JPH0667784B2 - 誘電体組成物 - Google Patents

誘電体組成物

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JPH0667784B2
JPH0667784B2 JP60091255A JP9125585A JPH0667784B2 JP H0667784 B2 JPH0667784 B2 JP H0667784B2 JP 60091255 A JP60091255 A JP 60091255A JP 9125585 A JP9125585 A JP 9125585A JP H0667784 B2 JPH0667784 B2 JP H0667784B2
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真吾 木村
健一 酒部
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、チタン酸バリウムをベースとしたコンデンサ
ー用途として好適な誘電体組成物に関するものである。
(従来の技術) 従来、チタン酸バリウムおよびチタン酸バリウムにシフ
ターやデイプレッサーなどを配合した組成物は、1300〜
1400℃の高温で焼結され、コンデンサーとして使用され
ている。しかしながら、このような高温で焼結した場
合、高価なジルコニアなどのセッタや焼結炉の損耗をひ
きおこすとともに、焼結に要するエネルギーも多量に必
要であり、得られたコンデンサーはコストの高いものと
なる。さらに、従来の組成物を用いて積層コンデンサー
を製造するためには、内部電極材料として、高温の焼結
温度に耐えうる白金、パラジウム等の高価な貴金属を使
うことが必要であり、得られた積層コンデンサーは著し
くコストの高いものとなる。それゆえ、セッタや焼結炉
の損耗を小さくでき、さらには積層コンデンサーを製造
する際に、安価な銀を主成分とする内部電極を使用する
ことができる、低温で焼結可能な誘電体組成物が強く望
まれている。
チタン酸バリウムの焼結温度を低下させうる焼結助剤の
一つとして、酸化銅が知られている。チタン酸バリウム
に0.5モル%以下の酸化第2銅を添加することで、1200
℃の焼結温度でほぼ理論密度の焼結体が得られること
が、Trans.Brit.Ceram.Soc.,74,165,(1975)に示
されている。
特開53−8200には、プロベスカイト酸化物にCuo−Cu2O
共融混合物またはCuO−Cu2O・MeIVO2共融混合物(ただ
し、MeIVO2はIV族元素から選ばれた少なくとも1種の酸
化物で、プロベスカイト格子に組みこまれないもの)を
形成する化合物を添加し、1000〜1200℃の範囲で焼結す
ることを特徴とする誘電体の製造方法が開示されてい
る。
しかし、これらの方法で得られる誘電体磁器は、グレイ
ンサイズが大きく不均一であり、場合によっては、数10
μにも達する巨大粒子が生成しているため、特性が不安
定であり、特に積層用コンデンサーには、事実上使用で
きないものである。
これに対して、特開54−53300号には、プロベスカイト
酸化物に対し、CuO・MeOx(ただし、MeOxは周期律表のI
II、V、VI、VII族の少なくとも1種の酸化物であり、
プロベスカイト格子に組みこまれないもの)共融混合物
を形成する酸化物を添加し、1000〜1250℃の範囲で焼結
することを特徴とする誘電体磁器の製造方法が開示され
ている。この方法では、比較的グレインが微小で均一な
焼結体が得られるが、実用上、誘電損失が大きく、絶縁
抵抗が低い等の欠点を有し、かつ誘電率も1700〜3200程
度で低い。
また、最も良好な特性を示すタリウムは、その毒性がが
高く、また、高価であり、実用上、大きな問題となる。
(発明が解決しようとする問題点) したがって、従来技術では、1200℃以下の温度で焼結で
き、誘電率が高く、また、絶縁抵抗が高く、誘電損失が
小さく、グレインが微小で均一な誘電体磁器組成物は知
られていない。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、種々検討を重ねた結果、チタン酸バリウ
ムに特定量の酸化銅と周期律表のII族の元素のフッ化物
から選ばれた1種以上とを組み合わせることにより、上
記した欠点のない誘電体が得られることを見い出し、本
発明に到達した。
すなわち、本発明は、第1成分として87.5〜99.6モル%
のチタン酸バリウム、第2成分として0.2〜5.5モル%の
周期律表のII族の元素のフッ化物から選ばれた1種以
上、第3成分として0.2〜7.0モル%の酸化銅とからなる
誘電体組成物である。
チタン酸バリウムに特定量の酸化銅と周期律表のII族の
元素のフッ化物から選ばれた1種以上を組み合わせるこ
とにより、酸化銅単独の場合に比べ1200℃より低い温度
においても焼結は損なわれることなく、かえって促進さ
れることが判明した。さらに、酸化銅単独の場合に比べ
tanδの値は小さな値に改善され、グレインサイズは小
さくて均一なものとなる。また、絶縁抵抗値も向上する
ことが見い出された。フッ化亜鉛は他のII族元素のフッ
化物に比べ、これらの特性を発現する効果に優れてい
る。
さらに、特定のチタン酸塩、ジルコン酸塩、スズ酸塩か
ら選ばれた1種以上の特定量を第4成分として組み合わ
