JPH06713A - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JPH06713A
JPH06713A JP16072392A JP16072392A JPH06713A JP H06713 A JPH06713 A JP H06713A JP 16072392 A JP16072392 A JP 16072392A JP 16072392 A JP16072392 A JP 16072392A JP H06713 A JPH06713 A JP H06713A
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slit
shank
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cutting blade
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Kengo Ohira
研五 大平
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Makino Milling Machine Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークの下り勾配面や中高、中低曲面を含む
加工面でも切削反力による振動抑制と、食い込み、かじ
りを防止できるヘールバイト形の切削工具を提供するも
のである。 【構成】 機械の回転主軸18に装着されるシャンク2
2の装着端23と、その下方の切削刃保持部24の下端
の切削刃固定面26の上方の所定部位に貫通スリット2
8を設け、その前端側に弾性変形支点28aを設け、後
端側にはシャンク22の薄肉部29を設けて、同薄肉部
によりばね伸縮可能な弾性支持部を形成し、切削反力の
ベクトルが弾性変形支点28aの前方、後方および近傍
域に作用する場合でも、切削刃保持部24の下方域の振
動生起を抑制し、かつ、かじり、食い込みを防止し得る
切削工具の構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の回転主軸の
先端に設けられた工具取付孔に嵌入、装着されることに
より、所定の進行方向に切削作用を行うと共に回転軸心
回りの回転(以下C軸回転という)によって切削刃の向
きを変えて切削進行方向を可変とすることが可能な切削
工具の構造に関し、特に、ワークの加工面が水平面のみ
ならず下り勾配を有する場合や隆起した中高曲面や窪ん
だ中低曲面を有した複雑な曲面を有する場合にも、切削
刃を保持したシャンク部分における切削進行方向に見た
前方域に弾性変形用の支点を形成し、また、後方域に弾
性支持部を形成する貫通スリットを具備し、切り込み時
と切削刃が削り作用をする切削前進との何れの切削加工
時にも切削加工反力の変動と、かじりや食い込み等の不
都合な作用とを防止し、単一の切削工具で加工面の面形
状の変動に対応した切削加工が可能であると共に、ワー
クの荒切削加工から緻密な加工面を形成する精密切削加
工までを一貫して遂行可能なヘールバイト形の切削工具
に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械、特に、旋盤、平削り盤、形削
り盤等の工作機械における切削工具としてヘールバイト
が用いられることは従来より周知であり、ヘール突切り
バイト、ヘール仕上げバイト、ヘールねじ切りバイト等
の種類が主として周知である。この種のヘールバイト
は、切削刃に近い工具先端領域に切削作用時のかじり又
は食い込みを阻止するためにU字形に曲げられたばね作
用部を有する点を特徴とした切削工具である。この種の
従来のヘールバイトは、ワークに対する姿勢が加工中不
変であり、加工前にヘールバイトの刃先とワークとの位
置関係をきっちり決めれば所望寸法の加工が行えた。
【0003】近時、金型等のワークでは平面形状の被加
工面に、更に、直線溝のみならず、閉曲線に沿う溝加工
等を精密に加工する要請も有り、このような曲線溝等で
は、従来一般的なエンドミルを用いた加工では、工具自
体が回転軸心を有して回転作動しながら切削加工を行う
ので、必然的に加工溝の形状は断面が対称形状に限られ
ると言う制限があることから、本出願人は、C軸心を有
する工作機械に装着されてワークの平加工面に切削加工
を施す切削工具として、弾性変形支点を切削刃の上方域
に形成するスリットを有したヘールバイト形の切削工具
