JPH0521267A - 積層型セラミツクチツプコンデンサ - Google Patents

積層型セラミツクチツプコンデンサ

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JPH0521267A
JPH0521267A JP3200031A JP20003191A JPH0521267A JP H0521267 A JPH0521267 A JP H0521267A JP 3200031 A JP3200031 A JP 3200031A JP 20003191 A JP20003191 A JP 20003191A JP H0521267 A JPH0521267 A JP H0521267A
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internal electrode
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 容量の温度特性であるX7R特性やB特性を
満足することができ、かつ、直流電界下での容量の経時
変化が小さく、また、絶縁抵抗IRの加速寿命が長い積
層型セラミックチップコンデンサを提供すること。 【構成】 BaTiO3 に換算したチタン酸バリウム1
00モルに対し、MgOに換算して0.5〜3モルの酸
化マグネシウム、MnOに換算して0.1〜0.5モル
の酸化マンガンおよびCoOに換算して0.05〜0.
3モルの酸化コバルトを副成分として含み、さらに、副
成分として、ガラス状の(Bax Ca1-x O)y ・Si
2 (ただし、0.3≦x≦0.7、0.95≦y≦
1.05である。)を、前記BaTiO3 、MgO、M
nOおよびCoOの合計に対し3〜7重量%含む組成の
誘電体層を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層型セラミックチッ
プコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】積層型セラミックチップコンデンサは、
小型、大容量、高信頼性の電子部品として広く利用され
ており、1台の電子機器の中で使用される個数も多数に
のぼる。近年、機器の小型・高性能化にともない、積層
型セラミックチップコンデンサに対する更なる小型、大
容量、低価格、高信頼性化への要求はますます厳しくな
っている。
【0003】積層型セラミックチップコンデンサは通
常、内部電極層用のペーストと誘電体層用のペーストと
をシート法や印刷法等により積層し、一体同時焼成して
製造される。
【0004】内部電極層の導電材には、一般にPdやP
d合金が用いられているが、Pdは高価であるため、比
較的安価なNiやNi合金等の卑金属が使用されつつあ
る。内部電極層の導電材として卑金属を用いる場合、大
気中で焼成を行なうと内部電極層が酸化してしまうた
め、誘電体層と内部電極層との同時焼成を、還元性雰囲
気中で行なう必要がある。しかし、還元性雰囲気中で焼
成すると、誘電体層が還元され、比抵抗が低くなってし
まうため、非還元性の誘電体材料が提案されている。
【0005】しかし、非還元性の誘電体材料を用いた積
層型セラミックチップコンデンサは、絶縁抵抗IRの寿
命が短くなり、信頼性が低いという問題がある。
【0006】また、誘電体を直流電界にさらすと、比誘
電率εs が経時的に低下するという問題が生じる。チッ
プコンデンサを小型、大容量化するために誘電体層の厚
みを薄くすると、直流電圧を印加したときの誘電体層に
かかる電界が強くなるため、比誘電率εs の経時変化、
すなわち容量の経時変化が著しく大きくなってしまう。
【0007】ところで、EIA規格に定められたX7R
特性と呼ばれる規格では、容量の変化率が、−55℃か
ら125℃の間で±15%以内(基準温度25℃)と定
められている。また、JIS規格に定められたB特性と
呼ばれる規格では、容量の変化率が、−25℃から85
℃の間で±10%以内(基準温度20℃)と定められて
いる。
【0008】X7R特性やB特性を満足する誘電体材料
としては、例えば特開昭61−36170号公報に示さ
れるBaTiO3 +SrTiO3 +MnO系の組成が知
られている。しかし、このものは、直流電界下における
容量の経時変化が大きく、例えば40℃で50V の直流
電界を1000時間印加すると、容量の変化率が−10
