JPH066679B2 - 含フッ素表面被覆剤およびその組成物 - Google Patents

含フッ素表面被覆剤およびその組成物

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JPH066679B2
JPH066679B2 JP22191884A JP22191884A JPH066679B2 JP H066679 B2 JPH066679 B2 JP H066679B2 JP 22191884 A JP22191884 A JP 22191884A JP 22191884 A JP22191884 A JP 22191884A JP H066679 B2 JPH066679 B2 JP H066679B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、新規なエネルギー線反応性含フッ素表面被覆
剤並びに該含フッ素表面被覆剤を含有することを特徴と
し、紫外線または電子線等のエネルギー線によって重合
して、表面が平滑性、摩擦低減性、そして撥水・撥油性
等に優れた皮膜を形成する組成物に関する。
〈従来の技術〉 金属、プラスチック、磁器、ガラス等の表面を保護被覆
する方法として、表面に重合性モノマーあるいはこれら
のプレポリマー等の硬化性樹脂材料を塗布し、次いでエ
ネルギー線を照射して硬化性樹脂材料を重合し、表面に
強固な硬化樹脂被膜を形成する方法が知られている。
この方法において近年、フッ素化アルキル基の集合体か
ら形成される表面が低表面エネルギーを有することが着
目され、フッ素化アルキル基含有モノマーを硬化性樹脂
組成物の一成分として使用して、耐溶剤性、耐摩耗性、
摩擦低減性等に優れた被膜を形成しようとする機運が高
まり、各種成形品の保護被覆はもとより、電子写真像の
担持体表面被覆や、磁気テープ、磁気ディスク等の表面
保護被覆まで応用されるようになった。例えば 米国特許第2803615号、第2642416号、第3384627号、
第3419602号、第3719698号、第3981928号、第3102103
号、第3171861号、第3818074号、第3814741号等の明細
書記載の、一分子中にパーフロロアルキル基とビニル基
を1つずつ含有する化合物、又は の如きフロロオキシアルキレン基の両末端に、2価の連
結基を介してビニル基が連結された化合物を硬化性樹脂
組成物に添加し、耐溶剤性の高い被覆を行う技術(特開
昭57−16067号公報)。
磁気記録媒体の磁気表面側に、上記中の含フッ素ビ
ニルモノマーを塗布し、エネルギー線で硬化して、耐摩
耗性、摩擦低減性に優れた磁気表面保護層を得る技術
(特開昭59−28244号公報)。
エネルギー線硬化型組成物に、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フロロプロピル(メタ)アクリレート又はペルフロロエ
トキシ−1,1−ジヒドロペルフロロプロピル(メタ)
アクリレートの如き含フッ素ビニルモノマーを添加し、
斯かる組成物をプラスチック又は金属の表面に塗布、硬
化し、平滑性、耐摩耗性に優れた被膜を形成する技術
(特開昭52−105936号公報)等の提案がある。
〈発明が解決しようとする問題点〉 しかしながら、これら従来から使用されてきたパーフロ
ロアルキル基又はパーフロロアルキレン基含有ビニルモ
ノマーは、非フッ素系成分との相溶性に劣り、エネルギ
ー線で硬化させて得られた硬化塗膜は、摩擦低減性、均
質性、平滑性が十′ではなく、磁気テープ又は磁気ディ
スクに要求されている表面特性を満足するものではな
い。また一方、フッ素系ビニルモノマーとして1,1,1,3,
3,3−ヘキサフロロプロピル(メタ)アクリレートの如
き部分フッ素化されたアルキル基を含むビニルモノマー
を使用し、非フッ素系成分との相溶性を上げる試みもあ
るが、この様な方法では硬化塗膜の表面エネルギーを十
分に下げることができない為に、摩擦低減性、均質性、
平滑性が不十分であり、上記記録材料の要求表面特性を
また充足することができないのが現状である。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明者等は、上記問題点を解決すべく鋭意研究を行っ
た結果、一分子中にパーフロロアルキル基を2個有し、
そのパーフロロアルキル基とアクリロイル基が、或特定
の構造の2価の連結基で連結された形の含フッ素化合物
