JPS6116290Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は紡績機、仮燃機等の糸巻機の糸送出ロ
ーラに関する。

糸巻機において糸を一定速度で送出する糸送出
ローラは一般に一対のローラから成り、該一対の
ローラは軸方向に固定され、糸は一定の箇所を通
過するため、当該箇所に糸による擦り傷や摩耗に
よる溝ができ、ローラ間の接触面に隙間ができ糸
のニツプ圧が変化し一定速度の糸送出に支障をき
たすことになり、ローラの頻雑な交換を余儀なく
されていた。

このため改良型として送出ローラの一方のロー
ラを糸道を中心に絶えず左右に一定の巾と低速度
でトラバースさせつつ糸送出を行い摩耗し易い方
のローラの糸通過道即ち糸との接触部を線から面
とすることによつて、上記摩耗範囲を広範囲に拡
散し、ローラの寿命を長くしたものがある。

また逆にローラは軸方向に固定しておき、糸の
方を一定の巾でローラ軸方向に絶えず低速度でト
ラバースさせつつ糸送出を行い、上記同様な効果
を得ることも可能である。

しかしながらいずれの場合もローラ表面の特定
の糸道が摩耗すると当該ローラは廃棄処分し、新
たなローラを装着しなければならず、１回使用の
範囲内による寿命の延長には限度がある。

本考案は上記点に基づいてなされたもので、さ
らに寿命を延長させ、少くとも上述のローラの２
倍の寿命が得られ、場合によつては３倍、４倍の
ローラ寿命の延長が可能となる糸送出ローラを提
供するものである。

即ち、本考案ではローラを内芯と外輪の二重構
造とし、外輪を内芯に対して着脱自在に嵌合し、
外芯の外周面における糸通過路をローラの軸方向
の中心より外れた位置として糸通過路が摩耗した
場合には外芯ローラを取り外して軸方向に反転さ
せて嵌合することによつて今まで糸通過路でなか
つた所を糸に接触させることにより、少くとも１
個のローラで２倍に寿命が延長できるようにした
ものである。

以下、本考案の実施例を図面に従つて説明す
る。

第１図において、１は糸巻機の複数錘に渡つて
のびるラインシヤフト状の下側ローラで該ローラ
１上に軸２回りに旋回自在なアーム３先端に軸支
された上側ローラ４が圧接している。該ローラ４
は軸２に巻装されたスプリング５によつて下側ロ
ーラ１上へ押圧する方向に付勢される。糸Ｙは上
記ローラ１，４間にニツプされてローラ１の矢印
６方向の回転によつて下方へ積極的に送出され
る。

第２図において、アーム３は基部７が軸２に旋
回自在かつ軸方向にスライド自在に支持され、該
基部７の両端面にブツシユ８，９がねじ１０，１
１によつて軸２に押圧固定される。従つてブツシ
ユ８，９間にアーム３の位置が位置決めされ、ア
ーム先端の上側ローラ４の下側ローラ１への圧接
位置即ち上側ローラ４と糸の接触位置が設定され
る。

上記アーム３先端の上側ローラ４は、下側ロー
ラ１の軸と平行にねじ１２によつてアーム３に片
持式に固定された軸１３と、該軸１３にベアリン
グ１４，１４を介して支持される内芯１５と、該
内芯に挿入・嵌着される外輪１６によつて構成さ
れる。

上記外輪１６は金属筒体１７にゴムローラ１８
を嵌着固定して一体物として形成されており、内
芯１５と外輪１６間には弾性０リング１９が介在
し、内芯外周に刻設した環状凹溝２０と、外輪内
周に刻設した環状凹溝２１に上記０リング１９が
嵌合して外輪１６の軸方向の位置決めがなされ
る。

従つて外輪１６は内芯１５に対して着脱可能で
あり、外輪１６は第２図矢印２２方向に内芯１５
より抜き取り、外輪を反転させて再び嵌着するこ
とができるのである。０リング１９の位置をロー
ラ４の軸方向の中心位置としておけば外輪を反転
した際好都合である。

また、ローラ１，４の軸と平行に往復動するト
ラバースガイド２３が設けられる。即ち図示しな
い駆動装置によつて巾ｌで往復動するロツド２４
にガイド溝２５を形成したトラバースガイド２３
が固着されている。

上記トラバースガイド２３のガイド溝２５はロ
ーラ４の中心Ｃより距離Ｓ離れた位置になるよう
に固定され、該ガイド２３によつてトラバースす
る糸はローラ４の中心より距離Ｓの所をトラバー
ス巾の中心として一定巾ｌのトラバースを行う。

従つて第３図イの如く糸走行によつてローラ４
の左半分が摩耗してくれば外輪１６のみを抜き取
り反転させて再び装置すれば第３図ロの如く、左
半分の糸通過路には新しにローラ表面が位置す
る。

なお、上記実施例では上側ローラの外輪の位置
決め用０リング１９をローラの中心一箇所に設け
た例を示したが、例えば０リングを３個、等ピツ
チで設けておけば外輪は内芯に対して３通りの位
置で固定され、各位置において摩耗面が糸のトラ
バース巾と重ならないように０リングのピツチま
たはトラバース巾を設定すれば外輪の摩耗してい
ない新しい面を３回使うことが可能でローラの寿
命は大巾に延長し、内芯と外輪の固定手段を０リ
ングによらず他の手段で無段階にしておけば、外
輪１６の長さを糸のトラバース巾で割つた回数分
同一ローラの使用が可能である。この場合の固定
手段として例えば第２図におけるブツシユ８，９
を軸２に固定する押圧ねじ１０，１１の如き手段
も可能である。

以上のように本考案では糸巻機の糸を送出する
送出ローラの一方のローラを内芯と外輪の二重構
造とし、外輪を内芯に対して着脱自在に嵌合した
ので、外輪表面の糸走行による摩耗した面を糸走
行路より外れた位置へ移動させ、摩耗していない
ローラ面によつて糸送出を行うことができ、ロー
ラの寿命を従来より少くとも２倍以上に延長させ
ることができる。また外輪の内周部を金属筒体と
してあるので、外輪の摺動または着脱がスムーズ
に行なえるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は糸送出ローラの一例を示す断面側面
図、第２図は本考案の実施例を示す断面平面図、
第３図は同実施例における上側ローラの使用方法
を示す説明図である。 ４……送出ローラ、１５……内芯、１６……外
輪、１７……金属筒体、１８……ゴムローラ、１
９……０リング（位置固定手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糸の走行路上に設けられる糸送出ローラを内芯
   と外輪の二重構造とすると共に、外輪を内芯に接
   する金属筒体と該筒体の外周に固定されたゴムロ
   ーラとからなる一体物とし、更に外輪を内芯に対
   して着脱自在に嵌合すると共に、外輪を内芯上で
   位置固定する位置固定手段を設け、該固定手段に
   より定まる外輪の取付位置に応じて外輪上での糸
   に対する接触箇所を変更できるようにしたことを
   特徴とする糸巻機の糸送出ローラ。