JPH0243888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はスライバから糸を紡ぐ紡糸装置の下流
に糸の巻取装置を備え、この両者間にデリベリロ
ーラとニツプローラを配設した紡績機に係るもの
で、詳しくはそのニツプローラに関するものであ
る。

従来の技術 従来は第３図に示すように、スライバ１から糸
を紡ぐ紡糸装置２（例えば回転紡糸室を用いて仮
撚を付与するオープンエンド方式のもの（特公昭
46−15734号）や空気渦流を利用して仮撚を付与
する結束紡績方式のものなど）の下流にチーズ巻
取装置３が配備され、この紡糸装置２とチーズ巻
取装置３の間には、糸４とほぼ直交するデリベリ
ローラ５を図示しない駆動源により回動するよう
に支持し、このデリベリローラ５外周に機台のビ
ーム６に取付けたブラケツト７に前後方向に揺動
可能に支持した揺動腕８先端に回転自在に支持し
た硬質ゴム等の弾性体から成るニツプローラ９が
ばねで圧接され、このニツプローラ９とデリベリ
ローラ５間にて糸４をニツプし、紡糸装置２から
引出すようにしてある。デリベリローラ５と前記
紡糸装置２間にはトラバースバー１０がデリベリ
ローラ５と並設して軸方向移動自在に支持され、
このトラバースバー１０はハートカム等を用いた
往復動機構１２に接続されている。このトラバー
スバー１０には前記ニツプローラ９と対応する位
置に糸４を案内するヤーンガイド１１がが突設さ
れ、紡糸装置２から引出される糸４がデリベリロ
ーラ５とニツプローラ９間にニツプされる前にヤ
ーンガイド１１によつて僅かにトラバースし、糸
４が、軸方向に移動しないニツプローラ９に対し
てニツプされる点を変えることで糸４によつてニ
ツプローラ９外周に糸溝が形成されることを防止
していた。

考案が解決しようとする問題点 前記構成によれば、ニツプローラ９はデリベリ
ローラ５の軸方向に移動せず、ニツプローラ９と
糸４の軸方向相対移動は、もつぱらヤーンガイド
１１により糸４をトラバースして行われ、ニツプ
する前にヤーンガイド１１で糸４がこすられて糸
質を低下させるという問題があつた。また、チー
ズ巻取装置３が、糸を綾振り（チーズに巻取らせ
る時に糸を綾状に巻取らせる）させるための糸案
内溝を外周面に備えたワインデイングローラ１３
にチーズ１４を押付けた形式のいわゆるロータリ
ワインデイング方式の場合には、糸のニツプ点Ｎ
が軸方向に移動せずにニツプ点Ｎを中心に糸がワ
インデイングローラ１２により左右に対称に綾振
りされるのが最良であるが、前記のようにニツプ
点Ｎがトラバースバー１１で僅かに左右に振られ
るために、ワインデイングローラ１３の糸案内溝
１３ａに対する糸の位置関係が一定でなく、巻取
り不良が生じるという問題があつた。

問題点を解決するための手段 本考案では、デリベリローラに圧接して従動回
転するニツプローラをデリベリローラに対して軸
方向移動自在に構成し、更にこのニツプローラを
所定量軸方向に往復動させる往復動装置を備えた
ことを特徴とする。

作 用 上記構成によれば往復動装置によりニツプロー
ラをデリベリローラに対してトラバースさせて、
デリベリローラに対する糸のニツプ点を変化させ
ずに糸に対するニツプローラの位置を変化させて
ニツプローラに糸溝が付くのを防止する。

実施例 第１，２図に示すように、紡績機本体の長手方
向のビーム６に沿つて延設したデリベリローラ５
が紡績機本体に回動自在に支持され、図示しない
駆動源により所定回転数で回転するようにしてあ
る。またビーム６には長手方向に所定間隔でブラ
ケツト１５……が固設され、このブラケツト１５
……に、デリベリローラ５の全長と対応するトラ
バースバー１６をデリベリローラ５に沿つて軸方
向移動自在に嵌装してある。またビーム６には機
台長手方向に所定間隔で配置される紡糸装置２に
対応して夫々板ばね１７が配設され、この板ばね
１７は中間部がＵ字状に曲げられると共に先端が
折曲げられ鉤状部１８となつている。この鉤状部
１８にはほぼ水平面内で回転するようにベアリン
グ１９が軸支されている。トラバースバー１６に
は前記各板ばね１７に対応してニツプローラ取付
具２０が前後方向に揺動自在に遊嵌され、このニ
ツプローラ取付具２０はその両側からカラー２
１，２１で挟まれてトラバースバー１６と軸方向
に一体にしてある。ニツプローラ取付具２０の一
方の腕２２の先端にはニツプローラ９が回動自在
に支持されまた、他方の腕２３は前記ベアリング
１９と当接する当接部２４を先端に備え、前記板
ばね１７のばね力によりベアリング１９が当接部
２４を押圧し、ニツプローラ９は常にデリベリロ
ーラ５に圧接してデリベリローラ５の回転により
従動回転するようになつている。次に往復動装置
１２は、適宜な駆動源により回転するハートカム
２５、トラバースバー１６の一端に回動自在に支
持したカムフオロア２６及びこのカムフオロア２
６をハートカム２５に圧接させるためにトラバー
スバー１６を付勢しているばね２７とから構成さ
れ、ハートカム２５の回転によりトラバースバー
１６が所定量軸方向に往復動するようにしある。