を構成し、かつ、同切削工具はC軸心と一致した軸心を
有するシャンクと、そのシャンクの先端に上記軸心を含
む平面として形成した切削刃の取付面に所望形状の切削
刃を所定の固定手段で固定し、上記の弾性変形支点は、
切削刃の切削進行方向に見て上記取付面の前方領域に配
設して切削反力を弾性的に吸収することにより、切削加
工反力を一定変動内に抑制し、又かじりや食い込みを防
止しつつ切削刃を所定の軌跡に沿ってワークに対して相
対的に進行せしめることによって切削加工作用を進行さ
せ、同時にC軸回転により切削軌跡を曲線軌跡に選定す
ることも可能とし、かつ、ワーク表面に断面が対称及び
非対称の任意の加工溝を切削加工できるようにしたヘー
ルバイト形切削工具を既に提供した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述の既
に提供したヘールバイト形切削工具は、金型等のワーク
において加工面がより複雑化し、下り勾配面を含んだ加
工面や隆起した中高曲面又は窪んだ中低曲面を含んだ加
工面の場合には、単一のヘールバイト形切削工具を駆使
して加工を遂行することが困難になる場合がある。即
ち、図6に示すように、ヘールバイト形切削工具8が下
り勾配面Waを切削加工する加工工程におき、特に切削
工具8の軸心方向(Z方向)に切込みを行ったとき、そ
の切込みに伴う切削反力のベクトルは切削進行方向に見
て、シャンク部に形成されたスリット9による弾性変形
支点9aの前方域を通過するベクトルである。この結
果、同ワーク加工面Waからの垂直反力成分によるモー
メント力は上記弾性変形支点に関する切削反力の弾性的
な吸収機能及びかじりや食い込みの防止機能を損なう欠
点がある。つまり、シャンク部に形成されたスリット9
を弾性変形点9aを中心に拡開する作用を奏し、故に、
振動現象を増大する結果となる問題点が発生するのであ
る。また、切削送り速度が小さい場合も切削反力の方向
は、弾性変形支点近傍を通ることとなり、十分なヘール
効果が発揮されない問題点が発生するのである。
【0005】故に、複雑な加工面を有したワークの場合
には、上述したヘールバイト形切削工具では、単一の工
具で加工を遂行させることが不可能になり、特に、下り
勾配面や中高、中低曲面を含んだワーク面の加工では、
例えば、図7に示すように、切削加工の進行方向に大き
な突出顎8aを設け、その顎内に弾性変形支点形成用の
スリット9を延設した構造のヘールバイト形切削工具を
用いる等の工夫が必要になる。しかし、このような突出
顎8aを備える構造では、ワーク内部の狭小域で下り勾
配の加工面を切削加工する場合等には、突出顎8aがワ
ーク壁面と当接する等の不都合が発生し、切削加工の自
由度が低減される欠点がある。
【0006】依って、本発明の目的は、ワークの単純な
平加工面ばかりでなく、複雑な加工面、特に、下り勾配
面や中高曲面、中低曲面等を含み、しかも、加工領域が
狭小な領域を含んだ加工面である場合にも切削加工を円
滑に、かつ仕上げ面粗度を良好に維持して切削加工でき
るヘールバイト形切削工具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、切削工具のシ
ャンクにおける切削刃保持端に取着された切削刃の上方
域にシャンク軸心と交叉する平面内或いは同軸心と平行
な平面内に延設される貫通スリットを削設する場合に、
同貫通スリットの切削進行方向に見て切削刃の取着、固
定面から前方側の端部には弾性変形支点を形成し、他
方、後端側には薄肉部を残して、同薄肉部により形成さ
れるシャンク領域がばね伸長、ばね圧縮の両方向の弾性
作用を行って同貫通スリットの下方の切削刃を備えた工
具領域を弾性的に支承する弾性支持部を形成せしめ、同
弾性支持部の弾性支持により、切削刃が下り勾配面等を
含む複雑な加工面を切削加工する場合にも、切削抵抗を
支承し、かつ、食い込み防止を図り得るものである。
【0008】すなわち、本発明によれば、機械の工具保
持部に保持される装着端と切削刃保持端とを備えたシャ
ンクと、上記シャンクの切削刃保持端に取着された切削
刃と、上記切削刃を上記シャンクの切削刃保持端の固定
面に取着、固定する切削刃固定手段と、上記シャンクの
前記切削刃保持端の上方域に、上記切削刃の切削進行方
向に見て上記切削刃固定面の前方域に設けた弾性変形支
点から後方へ向けて貫通スリットを延設し、該貫通スリ
ットの後方部に薄肉部を残し、該薄肉部によって切削刃
の切り込みおよび切削前進の何れの切削加工時にも前記
切削刃に作用する切削抵抗を支承し得るように形成した
