JPH0214080B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ボビンを内かま内に収納して保持す
るためのボビン保持構造に関する。

従来の技術 第６図は典型的な先行技術の斜視図であり、第
７図はボビン５の斜視図であり、第８図はボビン
ケース６の斜視図である。なお、第８図はボビン
ケース６が部分的に切欠いて示されている。たと
えば、本縫ミシンなどに備えられる垂直全回転か
ま１は、水平な回転軸線まわりに回転駆動される
回転軸２が固定された外かま３と、外かま３内に
収納された内かま４とを備え、内かま４にはボビ
ン５を収納したボビンケース６が装着されてい
る。内かま４は、回り止め部材７によつてその回
転が係止され、回転軸２が回転駆動されると、内
かま４が停止した状態で外かま３が回転軸線まわ
りに回転駆動される。

第９図は、ボビン５およびボビンケース６が外
された垂直全回転かま１の斜視図であり、第１０
図はボビンケース６の部分拡大斜視図である。第
６図〜第８図をも参照して、前記内かま４の底部
８には、第９図に示されるように、スタツド９が
開口側に向けて立設されている。また第８図に示
されるように、ボビンケース６には直円筒状の中
空軸１０が形成される。中空軸１０はボビン５の
中央孔１１に挿通されてボビン５がボビンケース
６に収納される。こうしてボビン５が収納された
ボビンケース６は、スタツド９が中空軸１０に挿
通して、ボビンケース６が内かま４に収納され
る。

このようにしてボビン５が内かま４内に収納さ
れた状態では、前記スタツド９の遊端部に形成さ
れた係合溝１２にボビンケース６に設けられた係
合片１３が係合して、ボビンケース６が内かま４
に係合されている。こうしてボビン５がボビンケ
ース６によつて内かま４内に保持される。また、
内かま４からボビン５を取出す場合には、操作片
１４を操作して、係合片１３とスタツド９との係
合状態を解除し、この状態でボビンケース６を内
かま４から取出し、ボビンケース６からボビン５
が取出される。

発明が解決しようとする課題 このような先行技術では、ボビンの取り替え作
業に手間を要してしまい、作業性が悪い。しか
も、ボビン５を保持するための構造が複雑であ
る。

本発明の目的は、ボビンを内かまに容易に着脱
することができ、かつ簡単な構造でボビンを内か
ま内に確実に保持することができるようにしたボ
ビン保持構造を提供することである。

問題点を解決するための手段 本発明は、底部を有し、強磁性材料から成る内
かまの開放端側の端面にその内かまの直径線方向
にわたつて装着され、長手方向両端部に前記端面
が嵌り込む嵌合溝が形成された本体と、 本体の長手方向中央部に立設され、本体が前記
内かまに装着された状態で先端部がその内かまの
底部近傍まで延びる軸と、 基端部が本体に取付けられ、遊端部に下糸が通
過する下糸案内溝が形成され、この遊端部が前記
本体の開放端側の側面に弾発的に当接する下糸調
子ばねと、 下糸調子ばねに設けられ、その下糸調子ばねを
本体に近接／離反する方向に変位させて、前記遊
端部の側面への押圧力を変化させるねじ部材と、 軸の前記先端部に設けられ、磁力発生材料から
成る吸着片とを含み、 前記軸をボビンの巻筒内に挿通し、前記吸着片
を内かま底部に磁気吸着させて内かまに前記ボビ
ンを保持することを特徴とするボビン保持構造で
ある。

作 用 本発明に従えば、ボビン保持部材を内かまに装
着した状態では、本体は内かまの直径線方向に配
置された状態で、各嵌合溝に内かまの遊端部が嵌
り込み、これによつて前記直径線方向の変位が阻
止されてその本体の内かまに対する位置決めを行
うことができる。この状態において、軸の先端部
は内かまの底部近傍まで延び、その先端部に設け
られる吸着片が前記底部に磁気吸着し、この状態
で内かま内にボビンが保持される。これによつて
ボビンの交換作業を容易かつ迅速に行うことがで
き、ボビン交換に要する時間を可及的に少なくし
て、縫製作業の効率を向上することができる。ま
た前記本体には、下糸調子ばねが設けられるの
で、内かま内に保持されているボビンから取出さ
れた下糸に適度の張力を与えることができ、これ
によつて糸だるみなどを生じることなく、質の良
い縫い目を形成することができる。

