JPH0659507B2 - ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工法 - Google Patents
ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工法Info
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- JPH0659507B2 JPH0659507B2 JP61016885A JP1688586A JPH0659507B2 JP H0659507 B2 JPH0659507 B2 JP H0659507B2 JP 61016885 A JP61016885 A JP 61016885A JP 1688586 A JP1688586 A JP 1688586A JP H0659507 B2 JPH0659507 B2 JP H0659507B2
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Description
【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） ステンレスクラッド鋼薄板は、鉄の薄板を母材としか
つ、オーステナイト系ステンレス鋼の極薄帯を合せ材と
するとき、耐食性その他表面性状に優れる上に、この種
のステンレス鋼薄板に比し、母材の鉄の熱伝導性がはる
かに良好であるため、厨房用の蒸煮用具とくに鍋類に用
いると火の通りが良くて焦げつきの生じ難い点で有利な
ほか、廉価に提供できる利点をもつがその反面、ステン
レスクラッド鋼薄板は一般的な冷間のプレス加工には供
され得ても深絞り強加工に耐えることができない。ここ
にステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工手順を確立
することによって、上記したような使途におけるより広
範な適合を図るべき必要性の所以がある。
つ、オーステナイト系ステンレス鋼の極薄帯を合せ材と
するとき、耐食性その他表面性状に優れる上に、この種
のステンレス鋼薄板に比し、母材の鉄の熱伝導性がはる
かに良好であるため、厨房用の蒸煮用具とくに鍋類に用
いると火の通りが良くて焦げつきの生じ難い点で有利な
ほか、廉価に提供できる利点をもつがその反面、ステン
レスクラッド鋼薄板は一般的な冷間のプレス加工には供
され得ても深絞り強加工に耐えることができない。ここ
にステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工手順を確立
することによって、上記したような使途におけるより広
範な適合を図るべき必要性の所以がある。
（従来の技術） 特開昭50−137861号公報には、準安定オーステナイトス
テンレス鋼板の冷間加工に際して誘起マルテンサイト変
態を起こし易いことに由来した深絞り性の難点につい
て、フランジ部材料の加工硬化を小さくするような加熱
を施すことにより改善する開示があり、一方特公昭59−
21687 号公報にも、オーステナイト安定度指標Md30が−
40℃〜＋40℃であるオーステナイトステンレス鋼薄板の
極深絞り加工のための工具各部温度の最適化と、潤滑剤
の適合について開示されている。
テンレス鋼板の冷間加工に際して誘起マルテンサイト変
態を起こし易いことに由来した深絞り性の難点につい
て、フランジ部材料の加工硬化を小さくするような加熱
を施すことにより改善する開示があり、一方特公昭59−
21687 号公報にも、オーステナイト安定度指標Md30が−
40℃〜＋40℃であるオーステナイトステンレス鋼薄板の
極深絞り加工のための工具各部温度の最適化と、潤滑剤
の適合について開示されている。
（発明が解決しようとする問題点） 金属材料の深絞り加工は通常メカニカルプレス又は油圧
プレスを用いて室温下で行われて来たが、一般にブラン
ク径Ｄ、バンチ径ｄの比で示される絞り比D.R.の値が大
きいと、フランジ部の変形抵抗が絞り加工中に増大する
ため、パンチ肩部での破断抵抗に比してより大きくな
