JPH0671701U - 接合型建築材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 建築材料（２）の少なくとも一面に粘着剤層
（３）と弾性弾性多孔質層（４）とが同一面上に設けら
れている。弾性弾性多孔質層（４）には熱可塑性樹脂又
は熱反応性樹脂と導体とを含有した接着剤が充填されて
いる。また弾性弾性多孔質層（４）を粘着剤層（３）よ
りも厚く形成しておいてもよい。建築材料（２）と粘着
剤層（３）との間隙に発泡体（５）を設けておいてもよ
い。 【効果】 各種化粧材等の建築材料を高周波誘導加熱に
より、短時間で確実且つ強固に被着体上へ接合させるこ
とができ、連続して次工程へと移行させることが可能と
なる。また、建築材料を被着体と貼り合わせる際に、位
置決めを行い、適宜任意の位置にこの建築材料をずらす
こともでき、接合作業が非常に効率良く行える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は接合型建築材料に係り、その目的は高周波誘導加熱により木板、化 粧材等の建築材料を被着体に短時間で確実に接合させることができ、連続して次 工程へと移行させることができるとともに、位置決めの際のズラシを自在に行な うことができるなど作業性が極めて優れた接合型建築材料の提供にある。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、合板や化粧材等の建築材料を接合する方法としては、釘やジベル、 ボルト、リベット等の接合部品を用いた方法が古くから採用されていた。 この接合方法は、合板等の任意箇所に、釘やジベルを打ち込むなどして行なう もので、作業が比較的簡易ではあるが、点接合であるために応力がその一点に集 中してしまい、一方、この応力を分散させようとして、複数の部品を広範囲に打 ち込む場合には作業が煩瑣となるという課題が存在した。 また、このような方法では、接合部分に突起や肉盛りが表れて表面の平滑性が 失われ、美観を損ねるという課題もあり、建築産業の近代化に伴う合理化、省力 化、工期の短縮等の諸要求に対して、必ずしも満足な方法と言えるものではなか った。 そこで、古くからの釘等を用いた接合方法に代わって、液状の有機高分子系接 着剤を使用した接合方法が次第に採用されてくるようになってきた。 建築材料に使用される液状の接着剤としては、クロロプレンゴム又は天然ゴム などのゴム系粘着剤、或いは酢酸ビニル系、アクリル系、エチレン系などの共重 合エマルジョン樹脂や二液性のエポキシ樹脂を使用した接着剤等が挙げられ、こ のような接着剤を、被着体の任意箇所に塗布した後、硬化させて接合する方法で あった。 この液状の接着剤による接合方法では、面接合となるために、接合部分全体に 応力が均一に分布され、耐久性が向上し、しかも接合部分の表面を平滑に仕上げ ることができ、美観の面からも好ましく採用されるものであった。

【０００３】 ところが、前記した液状の接着剤を使用した接合方法では、接着剤を塗布した 後硬化させて、接着力を発現させるまでに一定の時間が必要となり、接着剤塗布 後に所定期間の養生が必要であるという課題が存在した。 すなわち、接着剤が硬化するまでの期間、仮釘や、支え木などを用いて所定期 間養生させておかなければならず、大量に作業する場合には、連続的な接合作業 が行なえないなどの課題が存在した。 しかも、エマルジョン系の樹脂接着剤の場合では、夏季の高温、高湿度時にお いては、粘度や造膜性能が変動して乾燥速度が遅くなる傾向にあり、樹脂が硬化 するまでに接着表面に汚れが付着したり、或いは表面がベトベトして取扱いが困 難となる、さらには接着皮膜の前硬化による接着不良が生じやすくなるなどの課 題も存在した。 また、エポキシ樹脂等二液性のものでは、使用に際してその都度任意の硬化剤 との混合が必要となり、しかも硬化剤と混合させた後、迅速に使用しなければす ぐに硬化反応が起こってしまうなど、取扱いに注意が必要となるなどの課題が存 在した。 さらに、これら接着剤はいずれも液状であるため、刺激性や毒性を有するもの が多く、取扱いに注意が必要とされ、また、建築組み立て現場においては、一般 に被着体に均一に且つ適切な量の接着剤を塗布することは困難とされ、塗布ムラ などによる接着不良が生じやすく、接着に対する信頼性が得にくいなどの課題も 存在した。 そこで、このような液状の接着剤による種々の課題を改善する方法として、粘 着剤を利用した両面テープによる接合方法も採用されるようになってきた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記した両面テープを利用した接合方法では、両面テープの貼 着と同時に接着性が発現されるため、接合された建築材料が、所望した位置から ずれた際の修正が困難となり、目的とする位置に即座に移行させることができな いといった課題が存在した。 さらに、建築材料として使用される合板等の表面は、通常、粗面状となってい るため、両面テープを貼り付ける際に、接着面との接触面積が充分に確保できず 、材料重量による応力や、接着後の温度、湿度などの気候変化による建築材料の 伸縮や反りにより発生する応力によって、貼着した両面テープが経時的に剥がれ やすくなるなどの課題も存在した。 一方、両面テープの接着面積を充分に確保せんとして、両面テープに使用され る粘着剤を柔らかくすると、接着面積は増加するものの、反面、建築材料による 応力で、粘着剤がクリープ現象により流動し、結果として両面テープの剥離が生 じるなどの課題が存在した。 従って、両面テープを使用した接合方法においても、長期間の接合力には信頼 性が得にくいといった課題が存在した。

