JPH08118143A - 刃具径調整機構を備えた工具 - Google Patents

刃具径調整機構を備えた工具

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JPH08118143A
JPH08118143A JP25322394A JP25322394A JPH08118143A JP H08118143 A JPH08118143 A JP H08118143A JP 25322394 A JP25322394 A JP 25322394A JP 25322394 A JP25322394 A JP 25322394A JP H08118143 A JPH08118143 A JP H08118143A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃具径調整機構を備えた工具の加工精度を高
めることを目的とする。 【構成】 回転ホルダ4の筒内で進退動する調整ロッド
5にテーパコーン部5aを形成し、このテーパコーン部
5aを径方向調整部材22に当接させるとともに、この
径方向調整部材22の長手方向の両端部をボルト23、
23にて回転ホルダ4に固定し、固定部の内側に貫通孔
22d、22dを設けて薄肉部とする。又、長手方向の
略中央部にリーマ切刃3を設け、貫通孔22dを上下に
挟む上下壁を波形に形成する。そしてテーパコーン部5
aにて径方向調整部材22の下面tを押圧して中間部を
撓ませる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばリーマ切刃の径
が調整可能な刃具径調整機構を備えた工具の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、加工用バイトを径方向に拡縮自在
にした中ぐり工具として、本出願人は例えば実開平4−
54604号のような技術を開示している。この技術は
回転ホルダとしての中空スピンドルの筒内に進退自在で
且つカム部を備えたバイト駆動軸を設ける一方、中空ス
ピンドルの外周部に切刃を備えた刃具の一端側を片持式
に固定し、バイト駆動軸を進退動させることで、カム部
の作用で刃具の自由端側を径方向に拡縮させるようにし
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技
術のように刃具の一端側を片持式に支持して拡縮させる
場合は、刃具の剛性が不足がちになり、例えば切削抵抗
の増減によって径方向の張出し量が変化して加工面粗度
に悪影響が出る虞れがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、回転ホルダの筒内でテーパコーン部材を進退
動させ、この進退動にて回転ホルダに取り付けた径方向
調整部材を径方向に拡縮させる刃具径調整機構を備えた
工具において、径方向調整部材の長手方向の両端部を回
転ホルダに固定し、これら固定部の内側に径方向の変形
を容易にする薄肉部を形成するとともに、長手方向の略
中央部に切削切刃を設けた。そして、径方向調整部材の
薄肉部を、板厚中間部に形成される貫通孔を上下に挟む
上壁と下壁にて形成した。また、この上壁と下壁を波形
に形成した。
【0005】また、テーパコーン部材の進退動を調整す
るアジャストスクリューを回転ホルダの先端に設けた。
更に、切削切刃をリーマ切刃とし、このリーマ切刃から
円周方向に沿って所定角度位置にガイド部材を設けると
ともに、このガイド部材をテーパコーン部材の進退動に
よって径方向に拡縮自在にした。
【0006】
【作用】径方向調整部材の両端部を回転ホルダに固定す
るとともに、径方向調整部材の中間部をテーパコーン部
材に当接させ、テーパコーン部材の進退動にて中間部の
径方向に対する押圧力を変化させ、同部の撓み量を変化
させる。この際、両端部を固定していることから中間撓
み部の剛性が高まり、同部に設けた切削切刃の加工が安
定する。一方、両端を固定することで径方向調整部材が
変形しにくくなるため、固定部の内側部に薄肉部を設け
径方向に変形し易くする。また、この薄肉部を板厚中間
部に設けた貫通孔にて形成すれば、貫通孔を上下に挟む
上壁と下壁によって回転方向の剛性が確保され、回転方
向には変形しにくく且つ径方向のみ変形しやすくなる。
そして、この上壁と下壁を波形に形成して伸び縮みを容
易にし、径方向の変形を一層容易にする。
【0007】また、テーパコーン部材の進退動を調整す
るアジャストスクリューを回転ホルダの先端部に設けて
調整の容易化を図る。また、切削切刃をリーマ切刃と
し、円周方向に沿ってガイド部材を設ければ、例えば精
度の良い1枚刃のリーマ工具とすることも出来る。
【0008】