が、非フッ素系成分との相溶性が良く、又エネルギー線
硬化後、従来の含フッ素ビニルモノマーあるいは含フッ
素界面活性剤よりもはるかに優れた表面特性、即ち、摩
擦低減性、均質性、平滑性、耐摩傷性、防錆性、防湿
性、耐溶剤性、撥水撥油性等を示す表面被覆剤となるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的の一つは、一般式〔I〕の如き優れた相溶
性、および表面特性を与える新規なエネルギー線反応性
含フッ素表面被覆剤を提供することにあり、もう一つの
目的は該反応性含フッ素表面被覆剤を含んでなる。エネ
ルギー線によって重合硬化可能な被覆組成物を提供する
ことにある。
本発明に係る新規なエネルギー線反応性含フッ素表面被
覆剤(以下、単に反応性含フッ素被覆剤と略記する。)
は一般式〔I〕 〔式中、Rfは、炭素数3〜20のパーフロロアルキル
基であり、 Zは、 (但し、Rは水素原子もしくは炭素数1〜10のアル
キル基である。)、または (但し、nは1〜6の整数である。)であり、 Zは、 (但し、mは2〜6の整数である。)または であり、 Rは、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子、例えば
Cl,Brであり、 Xは、 (但し、Yは炭素数が15以下で、X基中に占める重量
割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)
にて表わされる2価の連結基であり、 Aは、 (但し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、または
ニトロ基である。)、または にて表わされる3価の連結基である。〕にて表わされる
化合物である。
尚、一般式〔I〕中、2個含まれているZは、前記 そして の中から選ばれた相異なる2種の連結基であっても良
い。
本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤においてRf
は、炭素数3〜20のパーフロロアルキル基もしくはパ
ーフロロアルケニル基であり、直鎖状、分岐状、環状ま
たはそれらを組み合せたもののいずれでも良く、さらに
主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば(CF3)2CFOCF2
CF2−等でも良い。
2価の連結基であるX基中のY基の代表的なものとして
は、 等が挙げられる。
本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤の具体例として
次の如きものが挙げられるが、本発明が下記化合物によ
って何ら限定されるものでないことは勿論である。
本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤の製造法には特
に制限はないが、 含フッ素アルコール Rf-Z1-OH 〔II〕 水酸基含有(メタ)アクリレート化合物 ジイソシアナート化合物 OCN-Y-NCO 〔IV〕 3価のアルコール化合物 〔但し、Rf,Z,R,Z,Y,Rは前記の通り
である。〕 の反応にて、収率良く簡便に製造される。
即ち、含フッ素アルコール〔II〕とジイソシアナート化
合物〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)アクリレート化
合物〔III〕とジイソシアナート化合物〔IV〕とを、そ
れぞれモル比0.9:1〜1:0.9にて反応させ、 そして を製造する。しかる後に、化合物〔VI〕、〔VII〕、そ
して3価のアルコール化合物〔V〕とをモル比2:1:
0.9〜2:1:11にて反応し、目的とする本発明に係
る反応性含フッ素表面被覆剤〔I〕が製造される。
上記反応において使用され得る溶剤としては、イソシア
ナート基と反応しないものであれば特に制限はないが、
例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラ
ヒドロフラン、ベンゾトリフロリド等が挙げられる。
含フッ素アルコール〔II〕とジイソシアナート化合物
〔IV〕、そして水酸基含有(メタ)アクリレート化合物
〔III〕とジイソシアナート化合物〔IV〕との反応は、
温度0〜120℃の範囲で実施され、30〜90℃が好
ましい。又化合物〔VI〕、〔VII〕と3価のアルコール