弾性支持部とを、具備して構成されたことを特徴とする
切削工具が提供されるのである。
【0009】
【作用】本発明の切削工具は、シャンクに形成された上
記の貫通スリットの前端に形成された弾性変形支点と後
端側に残存された薄肉部とを備え、その薄肉部によって
切削刃が下り勾配面や中高曲面、中低曲面を含んだ複雑
なワーク加工面の切削加工に当たり、切り込み及び切削
前進の何れの切削加工作用時にも、換言すれば、切削刃
に作用する切削反力が、同切削刃の切り込み時のごとく
弾性変形支点より切削前進方向に見て前方に作用したと
きにも、また切削反力が弾性変形支点近傍に作用したと
きにも、前記切削刃に作用する切削抵抗を弾性的に支承
する弾性支持部が支承作用を行う。故に、切削加工面の
面形状が下り勾配面や中高曲面、中低曲面を有した複雑
な加工面を有したワークのヘール加工であっても、単一
本の工具で円滑に、かつ、良好な仕上げ面粗度を維持し
つつ、加工を連続進捗させ得るのである。ここで、上記
の薄肉部の肉厚寸法、長さ等は、切削刃の形状、寸法の
大小に応じて同じ切込み量や切削速度でも切削反力が異
なることを考慮して適切に選定して弾性支持力を適正に
設定すれば、切削反力ベクトルが貫通スリットの前端側
の弾性変形支点より前方に作用したときには、その弾性
支持部により引張力が作用して切削刃を保持した工具の
スリット下方領域が振動するのを抑制し、切削反力ベク
トルが上記の弾性変形支点より後方に作用する通常の切
削加工時には弾性支持部には圧縮力が作用し、このとき
の弾性圧縮力は弾性変形支点を中心にして起きる切削反
力による振動抑制作用を損なうことがないように調節す
ることができる。また、切削反力が弾性変形支点近傍に
作用する場合は、弾性変形支点及び弾性支持部の両方に
圧縮力が作用し、スリット全体の間隔が縮むような弾性
変形を行い、振動を吸収する。
【0010】勿論、本発明の切削工具は、切削刃がワー
クと相対的に所定の軌跡に沿って進行すると、切削刃の
刃形状に従った対称な断面形状又は非対称な断面形状の
切削溝をワーク表面の下り勾配面、中高曲面、中低曲面
等に削成でき、かつ、C軸回転に従って切削刃の進行軌
跡は曲線軌跡をたどることも可能であることは言うまで
もない。そして、シャンクのばね弾性作用で常に一定の
反力水準に吸収、抑制されるから、結果的に、加工面勾
配の如何に関わりなく、切削加工中の切込み量の変動が
抑止され、切削刃は、切込み量の多少に関わりなく安定
した切削加工力を発揮することは既に提案したこの種の
ヘールバイト形切削工具と同様である。以下、本発明を
添付図面に示す実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0011】
【実施例】図1は、本発明に係る切削工具の原理を説明
する模式図、図2は、本発明の第1実施例の断面正面
図、図3は、図2の3ー3線による断面図、図4は、貫
通スリットを工具軸心と交叉する水平面に対して傾斜さ
せた構造とした本発明に係る切削工具の第2実施例の断
面正面図、図5の(a)、(b)は、本発明の第3の実
施例による切削工具の断面正面図と矢視5−5背面図で
ある。
【0012】図1は、本発明によるヘールバイト形切削
工具の構造と機能とを従来の切削工具に対比して模式的
に解説する模式図であり、切削工具は、そのシャンク部
8に形成された開口形のスリット9に対して弾性変形支
点9aとは反対側の後端側に模式的にバネで表示した弾
性支持部10を設けた構造を備え、このとき、弾性支持
部10の弾性支持力は適切なバネ作用力を発揮するよう
に、換言すれば、図示のバネのバネ弾性を適切に選定し
たものと解釈することができる。
【0013】斯かる弾性支持部10が具備されていれ
ば、同切削工具が、例えば、ワークWの下り勾配面Wa
を切削加工する加工工程で、切り込み時に切削反力のベ
クトルRが弾性変形支点9aの前方を通過する加工状態
でも、その切削反力のベクトルRの加工面Waに対して
垂直な成分Raによるモーメント力でシャンク部8のス
リット9よりも下方領域8’が弾性変形支点9aを中心
にしてスリット9を大きく拡開する作用力を受けても、
弾性支持部10が弾性的に引張力を発揮し、この拡開を
抑止するように作用する。つまり、上記のシャンク部8
の下方領域8’は弾性支持部10による外部からの弾性
抑制力の作用で振動生起を抑止され、切削刃の正常な切
り込み作用を行うから、その後、引き続いて切削加工の
所定の進行方向へ前進する工程へ円滑に移行し、切削前