【０００５】 このような実情に鑑みて、業界では、被着面が粗面状となっている建築材料に 対して、短時間で強固に、且つ確実に接合させることができ、連続的に次工程へ と移行させることができるとともに、位置決め時に自在にズラシを行なうことが 可能で、目的とする位置に即座に移動させることができるなど、作業性の良好な 接合材料の創出が望まれていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案では、建築材料の少なくとも一面に粘着剤層と弾性多孔質層とが同一 面上に設けられてなり、前記弾性多孔質層には熱可塑性樹脂又は熱反応性樹脂と 導体とを含有した接着剤が充填されてなることを特徴とする接合型建築材料を提 供することにより、前記従来の課題を悉く解消する。

【０００７】

【作用】

建築材料の一面には粘着剤層と弾性多孔質層とが同一面上に設けられ、弾性多 孔質層には熱可塑性樹脂又は熱反応性樹脂と導体とを含有した接着剤が充填され ている。 接合作業に際しては、建築材料の粘着剤層及び弾性多孔質層側を被着体上へ載 置し、押圧する。この際、弾性多孔質層を粘着剤層よりも厚く形成しておくと、 弾性多孔質層は押圧によって圧縮されるが、含有されている接着剤は常温下では 非接着状態であるため、粘着剤層のみが被着体と接着される状態となる。また、 この状態では、弾性多孔質層は常に剥離方向へと付勢されているため、位置決め のために建築材料を任意にずらしたりすることが可能となる。位置決め終了後、 この建築材料を高周波誘導加熱により加熱すると、接着剤中に含有されている導 体が発熱し、この発熱によって熱可塑性樹脂又は熱反応性樹脂が溶融して被着体 と接着されるため、短時間に接合作業が完了し、手持ちなく即座に次工程へと移 行できる。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案に係る接合型建築材料の実施例を図面に基づいて説明する。図 １はこの考案に係る接合型建築材料の第一実施例を示す外観図であり、図２は図 １のＡ−Ａ' 線断面図である。 図示するように、この考案の接合型建築材料（１）は、建築材料（２）の少な くとも一面に粘着剤層（３）と弾性多孔質層（４）とが同一面上に設けられてい る。 この考案において使用する建築材料（２）としては、木材、石膏ボード、硅酸 カルシウム材、各種化粧材など、通常の建築材料に使用される非金属性のものが 特に限定されることなく好適に使用される。

【０００９】 粘着剤層（３）としては、天然ゴム又はスチレン共役ジエンブロック共重合体 などのゴム系粘着剤、或いはアクリル系粘着剤、ビニル系粘着剤、シリコン系粘 着剤等の公知の粘着剤が特に限定されることなく好適に使用される。 また、この粘着剤層（３）の調製には、前記した粘着剤に加えて、必要に応じ て、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤、安定剤など通 常の粘着剤に用いられる各種の添加剤を適宜併用してもよく、特に限定はされな い。