化合物〔V〕との反応は、温度0〜150℃で実施さ
れ、30〜100℃が好ましい。
上記製造方法では、3価のアルコール化合物〔V〕に、
化合物〔VI〕1個と化合物〔VII〕2個とが付加したも
のや、さらには化合物〔VII〕3個が付加したものも副
生するが、これらが化合物〔I〕に混入していても本発
明に云う表面特性に大きな悪影響は及ぼさない。又、必
要であれば、ゲル浸透クロマトグラフィーで分取するこ
とにより精製すれば良い。
尚、含フッ素アルコール〔II〕、水酸基含有(メタ)ア
クリレート化合物〔III〕、ジイソシアナート化合物〔I
V〕、そして3価のアルコール〔V〕は市販品を購入す
ることが可能である。
本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤は、単独、もし
くは後で述べる光重合開始剤(D)と共に被覆組成物と
して使用することは出来るが、経済性、また技術的な面
からは各種素材に対する被覆膜の密着性等の観点から、
非フッ素系(メタ)アクリレート(B),(C)と併用
することが好ましい。
本発明に称する非フッ素系(メタ)アクリレート
(B),(C)としては、(メタ)アクリロイル基を1
個あるいは2個有するものであり当業界で公知のもの
(例えば加藤清視、中原正二著「UV硬化技術入門」高
分子刊行会、1984、〔以下成書という〕の中の、3
4、35頁の表10、46〜48頁の表16、57頁の
表20、170〜172頁の表60等に記載の化合物)
から適宜選択することができ、例えば以下の(B)及び
(C)の如きのものである。
(メタ)アクリロイル基を1個含有する化合物(B) B−1 CH2=C(R3)COOR4 (Rは炭素数1〜20のアルキル基) B−2 CH2=C(R3)COOCH2CH2OH (但し、Rは−H又は−CH2である。)等である。
(メタ)アクリロイル基を2個以上含有する化合物(C) (但し、Rは−H又は−CH2である。)等である。
本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤(A)と非フッ
素系(メタ)アクリレート(B),(C)とからなる被
覆組成物において、(A)と(B)+(C)との混合割
合に特に制限はないが、経済性、そして得られた被覆膜
の平滑性、均質性等の点から、重量比で2:1〜1:10
000が好ましく、1:1〜1:5000がより好ましい。
上記被覆組成物に対して、当業界公知の所謂光重合開始
剤(例えば前記成書、62頁の表22、71頁の表27
等に記載の化合物)、例えば、D−1:ベンゾフェノ
ン、D−2:アセトフェノン、D−3:ベンゾイン、D
−4:ベンゾインエチルエーテル、D−5:ベンゾイン
イソブチルエーテル、D−6:ベンジルメチルケター
ル、D−7:アゾビスイソブチロニトリル、D−8:1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、D−9:
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン
等及び光増感剤(例えば前記成書、72頁の表28、7
3頁の表29に記載の化合物)、溶剤、そして各種添加
剤を加えることができる。溶剤としては、アクリレート
モノマーの反応性に悪影響を及ぼさなければ特に制限は
ないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢
酸エチル、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭
素、1−フロロ−1−ジクロロ−2−ジフロロ−2−ク
ロロエタン系の低沸点溶剤が好ましい。添加剤として
は、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
本発明に係る被膜形成を紫外線によって実施する場合、
反応性含フッ素表面被覆剤(A)及び非フッ素系(メ
タ)アクリレート(B),(C)としてはα炭素非置換
(即ち、前記一般式及び具体的化合物においてR,R
共水素原子のもの)のものが好ましい。
本発明に係る被覆組成物を基材に塗布する方法として
は、前記の如き当業界公知の種々の方法を用いることが
でき、基材の材質、形状又は用途等に応じて適宜使い分
けることが望ましい。該組成物の適用形態としては、該
組成物をそのまま塗布に供することもでき、又粘度が高
過ぎる場合や膜厚の制御の場合等においては、該組成物