進工程では、弾性変形支点9aの前方を通過する大きな
切削反力が作用することはないから、工具のシャンク8
のスリット下方領域8’は弾性変形支点9aを中心にし
て切削反力を吸収するように弾性変形し、このとき、弾
性支持10も、その切削反力の吸収作用を阻害する作用
を行うことはないのである。
【0014】然しながら、本発明は、単に、上述した模
式図による弾性支持部10を、単に切削工具のシャンク
8に取付けたものでは無いことは言うまでもない。この
ような弾性支持部10と等価な弾性支持部をシャンク自
体に形成する改善、工夫を構造的に実現したものであ
る。
【0015】図2、図3は、斯かる本発明による切削工
具の第1の実施例を示している。同図2、3において、
本実施例による切削工具20は、工作機械の回転主軸1
8の先端に具備された工具取付孔19に同主軸8のC軸
回転中心に軸心を一致させて装着され、例えば、図示の
中高面Waを有したワークWとの間で所定の加工軌跡に
沿って相対的移動を行うことにより所望の面形状の切削
加工を行う工具として形成されており、シャンク22、
切削刃40、シャンク22に切削刃40を固定する固定
手段を形成する止めねじ30を具備している。上記切削
工具20のシャンク22は、主軸18の取付孔19にガ
タの無い状態で嵌合、装着される丸棒状の装着端23
と、この装着端23の主軸端18aの位置から下方に垂
下した延長部として形成された切削刃保持部24とを有
しており、装着端23には主軸18の取付孔19に適宜
個数のロックねじ32で強固に止着されるようにねじ座
25が形成されている。そして、この装着端23は、ロ
ックねじ32で取付孔19に強固に止着されたとき、主
軸18の回転軸心Cに一致する軸心を有する円筒形状体
を成しているのである。
【0016】他方、上記装着端23から下方に延長した
一体の切削刃保持部24は、その下端に切削刃保持端を
有し、切削刃40を取り付ける鉛直平面形状の切削刃固
定面26を形成する凹所部分を備えている。切削刃40
は同凹所部分に下方から挿入され、切削刃固定面26に
片面を密着状態に当接し、他面側から固定手段である止
めねじ30で押圧されて上記切削刃固定面26へ固定さ
れる。即ち、切削刃40は平板形状を有し、その切削進
行方向に見て前面の下端に種々の刃形状を有した切れ刃
46を備えている。
【0017】さて、シャンク22の切削刃保持部24の
下端に固定された切削刃40の切れ刃46を備えた平面
は、主軸18の取付孔19から延長したC軸々心を含む
正面を成し、主軸18がC軸心回りに旋回されると、切
削刃40の同正面が進行方向における向きを変え、所定
の軌跡方向を向くように制御される構成に成っている。
【0018】また、この切削刃保持部24は、切削刃4
0を固定、取着した固定面20より更に上方領域に、軸
心“C”と交叉する平面方向に延設され、かつ、同切削
刃保持部24を貫通したスリット28が形成されてい
る。即ち、この貫通スリット28の切削加工進行方向に
見た前端側は軸心Cより前方位置28aで示す位置に達
して同前方位置28aを、既に提供されたヘールバイト
形切削工具と同様の弾性変形支点として設け、また、後
端側は適切な厚さtの薄肉部29を残すように止端し、
スリット自体の隙間厚は所定の隙間寸法Sを有する溝と
して設けられている。つまり、前方位置28aは、切削
刃40の切削作用時にワークに対して相対的に進行する
方向(矢印P)に見て上記切削刃の切れ刃46を含む正
面よりも前方側に配置され、貫通スリット28が設けら
れることにより、シャンク22における切削刃固定面2
6を有する切削刃保持部24の下端領域は、上記前方位
置28aを支点にして弾性的にスリット間隙Sを拡縮す
る方向に変形可能になっていると共に、後端側は薄肉部
29が、シャンク22の長手方向に素材金属材料の弾性
に基づいて弾性的に伸縮可能になっている。つまり、図
1に模式的に解説した本発明の原理を弾性変形支点28
aと弾性支持部を形成する薄肉部29とにより形成した
構造を有しているのである。
【0019】他方、切削刃固定面26に固定手段の止め
ねじ30で固定される上述の切削刃40の切れ刃46
は、種々の加工形状に応じた切れ刃形状を有し、同切れ
刃46は取付状態で、正面内に在るC軸心と一致する軸
線を中心にして切削進行方向に対して左右方向に延びる
直線状又は曲線状の連続線で定義された切れ刃形状を有
するように形成されている。
【0020】上述のように、本実施例では、切削工具2
0が貫通スリット28の後端に形成された薄肉部29を
