JPH067188Y2 - 自動車用ドアハンドル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本考案は、ハンドルをドアの外側へ露出状態に取り付
け、そのハンドルを引き起こし操作してドアの開閉を行
なう自動車用ドアハンドルに関する。

ロ 従来の技術 ハンドルの基端に形成された凹部をベースに設けた凸部
へ嵌め合わせて基端側を枢着する一方、先端側裏面に突
設されたアームの先端を、ベースに備えられたコイルバ
ネの遊端と連結することにより、ハンドルの先端をベー
ス側へ引き寄せた状態に維持し、前記枢着部を支点とし
た引き起こし操作によってドアロックの解除を行なう自
動車用ドアハンドルにおいては、従来第５図示の如く、
枢着部は単に凹部４を凸部７ａへ嵌め合わせただけであ
り、又コイルバネ９の遊端とアーム５先端との連結は、
アーム５の先端に鈎状の係止板５ａを設けると共に、コ
イルバネ９の遊端を角型アーチ状に形成し、係止板５ａ
とコイルバネ９の遊端とを係止手段によって連結させて
いた。更にバネを介する部材間の結合手段として、実公
昭28-9153号公報に開示の如く、弾片（コイルバネ）の
遊端部に抽斗の係合部と係合する抽挿杆を一体的に取り
付けると共に、把持片（ハンドル）の先端のピンと前記
抽挿杆とのリンク結合により把持片の先端と弾片を連結
する機構が、又実公昭35-28623号公報にはハンドル凹部
とベース凸部との枢着に関し、枢着部分を発条によって
押圧し抜け止めとしたものが夫々知られている。

ハ 考案が解決しようとする課題 前記第５図示の自動車用ドアハンドルは、枢着部の嵌め
合わせと連結部の係止操作をする場合、ベースに対して
ハンドル部をその基端側へ押圧する移動操作により簡単
に行えるが、反面逆方向への移動で外れやすい。そのた
めその外れを防止するため、ハンドルの先端前方へ取り
付けられるカバー１３等により先端側への移動を規制す
る必要が生じる。又ハンドルの引き起こし運動をドアロ
ック機構に伝達する伝達レバー１１はアームと連結させ
ているため、幅の狭いアームではレバー先端のピンとリ
ンク結合させた場合その摺動の幅が大きく確保できず、
レバー比の制約を受けると共に、アームが強度不足とな
りやすい。更に組み立てにおいても、ハンドルの組み付
け、そのハンドルの移動規制処理、レバーとアームとの
リンク結合といった複数の工程を必要としていた。加え
て前者の公報に開示のものは把持片の移動方向と側板に
掛合する抽挿杆の移動方向とが同一になる一般的なロッ
ク機構で、把持片の配置位置、方向が限定される。又後
者の公報に開示のものは発条の押圧力に抗した着脱操作
により、枢着された２部材が一方向から分離可能なもの
であるから、当該方向からの外力により蝶番が分解して
しまう虞れがある。

ニ 課題を解決するための手段 そこで本考案は、上記従前の自動車用ドアハンドルに関
して生じている欠点に鑑み、簡単且つ合理的な構成によ
り、組み付け作業が容易で信頼性が高く、而もレバー比
を大きくすることが可能な自動車用ドアハンドルの提供
にあり、その構成は、ベースの凸部に嵌合された凹部に
対してその背側を押圧する止着部材をベースに設け、又
基端部がベースに枢支され且つハンドルのアームより幅
広のスライダにコイルバネの遊端部を掛合すると共に、
前記アーム先端の両側方に突設されたピンとスライダの
略中央部長手方向に設けた第１係合部とを連結し、更に
ベース側に枢支されドアロックの解除のための伝達レバ
ーと、スライダの先端部の幅方向に設けた第２係合部と
を連結したことを特徴とするものである。

ホ 作用 ハンドルのアーム先端のピンをスライダの第１結合部と
連結した後、止着部材の押圧力に抗しながら、ハンドル
の基端に形成された凹部をベースに設けた凸部へ嵌合す
る。この時止着部材は凹部を背側から押圧する抜け止め
となる。ハンドルはスライダの第１結合部での連結で引
き起こし可能となり、伝達レバーはスライダの第２係合
部に連結され、任意の大きさ、方向に設定できる。

