JP3321900B2 - 高誘電率磁器組成物 - Google Patents

高誘電率磁器組成物

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JP3321900B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高誘電率磁器組成物に係
り、特に比抵抗が高く、低温焼結が可能高誘電率磁器
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高誘電率磁器組成物としては、チ
タン酸バリウム(BaTiO)を主体とする組成物が
一般的に使用されている。即ち、BaTiOを基体と
し、これにキュリー点を室温付近に移動させるシフター
剤と容量温度特性を改善するデプレッサ剤、更に焼結促
進剤、還元防止剤などを加えた組成とするのが一般的で
ある。
【0003】シフター剤としては、BaSnO、Ba
ZrO、CaZrO、CaSnO、SrTi
、PbTiO、La、CeOなどが用い
られ、デプレッサ剤としては、CaTiO、MgTi
、Bi(SnO、Bi(TiO
NiSnO、MgZrO、MgSnOなどが用い
られている。また、焼結促進剤としては、Al
SiO、ZnO、CeO、B、Nb
WOなどが用いられ、還元防止剤としては、Mn
、Fe、CuOなどが用いられている。
【0004】しかしながら、チタン酸バリウムを主成分
とする組成物は、焼結温度が1300〜1400℃の高
温であるため、焼成コストが高く、特にこれを積層コン
デンサに利用する場合には、内部電極としてPd、Pt
などの高価な高融点貴金属を用いなければならず、コン
デンサのコスト低減の大きな障害になっていた。
【0005】このため、従来より、積層コンデンサの内
部電極として、安価な銀を主成分とする電極を使用し
得、積層コンデンサの製造コストを低減し得る、低温焼
結可能な誘電体材料の出現が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決し、比抵抗が高く、低温焼結が可能な高誘電
率磁器組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】請求項1の高誘
電率磁器組成物は、PbO、La、ZrO、T
iO、MgO及びNb、を含む組成物であっ
て、下記一般式(I)で示される組成の主成分に対し
て、MgO 0.05〜1.5重量%と、MnO 0.
2重量%以下とを含み、更に焼結促進剤として(Zn
O)1−Y(B[式中、0.2≦Y≦0.7]
を0.1〜3.0重量%含むことを特徴とする。
【0008】 X(Pb1−ULa)(Zr1−VTi)O3+U/2(1−X)Pb (Mg1/3Nb2/3)O …(I) [式中、0.10≦U≦0.28 0.30≦V≦1.00 0.03≦X≦0.40] 下に本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の高誘電率磁器組成物は、PbO、
La、ZrO、TiO、MgO及びNb
を含み、上記一般式(I)で表わした時、 0.10≦U≦0.28 0.30≦V≦1.00 0.03≦X≦0.40 なる主成分と、0.05〜1.5重量%のMgOと、
0.2重量%以下のMnOと、焼結促進剤としての0.
1〜3.0重量%の(ZnO)1−Y(B
[式中、0.2≦Y≦0.7] を含むものである。
【0010】以下に、本発明の高誘電率磁器組成物の組
成比の限定理由について説明する。
【0011】前記(I)式中、Uが0.1未満であると
得られる組成物の比抵抗が小さくなり、Uが0.28を
超えるとキュリー点が著しく低温側に変化して誘電率が
下がることとなる。このため、Uは0.10以上0.2
8以下の範囲とする。
【0012】また、(I)式中、Vが0.30未満で
は、得られる組成物の焼結温度が高くなる。このためV
は0.30以上1.00以下の範囲とする。
【0013】更に(I)式中、Xが0.03未満では、
得られる組成物の比抵抗が小さくなり、Xが0.40を
超えると誘電率が小さくなる。このため、Xは0.03
以上0.40以下の範囲とする。
【0014】また、MgOは誘電率の向上に有効である
が、(I)式で示される主成分に対して、MgOの含有
量が0.05重量%未満ではその効果が十分に得られ
ず、1.5重量%を超えると比抵抗が小さくなる。この
ため、(I)式で示される主成分に対するMgOの含有
量は0.05〜1.5重量%とする。
【0015】更に、MnOを含有させることで高温での
比抵抗を向上させ、信頼性を改善する効果が得られる