弾性的に同工具のシャンク22の長手方向に伸縮する弾
性支持部を成す構造として形成されているから、例え
ば、中高曲面Waを有したワークWの下り勾配部分(図
示の曲面Waの進行方向Pにおける前方領域)を切削加
工する場合にも切削刃保持部24の貫通スリット28か
ら下方の領域は、切り込み工程時に切削反力のベクトル
が弾性変形支点28aの前方を通るベクトルとして作用
した場合にも、薄肉部29によって形成される弾性支持
部が貫通スリット28の拡開を弾性的に阻止し、故に、
上記切削反力のベクトルによる振動生起が抑止されるの
である。
【0021】他方、切削工具20が通常のヘールバイト
削り加工と同様に所定の加工軌跡に沿って切削前進する
工程では、ワークWの下り勾配面Waを切削加工する場
合でも同勾配面Waからの切削反力のベクトルは、貫通
スリット28の前方側に設けられた上記の弾性変形支点
28aの後方を通過するベクトルである。つまり、切り
込み時のように、切削反力ベクトルに大きな垂直ベクト
ル成分が含まれないために、同切削反力ベクトルはワー
ク面沿いのベクトル成分が大きく、故に、弾性変形支点
28aの後方域を通過するベクトルとなる。このため、
シャンク22における切削刃保持部24のスリット下方
領域は、弾性変形支点28aに関して貫通スリット28
を縮小する方向に変形し、その切削反力を吸収し、振動
防止を図るように作用する。このとき、後端側の薄肉部
29は弾性的に圧縮変形することが可能であるから、上
記の弾性変形支点28aを支点にした弾性変形機能を損
なうことはないのである。勿論、ワークWの加工面が単
純な平面であれば、従来より本出願人が提供して来た有
スリットのヘールバイト形切削工具と同様に弾性変形支
点28aが機能して切削加工の進行時に伴う切削反力を
吸収し、食い込みや振動の防止を図り得ることは言うま
でもない。また切削反力が弾性変形支点28aの近傍に
作用する場合は、弾性変形支点付近及び薄肉部29が共
に圧縮力を受けて弾性変形して振動を防止できる。
【0022】以上の記載から、切削工具20は、貫通ス
リット28の前端側に弾性変形支点28aを形成し、後
端側に薄肉部29から成る弾性支持部を形成するから、
切削反力のベクトルが弾性変形支点28aの前方、後方
あるいは近傍の何れを通過するベクトルであるかに関わ
りなく、切削抵抗を支承し、同切削反力による振動を吸
収して切削刃40を常に、安定して所定の進行方向へ前
進させることを可能にするのである。従って、ワークW
の加工面が下り勾配面Waや中高曲面、中低曲面を含む
複雑な曲面であっても加工面の仕上げは円滑、かつ、緻
密な高精度の加工面が形成されるのである。しかも、切
削工具20は単一の工具でありながら、ワークWの加工
面の形状の如何に関わりなく、円滑な切削加工を遂行し
得るから、切削加工能率の向上も達成するのである。な
お、貫通スリット28の前後両端は、スリット形成時の
応力集中を除去するために円孔に形成されている。
【0023】図4は、上述した本発明の実施例による切
削工具20の貫通スリット28を、同工具20のシャン
ク22における軸心方向に垂直な平面に対して傾斜させ
た貫通スリット128に形成した変形実施例であり、同
貫通スリット128の前端側に弾性変形支点128aが
設けられ、また、後端側には薄肉部129によって弾性
支持部が形成されている。そして、この実施例も上述し
た図2、3の実施例と同様にワークWの下り勾配面Wa
等を切削刃40により円滑に切削加工可能にする作用、
効果を奏することができるのである。つまり、貫通スリ
ット28、128は、水平スリットであっても適宜の傾
斜角度を有した傾斜スリットであっても本発明による切
削工具の作用原理を実現し得ることを図示しているもの
である。
【0024】図5(a)、(b)は、本発明に係る切削
工具20の更に他の実施例であり、本実施例の場合に
は、貫通スリット228が傾斜スリット228bと縦ス
リット228cとを連接した形状で形成され、傾斜スリ
ット228bの前端側に弾性変形支点228aを設け、
他方、縦スリット228cの背部に前述した図2〜図4
の実施例よりも大きな面積を有した薄肉部229を設け
て弾性支持部を形成した構造を有している。この実施例
は、上述のように、薄肉部229の面積を増加せること
により、同薄肉部229により形成される弾性支持部の
伸縮ばね特性を調節し、以て切削刃40が切り込み加工
々程を遂行する場合、或いは切削前進加工々程を遂行す
る場合の両工程におけるばね伸縮機能を調節し得る実施