【００１０】 また、弾性多孔質層（４）としては、ウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリエ チレン、ポリプロピレン等の合成樹脂発泡体或いはゴム発泡体等の連続気泡を有 する発泡体が好ましく使用される。 また、上記した発泡体以外にも、金属系の不織布も好適に使用できる。 この考案では、上記した弾性多孔質層（４）に、熱可塑性樹脂又は熱反応性樹 脂と導体とを含有した接着剤が充填されている。 ここで、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル系 、エチレン・エチルアクリレート系、ポリアミド系、ポリエステル系、エチレン −α−オレフィン共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂系、スチレン−ブタジエン・ スチレンブロック共重合体系、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合 体系、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体系等の樹脂が 好適に例示されるが、特に限定はされない。 また熱反応性樹脂としては、特に限定はされないが、エポキシ系、フェノール 系、メラミン系、尿素系、ウレタン系、アルキド系、シリコン系、不飽和ポリエ ステル系等の熱硬化性樹脂が例示され、特に加熱により硬化する樹脂を使用する ことが望ましい。 また、導体としては、電磁誘導で生ずる渦電流によって加熱されるものである ならいずれのものも使用でき、例えばアルミニウム、ニッケル、亜鉛、銅、鉛、 ステンレス鋼、或いは各種合金等の金属類が好適に使用できるが、中でも発熱効 率や耐食性の面よりステンレス鋼やアルミニウムが好ましく用いられる。 このような金属類は、粉末状、繊維状或いはネット状、箔状等の形状で接着剤 中に含有されていればよい。 さらに、この接着剤中には、上記した熱可塑性樹脂又は熱反応性樹脂以外に、 熱流動性改質剤として、石油系、ロジン系、テルペン系などの樹脂をブレンドす ることもできる。 尚、接着剤の保存安定性を向上させる目的で、老化防止剤や紫外線吸収剤など 通常の接着剤に用いられる各種添加剤を混合させることも適宜行なうことができ る。

【００１１】 この考案では上記のように弾性多孔質層（４）に、熱可塑性樹脂又は熱反応性 樹脂と導体とを含有する接着剤を充填させることにより、高周波誘導加熱により 短時間で容易に被着体へ接合させることが可能となる。 すなわち、１３〜４１ＭＨ₂ の各割当て周波数に基づく高周波電流を弾性多孔 質層（４）に流すことによって、含有されている導体が発熱し、この発熱を利用 して接着剤が溶融され、被着体への接合を完了させることができる。

【００１２】 またこの実施例では、建築材料（２）は板状とされているが、この考案では特 に限定はされず、例えば図３に示すように棒状とされていてもよい。 さらに弾性多孔質層（４）についても、図１に示すように設けられる以外に、 例えば図４に示すように粘着剤層（３）の周囲に設けられていてもよく、或いは 図５に示すように、粘着剤層（３）と交互に隣接して設けられていてもよく、特 に限定はされない。

【００１３】 図６はこの考案に係る接合型建築材料の第二実施例を示す断面図である。 図示するように、第二実施例では、建築材料（２）と粘着剤層（３）との間隙 に発泡体（５）が設けられている。 この第２実施例では、建築材料（２）の表面に発泡体（５）が設けられ、この 発泡体（５）の表面に感圧性粘着剤が、点状、筋状、又は薄膜状等種々の形状で 塗布されて設けられる構成が適宜任意に採用できる。 このように、発泡体（５）を設けることにより、この考案の接合型建築材料（ １）にクッション性や防音性が付与される。

【００１４】 さらにこの考案では、粘着剤層（３）及び弾性多孔質層（４）の厚みや幅につ いては、建築材料（２）の大きさ、重量或いは接合させる位置や目的に応じて適 宜任意に設定されればよいが、より望ましくは、前記図１乃至図６に示すように 、弾性多孔質層（４）の厚みを、粘着剤層（３）よりも厚く形成する構成が好適 に採用される。 この理由は、このような構成を採用することによって、接合型建築材料（１） を被着体上に載置して、接合方向へと押圧した際に、弾性多孔質層（４）が圧縮 され、押圧によって弾性多孔質層（４）と粘着剤層（３）とが同一厚さとなり、 被着体と接合型建築材料（１）とは、粘着剤層（３）によって仮接着状態となる が、弾性多孔質層（４）の弾性によってこの建築材料（１）は常に剥離方向へ付 勢されている状態となるため、位置決めに伴うズラシ等を任意に行うことが可能 となるからである。