〜−30%程度となってしまい、X7R特性やB特性を
満足することができなくなる。
【0009】また、この他、非還元性の誘電体磁器組成
物としては、特開昭57−71866号公報に開示され
ているBaTiO3 +MnO+MgO、特開昭61−2
50905号公報に開示されている(Ba1-x Srx
O)a Ti1-y Zry2 +α((1−z)MnO+z
CoO)+β((1−t)A25 +tL23 )+w
SiO2 (ただし、A=Nb,Ta,V、L=Yまたは
希土類元素)、特開平2−83256号公報に開示され
ているチタン酸バリウムにガラス状態のBaαCa1-α
SiO3 を添加したものなどが挙げられる。しかし、こ
れらのいずれの誘電体磁器組成物も、容量の温度特性が
良好で、直流電界下での容量の経時変化が少なく、絶縁
抵抗の加速寿命が長いという特性の全てを満足すること
はできなかった。例えば、特開昭61−250905号
公報および特開平2−83256号公報にそれぞれ開示
されているものでは、絶縁抵抗の加速寿命が短い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、容量の温度特性であるX7
R特性やB特性を満足することができ、かつ、直流電界
下での容量の経時変化が小さく、また、絶縁抵抗IRの
加速寿命が長い積層型セラミックチップコンデンサを提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(4)の本発明により達成される。
【0012】(1) 誘電体層と内部電極層とが交互に
積層された構成のコンデンサチップ体を有する積層型セ
ラミックチップコンデンサであって、前記誘電体層が、
チタン酸バリウムを主成分とし、BaTiO3 に換算し
た前記チタン酸バリウム100モルに対し、MgOに換
算して0.5〜3モルの酸化マグネシウム、MnOに換
算して0.1〜0.5モルの酸化マンガンおよびCoO
に換算して0.05〜0.3モルの酸化コバルトを副成
分として含み、さらに、副成分として、ガラス状の(B
x Ca1-x O)y ・SiO2 (ただし、0.3≦x≦
0.7、0.95≦y≦1.05である。)を、前記B
aTiO3 、MgO、MnOおよびCoOの合計に対し
3〜7重量%含むことを特徴とする積層型セラミックチ
ップコンデンサ。
【0013】(2) 前記内部電極層に含まれる導電材
が、NiまたはNi合金である上記(1)に記載の積層
型セラミックチップコンデンサ。
【0014】(3) 酸素分圧が10-8〜10-12 気圧
である雰囲気中で、1200〜1380℃の温度範囲内
にて焼成された上記(2)に記載の積層型セラミックチ
ップコンデンサ。
【0015】(4) 焼成後に、酸素分圧が10-6気圧
以上の雰囲気中で1100℃以下の温度範囲内にてアニ
ールされた上記(2)または(3)に記載の積層型セラ
ミックチップコンデンサ。
【0016】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0017】[積層型セラミックチップコンデンサ]本
発明の積層型セラミックチップコンデンサの好適実施例
の断面図を、図1に示す。
【0018】図1に示されるように、本発明の積層型セ
ラミックチップコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極
層3とが交互に積層された構成のコンデンサチップ体1
0を有し、このコンデンサチップ体10表面に、内部電
極層3と導通する外部電極4を有する。コンデンサチッ
プ体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状と
される。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応
じて適当な寸法とすればよいが、通常、(1.0〜5.
6mm)×(0.5〜5.0mm)×(0.5〜1.9mm)
程度である。内部電極層3は、その端面がコンデンサチ
ップ体10の対向する2表面に交互に露出するように積
層され、外部電極4は、コンデンサチップ体10の前記
対向する2表面に形成され、所定のコンデンサ回路を構
成する。
【0019】<誘電体層2>誘電体層2は、チタン酸バ
リウムを主成分とし、BaTiO3 に換算した前記チタ
ン酸バリウム100モルに対し、MgOに換算して0.