り、パンチ肩部にて材料破断を来す。
プレスを用いて室温下で行われて来たが、一般にブラン
ク径Ｄ、バンチ径ｄの比で示される絞り比D.R.の値が大
きいと、フランジ部の変形抵抗が絞り加工中に増大する
ため、パンチ肩部での破断抵抗に比してより大きくな
り、パンチ肩部にて材料破断を来す。
従って、D.R.を高くする、つまり深絞り加工には、フラ
ンジ部における変形抵抗を減じかつパンチ肩部での破断
抵抗を高くすることが必要である。
ンジ部における変形抵抗を減じかつパンチ肩部での破断
抵抗を高くすることが必要である。
一般に金属材料は、高温ほど変形抵抗が低いことから絞
り加工に際しては、 フランジ部を加熱する パンチ肩部を冷却する ことによって、D.R.を高め得る可能性があり、この点は
古くから、例えばプレス絞り加工橋本明著（日刊工業新
聞社 昭和45年10月30日11版発行）p.177 〜178 に紹介
されてはいるが、そこに説くように、「アルミニウムの
ような比較的に低い温度で軟化する金属にしか適用でき
ない。」とされたのに対し、オーステノイト系ステンレ
ス鋼のマルテンサイト変態を考慮した、その発展的適用
が、上に引用した両公報の場合にほかならず、オーステ
ナイト系ステンレス薄鋼板の場合の最適加熱温度 100℃
前後において冷却温度を約20℃とする具体例が上掲の特
公昭59−21687 号公報に示されてしる。
り加工に際しては、 フランジ部を加熱する パンチ肩部を冷却する ことによって、D.R.を高め得る可能性があり、この点は
古くから、例えばプレス絞り加工橋本明著（日刊工業新
聞社 昭和45年10月30日11版発行）p.177 〜178 に紹介
されてはいるが、そこに説くように、「アルミニウムの
ような比較的に低い温度で軟化する金属にしか適用でき
ない。」とされたのに対し、オーステノイト系ステンレ
ス鋼のマルテンサイト変態を考慮した、その発展的適用
が、上に引用した両公報の場合にほかならず、オーステ
ナイト系ステンレス薄鋼板の場合の最適加熱温度 100℃
前後において冷却温度を約20℃とする具体例が上掲の特
公昭59−21687 号公報に示されてしる。
しかし乍らオーステナイト系ステンレスクラッド鋼薄板
の母材の鉄に薄板を用いたときは、その母材の引張り特
性の温度依存性が、合せ材のステンレス鋼極薄帯に比較
してなるかに小さいために、フランジ部の加熱が有効に
機能せず、それ故、単に上掲従来技術をそのまま適用し
たとしても、深絞り性の改善を達することはできない。
の母材の鉄に薄板を用いたときは、その母材の引張り特
性の温度依存性が、合せ材のステンレス鋼極薄帯に比較
してなるかに小さいために、フランジ部の加熱が有効に
機能せず、それ故、単に上掲従来技術をそのまま適用し
たとしても、深絞り性の改善を達することはできない。
従ってこの発明は、鉄の薄板を母材とし、オーステナイ
ト系ステンレス鋼の極薄帯を合せ材とする、ステンレス
クラッド鋼薄板についての極深絞り加工法を与えること
を目的とするものである。
ト系ステンレス鋼の極薄帯を合せ材とする、ステンレス
クラッド鋼薄板についての極深絞り加工法を与えること
を目的とするものである。
（問題点を解決するための手段） この発明は、Ｃ：0.12wt％、Mn：0.50wt％、Ｐ：0.050
wt％以下、Ｓ：0.050 wt％以下、残部Fe及び不可避的不
純物の組成になる鉄の薄板を母材とし、オーステナイト
系ステンレス鋼を合せ材とする、ステンレスクラッド鋼
の極薄帯を耐熱性潤滑材の施用下に、深絞り加工する
際、深絞り加工用のダイス及び／又は板押えを60℃〜 1
50℃の温度に加熱保持しかつ同じくパンチの頭部を−10
℃〜＋10℃の温度に保持すること を特徴とする、ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加
工法である。
wt％以下、Ｓ：0.050 wt％以下、残部Fe及び不可避的不
純物の組成になる鉄の薄板を母材とし、オーステナイト
系ステンレス鋼を合せ材とする、ステンレスクラッド鋼
の極薄帯を耐熱性潤滑材の施用下に、深絞り加工する
