JPH0659291B2 - 経皮吸収薬 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、塗り薬、貼り薬、湿布薬、絆創膏等を含む所
謂経皮吸収薬に関するものである。

［従来の技術］ 各種の貼り薬、湿布薬は、ベースとなる基材の表面に粘
着剤と共に練り併せたものを厚く塗布し、直接身体に貼
り付けて用いる構造であって、粘着性が悪い場合には包
帯などを捲いて押えるようにしている。

又、塗り薬は直接肌に塗りそのままにしておくか、薬の
上にガーゼを当て、更にその上を包帯で捲いたりしてい
る。

又、最近、絆創膏に傷薬等を含滲させた薬品付のものが
ある。

［従来技術の課題］ 上記従来例において、粘着剤を薬品中に錬り込むもの
は、この粘着剤が塗布量の大部分を占めるようになり、
薬品の持久性と薬効が薄れ勝ちである。

又、塗り薬の場合も、同じように粘着剤が少し練り込ん
であり、又、厚く塗ると衣類等を汚す心配があることか
ら、塗り量には限度がある。

次に薬品付の絆創膏の場合は薬品を含滲させたガーゼ、
脱脂綿等が小さいために、薬品の量は非常に少なく、こ
の場合にも薬の持久性と薬効には問題がある。

本発明の目的は、薬品の含滲量を多くして持久性と薬効
を高め、ペースナ状塗り薬であっても直接そのまま貼り
薬のようにして用いることができる経皮吸収薬を提供す
ることである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記課題を解決する手段として、次の如き構
成の経皮吸収薬を提案する。

発明１．ベースフィルム側の上面に薬品を置き、有孔フ
ィルムに溶融状態のフィルムを押し当てて擬似接着を行
った複合フィルムを、有孔フィルム側が内側にくるよう
にして前記薬品上に被せてこの周囲をベースフィルムに
接着することにより薬品を密封して成る経皮吸収薬。

発明２．ベースフィルム側の上面に粘着層を形成し、こ
のベースフィルムの上面に薬品を置き、有孔フィルムに
溶融状態のフィルムを押し当てて擬似接着を行った複合
フィルムを、有孔フィルム側が内側にくるようにして前
記薬品上に被せてこの周囲をベースフィルムに接着する
ことにより薬品を密封すると共に前記ベースフィルムの
下面に、上面に粘着層を形成したベースフィルムよりも
大形の貼り材を貼り合わせて絆創膏を構成し、この絆創
膏全体を外装で密封して成る経皮吸収薬。

上記発明１において、有孔フィルムはヒートシール性の
あるポリエチレンがよく、凝似接着を行うフィルムはポ
リプロピレンが好適である。

又、上記発明２において、ベースフィルムにはナイロン
単体又はこれにアルミニウムを貼り合わせ、更に有孔フ
ィルムと対面する側にポリエチレンを貼り合わせたもの
が好適である。

外装としては、印刷性と商品性を高めるために紙を用い
るのもよいが、気密性や遮光性等が要求される場合には
周知の密封用フィルム中から条件に適したものを選択す
る。

［作用］ 上記経皮吸収薬は有孔フィルムに凝似接着しているフィ
ルム側を剥がして有孔フィルム側を肌に当てると、有孔
フィルムの孔を経由して内部の薬品が肌側に滲み出して
薬効を奏するものである。

有孔フィルム面に設ける孔は内部の薬品や性状によりそ
の直径が選ばれるが、最小で0.5m/m前後であり、この孔
は毛細管現象を惹起して薬品の浸透を計り、又液体の場
合には一度に流れ出るのを阻止する。

［実施例］ 第１図は本発明を実施した貼り薬の実施例を示すもので
ある。１はベースフィルムとしての軟質塩化ビニールフ
ィルムから成る貼り材であって、この表面（下面）には
身体に直接貼り付けるための粘着剤層２が形成してあ
る。３は粘着剤層２の表面の中央に貼り付けられたナイ
ロンフィルム、４はナイロンフィルム３の表面に貼り付
けられたアルミニウムフィルム、５はこの表面に貼り付
けられたポリエチレンフィルムである。

６はポリエチレンフィルム５の上に置かれたペースト状
の薬品、７はポリエチレンフィルムに直径0.5m/mの孔を
１m/mピッチであけた有孔フィルムであって、８はこの
有孔フィルム７の外に凝似接着させたポリプロピレンフ
ィルムである。

凝似接着の手段は有孔フィルム７面に成膜過程の溶融ポ
リプロピレンフィルム８をロールにより強制的に押し付
けて張り合わせることにより、孔内に溶融フィルム側の
表面の一部をめり込ませるもので、第２図にこの状況を
示す。ａは孔、ｂはめり込み部である。