5〜3モル、好ましくは1.0〜1.5モルの酸化マグ
ネシウム、MnOに換算して0.1〜0.5モル、好ま
しくは0.2〜0.4モルの酸化マンガンおよびCoO
に換算して0.05〜0.3モル、好ましくは0.1〜
0.2モルの酸化コバルトを副成分として含み、さら
に、副成分として、ガラス状の(Bax Ca1-x O)y
・SiO2 (ただし、0.3≦x≦0.7、0.95≦
y≦1.05である。)を、前記BaTiO3 、Mg
O、MnOおよびCoOの合計に対し3〜7重量%、好
ましくは4〜6重量%含む。なお、各酸化物の酸化状態
は特に限定されず、各酸化物を構成する金属元素の含有
量が上記範囲であればよい。
【0020】上記各副成分の含有量の限定理由は下記の
とおりである。
【0021】酸化マグネシウムの含有量が前記範囲未満
であると、容量の温度特性を所望の範囲とすることがで
きない。酸化マグネシウムの含有量が前記範囲を超える
と、焼結性が急激に悪化し、緻密化が不十分となってI
R加速寿命が低下し、また、高い比誘電率が得られな
い。
【0022】酸化マンガンの含有量が前記範囲未満であ
ると、良好な耐還元性が得られずIR加速寿命が不十分
となり、また、損失 tanδを低くすることが困難とな
る。酸化マンガンの含有量が前記範囲を超えている場
合、直流電界印加時の容量の経時変化を小さくすること
が困難となる。
【0023】酸化コバルトの含有量が前記範囲未満であ
ると、絶縁抵抗IRの寿命が不十分であり、また、耐還
元性も不十分であり、損失 tanδも大きくなる。酸化コ
バルトの含有量が前記範囲を超えていると、直流電界印
加時の容量の経時変化が大きくなる。
【0024】ガラス状の(Bax Ca1-x O)y・Si
2 の含有量が前記範囲未満であると、直流電界印加時
の容量の経時変化が大きくなり、また、IR加速寿命が
不十分となる。前記範囲を超えると比誘電率の急激な低
下が起こる。(Bax Ca1- x O)y ・SiO2 におけ
るxの値が前記範囲を外れるか、あるいはyの値が前記
範囲を外れると、焼結性が低下して緻密化が不十分とな
る。
【0025】本発明において誘電体層は、いわゆるコア
−シェル構造となっている。すなわち、BaTiO3
MnO+CoO+MgOなどから構成される高誘電率相
の結晶粒(コア)の周囲を、CaTiO3 +(Bax
1-x O)y ・SiO2 +MnO+CoO+MgOなど
から構成される低誘電率相の結晶粒界(シェル)が取り
囲む構造となっている。
【0026】誘電体層の平均結晶粒径は特に限定されな
いが、上記組成とすることにより微細な結晶粒が得ら
れ、通常、平均結晶粒径は0.2〜0.7μm 程度とな
る。また、結晶粒界の平均幅は、0.02〜0.2μm
程度である。
【0027】誘電体層のキュリー温度は、適用される規
格に応じて組成を選択することにより適宜設定すること
ができるが、一般に85℃以上、通常、120〜130
℃程度とする。
【0028】誘電体層の一層あたりの厚さは、100μ
m 以下、特に50μm 以下、さらには5〜30μm 程度
とする。本発明は、このような薄層化した誘電体層を有
する積層型セラミックチップコンデンサの容量の経時変
化防止に有効である。なお、誘電体層の積層数は、通常
2〜200程度とする。
【0029】<内部電極層3>内部電極層3に含有され
る導電材は特に限定されないが、誘電体層2構成材料が
耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。
導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合
金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、Coお
よびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金
が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であ
ることが好ましい。
【0030】なお、NiまたはNi合金中には、P等の
各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよ
い。
【0031】内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決
定されればよいが、通常、1〜5μm 、特に2〜3μm
程度であることが好ましい。
【0032】<外部電極4>外部電極4に含有される導
電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi、C
uや、これらの合金を用いることができる。
【0033】外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定
されればよいが、通常、10〜50μm 程度であること
が好ましい。
【0034】[積層型セラミックチップコンデンサの製
造方法]本発明の積層型セラミックチップコンデンサ
は、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグ
リーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を
印刷ないし転写して焼成することにより製造される。
【0035】<誘電体層用ペースト>誘電体層用ペース
トは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して製造され
る。
【0036】誘電体原料には、上記した複合酸化物、酸
化物およびガラスの混合物を用いることができるが、そ
の他、焼成により上記した複合酸化物や酸化物となる各
種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸
化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用い
ることができる。誘電体原料中の各化合物の含有量は、
焼成後に上記した誘電体層の組成となるように決定すれ
ばよい。
【0037】誘電体原料は、通常、平均粒子径0.1〜
1μm 程度の粉末として用いられる。
【0038】有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中
に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダ
は特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種バ
インダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤
も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方
法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、ア
セトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれば
よい。
【0039】<内部電極層用ペースト>内部電極層用ペ
ーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電
材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化