【実施例】本発明の実施例について添付した図面に基づ
き説明する。図1は本発明の刃具径調整機構を備えた工
具全体の縦断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3
は刃具径調整機構の要部拡大図である。図1に示すよう
に、本発明の刃具径調整機構を備えた工具1は、実施例
ではシリンダブロックWの複数のクランクシャフト軸受
穴を仕上加工する複合工具として構成され、例えば軸方
向に離間して配設した4ヵ所の仕上バイト2…(…は複
数を示す。)と、これに隣接する4ヵ所(図では1ヵ所
のみ示す。)のリーマ切刃3を備えている。
【0009】またこの工具1には、不図示のスピンドル
装置から回転駆動力が伝達される筒状の回転ホルダ4
と、この回転ホルダ4の筒内に進退動自在に挿入される
テーパコーン部材としての調整ロッド5が設けられてお
り、この調整ロッド5の基端側にはピストン6が連結さ
れるとともに、このピストン6を収容せしめたシリンダ
室の前方側には、皿バネ或いはコイルスプリング等のピ
ストン戻しスプリング7が内装され、後方側のシリンダ
室には切削油供給路8を連通させてピストン6作動用の
切削油を供給するようにしている。すなわち切削油を供
給すると、切削油圧にてピストン戻しスプリング7力に
抗してピストン6を押込み、調整ロッド5を図中左方に
移動させる。
【0010】又、ピストン戻しスプリング7を収容した
前方シリンダ室には、図2に示すように回転ホルダ4を
斜めに貫通するエア通路9、9を設けており、同シリン
ダ室の拡縮に伴う内部のエアの吸排気を行わしめるとと
もに、このエア通路9の傾斜方向を、回転ホルダが矢視
方向に回転した時に切り屑、切削油等が入り込みにくい
方向にしている。
【0011】また、図1のピストン6の後面側にはガイ
ド部10が設けられ、このガイド部10はシャンク部1
1前面のガイド穴11aによって摺動自在に軸受される
とともに、このガイド部10の中心とピストン6の中心
を貫通する切削油通路12を前記切削油供給路8に連通
せしめている。そして、この切削油通路12は、後述す
る前方の切削油経路に連通し、切削油を前方の加工部及
び摺動部等に導くようにしている。また、この切削油通
路12には後方側のシリンダ室に連通するエア抜き路2
6を設けており、切削油の供給を止めてピストン戻しス
プリング7力でピストン6が後方に戻された際、同シリ
ンダ室内部のエアをエア抜き路26から逃がすことが出
来るようにしている。
【0012】一方、回転ホルダ4の先端側にはパイロッ
ト筒13がボルト止めされている。このパイロット筒1
3は、装置本体側の軸受14にて回転自在に軸受けされ
るとともに、軸受14との潤滑を行うため外周面に切削
油流通用の外周ねじれ溝15を形成しており、更に筒内
のネジ部16には、アジャストスクリュー17が螺合し
ている。そして、このアジャストスクリュー17の先端
部は調整ロッド5の先端部に当接可能になり、調整ロッ
ド5の前進位置を規制するようにされている。尚、位置
調整が完了した後、アジャストスクリュー17の位置を
固定するためクランプネジ18とクランプピース19を
設けており、クランプネジ18の締付けによってクラン
プピース19をアジャストスクリュー17の側面に圧接
し、クランプするようにしている。尚、クランプピース
19はアジャストスクリュー17の外面に損傷を与えな
いように柔らかい金属としている。
【0013】前記仕上バイト2は回転ホルダ4の外周に
ボルト21で固定されている。そしてこのバイト2は例
えばCBN製であり、径方向に位置調整することは出来
ない。
【0014】この仕上バイト2の近傍の調整ロッド5に
は、図3に示すように軸方向に沿って外面が傾斜するテ
ーパコーン部5a(図1では1ヵ所のみ示す)が設けら
れている。そして、このテーパコーン部5aの位置に対
応して回転ホルダ4には段付穴4aが形成され、この段
付穴4aに径方向調整部材22が嵌め込まれるように取
り付けられるとともに、その下面tが調整ロッド5のテ
ーパコーン部5aに当接している。そして、径方向調整
部材22の下面tはテーパコーン部5aのテーパ角とほ
ぼ同じ角度のテーパ面として構成されている。このた
め、調整ロッド5が軸方向に移動してテーパコーン部5
aの大径部が径方向調整部材22の下面tに当接する
と、径方向調整部材22は径方向外側に向けて押圧力を
受ける。因みに、テーパコーン部5aには超硬材を使用
している。
【0015】次に径方向調整部材22の細部について図
5に基づき説明する。ここで、図5は径方向調整部材2
2の斜視図である。径方向調整部材22は相対的に長さ
及び幅間隔の広い上段部22aと、これに比較して長さ
及び幅間隔の狭い下段部22bが一体構成されたもので
あり、上段部22aの長手方向の両端部に一対の取付穴
