JPH0133660Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ドラム式よこ糸貯留装置に関し、特
によこ糸のバルーニングを防止するための手段に
係る。

この種のドラム式よこ糸貯留装置において、よ
こ入れ中によこ糸がドラムの周囲を移動しながら
解舒されるので、遠心力によりバルーニング現象
を起こす。その結果、よこ糸がドラムの周囲の機
械部品などに引掛りやすい状態となる。

ところでこのようなよこ糸のバルーニング現象
は、ドラムの周囲に円筒状のバルーンブレーカを
設けることにより防止できる。しかしバルーンブ
レーカが取付けられると、よこ糸の装着時におけ
る糸通しが困難となる。

したがつて本考案の目的は、円筒状のバルーン
ブレーカをドラムに対し着脱自在に組み合わせ、
糸通しを容易に行えるようにすることである。

上記目的のもとに、本考案は、ドラムに対し円
筒状のバルーンブレーカを接線方向の軸により、
またはドラムの軸線方向の案内バーにより変位自
在に支持し、糸通し時にバルーンブレーカをドラ
ムの前面方向に移動させ、これにより簡単に糸通
しをできるようにしている。

ところで貯留状態のよこ糸の制御すなわち巻始
めおよび解舒は、ドラムの周面に対し進退可能な
係止ピンによつて行われる。この係止ピンは、バ
ルーンブレーカと交差する関係にある。

したがつて本考案の他の目的は、係止ピンの存
在にかかわらず、バルーンブレーカを着脱自在に
支持することである。

上記目的のために、本考案は、バルーンブレー
カの後端に係止ピン突入用の切欠きを設け、この
切欠きの位置で進退可能な係止ピンと交差させる
ようにしている。

また、バルーンブレーカに上記のような切欠き
が形成されると、よこ糸が解舒時にその切欠きに
引掛りやすい状態となり、これがよこ糸解舒の障
害となる。

したがつて本考案のさらに他の目的は、この切
欠き部分でよこ糸の引掛りを未然に防止すること
である。そこで本考案は、切欠きのよこ糸巻付け
方向の上流側で滑らかな斜面を形成し、解舒時に
おいて、バルーニング状態のよこ糸の引掛りを未
然に防止するようにしている。

以下、本考案の構成および作用を図に示す一実
施例に基づいて具体的に説する。

第１図および第２図は、ドラム式よこ糸貯留装
置１の基本的な例を示している。このドラム式よ
こ糸貯留装置１は、主要部として、ドラム２、糸
ガイド３、係止ピン４および本考案の要部として
バルーンブレーカ５を備えている。

そして上記ドラム２は、静止状態にあり、これ
に対し糸ガイド３は、ドラム２の軸線上を中心と
して回転運動をし、よこ糸６をドラム２の外周面
に順次巻付けて行く。また係止ピン４は、織機の
よこ入れ運動と同期し、よこ入れ時にドラム２の
孔または凹部７から後退し、これによつて貯留状
態のよこ糸６の解舒を行う。

そして上記バルーンブレーカ５は、ドラム２の
外径よりもやや大きな円筒体であり、ドラム２の
接線方向の支軸８により回動自在に支持されてお
り、そのバルーンブレーカ５のレバー９とスナツ
プスプリング１０とのドグル機構により実線で示
すような装着位置および想像線で示すような取り
外し位置のいずれかの位置で安定となる。なお、
このブレーカ５の揺動角度は、２つのストツパー
１１，１２によりレバー９の回動角度を規制する
ことによつて設定されている。そして上記バルー
ンブレーカ５の後端部分で係止ピン４と対応する
位置に、後端で開放状態の切欠き１３が形成され
ている。この切欠き１３は、バルーンブレーカ５
に対し係止ピン４を非干渉状態のまま交差させる
ためのものであり、よこ糸巻付け方向上流側で滑
らかな斜面１４を形成している。この斜面１４の
傾斜角度θは、円周方向の基線に対し45度以上に
設定されている。

上記バルーンブレーカ５の装着状態のとき、バ
ルーンブレーカ５は、ドラム２の前面を包み込ん
でいるため、解舒後によこ糸６は、バルーンブレ
ーカ５の内面に当たり、大きなバルーニング現象
を起こさない。また解舒時に、よこ糸６がドラム
２の外周面を移動することになるが、この場合に
たとえよこ糸６が遠心力によつて切欠き１３の内
部に入り込んだとしても解舒時の上流側に滑らか
な斜面１４が形成されているから、その切欠き１
３の部分で引掛りがなくなり、また引出し抵抗が
異常に大きくなることもない。

糸通し時には、バルーンブレーカ５を支軸８を
中心として第１図で時計方向に回動させると、ド
ラム２とバルーンブレーカの後端側との間に比較
的大きな空間が形成されるため、よこ糸６は、そ
の空間部分から円筒状のバルーンブレーカ５の内
部に簡単に通せることになる。

なお、上記実施例は、バルーンブレーカ５を揺
動自在に支持しているが、第３図に実施例は、バ
ルーンブレーカ５をドラム２の軸線方向のガイド
バー１５により摺動自在に支持し、かつスプリン
グ１６により装着方向に付勢した例を示してい
る。この実施例においても、バルーンブレーカ５
をガイドバー１５にそつて後退させれば、それら
の間に大きな空間が形成されるから、よこ糸６の
糸通しが容易となる。

本考案では、下記の効果が得られる。まず、バ
ルーンブレーカがドラムに対し揺動または平行移
動可能な状態で着脱自在に組み合わせられている
から、バルーンブレーカの移動によつて大きな糸
通しのための空間が形成され、糸通しが容易とな
る。またバルーンブレーカと係止ピンの交差位置
に一端で開放する切欠きが形成されているから、
バルーンブレーカの移動が係止ピンと交差したま
まの状態で可能となる。さらに上記切欠きのよこ
糸巻付け方向つまり解舒時のよこ糸の移動方向上
流側に滑らかな斜面が形成されているから、よこ
糸の解舒時によこ糸が切欠きの内部に入り込んだ
としても、よこ糸がその切欠き部分に引つ掛かる
ことがなく、したがつて円滑な解舒が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のドラム式よこ糸貯留装置の一
部破断側面図、第２図は同装置の平面図、第３図
は他の実施例の一部の断面図である。 １……ドラム式よこ糸貯留装置、２……ドラ
ム、３……糸ガイド、４……係止ピン、５……バ
ルーンブレーカ、６……よこ糸、７……凹部、８
……支軸、９……レバー、１０……スナツプスプ
リング、１１，１２……ストツパー、１３……切
欠き、１４……斜面、１５……ガイドバー、１６
……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 静止状態のドラムの外周によこ糸を巻付けて貯
   留し、貯留状態のよこ糸を係止ピンの動きにより
   解舒するドラム式よこ糸貯留装置において、上記
   ドラムの前面に円筒状のバルーンブレーカを着脱
   自在に設けるとともに、上記バルーンブレーカの
   後端に上記係止ピン突入用の切欠きを設け、この
   切欠きのよこ糸巻付け方向上流側に滑らかな斜面
   を形成してなることを特徴とするドラム式よこ糸
   貯留装置。