物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビ
ヒクルとを混練して調製する。
【0040】<外部電極用ペースト>外部電極用ペース
トは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製
すればよい。
【0041】<有機ビヒクル含有量>上記した各ペース
ト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の
含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は
10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト
中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶
縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。
これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ま
しい。
【0042】<グリーンチップ作製>印刷法を用いる場
合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペースト
を、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断し
た後、基板から剥離してグリーンチップとする。
【0043】また、シート法を用いる場合、誘電体層用
ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内
部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグ
リーンチップとする。
【0044】<脱バインダ処理>焼成前に行なわれる脱
バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極
層の導電材にNiやNi等の卑金属を用いる場合、特に
下記の条件で行うことが好ましい。 昇温速度:10〜300℃/時間、特に50〜100℃
/時間 保持温度:600〜1200℃、特に700〜900℃ 温度保持時間:0.5〜5時間、特に1〜3時間 酸素分圧:10-4〜10-8気圧、特に10-5〜10-6
圧 脱バインダ処理の際の雰囲気ガスには、加湿したN2
ス等を用いることが好ましい。
【0045】<焼成>グリーンチップ焼成時の雰囲気
は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適
宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等
の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、1
-8〜10-12 気圧とすることが好ましい。酸素分圧が
前記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結
を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧
が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあ
る。
【0046】また、焼成時の保持温度は、1200〜1
380℃、特に1260〜1340℃とすることが好ま
しい。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分
であり、前記範囲を超えると直流電界印加時の容量の経
時変化が大きくなる。
【0047】上記条件以外の各種条件は、下記のように
することが好ましい。 昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間 温度保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間 冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300
℃/時間 焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲
気ガスとしては、例えば、N2 とH2 との混合ガスを加
湿して用いることが好ましい。
【0048】<アニール>還元性雰囲気中で焼成した場
合、コンデンサチップ体にはアニールが施されることが
好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処
理であり、これによりIR加速寿命を著しく長くするこ
とができる。
【0049】アニール雰囲気中の酸素分圧は、10-6
圧以上、特に10-5〜10-4気圧とすることが好まし
い。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化
が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化す
る傾向にある。
【0050】アニールの際の保持温度は、1100℃以
下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保
持温度が前記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分
となって寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲を超える
と内部電極層が酸化し、容量が低下するだけでなく、誘
電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にあ
る。なお、アニールは昇温および降温だけから構成して
もよい。この場合、温度保持時間は零であり、保持温度
は最高温度と同義である。
【0051】上記条件以外の各種条件は下記のようにす
ることが好ましい。 温度保持時間:0〜20時間、特に6〜10時間 冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300
℃/時間 雰囲気用ガスには、加湿したN2 ガス等を用いることが
好ましい。
【0052】なお、上記した脱バインダ処理、焼成およ
びアニールにおいて、N2 ガスや混合ガス等を加湿する
には、例えばウェッター等を使用すればよい。この場
合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0053】脱バインダ処理、焼成およびアニールは、
連続して行なっても、独立に行なってもよい。
【0054】これらを連続して行なう場合、脱バインダ
処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の
保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、ア
ニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニ
ール行なうことが好ましい。
【0055】また、これらを独立して行なう場合、焼成
に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までN2 ガス
あるいは加湿したN2 ガス雰囲気下で昇温した後、雰囲