22c、22cを備えるとともに、各取付穴22c、2
2cの内側近傍に板厚中間部を水平に貫く貫通孔22
d、22dが設けられている。そして、前記取付穴22
c、22cには、図3に示すようなボルト23、23が
挿入され、回転ホルダ4の段付穴4aの段差部に固定出
来るようにしている。
【0016】勿論、径方向調整部材22の上段部22a
と下段部22bは別体に構成しても良く、この場合は上
段部22aと下段部22bとの間にゴミ等が入り込まな
いよう留意する。また、段付穴4aの形状と径方向調整
部材22の形状は概ね同一形状としており、段付穴4a
に対して径方向調整部材22を密着状に嵌合させること
で、特に回転方向に対してガタが生じないようにしてい
る。
【0017】ところで、前記貫通孔22d、22dによ
って上段部22aの肉厚は薄肉となり、また、貫通孔2
2dを上下に挟む上壁mと下壁nの各上下面には波形が
形成されている。そして、この上下壁m、nの波形形状
によって、下段部22bの下面tから上方に向けて力を
受けた際に、上下壁m、nを伸びやすくして中間部の撓
み変形が容易なようにしている。また、上段部22aの
略中央部の上面には超硬合金でサンドイッチ状にされた
ダイヤモンド焼結体からなるリーマ切刃3が取り付けら
れている。
【0018】また、径方向調整部材22の側面には切削
油供給溝sを設けている。この切削油供給溝sは、下段
部22bに設けた幅狭溝s1と、上段部22aに設けた
幅広溝s2、噴出溝s3からなり、後述する切削油経路を
通じて幅狭溝s1に送られる切削油を幅広溝s2を介して
噴出溝s3から噴き付けるようにしている。因みに、噴
出溝s3を幅狭にしているのは、切粉等のゴミが径方向
調整部材22と調整ロッド5の間の隙間に入り込むのを
防止するためである。
【0019】以上のようなリーマ切刃3を取り付けた径
方向調整部材22の円周方向には、図3のB−B線断面
図である図4に示すように、複数のガイド部材24、2
4を設けている。このガイド部材24は、前記径方向調
整部材22とほぼ同様の構成からなる径方向調整部24
a(但し、切削油供給溝sはない。)と、この径方向調
整部24aの上面に取り付けられた超硬合金製のガイド
部24bからなり、同様に、調整ロッド5の軸方向への
移動にて径方向への張出し調整が出来るようにしてい
る。
【0020】次に切削油経路について説明する。図1に
示す前記切削油通路12は調整ロッド5の軸心に沿って
延出した後、放射状路25を介して回転ホルダ4と調整
ロッド5の隙間gと連通し、この隙間gは、調整ロッド
5の前方部に形成した切削油溝p、切削油通路qに連通
している。そして、この切削油溝pの先端は前記径方向
調整部材22の幅狭溝s1に連通するとともに、切削油
通路qの先端部は前記アジャストスクリュー17の切削
油通路rを介して前記外周ねじれ溝15に連通してい
る。尚、切削油通路rの端部には盲栓27をしている。
【0021】以上のように構成した刃具径調整機構を備
えた工具の作用、効果について説明する。まず、所定の
穴径に合せてアジャストスクリュー17を所定量ねじ込
み、クランプネジ18、クランプピース19にてアジャ
ストスクリュー17を固定する。この時、切削油は供給
されていないため、ピストン6はピストン戻しスプリン
グ7によって図1の右方に移動しており、調整ロッド5
の先端とアジャストスクリュー17の先端は離隔すると
ともに、径方向調整部材22の下面tにはテーパコーン
部5aの小径部が当接している。このため、径方向調整
部材22及び径方向調整部24aに対する外側への押圧
力はなく、リーマ切刃3及びガイド部24b共に縮径し
た状態にある。
【0022】かかる状態の工具1をシリンダブロックW
の4ヵ所のクランクシャフト軸受穴に挿通させ、先端の
パイロット筒13を軸受14にて軸受けするとともに、
仕上バイト2等の刃部を図1に示すような位置にセット
する。この工具1の挿通の際、刃具径は収縮状態にある
ため、クランクシャフト軸受穴と干渉することはない。
【0023】次いで、回転ホルダ4を回転させながら切
削油を供給すると、切削油供給路8から後方シリンダ室
に供給された切削油圧にてピストン6は前進し、調整ロ
ッド5も、その先端部がアジャストスクリュー17の先
端部に当接するまで前進する。このため、径方向調整部
材22の下面tにはテーパコーン部5aの大径部が当接
し、径方向調整部材22を径方向の外側に押圧する。従
って、径方向調整部材22の中間部が撓んで外側に張出
し、リーマ切刃3及びガイド部24bが突出する。この
際、貫通孔22dの上下壁m、nは薄肉であり、しかも
波形形状であるため、図6に示すような弾性変形に対し
て伸び縮みすることが出来、径方向に対して容易に変形
する。