ヘ 実施例 本考案の自動車用ドアハンドルを図面に基いて説明する
と、第１図において、１はベース、２はハンドルであ
り、ベース１はプレス成型された金属製で高い強度を有
している。一方ハンドル２は雨水に濡れても錆たりしな
い合成樹脂製で、基端裏側には連結部３に突設され、そ
の連結部３の後端部には、ハンドル２の長手方向外方に
開口した凹部４が形成されている。又先端側裏側にはア
ーム５が突設され、そのアーム先端には両側方へピン
６，６が突出されている。そしてベース１には、基端側
に枢支軸７が水平に設けられ、その枢支軸７よりなる凸
部へ前記ハンドル２の凹部４を嵌め合わせることにより
ハンドルをその基端部においてベース１の基端へ枢支さ
せることができる。又ベース１には回転爪８が設けられ
ており、その回転爪８は、コイルスプリング８ａの力に
よって、先端が、枢支軸７よりなる凸部へ枢着された連
結部３の凹部４背側を押圧する方向へ回転力が付勢され
ていて、枢支状態にある連結部を確実にロックできるよ
うになっている。更にベース１の中央よりやや先端側に
は、水平軸９ａを中心として遊端が奥方（図面において
下側）へ回転力を付与された状態のコイルバネ９が取り
付けられ、そのコイルバネ９の遊端は、断面を、状と
し、ベース１に水平軸９ａを介して枢支されたスライダ
１０に掛け渡されている。該スライダ１０はその内部両
側に摺動溝１０ａを有し、この摺動溝１０ａへアーム５
の先端に突出したピン６，６を係止させることにより、
アーム５はスライダ１０の略中央部でリンク結合される
と共に、ハンドル２の先端側はコイルスプリング９の力
によってベース１側へ引き寄せられた状態に維持され、
ハンドル２をコイルスプリング力に抗し、枢着部を支点
として引き起こすことができる。更に前記スライダ１０
はその先端に伝達レバー１の係止部１１ａを係止する開
口１０ｂを有している。

このように構成された自動車用ハンドルを組み付ける場
合には、先ずベース１をドア１４裏面の所定部位へ当て
がうように固定し、ハンドル２に突設されたアーム５
を、パッキング材１５を介してドア１４に切り抜かれた
切り抜き穴１６からベース１に形成されている切り抜窓
１ａに挿通して先端をスライダ１０とリンク結合させ
る。次に連結部３を、パッキング材１５ａを介して同じ
くドア１４に切り抜かれた切り抜き穴１６ａからベース
１の基端側小窓１ｂに挿通し、回転爪８を押し戻し乍ら
枢支軸７へ凹部４を嵌め合わせる。嵌め合わせが完了し
た時点で回転爪８は凹部の背側を押圧した状態となり、
枢支部はロック状態となる。そして最後にカバー１３を
取り付け、固定金具１７とボルト１８にて結合させる。

このようにベース１へハンドル２を組み付ける場合はワ
ンタッチで行なえ、回転爪８はハンドルの離脱方向への
移動を抑止するロック機構として作用するから、ハンド
ル２は方向性をもたずに軸支され、外力等によって外れ
ることはない。尚ハンドル２を外す必要が生じた場合に
は、回転爪８をバネ力に抗して回転させればロックが解
除されて簡単に外すことができる。又ハンドル操作の運
動を伝達する機構の伝達レバー１１をスライダ１０に連
結させる場合、伝達レバー１１の係止部１１ａとスライ
ダ１０の開口１０ｂとの連結となるから、アーム５の大
きさに関係なく幅広のスライダ１０を有効に活用してレ
バー比を大きく確保でき、伝達レバー１１の移動方向を
ハンドルの移動方向と必ずしも同一にする必要がなく、
例えば直交方向に配設する等、ハンドルの配設位置や向
きに関して自由に設定できる。更に組付けにおいては、
予め伝達機構の伝達レバー１１とスライダ１０先端とを
リンク結合させた状態にしておいてハンドルの組み付け
を合理的に行うことができ、又ハンドル２の枢支部には
前述の回転爪８によるロック機構が働いているから、カ
バー等余分な部材を用いたりしてハンドルの抜け止めを
図る必要はなく、ハンドルの組み付けのみを独立して行
える。