際、深絞り加工用のダイス及び／又は板押えを60℃〜 1
50℃の温度に加熱保持しかつ同じくパンチの頭部を−10
℃〜＋10℃の温度に保持すること を特徴とする、ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加
工法である。
ここに合せ材たる、オーステナイト系ステンレス鋼は、
通常、Ｃ：0.08wt％以下、Si：1.00wt％以下、Mn：2.00
wt％以下、Ｐ：0.45wt％以下、Ｓ：0.03wt％以下、Ni：
8.00〜 10.50wt％、Cr：18.00 〜20.00 wt％残部はFeお
らび不可避的不純物の組成になる、JIS 規格 G4304−19
59（熱間圧延ステンレス鋼板）ないしは同 G4305−1959
（冷間圧延ステンレス鋼板）のSUS 304 を、同G 3601(1
977)のようにして適用したものである。
通常、Ｃ：0.08wt％以下、Si：1.00wt％以下、Mn：2.00
wt％以下、Ｐ：0.45wt％以下、Ｓ：0.03wt％以下、Ni：
8.00〜 10.50wt％、Cr：18.00 〜20.00 wt％残部はFeお
らび不可避的不純物の組成になる、JIS 規格 G4304−19
59（熱間圧延ステンレス鋼板）ないしは同 G4305−1959
（冷間圧延ステンレス鋼板）のSUS 304 を、同G 3601(1
977)のようにして適用したものである。
このような合せ材に対する母材として上記の成分組成に
限定した鉄を用いるのは、（例えば深鍋又は釜のように
底が深い厨房用蒸煮用容器がオーステナイト系ステンレ
ス鋼板の深絞り加工品よりなるとき、その熱伝導度が低
いために焦げ付きを生じ易い上に高価であった点につ
き、母材の鉄の熱伝導度が高いことを活用して適切に克
服するためであって、熱伝導の良好な上記容器は蒸煮物
への火の通りが早く、また温度が均一化されるため、焦
げ付きも生じ難くなる上に安価に提供できる。
限定した鉄を用いるのは、（例えば深鍋又は釜のように
底が深い厨房用蒸煮用容器がオーステナイト系ステンレ
ス鋼板の深絞り加工品よりなるとき、その熱伝導度が低
いために焦げ付きを生じ易い上に高価であった点につ
き、母材の鉄の熱伝導度が高いことを活用して適切に克
服するためであって、熱伝導の良好な上記容器は蒸煮物
への火の通りが早く、また温度が均一化されるため、焦
げ付きも生じ難くなる上に安価に提供できる。
上記のステンレスクラッド鋼薄板はその耐食性は表層の
合せ材によって期待するものであり、従って上記の温間
プレス加工による極深絞りの際の潤滑剤としては、上掲
特公昭59−21687 号公報に記載されたような、ほう酸ト
リメチル、ほう酸トリエチル、メチルボロン酸、エチル
ボロン酸など有機ほう素化合物の１種または２種以上と
合成油をベースとして、アルキルスルホン酸塩、ポリエ
チレングリコール脂肪酸エステルのうちから選んだ水溶
性活性剤を添加した、耐熱即乾性潤滑剤の使用が好適で
ある。
合せ材によって期待するものであり、従って上記の温間
プレス加工による極深絞りの際の潤滑剤としては、上掲
特公昭59−21687 号公報に記載されたような、ほう酸ト
リメチル、ほう酸トリエチル、メチルボロン酸、エチル
ボロン酸など有機ほう素化合物の１種または２種以上と
合成油をベースとして、アルキルスルホン酸塩、ポリエ
チレングリコール脂肪酸エステルのうちから選んだ水溶
性活性剤を添加した、耐熱即乾性潤滑剤の使用が好適で
ある。
さて第１図にこの発明のステンレスクラッド鋼薄板の極
深絞り加工法に適合する金型を例示した。
深絞り加工法に適合する金型を例示した。
図中１は素材としてのステンレスクラッド鋼板、２はパ
ンチ、３はヒーター、４はダイス、５は板押え、６はダ
イクッションピン、７は冷媒入口、８は冷媒出口、そし
て９はラムであり、この例でダイス４及び板押え５をそ
れぞれヒーター３によって60℃〜 150℃に加熱保持する
一方、パンチ２は冷媒入口７に導入した冷媒を冷媒出口
８に向けて流通させる間にパンチ頂面の内側からの抜熱
により、−10℃〜10℃に保持するようにして、素材1 に