気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニ
ール時の保持温度まで冷却した後は、再びN2 ガスある
いは加湿したN2 ガス雰囲気に変更して冷却を続けるこ
とが好ましい。また、アニールに際しては、N2 ガス雰
囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更しても
よく、アニールの全工程を加湿したN2 ガス雰囲気とし
てもよい。
【0056】<外部電極形成>上記のようにして得られ
たコンデンサチップ体に、例えばバレル研磨やサンドブ
ラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペースト
を印刷ないし転写して焼成し、外部電極4を形成する。
外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、600〜8
00℃にて10分間〜1時間程度とすることが好まし
い。
【0057】そして、必要に応じ、外部電極4表面に、
めっき等により被覆層を形成する。
【0058】このようにして製造された本発明の積層型
セラミックチップコンデンサは、ハンダ付等によりプリ
ント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用され
る。
【0059】そして、本発明の積層型セラミックチップ
コンデンサの誘電体層には、使用時に、0.02V/μm
以上、 特に0.2V/μm 以上、さらには0.5V/μm 以
上、一般に5V/μm 程度以下の直流電界と、通常、これ
に重畳する交流成分とが印加されるが、このような直流
電界を負荷しても、容量の経時変化は極めて少ないもの
である。
【0060】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0061】下記の各ペーストを調製した。誘電体層用ペースト 粒径0.1〜1μm のBaTiO3 、MgCO3 、Mn
CO3 、CoO、(Ba0.5 Ca0.5 )SiO3 粉末を
ボールミルにより16時間湿式混合し、次いでスプレー
ドライヤーで乾燥させて、誘電体原料とした。各粉末の
混合比率を変えて、複数の誘電体原料を作製した。
【0062】各誘電体原料100重量部を、有機ビヒク
ル(エチルセルロース樹脂12重量部をブチルカルビト
ール88重量部に溶解したもの)34重量部およびテル
ピネオール50重量部と3本ロールによりそれぞれ混練
し、ペースト化した。
【0063】内部電極層用ペースト 平均粒径0.8μm のNi粒子100重量部と、有機ビ
ヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビ
トール92重量部に溶解したもの)40重量部およびブ
チルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練
し、ペースト化した。
【0064】外部電極用ペースト 平均粒径0.5μm のCu粒子100重量部と、有機ビ
ヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビ
トール92重量部に溶解したもの)35重量部およびブ
チルカルビトール7重量部とを混練し、ペースト化し
た。
【0065】上記各誘電体層用ペーストおよび上記内部
電極層用ペーストを用い、図1に示される構成の積層型
セラミックコンデンサを作製した。
【0066】まず、誘電体層用ペーストと内部電極層用
ペーストとを、印刷法により交互に積層し、グリーンチ
ップを得た。誘電体層用ペーストの積層数は、20層と
した。
【0067】次いでグリーンチップを所定サイズに切断
し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記の条件
にて連続的に行ない、コンデンサチップ体を作製した。
【0068】脱バインダ処理 昇温速度:100℃/時間 保持温度:800℃ 温度保持時間:2時間 雰囲気ガス:加湿したN2 ガス 酸素分圧:10-4気圧
【0069】焼成 昇温速度:200℃/時間 保持温度:1300℃ 温度保持時間:2時間 冷却速度:300℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス 酸素分圧:10-9気圧
【0070】アニール 保持温度:900℃ 温度保持時間:9時間 冷却速度:300℃/時間 雰囲気ガス:加湿したN2 ガス 酸素分圧:10-5気圧
【0071】なお、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウ
ェッターを用い、水温は35℃とした。
【0072】得られたコンデンサチップ体の端面をサン
ドブラストにて研磨した後、上記外部電極用ペーストを
前記端面に転写し、N2 +H2雰囲気中で800℃にて
10分間焼成して外部電極を形成し、積層型セラミック
チップコンデンササンプルを得た。
【0073】このようにして製造した各サンプルのサイ
ズは、3.2mm×1.6mm×1.2mmであり、誘電体層
の厚さは20μm 、内部電極層の厚さは2.5μm であ
った。
【0074】各サンプルの誘電体層の組成を、下記表1
に示す。なお、これらの組成は、前述した基準に従って
算出した。また、表1中のガラスとは、(Ba0.5 Ca
0.5)SiO3 である。
【0075】各サンプルについて、下記の測定を行なっ
た。結果を表1に示す。
【0076】容量の温度特性 LCRメータにより、−55〜125℃について測定電
圧1V で容量を測定し、下記特性を満足するかどうかを
調べた。満足する場合を○、満足しない場合を×とし
た。
【0077】X7R特性:−55℃から125℃の間で
容量変化率が±15%以内(基準温度25℃)
【0078】B特性:−25℃から85℃の間で容量変
化率が±10%以内(基準温度20℃)
【0079】直流電界下での容量の経時変化 誘電体層の厚さ1μm あたり1.8V の直流電界(サン
プルへの印加電圧36V )を40℃にて1000時間印
加し、次いで、無負荷状態で室温にて24時間放置した
後、容量を測定し、直流電界印加前の容量C0(初期容
量)からの変化量ΔCを求めて、変化率ΔC/C0 を算
出した。なお、容量は上記条件にて測定した。
【0080】絶縁抵抗IRの加速寿命 200℃にて10V/μm の電界下で加速試験を行ない、
抵抗(IR)が2×105 Ω以下になるまでの時間を寿
命時間とした。
【0081】比誘電率εs 25℃における比誘電率を測定した。
【0082】
【表1】
【0083】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、誘電体層の組成が本発明の範
囲内であるサンプルでは、X7R特性またはB特性を満
足し、かつ、直流電界下での容量の経時変化率が10%
以下と極めて低く、また、加速試験における絶縁抵抗I
Rの寿命が長い。
【0084】なお、本発明のサンプルNo. 9および比較
例のサンプルNo. 1の誘電体層断面の走査型電子顕微鏡
写真を、それぞれ図2および図3に示す。なお、断面を
鏡面研磨し、フッ酸−硝酸の混合水溶液によりエッチン
グした後に、写真を撮影した。これらの図から、比較例
であるサンプルNo.1(図3)では平均結晶粒径が約1
μm 、結晶粒界の平均幅が約0.2μm であるが、本発
明のサンプルNo. 9(図2)では平均結晶粒径が約0.