を溶剤に溶解させた溶液として適用することができる。
この溶液の場合には、紫外線又は電子線の照射の前に、
常温、又は必要に応じて加熱や減圧により脱溶剤させる
工程が必要となる。溶剤を加熱除去する場合、モノマー
等の加熱重合を来たさないために80℃以下で実施する
のが好ましい。
本発明に係る含フッ素保護被膜は、上記方法によって基
材上に形成された塗布層に、当業界公知の、殺菌灯、紫
外用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用
高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電
極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とす
る紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速路による
電子線を照射することによって形成される。厚みが5μ
m以下の塗布層の紫外線硬化の場合、重合の効率化の点
で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射することが
好ましい。
〈作用〉 前述の如く、非フッ素系成分に含フッ素ビニルモノマー
を添加し、硬化塗膜の表面特性を向上させようとする提
案はある。しかしながら、本発明者等の知見によれば、
従来から提案されてきたパーフロロアルキル基又はブー
フロロアルキレン基含有ビニルモノマーは、非フッ素系
成分との相溶性不良から相分離を惹起し、塗膜の均質性
を著しく損うために、十分な摩擦低減性、防錆性、耐擦
傷性等を発揮しない。また一方、フッ素系ビニルモノマ
ーとして部分フッ素化アルキル基を含有するものを使用
し、相溶性を向上させた例もあるが、この様な系ではフ
ッ素化アルキル基の表面移行性が悪いために、十分な表
面特性を発揮しないのが実状である。
これに対し、本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤
は、適度な親油性基を有する為に非フッ素系成分との相
溶性を低下させず、又一分子中にパーフロロアルキル基
を2個含有する為に表面移行性を損っていないと考えら
れる。この為に塗膜表面に、ミクロ的に緻密なパーフロ
ロアルキル基の集合体が形成され、均質でかつ摩擦低減
性、平滑性、耐擦傷性、防錆性、防湿性、耐溶剤性、撥
水撥油性等に優れた表面が得られるものと推定される。
尚、以上の推察は本発明を理解する上での一助とするも
のであり、これによって本発明が何ら限定されるもので
ないことは勿論である。
〈発明の効果〉 本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤は、エネルギー
線重合硬化型組成物の一成分としてだけでなく、ビニル
基の反応性を利用して、熱硬化型樹脂のモノマー、又は
通常の溶液重合のモノマーとしても使用できる。
本発明に係る被覆組成物は、前述の如く各種の固体表面
の保護被覆層として例えば防湿防錆剤、防汚剤、潤滑
剤、減摩剤、剥離剤、離型剤、電子部品等の封止剤等と
して使用できるが被覆の薄さと平滑性を生かして特に、
記録材料分野における磁気記録製品の磁性層の被覆に好
適に用いられる。
例えば、銅、アルミニウム、亜鉛などの非磁性金属やポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレート等のポリエステル類、、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルロースアセテート等のセルロー
ス誘導体ポリカーボネート等のプラスチックや、更に、
場合によりガラス、紙、木材、繊維、磁器及び陶器のよ
うなセラミックス上に蒸着された強磁性合金(鉄、コバ
ルト及び/又はニッケルを主成分とし、少量のアルミニ
ウム、シリコン、クロム、マンガン、モリブデン、チタ
ン、各種重金属類、希土類金属等を含むもの)または微
量酸素存在下で、鉄、コバルト、クロム等の磁性材料を
ポリエステル等のプラスチックフィルムに蒸着した磁気
テープ、または磁気ディスクの磁性層等の保護被覆や、
減摩性が特に要求される。磁気テープフロッピーディス
ク等磁気記録媒体の表面及び背面処理剤としても好適で
ある。
一方、本発明の被覆組成物は、ガラス表面上にも透明で
平滑な薄い被膜を形成できるので、各種光学機器の油汚