が、MnOの割合が前記主成分に対して0.2重量%を
超えると誘電率が低下するため、MnOは0.2重量%
以下とする。
【0016】焼結促進剤として添加する(ZnO)
1−Y(Bの含有量を0.1〜3.0重量%
と限定したのは、0.1重量%未満では耐熱衝撃性に対
する改善が見られず、3.0重量%を超えると誘電率が
低下するためである。なお、この焼結促進剤の組成式に
おいて、Yが0.2未満であっても、0.7を超えても
耐熱衝撃性の改善効果が得られない。
【0017】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 実施例1 出発原料としてPbO、La、TiO、Mg
O、Nbを使用し、これらを(I)式中の主成分
組成比でX=0.15、U=0.20、V=1.00と
なるように秤量し、更に主成分に対してMgOを0.5
重量%秤量し、これらにMnCOを表1に示す配合比
となるように秤量して、ボールミル中で20時間湿式混
合した。次いで、得られた混合物を脱水乾燥後、750
℃で2時間保持して仮焼し、再びボールミル中で20時
間湿式粉砕した後、脱水、乾燥した。
【0018】得られた粉末に対してZnOが40モル
%、Bが60モル%からなる焼結促進剤を表1に
示す配合比となるように秤量し、更に有機バインダー、
分散剤、可塑剤及び溶剤を加えてボールミル中で5時間
混合し、誘電体スラリーを調製した。次に、湿式積層法
で積層し、切断後、600℃で1時間保持してバインダ
ー成分を除去した。その後、1080℃で焼成し、外部
電極を取り付けて5.7×5.0mmで層間15μmの
10μFの積層コンデンサを作製した。
【0019】この積層コンデンサに対して25℃での誘
電率及び150℃での比抵抗を測定した。また、耐熱衝
撃性試験及び高温加速寿命試験を実施した。結果を表1
に示す。
【0020】なお、誘電率の測定は、YHPデジタルL
CRメータモデル4274Aを用い、測定周波数1KH
z、測定電圧1.0Vrmsにて測定した。比抵抗は、
YHPモデル4329Aを使用し、印加電圧25Vにて
電圧印加後、1分後の絶縁抵抗値により求めた。耐熱衝
撃性試験は、積層コンデンサ100個について1個ずつ
ピンセットでつかみ、これを予熱せずに300℃のSn
/Pb=63/37の共晶はんだ槽に3秒間浸漬後、引
き上げてクラックが発生しているか否かを顕微鏡で調べ
ることにより行なった。高温加速寿命試験は、積層コン
デンサを150℃下の温度で125Vの直流電圧を印加
して100時間後の故障率を調べることにより行なっ
た。
【0021】表1より明らかなように、本発明の範囲内
の組成物は、いずれも誘電率及び比抵抗が大きく、かつ
耐熱衝撃性が良く、信頼性に優れることが確認された。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の高誘電率磁
器組成物は、誘電率及び比抵抗が大きく、低温焼結が可
能であることから、本発明の高誘電率磁器組成物によれ
ば、安価で性能に優れた積層コンデンサを得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−167850(JP,A) 特開 平2−28913(JP,A) 特開 平3−60454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/12 313 H01B 3/12 301 C04B 35/49 H01G 4/12 358

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PbO、La、ZrO、TiO
    、MgO及びNbを含む組成物であって、下記
    一般式(I)で示される組成の主成分に対して、Mg
    .05〜1.5重量%と、MnO 0.2重量%以
    下とを含み、更に焼結促進剤として(ZnO)
    1−Y(B[式中、0.2≦Y≦0.7] を
    0.1〜3.0重量%含むことを特徴とする高誘電率磁
    器組成物。 X(Pb1−ULa)(Zr1−VTi)O3+U/・(1−X)Pb (Mg1/3Nb2/3)O …(I) [式中、0.10≦U≦0.28 0.30≦V≦1.00 0.03≦X≦0.40]
JP13191693A 1993-06-02 1993-06-02 高誘電率磁器組成物 Expired - Fee Related JP3321900B2 (ja)

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