【0024】かかる状態で工具1を後退させながら当初
仕上バイト2で加工し、続いてリーマ切刃3で仕上加工
する。この際、径方向調整部材22の長手方向の両端部
を固定しているため、切削抵抗が増減しても変形量は安
定し加工精度を保つことが出来る。また、貫通孔22d
を挟む上下壁m、nは水平幅間隔を有するため、回転方
向については剛性があって撓みにくく、しかも回転方向
の両側は回転ホルダ4の段付穴4aにほぼ密着状に嵌合
しているため、同方向への位置ずれ等はない。
【0025】尚、実施例では撓みやすい貫通孔22d、
22dの中間部にリーマ切刃3を取り付けているため、
リーマ切刃3部分の撓み量が左右均等になり、切刃3全
体を加工穴に対して均一に接触させて加工することが出
来る。また、加工時に径方向調整部材22の側面の噴出
溝s3から切削油が噴き出されるため、加工時に切り屑
等が入り込む虞れがなく、リーマ加工の精度を良好に保
つことが出来る。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明の刃具径調整機構を
備えた工具は、テーパコーン部材の進退動にて径方向調
整部材を撓ませて拡縮させるようにした刃具径調整機構
において、径方向調整部材の長手方向の両端部を固定す
るとともに、薄肉部によって中間部が容易に撓むように
したため、従来の片持固定方式に較べて刃具径を精密に
保持することが出来、加工精度を高めることが出来る。
そして、かかる薄肉部を板厚中間部の貫通孔にて形成す
れば、回転方向に対して剛性を確保しつつ径方向の変形
を容易にすることが可能であり、貫通孔を挟む上下壁を
波形にすることで、一層変形し易くすることが出来る。
また、テーパコーン部材の進退動を調整するアジャスト
スクリューを回転ホルダの先端に設ければ作業容易であ
り、また、リーマ切刃に適用した際に円周方向にガイド
部材を併設すれば、加工精度の高い1枚刃構成にするこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の刃具径調整機構を備えた工具全体の縦
断面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】刃具径調整機構の要部拡大図
【図4】図3のB−B線断面図
【図5】径方向調整部材の斜視図
【図6】貫通孔の部分拡大図
【符号の説明】
1…工具、3…リーマ切刃、4…回転ホルダ、5…調整
ロッド、5a…テーパコーン部、17…アジャストスク
リュー、22…径方向調整部材、22d…貫通孔、24
…ガイド部材、m…上壁、n…下壁。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転ホルダの筒内でテーパコーン部材を
    進退動させ、この進退動にて回転ホルダに取り付けた径
    方向調整部材を径方向に拡縮させる刃具径調整機構を備
    えた工具において、前記径方向調整部材は長手方向の両
    端部が前記回転ホルダに固定され、これら固定部の内側
    に径方向の変形を容易にする薄肉部が形成されるととも
    に、長手方向の略中央部に切削切刃が設けられたことを
    特徴とする刃具径調整機構を備えた工具。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の刃具径調整機構を備えた
    工具において、前記径方向調整部材の薄肉部は、板厚中
    間部に設けた貫通孔を上下に挟む上壁と下壁にて形成さ
    れることを特徴とする刃具径調整機構を備えた工具。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の刃具径調整機構を備えた
    工具において、前記上壁と下壁は波形に形成されること
    を特徴とする刃具径調整機構を備えた工具。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載の刃具径調整
    機構を備えた工具において、前記回転ホルダの先端には
    前記テーパコーン部材の進退動を調整するアジャストス
    クリューが設けられたことを特徴とする刃具径調整機構
    を備えた工具。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4記載の刃具径調整
    機構を備えた工具において、前記切削切刃はリーマ切刃
    であり、且つこのリーマ切刃を中心に円周方向の所定角
    度位置には、前記テーパコーン部材の進退動によって径
    方向に拡縮自在なガイド部材が設けられたことを特徴と
    する刃具径調整機構を備えた工具。
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