【００１５】 図７乃至図８は、この考案に係る接合型建築材料（１）の使用状態を示した説 明図である。 図示するように、使用に際しては、まず、図７に示すように接合型建築材料（ １）の粘着剤層（３）及び多孔質層（４）側を、対象とする被着体（Ａ）上に載 置させ、次いで建築材料（２）側（矢印）より押圧する。すると、図８に示すよ うに、背面側からの押圧によって弾性多孔質層（４）が圧縮され、図示するよう に粘着剤層（３）と弾性多孔質層（４）とが、同一厚さとなり、被着体（Ａ）上 に接触される。 この際、弾性多孔質層（４）中に充填されている接着剤は、熱可塑性樹脂又は 熱反応性樹脂を含有したものであるから常温下では非接着状態にあり、粘着剤層 （３）のみが、被着体（Ａ）上に接着される仮接着状態となる。 また、この状態では、非接着状態にある弾性多孔質層（４）部分が常に剥離方 向へと付勢されているため、位置決め時のズラシが容易に行なえ、目的とする位 置に即座に移動させることができる。 この後、この接合型建築材料（１）に高周波誘導加熱を施すことにより、接着 剤中に含有されている導体が発熱され、この発熱によって熱可塑性樹脂又は熱硬 化性樹脂が溶融して、弾性多孔質層（４）が被着体（Ａ）へ接着されて接合作業 が完了する。

【００１６】

【考案の効果】

以上詳述した如く、この考案は、建築材料の少なくとも一面に粘着剤層と弾性 多孔質層とが同一面上に設けられてなり、前記弾性多孔質層には熱可塑性樹脂又 は熱反応性樹脂と導体とを含有した接着剤が充填されてなることを特徴とする接 合型建築材料であるから、化粧材等の建築材料を、高周波誘導加熱により短時間 で確実に被着体上に接合させることができ、連続して次工程へと移行することが できるなど作業性が極めて良好であるという優れた効果を奏する。 しかも、粘着剤と接着剤とを併用しているため、粘着剤部分はリフォーム時に 剥離しやすいとともに、被着体表面の汚れが少なくなり、且つ粘着剤層単独では 外的要因等により生じるクリープ現象を防止することはできないが、接着剤が併 用されているため、クリープ現象を防止することができるという効果を奏する。 そのうえ、建築材料の反り等の反発力に関しても、接着剤により防止できる。 また、弾性多孔質層を粘着剤層よりも厚く設ける構成を採用することにより、 被着体上へ載置した際の位置決めによるズラシを自在に行なうことができ、目的 とする位置に即座に移動させることができるという効果を奏する。 さらに、粘着剤層と建築材料との間隙に発泡体を充填する構成を採用すること により、クッション性が向上し、接合部の振動が減衰されて防音効果等が期待で きるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る接合型建築材料の第一実施例を
示す外観図である。

【図２】同上、Ａ−Ａ' 線断面図である。

【図３】この考案に係る接合型建築材料の一実施例を示
す外観図である。

【図４】この考案に係る接合型建築材料の一実施例を示
す外観図である。

【図５】この考案に係る接合型建築材料の一実施例を示
す外観図である。

【図６】この考案に係る接合型建築材料の第二実施例を
示す断面図である。

【図７】この考案に係る接合型建築材料の第二実施例に
おける使用状態を示す説明図である。

【図８】この考案に係る接合型建築材料の第二実施例で
の接合状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 接合型建築材料 ２ 建築材料 ３ 粘着剤層 ４ 弾性多孔質層 ５ 発泡体

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築材料の少なくとも一面に粘着剤層と
   弾性多孔質層とが同一面上に設けられてなり、前記弾性
   多孔質層には熱可塑性樹脂又は熱反応性樹脂と導体とを
   含有した接着剤が充填されてなることを特徴とする接合
   型建築材料。
2. 【請求項２】 前記弾性多孔質層が前記粘着剤層よりも
   厚く設けられてなることを特徴とする請求項１に記載の
   接合型建築材料。
3. 【請求項３】 前記粘着剤層と建築材料との間隙に発泡
   体が設けられてなることを特徴とする請求項１乃至２に
   記載の接合型建築材料。
4. 【請求項４】 前記弾性多孔質層が連続気泡を有する発
   泡体であることを特徴とする請求項１乃至３に記載の接
   合型建築材料。