5μm 、結晶粒界の平均幅が約0.2μm と細かい。な
お、表1に示される他の比較サンプルおよび本発明サン
プルについても、同様な関係がみられた。
【0085】また、比較例のサンプルNo. 2の誘電体層
の透過型電子顕微鏡写真を、上記直流電界印加前および
印加後に撮影した。印加前の写真を図4に、印加後の写
真を図5にそれぞれ示す。図4および図5から、直流電
界の印加によりドメインが減少していることがわかる。
【0086】
【発明の効果】本発明では、誘電体層を所定の組成とす
ることにより、容量の温度特性に関するX7R特性やB
特性を満足することができ、かつ、直流電界下での容量
の経時変化が小さく、また、絶縁抵抗IRの加速寿命が
長い積層型セラミックチップコンデンサを実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型セラミックチップコンデンサの
好適実施例を示す断面図である。
【図2】粒子構造を示す図面代用写真であって、本発明
の積層型セラミックチップコンデンサの誘電体層断面の
走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】粒子構造を示す図面代用写真であって、従来の
積層型セラミックチップコンデンサの誘電体層断面の走
査型電子顕微鏡写真である。
【図4】粒子構造を示す図面代用写真であって、積層型
セラミックチップコンデンサの誘電体層の透過型電子顕
微鏡写真である。
【図5】粒子構造を示す図面代用写真であって、直流電
界印加後の積層型セラミックチップコンデンサの誘電体
層の透過型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 積層型セラミックチップコンデンサ 10 コンデンサチップ体 2 誘電体層 3 内部電極層 4 外部電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体層と内部電極層とが交互に積層さ
    れた構成のコンデンサチップ体を有する積層型セラミッ
    クチップコンデンサであって、 前記誘電体層が、チタン酸バリウムを主成分とし、Ba
    TiO3 に換算した前記チタン酸バリウム100モルに
    対し、MgOに換算して0.5〜3モルの酸化マグネシ
    ウム、MnOに換算して0.1〜0.5モルの酸化マン
    ガンおよびCoOに換算して0.05〜0.3モルの酸
    化コバルトを副成分として含み、さらに、副成分とし
    て、ガラス状の(Bax Ca1-x O)y ・SiO2 (た
    だし、0.3≦x≦0.7、0.95≦y≦1.05で
    ある。)を、前記BaTiO3 、MgO、MnOおよび
    CoOの合計に対し3〜7重量%含むことを特徴とする
    積層型セラミックチップコンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記内部電極層に含まれる導電材が、N
    iまたはNi合金である請求項1に記載の積層型セラミ
    ックチップコンデンサ。
  3. 【請求項3】 酸素分圧が10-8〜10-12 気圧である
    雰囲気中で、1200〜1380℃の温度範囲内にて焼
    成された請求項2に記載の積層型セラミックチップコン
    デンサ。
  4. 【請求項4】 焼成後に、酸素分圧が10-6気圧以上の
    雰囲気中で1100℃以下の温度範囲内にてアニールさ
    れた請求項2または3に記載の積層型セラミックチップ
    コンデンサ。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5646080A (en) * 1995-11-20 1997-07-08 Tam Ceramics, Inc. Dielectric stable at high temperature
EP0797225A3 (en) * 1996-03-19 2000-01-19 Tam Ceramics, Inc. Manufacturing process of multilayer capacitors
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JP2008226941A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd セラミックコンデンサの製造方法
US8203734B2 (en) 2007-03-29 2012-06-19 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image formation using a portable storage medium
KR101420535B1 (ko) * 2012-12-13 2014-07-16 삼성전기주식회사 유전체 조성물 및 이를 유전체층으로 포함하는 적층형 세라믹 콘덴서

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