JPH0662518U - ガス絶縁変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス絶縁変圧器の高圧部位に使用する静電遮
蔽体を、簡単に構成することを目的とする。 【構成】 静電遮蔽体を、中心導体と、この中心導体の
周囲を絶縁被覆する被覆絶縁物からなる絶縁電線によっ
て構成する。このような絶縁電線は簡単に構成できる
し、また市販の絶縁電線が利用できる。この絶縁電線を
曲げ加工することによって所要の静電遮蔽体が得られ
る。したがってこの種の静電遮蔽体を簡単に構成するこ
とができるようになる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はガス絶縁変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のようにガス絶縁変圧器は、口字形、日字形のような閉磁路鉄心の鉄心脚 に、低圧コイルを、またその外側に高圧コイルを巻装して構成されている。そし てこれらはタンクに入れられ、ＳＦ６ガスのような絶縁ガスが封入される。図２ はその従来構成を示し、１はその鉄心脚、２はヨーク、３は鉄心脚１に巻装され た低圧コイル、４はその外側に巻装された高圧コイルである。

【０００３】 低圧コイル３、高圧コイル４の各上部にはそれぞれ静電遮蔽体５，６が設けら れてあり、各静電遮蔽体５，６は、各コイル３，４のそれぞれに対向するコイル 部分７，８に図示しない電線などにより接続されて、同電位とされるとともに、 ヨーク２に対して絶縁支持材９，１０により支持されている。

【０００４】 各静電遮蔽体５，６の曲率半径Ｒ１， Ｒ２は、変圧器の試験電圧、特に雷イ ンパルス試験電圧において、各静電遮蔽体の表面電界強度が絶縁ガスの絶縁破壊 電圧を超えないように選定されている。

【０００５】 またこの種静電遮蔽体は、通常厚手の鉄板をリング状に切り抜き、表面が所要 の曲率半径となるように切削加工して構成するか、あるいは同様に加工したフェ ノールレジンなどの絶縁物の表面に、アルミ箔などの導体を巻きつけて覆うこと により構成されている。

【０００６】 ところでこの種ガス絶縁変圧器に用いられる絶縁ガスのガス圧では、絶縁ガス の絶縁耐力は絶縁油よりもかなり低いため、静電遮蔽体６の表面の電界強度を十 分に低くする必要がある。このためには特に高圧コイル４の曲率半径Ｒ２を大き く取らざるを得ず、このため静電遮蔽体６の寸法ならびに重量が大きくなる欠点 がある。

【０００７】 また前記したように静電遮蔽体６は、通常正方形の素材から切り抜いて製作す るため、多くの素材を必要とし、しかも切削加工、導体巻きつけのための工作が 複雑であり、その生産コストも高くつく欠点がある。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、高圧コイルの静電遮蔽体の構成を簡略化することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、静電遮蔽体を、中心導体と、この中心導体の周囲を絶縁被覆する被 覆絶縁物とからなる絶縁電線によって構成したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】

絶縁被覆の絶縁破壊電界強度は、通常絶縁ガスのそれより大巾に高いため、中 心導体の半径を、従来例の静電遮蔽体の曲率半径より小さくしても、絶縁被覆が 絶縁破壊することはない。また絶縁被覆の電界強度は、中心導体部分の電界が高 まるほど弱められるので、絶縁被覆の曲率半径を従来例の静電遮蔽体の曲率半径 よりやや小さくしても、絶縁ガスが絶縁破壊することはない。

【００１１】 また静電遮蔽体は、中心導体とその周囲を被覆する被覆絶縁物からなる絶縁電 線によって構成されるので、市販の絶縁電線を単に曲げ加工して得られるように なり、したがってその製作は極めて容易であり、低コストですむ。

【００１２】

【実施例】

本考案の実施例を図１によって説明する。なお図２と同じ符号を付した部分は 同一または対応する部分を示す。１１は本考案による高圧コイル４の静電遮蔽体 で、中心導体１２と、その周囲を被覆する被覆絶縁物（たとえばプラスチック） １３からなる絶縁電線１４によって構成されてある。

【００１３】 中心導体１２は渦電流損を少なくするため、すずメッキをした細線を撚り合わ せたものが望ましい。また中心導体１２の表面は、被覆絶縁物１３との間の隙間 によりコロナが発生するのを防ぐために、半導電性のテープで覆うようにしてお くとよい。

【００１４】 絶縁電線１４は図１のように２本並べてあり、高圧コイル４の直径とほぼ等し い直径のリング状に形成されである。このようにリング状に形成した場合、その リングが１ターンを形成しないように１個所が切断されてあり、その切断部分は 全体の電界分布を乱さないように適当な端末処理を施して絶縁しておく。

【００１５】 各絶縁電線１４は、図示しない接続線によって高圧コイル部分８に接続されて いて同電位とされている。１５は両絶縁電線１４間に挿入された絶縁スペーサで ある。これは２本の絶縁電線１４の幅が高圧コイル４の幅にほぼ等しい場合は省 略してもよい。１６は両絶縁電線１４、絶縁スペーサ１５を一体に保持するため に、これらの上から巻きつけた絶縁性のテープである。絶縁支持材１０の静電遮 蔽体６に当接する個所にはフランジ部１７が設けてある。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、ガス絶縁変圧器における高圧コイルなど に静電遮蔽体として使用する絶縁被覆された導体として、市販の絶縁電線を曲げ 加工することによって簡単に構成できるようになり、従来のような静電遮蔽体に 比較して安価に構成することができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図である。

【図２】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

４ 高圧コイル １１ 静電遮蔽体 １２ 中心導体 １３ 被覆絶縁物 １４ 絶縁電線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高圧コイルのような高圧部位を静電遮蔽
   する静電遮蔽体を、中心導体と、前記中心導体の周囲を
   絶縁被覆する被覆絶縁物とからなる絶縁電線によって構
   成してなるガス絶縁変圧器。