JPH0666130U - 弾性表面波共振子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 横モードでの弾性表面波のうち高次モードの
発生を抑制するＳＡＷ共振子の構造を得る。 【構成】 一対の短冊状電極膜２Ａ、２Ｂで構成される
インター・ディジタル・トランスデューサ２の該電極膜
構成に、弾性表面波の伝搬方向と垂直の方向で中央部の
膜厚Ｗｃを端部の膜厚Ｗｂよりも厚くした構造とし、弾
性表面波の伝搬に中央部にエネルギーを集中し易くし、
横モードでの弾性表面波は基本モードでの発生をし易く
すると共に高次モードでの発生を抑制する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、弾性表面波（ＳＡＷ）共振子の電極構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ＳＡＷ共振子は、例えば、図４に示すように、水晶等の圧電基板１面に一対の 短冊形電極膜で構成されるインター・ディジタル・トランスジューサ（ＩＤＴ） 電極２と、このＩＤＴ電極２の両側に夫々短冊形電極膜で構成される反射器３、 ４を配置して共振器を構成する。

【０００３】 また、該共振器が励起する弾性表面波の伝搬方向（インター・ディジタル・ト ランスジューサ電極と反射器の配列方向）に垂直に分布する横モードといわれる 振動モードを利用し、多重モードフイルタと呼ばれるＳＡＷフイルタとしても利 用される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ＳＡＷ共振子では、図５に示すように、横モードでのエネルギー密度には基本 モードＭ１のほかに、二次モードＭ２及び三次モードＭ３などの高次モードも存 在し、これら高次モードのエネルギー密度の存在はフイルタ特性上で不要な通過 帯を形成することがある。また、ＳＡＷ共振子単体として用いる場合もその特性 を悪化させることがある。

【０００５】 本考案の目的は、横モードでの弾性表面波のうち高次モードの発生を抑制する ＳＡＷ共振子の構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記課題の解決を図るため、圧電基板と、この圧電基板の面に一対 の短冊形電極膜で構成されるインター・ディジタル・トランスジューサ電極と、 このインター・ディジタル・トランスジューサ電極の両側に設けられ短冊形電極 膜で構成される一対の反射器を備えた弾性表面波共振子において、 前記インター・ディジタル・トランスジューサ電極と反射器の配列方向に伝搬 する弾性表面波の伝搬方向とは垂直の方向で、該インター・ディジタル・トラン スジューサ電極の少なくとも一部の電極膜の中央部の膜厚を端部の膜厚よりも厚 くした構造を特徴とする。

【０００７】 また、本考案は、インター・ディジタル・トランスジューサ電極の少なくとも 一部の電極膜の中央部の膜幅を端部の膜幅よりも広くした構造を特徴とする。

【０００８】 また、本考案は、反射器の少なくとも一部の電極膜の中央部の膜厚を端部の膜 厚よりも厚くした構造を特徴とする。

【０００９】 また、本考案は、反射器の少なくとも一部の電極膜の中央部の膜幅を端部の膜 幅よりも広くした構造を特徴とする。

【００１０】

【作用】

弾性表面波のエネルギーは、電極膜の膜厚が厚いほど及び膜幅が広いほど集中 し易い。そこで、本考案は、弾性表面波の伝搬方向とは垂直の方向で、インター ・ディジタル・トランスジューサ又は反射器を構成する電極膜の少なくとも一部 を中央部の膜厚又は膜幅を端部よりも厚く又は広くし、弾性表面波のエネルギー を該中央部に集中させ、弾性表面波の横モードでのエネルギー密度分布が基本モ ードで高くなると共に高次モードで低くなるようにし、高次モードの弾性表面波 の発生を抑制する。

【００１１】

【実施例】

図１は、本考案の一実施例を示すＩＤＴ電極の構成図である。ＩＤＴ電極２は 、一対の短冊形電極膜２Ａ、２Ｂの平面構造は従来と同じにされ、それぞれの膜 厚が弾性表面波の伝搬方向と垂直の方向で、中央部が厚くされ、端部が薄くされ る。この電極膜２Ａ、２Ｂの厚さは、図示のように、端部の厚さＷｂから中央部 の厚さＷｃまで徐々に厚くなる曲線を持つ構造にされる。

【００１２】 本実施例によれば、表面弾性波は、そのエネルギーが中央部に集中して伝搬し 易くなり、エネルギー密度分布も膜厚変化と同様に中央部が大きく、端部が小さ くなる。

【００１３】 これにより、横モードのうち基本モードが主に分布し、高次モードの分布は抑 制される。即ち、横モードでの高次モードの弾性表面波の発生は抑制され、殆ど は基本モードの弾性表面波を発生できることになり、共振器やフイルタの特性へ の悪影響を少なくすることができる。

【００１４】 図２は、本考案の他の実施例を示す。同図が図１と異なる部分は、電極膜２Ａ 、２Ｂの厚さ変化を端部の薄い膜厚Ｗｂから中央部の厚い膜厚Ｗｃに階段状（図 示では２段階）に変化させた構造にある。