せることにより、上記特性を損ねることなく、室温付近
の誘電率の値を10,000以上にまで変化させることが可能
となり、また、グレインサイズをより小さくすることが
可能である。
本発明で使用されるチタン酸バリウムは、固相法、液相
法、蓚酸塩法、アルコキシド法等のいずれの方法で製造
されたものでもよい。平均粒径が1μ以下と小さく、粒
径分布の均一なものを用いた場合、一層均一な微構造の
磁器が得られ、絶縁抵抗値も大きなものとなり、各種の
特性のばらつきも小さなものとなる。
本発明で用いられる周期律表のII族元素のフッ化物とし
て、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ス
トロンチウム、フッ化バリウム、フッ化亜鉛、フッ化カ
ドミウムが挙げられる。これらのものは、MgF2、CaF2
SrF2、BaF2、ZnF2、ZnF2・4H2O、CdF2の形で添加され
る。
本発明では、酸化銅として酸化物をそのまま用いること
ができるが、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などの無機酸塩
や蓚酸塩、アルコキシドなどの有機塩、いずれのものも
焼結温度以下で分解して酸化物となるものならば使用で
きる。酸化銅としては、1価のもの、2価のものおよび
1価と2価が共存しているもの、いずれのものも使用で
きる。
また、本発明では、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウ
ム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジル
コン酸ストロンチウム、スズ酸鉛、スズ酸カルシウム、
スズ酸ストロンチウム、スズ酸バリウムは、各々PbTi
O3、SrTiO3、BaZrO3、CaZrO3、SrZrO3、PbSnO3、CaSn
O3、SrSnO3、BaSnO3の通常の複合酸化物の形のものが好
適に用いられる。
本発明の磁器組成物中のチタン酸バリウムの割合は、Ba
TiO3として、87.5〜99.4モル%の範囲である。その割合
が99.4モル%より多いと、1200℃以下の温度で焼結が困
難となり、また、87.5モル%より少ないと、素地の変形
や融着が起こり好ましくない。焼結性がよく、かつ素地
の変形がほとんど生じない好ましい範囲は92.5〜99.4モ
ル%である。
第2成分である周期律表のII族元素のフッ化物から選ば
れた1種以上の割合は、合計で0.2〜5.5モル%の範囲で
ある。5.5モル%を超えると、1200℃以下の低い温度で
は焼結が困難であり、絶縁抵抗の値も小さい。0.2モル
%未満では、添加の効果がほとんど認められない。焼結
性がよく、充分高い絶縁抵抗を与える最も好ましい範囲
は0.3〜4.0モル%の範囲である。
第3成分である酸化銅の割合は、0.2〜7.0モル%の範囲
である。7.0モル%より多い場合は、素地の変形、融着
が生じ易くなり、誘電損失の値が大きくなる。また、グ
レインサイズが不均一で大きくなる。0.2モル%より少
ない場合は、低温焼結が困難となる。焼結体のグレイン
サイズが均一で、ほとんど素地の変形がみられず、かつ
誘電損失の極めて小さくなる好ましい範囲は0.3〜4.0モ
ル%の範囲である。
さらに、絶縁抵抗が良好で、誘電損失も小さい最も良好
な結果は、II族元素のフッ化物と酸化銅のモル比を1:
3〜3:1とした場合に得られる。
さらに、好適な実施態様において、チタン酸鉛、チタン
酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カ
ルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、スズ酸鉛、スズ
酸カルシウム、スズ酸ストロンチウム、スズ酸バリウム
から選ばれた1種以上の複合酸化物が、第1成分、第2
成分、第3成分の和100モルに対して2.5〜40.0モル、よ
り好ましくは5.0〜25.0モル添加される。その量が2.5モ
ル未満では、添加の効果はあまり顕著でなく、グレイン
サイズは小さくならず、さらに、誘電率の値はあまり大
きくならない。40.0モルを超える場合も、誘電率の値は
小さなものとなり、絶縁抵抗の値は小さくなる傾向にあ
る。5.0〜25.0モル%の範囲で特に高い誘電率のものが
得られる。スズ酸バリウムまたはスズ酸カルシウムまた
はこれらの混合物を用いた場合、誘電率の大きなものが
得られ易くなる。
(実施例) 以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例1 チタン酸バリウムと酸化銅およびフッ化亜鉛、フッ化マ
グネシウム、フッ化カドミウム、フッ化バリウムとを表
1の割合に秤量し、エチルアルコールを加えてナイロン
ポットとナイロンボールを用いて混合した。混合物を乾
燥した後に、結合剤としてポリビニルアルコールを適当
量加え、造粒、乾燥後、2t/cm2の圧力で直径15mm、
厚み0.6mmの円板状成形物を作成した。次に、これをジ
ルコニアのセッタに5枚積み重ね、表1に示した焼結条
件で焼結した。得られた円盤磁器の両面に10mmφの銀電
極を焼付け、種々の特性を測定した。誘電率と誘電損
(tanδ)をLCRメーターを用いて、1KHz、1V、20
℃の条件で測定した。絶縁抵抗値は高絶縁抗計を用い、