れ防止剤などとして耐油性と耐拭き取り性を必要とする
用途にも使用することができる。
更に又、防湿性等が特に要求される太陽電池用保護膜、
光ファイバー及び光ファイバーケーブル、光ディスク、
光磁気ディスク等の保護被覆剤としても好適である。
更に、耐擦傷性、防汚性、耐湿性に優れるので医療用具
及び器具の表面保護、歯、義歯の表面保護及び虫歯のつ
め物、型取りとしても使用できる。
また本発明の被覆組成物が耐擦傷性に優れた被膜を形成
できるので、各種成形品又はフィルム、シート等のハー
ドコート剤としても使用できる。
さらに又、本発明の組成物に顔料及び分散剤を混入し、
防汚性又は非粘着性に優れた塗料又はインキを形成でき
る。
次に、本発明の具体的な合成例、実施例について説明す
るが、斯かる説明によって本発明が何ら限定されるもの
でないことは勿論である。文中「部」「%」は重量基準
であるものとする。
合成例1 A−2の合成 500mlの4つ口丸底フラスコに、含フッ素 (0.10モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート
5.8g(0.05モル)、ハイドロキノン0.1g、2,4−ト
リレンジイソシアナート26.1g(0.15モル)、そしてテ
トラヒドロフラン100gを秤取し、窒素雰囲気下64
℃で4時間反応した。系内の温度を40℃に下げた後、
トリメチロールプロパン6.7g(0.05モル)を加え、再
び64℃で6時間反応した。テトラヒドロフランを減圧
下で留去することにより淡黄色のペースト状粗生成物9
7.2gを得た。本粗生成物をそのまま被覆剤に供するこ
とができるが、表であれば以下の様にして精製できる。
上記粗生成物のテトラヒドロフラン溶液をGPC(カラ
ム:日立製、ゲルコGL−A 130,8mmφ×500
mm、溶離液:テトラヒドロフラン、検出:紫外線収計、
254nm)にかけたところ、主ピークの前後に数本の
小さなピークが得られた。全ピーク面積に対する主ピー
ク面積の割合は74%であった。
主ピークを分取し、H−NMR測定、IR測定、そし
て元素分析(表−1参照)を行ったところ、目的とする
反応性含フッ素表面被覆剤であることが確認できた。
合成例1の元素分析 合成例2 A−16の合成 合成例1の含フッ素アルコール、2,4−トリレンジイ
ソシアナート、そしてトリメチロールプロパンをそれぞ
れ、C8F17CH2CH2OH 46.4g(0.10モル)、m−フェニレ
ンジイソシアナート24.0g(0.15モル)、トリ−iso−
プロパノールアミン9.6g(0.05モル)に置き換え同様
にして反応を行い精製した。粗生成物の収量は86.0gで
あり、GPC分析における主ピーク面積の割合は82%で
あった。主ピークを分取し、H−NMR測定、IR測
定、そして元素分析を行ったところ、目的とする化合物
であることが確認できた。
合成例2の元素分析 〈実施例〉 実施例1〜12 銅板(JIS G3141)またはアルミ板(JIS H4000)に表−
1に示した本発明の被覆組成物を塗布し、溶剤を室温で
蒸散させた後、塗布層を紫外線または電子線によって下
記の条件下で硬化させ、被覆膜の諸特性について検討し
た。結果を表−1に示す。
装置;紫外線による硬化は、高圧水銀灯(80w/cm)を
使用し、照射距離10cm、照射時間60秒、窒素雰囲気
下、33℃で実施した。また電子線による硬化は、カー
テン型電子線加速器(200kV)を使用し、総量10
Mradで行った。
塗装方法;本発明に係る反応性含フッ素表面被覆剤
(A)、非フッ素系(メタ)アクリレート(B),
(C)、そして光重合開始剤(D)から成る組成物を酢
酸エチルによって5%に希釈し、バーコーターにて塗布
し、不揮発分が0.5μmの塗布層を形成した。
表面平滑性;表面塗膜の平滑性は、倍率160倍の光学
顕微鏡で塗膜表面のブツ等の有無を観察し、5段階
(5:全くブツがない、4:縁にほんの僅かブツあり、
3:表面にほんの僅かブツあり、2:表面に僅かにブツ
がある、1:全てにブツがある数値が大きい程良好)で
評価した。
表面乾燥性; 指触による ◎印 ベタ付きが全くない ○印 ベタ付きが若干感じられる △印 ベタ付きが少しある ×印 ベタ付きがある 表面硬度;JIS 5400の方法に基づいて実施した。
接触角;接触角は、n−ドデカン又は水を6μ1測定表
面に滴下し、エルマ製ゴニオメーター式接触角測定器を
用い、25℃にて測定した。
防錆性;試験片を20%塩化ナトリウム水溶液に浸漬