実施例 第１図は本発明の一実施例を示すボビン保持部
材４０の斜視図であり、第２図はボビン保持部材
４０が装着される垂直全回転かま２１の斜視図で
ある。本縫ミシンなどに備えられる垂直全回転か
ま２１は、水平な回転軸線まわりに回転駆動され
る回転軸２２が固定された外かま２３と、外かま
２３内に収納された鉄などの磁性材料から成る内
かま２４とを備え、内かま２４にボビン２５が収
納されたボビン保持部材４０が装着される。

内かま２４は、回り止め部材２６によつてその
回転が係止され、この状態で外かま２３がその回
転軸線まわりに回転駆動される。本実施例では、
このような内かま２４の底部２７には従来技術で
述べたスタツド９（第９図参照）を設ける必要が
ないので、平坦である。

ボビン保持部材４０は、その中心軸線ｌ１に沿
つて延びる円柱状の軸２８を有する。軸２８の先
端部には、凹所２９が形成されており、この凹所
２９内には永久磁石などの磁力発生材料から成る
吸着片３０が固着されている。このようなボビン
保持部材４０の軸２８やボビン２５の下糸４６が
巻回される巻筒９０内に挿通した状態で前記内か
ま２４内に装着すると、吸着片３０が底部２７に
磁気吸着して、確実にボビン２５を内かま２４内
に保持することができる。また、ボビン２５を内
かま２４から取外す場合には、ボビン保持部材４
０を指などでつまんで内かま２４から引出し、ボ
ビン２５の巻筒９０にボビン保持部材４０の軸２
８が挿通した状態で容易に取出すことができる。

上述のボビン保持部材４０は、内かま２４の開
放端の端面２４ａに、その直径方向にわたつて装
着される本体４１と、この本体４１のの長手方向
中央部に立設された軸２８とを含む。本体４１
は、その両端に嵌合溝４２ａ，４２ｂが形成さ
れ、この嵌合溝４２ａ，４２ｂが前記内かま２４
の端面２４ａに嵌合して、内かま２４の中心軸線
に軸２８の軸線が一致するように、ボビン保持部
材４０を内かま２４に装着することができる。こ
のような本体４１には、湾曲した板状の下糸調子
ばね４３がその基端部を固定用ビス４４によつて
取付けられている。

下糸調子ばね４３の長手方向中央部付近には、
調整用ビス４５が遊通され、本体４１に形成され
たねじ孔に螺合されている。また、下糸調子ばね
４３の遊端部には、本体４１の一側面４１ａに向
かつて弾発的に当接して、下糸４６を押圧する押
圧部４７が形成される。押圧部材４７には、第３
図に示されるように、下糸案内溝４８が形成され
る。この下糸案内溝４８には下糸４６が挿通さ
れ、下糸４６は押圧部４７によつて側面４１ａに
向けて弾発的に押圧される。

この状態で前記調整用ビス４５を螺進／螺退す
ることによつて、下糸４６を押圧する押圧力を調
整することができる。したがつて、外かま２３の
回転駆動によつてボビン２５から繰出される下糸
４６に適度の張力を作用させ、所望の糸調子で縫
製作業を行うことができる。

第４図は、本発明の他の実施例を示すボビン保
持部材６０の斜視図である。本実施例のボビン保
持部材６０の本体６１には、下糸案内片６２が一
体的に形成されている。この下糸案内片６２には
下糸４６が嵌り込む切欠き６３が形成される。ボ
ビン２５から繰出された下糸４６は、下糸調子ば
ね４３の下糸案内溝４８を挿通して、本体６１の
側面６１ａに押圧部４７によつて弾発的に押え付
けられ、切欠き６３を挿通して繰出される。

これによつてもまた、ボビン２５を内かま２４
内に保持して、下糸４６に適度の張力を作用させ
て所望の糸調子で繰出すことができる。なお、本
実施例において、本体６１には前記実施例で述べ
た嵌合溝４２ｂ（第１図参照）が形成されていな
いため、本体６１の参照符６４付近を予め磁化し
ておくことによつて、内かま２４の端面２４ａに
磁気吸着させるようにしてもよい。これによつ
て、縫製中にボビン保持部材６０が内かま２４の
端面２４ａ上で横ずれなどを生ずることなく、確
実に装着することができる。