例としたものである。即ち、縦スリット228cの長さ
をシャンク22の長さ方向に加減調節して薄肉部229
の面積を増減、調節するようにしたものである。
【0025】
【発明の効果】上述の実施例を介して説明した本発明に
よる切削工具は、同切削工具のシャンクにおける切削刃
保持端に取着された切削刃の上方域にシャンク軸心と交
叉する平面内或いは同軸心と平行な平面内に延設される
貫通スリットを削設し、その場合に、同貫通スリットの
切削進行方向に見て切削刃の取着、固定面から前方側の
端部には弾性変形支点を形成し、他方、後端側には薄肉
部を残して、同薄肉部により形成されるシャンク領域が
ばね伸長、ばね圧縮の両方向の弾性作用を行って同貫通
スリットの下方の切削刃を備えた工具領域を弾性的に支
持する弾性支持部を形成せしめ、同弾性支持部の弾性支
持により、切削刃が下り勾配面等を切削加工する場合に
も、切削反力を支承し、かつ、食い込み防止を図り得る
ように構成したから、貫通スリットの前端側の弾性変形
支点は、通常のヘール加工における切削反力により生起
される振動抑制を果たし、また、後端側の弾性支持部
は、特にワークの加工面の下り勾配面や中高曲面、中低
曲面を含んだ加工面をヘール加工する場合にも切削反力
に起因した振動の生起を抑制し、円滑に、かつ、仕上げ
面粗度を良好に維持しつつ、切削加工を進捗させ得るの
である。
【0026】なお、本発明では、貫通スリットが筒形の
工具シャンクの内部に形成され、その貫通スリットによ
り弾性変形支点と弾性支持部との両者を供する構造とし
たから、一本の棒状工具の形態を維持でき、故に、狭小
な加工領域における下り勾配面等に対して難なく、ヘー
ル加工を遂行することができるのである。しかも、この
ような複雑な加工面をも単一本の工具で加工を進捗させ
得るから、工具を加工面形状に従って交換する煩瑣を解
消でき、加工能率の向上に寄与することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切削工具の原理を説明する模式図
である。
【図2】本発明の第1実施例の断面正面図である。
【図3】図2の3ー3線による断面図である。
【図4】貫通スリットを工具軸心と交叉する水平面に対
して傾斜させた構造とした本発明に係る切削工具の第2
実施例の断面正面図である。
【図5】(a)は、本発明の第3の実施例による切削工
具の断面正面図である。(b)は、同第3の実施例によ
る切削工具の矢視5−5背面図である。
【図6】従来のヘールバイト形切削工具の構造を示す正
面図である。
【図7】従来のヘールバイト形切削工具の変形例を示し
た正面図である。
【符号の説明】
8…切削工具 9…貫通スリット 9a…弾性変形支点 10…弾性支持部 20…切削工具 22…シャンク 24…切削刃保持部 26…固定、取着面 28…貫通スリット 28a…弾性変形支点 29…薄肉部 30…固定止めねじ 40…切削刃 46…切れ刃 128…貫通スリット 128a…弾性変形支点 129…薄肉部 228…貫通スリット 228a…弾性変形支点 229…薄肉部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械の工具保持部に保持される装着端と
    切削刃保持端とを備えたシャンクと、 前記シャンクの切削刃保持端に取着された切削刃と、 前記切削刃を前記シャンクの切削刃保持端の固定面に取
    着、固定する切削刃固定手段と、 前記シャンクの前記切削刃保持端の上方域に、前記切削
    刃の切削進行方向に見て前記切削刃固定面の前方域に設
    けた弾性変形支点から後方へ向けて貫通スリットを延設
    し、該貫通スリットの後方部に薄肉部を残し、該薄肉部
    によって切削刃の切り込みおよび切削前進の何れの切削
    加工時にも前記切削刃に作用する切削抵抗を支承し得る
    ように形成した弾性支持部とを具備して構成されたこと
    を特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 前記シャンクの前記切削刃保持端の上方
    域に形成された前記貫通スリットは、該シャンクの縦軸
    線と直交する水平軸線に対して傾斜した傾斜スリット、
    該傾斜スリットの端部に連接した縦スリットとを具備し
    てなり、該縦スリットの背部に前記薄肉部を形成したこ
    とから成る請求項1に記載の切削工具。
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