し、塗膜に錆が発生するまでの時間を観察し、5段階
(5:200時間以上、4:150〜200時間、3:
100〜150時間、2:50〜100時間、1:0〜
50時間)で評価した。
基盤目テスト 1cm角を1mm間隔で縦と横にカッターで切り100個の
マス目をつくり、セロテープ(積水化学S−832)を
密着させて、一気にはがし、残ったマス目の数を表わし
た。
尚実施例及び比較例No.の欄のUV表示は紫外線硬化に
よる重合体被膜の形成を示し、EB表示は電子線硬化の
それを示す。また表中の(A),(B),(C),
(D)は、本文中の化合物をそれぞれ表わしている。
実施例13〜19 次にポリエステルフィルムに、表−1に示す実施例1〜
12と同じ組成で被覆膜を形成し、その表面平滑性、表
面乾燥性、n−ドデカンの接触角及び転落角、そして摩
擦抵抗低減性を検討した。その結果を表−2に示す。
尚、動摩擦係数の測定は、米国材料試験協会規格D−1
894に準じた方法により、東洋ポールドウィン社製摩
擦試験治具を使用して行った(錘重量:236g、引張
強度:100mm/mm)。
実施例20〜24 次に、下記組成の被覆組成物をポリエステルフィルムに
塗布し、紫外線による硬化後、耐溶剤安定性について調
べ、結果を表−3に示した。
溶剤はアセトンであり、塗工したフィルムをアセトンに
1時間浸漬した後引き上げ、塗膜の状態を3段階で表示
した。
塗工膜厚:15μm 被覆組成物の組成: 実施例25 合成例1で合成されたA−2の粗生成物、精製反応性含
フッ素表面被覆剤(主ピーク)、そして主ピークが分取
された残りの成分それぞれ10.0部を、C−8(R
H)40.0部、C−13(R=H)40.0部、B−7(R
=H)7.0部、D−83.0部に配合し実施例2と同様に
して組成物を作り、鋼板に塗布しUV硬化した。粗生成
物を配合した場合、主ピークを配合した場合とほぼ同様
の表面特性が得られたが、主ピークが分取された残りの
成分を配合したときには、表面特性が著しく劣ってい
た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕 〔式中、Rfは、炭素数3〜20のパーフロロアルキル
    基であり、 Zは、 (但し、Rは水素原子もしくは炭素数1〜10のアル
    キル基である。)、または (但し、nは1〜6の整数である。)であり、 Zは、 (但し、mは2〜6の整数である。)または であり、 Rは、水素原子、メチル基、またハロゲン原子であり、 Xは、 (但し、Yは炭素数が15以下で、X基中に占める重量
    割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)
    にて表わされる2価の連結基であり、 Aは、 (但し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、または
    ニトロ基である。)、または にて表わされる3価の連結基である。〕にて表わされる
    エネルギー線反応性含フッ素表面被覆剤。
  2. 【請求項2】一般式〔I〕 〔式中、Rfは、炭素数3〜20のパーフロロアルキル
    基であり、 Zは、 (但し、Rは水素原子もしくは炭素数1〜10のアル
    キル基である。)、または (但し、nは1〜6の整数である。)であり、 Zは、 (但し、mは2〜6の整数である。)または であり、 Rは、水素原子、メチル基、またハロゲン原子であり、 Xは、 (但し、Yは炭素数が15以下で、X基中に占める重量
    割合が35〜65%の間である2価の連結基である。)
    にて表わされる2価の連結基であり、 Aは、 (但し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、または
    ニトロ基である。)、または にて表わされる3価の連結基である。〕にて表わされる
    含フッ素表面被覆剤と、非フッ素系(メタ)アクリレー
    トからなる、エネルギー線によって重合可能な被覆組成
    物であって、かつ前記含フッ素表面被覆剤と前記非フッ
    素系(メタ)アクリレートの合計を100重量部とした
    時、前記含フッ素表面被覆剤が0.05〜18重量部である
    エネルギー線によって重合可能な被覆組成物。
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