このような構成によれば紡糸装置２から紡出さ
れた糸４はニツプローラ９とデリベリローラ５間
にてニツプされて引出されるが、ハートカム２５
が回転することでトラバースバー１６が所定量軸
方向に往復動し、これに伴なつてニツプローラ９
もデリベリローラ５に対して往復動する。従つて
デリベリローラ５に対する糸４のニツプ点Ｐに移
動がなく、紡糸装置３とこのニツプ点Ｐまでの糸
の通過ラインが一定となり、また、糸４に対して
ニツプローラ９が往復動するためにニツプローラ
９外周に糸溝が付くのを防止する。また、紡糸装
置２とニツプローラ９間に糸４をトラバースする
ヤーンガイドがないため、糸４がこすられること
もない。こうしてニツプローラ９とデリベリロー
ラ５により引出された糸４はワインデイングロー
ラ１３を介してチーズ１４に巻取られるが、デリ
ベリローラ５に対する糸４のニツプ点Ｐが軸方向
に変化しないため、ワインデイングローラ１３の
糸案内溝１３ａに対する糸４の位置関係が安定
し、糸４の巻取り状態が向上する。

尚、本実施例では往復動装置にハートカムを用
いて説明したが、クランク機構を用いてもよい。
また、糸の巻取装置もワインデイングドラムを用
いたロータリーワインデイクグ方式に限らず、デ
リベリローラ下流の糸をトラバースさせるトラバ
ース装置を備えたクイツクトラバース方式であつ
てもよい。

効 果 以上のように本考案では、紡糸装置から糸を引
出すデリベリローラとニツプローラを備えた紡績
機において、ニツプローラをデリベリローラに対
して軸方向に所定量往復動させるようにしたの
で、デリベリローラちニツプローラにニツプされ
る前の糸をトラバースすることなく糸に対するニ
ツプローラの軸方向位置を変化させることがで
き、ニツプローラ外周に糸溝が付くことを防止で
き、しかも従来のように糸をトラバースさせるヤ
ーンガイドがないために糸をこすつたりすること
がなく、糸質を向上させ得る。また、デリベリロ
ーラに対する糸のニツプ点に変化がないために紡
糸装置からデリベリローラに至る糸の通過ライン
が変化せず、この部分に糸切れ検出器等が容易に
取付けられる。更にロータリーワインデイング方
式を用いて糸を巻取る場合でもニツプ点が左右に
トラバースしないためにワインデイングローラに
よる綾振りがニツプ点を中心に左右に対称に行わ
れ、チーズ巻取り不良が生じない。更に、ニツプ
点がニツプローラのトラバース量に左右されず、
一定であるため、ニツプローラのトラバース量を
ニツプローラの幅近くすることもでき、ニツプロ
ーラの寿命を長くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の正面図で一部断面にして示し
た図、第２図は第１図のＸ−Ｘ断面図、第３図は
従来の装置である。 １……スライバ、２……紡糸装置、３……巻取
装置、４……糸、５……デリベリローラ、９……
ニツプローラ、１２……往復動装置、１６……ト
ラバースバー、２０……ニツプローラ取付具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スライバから糸を紡ぐ紡糸装置の下流に糸の巻
   取装置を備え、この両者間にデリベリローラと、
   デリベリローラに圧接して従動回転するニツプロ
   ーラを配設した紡績機において、前記ニツプロー
   ラをデリベリローラに対して軸方向移動自在に構
   成し、更にこのニツプローラを所定量軸方向に往
   復動させる往復動装置を備えたことを特徴とする
   ニツプローラのトラバース装置。