JPS6223814Y2

JPS6223814Y2 -

Info

Publication number: JPS6223814Y2
Application number: JP1982028432U
Authority: JP
Priority date: 1982-03-02
Filing date: 1982-03-02
Publication date: 1987-06-17
Also published as: JPS58131970U; KR850000971Y1; KR840005527U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、紡機において糸の張力変動に対して
補償できる糸張力調整装置に関するものである。

例えばオープンエンド精紡機においては、第１
図のＡ及びＢに示すように、紡糸装置１で紡出さ
れた糸２はトラバースロツド７を経て一対の引出
しローラ３，４によつて引き出され、巻取りドラ
ム５に設けた公知の綾振り溝（図示しない）又は
その他の手段の作用により軸方向にトラバースし
ながらチーズ６に形成される。このように、糸２
はトラバースしながらチーズ６に形成されるの
で、ドラム５中央の経路ａとドラム５両端の経路
ｂとでは経路長に差が生じ、その差分だけ経路ａ
において糸がゆるみ糸張力が減少するため、チー
ズ巻取り形状に悪影響を及ぼすので糸張力調整装
置８を引出しローラと巻取りドラム５との間に設
けて糸張力の変動を吸収する必要がある。

従来、かかる糸張力調整装置８としては、その
自重で糸を押える自重式のものと（図示を省
略）、第２図に示す板ばね式のものとがあつた
が、自重式張力調整装置は、経路ｂ，ｂ間のトラ
バースに対する応答性が悪いため、特に最近の紡
糸速度の上昇に伴つて、均一な張力で巻取りを行
なうことが次第に困難になつている。一方、板ば
ね式糸張力調整装置は、第２図に示すように、ト
ツプ引出しローラ３を支持する固定軸９の所定位
置に固着される板ばね保持部材１０と、この保持
部材１０に適宜の手段で固着された板ばね１１
と、板ばね１１の先端から固定軸９とほぼ平行に
延びる糸ガイド部１２とを有するものであり、糸
張力の変動に対して板ばね１１が迅速に応答する
ので、前述した自重式糸張力調整装置の欠点を解
消することができる。しかし、この板ばね式糸張
力調整装置も種々の欠点を有する。

即ち、第１図Ｂにおいて、糸張力調整装置８の
板ばねが位置１３又は１４にある場合、板ばねの
ばね定数が小さい方が位置１３及び１４での板ば
ねによる糸に対する加圧力の差が小さく、糸張力
に大きな変動を与えることなく前述した経路差を
吸収できるので、板ばねのばね定数は小さいこと
が要求されている。しかし、板ばね式では限られ
た空間内にて一定の加圧力を糸に付与しようとす
ると、ばね定数が大きくなりがちであり、前記の
要求を満たすことが難しい。また、糸継ぎ時やテ
ール巻き時に糸が板ばねに巻き付くことがある
が、太番手の糸を扱つている場合には、一般に糸
の強力が大きいので、糸端が巻取りドラム５（第
１図）の溝に巻き込まれると、板ばねは、引きち
ぎられそうになるまで屈曲せられて強い応力を受
けるので、破損し易く耐久性が弱い。逆に、糸強
力の小さい細番手の糸を扱う場合には、板ばねの
ばね定数が大きいために、糸が切れてしまう現象
が生じる。

更に、第２図の板ばね式糸張力調整装置におい
ては、糸掛け時に、板ばね１１を第２図において
右方向に捩つて糸ガイド部１２を糸経路から外し
ておかなければならないので、糸掛け作業が面倒
で操作性が悪いばかりか、板ばねが過度に捩られ
れば折損の危険性さえある。

従つて、本考案の目的は、狭い空間内に設置し
うるにもかかわらず小さいばね定数を有し、糸番
手に関係なく好適に作用し、しかも操作性の良い
糸張力調整装置を提供することである。

この目的から、本考案の糸張力調整装置は、固
定軸、この固定軸の軸方向の所定位置に取り付け
られ、内部にコイルばね収容空間を有するコイル
ばねハウジング、前記ハウジングに関して固定軸
の円周方向に可動に支持された調整レバー保持部
材、この保持部材に保持され、先端部に糸を案内
しうる糸ガイド部を有する調整レバー、前記固定
軸を取り巻くようにコイルばね収容空間内に収容
され、一端で前記ハウジングに係合し、他端で前
記保持部材に係合し、前記糸ガイド部によつて案
内される糸に張力を付与する方向に前記保持部材
を付勢するコイルばね、を備えるものであり、前
記調整レバーは、通過糸に接触する作動位置と糸
経路外の不作動位置との間で回動可能に前記保持
部材に支持されると共に、前記調整レバーに付設
された捩りばねによつて前記不作動位置から前記
作動位置へ自動的に復帰可能である。

次に本考案の好適な実施例を添付図面の第３図
〜第５図について説明する。なお、第１図及び第
２図の従来例と同一又は相当する部分は同一の参
照符号で示し、それ等の詳しい説明は省略する。