500Vの電圧を印加し測定した。また、磁器表面の走査
型電子顕微鏡写真を取り、グレインサイズを求めた。焼
結密度は、円板の重量をマイクロメーターを用いて測定
して得た体積で除して求めた。測定結果を表2に示し
た。試料No.1,6,8は本発明の範囲外のものであ
る。表2より明らかなように、本発明の範囲内のもの
は、1200℃以下で焼結可能であり、tanδが小さく、絶
縁抵抗が高く、焼結体密度が大きく、グレインサイズも
小さいことがわかる。
実施例2 スズ酸バリウム、スズ酸カルシウムを第4成分として用
いた。表3に示した割合に種々の化合物と秤量し、実施
例1と同様にして円板状成形物を作成し、表3に示した
焼結条件で焼結した。実施例1と同様にして銀電極を焼
付け、種々の特性を測定した。磁器表面の走査型電子顕
微鏡写真より、ラインインタセプト法を用いて平均のグ
レインサイズを求めた。測定結果を表4に示した。試料
No.1,5は本発明の範囲外のものであり、試料No.3と
8は第4成分の量が本発明の好ましい実施態様の範囲外
のものである。表4より明らかなように、スズ酸バリウ
ム、スズ酸カルシウムを加えることにより、tanδが小
さく、絶縁抵抗が高いままで、20℃での誘電率を10,000
以上にまででき、かつグレインサイズも小さくできるこ
とがわかる。
なお、スズ酸バリウムとスズ酸カルシウムの量を内割で
示した。
実施例3 表5に示す組成を秤量し、エチルアルコールを加えてナ
イロンボールミルで混合した。得られた混合物を乾燥
し、80メッシュの篩にかけ、アクリル樹脂をバインダ
ー、トリクロロエタンを溶媒に用い、メノウボールのボ
ールミルを用いてペーストを調製した。ドクターブレー
ド法により厚み50μのグリーンシートを作製した。この
グリーンシートを10枚重ね合わせて70℃、50kg/cm2
圧力の条件でラミネートした後、15mm口の正方形に切断
した。このものを表5に示した焼結条件で焼結した後、
直径8mmの銀電極を焼付け、実施例2と同様にして特性
を測定した。結果を表6にに示した。本実施例において
も、良好な特性の誘電体が得られていることがわかる。
以上の実施例において、チタン酸バリウムはBaとTiのモ
ル比がほぼ1のものを用いたが、0.05モル程度その比率
がずれていても、良好な特性を得ることができる。ま
た、本発明の組成に酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等
を微量添加した場合は、特性の改善に効果がある。
(発明の効果) 以上述べたことから、本発明の誘電体磁器組成物は、12
00℃以下の低温で焼結でき、tanδが小さく、グレイン
サイズが均一で小さく、絶縁抵抗の大きなものである。
また、これらの特性を損ねることなく、室温付近での誘
電率を10,000以上にも高めることができ、積層セラミッ
クチップコンデンサー用磁器組成物として極めて有効で
あり、その産業的価値は大きいものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1成分として87.5〜99.6モル%のチタン
    酸バリウム、第2成分として0.2〜5.5モル%の周期律表
    のII族の元素のフッ化物から選ばれた1種以上、第3成
    分として0.2〜7.0モル%の酸化銅とからなる誘電体組成
    物。
  2. 【請求項2】第1成分が92.5〜99.4モル%、第2成分が
    0.3〜3.5モル%、第3成分が0.3〜4.0モル%である特許
    請求の範囲第1項記載の誘電体組成物。
  3. 【請求項3】第2成分と第3成分のモル比が1:3〜
    3:1である特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    誘電体組成物。
  4. 【請求項4】第2成分がフッ化亜鉛である特許請求の範
    囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の誘電体組成
    物。
  5. 【請求項5】第1成分として87.5〜99.6モル%のチタン
    酸バリウム、第2成分として0.2〜5.5モル%の周期律表
    のII族の元素のフッ化物から選ばれた1種以上、第3成
    分として0.2〜7.0モル%の酸化銅とからなる組成に、第
    4成分としてチタン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、ジ
    ルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸
    ストロンチウム、スズ酸鉛、スズ酸カルシウム、スズ酸
    ストロンチウム、スズ酸バリウムから選ばれた1種以上
    を第1成分、第2成分、第3成分の和100モルに対して
    2.5〜40.0モル含有させてなる誘電体組成物。
  6. 【請求項6】第4成分が5.0〜25.0モルである特許請求
    の範囲第5項記載の誘電体組成物。
  7. 【請求項7】第4成分がスズ酸バリウムおよび/または
    スズ酸カルシウムである特許請求の範囲第5項または第
    6項記載の誘電体組成物。
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