９は延伸ポリプロピレンフィルム、１０はアルミニウム
フィルム、１１はナイロンフィルムであって、ポリプロ
ピレンフィルム８からナイロンフィルム１１までは一体
に張り合わされている。但し、有孔フィルム７も凝似接
着しているため、見掛け上は一体（一枚）であり、製袋
加工、ヒートシール等の加工時には有孔フィルム７を併
せて一枚の複合フィルムとして扱われる。

１２は前記薬品６を密封した際のヒートシール部分であ
って、有孔フィルム７とポリエチレンフィルム５は完全
に融着して薬品６を密封しており、剥がれない。

薬６を使用する場合には、有孔フィルム７に凝似接着し
ているポリプロピレンフィルム８側を指先で剥がすと、
フィルム８は有孔フィルム７面から簡単に剥がれ、この
状態において薬品６の表側（下側）は有孔フィルム７だ
けにより被われている。

身体に貼り付けた状態を第３図に示す。内部の薬品６は
有孔フィルム７の孔ａを経由して矢印のように表に滲み
出し、皮膚ｃから吸収されて薬効を奏する。

第４図は本発明を薬品付絆創膏に実施した例である。２
０はベースフィルムとしての軟質塩化ビニールフィル
ム、２１はこの表面（上面）の粘着剤層、２２はナイロ
ンフィルム、２３はアルミニウムフィルム、２４はポリ
エチレンフィルム、２５は薬品、２６は有孔フィルム、
２７はこの有孔フィルム２６に凝似接着したポリプロピ
レンフィルム、２８は延伸ポリプロピレンフィルム、２
９はアルミニウムフィルム、３０はナイロンフィルムで
あって、ポリプロピレンフィルム２７からナイロンフィ
ルム３０は一体に張り合わせてあり、また有孔フィルム
２６を見掛け上は一体の複合フィルムとなっている。

３１はポリエチレンフィルム２４と有孔フィルム２６の
ヒートシール部であって、内部の薬品２５はこのヒート
シールにより密封されている。

３２、３３は前記薬品２５（ナイロンフィルム３０）の
外を被うカバー紙、３４は外装である。

このような構造の絆創膏は、外装３４を開封してとり出
し、カバー紙３２、３３を剥がし、更にポリプロピレン
フィルム２８部分を摘んで有孔フィルム２６から剥が
す。

これを前記した実施例の場合と同じように軟質塩化ビニ
ールフィルム２０の表面の粘着剤層２１を用いて皮膚に
貼り付け、絆創膏として使用する。

［発明の効果］ このように本発明は凝似接着させた有孔フィルムを内層
にして薬品部分を密封し、使用時には有孔フィルムを残
し、凝似接着側を有孔フィルムから剥がして使用するよ
うにしたので、有孔フィルムによって薬品は保持され、
然も孔の径を選定することにより、薬品含滲量を多くし
てもたれたり流れ出る心配がない。この結果、ペースト
状ばかりでなく、液体も直接有孔フィルムで保持するこ
とができ、これを貼り薬や絆創膏として使用できるので
薬効が強く、持久力のある経皮吸収薬が得られる。

又、有孔フィルムは、凝似接着側のフィルムと見掛け上
は一体の複合フィルムとして製袋或いはヒートシール等
ができるので、密封作業を機械化することが容易である
と共に一度に製袋やヒートシールができるので、製造コ
ストの低減が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る経皮吸収薬の断面図、第２図は有
孔フィルムと凝似接着フィルムとの関係を示す断面図、
第３図は本発明に係る経皮吸収薬を身体に貼り付けた状
態の説明図。第４図は絆創膏に本発明を実施した例を示
す断面図である。 １……ベースフィルム ６……薬品 ７……有孔フィルム（ポリエチレンフィルム） ８……ポリプロピレンフィルム ２５……薬品 ２６……有孔フィルム ２７……ポリプロピレンフィルム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｍ 37/00 9052−4Ｃ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ベースフィルム側の上面に薬品を置き、有
   孔フィルムに溶融状態のフィルムを押し当てて擬似接着
   を行った複合フィルムを、有孔フィルム側が内側にくる
   ようにして前記薬品上に被せてこの周囲をベースフィル
   ムに接着することにより薬品を密封して成る経皮吸収
   薬。
2. 【請求項２】ベースフィルムの上面に薬品を置き、有孔
   フィルムに溶融状態のフィルムを押し当てて擬似接着を
   行った複合フィルムを、有孔フィルム側が内側にくるよ
   うにして前記薬品上に被せてこの周囲をベースフィルム
   に接着することにより薬品を密封すると共に前記ベース
   フィルムの下面に、上面に粘着層を形成したベースフィ
   ルムよりも大形の貼り材を貼り合わせて絆創膏を構成
   し、この絆創膏全体を外装して密封して成る経皮吸収
   薬。