第５図は、本発明のさらに他の実施例を示すボ
ビン保持部材８０の斜視図である。本実施例のボ
ビン保持部材８０の本体８１には、下糸調子ばね
８２がその基端部を固定用ビス８３によつて取付
けられる。本体８１は、磁力発生材料から成り、
下糸調子ばね８２が磁気吸着して下糸４６を側面
８１ａに押圧することができる。

下糸調子ばね８２の遊端部には、押圧部８４が
形成され、押圧部８４には下糸案内溝８５が形成
される。下糸調子ばね８２の基端部と遊端部との
間には、調整用ビス８６が螺着された取付部分８
７が形成される。調整用ビス８６の先端は、本体
８１の上面８１ｂに当接しており、調整用ビス８
６を螺進・螺退することによつて、下糸調子ばね
８２が固定用ビス８３の回りに角変位して、押圧
部８４と本体８１の側面８１ａとによつて挟まれ
る下糸４６の接触長さを変化させることができ
る。

したがつて、下糸４６の接触長さを長くした場
合には、押圧部８４と側面８１ｂとの間を通過す
る下糸４６に摩擦力を作用させ、接触長さを短く
することによつて、その摩擦力を減小させること
ができる。これによつて、下糸４６に適度の張力
を与えることができ、希望する糸調子で縫製作業
を行うことができる。

以上のように、本発明に従うボビン保持部材４
０，６０，８０によつて、ボビン２５を確実に内
かま２４内に保持して、そのボビン２５から繰出
される下糸４６に適度の張力を与えて所望の糸調
子で縫製作業を行うことができる。

発明の効果 本発明によれば、内かまに収納されたボビン
は、ボビン保持部材によつて内かまから離脱する
ことなく、確実に保持することができる。このよ
うなボビン保持部材は内かまに着脱自在に取付け
られているため、容易にボビンを内かまから取外
すことができる。これによつてボビンの取り替え
に手間を要することなく、迅速に取り替え作業を
行うことができ、作業性が向上される。また本発
明のボビン保持構造によれば、前記先行技術のボ
ビンケースに比べて構成が簡単であり、したがつ
て生産性が良好であり、安価に製造することが可
能である。さらに本発明のボビン保持構造は従来
のかまに対して内かまだけを交換すればよく、し
たがつて既存のミシンに設けられるかまに関連し
て広範囲に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すボビン保持部
材４０の斜視図、第２図はボビン保持部材４０の
拡大斜視図、第３図は下糸調子ばね４３の部分拡
大斜視図、第４図は本発明の他の実施例を示すボ
ビン保持部分６０の斜視図、第５図本発明のさら
に他の実施例を示すボビン保持部材８０の斜視
図、第６図は典型的な先行技術の斜視図、第７図
はボビン５の斜視図、第８図はボビンケース６の
斜視図、第９図はボビン５およびボビンケース６
が外された垂直全回転かま１の斜視図、第１０図
はボビンケース６の部分拡大断面図はである。 ４０，６０，８０…ボビン保持部材、２１…垂
直全回転かま、２２…回転軸、２３…外かま、２
４…内かま、２５…ボビン、２７…底部、２８…
軸、２９…凹所、３０…吸着片、４１，６１，８
１…本体、４１ａ，６１ａ，８１ａ…側面、４２
ａ，４２ｂ…嵌合溝、４３，８２…下糸調子ば
ね、４４，８３…固定用ビス、４５，８６…調整
用ビス、４６…下糸、４７，８４…押圧部、４
８，８５…下糸案内溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 底部を有し、強磁性材料から成る内かまの開
   放端側の端面にその内かまの直径線方向にわたつ
   て装着され、長手方向両端部に前記端面が嵌り込
   む嵌合溝が形成された本体と、 本体の長手方向中央部に立設され、本体が前記
   内かまに装着された状態で先端部がその内かまの
   底部近傍まで延びる軸と、 基端部が本体に取付けられ、遊端部に下糸が通
   過する下糸案内溝が形成され、この遊端部が前記
   本体の開放端側の側面に弾発的に当接する下糸調
   子ばねと、 下糸調子ばねに設けられ、その下糸調子ばねを
   本体に近接／離反する方向に変位させて、前記遊
   端部の側面への押圧力を変化させるねじ部材と、 軸の前記先端部に設けられ、磁力発生材料から
   成る吸着片とを含み、 前記軸をボビンの巻筒内に挿通し、前記吸着片
   を内かま底部に磁気吸着させて内かまに前記ボビ
   ンを保持することを特徴とするボビン保持構造。