本実施例の自動車用ドアハンドルは、ベースに形成され
た切り抜き窓１ａに合成樹脂製のスペーサ１２が嵌め込
まれ、それによってアーム５の両側が規制されてハンド
ル２が左右にがたついたりせず、スムーズに操作でき
る。

尚実施例においては、止着部材として回転爪を用い、そ
れによってロックが行なわれるものとなっているが、止
着部材は回転爪に限定するものでなく、凹部背側を押圧
して枢支部の外れ防止が可能なものであれば、突出ピ
ン、押圧ブロック体等でも良いし、凸部も、凹部も嵌め
合わせて枢着できるものであればその構造は問わない。
又アームとスライダの中央部とのリンク結合について
も、上記実施例ではスライダ内部に摺動溝を設けたもの
としたが、スライダの両側に長孔を形成し、その長孔内
をピンが摺動する構造にすることもできる。そして本実
施例の自動車用ハンドルは、ベースが板金製であるから
安価にて製造でき、組み付け容易な効果と相俟ってコス
トダウンを図れる。

ト 考案の効果 以上本考案によれば、ハンドルとベースをワンタッチで
簡単に組み付けられ、その際止着部材により組み付けと
同時に枢支部の完全な抜け止めを図ることができ、信頼
性の高いドアハンドルを構成できる。よって組み付け工
程が簡略化してカバー等の余分な部材も省略可能とな
る。又コイルバネの遊端にスライダを一体的に取り付
け、スライダの第１係合部にはアーム、第２係合部には
ドアロック解除の為の伝達レバーを夫々連結したこと
で、アームの強度を確保できると共にアームより幅広で
あるスライダを活用してレバー比も大きく設定でき、更
には伝達レバーの移動方向をハンドルの移動方向と必ず
しも一致させる必要がなく、直交方向等にも配設可能と
なり、ハンドルの配設位置又は向きに関し設計自由度が
増大するものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車用ドアハンドルのハンドル
とベースを分離した状態を示す斜視図、第２図は枢着部
の説明図、第３図はアームとスライダとの結合部を示す
分解斜視図、第４図は組み付けた状態を示す説明図、第
５図は従来の自動車用ドアハンドルを示す説明図、第６
図はドアハンドルの組み付け要領を示す説明図である。 １……ベース、１ａ……切り抜き窓、１ｂ……小窓、２
……ハンドル、３……連結部、４……凹部、５……アー
ム、５ａ……係止板、６……ピン、７……枢支軸、７ａ
……凸部、８……回転爪、８ａ……コイルバネ、９……
コイルバネ、９ａ……水平軸、１０……スライダ、１１
……伝達レバー、１２……スペーサ、１３……カバー、
１４……ドア、１５、１５ａ……パッキング材、１６、
１６ａ……切り抜き穴、１７……固定金具、１８……ボ
ルト。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中森 洋治 東京都港区芝５丁目33番８号 三菱自動車 工業株式会社内 (72)考案者 相川 喜吉 愛知県名古屋市緑区鳴海町字小森46番地 株式会社立松製作所内 (72)考案者 林 正康 愛知県名古屋市緑区鳴海町字小森46番地 株式会社立松製作所内 (72)考案者 永井 友康 愛知県名古屋市緑区鳴海町字小森46番地 株式会社立松製作所内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハンドルの基端に形成された凹部をベース
   に設けた凸部へ嵌め合わせて基端側を枢着する一方、先
   端側裏面に突設されたアーム先端を、ベースに備えられ
   たコイルバネの遊端と連結することにより、ハンドルの
   先端をベース側へ引き寄せた状態に維持し、前記枢着部
   を支点とした引き起こし操作によってドアロックの解除
   を行なう自動車用ドアハンドルにおいて、ベースの凸部
   に嵌合された凹部に対してその背側を押圧する止着部材
   をベースに設け、又基端部がベースに枢支され且つハン
   ドルのアームより幅広のスライダにコイルバネの遊端部
   を掛合すると共に、前記アーム先端の両側方に突設され
   たピンとスライダの略中央部長手方向に設けた第１係合
   部とを連結し、更にベース側に枢支されドアロツクの解
   除のための伝達レバーと、スライダの先端部の幅方向に
   設けた第２係合部とを連結したことを特徴とした自動車
   用ドアハンドル。
2. 【請求項２】前記止着部材が、先端を凹部背側へ付勢さ
   れた回転爪である実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の自動車用ドアハンドル。