深絞り加工を施す。
ンチ、３はヒーター、４はダイス、５は板押え、６はダ
イクッションピン、７は冷媒入口、８は冷媒出口、そし
て９はラムであり、この例でダイス４及び板押え５をそ
れぞれヒーター３によって60℃〜 150℃に加熱保持する
一方、パンチ２は冷媒入口７に導入した冷媒を冷媒出口
８に向けて流通させる間にパンチ頂面の内側からの抜熱
により、−10℃〜10℃に保持するようにして、素材1 に
深絞り加工を施す。
ここにパンチ頂面周縁は肩部半径７mm前後の丸面とり、
またダイス４は型孔の周縁に肩部半径７mmの丸面とりを
施すことがのぞましい。
またダイス４は型孔の周縁に肩部半径７mmの丸面とりを
施すことがのぞましい。
（作 用） 元来、ステンレスクラッド鋼薄板は、異種材の組合せに
成るため、焼鈍が適性に行われ難く、たとえ焼鈍できた
としても表面層に酸化スケールが発生したり、それによ
る表面性状の劣化のために絞り加工中に表面きずが発生
して製品表面の耐食性も悪くなるので、中間焼鈍を挟む
多段階の絞り加工の如きによっては深鍋の製品化はのぞ
むべくもない。しかるに、この発明に従いステンレスク
ラッド鋼薄板の極深絞り加工を可能ならしめる理由は、
以下のように考えられる。
成るため、焼鈍が適性に行われ難く、たとえ焼鈍できた
としても表面層に酸化スケールが発生したり、それによ
る表面性状の劣化のために絞り加工中に表面きずが発生
して製品表面の耐食性も悪くなるので、中間焼鈍を挟む
多段階の絞り加工の如きによっては深鍋の製品化はのぞ
むべくもない。しかるに、この発明に従いステンレスク
ラッド鋼薄板の極深絞り加工を可能ならしめる理由は、
以下のように考えられる。
第２図に●印で示すように、合せ材に用いるSUS 304 そ
れ自身はその引張り強さの温度依存性が０℃〜150 ℃の
範囲で大きいため、フランジ部の加熱による変形抵抗の
低下と、パンチ肩部での冷却による、破断抵抗の上昇が
期待できるところ、かような加熱冷却を施しても、ステ
ンレスクラッド鋼では中間層の鉄母材の伸びは同図□印
のようにほぼ一定値に保たれることによっている。換言
すると、体積の大部分を占める中間層の鉄母材の引張り
特性の温度依存性に隠蔽されてしまうためステンレスク
ラッド鋼つまり図の SUS 304−Fe−SUS 304 クラッド薄
板の０〜90℃での引張り強度及び伸びの温度依存性は小
さいが、温間プレス加工を施した場合には、フランジ部
での表面摩擦及び変形抵抗の減少とポンチ肩部における
材料の破断抵抗の増大とが有効に作用して（温度依存部
分のSUS 304 表面層と温度非依存部分の鉄内層に対し
て）、両者の力学的均衡が理想的に保たれるために、如
上のすぐれた絞り加工性（及び形状性）が得られるので
ある。
れ自身はその引張り強さの温度依存性が０℃〜150 ℃の
範囲で大きいため、フランジ部の加熱による変形抵抗の
低下と、パンチ肩部での冷却による、破断抵抗の上昇が
期待できるところ、かような加熱冷却を施しても、ステ
ンレスクラッド鋼では中間層の鉄母材の伸びは同図□印
のようにほぼ一定値に保たれることによっている。換言
すると、体積の大部分を占める中間層の鉄母材の引張り
特性の温度依存性に隠蔽されてしまうためステンレスク
ラッド鋼つまり図の SUS 304−Fe−SUS 304 クラッド薄
板の０〜90℃での引張り強度及び伸びの温度依存性は小
さいが、温間プレス加工を施した場合には、フランジ部
での表面摩擦及び変形抵抗の減少とポンチ肩部における
材料の破断抵抗の増大とが有効に作用して（温度依存部
分のSUS 304 表面層と温度非依存部分の鉄内層に対し
て）、両者の力学的均衡が理想的に保たれるために、如
上のすぐれた絞り加工性（及び形状性）が得られるので
ある。
このように、ステンレスクラッド鋼薄板の深絞り性を向
上させるためには、深絞り加工用のダイス及び又は板押
さえを加熱し、かつ同じくポンチ頭部を冷却する必要が
あり、その加熱・冷却の温度は表１に示した実験の結果
加熱温度は60℃〜150℃、冷却温度は−10℃〜10℃に設
定することを要する。
上させるためには、深絞り加工用のダイス及び又は板押
