係止され、こ
れによって内かま２５が、外かま２１の回転中に、回転
されることが防がれる。かま止め部材４３は、本件垂直
全回転かまのミシンの機体に固定される。

内かま２５の軸線２８を外かま２１の回転軸線２２に対
して角度θだけ鉛直面内でその上部が上向きとなるよう
に傾斜することによって、外かま２１の形状、寸法を変
更することなしに、内かま２５、したがってボビン３６
を軸線方向に長くして、糸巻量を増大することができ
る。

内かま２５からボビンケース３０を取り外す際には、ラ
ッチレバー３９を起立させ、内かま２５とラッチ片４０
との係止状態を脱して、第２図(1)で示すようにボビン
ケース３０を、ボビン３６を把持した状態で、スタッド
２９に沿って内かま２５の軸線２８方向に引っ張り出
す。このときボビンケース３０のボビン支持軸３４がス
タッド２９の頭部３８から離脱し、かつ、ボビン３６の
筒部４８が、スタッド基部３２から抜け出ているので、
ボビンケース３０およびボビン３６を矢符４５の方向に
角変位して第２図(2)のようにすることができる。した
がってこのボビンケース３０およびボビン３６を取り出
すときに、そのボビンケース３０およびボビン３６がか
ま止め部材４３に当接してしまうことが防がれる。

ボビン３６を把持したボビンケース３０を内かま２５に
装着するときにもまた、ボビン３６およびボビンケース
３０がかま止め部材４３に当たることなく、取付けるこ
とができる。

ボビンケース３０の筒部４７は前述のように内かま２５
とともに、ボビン３１を収納するボビン収納室３１を形
成し、したがってこの筒部４７は軸線方向に短い。その
ためこのことによってもまた、ボビンケース３０を内か
ま２５からその軸線２８方向に大きい距離に亘って引き
抜くことなしに、そのボビンケース３０を内かま２５か
ら取り外すことができることになる。

こうしてボビンケース３０の筒部４７およびボビン支持
軸３４の内かま２５に嵌合している軸方向の長さＬ１
は、ボビン３６とかま止め部材４３との間隔Ｌ（第１図
参照）よりも短くすることが可能となり、これによって
ボビン３６を把持したボビンケース３０がかま止め部材
４３に当たる前に、そのボビン支持軸３４をスタッド２
９から離脱することができる。たとえばボビン支持軸３
４の軸線方向の長さは、ボビン収納室３１の軸線方向の
長さのたとえば約1/2以下に定める。

基部３２と、ボビンケース３０の内かま２５への第１図
に示されるような装着状態でのボビン支持軸３４との間
には、内かまスタッド２９の軸線方向に間隔があけられ
ている。

ボビン支持軸３４を、上述のように短くしてボビン３６
の筒部４８を支持するとともに、内かま２５の底部２６
付近でもボビン３６の筒部４８を支持して、ボビン３６
の回転を円滑に行うために、スタッド２９の基部３２を
前述のようにボビン支持軸３４の外径と同一値とする。
これによってボビン３６に巻回されるボビン糸の張力が
安定し、したがって糸締りにばらつきが生ずることを防
ぐことができ、縫性能を向上することができる。

もしも仮に、内かま２５のスタッド２９全体でボビン３
６を支承するようにし、ボビンケース３０のボビン支持
軸３４を除去したと仮定すると、スタッド２９の径は、
基部３２から遊端部３３に至るまで、ボビン筒部４８の
穴径より僅か細いだけであるから、ボビン筒部４８がス
タッド２９から完全に抜け出さないことには、ボビン３
６を矢符４５の方向に角変位することができない。した
がって、ボビン３６はかま止部材４３に当接することに
なる。

またボビン３６をボビンケース３０に入れ、ラッチ片４
０のボビン把持部によって把持する操作が不確実となっ
て、内かま２５へ装着する操作中、ボビン３６をボビン
ケース３０から脱落してしまうことも起こり得る。この
ボビンケース３０は、上述のように支持軸３４を有して
いるので、この支持軸３４によってボビン３６を把持
し、したがってボビン３６を内かま２５に装着する作業
を確実に達成することができる。

本考案は、内かま２５の軸線２８が外かま２１の水平な
回転軸線２２に一致した構成、すなわち、角度θが零で
ある垂直全回転かまにおいてもまた、本考案によれば、
ボビンケース３０を内かま２５から抜き出す作業を、容
易に行うことができるという効果が達成される。

考案の効果 以上のように本考案によれば、内かまおよびボビンケー
スのボビン収納室の内径を同じとしたのでボビンの糸巻
量の増大を図ることができる。さらにまたボビンを内か
まスタッド基部と、ボビンケースのボビン支持軸とで支
持してボビンの回転を円滑に行われるようにしてボビン
糸の張力を安定化するとともに、このボビンケースのボ
ビン支持軸は、内かまスタッドの全長に比べて短いの
で、ボビンおよびボビンケースをスタッドの軸線に対し
て傾斜して内かまに着脱することができる。したがって
前述の第１図に関連して述べたようにボビンの軸線を外
かまの回転軸線に対して傾斜させ、そのボビンを内かま
に収納した垂直全回転かまにおいて、本考案を実施する
ときにおいても、ボビンおよびボビンケースがかま止め
部材に当接することなしに、容易に着脱が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の縦断面図、第２図は内かま
２５からボビンケース３０およびボビン３６を取り出す
ときの状態を示す断面図、第３図は先行技術の断面図、
第４図は他の先行技術の断面図、第５図は第４図の先行
技術の正面図、第６図はさらに他の先行技術の断面図で
ある。 ２１…外かま、２２…外かま２１の回転軸線、２３…回
転軸、２５…内かま、２９…スタッド、３０…ボビンケ
ース、３２…基部、３４…ボビン支持軸、３６…ボビ
ン、４３…かま止め部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内かま２５およびボビンケース３０のボビ
   ン収納室３１の内径Ｒ３，Ｒ４が同じであって、かつ、
   ボビンケース３０を内かまスタッド２９に嵌装し、ラッ
   チ手段３９，４０によってボビンケース３０を内かま２
   ５に相互の回転を阻止して係止する構造の垂直全回転か
   まにおいて、 内かまスタッド２９は、遊端部３３よりも大径の基部３
   ２を有し、 ボビンケース３０の筒状のボビン支持軸３４は、前記遊
   端部３３に嵌り込み、前記基部３２の外径Ｒ５と同一の
   外径Ｒ６を有し、 ボビン３６は、前記基部３２とボビン支持軸３４とによ
   って回転可能に支承され、 前記基部３２と、ボビンケース３０の内かま２５への装
   着状態でのボビン支持軸３４との間には、内かまスタッ
   ド２９の軸線方向に間隔があけられることを特徴とする
   垂直全回転かま。