第３図において、引出しローラ３は第２図の従
来例と同様に揺動腕１５に可回転に支持されてお
り、揺動腕１５の基端部１５ａに内蔵したばね１
６の作用により、他方の引出しローラ４（第２
図、第３図には図示しない）に押圧されている。
固定軸９上には、揺動腕１５の前記基端部１５ａ
に近接して、実質的に円筒形のコイルばねハウジ
ング１７が装着される。第５図に最もよく示すよ
うに、ハウジング１７は軸方向に分割された２つ
の半割り部分１７ａ，１７ｂからなり、両部分１
７ａ及び１７ｂはそれ等に設けたねじ孔に係合す
るボルト１８によつて一体に結合され、固定軸９
上の軸方向及び円周方向に関し所定の位置に固定
される。また、再び第３図において、ハウジング
１７はばね定数の小さいコイルばね１９を収容す
るために固定軸９の外径より大きい直径を有する
円筒形の凹部、即ちコイルばね収容空間２０を有
する。固定軸９を囲むように比較的狭い環状の空
間２０内に設けられたコイルばね１９は、その一
端がハウジング１７に軸方向に延びるように形成
された孔１７ｃに受け容れられ、他端が後述する
調整レバー保持部材２１に形成した軸方向の孔に
係合する。コイルばね１９の軸方向の中心は糸２
のトラバース方向の中心又は糸ガイド部１２の中
心と略々一致している。

前記保持部材２１は固定軸９の円周方向に関し
てはコイルばね１９の前記他端及びストツパ２２
によつて許容される範囲内において回動自在であ
り、軸方向に関しては前記ストツパ２２をボルト
２３により装着した規制板２４によつて移動を阻
止されている。第３図〜第５図から明らかなよう
に、保持部材２１の規制板２４側には、矩形板状
の溝２１ａと、三角柱状の切欠き２１ｂとが形成
されており、切欠き２１ｂ側から溝２１ａ内に入
るピン２５によつて調整レバー２６を支持してい
る。また、第３図から諒解されるように、溝２１
ａ内には、調整レバー２６を糸経路外の図示しな
い不作動位置（第３図に示した位置から反時計方
向に回動した位置）から通過糸に接触する第３図
に示す作動位置へ自動的に復帰するように付勢す
る捩りばね２７が周知の態様で設けられている。

第６図は揺動腕１５の基端部１５ａ及びハウジ
ング１７の一部を示す平面図であつて、基端部１
５ａには目盛りを付した目盛り板２８が設けら
れ、ハウジング１７には基準位置を示すマーク２
９が設けられている。従つて、前記ボルト１８を
緩めてハウジング１７の円周方向位置を調節すれ
ば、マーク２９は第６図に示した数字５の目盛り
とは別の位置へ移動する。この調節によつて、糸
番手に応じた張力調整を部品を交換することなく
行なうことができる。

以上のように、本考案によれば、糸張力の変動
を補償するためにばね定数が小さく且つ限られた
狭い空間２０内に装着できるコイルばね１９を採
用したので、糸２がトラバースするときのコイル
ばね１９による糸２に対する加圧力の差を小さく
維持することができ、また、糸継ぎ時やテール巻
き時に糸が調整レバー２６に巻き付いた場合、糸
が太番手のものでも、調整レバー自体はばねでな
いので十分な強度を有するから、調整レバーが損
傷を受けることはなく、糸が細番手のものなら、
ばね定数の小さいコイルばね１９が容易に変形す
るので、糸が切れることもない。

更に、調整レバーがピン２５により揺動可能に
支持されているため、捩りばね２７に抗して調整
レバー２６を第３図において反時計方向に上述の
不作動位置へ回動するだけで、糸掛け時に、調整
レバー２６を糸経路から外しておき、該レバー２
６に糸が近付いた時に該レバー２６を放して作動
位置へ自動的に復帰させることによつて簡単に糸
掛けすることができ、非常に操作が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図のＡ及びＢは本考案を実施できるオープ
ンエンド精紡機における糸の巻取動作を説明する
略正面図と略側面図、第２図は従来の板ばね式糸
張力調整装置の正面図、第３図は本考案による糸
張力調整装置の正面縦断面図、第４図は第３図の
−線断面図、第５図は本考案による糸張力調
整装置のコイルばねハウジング及び調整レバー保
持部材の斜視図、第６図は本考案による糸張力調
整装置の揺動腕及びコイルばねハウジングの部分
平面図である。図中、２は糸、９は固定軸、１２は糸ガイド
部、１７はコイルばねハウジング、１９はコイル
ばね、２０はコイルばね収容空間、２１は調整レ
バー保持部材、２６は調整レバー、２７は捩りば
ねである。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

固定軸、この固定軸の軸方向の所定位置に取り
付けられ、内部にコイルばね収容空間を有するコ
イルばねハウジング、前記ハウジングに関して固
定軸の円周方向に可動に支持された調整レバー保
持部材、この保持部材に保持され、先端部に糸を
案内しうる糸ガイド部を有する調整レバー、前記
固定軸を取り巻くようにコイルばね収容空間内に
収容され、一端で前記ハウジングに係合し、他端
で前記保持部材に係合し、前記糸ガイド部によつ
て案内される糸に張力を付与する方向に前記保持
部材を付勢するコイルばね、を備え、前記調整レ
バーは、通過糸に接触する作動位置と糸経路外の
不作動位置との間で回動可能に前記保持部材に支
持されると共に、前記調整レバーに付設された捩
りばねによつて前記不作動位置から前記作動位置
へ自動的に復帰可能である、紡機の糸張力調整装
置。