さえを加熱し、かつ同じくポンチ頭部を冷却する必要が
あり、その加熱・冷却の温度は表１に示した実験の結果
加熱温度は60℃〜150℃、冷却温度は−10℃〜10℃に設
定することを要する。
加熱温度範囲の限定理由は次のとおりである。
60℃未満では材料フランジ部の変形抵抗が室温のときに
比べて十分には小さくならないので、絞り力を低下させ
る高価が期待できず、同時にクラッド各層の変形の均一
性が不十分なために形状性に不具合を生じる。また、15
0 ℃を越えると潤滑剤の耐熱性及び潤滑効果が劣化する
ため、フランジ部での変形抵抗がかえって増加し、絞り
力の低下が期待できないばかでなく、フランジ部が過熱
状態となって、パンチの冷却効果が低下し、パンチ肩部
における材料破断を生ずる。したがって加熱温度は60℃
〜150 ℃の範囲に限定する。
比べて十分には小さくならないので、絞り力を低下させ
る高価が期待できず、同時にクラッド各層の変形の均一
性が不十分なために形状性に不具合を生じる。また、15
0 ℃を越えると潤滑剤の耐熱性及び潤滑効果が劣化する
ため、フランジ部での変形抵抗がかえって増加し、絞り
力の低下が期待できないばかでなく、フランジ部が過熱
状態となって、パンチの冷却効果が低下し、パンチ肩部
における材料破断を生ずる。したがって加熱温度は60℃
〜150 ℃の範囲に限定する。
冷却温度の範囲に限定理由は次のとおりである。
冷却温度が低い程パンチ近傍の材料の破断抵抗は増大す
るが、−10℃以下に下げてもその程度が少なく、かつ実
用的には、冷却温度を−10℃より低くに保ためには、容
量の大きい冷凍機が必要で、このための装置のコストが
高くなる欠点が生ずる。また、冷却温度を10℃以上にす
るとパンチ肩部の破断抵抗が小さいばかりでなく、絞り
加工時に熱伝導により、この部位の温度がさらに上昇す
るので、破断抵抗が、一層低下し、絞り性の向上は期待
できない。したがって冷却温度は−10℃〜10℃の範囲に
限定する。
るが、−10℃以下に下げてもその程度が少なく、かつ実
用的には、冷却温度を−10℃より低くに保ためには、容
量の大きい冷凍機が必要で、このための装置のコストが
高くなる欠点が生ずる。また、冷却温度を10℃以上にす
るとパンチ肩部の破断抵抗が小さいばかりでなく、絞り
加工時に熱伝導により、この部位の温度がさらに上昇す
るので、破断抵抗が、一層低下し、絞り性の向上は期待
できない。したがって冷却温度は−10℃〜10℃の範囲に
限定する。
以上の限定条件のもとに下記の潤滑剤を用いて温間絞り
加工を行う。この方法では当然のことながら、室温での
絞り加工に較べ、材料が高温ですべり変形を受けるの
で、潤滑性能とともに、耐熱性にすぐれ潤滑剤を用いる
必要がある。
加工を行う。この方法では当然のことながら、室温での
絞り加工に較べ、材料が高温ですべり変形を受けるの
で、潤滑性能とともに、耐熱性にすぐれ潤滑剤を用いる
必要がある。
室温での絞り用潤滑剤としては、油性および水溶性のも
のが通常使用されているが、これらはいずれも耐熱性に
欠け、温間絞り加工法には不向きである。また、耐熱性
潤滑剤としては、鍛造用として、黒鉛や二硫化モリブデ
ン系のものがあるが、これは、絞り用潤滑剤としては作
業性が著しく悪く、実用には全く不向きである。
のが通常使用されているが、これらはいずれも耐熱性に
欠け、温間絞り加工法には不向きである。また、耐熱性
潤滑剤としては、鍛造用として、黒鉛や二硫化モリブデ
ン系のものがあるが、これは、絞り用潤滑剤としては作
業性が著しく悪く、実用には全く不向きである。
温間絞り加工における潤滑剤として種々の実験結果に基
づき、有機ほう素化合物を主成分とし、これに加水分解
反応による潤滑膜の形成を助長する水溶性界面活性剤及
び合成油を添加した組成物のほかステンレス極深絞り用
潤滑剤G755B，G751，G753，G6360，G6365（日本工作油
(株)製）を用いることが最善であることがたしかめられ
ている。
づき、有機ほう素化合物を主成分とし、これに加水分解
反応による潤滑膜の形成を助長する水溶性界面活性剤及