【００１５】 本実施例においても、弾性表面波の伝搬には中央部のエネルギー密度分布が端 部のそれよりも高くなり、基本モードの弾性表面波を発生し易くし、高次モード の弾性表面波の発生を抑制できる。

【００１６】 図３は、本考案の他の実施例を示す構成図である。ＩＤＴ電極２の電極膜２Ａ 、２Ｂは、その膜厚は同じにされ、その平面構造が弾性表面波の伝搬方向とは垂 直の方向で中央部の幅が広くされ、端部の幅が狭くされる。

【００１７】 同図の（ａ）では電極膜２Ａ、２Ｂがそれぞれ略菱形状の平面構成とされる場 合を示し、（ｂ）では中央部を幅広とした階段状の場合を示し、（ｃ）では両端 部が楔状に狭くされる場合を示す。

【００１８】 本実施例においては、電極膜２Ａ、２Ｂの幅が中央部で広くされ、端部で狭く されることから、弾性表面波のエネルギー伝搬が中央部に集中し易くなり、前記 実施例と同様に、基本モードの弾性表面波を発生し易くし、高次モードの弾性表 面波の発生を抑制できる。

【００１９】 以上までの実施例においては、ＩＤＴ電極２の膜厚または膜幅を中央部と端部 とで変えた構造を示すが、反射器３の電極膜についてもその膜厚または膜幅を変 えた構造とすることにより、高次モードの抑制が一層効果的になる。

【００２０】 また、ＩＤＴ電極２の電極膜２Ａ、２Ｂの両方の電極膜の膜厚または膜幅を変 える場合を示すが、一方の電極膜２Ａまたは２Ｂの膜厚または膜幅を変える構造 にして同等の作用効果を奏することができるのは勿論である。

【００２１】 また、ＩＤＴ電極２と反射器３の電極膜の一部の電極膜についてのみその膜厚 または膜幅を変える構造にすることもできる。

【００２２】

【考案の効果】

以上のとおり、本考案によれば、ＩＤＴ電極及び／又は反射器の電極膜の膜厚 又は膜幅を弾性表面波の伝搬方向と垂直の方向で中央部を厚く又は広くし、端部 を薄く又は狭くする電極構造としたため、弾性表面波のエネルギー密度分布が該 中央部に集中し、横モードでの弾性表面波の発生には基本モードを強くしながら 高次モードの発生を抑制することができ、共振器やフイルタ特性への悪影響を少 なくする効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すＩＤＴ構成図。

【図２】本考案の他の実施例を示すＩＤＴ構成図。

【図３】本考案の他の実施例を示すＩＤＴ構成図。

【図４】ＳＡＷ共振器の構成図。

【図５】横モードのエネルギー密度分布を示す図。

【符号の説明】

１…圧電基板 ２…ＩＤＴ電極 ３、４…反射器 ２Ａ、２Ｂ…電極膜

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電基板と、この圧電基板の面に一対の
   短冊形電極膜で構成されるインター・ディジタル・トラ
   ンスジューサ電極と、このインター・ディジタル・トラ
   ンスジューサ電極の両側に設けられ短冊形電極膜で構成
   される一対の反射器を備えた弾性表面波共振子におい
   て、 前記インター・ディジタル・トランスジューサ電極と反
   射器の配列方向に伝搬する弾性表面波の伝搬方向とは垂
   直の方向で、該インター・ディジタル・トランスジュー
   サ電極の少なくとも一部の電極膜の中央部の膜厚を端部
   の膜厚よりも厚くした構造を特徴とする弾性表面波共振
   子。
2. 【請求項２】 圧電基板と、この圧電基板の面に一対の
   短冊形電極膜で構成されるインター・ディジタル・トラ
   ンスジューサ電極と、このインター・ディジタル・トラ
   ンスジューサ電極の両側に設けられ短冊形電極膜で構成
   される一対の反射器を備えた弾性表面波共振子におい
   て、 前記インター・ディジタル・トランスジューサ電極と反
   射器の配列方向に伝搬する弾性表面波の伝搬方向とは垂
   直の方向で、該インター・ディジタル・トランスジュー
   サ電極の少なくとも一部の電極膜の中央部の膜幅を端部
   の膜幅よりも広くした構造を特徴とする弾性表面波共振
   子。
3. 【請求項３】 前期弾性表面波の伝搬方向とは垂直の方
   向で、前期反射器の少なくとも一部の電極膜の中央部の
   膜厚を端部の膜厚よりも厚くした構造を特徴とする請求
   項１又は請求項２記載の弾性表面波共振子。
4. 【請求項４】 前期弾性表面波の伝搬方向とは垂直の方
   向で、前期反射器の少なくとも一部の電極膜の中央部の
   幅を端部の幅よりも広くした構造を特徴とする請求項１
   又は請求項２記載の弾性表面波共振子。