び合成油を添加した組成物のほかステンレス極深絞り用
潤滑剤G755B，G751，G753，G6360，G6365（日本工作油
(株)製）を用いることが最善であることがたしかめられ
ている。
これらの耐熱製潤滑剤は主成分がほう酸であることか
ら、十分な耐熱性を有し、潤滑性も良好であり、温間絞
り加工において極深絞り加工を十分可能にする。
ら、十分な耐熱性を有し、潤滑性も良好であり、温間絞
り加工において極深絞り加工を十分可能にする。
後者の油性混合潤滑剤は、表１に示すように、それぞれ
個々の潤滑剤の温間深絞り加工の潤滑効果はよくない
が、混合することにより抜群の潤滑効果を発揮する。
個々の潤滑剤の温間深絞り加工の潤滑効果はよくない
が、混合することにより抜群の潤滑効果を発揮する。
これらの２種類の潤滑剤は、いずれも作業性にすぐれ安
価に入手することができるので工業的規模で実際作業を
行う場合には、まったく好都合である。
価に入手することができるので工業的規模で実際作業を
行う場合には、まったく好都合である。
次に本発明の実施例について説明する。
実施例 表１にこの発明の実施例を示し、No.１〜No.９はこの発
明の適合例で、No.10〜No.16は加工条件のうちいずれか
１つの条件範囲から逸脱している参考例またはNo.17〜N
o.20は比較例である。
明の適合例で、No.10〜No.16は加工条件のうちいずれか
１つの条件範囲から逸脱している参考例またはNo.17〜N
o.20は比較例である。
そして、この成形試験は、第１図に示した温間絞り金型
を用いて、複動油圧プレスにて行った。SUS304- Fe- S
US304クラッド鋼薄板はNo. １〜８、No. 10〜No.18の場
合表面層のSUS304が0.11mm、中間層の冷間圧延鋼板(SPC
C)が0.76mm、総板厚は0.98mm、No.９についてはSUS 304
が0.15mm、SPCCが0.7 mmである。
を用いて、複動油圧プレスにて行った。SUS304- Fe- S
US304クラッド鋼薄板はNo. １〜８、No. 10〜No.18の場
合表面層のSUS304が0.11mm、中間層の冷間圧延鋼板(SPC
C)が0.76mm、総板厚は0.98mm、No.９についてはSUS 304
が0.15mm、SPCCが0.7 mmである。
比較例として用いたSUS 304 (No.19)及びSPCC (No.20)
の板厚は1.0mmである。
の板厚は1.0mmである。
板押さえ力はフランジにしわが発生しない程度の最小板
押さえ力とした。
押さえ力とした。
これらの条件下で絞り試験を行った結果、従来の冷間加
工法の限界絞り比が2.3 以下であるのに対して、この発
明の実施例では、限界絞り比が2.5〜3.0 と大巾に絞り
性が向上している。参考例の限界絞り比は2.2 〜2.5 と
なり、従来法に較べて、絞り性はやや向上するが、本発
明実施例に較べ、絞り性は低く、素材の特性を十分に引
き出せていない。
工法の限界絞り比が2.3 以下であるのに対して、この発
明の実施例では、限界絞り比が2.5〜3.0 と大巾に絞り
性が向上している。参考例の限界絞り比は2.2 〜2.5 と
なり、従来法に較べて、絞り性はやや向上するが、本発
明実施例に較べ、絞り性は低く、素材の特性を十分に引
き出せていない。
なお、参考例No.10 は絞り性はよいが形状性が劣り、N
o.11 は双方とも悪くまたNo.12 は形状性はよくても絞
り性が劣る。またNo.14 は、パンチ温度−20℃の例で限
界絞り比は2.5 と比較的大きく、本発明例No.４と同等
であるが、パンチ冷却のための装置コストが高くなって
実用的でない。
o.11 は双方とも悪くまたNo.12 は形状性はよくても絞
り性が劣る。またNo.14 は、パンチ温度−20℃の例で限
界絞り比は2.5 と比較的大きく、本発明例No.４と同等
であるが、パンチ冷却のための装置コストが高くなって
実用的でない。
（発明の効果） 以上の結果より、本発明法で規制した加工条件を満足す
る場合に、従来法と比較して特段に優れた絞り加工性が
得られるばかりでなく、形状性にもすぐれた高品質のク
ラッド絞り製品の製造が工業的に可能となったのであ
る。
る場合に、従来法と比較して特段に優れた絞り加工性が
得られるばかりでなく、形状性にもすぐれた高品質のク
ラッド絞り製品の製造が工業的に可能となったのであ
る。
第１図は深絞り用金型概念図、 第２図は引張特性温度依存性の比較図表である。 １……ステンレスクラッグ鋼板 ２……パンチ、３……ヒーター ４……ダイス、５……板押さえ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 修 新潟県新潟市二葉町5929−30 砂山寮内 (72)発明者 後藤 隆夫 新潟県新潟市東明５−５−６ (72)発明者 山▲崎▼ 栄一 新潟県新潟市中権寺字三倍2311−１ 中権 寺寮内 (72)発明者 野原 清彦 千葉県千葉市川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特公 昭59−21687（ＪＰ，Ｂ１) 特公 昭57−49212（ＪＰ，Ｂ１)
Claims (1)
- 【請求項１】Ｃ：0.12wt％以下、Mn：0.50wt％以下、
Ｐ：0.050 wt％以下、Ｓ：0.050 wt％以下、残部Fe及び
不可避的不純物の組成になる鉄の薄板を母材とし、オー
テスナイト系ステンレス鋼の極薄帯を合せ材とする、ス
テンレスクラッド鋼薄板を、耐熱性潤滑剤の施用下に深
絞り加工する際、 深絞り加工用のダイス及び／又は板押えを、60℃〜 150
℃の温度に加熱保持しかつ、同じくパンチの頭部を−10
℃〜10℃の温度に保持すること、 を特徴とする、ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加
工法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61016885A JPH0659507B2 (ja) | 1986-01-30 | 1986-01-30 | ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61016885A JPH0659507B2 (ja) | 1986-01-30 | 1986-01-30 | ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62176617A JPS62176617A (ja) | 1987-08-03 |
| JPH0659507B2 true JPH0659507B2 (ja) | 1994-08-10 |
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ID=11928623
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61016885A Expired - Fee Related JPH0659507B2 (ja) | 1986-01-30 | 1986-01-30 | ステンレスクラッド鋼薄板の極深絞り加工法 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0659507B2 (ja) |
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| JPH0698408B2 (ja) * | 1989-11-13 | 1994-12-07 | 新日本製鐵株式会社 | トランスファープレスによる深絞り部品の成形方法 |
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-
1986
- 1986-01-30 JP JP61016885A patent/JPH0659507B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPS62176617A (ja) | 1987-08-03 |
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